書 白 員 務 公 〉 8 2 成 れているが、現状では、希望に反して短時 間勤務となる再任用職員が一定割合存在す るほか、再任用職員の職務が補完的である といった状況となっている。しかしながら、 特に地方機関では若年層や組織によっては 中堅層までも極端に少ない人員構成となっ ている状況において、今後二〇年間にわ たって多くの職員が定年に達することにな る。そのため、高齢層が過去から蓄積して きた行政の現場における技能やノウハウの 散逸が懸念されており、行政の継続性の観 点から中堅層や若年層への継承が課題と なっている。こうした中で、国においても 民間企業と同様にフルタイム中心の勤務を 実現することを通じて、再任用職員の能力 及び経験を職務執行の中で本格的に活用し ていくことが不可欠である。再任用職員に とっても、現在のような補完的な再任用の 運用では、公務能率や職員の士気の低下、 生活に必要な収入が得られないなどの問題 が深刻化するおそれがある。 また、平成三八年度にかけて年金支給開 始年齢が段階的に六五歳に引き上げられる ことにより、今後、各府省においては、再 任用希望者が増加していくことが見込まれ ること等を考慮し、それぞれの定員事情や 人員構成の特性等を踏まえた計画的な人事 管理に努めるとともに、当面、再任用職員 の能力及び経験を有効に活用できる配置や 組織内での適切な受入体制の整備等を進め る必要がある。これらの取組に当たっては、 民間企業と異なり国の場合は厳格な定員管 理があるため困難な面もあるが、前記のよ うな問題に対応する必要性が高まっている ことから、フルタイム中心の勤務の実現に 向けた一層の工夫が求められる。 将来の行政を担う新規採用者について 中・長期的に人員構成を平準化するために 必要な数を毎年確保しつつ、人員構成上の 山を形成している高齢層職員が今後大量に フルタイム勤務を希望した場合の過渡的な 定員増に対応できるよう、例えば、向こう 数年間過渡的に必要となる定員数を算出し て前倒しで措置し、毎年必要数に限り使用 を認めるとともに、不要となった際には回 収するような定員上の工夫について検討が 必要である。 人事院としては、引き続き公務内外にお ける高齢期雇用の実情等の把握に努めつ つ、各府省において再任用職員の能力及び 経験の一層の活用が図られるよう取り組む とともに、意見の申出を踏まえ、雇用と年 金の接続の推進のため、関連する制度を含 め、適切な措置がとられるよう、引き続き 必要な対応を行っていくこととしたい。 再任用職員の本格的活用に向けた取組 各府省における再任用職員としての採用 については、定員上の制約から希望に反し て短時間勤務となるものを除けば職員の希 望に応じて行うことが基本であり、また、 その職務は、定年時における役職や級格付 に応じて係長級や係員に機械的に決定され る場合がほとんどとされる。現在、再任用 に関しては、定年時点でのマインドの転換 やモチベーションの維持、経験や能力と仕 事のマッチング、職場での人間関係等が各 府省において課題となっている。このため、 今後、再任用を本格的に活用するためには、 各府省が再任用を行うに際し、再任用後の 役割や処遇を研修の機会等を通じて人事担 当部局から情報提供し、意識の切替えを促 していくことや、再任用希望者一人一人の 能力や適性をしつかりチェックした上で任 用を行うことが大切である。人事院として も、各府省がこうした研修を円滑に実施で きるようどのような支援が可能か検討して いきたい。 あわせて、再任用を希望する職員に対し ては、再任用後に期待される役割や心構え 等について、定年前の段階から十分に理解 させておくとともに、再任用職員を受け入 れる部署においても、再任用職員の能力及 び経験の本格的活用に向けて管理職員等の 意識改革に取り組むことなどにより、再任 用職員の意欲の向上を図ることが重要であ る。また、各府省において再任用後の勤務 実績に応じてより上位の職務の級に格付す報 月 院 ること等も考えられる。 なお、再任用職員を本格的に活用するた人 9 3
