平成 28 年公務員白書 年齢別在職状況・地方機関 ( 行政職俸給表 ( ー ) ) 特集 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 10P00 ー平成 27 年 ー平成 17 年 4000 平成 27 年 102258 人 平成 17 年 131.350 人 2 ′ 000 58 60 59 以上 ( 歳 ) 54 56 55 57 38 40 42 44 46 48 50 51 39 43 47 49 24 26 25 27 19 20 以下 21 地方機関 ( 地方支分部局 ) 各府省の地方機関における行政職俸給表曰 適用職員の年齢階層別の在職者数について、 平成一一七年と平成一七年を比較したのが図 3 である。 地方機関においては本府省と異なり、平成 一七年の時点では三〇 5 三三歳辺りをピーク とする山と四〇 5 四五歳辺りをピークとする 山が存在していた。これら一一つの山が、平成 一一七年の時点で、前者は四〇 5 四三歳辺りを ピークとする山、後者は五〇 5 五五歳辺りを ピークとする山にそれぞれシフトしている。 また、この間、在職期間の長期化等の影響に より五〇歳以上の在職者数は五六・五七歳を 除いて年齢階層ごとに一、五〇〇 5 一一、〇〇 〇人程度増加しているのに対し、四〇 5 四九 歳にはその影響が及ばず、在職者数は増加し ていない。一方、一九歳 5 三九歳の在職者数 は、新規採用者の減少等により三〇・三一歳 で約七、〇〇〇人減少するなど計約三万五、 〇〇〇人減少している。こうした年齢別人員 構成の変化により、地方機関で勤務する行政 職俸給表曰適用職員の平均年齢は四・一歳上 昇している ( 四〇・六歳↓四四・七歳 ) 。 さらに、多くの府省において定員削減や新 規採用抑制の目標が地方機関に傾斜的に配分 されてきたことや、平成一一一年末に社会保険 庁 ( 地方機関在職者は約一万六、〇〇〇人 ) が廃止されたこと等により、地方機関全体と して行政職俸給表曰の在職者数は大幅に減少 している ( 平成一七年一三一、三五〇人↓平 成二七年一〇一「二五八人 ) 。 在職状況が変化した要因 前記のように、本府省における在職状況を 全府省合計のデータでみると、高齢層在職者 の増加は認められるが、若年層の採用も毎年 一定数が確保されており、本府省における年 齢別の在職状況は一応バランスがとれたもの となっている。 一方、地方機関における年齢別人員構成は、 四〇歳以上の在職者においては五〇歳台前半 の在職者が増加しているのを除くと大きな変 化はみられないが、四〇歳未満の在職者数は 大幅に減少しており、一〇年前とは全く異 なっている。五〇歳台の在職者数が増加した 背景には、戦後の急激な行政機構の拡大等に 伴い大量採用した職員が昭和五〇年代から平 成初頭にかけて退職し、その後補充のために 採用された世代が現在四〇歳台や五〇歳台に 差し掛かっていることや、退職管理の見直し に伴う在職期間の長期化により五〇歳台の早 期退職者数が減少していること等が挙げられ る。 報 また、三〇歳台以下の在職者が大幅に減少院 事 している背景には、在職期間の長期ヒこ半、 0
平成 28 年公務員白書 ・ A 地方機関の例 IO 年前と比べて、若年層から中堅層への人員構成上の山のシフトや在職期間長期化により 30 歳台後 半以上の在職者数は増加しているが、近年の採用抑制等の影響により 20 歳台半ば ~ 30 歳台半ばの在職 者数が減少している地方機関の例 在 職 者 数 特集 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 49 39 43 47 51 60 ( 歳 ) 58 59 56 57 54 55 52 53 36 37 34 35 32 33 30 引 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 1 9 B 地方機関の例 IO 年前と比べて、採用抑制等が長期間続いた影響で 50 歳未満の在職者数が大幅に減少しており、 50 歳以上の在職者数のみが人員構成上の山となっている地方機関の例 在 職 者 数 ー平成 27 年 ー平成 1 7 年 38 40 42 46 48 39 41 45 47 49 58 59 56 57 52 53 50 51 36 37 34 35 32 33 30 31 60 ( 歳 ) 54 55 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 19 よる長期病休者や離職者が発生す ると、職場の人手が更に不足して 周囲の職員にしわ寄せがいくとい う悪循環がある。 地方機関における課題 地方機関における人員構成の変 化の例 各府省の地方機関で勤務する行 政職俸給表曰適用職員の年齢階層 別の在職状況のうち、平成二七年と 平成一七年 ( 各年七月一日現在の在 職者 ) を比べた場合の人員構成の変 化が典型的な一一つの地方機関の例を 図 4 煉び図 5 に掲げる。 なお、今回聞き取りを行った八 省の一一地方機関のうち、 < 地方 機関と在職状況が類似の機関が五 つ、地方機関と類似の機関が一一 つ、一〇年前と比べて在職状況に それほど変化のない機関が四つで あった。 若年層が極端に少ない人員構成 が地方機関の人事管理等に与える 7 報 若年層が極端に少ない人員構成院 の偏りが地方機関の現場で人事管人
