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検索対象: 人事院月報 2016年07月号
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1. 人事院月報 2016年07月号

身等の強化を政府一体となって進めてい くことを目的として、各省の業務計画や 上級管理職 (Senior Executive Service (næn)) の業績評価の評価項目の中 に、職員の職務への献身等に対する責任 が盛り込まれている。 また、これまでは専門性をいかして一 つの分野の専門家として昇進していくの が通常であったが、年代に応じてその考 え方は変わってきており、ミレニアルズ と言われる一一〇歳台から三〇歳台の職員 は、同じ業務に長く携わり専門性をいか して直線的に昇進するのではなく、様々 なポジションで幅広い経験や知識を蓄積 することにより、複雑化する課題にチャ レンジする能力を身に付けたいという希 望が強いと言われており、省内での異動 あるいは省をまたいだ異動を促進するこ とにより、職員のモチベーションの向上 に努めている。 2 縦方向だけではないキャリアパス ( ドイツ ) 職員の高齢化が進む中で、管理職や幹 部職のポストには限りがあり、縦方向へ のキャリアパスが難しくなってきている ため、各職員の希望に応じて能力開発の 機会を与える、専門家やプロジェクトの リーダーにする、長期にわたる同一ポス ト在任者に異動を促す、上司が部下の業 績をフィ 1 ドバックすゑ部下と定期的 に面談をするなど、あらゆる手段を用い て職員のモチベーションの維持・向上に 努めている。 3 就職後の専門分野の変更 ( 英国 ) 従来、一度就職すると同一専門分野や 同一勤務先に退職まで勤務することが一 般的であったが、最近の若い世代は就職 後に専門分野や勤務先の変更を望む者も 多い円そのため、ハ ム務部内において、職 務への専門性がそれほど強く求められな い係長レベル以下のポストで分野変更を 認めることにより、若い世代のモチベー ションの維持を図っている。 4 キャリア形成の専門家による支援 ( フランス ) 各省においては、職員からの要望に応 じて個別に面談を行いいキャリア形成に おいて助言を与えるキャリア・モビリ ィー・アドバイザーが配置されてい る。全職員を対象にしたものであるが、 モチベーション維持のために、とりわけ 中・高年齢層の職員はキャリア◆モビリ ティー・アドバイザーとの面談が推奨さ れている。アドバイザーは、個々の職員 再任用の活用に関する課題 第 1 章で述べたように、将来的に年金支給 開始年齢が六五歳になることを踏まえ、多く の府省では、今後、再任用職員のモチベーショ ンを維持しつつ、中核的・本格的な仕事を担 わせることで、定年前と同様に堅実な業務遂 行に当たらせる必要があると考えている。一 方で、各府省は、フルタイム再任用を本格的 に活用するための課題として、再任用職員の 定年時点でのマインドの転換やモチベーショ ンの維持、経験や能力と仕事のマッチング、 職場での人間関係等を挙げており、そのため には再任用に際しての能力・適性のチェック と職員のモチベーションの維持が重要である としているほか、新規採用も一定数を確保で きるよう必要な定員を過渡的に措置すること が必要であるとしている。 フルタイム再任用の本格的活用に資する 定員上の工夫 現在、国家公務員の雇用と年金の接続は、 当面の措置として、再任用希望者を原則と してフルタイム官職に再任用するものとさ へキャリアパスを助言し、異動を促し、 空席公募のための経歴書や志望動機書の 書き方、面接の指導も行っている。 2016 7 月号人事院月報 38

