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検索対象: 不動産法律セミナー 2015年12月号
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1. 不動産法律セミナー 2015年12月号

司法書士 二重の基準の理論とは , ①精神的自由を規制する立法の合憲性は , 厳しい基準によって →憲法 13 条の規定する幸福追求権の意義については , ①一般的行為自由説と②人格的利益 く包括的基本権〉 判示し , 結論として , 公安条例を合憲とした。したがって , 本問は誤っている。 るかどうかの判断を可能ならしめる基準が読みとれるかどうかによって決定すべきである。」と 常の判断能力を有する一般人の理解において , 具体的場合に当該行為がその適用を受ける者であ それ故 , ある刑罰法規が曖昧不明確のゆえに憲法 31 条に反するものと認めるべきかどうかは , 通 は公共団体の機関の主観的判断に委ねられて恣意に流れる等 , 重大な弊害を生ずるからである。 の対象となる行為をあらかじめ告知する機能を果たさず , また , その運用がこれを適用する国又 行為とを識別するための基準を示すところがなく , そのためその適用を受ける国民に対して刑罰 されるのは , その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して , 禁止される行為とそうでない かしながら , およそ刑罰法規の定める犯罪構成要件が曖昧不明確ゆえに憲法 31 条に違反し無効と で , いかなる作為・不作為を命じているのかその義務内容が具体的に明らかにされていない。し う規定は , その文言だけからすれば , 単に抽象的に交通秩序を維持すべきことを命じているだけ 徳島市公安条例事件 ( 最判昭和 50 ・ 9 ・ 10 ) は , 「本条例の『交通秩序を維持すること』とい 誤り。 反する。 →公安条例の「交通秩序を維持すること」という文言は , 曖昧不明確であり , 憲法 31 条に たと考えられている。したがって , 採用されたことがないとする点で本問は誤っている。 ( 最判昭和 47 ・ 11 ・ 22 ) , 薬事法違憲判決 ( 最判昭和 50 ・ 4 ・ 30 ) は , 二重の基準の理論を採用し 二重の基準の理論の内容は , 問題文の通りである。最高裁の判例でも , 小売市場距離制限事件 誤り。 審査するという考え方であるが , 最高裁の判例では採用されたことがない。 審査し , ②経済活動の自由を規制する立法の合憲性は , 立法府の裁量を尊重して緩やかな基準で プライバシーの権利 , 肖像権 , 環境権 , 日照権 , あることから , 新しい人権を認めるのに慎重・制約的な立場を採る。したがって , 本問は正しい。 は , 幸福追求権を根拠に , 個人の人格的生存に不可欠な利益のみを人権として保障する考え方で え方であることから , 新しい人権を認めるのに積極的な立場を採る。それに対し , 人格的利益説 一般的行為自由説は , 幸福追求権を根拠に , 人の一般的な様々な行為を人権として保障する考 説の 2 つの見解があるが , 幸福追求権を根拠に新しい人権を認めることに制約的なのは , ②説で →これまで , 裁判で , 憲法 13 条を根拠に , 正しい。 ある。 という表現は直接的ではないものの , 最高裁は , 肖像権を憲法上の権利として認めていると考え 撮影することは , 本条 ( 憲法 13 条 ) の趣旨に反し , 許されない」と判示していることから , 趣旨 京都府学連デモ事件 ( 最判昭和 44 ・ 12 ・ 24 ) は , 「警察官が , 正当な理由なく個人の容貌等を 誤り。 ものは , 存在しない。 平和的生存権など新しい人権として主張された権利は多数にのばるが , 最高裁が正面から認めた ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー

