司法書士 ー誤り。 した権能を有していた。 大日本帝国憲法は , 衆議院と貴族院の二院制を採用し , 一定事項につき , 衆議院が優越 立場に適合するが , 正当制の契機を重視する立場からも , 代表民主制に反しない限度において許 制に結びつく。したがって , 国民投票制度という直接民主制的な制度は , 権力的契機を重視する 国民に存するという意味に捉え , 「国民」 = 有権者に限らず「全国民」であると解し , 代表民主 びつく。正当性の契機を重視する立場は , 国民主権の意味を , 国家権力の正当性の究極の根拠が を国民自身が行使するという意味に捉え , 「国民」 = 「有権者」であると解し , 直接民主制に結 権力的契機を重視する立場は , 国民主権の意味を , 国の政治のあり方を最終的に決定する権力 誤り。 いて , 権力的契機を重視する立場からは合憲 , 正当性の契機を重視する立場からは違憲となる。 問題日本国憲法の下で , 法律に基づき国民投票制度を採用することは , 国民主権の意味につ いる。 いての最高決定権に該当するといえる。したがって , ②の意味に該当するのであり本問は誤って ることを宣言し , この憲法を確定する。」の「主権」は , 国家が有する支配権ではなく国政につ 威のことを意味する。 ) の意味があり , 日本国憲法前文第 1 段の「ここに『主権』が国民に存す す意味である。 ) , ③国政についての最高決定権 ( 国の政治のあり方を最終的に決定するカ又は権 属性としての最高独立性 ( 国家権力が他のいかなる力にも制約されず , 最高独立であることを示 示すもので , 立法権・行政権・司法権を総称する統治権とほば同じ意味である。 ) , ②国家権力の 主権の概念は , 多義的であるが , 一般に①国家権力そのもの ( 国家が有する支配権を包括的に ー誤り。 することを宣言し , この憲法を確定する。」の「主権」は①の意味に該当する。 国政についての最高決定権の意味があり , 日本国憲法前文第 1 段の「ここに『主権』が国民に存 →主権の概念は , 一般に①国家権力そのもの , ②国家権力の属性としての最高独立性 , ③ く国民主権〉 判所など司法権外の特別裁判所の存在を認めていた ( 60 条 ) 。したがって , 本問は正しい。 大日本帝国憲法では , 司法権は民事・刑事裁判に権限が限定され , 行政事件を管轄する行政裁 ー正しい。 問題・大日本帝国憲法では , 司法権は民事・刑事裁判に権限が限定されていた。 務大臣については明文の規定があった ( 55 条 ) 。したがって , 本問は誤っている。 大日本帝国憲法は , 内閣に関する明文の規定はなく , 内閣は憲法上の制度ではなかったが , 国 ー誤り。 存在しなかった。 大日本帝国憲法では , 内閣は憲法上の制度ではなく , 国務大臣についても明文の規定は → 越した権能を有していなかったので本問は誤っている。 の権能を持ち , 衆議院を抑制する役割を果たしていた。したがって , 衆議院は貴族院に対して優 大日本帝国憲法は , 衆議院と貴族院の二院制を採用し , 非公選の貴族院が公選の衆議院と同等 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー
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憲法総論 く憲法の意義〉 →憲法の概念は , 形式的意味の憲法と実質的意味の憲法に分類され , 更に , 実質的意味の 憲法は , 固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法に分類され , 固有の意味の憲法は , のいかなる国家にも存在し得る。 正しい。 いかなる時代 と ) という限定があるものの , 不完全ながら言論の自由を保障していたといえる。したがって , する」と規定しており , 法律の留保 ( 法律によりさえすれば , 国民の権利・自由を制限できるこ 大日本帝国憲法 29 条は「日本臣民は法律の範囲内に於て言論著作印行集会及び結社の自由を有 誤り。 →大日本帝国憲法は , 言論の自由を一切保障していなかった。 く大日本帝国憲法〉 は正しい。 ( 81 条 ) を規定していることから , 法の支配の原理を採用しているといえる。