2. 人事院月報 2016年07月号

おわりに この報告では、昨年の給与勧告時の報告か ら更に踏み込んで、国家公務員の在職状況を 本府省、地方機関に分けて分析した上で、各 府省人事当局からの聞き取り結果を踏まえ、 年齢別人員構成になぜ偏りが生じてきている のか、とりわけ若年層が極端に少ない人員構 成が各府省の人事管理や業務遂行にどのよう な影響を与えているのか、また、各府省はそ れに対してどのような取組を行っているのか について考察した。 その結果、年齢別人員構成の偏りは特に地 方機関において顕著であり、多くの地方機関 では既に技能やノウハウの円滑な継承の支障 となるとともに、国家公務員の人事管理にも 大きな影響を与えている実態が明らかになっ た。人事院としては、今回、このような在職 状況の実態を明らかにすることにより、行政 の円滑な遂行や国家公務員の人事管理におけ めには、その有する専門性に基づき即戦力 となるようなポストに配置することが適当 と考えられることから、各府省において、 職員の専門性を強化するための長期的な人 事管理に努める必要がある。さらに、例え ば、五〇歳台後半の職員について、再任用 後に従事することが見込まれる業務を念頭 に置いて、特定分野の専門性を高めるよう な人事配置を行うことも考えられる。 る中・長期的かつ重要な課題が存在すること について、関係各方面が問題意識を共有する ことが大切であると考えている その上で、各府省が年齢別人員構成の偏り に対応するに当たっての人事管理上の課題を 抽出し、一〇年後、一一〇年後を見据えて能率 的で活力ある公務組織を維持していくための 対応について問題提起を行った。その際、問 題の所在として、 ①本府省を中心に、在職期間の長期化によ り五〇歳台の高齢層職員が滞留して若手・ 中堅職員の昇進ペースが遅れており、組織 全体の活力が低下しているのではないかと の懸念があり、職員が公務で培った能力・ 経験を適切に活用することが重要であるこ と ②地方機関に象徴的な若年層が極端に少な い人員構成の下で、各府省は、新規採用の 確保、若年層や中堅層の育成、中途採用な どの人事管理上の課題に取り組んでいく必 要があること ③行政事務の遂行に当たっては業務量に見 合った適正な人員が確保されることが基本 であること を挙げ、これら三つの問題を中心とする 諸々の課題について、各府省や制度官庁等 0 に人事管理上の対応についての今後の検討報 院 を求めたところである。 事 人 具体的な問題提起の内容は第 3 章に記載の とおりであり、各府省等においてこれらの問 題提起を参考にして前広に検討が進められる ことを期待するとともに、人事院としても、 人事行政の公正の確保及び労働基本権制約の 代償措置を担っている第三者・専門機関の責 務として、国家公務員の採用から退職に至る までの公務員人事管理全般にわたり、中・長 期的な視点も踏まえた総合的な取組を引き続 き進めていきたい。