2. 不動産法律セミナー 2015年12月号

正解 1 同時履行の抗弁権 本問は , 同時履行の抗弁権に関する問題である。 ア . 誤り。賃貸人の敷金返還債務と , 賃借人の明渡債務は , 同時履行の関係に立たない ( 最判昭 49 ・ 9 ・ 2 ) 。明渡債務の履行の方が先である。 イ . 誤り。解除後の売主の代金返還債務と , 買主の目的物返還債務は , 同時履行の関係に立つ ( 民 法 546 条 ) 。 ウ . 正しい。買主の売買代金支払債務と , 売主の所有権移転登記に協力する債務は , 同時履行の関 係に立つ ( 大判大 7 ・ 8 ・ 14 ) 。 以上より , 正しいものはウの一つのみであるから , 正解は 1 となる。 問 8 正解 1 土地の転貸借 本問は , 土地の転貸借に関する問題である。 1 . 誤り。判決文によると , 賃貸借契約を合意解除したときは , 賃貸人は転借人に対して賃貸土地 の明渡しを請求することはできない。 2 . 正しい。判決文は , 賃貸借契約を合意解除したときは , 賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明 渡しを請求することはできない , つまり , 対抗できないということを言っているだけであり , 本 肢の指摘するように合意解除すること自体は可能である。よって , 正しい。 3 . 正しい。土地の賃借人が無断転貸した場合でも , 転貸について賃貸人に対する背信行為と認め るに足りない特段の事情があるときは , 賃貸人は民法 612 条第 2 項による解除ができない。した がって , 解除できる場合とできない場合がある。よって , 前半部分は正しい。また , 土地の賃借 人が賃料を支払わない場合にも , その程度により ( 信頼関係の破壊をきたす程度か否か ) , 賃貸 人において法定解除権を行使できる場合とできない場合がある。判決文もこれを前提にしている ( 「法定解除権の行使が『できる』ときになされたもの」という表現を見れば明らか ) 。よって , 後半部分も正しい。 4 . 正しい。合意解除がなされたときでも , 賃借人の賃料不払等の債務不履行があるため賃貸人に おいて法定解除権の行使ができるときにされたものである等の事情がない限り , 転借人は , 賃貸 人からの賃貸土地の明渡し請求を拒絶することができる。よって , 正しい。 ・正解 4 遺言及び遺留分 本問は , 遺言及び遺留分に関する問題である。 1 . 誤り。自筆証書中の加除その他の変更は , 遺言者が , その場所を指示し , 「これを変更した旨 を付記して」特にこれに署名し , かっ , その変更の場所に印を押さなければ , その効力を生じな い ( 民法 968 条 2 項 ) 。 2 . 誤り。自筆証書によって遺言をするには , 遺言者が , その全文 , 日付及び氏名を自書し , これ に印を押さなければならない ( 968 条 1 項 ) 。しかし , それ以上に , 本肢のようなことまでは規定 されていない。 3 . 誤り。遺言執行者がある場合には , 相続人は , 相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき 行為をすることができない ( 1013 条 ) 。よって , これに違反する処分行為は , 当然に無効となる。 4 . 正しい。判例は , 「被相続人がした贈与が遺留分減殺の対象としての要件を満たす場合には , 遺留分権利者の減殺請求により , 贈与は遺留分を侵害する限度において失効し , 受贈者が取得し 問 9 不動産法律セミナー ノ 2 / 2 硼 5