特に高齢層の山が抜けた後は、再任用者 との調整を図りつつ、空いた定員の枠を 使ってできるだけ新規採用を増やしたい としている。なお、その際の課題として、 各府省は、地方機関において必要な定員 を確保すること及び若者の地元志向や長 時間労働を忌避する傾向がある中で質を 維持しながらどれだけの人数を確保でき るかということを挙げている。 また、必要な定員の確保に当たっては、 高齢層の山の定年退職を待たずに、職員 の外部出向や早期退職募集制度の募集拡 大によって新規採用のための枠を広げた いという府省もある。 イ業務の効率化・集約化・民間委託等 各府省は、行政需要が増大する中で、 地方機関における組織・定員の合理化に 伴う若年層を中心とする職員数の減少に 対応するため、この一〇年間においても、 管理部門等の業務の効率化や集約化、各 種業務の電子化、手続や資料の簡素化等 の取組を進めてきている。さらに、かっ ては若年層職員が担っていた定型的業 務、秘書業務等を係員が減った穴埋めと して非常勤職員で代替したり、現場の事 務・事業を民間事業者やコンサルタント 会社などにアウトソーシングしたりする などにより大幅な業務合理化の取組が進 められてきている。 これらの取組に関し、非常勤職員につ いては、職員団体から雇用の安定や処遇 の改善を求める要望があり、現場で課題 となっている府省もある。また、アウト ソーシングについては、事務・事業を外 注化することが組織としての技能やノウ ハウの流出にもつながり、その維持・継 続にも影響を及ぼしかねないところにま で来ているとの見方もある。 ( ※ ) 非常勤職員の在職状況は、「一般 職国家公務員在職状況統計表」 ( 内閣人事局 ) によると、全体で 一四〇、一一一一人 ( 事務補助職員 ( 二二、五四一人 ) のほか、統計 調査職員 ( 七、六〇六人 ) 、委員 顧問参与等職員 ( 二二、四六二 人 ) 、保護司 ( 四七、五九九人 ) 、 水門等水位観測員 ( 四、一一一八九人 ) 等を含む。 ) 。そのうち、規則八ー 一一一 ( 職員の任免 ) 第四条第一三 号の期間業務職員が一一九、三一〇 人である ( 人数は平成一一七年七月 一日現在 ) 。 ウ再任用の活用 地方機関における再任用の活用につい ては、府省によって考え方に違いがある が、将来的に年金支給開始年齢が六五歳 になることを踏まえ、今後フルタイム勤 務希望者の増加が見込まれるため、多く 報 の府省では、再任用職員がモチベーショ 月 ンを維持しつつ、中核的・本格的な仕事院 を担うことで、定年前と同様に堅実な業人 務遂行に当たらせる必要があると考えて いる 一方、当面の課題としては、多くの地 方機関において高齢層職員の退職ととも に技能やノウハウが散逸することに対す る危機感が強いことから、若年層や中堅 層の職員への技能・ノウハウの継承、後 輩の育成・相談、仕事の質の維持のため、 再任用職員を積極的に活用したいと考え ている府省が多い。特に前掲の地方機 関のような人員構成にある場合、高齢層 職員の退職とともに五 5 一〇年後には技 能やノウハウが散逸してしまうとの危機 感が強く、再任用職員による技能・ノウ ハウ継承の役割に対する期待が高い。他 方で、空き定員はまずは新規採用枠に充 てるとの考え方も多く、再任用短時間勤 務職員は現場での調査要員など人手不足 を補うためのマンパワーと割り切って活 用している府省もある。 また、各府省は、フルタイム再任用を 本格的に活用するための課題として、再 任用職員の定年時点でのマインドの転換 やモチベーションの維持、経験や能力と 仕事のマッチング、職場での人間関係等 を挙げており、そのためには再任用に際 しての能力・適性のチェックと職員のモ
平成 28 年公務員白書 三月上旬までにかけて、職員の年齢別人員構 成に特色があり、国と同様の問題意識を有し ている六つの地方公共団体を対象に、一般行 政職職員の在職状況及び年齢別人員構成を適 正化するための取組等について聞き取り調査 を行った。結果の概要は次のとおりである。 年齢別人員構成の状況 各年齢層の割合の変化については、一〇 年前と比べて、新規採用者数の回復に伴い 「三〇歳未満」が増加するとともに、再任 用者数の増加により「六〇歳以上ーが増加 したとする団体が多い。一方、新規採用抑 制等が行われた年齢層である「三〇 5 三九 歳」が減少したとする団体が多い 次に、各団体において、本来必要と考え る職員数よりも実際の職員数が多い年齢層 ( 以下「職員数が多い年齢層」という。 ) 及び本来必要と考える職員数よりも実際の 職員数が少ない年齢層 ( 以下「職員数が少 ない年齢層」という。 ) については、前者 は「五〇 5 五九歳」が最も多く、次いで 「四〇 5 四九歳」が多い。