したがって , 本問 公正を要求する適正手続 ( 31 条 ) , ④権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割の重視 法規性の承認 ( 98 条 1 項 ) , ②権力によって侵されない個人の人権 ( 97 条 ) , ③法の内容・手続の って , 国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理である。日本国憲法は , ①憲法の最高 法の支配とは , 専断的な国家権力の支配 ( 人の支配 ) を排斥し , 権力を法で拘東することによ ー正しい。 日本国憲法は , 法の支配の原理を採用しているといえる。 → である旨を規定している。したがって , 本問は誤っている。 こと ) であるが , 日本国憲法は , 「最高法規」の章を設け ( 第 10 章 ) , 98 条 1 項で憲法が最高法規 家権力を制限する基礎法 ) , ③最高規範 ( 憲法が , 国法秩序において最も強い形式的効力を持っ 近代憲法のもっ特質は , ①自由の基礎法 ( 憲法が人権保障の基礎法 ) , ②制限規範 ( 憲法が国 誤り。 法は最高法規について明文では規定していない。 ー近代憲法のもっ特質は , ①自由の基礎法 , ②制限規範 , ③最高法規であるが , 日本国憲 在するわけではない。したがって , 本問は正しい。 立憲主義の思想に基づく憲法である。かかる意味の憲法は , いかなる時代のいかなる国家にも存 味の憲法がある。市民革命期に主張され , 専断的な権力を制限して国民の権利を保障するという かなる国家にも存在する。更に , ②自由主義に基づいて定められた国家の基礎法である立憲的意 互の関係を規律する規範が , 固有の意味の憲法である。かかる意味の憲法は , いかなる時代のい でも , 必ず政治権力とそれを行使する機関が存在しており , この機関 , 権力の組織と作用及び相 定めた法としての憲法がある ( 固有の意味の憲法 ) 。国家はいかなる社会・経済構造をとる場合 特定の内容を持っ実質的意味の憲法に分類される。実質的意味の憲法は , ①国家の統治の基本を 憲法の概念は多義的であり , まず , 形式的意味の憲法 ( 憲法という名前の成文の法典 ) とある 本問は誤っている。 不動産法律セミナー ノ 2 / 20 ノ 5
司法書士 本問は正しい。 最高裁は , 自衛隊の合憲性について , 未だ判示したことはない。 ー正しい。 自衛隊の合憲性については , 裁判でも何回か争われ ( 恵庭事件 , 長沼事件 , 百里基地事件な 人権の固有性とは , 人権は , 人間であることにより当然に有するとされる権利であり , 決して 誤り。 の基本的人権の享有を妨げられない」と規定しているのは , 不可侵性の現れである。 →人権には , 固有性 , 不可侵性 , 普遍性という性質があり , 憲法 11 条の「国民は , すべて く人権の意義〉 人権 未だ判示したことはない。したがって , 本問は正しい。 ど ) , 下級審レベルでは違憲判決が下されたこともあるが , 最高裁は , 自衛隊の合憲性に つし、て , る。 る権利 ( 32 条 ) , 刑事補償請求権 ( 40 条 ) が , 明文で保障されている。したがって , 本問は正し 日本国憲法では , 請願権 ( 16 条 ) , 国及び公共団体に対する損害賠償請求権 ( 17 条 ) , 裁判を受け 受益権 ( 国務請求権 ) とは , 国民が国家に対して裁判等の一定の行為を要求する権利であり , ー正しい。 裁判を受ける権利は受益権に該当する。 問題日本国憲法が明文で保障する人権を , 自由権・社会権・受益権・参政権に分類したとき , の通説的見解である。したがって , 本問は正しい。 ないし国務請求権としての性質をも有しており , 複合的性質を有する権利であるとするのが現在 自由権としての側面のみならず , 積極的に情報の公開を求める ( 情報公開請求権 ) という社会権 知る権利は , 表現の自由の保障から導き出される情報の受領を妨げられない権利という精神的 正しい。 知る権利は , 精神的自由権だけでなく社会権ないし国務請求権としての性格を有してい いる。 