3. 不動産法律セミナー 2015年12月号

司法書士 本問は正しい。 最高裁は , 自衛隊の合憲性について , 未だ判示したことはない。 ー正しい。 自衛隊の合憲性については , 裁判でも何回か争われ ( 恵庭事件 , 長沼事件 , 百里基地事件な 人権の固有性とは , 人権は , 人間であることにより当然に有するとされる権利であり , 決して 誤り。 の基本的人権の享有を妨げられない」と規定しているのは , 不可侵性の現れである。 →人権には , 固有性 , 不可侵性 , 普遍性という性質があり , 憲法 11 条の「国民は , すべて く人権の意義〉 人権 未だ判示したことはない。したがって , 本問は正しい。 ど ) , 下級審レベルでは違憲判決が下されたこともあるが , 最高裁は , 自衛隊の合憲性に つし、て , る。 る権利 ( 32 条 ) , 刑事補償請求権 ( 40 条 ) が , 明文で保障されている。したがって , 本問は正し 日本国憲法では , 請願権 ( 16 条 ) , 国及び公共団体に対する損害賠償請求権 ( 17 条 ) , 裁判を受け 受益権 ( 国務請求権 ) とは , 国民が国家に対して裁判等の一定の行為を要求する権利であり , ー正しい。 裁判を受ける権利は受益権に該当する。 問題日本国憲法が明文で保障する人権を , 自由権・社会権・受益権・参政権に分類したとき , の通説的見解である。したがって , 本問は正しい。 ないし国務請求権としての性質をも有しており , 複合的性質を有する権利であるとするのが現在 自由権としての側面のみならず , 積極的に情報の公開を求める ( 情報公開請求権 ) という社会権 知る権利は , 表現の自由の保障から導き出される情報の受領を妨げられない権利という精神的 正しい。 知る権利は , 精神的自由権だけでなく社会権ないし国務請求権としての性格を有してい いる。 がって , 本問は , 人権の「普遍性」の現れとすべきところを「不可侵性」としている点で誤って 「国民は , すべての基本的人権の享有を妨げられない」としているのは , その現れである。した るというただそれだけで , 広く普遍的に享有できる権利であるという考え方であり , 憲法 11 条が その現れである。人権の普遍性とは , 人権は , 人種 , 性 , 身分などの区別に関係なく , 人間であ 考え方であり , 憲法 11 条及び 97 条が人権を「侵すことのできない永久の権利」としているのは , である。人権の不可侵性とは , 人権は , 原則として , 公権力によって侵されることはないという 権を「現在及び将来の国民に与へられる」「信託されたものである」としているのは , その現れ 憲法や天皇から恩恵として与えられるものではないという考え方であり , 憲法 11 条及び 97 条が人 ノ 2 / 20 ノ 5 ー 95 ー 不動産法律セミナー

4. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 本問は , 抵当権に関する問題である。 問 6 正解 2 抵当権 つまり , 当然に提起することができるわけではない。 4 . 誤り。占有回収の訴えは , 悪意の特定承継人に対してのみ提起することができる ( 200 条 2 項 ) 。 問 7 から B と D それぞれの債権額の割合に従って配当を受ける。そうすると , B の受ける配当は 4 . 正しい。 B が D に対して抵当権の順位を放棄すると , B と D の本来の割付額の合計 3 , 000 万円 ( 2 , 000 万円 x 2 , 000 万円 / 4 , 000 万円 = 1 , 000 万円 ) となる。 と E それぞれの債権額の割合に従って配当を受ける。そうすると , B の受ける配当は 1 , 000 万円 3 . 正しい。 B が E に対して抵当権を放棄すると , B と E の本来の割付額の合計 2 , 000 万円から B B が受ける配当は 0 円となる。 から D が優先的に債権額 4 , 000 万円を回収する ( 実際は 3 , 000 万円しか回収できない ) 。そうすると , 2 . 誤り。 B が D に対して抵当権の順位の譲渡をすると , B と D の本来の割付額の合計 3 , 000 万円 優先的に債権額 2 , 000 万円を回収する。そうすると , B が受ける配当は 0 円となる。 1 . 正しい。 B が E に対して抵当権を譲渡すると , B と E の本来の割付額の合計 2 , 000 万円から E が となるはずである。これを前提に以下検討する。 一般債権者 E が 0 円 三番抵当権者 D が 1 , 000 万円 二番抵当権者 C が 2 , 400 万円 一番抵当権者 B は 2 , 000 万円 の割付額 ( 5 , 400 万円を本来どのように割り付けて配当するのか ) を出す必要がある。そうすると , 抵当権の譲渡・放棄 , 抵当権の順位の譲渡・放棄 ( 民法 376 条 1 項 ) を考える際には , まず , 本来 本問では , 甲土地の競売に基づく売却代金 5 , 400 万円をどのように配当するかが問われている。 本問は , 抵当権の譲渡・放棄に関する問題である。 正解 2 抵当権の譲渡・放棄 できる ( 389 条 1 項 , 一括競売 ) 。 建物を競売することができる。ただし , その優先権は , 土地の代価についてのみ行使することが 4 . 正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは , 抵当権者は , 土地とともにその 応じてその代価を弁済したときは , 抵当権は , その第三者のために消滅する ( 378 条 , 代価弁済 ) 。 3 . 正しい。抵当不動産について所有権を買い受けた第三者 ( 第三取得者 ) が , 抵当権者の請求に い ( 民法 380 条 ) 。よって , 連帯保証をした者は , 抵当権消滅請求をすることができないので誤り。 2 . 誤り。主たる債務者 , 保証人及びこれらの者の承継人は , 抵当権消滅請求をすることができな 権利にも抵当権の効力が及ぶとしている ( 最判昭 40 ・ 5 ・ 4 ) 。 1 . 正しい。賃借地上の建物に対してその敷地は「従たる権利」に当たる。判例は , かかる従たる 1 , 000 万円 ( 3 , 000 万円 x 2 , 000 万円 / 6 , 000 万円 = 1 , 000 万円 ) となる。 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー

5. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 解説編 権利関係第 正解 4 民法の条文規定 本問は , 民法の条文規定に関する問題である。 1 . 民法の条文に規定されていない。債務不履行に基づく損害賠償請求権は , 通常の債権であり 10 年で時効によって消滅する ( 民法 167 条 1 項 ) 。 2 . 民法の条文に規定されていない。保証契約は , 書面でしなければ , その効力を生じない ( 446 条 2 項 ) 。しかし , それ以上に本肢のような内容は条文に規定されていない。 3 . 民法の条文に規定されていない。債務引受は , 民法上の制度ではなく , 判例・学説上 , その有 効性が認められているだけである。 4 . 民法の条文に規定されている。債務不履行の場面における過失相殺の条文は民法の中に置かれ ている。すなわち , 民法 418 条では , 「債務の不履行に関して債権者に過失があったときは , 裁判 所は , これを考慮して , 損害賠償の責任及びその額を定める」と規定されている。 正解 2 通謀虚偽表示 本問は , 通謀虚偽表示に関する問題である。 1 . 正しい。 94 条 2 項の第三者は , 善意であれば足り , 登記まで備えている必要はない ( 最判昭 44 ・ 5 ・ 27 ) 。よって , 善意の C がいまだ登記を備えていなくても , A は A B 間の売買契約の無 効を C に主張することはできない。 2 . 誤り。本件のように , 土地の仮装譲受人から同人が当該土地上に建てた建物を賃借した者 ( 建 物賃借人 ) は , 94 条 2 項にいう「第三者」に当たらない ( 最判昭 57 ・ 6 ・ 8 ) 。よって , A は A B 間の売買契約の無効を C に主張することができる。 3 . 正しい。虚偽表示の目的物を差し押さえた者は , 94 条 2 項にいう「第三者」に当たる ( 最判昭 48 ・ 6 ・ 28 ) 。よって , 甲土地を差し押さえた善意の C がいる場合 , A は A B 間の売買契約の無 効を C に主張することができない。 4 . 正しい。悪意の第三者からの転得者が善意である場合 , 当該転得者は 94 条 2 項にいう「第三 者」に当たる ( 最判昭 45 ・ 7 ・ 24 ) 。よって , 転得者の D が善意である以上 , A は A B 間の売買 契約の無効を D に主張することができない。 問 2 正解 4 貨貸借契約と使用貸借契約 問 3 本問は , 貨貸借契約と使用貸借契約に関する問題である。 1 . 正しい。借主が死亡した場合 , 賃貸借契約では契約は終了しないが , 使用貸借契約では契約が 終了する ( 民法 599 条 ) 。 2 . 正しい。賃貸借契約では , 借主は , 支出した必要費を賃貸人に対して請求することができるが ( 608 条 1 項 ) , 使用貸借契約では , 借主は , 建物の通常の必要費を負担しなければならない ( 595 条 1 項 ) 。 ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー

6. 不動産法律セミナー 2015年12月号

3 . 誤り。建築物の用途変更で , 変更後に 100 ⅲを超える特殊建築物となる場合には建築確認が必 要となる。本肢の床面積合計 500 ⅲのホテルは建築確認が必要な特殊建築物に該当し , 特殊建築 物ではない事務所からの変更には建築主事等の確認を受けなければならない ( 同法 6 条 1 項 , 同 法 87 条 , 同法別表第 1 ) 。平成 24 年問 18 の焼き直し的出題である。 4 . 正しい。本肢の床面積の合計が 300 ⅲの映画館は建築確認が必要な特殊建築物に該当し , その 改築には建築確認が必要である。建築確認の対象となる「建築」とは , 建築物を新築し , 増築し , 改築し , 又は移転することをいう ( 同法 2 条 13 項 , 6 条 1 項 , 同法別表第 1 ) 。 正解 2 建築基準法 ( 建ぺい率・容積率等 ) 本問は建築基準法における建ぺい率・容積率等に関する総合問題である。 1 . 正しい。建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には , 政令で定めるエレベーターの昇降 路の部分又は共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は , 一定の場合を除 き , 算入しない。記述の通りである ( 建築基準法 52 条 6 項 ) 。 2 . 誤り。このような規定はない。建築物の敷地が建築物の建ぺい率に関する制限を受ける地域又 は区域の 2 以上にわたる場合においては , 当該建築物の建ぺい率は , 当該各地域又は区域内の建 築物の建ぺい率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する 割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。すなわち 2 以上の区域にわたる場合には 加重平均 , 按分計算したものとなる ( 同法 53 条 2 項 ) 。過去頻出の基本事項である。 3 . 正しい。建築物又は敷地を造成するための擁壁は , 道路内に , 又は道路に突き出して建築し , 又は築造してはならないが , 地盤面下に設ける建築物はこの限りでなく , 道路内に建築すること ができる。記述の通りである ( 同法 44 条 1 項 1 号 ) 。 4 . 正しい。建築協定の目的となっている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合に おいては , その建築協定については , 当該建築物の借主は , 土地の所有者等とみなす ( 同法 77 条 ) 。条文通りの正しい記述内容である。 問 1 8 宅地造成等規制法 問 19 正解 2 宅地造成等規制法 本問は宅地造成工事に関する許可 , 宅地造成工事規制区域内の規制全般に関する問題である。 1 . 正しい。記述の通り , 都道府県知事は , 宅地造成工事規制区域内の宅地について , 宅地造成に 伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては , その宅地の所有者 , 管理者 , 占有者 , 造成主又は工事施行者に対し , 擁壁等の設置又は改造その他宅地造成に伴う災害の防止のため必 要な措置をとることを勧告することができる ( 宅地造成等規制法 16 条 2 項 ) 。本肢は平成 25 年問 19 肢 4 の焼き直し出題である。 2 . 誤り。宅地造成工事規制区域の指定の際 , 当該宅地造成工事規制区域内において行われている 宅地造成に関する工事の造成主は , その指定があった日から 21 日以内に , 国土交通省令で定める ところにより , 当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。改めて許可を受ける 必要はない ( 同法 15 条 1 項 ) 。過去頻出の基本事項である。 3 . 正しい。宅地造成工事の許可を受けた者は , 当該許可に係る宅地造成に関する工事の計画の変 更をしようとするときは , 都道府県知事の許可を受けなければならないが , 一定の軽微な変更を しようとするときはこの限りでなく , 遅滞なく , その旨を都道府県知事に届け出なければならな 不動産法律セミナー ノ 2 / 20 ノ 5