一方、後者は「三 〇 5 三九歳」が最も多く、次いで「三〇歳 未満」が多い。 年齢別人員構成に偏りを生じた原因 前記①で述べた職員数が多い年齢層が生じ た原因としては、「バブル期の採用拡大」な ど過去の一時期における大量採用を挙げた団 体が多い。一方、職員数が少ない年齢層が生 じた原因としては、「過去の採用抑制」や 「職員数の削減」を挙げた団体が多い。 ③職員の年齢別人員構成の偏りによる影響 ア職員数が多い年齢層があることによる 影響 職員数が多い年齢層があることによる 影響については、職員数が多い年齢層及 びその下の年齢層における「昇任・昇格 の遅滞」や、職員数が多い年齢層の「モ チベーションの低下」及び「計画的な育 成が行えない」を挙げた団体が多い。 イ職員数が少ない年齢層があることによ る影響 職員数が少ない年齢層があることによ る影響については、職員数が少ない年齢 層の「計画的な育成が行えない」、「昇 任・昇格候補者や幹部要員の不足ー及び 「業務量の増加」を挙げた団体が多い。 また、中堅層や高齢層から職員数が少な い若手・中堅層への「技能継承ができな い」を挙げた団体が多い。 ④職員の年齢別人員構成の偏りが生じてい ることへの対応 ア職員数が多い年齢層があることへの対応 職員数が多い年齢層があることへの対 応については、「昇任・昇格における厳 格な選抜」や「新たな職を設置して中堅 層・高齢層の職員を配置」のほか、早期 退職の勧奨やその際の退職金割増率の引 上げ、勧奨退職年齢の早期化などの取組 が行われている。 イ職員数が少ない年齢層があることへの 対応 職員数が少ない年齢層があることへの 対応については、「新規採用の拡大」、 「中途採用の拡大」及び「研修の充実」 を挙げた団体が多い。そのほか、「再任 用職員の活用」、「非常勤職員の活用」、 「任期付職員の活用」、「業務の民営化・ 外部委託等の推進」、「昇任・昇格におけ る厳格な選抜」、「抜擢人事の推進」、「給 与制度・人事制度の見直し」などの取組 が行われている。 ⑤再任用職員の活用 再任用職員に期待することについては、 「知識・経験の後輩への継承」、「職場にお ける相談役」及び「一担当者としての着実 な業務遂行」を挙げた団体が多い。そのほ か、「知識・経験をいかした高いパフォー マンス」、「職場内での円滑なコミュニケー ション」及び「仕事への高いモチベーショ 報 ン」が挙げられた。 一方、再任用職員の活用に際して困難を院 事 人 感じていることについては、「モチベー 5 2
身等の強化を政府一体となって進めてい くことを目的として、各省の業務計画や 上級管理職 (Senior Executive Service (næn)) の業績評価の評価項目の中 に、職員の職務への献身等に対する責任 が盛り込まれている。 また、これまでは専門性をいかして一 つの分野の専門家として昇進していくの が通常であったが、年代に応じてその考 え方は変わってきており、ミレニアルズ と言われる一一〇歳台から三〇歳台の職員 は、同じ業務に長く携わり専門性をいか して直線的に昇進するのではなく、様々 なポジションで幅広い経験や知識を蓄積 することにより、複雑化する課題にチャ レンジする能力を身に付けたいという希 望が強いと言われており、省内での異動 あるいは省をまたいだ異動を促進するこ とにより、職員のモチベーションの向上 に努めている。 2 縦方向だけではないキャリアパス ( ドイツ ) 職員の高齢化が進む中で、管理職や幹 部職のポストには限りがあり、縦方向へ のキャリアパスが難しくなってきている ため、各職員の希望に応じて能力開発の 機会を与える、専門家やプロジェクトの リーダーにする、長期にわたる同一ポス ト在任者に異動を促す、上司が部下の業 績をフィ 1 ドバックすゑ部下と定期的 に面談をするなど、あらゆる手段を用い て職員のモチベーションの維持・向上に 努めている。 3 就職後の専門分野の変更 ( 英国 ) 従来、一度就職すると同一専門分野や 同一勤務先に退職まで勤務することが一 般的であったが、最近の若い世代は就職 後に専門分野や勤務先の変更を望む者も 多い円そのため、ハ ム務部内において、職 務への専門性がそれほど強く求められな い係長レベル以下のポストで分野変更を 認めることにより、若い世代のモチベー ションの維持を図っている。 