3. 人事院月報 2016年07月号

財務省では ( 年齢構成地図 ( と ( er の一目色 を作成し、毎年、」継承しなければならな い知識の有無を把握・分析し、どのよう な知識継承措置を講じるかを確認してい る 9 継承措置としては、イントラネット への知識の保存、】一時的な同一ポストへ の職員の重複配置、残された課題や人的 ネットワーク等の情報を含む引継書の作 成を行っている。 継承すべき経験知やノウハウは、専門 知識、手法や特定の事情に係る知識だけ でなく、特定の人物やネットワーク、。『コ ミュニケーション・チャンネル、慣例な どに関する文書化されていない暗黙の知 識を含むものとされている。また、調整 役となるポスト等、「このようなノウハウ を必要とするキ 1 となるポジションで は、知識のリレーと呼ばれるモデレータ を介して行う引継ぎプロセスが採られて いるようである。 働き方の改革と勤務環境の整備 に関する課題 限られた人的資源の下で職員一人一人の能 力を十全に活用し、効率的な職務遂行を推進 するとともに、、 公務で働くことの魅力を高め、 有為な人材を確保する観点から、働き方の改 革と勤務環境の整備は喫緊の課題であり、 ワーク・ライフ・バランスの推進を通じて、 心の健康の不調の発生や若年層の離職の防 止、公務における女性の活躍推進にも資する ものである。 両立支援制度を通じた勤務環境の整備 今後、女性職員の在職者比率の高まりが 想定される中で、育児中の職員が育児を理 由に自身のキャリア形成を諦めることな く、職場の中核人材として育っていけるよ うな働き方の実現が必要である。そのため には、育児責任を担う職員が育児休業等の 仕事と家庭の両立支援制度を利用しやすい 職場の環境づくりを進めることはもとよ り、育児休業終了後の円滑な職務執行のた めの支援の充実や育児中の職員のキャリア 形成の在り方も考えていく必要がある。ま た、女性職員に育児責任が偏らないよう、 夫婦で両立支援制度の利用を考える機会を 設けるなど、男性職員の育児参加や両立支 援制度の活用促進を図ることも必要である。 また、今後は、男女を問わず、育児のみ でなく介護責任を担う職員が増加すると想 定され、公務の職場全体が、時間や場所に 制約があっても引け目を感じることなく勤 務を継続できる環境を整備していくことが 重要となる。このため、より多くの職場で のテレワークの導入や職員のフレックスタ イム制の活用等、柔軟な働き方の実現に取 り組む必要がある。 なお、仕事と家庭の両立支援策が十分機報 能するためには、制度を整備するのみでな院 く、当該制度やその活用方法等の周知、職人 号 員が相談できる体制整備等も重要となる。 月 特に介護については、介護をしていること 自体を周囲に伝えていない職員も多いた め、介護サービスや介護のための両立支援 制度について、職員を対象とするセミナー の開催等により積極的に周知するととも に、両立について具体的に相談できる場を 提供する等の取組も進めていく必要がある。 また、職員が実際に両立支援制度を利用 できるようにするためには、勤務できない ときの仕事を他の職員により円滑にカバ 1 する体制の整備も必要である。 人事院においても、平成一一八年四月から、 産前産後休暇に引き続き育児休業を取得す る職員の代替職員の公募・採用の手続を円 滑に行うことができるよう制度を整備し た。今後とも、両立支援制度の利用促進に 向けて、産前産後休暇等の取得実態に応じ た定員の拡充や任期付職員等の各種代替職 員制度の活用が進むよう、政府全体として 取り組む必要がある。 介護に係る制度についても、今後の職員 の介護の状況や各府省におけるニ 1 ズ等に より、必要な代替要員を確保し得る制度に ついて検討することが考えられる。 さらに、職員の働きやすい環境を整備す るに当たっては、管理職員の意識改革を行

4. 人事院月報 2016年07月号

国家公務員の在職状況 ( 年齢 . 第 1 章 、人員構成 ) の変化と課題 員 公 国家公務員の在職状況の 第 1 節 変化 成 国の行政機関には、本府省 ( 府、省、委 員会、庁等 ) 、審議会等、施設等機関、特 別の機関、地方機関 ( 地方支分部局 ) があ が大量に定年退職していくことになり、こ る。このうち本章では本府省と地方 のままの姿で一一〇年後を想定すると、公務機関の在職状況に焦点を当てて考察 で経験を積んだ管理職員やべテラン実務者することとする。本府省では制度の が極めて少なくなることになる。 企画・立案、予算業務、対外的な政 本報告では、このような年齢別人員構成策等の調整、国会対応業務、国際業 の偏りがなぜ生じてきているか、とりわけ務等を行っており、地方機関では主 として制度や予算の執行に関する事 若年層が極端に少ない人員構成が公務の人 事管理や業務遂行にどのような影響を与え務を行っている。それらに勤務する 国家公務員の人事管理もそれぞれの ているのか、また、各府省はそれに対しど のような取組を行っているのかについて考行政ニーズに応じて運用されている。 本節では、国家公務員の在職状況 察し、各府省がこのような人員構成上の偏 について、全組織、本府省、地方機 りに対応するための人事管理上の課題を抽 関のそれぞれの特色等を見てみるこ 出した上で、一〇年後、一一〇年後の公務の ととする。 在り方を見据えて能率的で活力ある公務組 織を維持していくための対応について、現 時点で考えられる種々の問題提起を行うこ ととしたい。 表 全組織 俸 政 行 国の全組織に勤務する一般職国家 組 公務員のうち一般の行政事務を行っ 全 ている常勤の行政職俸給表曰適用職 員の平成一一七年における年齢階層別 職 の在職者数を一〇年前 ( 平成一七 年 ) と比較したのが図 1 である。 年 図 1 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 平成 27 年 14L697 人 平成 1 7 年 169.697 人 1 000 1 2 ′ 000 9 ′ 000 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 32 34 36 20 30 19 59 以上 51 53 57 55 43 45 47 35 37 39 41 33 ( 歳 ) ( 注 ) 国家公務員給与等実態調査は、毎年 1 月 15 日現在の在職者 ( 1 月 16 日から 4 月 1 日までの間の定年退職者及び離職者並びに再任用職員等を除き、年齢は当該年 の 4 月 1 日時点の満年齢とする。 ) を対象としている ( 以下同じ。 ) 。 8 05 人事院月報洳 .803