7. 不動産法律セミナー 2015年12月号

容される余地はあるので , 違憲と断定するのは妥当ではない。例えば , 投票結果に国会が拘東さ れない場合は , 代表民主制に反せず , 許容される。したがって , 本問は誤っている。 →日本国憲法は , 原則 , 代表民主制を採用しているが , 例外的に , 憲法改正の国民投票 , 最高裁判所裁判官の国民審査に限って , 直接民主制を採用している。 誤り。 日本国憲法は , 原則 , 代表民主制を採用しているが , 例外的に , 憲法改正の国民投票 ( 96 条 ) , 最高裁判所裁判官の国民審査 ( 79 条 2 項 ) , 地方特別法の住民投票 ( 95 条 ) について , 直接民主 制を採用している。したがって , 「限って」とする本問は誤っている。 く天皇〉 →摂政は , 天皇の名で国事行為を行う。 ー正しい。 「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは , 摂政は , 天皇の名でその国事に関する行 為を行ふ」 ( 5 条 ) ことから , 本問は正しい。 → 天皇の国事に関するすべての行為は , 内閣総理大臣の助言と承認を必要とする。 誤り。 「天皇の国事に関するすべての行為には , 内閣の助言と承認を必要とし , 内閣が , その責任を 負ふ」 ( 3 条 ) ことから , 本問は「内閣」を「内閣総理大臣」としている点で誤っている。 →政令の公布 , 法律の定める外国文書の認証 , 総選挙の施行の公示 , 国会の召集は , 天皇 の国事行為に含まれる。 正しい。 天皇の国事行為は , 6 条及び 7 条に列挙されているが , 「政令の公布」 , 「法律の定める外国文 書の認証」 , 「総選挙の施行の公示」 , 「国会の召集」とも 7 条に列挙されているので , 本問は正し 皇室の財産授受については , 国会の議決に基づかなければならず , 優越が認められる。 ー誤り。 この議決は衆議院の 皇室の財産授受については , 国会の議決に基づかなければならないが ( 8 条 ) , いて衆議院の優越を定める規定は無く , 本問は誤っている。 く平和主義〉 この議決につ →日米安保条約に基づき我が国に駐留する米軍は , 憲法 9 条 2 項の戦力には該当しない。 正しい。 砂川事件 ( 最判昭和 34 ・ 12 ・ 16 ) が「 ( 9 条 ) 2 項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁 じたものであるか否かは別として , 同条項が禁止した戦力とは , 我が国がその主体となって指揮 権・管理権を行使し得る戦力をいうもので , 我が国が指揮権・管理権を行使し得ない外国の軍隊 は , たとえ我が国に駐留しても本条にいう戦力には該当しない」と判示していることから , 日米 安保条約に基づき我が国に駐留する米軍は , 憲法 9 条 2 項の戦力には該当しない。したがって , 不動産法律セミナー ノ 2 / 2075

8. 不動産法律セミナー 2015年12月号

→裁判所法 52 条 1 号による , 裁判官の積極的な政治活動の禁止は , 憲法 21 条に反しない。 正しい。 寺西裁判官事件 ( 最判平成 10 ・ 12 ・ 1 ) は , 「 ( 裁判所法 52 条 1 号が , ) 裁判官の独立及び公正 を確保し , 裁判に対する国民の信頼を維持するとともに , 三権分立主義の下における司法と立法 , 行政とのあるべき関係を規律するという立法目的のため , 裁判官が ( 積極的に ) 政治活動をする ことを禁止しても , 合理的関連性があり憲法 21 条に反しない」と判示しているので , 本問は正し 未決拘留者の監獄内での閲読の自由を一律に制限することも , 監獄の規律及び秩序の維 持の観点から認められる。 誤り。 よど号ハイジャック新聞記事抹消事件 ( 最判昭和 58 ・ 6 ・ 22 ) は , 「未決拘留者において , 監 獄の規律及び秩序の維持上 , 放置することのできない程度の障害を生ずる相当の蓋然性があると 認められる場合には , その障害発生の防止のため必要かっ合理的な範囲内において , 閲読の自由 を制限することができる」と判示しているので , 一律に制限することができるとする点で本問は 誤っている。 く人権保障の限界〉 →人権の制約根拠についての学説は , ①一元的外在制約説 , ②内在・外在二元的制約説 , ③一元的内在制約説があるが , 憲法 13 条に法的意義を認めず倫理的な規定であるとしてしまうと , 新しい人権を基礎づける包括的な人権条項と解釈できなくなってしまうと , 批判されるのは③説 である 誤り。 人権の一元的外在制約説は , 憲法 12 条 , 13 条の「公共の福祉」は , 人権の外にあってそれを制 約できる一般的原理であり , 憲法 22 条 , 29 条の「公共の福祉」は特別の意味をもたないとする見 解である。この見解は , 「公共の福祉」の意味を「公益」とか「公共の安寧秩序」という抽象的 な最高概念と捉えるが , 法律による人権制限が容易に肯定され , 大日本帝国憲法における「法律 の留保」と同じことになると , 批判される。人権の内在・外在二元的制約説は , 「公共の福祉」 による「人権制約」 ( 外在的制約 ) が認められるのは , その旨が明文で規定されている経済的自 由権 ( 憲法 22 条 , 29 条 ) に限られ , 憲法 13 条の「公共の福祉」は , 人権制約の根拠とならす , 経 済的自由権等以外の自由権は , 内在的制約に服するにすぎないとする見解である。この見解は , 「公共の福祉」の概念を国の政策的考慮に基づく公益という意味に限定して考えるのは適切でな い , 憲法 13 条に法的意義を認めず , 倫理的な規定であるとしてしまうと , 新しい人権を基礎づけ る包括的な人権条項と解釈できなくなってしまうと , 批判される。人権の一元的内在制約説は , 「公共の福祉」とは , 人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理であり , この意 味での「公共の福祉」は , 憲法規定にかかわらず , すべての人権に必然的に内在しているもので あるとする見解である。この説は , 内在的制約の意味が明確を欠くことから , 実質的には一元的 外在制約説と変わらないと , 批判される。したがって , 本問の批判は , ②内在・外在二元的制約 説に当てはまるのであり , 本問は誤っている。 0 : 一 ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー

9. 不動産法律セミナー 2015年12月号

宅建士 宅地建物取引業法田 正解 1 用語の定義 , 免許の要否 本問は宅地建物取引業における定義及び免許の要否に関する問題である。 ア・正しい。宅建業法における「宅地」とは , 建物の敷地に供せられる土地をいい , 都市計画法第 8 条 1 項第 1 号の用途地域内のその他の土地で , 道路 , 公園 , 河川その他政令で定める公共の用 に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものである ( 宅地建物取引業法 2 条 1 号 ) 。題意より用途地域の一つである工業専用地域内の土地であるから , 現に建物の敷地として 利用されていない土地でも宅地に該当する。 イ : 誤り。貸借の代理又は媒介を業として行う場合には宅建業の免許が必要である。題意より , 住 宅の貸借の媒介を反復継続して営む場合であるから「業」として行うことであり , 免許が必要と なる。「業」に該当するか否かは「不特定多数」「反復継続」が要件であり , 営利性の有無は関係 なく , 社会福祉法人であっても同様である ( 同法 2 条 2 号 , 3 条 ) 。 ウ : 誤り。肢アの通り , 宅建業法における宅地は , 建物の敷地に供せられる土地であり , また「建 物」については , 宅建業法上特別な定義・規定はなく住居だけでなく店舗や事務所 , 工場や倉庫 もすべて該当する。よって , 現に建物の敷地の用に供されている土地であるから , 用途地域外で あっても宅地に該当する ( 同法 2 条 1 項 ) 。 ェ : 誤り。管理業務とあわせて , 貸借の媒介を反復継続して営むのであるから , 肢イの通り , 宅建 業の免許が必要となる ( 同法 2 条 2 項 , 3 条 ) 。 以上より , 正しい内容はアのみーっであるから , 正解は 1 となる。 正解 4 免許 , 欠格事由 本問は宅地建物取引業の免許の基準 , 欠格事由に関する問題である。 1 . 正しい。不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が 公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に合併によ り消滅した法人又は解散 , 廃業の届出があった法人 ( 合併 , 解散 , 廃業について相当の理由があ る法人を除く。 ) において免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日前 60 日以内に役 員であった者で , 当該消滅又は届出の日から 5 年を経過していないものは欠格事由に該当する。 題意より B は相当の理由なく合併により消滅した A 社に , 当該公示の日の 50 日前まで役員であっ たのであるから , 消滅の日から 5 年を経過しなければ免許を受けることはできない ( 宅地建物取 引業法 5 条 1 項 2 号の 2 , 2 号の 3 ) 。 2 . 正しい。どのような犯罪であれ禁錮以上の刑に処せられた場合は欠格事由に該当する。ただし , 執行猶予が付いている場合は執行猶予期間が満了すればその刑の言渡しの効力が失われるから免 午を受けることができる。また法人業者の場合はその役員又は政令で定める使用人のうちに免許 の欠格要件に該当する者がある場合は , 免許を受けることはできない。題意より , 本肢の D は懲 役刑に処せられており欠格事由に該当するから , その D が政令で定める使用人に就任している E 社は , 記述の通り D の執行猶予期間が満了していなければ , 免許を受けることはできない ( 同法 5 条 1 項 3 号 , 7 号 ) 。昨年本試験でも問われた論点である。 3 . 正しい。本肢の刑法 247 条の背任罪は罰金刑に処せられると免許の欠格要件に該当する暴力系 の犯罪である。営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者の法定代理人がこの欠格 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー 問 26 問 27 一三ロ