4 キャリア形成の専門家による支援 ( フランス ) 各省においては、職員からの要望に応 じて個別に面談を行いいキャリア形成に おいて助言を与えるキャリア・モビリ ィー・アドバイザーが配置されてい る。全職員を対象にしたものであるが、 モチベーション維持のために、とりわけ 中・高年齢層の職員はキャリア◆モビリ ティー・アドバイザーとの面談が推奨さ れている。アドバイザーは、個々の職員 再任用の活用に関する課題 第 1 章で述べたように、将来的に年金支給 開始年齢が六五歳になることを踏まえ、多く の府省では、今後、再任用職員のモチベーショ ンを維持しつつ、中核的・本格的な仕事を担 わせることで、定年前と同様に堅実な業務遂 行に当たらせる必要があると考えている。一 方で、各府省は、フルタイム再任用を本格的 に活用するための課題として、再任用職員の 定年時点でのマインドの転換やモチベーショ ンの維持、経験や能力と仕事のマッチング、 職場での人間関係等を挙げており、そのため には再任用に際しての能力・適性のチェック と職員のモチベーションの維持が重要である としているほか、新規採用も一定数を確保で きるよう必要な定員を過渡的に措置すること が必要であるとしている。 フルタイム再任用の本格的活用に資する 定員上の工夫 現在、国家公務員の雇用と年金の接続は、 当面の措置として、再任用希望者を原則と してフルタイム官職に再任用するものとさ へキャリアパスを助言し、異動を促し、 空席公募のための経歴書や志望動機書の 書き方、面接の指導も行っている。 2016 7 月号人事院月報 38
ションの維持」が最も多く、次いで「経験 や能力と仕事のマッチング」、「定年時点で の職員のマインドの転換」が挙げられた。 そのほかでは、「処遇への納得感の向上」 や「職場での良好な人間関係の確保」が挙 げられた。 ⑥地方公共団体における特徴的な取組 今回の調査対象団体で年齢構成の偏りに 対応して行われている特徴的な取組とし て、次が挙げられる。 ( 人材確保 ) ア年齢構成の凹みを埋めるため、経験 者採用や社会人採用の年齢制限撤廃等 による中途採用の拡大、人事評価制度 等を活用した若い世代の優秀者の選 抜・登用などの取組が行われている。 ( 人事管理や人材育成 ) イ若い職員の専門性を強化するため、 採用後早い段階で職員自身に特定の専 門分野を選択させ、その分野を基軸に 人事異動を行う取組が行われている。 ウ各職場における人材育成 (0-+") を強化するため、各班に「 O-+«リー ダー ( 原則班長 ) 」を設置して組織全 体で班員を育てる取組や、新任主査級 職員 ( 三六 5 四〇歳前後 ) を対象に 「ジュニアボード」を各部局に設置し ( 再任用職員の本格的活用 ) オ再任用職員を戦力として活用するた め、フルタイム・短時間勤務を問わず、 できるだけライン職に組み込むととも に、再任用職員向けの研修の充実を図 るなどの取組が行われている。 て五人程度で各部局の政策課題や組織 運営課題を検討・実践し、高い成果に は知事表彰を与えるなどの取組が行わ れている。 工中堅層・高齢層のモチベーションを 維持するため、スタッフ的なポストを 増設し、これらの職員に若手職員の育 成・指導を含め様々な役割を担わせる ことや、係長級昇任試験について従来 の三〇歳台、四〇歳台の区分に加え、 五〇歳台の職員を対象とする区分を新 設すること等の取組が行われている。 2016 7 月号人事院月報 26
平成 28 年公務員白書 : 仕事の量が多く過剰な負担となっているか 特集 ( n = 1 , 691 ) ( 単位 : % ) 100 全年齢 30 歳未満 30 ~ 39 歳姦き 40 ~ 49 歳、を 14 1 50 歳以上 32.4 41.3 10.5 、 15.8 32.7 35.1 14 コ 29.3 38.1 22.8 53.1 40.9 38.0 、 そうだどちらかといえばそうだ - どちらかといえば違う 12.0 「教え手となるべき年齢層の人手不足・多忙 のため、育成まで手が回らない」を挙げた者 の割合が高い ( 五八・五 % ) 。また、総じて 高齢層ほど世代間のギャップを感じている者 の割合が高く、逆に三〇歳未満では「特に問 題を感じていない」とする者の割合が高い。 