5. 人事院月報 2016年07月号

平成 28 年公務員白書 年齢別在職状況・地方機関 ( 行政職俸給表 ( ー ) ) 特集 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 10P00 ー平成 27 年 ー平成 17 年 4000 平成 27 年 102258 人 平成 17 年 131.350 人 2 ′ 000 58 60 59 以上 ( 歳 ) 54 56 55 57 38 40 42 44 46 48 50 51 39 43 47 49 24 26 25 27 19 20 以下 21 地方機関 ( 地方支分部局 ) 各府省の地方機関における行政職俸給表曰 適用職員の年齢階層別の在職者数について、 平成一一七年と平成一七年を比較したのが図 3 である。 地方機関においては本府省と異なり、平成 一七年の時点では三〇 5 三三歳辺りをピーク とする山と四〇 5 四五歳辺りをピークとする 山が存在していた。これら一一つの山が、平成 一一七年の時点で、前者は四〇 5 四三歳辺りを ピークとする山、後者は五〇 5 五五歳辺りを ピークとする山にそれぞれシフトしている。 また、この間、在職期間の長期化等の影響に より五〇歳以上の在職者数は五六・五七歳を 除いて年齢階層ごとに一、五〇〇 5 一一、〇〇 〇人程度増加しているのに対し、四〇 5 四九 歳にはその影響が及ばず、在職者数は増加し ていない。一方、一九歳 5 三九歳の在職者数 は、新規採用者の減少等により三〇・三一歳 で約七、〇〇〇人減少するなど計約三万五、 〇〇〇人減少している。こうした年齢別人員 構成の変化により、地方機関で勤務する行政 職俸給表曰適用職員の平均年齢は四・一歳上 昇している ( 四〇・六歳↓四四・七歳 ) 。 さらに、多くの府省において定員削減や新 規採用抑制の目標が地方機関に傾斜的に配分 されてきたことや、平成一一一年末に社会保険 庁 ( 地方機関在職者は約一万六、〇〇〇人 ) が廃止されたこと等により、地方機関全体と して行政職俸給表曰の在職者数は大幅に減少 している ( 平成一七年一三一、三五〇人↓平 成二七年一〇一「二五八人 ) 。 在職状況が変化した要因 前記のように、本府省における在職状況を 全府省合計のデータでみると、高齢層在職者 の増加は認められるが、若年層の採用も毎年 一定数が確保されており、本府省における年 齢別の在職状況は一応バランスがとれたもの となっている。 一方、地方機関における年齢別人員構成は、 四〇歳以上の在職者においては五〇歳台前半 の在職者が増加しているのを除くと大きな変 化はみられないが、四〇歳未満の在職者数は 大幅に減少しており、一〇年前とは全く異 なっている。五〇歳台の在職者数が増加した 背景には、戦後の急激な行政機構の拡大等に 伴い大量採用した職員が昭和五〇年代から平 成初頭にかけて退職し、その後補充のために 採用された世代が現在四〇歳台や五〇歳台に 差し掛かっていることや、退職管理の見直し に伴う在職期間の長期化により五〇歳台の早 期退職者数が減少していること等が挙げられ る。 報 また、三〇歳台以下の在職者が大幅に減少院 事 している背景には、在職期間の長期ヒこ半、 0