がって , 本問は , 人権の「普遍性」の現れとすべきところを「不可侵性」としている点で誤って 「国民は , すべての基本的人権の享有を妨げられない」としているのは , その現れである。した るというただそれだけで , 広く普遍的に享有できる権利であるという考え方であり , 憲法 11 条が その現れである。人権の普遍性とは , 人権は , 人種 , 性 , 身分などの区別に関係なく , 人間であ 考え方であり , 憲法 11 条及び 97 条が人権を「侵すことのできない永久の権利」としているのは , である。人権の不可侵性とは , 人権は , 原則として , 公権力によって侵されることはないという 権を「現在及び将来の国民に与へられる」「信託されたものである」としているのは , その現れ 憲法や天皇から恩恵として与えられるものではないという考え方であり , 憲法 11 条及び 97 条が人 ノ 2 / 20 ノ 5 ー 95 ー 不動産法律セミナー
→裁判所法 52 条 1 号による , 裁判官の積極的な政治活動の禁止は , 憲法 21 条に反しない。 正しい。 寺西裁判官事件 ( 最判平成 10 ・ 12 ・ 1 ) は , 「 ( 裁判所法 52 条 1 号が , ) 裁判官の独立及び公正 を確保し , 裁判に対する国民の信頼を維持するとともに , 三権分立主義の下における司法と立法 , 行政とのあるべき関係を規律するという立法目的のため , 裁判官が ( 積極的に ) 政治活動をする ことを禁止しても , 合理的関連性があり憲法 21 条に反しない」と判示しているので , 本問は正し 未決拘留者の監獄内での閲読の自由を一律に制限することも , 監獄の規律及び秩序の維 持の観点から認められる。 誤り。 よど号ハイジャック新聞記事抹消事件 ( 最判昭和 58 ・ 6 ・ 22 ) は , 「未決拘留者において , 監 獄の規律及び秩序の維持上 , 放置することのできない程度の障害を生ずる相当の蓋然性があると 認められる場合には , その障害発生の防止のため必要かっ合理的な範囲内において , 閲読の自由 を制限することができる」と判示しているので , 一律に制限することができるとする点で本問は 誤っている。 く人権保障の限界〉 →人権の制約根拠についての学説は , ①一元的外在制約説 , ②内在・外在二元的制約説 , ③一元的内在制約説があるが , 憲法 13 条に法的意義を認めず倫理的な規定であるとしてしまうと , 新しい人権を基礎づける包括的な人権条項と解釈できなくなってしまうと , 批判されるのは③説 である 誤り。 人権の一元的外在制約説は , 憲法 12 条 , 13 条の「公共の福祉」は , 人権の外にあってそれを制 約できる一般的原理であり , 憲法 22 条 , 29 条の「公共の福祉」は特別の意味をもたないとする見 解である。この見解は , 「公共の福祉」の意味を「公益」とか「公共の安寧秩序」という抽象的 な最高概念と捉えるが , 法律による人権制限が容易に肯定され , 大日本帝国憲法における「法律 の留保」と同じことになると , 批判される。人権の内在・外在二元的制約説は , 「公共の福祉」 による「人権制約」 ( 外在的制約 ) が認められるのは , その旨が明文で規定されている経済的自 由権 ( 憲法 22 条 , 29 条 ) に限られ , 憲法 13 条の「公共の福祉」は , 人権制約の根拠とならす , 経 済的自由権等以外の自由権は , 内在的制約に服するにすぎないとする見解である。この見解は , 「公共の福祉」の概念を国の政策的考慮に基づく公益という意味に限定して考えるのは適切でな い , 憲法 13 条に法的意義を認めず , 倫理的な規定であるとしてしまうと , 新しい人権を基礎づけ る包括的な人権条項と解釈できなくなってしまうと , 批判される。人権の一元的内在制約説は , 「公共の福祉」とは , 人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理であり , この意 味での「公共の福祉」は , 憲法規定にかかわらず , すべての人権に必然的に内在しているもので あるとする見解である。この説は , 内在的制約の意味が明確を欠くことから , 実質的には一元的 外在制約説と変わらないと , 批判される。したがって , 本問の批判は , ②内在・外在二元的制約 説に当てはまるのであり , 本問は誤っている。 0 : 一 ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー
[ 22 ー 48 ーウ ] 上記のとおりですね。よって , 本肢は , 「妥当である」となりますね。 カ内閣官房・内閣府 内閣官房も内閣府も , ともに内閣に置か れる行政機関です ( 内閣法 12 条 1 項 , 内閣 府設置法 2 条 ) 。 もっとも。内閣官房は , 内閣の補助機関 であり , かっ , 内閣の首長としての内閣総 理大臣の職務を直接に補佐する機能を担う 機関です ( 同条 2 項 ~ 4 項参照 ) 。これに 対し , 内閣府は , 内閣総理大臣を長とする 行政機関であり , ①内閣の重要政策に関す る内閣の事務を助けること , ②内閣総理大 臣が政府全体の見地から管理することがふ さわしい行政事務の円滑な遂行を図ること などを任務としています ( 同法 3 条 1 項 2 項 ) 。そして , 内閣府は , ①の任務を遂行 するに当たり , 内閣官房を助けなければな りません ( 同条 3 項 ) 。 それでは , この知識によって , 次の問題を解 機関を拘束するものではない。 0 いてみましよう。 0 府です。よって , 本肢は , 「妥当でない」と あり , その総合戦略機能を助ける機関が内閣 果たすものとされている」機関は内閣官房で り , 内閣の重要政策に関する総合戦略機能を 同時に内閣総理大臣を直接補佐する組織であ 上記のとおり , 「内閣の補助機関であると [ 22 ー 48 ーエ ] のとされている。 の重要政策に関する総合戦略機能を果たすも 閣総理大臣を直接補佐する組織であり , 内閣 内閣府は , 内閣の補助機関であると同時に内 不動産法律セミナー なりますね。 司法権 (1) 司法権の帰属 憲法 76 条 1 項は , 「すべて司法権は , 最 高裁判所及び法律の定めるところにより設 置する下級裁判所に属する。」と規定し , 司法権が裁判所に帰属することを明らかに しています。 ( 2 ) 裁判所 ア裁判所とは 裁判所とは , 司法権を担当する国家機関 をいいます。裁判所は , 司法権に基づいて 裁判を行います。 イ裁判所の種類 最高裁判所と下級裁判所に分けられます。 ( ア ) 最高裁判所 最高裁判所は , 最高裁判所長官 1 人 及び最高裁判所判事 14 名で構成され ( 憲法 79 条 1 項 , 裁判所法 5 条 1 項 3 項 ) , 長官は , 内閣の指名に基づいて 天皇が任命し ( 憲法 6 条 2 項 ) , その 他の判事は , 内閣が任命します ( 同法 79 条 1 項 ) 。 大法廷は 15 人全員 , 小法廷は 5 名の 合議体で審理を行います。 ( イ ) 下級裁判所 下級裁判所は , ①高等裁判所 , ②地 方裁判所 , ③簡易裁判所 , ④家庭裁判 所とされています ( 裁判所法 2 条 1 項 ) 。 ウ裁判所の審級制度 72 / 2 硼 5 採っています。通常は , 第 1 審が地方裁判 3 回までの審理を受けられるという制度を 判所を設け , 当事者が望めば , 原則として , 第 1 審・第 2 審・第 3 審の三つの審級の裁 ために , わが国では , 三審制度 , すなわち , が入るおそれがあります。その誤りを正す るため ( 自由裁量主義 ) , その判断に誤り ついては , 裁判官の自由な判断に委ねられ て行われますが , 事実認定及び証拠評価に 裁判所の行う裁判は , 法と証拠に基づい
司法書士 することは , 組合の統制権の限界を超えるものとして , 違法である。」と判示しているので , 処 分までも組合の統制権で許容されるとする本問は誤っている。なお , 判例は , 八幡製鉄事件 ( 最 判昭和 45 ・ 6 ・ 24 ) で法人の人権享有主体性を認めているが , 本判決は , 法人と個人の相互の人 権の対立が問題となっている。 →司法書士会は , 強制加入団体であるから , 阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法 書士会に復興支援拠出金を送るために , 会員全員から復興支援特別負担金の徴収を行う旨の総会 決議は , 違法である。 誤り。 