再任用職員に期待することに ついて ( 図 9 ) 同じ職場で共に働く再任用職員に期待する ことについては、いずれの世代においても、 「知識・経験を後輩に継承すること」を挙げ た者の割合が最も高く ( 六二・四 % ) 、次い しと で「後輩と同じ仕事も厭わず行うこと」、「職 場において相談役の役割を果たすこと」が高 い ( それぞれ五〇・九 % 、四八・七 % ) 。 まとめ 今回のアンケート結果からは、次のような 職員の意識、職場の課題が読み取れる。 ア多くの職員が職場での年齢構成の偏りを 感じており、特に本府省以外 ( 地方機関等 ) に属する職員はその割合が高くなっている。 イ一一〇 5 三〇歳台の職員の割合が少ないこ とにより生じる問題については、技能・経 験の継承が困難になる、組織能率が低下す る、部下を持っ経験が遅くなることでリー ダ 1 としての能力が養いにくくなると考え ている職員が多い。 ウ三〇 5 四〇歳台の職員は、他の世代と比 べて仕事の負担感を感じている割合が高い。 工年齢構成の偏りの影響で、本来若年層を 教育・指導する立場にある年齢層が人手不 足や多忙のため育成まで手が回らない実態 がある。また、教え手と若年層の年齢差が 拡大しており、特に高齢層の職員において 世代間ギャップにより若年層の育成に困難 性を感じている者の割合が高い オ再任用職員に対しては、定年前の職員か ら、知識・経験の後輩への継承や後輩と同 じ仕事も厭わずに行うこと、職場での相談 役の役割などが期待されている。 7 / 人事院月報 .803
職場での若年層の育成についてどのような問題を感じているか ( 複数回答 ) ( n = 1 , 691 ) ( 単位 : % ) 7. ′ 0 - ) 4 ・つっム 4 ー 63.6 62.0 60.7 58.5 47.0 25.7 ー 333 30.9 24 : 8 ー ー 25.4 ー 18.5 21.6 23.0 18.0 17.7 17.7 16.9 ーー 15.0 ー 14.6 ー ー 14 ; 1 ー 13 す 14.4 12.9 30 歳未満 30 ~ 39 歳 40 ~ 49 歳 教え手となるべき年齢層の人手不足・多忙のため、育成まで手が回らない = 若年層と教え手との年齢の開きが大きく、仕事に対する姿勢や考え方が違う - 世代を超えたコミュニケーションが円滑にいっていない - その他 - 特に問題を感じていない 全年齢 50 歳以上 同じ職場で共に働く再任用職員に期待すること ( 上位三つまで ) ( n = 1 , 691 ) ( 単位 : % ) 70 50 40 30 20 1 0 0 60 知識・経験を後輩に継承すること 職場においてリーダー的役割を果たすこと 職場において相談役の役割を果たすこと どの世代とも円滑に コミュニケーションできること 知識・経験をいかして高い パフォーマンスを発揮すること 仕事に対して高い意欲を有すること 後輩と同じ仕事も厭わず行うこと その他 全年齢 30 歳未満 - 30 ~ 39 歳 - 40 ~ 49 歳 50 歳以上 7 8 2016 7 月号人事院月報
平成 28 年公務員白書 の際、国家公務員として働くことの魅力を 積極的に伝えていくこととする。あわせて、 経験者採用試験から有為な人材を採用して いくためには、当該試験が採用に結び付く 試験であるということを各府省が必要とす る人材層に認識してもらう必要がある。こ のため、一定数の採用者を恒常的に確保し ていくことが重要であり、人事院としては 経験者採用試験を活用した中途採用者の着 実な採用を各府省に促していくこととする。 また、中途採用者については、新規学卒 者を主体としたこれまでのキャリアパスに はまりにくいことから、採用する側にとっ ては採用後の人事管理が難しく、また、採 用される側からは採用後のキャリアパスが 明確でないという課題もある。このため、 中途採用者に対して、その職務経験や専門 性を考慮して当初の配置を行い、その後、 能力・適性に応じて新規採用者とは異なる 適切なキャリアパスを用意するなどの各府 省の取組が求められる。 人事院としても、中途採用職員に対し、 採用直後の研修において「国民全体の奉仕 者」として求められる服務規律に関する知 識、公務員としての倫理感の徹底等を図り、 かん 全体の奉仕者としての使命感の涵養を行っ ていくこととしている。また、採用後一年 経過時等の節目において、自分と同じよう な境遇にある中途採用職員と所属部局を超 えて経験や悩みを共有していく機会がある ことは、組織での定着やモチベーションの 向上に寄与すると考えられる。