6. 人事院月報 2016年07月号

平成 28 年公務員白書 ・ A 地方機関の例 IO 年前と比べて、若年層から中堅層への人員構成上の山のシフトや在職期間長期化により 30 歳台後 半以上の在職者数は増加しているが、近年の採用抑制等の影響により 20 歳台半ば ~ 30 歳台半ばの在職 者数が減少している地方機関の例 在 職 者 数 特集 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 49 39 43 47 51 60 ( 歳 ) 58 59 56 57 54 55 52 53 36 37 34 35 32 33 30 引 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 1 9 B 地方機関の例 IO 年前と比べて、採用抑制等が長期間続いた影響で 50 歳未満の在職者数が大幅に減少しており、 50 歳以上の在職者数のみが人員構成上の山となっている地方機関の例 在 職 者 数 ー平成 27 年 ー平成 1 7 年 38 40 42 46 48 39 41 45 47 49 58 59 56 57 52 53 50 51 36 37 34 35 32 33 30 31 60 ( 歳 ) 54 55 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 19 よる長期病休者や離職者が発生す ると、職場の人手が更に不足して 周囲の職員にしわ寄せがいくとい う悪循環がある。 地方機関における課題 地方機関における人員構成の変 化の例 各府省の地方機関で勤務する行 政職俸給表曰適用職員の年齢階層 別の在職状況のうち、平成二七年と 平成一七年 ( 各年七月一日現在の在 職者 ) を比べた場合の人員構成の変 化が典型的な一一つの地方機関の例を 図 4 煉び図 5 に掲げる。 なお、今回聞き取りを行った八 省の一一地方機関のうち、 < 地方 機関と在職状況が類似の機関が五 つ、地方機関と類似の機関が一一 つ、一〇年前と比べて在職状況に それほど変化のない機関が四つで あった。 若年層が極端に少ない人員構成 が地方機関の人事管理等に与える 7 報 若年層が極端に少ない人員構成院 の偏りが地方機関の現場で人事管人

7. 人事院月報 2016年07月号

平成 28 年公務員白書 要な能力・資質を持っ職員を育成していく ためには、職員の能力・適性に応じて多様 な勤務機会を計画的に付与し、その勤務を 通じて人材を育成していくことを基本とし つつ、節目節目における執務を離れた研修 を有効に組み合わせることによりこれを補 完することが必要となっている。 他方、第 1 章で述べたように、各府省に おいては、職員の業務多忙により必要な研 修機会の付与を行う人事管理上の余裕がな い状況となっており、国家公務員としての 能力・資質の向上のために必要な研修受講 機会が職員に十分に提供されていない面も ある。人材育成がもたらす中・長期的な効 果を踏まえると、必須とすべき年間研修受 講日数を設定するなど、職員の研修受講機 会の確保のための取組も進めていく必要が ある。 多様な経験による人材育成・活用 職員の人材育成の観点からは、公務内外 において多様な経験を積ませることによ り、個々の職員の能力を伸ばしていくこと も重要である。このため、他府省、地方公 共団体、独立行政法人等への出向や官民人 事交流による民間企業等への派遣の機会の 拡充等を図ることが考えられる。また、グ ローバル化に対応できる人材を育成してい くためには、長期在外研究員制度等の活用 により留学の機会を確保するとともに、各 府省において職員の国際機関等への派遣の 機会を増やしていくことも重要である。 職員がその能力と経験を公務外で積極的 に活用することは、個々の職員のモチベー ションの向上にもつながることから、そう した観点からも、例えば、国際協力や国際 標準化、地方創生等の分野において、前述 のような機会の拡充を図ることが必要であ る。 諸外国における知識の継承のための取組 既に職員の大量退職期を迎えている英 国及び米国並びに今後迎えることとなる ドイツでは、職員の大量退職に伴って経 験知まで失われるおそれがあるとして、 次のような知識継承のための取組を行っ ている。なお、フランスでは、業務に必 要な知識やノウハウは公務員の採用・育 成・研修機関で習得するものと考えられ ており、世代間の知識の継承のための特 別な取組は行われていない。 べテラン・若手のペアで経験知の伝 授 ( 英国 ) 英国では業務の化が相当程度進ん でいるが、べテラン職員の知識・経験に は化できない業務があるため、職務 の継続上重要な知識・経験の継承が最も 大きな課題と考えられている。この課題 に対して、例えばいくつかの省庁では、 退職間際の職員や完全な退職ではなく部 分退職 (partial retirement) として短 時間勤務となった職員に、後任の若手職 員とペアを組ませることで、その経験及 びノウハウの伝授等を図っている。 2 段階的退職で後継者育成 ( 米国 ) 退職予定者からそのポジションを引き 継ぐ可能性のある若手職員に対する知識 の継承を確実に行っていくため、二〇一 四年に段階的退職 (phased retirement) が導入された。自発的退職の資格を有し、 かっ、組織として残すべき必要な知識・ 経験を有する職員が、週一一〇時間のパー トタイムでそれまでの業務を継続しなが ら退職に移行する制度であり、一一〇時間 のうち少なくとも一一〇 % は、知識の継承 のための指導や研修を行うこととされて また、退職予定者から若手職員に対す るメンタリングによる知識の継承も活用 されている。 3 暗黙の知識の継承策 ( ドイツ ) ドイツでは、連邦の全ての官庁で一一〇 一五年半ばまでに知識の継承措置を策定 することとされたことから、例えば連邦 33 人事院月報 803

