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検索対象: 不動産法律セミナー 2015年12月号
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1. 不動産法律セミナー 2015年12月号

【問 11 】 A が B との間で , A 所有の甲建物について , 期間 3 年 , 賃料月額 10 万円と定めた賃貸借 契約を締結した場合に関する次の記述のうち , 民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば , 正しいものはどれか。 1 A が B に対し , 賃貸借契約の期間満了の 6 か月前までに更新しない旨の通知をしなかったとき は , A と B は , 期間 3 年 , 賃料月額 10 万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる。 2 賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に , A が B に書面で解約の申入れをした場 合は , 申入れの日から 3 か月後に賃貸借契約は終了する。 3 C が , AB 間の賃貸借契約締結前に , A と甲建物の賃貸借契約を締結していた場合 , A が B に 甲建物を引き渡しても , C は , 甲建物の賃借権を B に対抗することができる。 4 AB 間の賃貸借契約が B の賃料不払を理由として解除された場合 , B は A に対して , A の同意 を得て B が建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。 【問 12 】賃貸人と賃借人との間で , 建物につき , 期間 5 年として借地借家法第 38 条に定める定期 借家契約 ( 以下「定期借家契約」という。 ) を締結する場合と , 期間 5 年として定期借家契約で はない借家契約 ( 以下「普通借家契約」という。 ) を締結する場合に関する次の記述のうち , 民 法及び借地借家法の規定によれば , 正しいものはどれか。なお , 借地借家法第 40 条に定める一時 使用目的の賃貸借契約は考慮しないものとする。 1 賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定め た場合 , 定期借家契約においても , 普通借家契約においても , 当該特約は無効である。 2 賃貸借契約開始から 3 年間は賃料を増額しない旨の特約を定めた場合 , 定期借家契約において も , 普通借家契約においても , 当該特約は無効である。 3 期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規 定は , 定期借家契約では有効であるが , 普通借家契約では無効である。 4 賃貸人も賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は , 定期借家契約では 有効であるが , 普通借家契約では無効である。 【問 13 】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち , 正しいものはどれか。 1 管理者が選任されていない場合 , 集会においては , 規約に別段の定めがある場合及び別段の決 議をした場合を除いて , 集会を招集した区分所有者の 1 人が議長となる。 2 集会の招集の通知は , 会日より少なくとも 2 週間前に発しなければならないが , この期間は規 約で伸縮することができる - 。 3 集会の議事録が書面で作成されているときは , 議長及び集会に出席した区分所有者の 1 人がこ れに署名し , 押印をしなければならない。 4 区分所有者は , 規約に別段の定めがない限り集会の決議によって , 管理者を選任することがで きる。この場合 , 任期は 2 年以内としなければならない。 不動産法律セミナー ーノ 0 ー ノ 2 / 2 硼 5

2. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 た権利は右の限度で当然に右遺留分権利者に帰属するに至るものであり , 受贈者が , 右贈与に基 づいて目的物の占有を取得し , 民法 162 条所定の期間 , 平穏かっ公然にこれを継続し , 取得時効 を援用したとしても , それによって , 遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではない」 としている ( 最判平 11 ・ 6 ・ 24 ) 。 正解 4 借地借家法 ( 建物の貨貸借 ) 本問は , 借地借家法 ( 建物の賃貸借 ) に関する問題である。 1 . 誤り。建物の賃貸借について期間の定めがある場合において , 当事者が期間の満了の 1 年前か ら 6 月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしな い旨の通知をしなかったときは , 従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。 ただし , その期間は , 「定めがないもの」とされる ( 借地借家法 26 条 1 項 ) 。よって , 期間 3 年と している点が誤り。 2 . 誤り。建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては , 建物の賃貸借は , 解約の 申入れの日から「 6 月」を経過することによって終了する ( 27 条 1 項 ) 。申入れの日から 3 か月 後に賃貸借契約は終了するとしている点が誤り。 3 . 誤り。 B は , 建物の引渡しを受けているので , 対抗要件を備えている ( 31 条 1 項 ) 。一方 , c は , 対抗要件を備えていない。よって , C は B に対抗できないので , 誤りである。 4 . 正しい。建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳 , 建具その他の造作がある場合には , 建 物の賃借人は , 建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに , 建物の賃 貸人に対し , その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる ( 33 条 1 項 ) 。このよ うに , 造作買取請求権は , 期間満了や解約申入れによる終了の際に行使できるものであるため , 本肢のような債務不履行による解除の場面では行使できない。 借地借家法 問 12 正解 1 借地借家法 ( 定期建物貨貸借契約 ) 本問は , 借地借家法 ( 定期建物賃貸借契約 ) に関する問題である。 1 . 正しい。借地借家法 31 条 1 項の規定 ( 登記がなくても引渡しがあれば対抗できる旨の規定 ) に 反する特約で建物の賃借人に不利なものは , 無効となる ( 37 条 ) 。よって , 本肢のような特約は 無効になる。これは , 定期借家契約においても , 普通借家契約においても同じである。 2 . 誤り。賃貸借契約開始から 3 年間は賃料を「増額しない」旨の特約は , 賃借人に有利な特約で あることから有効となる。これは , 定期借家契約においても , 普通借家契約においても同じであ る。 3 . 誤り。造作買取請求権は , 任意規定であるため , 特約で排除することができる ( 37 条に 33 条が 含まれていない ) 。これは , 定期借家契約においても , 普通借家契約においても同じである。 4 . 誤り。定期借家契約においては , 一定の場合に , 賃借人が建物賃貸借の解約申入れをすること ができる旨の規定が用意されている ( 38 条 5 項 ) 。そして , これに反する賃借人に不利な特約は 無効となる ( 38 条 6 項 ) 。一方 , 普通借家契約の場合には , もともと中途解約をすることができ ないため , 特約で中途解約をすることができない旨を定めること自体が無意味である。 ノ 2 / 20 ノ 5 ー 37 ー 不動産法律セミナー

3. 不動産法律セミナー 2015年12月号

イ : 誤り。宅地又は建物の引渡しの時期及び移転登記の申請の時期は , 共に 37 条書面に必ず記載し なければならない事項である。いずれかを記載するのではない。宅建業者間取引であっても書面 の交付が必要な点は正しい ( 同法 37 条 1 項 4 号 , 5 号 ) 。 ウ誤り。題意より業者 A が自ら貸主として宅地の賃貸借契約を締結するのであるから , そもそも 宅建業法上の取引には該当しない。よって , 37 条書面に関する規定も適用されず , 交付する必要 はない ( 同法 2 条 2 号 , 37 条 1 項 ) 。 工 . 正しい。記述の通り , 宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは , その内容を 37 条書面に記載しなければならない ( 同法 37 条 1 項 12 項 ) 。肢イの通り , 業者間取引 でも同様である。本肢も昨年本試験問 40 肢ェの焼き直しである。 以上より , ア及び工の二つが正しい内容であるから , 正解は 2 となる。 正解 3 業務上の規制・ 8 種制限 本問は宅建業の業務上の規制 , 業者が自ら売主となる場合の 8 種の制限等に関する問題である。 1 . 誤り。クーリング・オフが適用される事務所等以外の場所で買受けの申込みをした非業者の買 主は売主である業者からの書面による告知の日から起算して 8 日を経過するまでの間は契約を解 除することができる。クーリング・オフによる解除は必ず書面で行わなければならず , その書面 を発した時にその効力を生ずる。題意より , 非業者の買主 B は業者 A よりクーリング・オフにつ いて書面で告げられた日から 7 日目に契約解除の書面を発送しているから , 9 日目に A に到着し ても , クーリング・オフによる契約の解除をすることができる ( 宅地建物取引業法 37 条の 2 第 1 項・ 2 項 ) 。 2 . 誤り。このような規定はない。問 34 肢 2 の通り , 宅地建物取引業者は , 自ら売主となる宅地又 は建物の売買契約において , その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し , 目的物の引渡しの日か ら 2 年以上となる特約をする場合を除き , 民法に規定するものより非業者の買主に不利となる特 約をしてはならない。これに反する特約は無効となり , この場合は民法の規定が適用される ( 同 法 40 条 ) 。たとえ非業者の買主が当該建物を短期間で取り壊す予定であっても同様であり , 瑕疵 担保責任を負わない旨の特約を定めることはできない。 3 . 正しい。問 36 肢アの通り , 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約におい て損害賠償の予定額又は違約金を合算した額が代金の 10 分の 2 を超えることとなる定めをしては ならないが , この制限は宅地建物取引業者相互間の取引では適用されない ( 同法 38 条 1 項 , 78 条 2 項 ) 。よって , A は業者 D との間で損害賠償の予定額を代金の額の 30 % と定めることもできる。 4 . 誤り。肢 2 の通り , 宅地建物取引業者は , 自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において , その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し , 目的物の引渡しの日から 2 年以上となる特約をする 場合を除き , 民法に規定するものより非業者の買主に不利となる特約をしてはならず , これに反 する特約は無効となり , この場合は民法の規定が適用される ( 同法 40 条 ) 。題意より当該宅地の 引渡しが売買契約締結の日の 1 か月後であるのに瑕疵担保責任の期間を契約日から 2 年間とする ことは引渡しから 2 年未満となるから , 非業者の買主に不利な特約であるから無効となり , 定め 問 39 ることはできない。 不動産法律セミナー ーイ 6 ー 72 / 20 ノ 5

4. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 【問 35 】宅地建物取引業法の規定に関する次の記述のうち , 正しいものはどれか。 1 「宅地建物取引業者は , 取引の関係者に対し , 信義を旨とし , 誠実にその業務を行わなければ ならない」との規定があるが , 宅地建物取引士については , 規定はないものの , 公正かっ誠実に 宅地建物取引業法に定める事務を行うとともに , 宅地建物取引業に関連する業務に従事する者と の連携に努めなければならないものと解されている。 2 「宅地建物取引士は , 宅地建物取引業の業務に従事するときは , 宅地建物取引士の信用又は品 位を害するような行為をしてはならない」との規定がある。 3 「宅地建物取引士は , 宅地建物取引業を営む事務所において , 専ら宅地建物取引業に従事し , これに専念しなければならない」との規定がある。 4 「宅地建物取引業者は , その従業者に対し , その業務を適正に実施させるため , 必要な教育を 行うよう努めなければならない」との規定があり , 「宅地建物取引士は , 宅地又は建物の取引に 係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない」との規定がある。 【問 36 】宅地建物取引業者 A が , 自ら売主として , 宅地建物取引業者でない B との間で建物 ( 代 金 2 , 400 万円 ) の売買契約を締結する場合における次の記述のうち , 宅地建物取引業法の規定に よれば , 正しいものはいくつあるか。 ア A は , B との間における建物の売買契約において , 当事者の債務の不履行を理由とする契約の 解除に伴う損害賠償の予定額を 480 万円とし , かっ , 違約金の額を 240 万円とする特約を定めた。 この場合 , 当該特約は全体として無効となる。 イ A は , B との間における建物の売買契約の締結の際 , 原則として 480 万円を超える手付金を受 領することができない。ただし , あらかじめ B の承諾を得た場合に限り , 720 万円を限度として , 480 万円を超える手付金を受領することができる。 ウ A が B との間で締結する売買契約の目的物たる建物が未完成であり , A から B に所有権の移転 登記がなされていない場合において , 手付金の額が 120 万円以下であるときは , A は手付金の保 全措置を講じることなく手付金を受領することができる。 1 4 なし ノ 2 / 2 硼 5 ーノ 9 ー 不動産法律セミナー