このため、 節目節目における中途採用職員を対象とす る研修の在り方についても検討を進める。 諸外国における人材確保のための取組 人材の確保はいずれの国においても重 要な課題となっているが、ここでは米国 及びドイツにおける特徴的な取組を紹介 する。 公務の魅力向上策 ( 米国 ) 主な取組の一つとして、職員の採用に 当たり、専門性や経験を考慮して給与を 高くしたり、連邦政府から貸与を受けた 学生ローンを一定額まで肩代わりしたり しており、これらのインセンテイプに対 する学生の関心は高い。 最近の取組としては、特に人材不足と なっている科学、技術、工学及び数学 (Ø 分野の専門家を採用するための 取組として、優秀な大学院修了者を確保 するための「大統領研修員計画」に、 分野の修了者を対象とした枠 (track) が二〇一四年に設けられた。 これにより、各省は、分野の将 来のリーダーとなり得る候補者を見付け やすくなり、学生側としても、連邦政府 職員の育成・活用に関する課題 報 各役職段階に応じた行政官として必要な能院 カ・資質を持っ職員を育成していくために人 3 内で自分の能力をいかせる仕事を見付け ることが容易になると言われている。 2 定員上の工夫で重複配置 ( ドイツ ) 前任者が退職する以前に後任者を採用 するための定員上の工夫として、「将来 的に廃止される (künftig wegfallend) 」 条件付きの定員が活用されており、一一〇 一六年度からは定員プールも導入された ( 連邦政府全体で将来廃止予定定員五〇 〇人 ) 。メリットとしては、高齢層の山 の世代の大量退職が始まる前に新規採用 の時期を前倒しできること、ノウハウ継 承の手段として一時的に同一ポストに職 員を重複して配置できること、また、定 員プールを利用すれば継続的な定員増を 回避できること等が挙げられている。 このほか、幹部候補となる職員の任用 要件の緩和も検討されているが、要件の 引下げは公務の質の低下につながりかね ない等の理由から、人材確保が極めて難 しい職種に限って要件を一部緩和する方 向で調整が進められている模様である。
財務省では ( 年齢構成地図 ( と ( er の一目色 を作成し、毎年、」継承しなければならな い知識の有無を把握・分析し、どのよう な知識継承措置を講じるかを確認してい る 9 継承措置としては、イントラネット への知識の保存、】一時的な同一ポストへ の職員の重複配置、残された課題や人的 ネットワーク等の情報を含む引継書の作 成を行っている。 継承すべき経験知やノウハウは、専門 知識、手法や特定の事情に係る知識だけ でなく、特定の人物やネットワーク、。『コ ミュニケーション・チャンネル、慣例な どに関する文書化されていない暗黙の知 識を含むものとされている。また、調整 役となるポスト等、「このようなノウハウ を必要とするキ 1 となるポジションで は、知識のリレーと呼ばれるモデレータ を介して行う引継ぎプロセスが採られて いるようである。 働き方の改革と勤務環境の整備 に関する課題 限られた人的資源の下で職員一人一人の能 力を十全に活用し、効率的な職務遂行を推進 するとともに、、 公務で働くことの魅力を高め、 有為な人材を確保する観点から、働き方の改 革と勤務環境の整備は喫緊の課題であり、 ワーク・ライフ・バランスの推進を通じて、 心の健康の不調の発生や若年層の離職の防 止、公務における女性の活躍推進にも資する ものである。 両立支援制度を通じた勤務環境の整備 今後、女性職員の在職者比率の高まりが 想定される中で、育児中の職員が育児を理 由に自身のキャリア形成を諦めることな く、職場の中核人材として育っていけるよ うな働き方の実現が必要である。そのため には、育児責任を担う職員が育児休業等の 仕事と家庭の両立支援制度を利用しやすい 職場の環境づくりを進めることはもとよ り、育児休業終了後の円滑な職務執行のた めの支援の充実や育児中の職員のキャリア 形成の在り方も考えていく必要がある。ま た、女性職員に育児責任が偏らないよう、 夫婦で両立支援制度の利用を考える機会を 設けるなど、男性職員の育児参加や両立支 援制度の活用促進を図ることも必要である。 また、今後は、男女を問わず、育児のみ でなく介護責任を担う職員が増加すると想 定され、公務の職場全体が、時間や場所に 制約があっても引け目を感じることなく勤 務を継続できる環境を整備していくことが 重要となる。