8. 人事院月報 2016年07月号

平成 28 年公務員白書 : 仕事の量が多く過剰な負担となっているか 特集 ( n = 1 , 691 ) ( 単位 : % ) 100 全年齢 30 歳未満 30 ~ 39 歳姦き 40 ~ 49 歳、を 14 1 50 歳以上 32.4 41.3 10.5 、 15.8 32.7 35.1 14 コ 29.3 38.1 22.8 53.1 40.9 38.0 、 そうだどちらかといえばそうだ - どちらかといえば違う 12.0 「教え手となるべき年齢層の人手不足・多忙 のため、育成まで手が回らない」を挙げた者 の割合が高い ( 五八・五 % ) 。また、総じて 高齢層ほど世代間のギャップを感じている者 の割合が高く、逆に三〇歳未満では「特に問 題を感じていない」とする者の割合が高い。 再任用職員に期待することに ついて ( 図 9 ) 同じ職場で共に働く再任用職員に期待する ことについては、いずれの世代においても、 「知識・経験を後輩に継承すること」を挙げ た者の割合が最も高く ( 六二・四 % ) 、次い しと で「後輩と同じ仕事も厭わず行うこと」、「職 場において相談役の役割を果たすこと」が高 い ( それぞれ五〇・九 % 、四八・七 % ) 。 まとめ 今回のアンケート結果からは、次のような 職員の意識、職場の課題が読み取れる。 ア多くの職員が職場での年齢構成の偏りを 感じており、特に本府省以外 ( 地方機関等 ) に属する職員はその割合が高くなっている。 イ一一〇 5 三〇歳台の職員の割合が少ないこ とにより生じる問題については、技能・経 験の継承が困難になる、組織能率が低下す る、部下を持っ経験が遅くなることでリー ダ 1 としての能力が養いにくくなると考え ている職員が多い。 ウ三〇 5 四〇歳台の職員は、他の世代と比 べて仕事の負担感を感じている割合が高い。 工年齢構成の偏りの影響で、本来若年層を 教育・指導する立場にある年齢層が人手不 足や多忙のため育成まで手が回らない実態 がある。また、教え手と若年層の年齢差が 拡大しており、特に高齢層の職員において 世代間ギャップにより若年層の育成に困難 性を感じている者の割合が高い オ再任用職員に対しては、定年前の職員か ら、知識・経験の後輩への継承や後輩と同 じ仕事も厭わずに行うこと、職場での相談 役の役割などが期待されている。 7 / 人事院月報 .803