群馬司法書士会事件 ( 最判平成 14 ・ 4 ・ 25 ) は , 「司法書士会の活動範囲には , その目的を遂 行する上で直接又は間接に必要な範囲で , 他の司法書士会との間で業務その他について提携 , 協 カ , 援助等をすることも含まれるのであって , 大規模な自然災害により被災した地域の司法書士 会に復興支援拠出金を寄付するために特別に負担金を徴収することは , 権利能力の範囲内であり , 同会がいわゆる強制加入団体であることを考慮しても , 公序良俗に反するなど会員の協力義務を 否定すべき特段の事情がある場合を除き , 多数決原理に基づき自ら決定することができる。」と 判示しているので , 総会決議を違法とする本問は誤っている。なお , 本判決は , 強制加入団体で ある法人と個人の相互の人権の対立が問題となっている。強制加入団体の決議を無効とした判決 として , 南九州税理士会事件 ( 最判平成 8 ・ 3 ・ 19 ) がある。 く人権の妥当範囲 ( 私人間 , 公務員 , 在監者 ) 〉 →判例は , 人権の私人間効力について , 間接適用説に立っているといえるが , 憲法の人権 規定の中には , 直接私人間にも適用されるものがある。 正しい。 間接適用説とは , 自由権ないし平等権等の人権については , 民法 90 条や 709 条のような私法の 一般条項に , 憲法の人権規定の趣旨を取り込んで解釈・適用することにより , 間接的に私人間の 行為を規律すべきとする見解であり , 判例も同見解を採用していると考えられる ( 三菱樹脂事件 , 日産自動車事件など ) 。しかし , 間接適用説にたっても , 憲法の人権規定の趣旨・目的ないし法 文から , 直接的に私法的効力をもつ人権規定については , 直接私人間にも適用される。例として , 投票の秘密 ( 15 条 4 項 ) , 奴隷的拘東の禁止・苦役からの自由 ( 18 条 ) , 児童の酷使の禁止 ( 27 条 3 項 ) , 労働基本権 ( 28 条 ) があげられる。したがって , 本問は正しい。 入会権者の資格を , 一定の時点に部落民であった者の男子孫に限定する入会団体の慣習 は , 入会団体の団体としての統制の維持という点から合理性が無いとはいえず , 違法ではない。 誤り。 最判平成 18 ・ 3 ・ 17 は , 「入会権者の資格を , 一定の時点に部落民であった者の男子孫に限定 する入会団体の慣習は , 入会団体の団体としての統制の維持という点からも , 入会権の行使にお ける各世帯間の平等という点からも合理性を有しておらず , 男女の本質的平等を定める日本国憲 法の基本的理念に照らし , 入会権を別異に取り扱うべき合理的理由はないから , 性別のみによる 不合理な差別として民法 90 条の規定により無効である。」と判示しているので , 本問は誤ってい る。 72 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー
行政書士 6 0 ① 一般知識第 ステップアップ学習 東京法経学院講師笠原裕明 基礎から過去問へ無理なくステップアップ 前回は , 「 lesson3 各国の政治制度」まで お話をしましたね。今回は , 「 lesson 3 一補 日本の政治・司法制度」からお話を続けましょ essom 日本の政治・司法制度 総説 日本の政治・司法制度は , 立法権 , 行政権 , 司法権という権能を国会 , 内閣 , 裁判所という 機関に配分する権力分立制と , 国民の代表者で 構成される議会を通じて国民の意思を政治に反 映する議会制民主主義を特徴としています。 2 立法権 ( 1) 立法権の帰属 憲法 41 条は , 「国会は国権の最高機関で あって , 国の唯一の立法機関である。」と 規定し , 立法権を国会に帰属させることを 明らかにしています。 ( 2 ) 国会 ア国会とは 国会とは , 選挙を通じて選出された国会 議員で組織され , 国民の意思を政治に反映 する合議制の国家機関をいいます。 ノ 2 / 20 ノ 5 イ国会の構成 国会は , 衆議院及び参議院の二院で構成 されます ( 憲法 42 条 ) 。 衆議院及び参議院の任期等は , 次のとお りです。 