5. 不動産法律セミナー 2015年12月号

/ ー政書士 3 保証契約の締結 Q . 保証債務が , 主債務の契約解除による原状回復義務にまで及ぶのか ? く解除に伴う原状回復義務の保証 > る一切の債務を保証する趣旨であると解すべきだからである。 は , 及ぶとしている ( 最判昭 40 ・ 6 ・ 30 ) 。契約当事者のための保証は , 契約当事者として負担す 問題となるのは , 保証債務が主債務の契約解除による原状回復義務にまで及ぶかであるが , 判例 べてに及ぶ ( 447 条 1 項 ) 。保証債務の内容は超広いということだ。 その効力は , 主債務のほか , 主債務に関する利息・違約金・損害賠償など , 主債務に従たるものす 保証債務の内容は , 特約のない限り , 保証債務の付従性と保証契約の内容によって決定されるが , 6 保証債務の内容 条 2 項 3 項 ) 。 場合を除き , 債権者は弁済の資力を有する者に代えることを債務者に請求することができる ( 450 ( 450 条 1 項 ) 。そして , 保証人が弁済の資力を有しなくなったときは , 債権者が保証人を指名した 務を負う場合 , 保証人は , ①行為能力者であること , ②弁済をする資力を有することが必要である 保証人の資格には , 原則として制限がない。もっとも , 例外として , 債務者が保証人を立てる義 保証人の資格等 趣旨である。 磁的記録によって行わなければならないと規定された ( 446 条 2 項・ 3 項 ) 。保証契約を慎重に行う また , 平成 16 年の民法改正により , 保証契約の締結は単なる合意だけでは足らず , 書面または電 はない。 あるいは第三者による詐欺の問題となるにすぎず , 当然に保証契約の有効性に影響を与えるわけで が他にも担保が存在するものと誤信したりしていた場合であっても , 動機の錯誤の問題 ( 95 条 ) また , 保証人が主債務者の委託を受けて保証する際 , 主債務者による詐欺が行われたり , 保証人 の意思に反して , 勝手に債権者との間で保証契約を締結することができる。 保証債務は , 債権者と保証人との間の保証契約によって成立するよって , 保証人は , 主債務者 A ( 売主 ) ①売買契約 B ( 買主 ) ( 物を受け取った ) ②解除 結論 理由 ノ 2 / 20 ノ 5 ③原状回復義務 ( 物を返す ) C ( 保証人 ) 保証人は , 買主 B の売買代金の支払いを保証するだけでなく , 解除した場合に生す る原状回復義務ス耳的物を返還する義務厂についても保証すゑまた , 目的物を返 還する義務が不可能になった場合には , 損害賠償義務が生じるが , その損害賠償義 務も保証人は負うことになる。 保証人 C は , 相手方 A に迷惑をかけないようにたてるものであるから , 解除によっ ーノ幻ー 不動産法律セミナー

6. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。本肢は昨年本試験問 37 でも出題さ れた過去頻出の基本事項であり , 依頼者の一方から受領できる報酬額上限がわかれば , 面倒な消 費税がらみの計算を経なくても違反することが判断できる内容である。 イ・違反しない。店舗用建物の貸借の媒介であるから , 権利金の授受があるものの媒介・代理に関 して受領することができる報酬は , その権利金 ( 権利設定の対価として支払われる金銭であって , ( 借主に ) 返還されないもの ) の額を売買代金とみなして , 売買の報酬の計算方法によることが できる。題意よりこの返還されない権利金が 500 万円であるから , 権利金の特則で ( 500 万円 x 3 % + 6 万円 ) xl. 08 = 22 万 6 , 800 円が , 依頼者の一方から受領できる消費税込み限度額となる。よ って , 貸主借主それぞれから 22 万 5 , 000 円を受領することは宅地建物取引業法に違反しない ( 同 告示第六 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。 ウ違反する。複数の宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受 けることのできる消費税込み報酬額の合計額は , 当該宅地又は建物の借賃の 1 か月分の 1.08 倍に 相当する金額以内であり , この場合において , 居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依 頼者の一方から受けることのできる報酬の額は , 当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者 の承諾を得ている場合を除き , 借賃の 1 月分の 0.54 倍に相当する金額すなわち 0.5 か月分以内であ る。したがって , 貸主及び借主の承諾を得ていても , AB 合計で借賃の 1.08 か月分までしか報酬 を受け取ることはできない。本肢の場合 , AB から受領した報酬額はこの上限を超えており , 宅 地建物取引業法に違反する ( 同告示第四 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え 以上より , ア及びウが違反する内容であり , 正解は 3 となる。 正解 3 業務上の規制・ 8 種制限 本問は宅建業の業務上の規制 , 業者が自ら売主となる場合の 8 種の制限等に関する問題である。 1 . 誤り。宅地建物取引業者は , 自己の所有に属しない宅地又は建物について , 自ら売主となる売 買契約 ( 予約を含む。 ) を締結してはならない。ただし , 当該宅地又は建物を取得する契約 ( 予 約を含み , その効力の発生が条件に係るものを除く。 ) を締結しているときその他宅地建物取引 業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合は売買契約を締結することができる。 題意より , AC 間の当該建物を取得する契約には契約の効力の発生に条件が付されているから , 業者 A は非業者 B と売買契約を締結してはならない ( 宅地建物取引業法 33 条の 2 第 1 号 ) 。「 8 種 制限」における他人物売買に係る頻出基本事項である。 2 . 誤り。宅地建物取引業者は , 自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において , その目的物の 瑕疵を担保すべき責任に関し , 目的物の引渡しの日から 2 年以上となる特約をする場合を除き , 民法に規定するものより非業者の買主に不利となる特約をしてはならない。これに反する特約は 無効となり , この場合は民法の規定が適用される ( 同法 40 条 ) 。記述の「建物の引渡しの日から 1 年間」は非業者である買主に不利な特約で無効となるから , 民法の原則通り , B は瑕疵の存在 を知ったときから 1 年以内であれば A に対して瑕疵担保責任を追及できる。引渡しの日から 2 年 間ではない ( 民法 570 条 ) 。本肢も過去頻出の基本事項である。 こで買受けの申込みをしているからクーリン 3 . 正しい。喫茶店は事務所等以外の場所であり , グ・オフ制度の対象となるが , 買受けの申込みをした者が当該宅地又は建物の引渡しを受け , か っ , その代金の全部を支払ったときはクーリング・オフによる契約の解除はできなくなる。題意 問 34 ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー

7. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 【問 39 】宅地建物取引業者 A が自ら売主となる売買契約に関する次の記述のうち , 宅地建物取引 業法 ( 以下この問において「法」という。 ) の規定によれば , 正しいものはどれか。 1 宅地建物取引業者でない買主 B が , 法第 37 条の 2 の規定に基づくクーリング・オフについて A より書面で告げられた日から 7 日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し , 9 日 目に A に到達した場合は , クーリング・オフによる契約の解除をすることができない。 2 宅地建物取引業者でない買主 C との間で土地付建物の売買契約を締結するに当たって , C が建 物を短期間使用後取り壊す予定である場合には , 建物についての瑕疵担保責任を負わない旨の特 約を定めることができる。 3 宅地建物取引業者 D との間で締結した建築工事完了前の建物の売買契約において , 当事者の債 務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を代金の額の 30 % と定めることがで きる。 4 宅地建物取引業者でない買主 E との間で締結した宅地の売買契約において , 当該宅地の引渡し を当該売買契約締結の日の 1 月後とし , 当該宅地の瑕疵を担保すべき責任を負う期間について , 当該売買契約を締結した日から 2 年間とする特約を定めることができる。 【問 40 】宅地建物取引業者 A が , 自ら売主として宅地建物取引業者でない買主 B との間で締結し た売買契約に関する次の記述のうち , 宅地建物取引業法の規定によれば , 正しいものはいくつあ るか。 ア A は , B との間で建築工事完了後の建物に係る売買契約 ( 代金 3 , 000 万円 ) において , 「 A が契 約の履行に着手するまでは , B は , 売買代金の 1 割を支払うことで契約の解除ができる」とする 特約を定め , B から手付金 10 万円を受領した。この場合 , この特約は有効である。 イ A は , B との間で建築工事完了前の建物に係る売買契約 ( 代金 3 , 000 万円 ) を締結するに当た り , 保険事業者との間において , 手付金等について保証保険契約を締結して , 手付金 300 万円を 受領し , 後日保険証券を B に交付した。 ウ A は , B との間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約 ( 代金 3 , 000 万円 ) を締結し , その際に手付金 150 万円を , 建築工事完了後 , 引渡し及び所有権の登記までの間に , 中間金 150 万 円を受領したが , 合計額が代金の 10 分の 1 以下であるので保全措置を講じなかった。 1 - 一つ 4 なし ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー

8. 不動産法律セミナー 2015年12月号

より , B は既に当該建物の引渡しを受けているが , 引渡日から 3 日後では残代金は未だ支払われ ていないから , クーリング・オフが可能である。よって , A は契約の解除を拒むことはできない ( 宅地建物取引業法 37 条の 2 第 1 項 2 号 ) 。 4 . 誤り。宅地建物取引業者でない買主がクーリング・オフ期間内に契約解除を申し出た場合 , 売 主である業者は速やかに , 買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金 銭を返還しなければならない。支払われた手付金及び中間金の返還を拒むことはできず , これに 反する特約で申込者等に不利なものは無効となる ( 同法 37 条の 2 第 3 項 , 4 項 ) 。本肢の特約は 業者 A に損害賠償請求を認めるもので , 非業者 B に不利なものとして無効である。 正解 4 宅建業者・宅建士の責務 , 業務処理の原則 本問は法改正で追加された宅建業者及び宅地建物取引士の責務 , 業務処理の原則等に関する問題 である。 1 . 誤り。宅地建物取引士は , 宅地建物取引業の業務に従事するときは , 宅地又は建物の取引の専 門家として , 購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう , 公正かっ誠実 に宅建業法に定める事務を行うとともに , 宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携 に努めなければならない ( 宅地建物取引業法 15 条 ) 。今回の法改正で業務処理の原則として規定 されている。また , 宅地建物取引業者は , 取引の関係者に対し , 信義を旨とし , 誠実にその業務 を行わなければならないものとされており , 前半の記述は正しい ( 同法 31 条 1 項 ) 。 2 . 誤り。宅地建物取引士は , 宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならな い ( 同法 15 条の 2 ) 。今回追加された宅地建物取引士の信用失墜行為の禁止に係る規定である。 宅地建物取引士としての職業倫理に反する行為を禁止するものであり , 職務として行れるものに 限らず , 職務に必すしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。「宅地建物取引業の業務 に従事するとき」に限られない ( 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。 3 . 誤り。このような規定はない。なお , 事務所等に置くべき成年専任の宅地建物取引士について 「専任」とは , 原則として宅建業の事務所に常勤して専ら宅建業に従事する状態をいうものとさ れている ( 同法 31 条の 3 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。 4 . 正しい。宅地建物取引業者は , その従業者に対し , その業務を適正に実施させるため , 必要な 教育を行うよう努めなければならない ( 同法 31 条の 2 ) 。また , 宅地建物取引士は , 宅地又は建 物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない ( 同法 15 条の 3 ) 。 己述の通り , 法改正で追加された規定である。 正解 1 業務上の規制・ 8 種制限 本問は宅建業の業務上の規制 , 業者が自ら売主となる場合の 8 種の制限等に関する問題である。 ア . 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約においては損害賠償の予定 額又は違約金を合算した額が代金の 10 分の 2 を超えることとなる定めをしてはならず , これに反 する特約は , 代金の額の 10 分の 2 を超える部分について無効となる。売買代金は 2 , 400 万円であ るから損賠賠償の予定額と違約金を合算した額は 480 万円となり , 240 万円について無効となる。 すべて無効となるのではない ( 宅地建物取引業法 38 条 1 項 , 2 項 ) 。平成 24 年本試験問 38 の焼直 し出題であり過去頻出の基本事項である。 イ . 誤り。このような規定はない。宅地建物取引業者は , 自ら売主となる宅地又は建物の売買契約 ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー 問 35 一三ロ 問 36

9. 不動産法律セミナー 2015年12月号

【問 33 】宅地建物取引業者 A 及び B ( ともに消費税課税事業者 ) が受領した報酬に関する次の記 述のうち , 宅地建物取引業法の規定に違反するものの組合せはどれか。なお , この問において 「消費税等相当額」とは , 消費税額及び地方消費税額に相当する金額をいうものとする。 ア土地付新築住宅 ( 代金 3 , 000 万円。消費税等相当額を含まない。 ) の売買について , A は売主か ら代理を , B は買主から媒介を依頼され , A は売主から 207 万 3 , 600 円を , B は買主から 103 万 6 , 800 円を報酬として受領した。 イ A は , 店舖用建物について , 貸主と借主双方から媒介を依頼され , 借賃 1 か月分 20 万円 ( 消費 税等相当額を含まない。 ) , 権利金 500 万円 ( 権利設定の対価として支払われる金銭であって返還 されないもので , 消費税等相当額を含まない。 ) の賃貸借契約を成立させ , 貸主と借主からそれ ぞれ 22 万 5 , 000 円を報酬として受領した。 ウ居住用建物 ( 借賃 1 か月分 10 万円 ) について , A は貸主から媒介を依頼され , B は借主から媒 介を依頼され , A は貸主から 8 万円 , B は借主から 5 万 4 , 000 円を報酬として受領した。なお , A は , 媒介の依頼を受けるに当たって , 報酬が借賃の 0.54 か月分を超えることについて貸主から 承諾を得ていた。 2 3 4 【問 イ , ア , ア , ウ ウ イ , ウ 34 】宅地建物取引業者 A が , 自ら売主として , 宅地建物取引業者でない B との間で建物の売 買契約を締結する場合における次の記述のうち , 民法及び宅地建物取引業法の規定によれば , 正 しいものはどれか。 1 C が建物の所有権を有している場合 , A は B との間で当該建物の売買契約を締結してはならな い。ただし , A が C との間で , すでに当該建物を取得する契約 ( 当該建物を取得する契約の効力 の発生に一定の条件が付されている。 ) を締結している場合は , この限りではない。 2 A は , B との間における建物の売買契約において , 「 A が B に対して瑕疵担保責任を負う期間 は , 建物の引渡しの日から 1 年間とする」旨の特約を付した。この場合 , 当該特約は無効となり , B が A に対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は , 当該建物の引渡しの日から 2 年間 となる。 3 A は , B から喫茶店で建物の買受けの申込みを受け , 翌日 , 同じ喫茶店で当該建物の売買契約 を締結した際に , その場で契約代金の 2 割を受領するとともに , 残代金は 5 日後に決済すること とした。契約を締結した日の翌日 , A は B に当該建物を引き渡したが , 引渡日から 3 日後に B か ら宅地建物取引業法第 37 条の 2 の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除が書面によっ て通知された。この場合 , A は , 契約の解除を拒むことができない。 4 AB 間の建物の売買契約における「宅地建物取引業法第 37 条の 2 の規定に基づくクーリング・ オフによる契約の解除の際に , A から B に対して損害賠償を請求することができる」旨の特約は 有効である。 不動産法律セミナー ーノ 8 ー ノ 2 / 2075