9. 人事院月報 2016年07月号

ションの維持」が最も多く、次いで「経験 や能力と仕事のマッチング」、「定年時点で の職員のマインドの転換」が挙げられた。 そのほかでは、「処遇への納得感の向上」 や「職場での良好な人間関係の確保」が挙 げられた。 ⑥地方公共団体における特徴的な取組 今回の調査対象団体で年齢構成の偏りに 対応して行われている特徴的な取組とし て、次が挙げられる。 ( 人材確保 ) ア年齢構成の凹みを埋めるため、経験 者採用や社会人採用の年齢制限撤廃等 による中途採用の拡大、人事評価制度 等を活用した若い世代の優秀者の選 抜・登用などの取組が行われている。 ( 人事管理や人材育成 ) イ若い職員の専門性を強化するため、 採用後早い段階で職員自身に特定の専 門分野を選択させ、その分野を基軸に 人事異動を行う取組が行われている。 ウ各職場における人材育成 (0-+") を強化するため、各班に「 O-+«リー ダー ( 原則班長 ) 」を設置して組織全 体で班員を育てる取組や、新任主査級 職員 ( 三六 5 四〇歳前後 ) を対象に 「ジュニアボード」を各部局に設置し ( 再任用職員の本格的活用 ) オ再任用職員を戦力として活用するた め、フルタイム・短時間勤務を問わず、 できるだけライン職に組み込むととも に、再任用職員向けの研修の充実を図 るなどの取組が行われている。 て五人程度で各部局の政策課題や組織 運営課題を検討・実践し、高い成果に は知事表彰を与えるなどの取組が行わ れている。 工中堅層・高齢層のモチベーションを 維持するため、スタッフ的なポストを 増設し、これらの職員に若手職員の育 成・指導を含め様々な役割を担わせる ことや、係長級昇任試験について従来 の三〇歳台、四〇歳台の区分に加え、 五〇歳台の職員を対象とする区分を新 設すること等の取組が行われている。 2016 7 月号人事院月報 26

10. 人事院月報 2016年07月号

人事院は、公務の民主的かっ能率的な運題、特に、人材の確保及び育成、柔軟で多特別テーマとして「在職状況 ( 年齢別人員 営を国民に対し保障するという国家公務員様な働き方の実現、勤務環境の整備等に対構成 ) の変化と人事管理への影響」と題 し、国家公務員の在職状況に偏りが生じて 法の基本理念の下、人事行政の公正の確保応した人事施策の策定・推進に取り組んで いくことが重要であると考えており、今後 きている要因、とりわけ若年層が極端に少 と職員の利益の保護等その使命の達成に努 め、人事行政の面から我が国の行政の一翼 とも人事行政の公正の確保及び労働基本権ない人員構成が各府省の人事管理や業務遂 制約の代償機能を担う第三者・専門機関の 行に与える影響、それに対する各府省の取 を担ってきており、人事院勧告制度をはじ 組について考察し、能率的で活力ある公務 めとする公務員制度は、行政運営の基盤と 責務として、適切にその役割を果たしてい 組織を維持していくための対応について記 して重要な機能を果たしてきた。 く所存である。 述している。第三部では、平成一一七年度の 人事院の業務状況について、各種資料を掲 本報告書の構成は、一一編からなり、第一 行政においては、経済の再生や地方の活 編は「人事行政」全般について、第二編は載して詳細に記述している。 性化等の複雑・高度化する課題に迅速かっ 「国家公務員倫理審査会の業務」の状況に 的確に対応していくことが求められている 本報告書により、人事行政及び公務員に ついて記述している。このうち第一編は三 が、退職管理の見直しゃ採用抑制等により、 行政を担う国家公務員の在職状況が変化し部からなり、第一部は、適正な公務員給与対する理解が一層深まることを願うもので ており、これに対応していくため、関係各を確保するための給与勧告等、職員の勤務ある。 環境を整備するための各施策、多様な人材 方面が連携し、中・長期的な視点も踏まえ、 の確保・育成等のための取組、人事行政分 それぞれの役割を適切に果たしていくこと が必要となっている。人事院としては、将野における国際協力及び化の推進など 平成一一七年度における人事行政の主な動き 来にわたって能率的で活力ある公務組織を について記述している。次いで第一一部では、 確保する観点から、現下の人事行政の諸課 2016 7 月号人事院月報 02