任期 定数 ( 3 ) 法律の制定 ア議案の提出 法 41 条 ) ことから , 参議院 6 年 ※ 3 年ごとに半数改 選 242 名 ( 選挙区選出 議員 146 名 , 比例代 表選出議員 96 名 ) 国会は , 国の唯一の立法機関である ( 憲 その構成員である国会 出議員 180 名 ) 名 , 比例代表選 区選出議員 295 475 名 ( 小選挙 ※解散あり 4 年 衆議院 一月 3 ー 議員には , 当然法律案を発議する権利があ ると解されています。なお , 法律案を発議 する権利が濫用されないようにするため , 国会法 56 条 1 項は , 国会議員が法律案を発 議するには , 衆議院においては 20 人以上 , 参議院においては 10 人以上の賛成を要し , 予算を伴う法律案を発議するには , 衆議院 においては 50 人以上 , 参議院においては 20 人以上の賛成を要すると規定している点に 不動産法律セミナー
司法書士 二重の基準の理論とは , ①精神的自由を規制する立法の合憲性は , 厳しい基準によって →憲法 13 条の規定する幸福追求権の意義については , ①一般的行為自由説と②人格的利益 く包括的基本権〉 判示し , 結論として , 公安条例を合憲とした。したがって , 本問は誤っている。 るかどうかの判断を可能ならしめる基準が読みとれるかどうかによって決定すべきである。」と 常の判断能力を有する一般人の理解において , 具体的場合に当該行為がその適用を受ける者であ それ故 , ある刑罰法規が曖昧不明確のゆえに憲法 31 条に反するものと認めるべきかどうかは , 通 は公共団体の機関の主観的判断に委ねられて恣意に流れる等 , 重大な弊害を生ずるからである。 の対象となる行為をあらかじめ告知する機能を果たさず , また , その運用がこれを適用する国又 行為とを識別するための基準を示すところがなく , そのためその適用を受ける国民に対して刑罰 されるのは , その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して , 禁止される行為とそうでない かしながら , およそ刑罰法規の定める犯罪構成要件が曖昧不明確ゆえに憲法 31 条に違反し無効と で , いかなる作為・不作為を命じているのかその義務内容が具体的に明らかにされていない。し う規定は , その文言だけからすれば , 単に抽象的に交通秩序を維持すべきことを命じているだけ 徳島市公安条例事件 ( 最判昭和 50 ・ 9 ・ 10 ) は , 「本条例の『交通秩序を維持すること』とい 誤り。 反する。 →公安条例の「交通秩序を維持すること」という文言は , 曖昧不明確であり , 憲法 31 条に たと考えられている。したがって , 採用されたことがないとする点で本問は誤っている。 ( 最判昭和 47 ・ 11 ・ 22 ) , 薬事法違憲判決 ( 最判昭和 50 ・ 4 ・ 30 ) は , 二重の基準の理論を採用し 二重の基準の理論の内容は , 問題文の通りである。最高裁の判例でも , 小売市場距離制限事件 誤り。 審査するという考え方であるが , 最高裁の判例では採用されたことがない。 審査し , ②経済活動の自由を規制する立法の合憲性は , 立法府の裁量を尊重して緩やかな基準で プライバシーの権利 , 肖像権 , 環境権 , 日照権 , あることから , 新しい人権を認めるのに慎重・制約的な立場を採る。したがって , 本問は正しい。 は , 幸福追求権を根拠に , 個人の人格的生存に不可欠な利益のみを人権として保障する考え方で え方であることから , 新しい人権を認めるのに積極的な立場を採る。それに対し , 人格的利益説 一般的行為自由説は , 幸福追求権を根拠に , 人の一般的な様々な行為を人権として保障する考 説の 2 つの見解があるが , 幸福追求権を根拠に新しい人権を認めることに制約的なのは , ②説で →これまで , 裁判で , 憲法 13 条を根拠に , 正しい。 ある。 という表現は直接的ではないものの , 最高裁は , 肖像権を憲法上の権利として認めていると考え 撮影することは , 本条 ( 憲法 13 条 ) の趣旨に反し , 許されない」と判示していることから , 趣旨 京都府学連デモ事件 ( 最判昭和 44 ・ 12 ・ 24 ) は , 「警察官が , 正当な理由なく個人の容貌等を 誤り。 ものは , 存在しない。 平和的生存権など新しい人権として主張された権利は多数にのばるが , 最高裁が正面から認めた ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー
られる。したがって , 本問は誤っている。なお , 民法 709 条 ( 不法行為責任 ) を根拠に認められ た「権利又は法律上保護される利益」としての , プライバシー権や人格権は , 私人間への憲法 13 条の間接適用の事例として憲法判例として扱われるケースが多いので , それらを憲法上保障され る人権と混同しないように注意すること。 →外国国賓講演会への出席希望者をあらかじめ把握するため , 大学が学生に提供を求めた 学籍番号 , 氏名 , 住所及び電話番号は , 秘匿されるべき必要性が必すしも高いものではないから , 本人の同意を得なくとも , それらの情報を警察に開示した大学の行為は許容される。 誤り。 江沢民早大講演会訴訟 ( 最判平成 15 ・ 9 ・ 12 ) は , 「重要な外国国賓講演会への出席希望者を あらかじめ把握するため , 大学が学生に提供を求めた学籍番号 , 氏名 , 住所及び電話番号は , 秘 匿されるべき必要性が必ずしも高いものではないにせよ , プライバシーに係る情報として法的保 護に値し , 本人の意思に基づかずにみだりにこれを他者に開示することは許されず , 無断でそれ らの個人情報を警察に開示した大学の行為は , プライバシーを侵害するものとして不法行為を構 成する。」と判示している。したがって , 大学の行為は許容されるとしている点で本問は誤って いる。 住民基本台帳ネットワークによって管理 , 利用等される本人確認情報は個人の内面に関 わるような秘匿性の高い情報ではないが , 本人の同意を得すに , 行政機関が住基ネットにより住 民の本人確認情報を管理 , 利用する行為等は , 何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示 又は公表されない自由を侵害する。 誤り。 住基ネット訴訟 ( 最判平成 20 ・ 3 ・ 6 ) は , 「個人の私生活上の自由の一つとして , 何人も個 人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するが , 住民基本台帳ネット ワークによって管理 , 利用等される本人確認情報は個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報 ではなく , それが法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して開示又は公表 される具体的な危険がないので , 行政機関が住基ネットにより住民の本人確認情報を管理 , 利用 等する行為は , 当該個人がこれに同意していないとしても , 右の自由を侵害するものではない。」 と判示している。したがって , 「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自 由」を侵害するとしている点で本問は誤っている。 患者が , 輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして , 輸血を伴う医療行為 を拒否するとの明確な意思を有している場合 , このような意思決定をする権利は人格権の一内容 として尊重されなければならないが , 医師が , 輸血の可能性のある手術を患者に説明しないまま 施行し輸血をしただけでは , 不法行為責任は成立しない。 誤り。 ェホバの証人輸血事件 ( 最判平成 12 ・ 2 ・ 29 ) は , 「患者が , 輸血を受けることは自己の宗教 上の信念に反するとして , 輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意思を有している場合 , のような意思決定をする権利は人格権の一内容として尊重されなければならない。ところが , 医 師が , 輸血の可能性のある手術を患者に説明しないまま施行し , 輸血をしたのであるから , 患者 の意思決定をする権利を奪ったものといわざるを得ず , 不法行為責任を負担すべきである。」と 不動産法律セミナー ノ 2 / 20 ノ 5