10. 不動産法律セミナー 2015年12月号

【問 28 】宅地建物取引業者 A が行う業務に関する次の記述のうち , 宅地建物取引業法 ( 以下この 問において「法」という。 ) の規定によれば , 正しいものはいくつあるか。 ア A は , B が所有する甲宅地の売却に係る媒介の依頼を受け , B と専任媒介契約を締結した。 のとき , A は , 法第 34 条の 2 第 1 項に規定する書面に記名押印し , B に交付のうえ , 宅地建物取 引士をしてその内容を説明させなければならない。 イ A は , C が所有する乙アパートの売却に係る媒介の依頼を受け , C と専任媒介契約を締結した。 このとき , A は , 乙アパートの所在 , 規模 , 形質 , 売買すべき価額 , 依頼者の氏名 , 都市計画法 その他の法令に基づく制限で主要なものを指定流通穣構に登録しなければならない。 ウ A は , D が所有する丙宅地の貸借に係る媒介の依頼を受け , D と専任媒介契約を締結した。 のとき , A は , D に法第 34 条の 2 第 1 項に規定する書面を交付しなければならない。 1 ーっ 4 なし 【問 29 】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第 35 条に規定する重要事項の説明及び書面の 交付に関する次の記述のうち , 正しいものはどれか。 1 宅地建物取引業者ではない売主に対しては , 買主に対してと同様に , 宅地建物取引士をして , 契約締結時までに重要事項を記載した書面を交付して , その説明をさせなければならない。 2 重要事項の説明及び書面の交付は , 取引の相手方の自宅又は勤務する場所等 , 宅地建物取引業 者の事務所以外の場所において行うことができる。 3 宅地建物取引業者が代理人として売買契約を締結し , 建物の購入を行う場合は , 代理を依頼し た者に対して重要事項の説明をする必要はない。 4 重要事項の説明を行う宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなくてもよいが , 書面に記名 押印する宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなければならない。 【問 30 】宅地建物取引業者 A は , B が所有する宅地の売却を依頼され , 専任媒介契約を締結した。 この場合における次の記述のうち , 宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。 ア A は , B が宅地建物取引業者であったので , 宅地建物取引業法第 34 条の 2 第 1 項に規定する書 面を作成しなかった。 イ A は , B の要望により , 指定流通機構に当該宅地を登録しない旨の特約をし , 指定流通機構に 登録しなかった。 ウ A は , 短期間で売買契約を成立させることができると判断したので指定流通機構に登録せす , 専任媒介契約締結の日の 9 日後に当該売買契約を成立させた。 ェ 1 4 A は , 当該契約に係る業務の処理状況の報告日を毎週金曜日とする旨の特約をした。 四つ 一一つ 不動産法律セミナー ーノ 6 ー ノ 2 / 2 硼 5