このため、より多くの職場で のテレワークの導入や職員のフレックスタ イム制の活用等、柔軟な働き方の実現に取 り組む必要がある。 なお、仕事と家庭の両立支援策が十分機報 能するためには、制度を整備するのみでな院 く、当該制度やその活用方法等の周知、職人 号 員が相談できる体制整備等も重要となる。 月 特に介護については、介護をしていること 自体を周囲に伝えていない職員も多いた め、介護サービスや介護のための両立支援 制度について、職員を対象とするセミナー の開催等により積極的に周知するととも に、両立について具体的に相談できる場を 提供する等の取組も進めていく必要がある。 また、職員が実際に両立支援制度を利用 できるようにするためには、勤務できない ときの仕事を他の職員により円滑にカバ 1 する体制の整備も必要である。 人事院においても、平成一一八年四月から、 産前産後休暇に引き続き育児休業を取得す る職員の代替職員の公募・採用の手続を円 滑に行うことができるよう制度を整備し た。今後とも、両立支援制度の利用促進に 向けて、産前産後休暇等の取得実態に応じ た定員の拡充や任期付職員等の各種代替職 員制度の活用が進むよう、政府全体として 取り組む必要がある。 介護に係る制度についても、今後の職員 の介護の状況や各府省におけるニ 1 ズ等に より、必要な代替要員を確保し得る制度に ついて検討することが考えられる。 さらに、職員の働きやすい環境を整備す るに当たっては、管理職員の意識改革を行
国家公務員の在職状況 ( 年齢 . 第 1 章 、人員構成 ) の変化と課題 員 公 国家公務員の在職状況の 第 1 節 変化 成 国の行政機関には、本府省 ( 府、省、委 員会、庁等 ) 、審議会等、施設等機関、特 別の機関、地方機関 ( 地方支分部局 ) があ が大量に定年退職していくことになり、こ る。このうち本章では本府省と地方 のままの姿で一一〇年後を想定すると、公務機関の在職状況に焦点を当てて考察 で経験を積んだ管理職員やべテラン実務者することとする。本府省では制度の が極めて少なくなることになる。 企画・立案、予算業務、対外的な政 本報告では、このような年齢別人員構成策等の調整、国会対応業務、国際業 の偏りがなぜ生じてきているか、とりわけ務等を行っており、地方機関では主 として制度や予算の執行に関する事 若年層が極端に少ない人員構成が公務の人 事管理や業務遂行にどのような影響を与え務を行っている。それらに勤務する 国家公務員の人事管理もそれぞれの ているのか、また、各府省はそれに対しど のような取組を行っているのかについて考行政ニーズに応じて運用されている。 本節では、国家公務員の在職状況 察し、各府省がこのような人員構成上の偏 について、全組織、本府省、地方機 りに対応するための人事管理上の課題を抽 関のそれぞれの特色等を見てみるこ 出した上で、一〇年後、一一〇年後の公務の ととする。 在り方を見据えて能率的で活力ある公務組 織を維持していくための対応について、現 時点で考えられる種々の問題提起を行うこ ととしたい。 表 全組織 俸 政 行 国の全組織に勤務する一般職国家 組 公務員のうち一般の行政事務を行っ 全 ている常勤の行政職俸給表曰適用職 員の平成一一七年における年齢階層別 職 の在職者数を一〇年前 ( 平成一七 年 ) と比較したのが図 1 である。 年 図 1 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 平成 27 年 14L697 人 平成 1 7 年 169.697 人 1 000 1 2 ′ 000 9 ′ 000 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 32 34 36 20 30 19 59 以上 51 53 57 55 43 45 47 35 37 39 41 33 ( 歳 ) ( 注 ) 国家公務員給与等実態調査は、毎年 1 月 15 日現在の在職者 ( 1 月 16 日から 4 月 1 日までの間の定年退職者及び離職者並びに再任用職員等を除き、年齢は当該年 の 4 月 1 日時点の満年齢とする。 ) を対象としている ( 以下同じ。 ) 。 8 05 人事院月報洳 .803