10. 不動産法律セミナー 2015年12月号

憲法総論 く憲法の意義〉 →憲法の概念は , 形式的意味の憲法と実質的意味の憲法に分類され , 更に , 実質的意味の 憲法は , 固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法に分類され , 固有の意味の憲法は , のいかなる国家にも存在し得る。 正しい。 いかなる時代 と ) という限定があるものの , 不完全ながら言論の自由を保障していたといえる。したがって , する」と規定しており , 法律の留保 ( 法律によりさえすれば , 国民の権利・自由を制限できるこ 大日本帝国憲法 29 条は「日本臣民は法律の範囲内に於て言論著作印行集会及び結社の自由を有 誤り。 →大日本帝国憲法は , 言論の自由を一切保障していなかった。 く大日本帝国憲法〉 は正しい。 ( 81 条 ) を規定していることから , 法の支配の原理を採用しているといえる。したがって , 本問 公正を要求する適正手続 ( 31 条 ) , ④権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割の重視 法規性の承認 ( 98 条 1 項 ) , ②権力によって侵されない個人の人権 ( 97 条 ) , ③法の内容・手続の って , 国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理である。日本国憲法は , ①憲法の最高 法の支配とは , 専断的な国家権力の支配 ( 人の支配 ) を排斥し , 権力を法で拘東することによ ー正しい。 日本国憲法は , 法の支配の原理を採用しているといえる。 → である旨を規定している。したがって , 本問は誤っている。 こと ) であるが , 日本国憲法は , 「最高法規」の章を設け ( 第 10 章 ) , 98 条 1 項で憲法が最高法規 家権力を制限する基礎法 ) , ③最高規範 ( 憲法が , 国法秩序において最も強い形式的効力を持っ 近代憲法のもっ特質は , ①自由の基礎法 ( 憲法が人権保障の基礎法 ) , ②制限規範 ( 憲法が国 誤り。 法は最高法規について明文では規定していない。 ー近代憲法のもっ特質は , ①自由の基礎法 , ②制限規範 , ③最高法規であるが , 日本国憲 在するわけではない。したがって , 本問は正しい。 立憲主義の思想に基づく憲法である。かかる意味の憲法は , いかなる時代のいかなる国家にも存 味の憲法がある。市民革命期に主張され , 専断的な権力を制限して国民の権利を保障するという かなる国家にも存在する。更に , ②自由主義に基づいて定められた国家の基礎法である立憲的意 互の関係を規律する規範が , 固有の意味の憲法である。かかる意味の憲法は , いかなる時代のい でも , 必ず政治権力とそれを行使する機関が存在しており , この機関 , 権力の組織と作用及び相 定めた法としての憲法がある ( 固有の意味の憲法 ) 。国家はいかなる社会・経済構造をとる場合 特定の内容を持っ実質的意味の憲法に分類される。実質的意味の憲法は , ①国家の統治の基本を 憲法の概念は多義的であり , まず , 形式的意味の憲法 ( 憲法という名前の成文の法典 ) とある 本問は誤っている。 不動産法律セミナー ノ 2 / 20 ノ 5