人事院月報 公務員関係情報誌ー ノ、一一クー 4 ) , , 01 上級人事管理セミナー参加者の来訪 02 平成 28 年版公務員白書 月号 2016 N 。 .803 平成 28 年 公務員白書 人事院は、 5 月 20 日、国家公務員法第 24 条の規定に基づき、国会と内閣に対して 平成 27 年度の業務の状況等を報告しました。 02 はじめに 03 第 1 編第 1 部人事行政この 1 年の主な動き 04 第 2 編 国家公務員倫理審査会の業務 04 第 1 編第 2 部在職状況 ( 年齢別人員構成 ) の変化と人事管理への影響 04 はじめに 05 第 1 章国家公務員の在職状況 ( 年齢別人員構成 ) の変化と課題 05 第 1 節国家公務員の在職状況の変化 08 第 2 節在職状況の変化がもたらす課題 第 3 節各府省職員へのアンケート 第 2 章民間企業等の在職状況の実例と取組 第 1 節民間企業における在職状況の実例と取組 24 第 2 節地方公共団体における在職状況の実例と取組 27 第 3 章在職状況の変化がもたらす課題と人事管理上の対応 27 第 1 節問題の所在 29 第 2 節課題と人事管理上の対応 40 おわりに 特集 今号では、「はじめに」及び第 1 編第 2 部の原文、第 1 編第 1 部及び第 2 編の概要 を掲載しています。報告の全文は「平成 28 年版公務員白書」をご覧ください。 「一番星みつけた」染谷香理 1977 年 島根県生まれ 2002 年 東京藝術大学大学院文化財保存学保存修復日本画専攻修了 2011 年 院展奨励賞 ( 同 ' 13 、 ' 14 、 ' 15 ) 2013 年 舂の院展外務大臣賞奨励賞 ( 同 ' 14 、 ' 15 ) 2014 年 第 2 回郷さくら美術館桜花賞奨励賞 2015 年 第 4 回前田青邨顕彰中村奨学会中村賞 現在 東京藝術大学大学院教育研究助手 日本美術院特待 表紙の
平成一七年に三〇 5 三三歳と四〇 5 四五歳 をピークとしていた人員構成上の二つの山 が、平成一一七年には四〇 5 四三歳と五〇 5 五 三歳をピークとする二つの山にシフトしてい る。この間に国の全組織に勤務する行政職俸 給表曰適用職員の平均年齢は三・二歳 ( 四 〇・三歳↓四三・五歳 ) 上昇している。 また、全組織における行政職俸給表曰の在 職者数は、定員削減 ( 合理化 ) 計画 ( 第一一 次 ( 平成一七年度 5 二一年度 ) ・第一二次 ( 平成一三年度 5 一一六年度 ) ) 、業務見直し及 び定員管理により五年間で五 % 以上の定員の 純減を行うとした定員純減計画 ( 平成一八年 度 5 一三年度 ) 、平成一一一年末の社会保険庁 ( 約一万七、〇〇〇人 ) の廃止並びに新規採 用抑制 ( 平成一一三年度 5 一一五年度 ) により、 この一〇年間で一一万八、〇〇〇人減少してい る ( 平成一七年一六九、六九七人↓平成一一七 年一四一、六九七人 ) 。 表 俸 職 政 行 省 本府省 府 本 本府省における行政職俸給表曰適用職員の 職 平成一一七年の年齢階層別の在職者数を平成一 在 七年と比較したのが図 2 である。 平成一七年に三二・三三歳がピークであっ 年 た人員構成上の山が平成一一七年には四〇・四 一歳をピークとする緩やかな山にシフトして いる。この間、再就職規制の強化や年金支給 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 35 91 人 32235 人 平成 27 年 平成 17 年 2 ′ 400 1 00 1200 600 ー平成 27 年 ー平成 1 7 年 52 53 58 60 59 以上 ( 歳 ) 54 56 55 57 38 40 42 44 46 48 50 39 41 43 47 51 0 1 ・ 8 20 1 9 以下 21 6 0 報 開始年齢の引上げに伴う在職期間の長期化等 月 の影響により、三八・三九歳以上の在職者数院 が年齢階層ごとに一〇〇 5 六〇〇人程度増加人 号 している。一方、一九歳から三六・三七歳ま 月 での在職者数は三〇 5 三三歳辺りで年齢階層 ごとに三〇〇 5 四五〇人程度減少しているも のの、全体としてみるとそれほど減少はして いない。こうした年齢別人員構成の変化によ り、本府省で勤務する職員の平均年齢は一・ 六歳 ( 三九・一歳↓四〇・七歳 ) 上昇してい る。 多くの府省は地方機関を有していることか ら、これまで定員合理化の目標数を各機関の 定員規模に応じて配分する等により地方機関 に傾斜的に配分してきている。また、各府省 は、地方機関で採用された職員について人材 育成上のキャリアパスの一環として本府省へ の人事異動を行うほか、本府省の職員が不足 した場合に地方機関から必要に応じて優秀な 職員を異動させることによって必要な人材を 確保してきている状況もある。 こうした事情から、在職期間の長期化によ り高齢層の職員数が増加する中でも、本府省 における若年層職員の在職者数の減少は比較 的緩やかなものとなっており、行政職俸給表 曰の在職者の総数でみると本府省の職員は毎 年数百人単位で増加している実態がある ( 平 成一七年三一「二三五人↓平成一一七年三五、 一九一人 ) 。
国家公務員の在職状況 ( 年齢 . 第 1 章 、人員構成 ) の変化と課題 員 公 国家公務員の在職状況の 第 1 節 変化 成 国の行政機関には、本府省 ( 府、省、委 員会、庁等 ) 、審議会等、施設等機関、特 別の機関、地方機関 ( 地方支分部局 ) があ が大量に定年退職していくことになり、こ る。このうち本章では本府省と地方 のままの姿で一一〇年後を想定すると、公務機関の在職状況に焦点を当てて考察 で経験を積んだ管理職員やべテラン実務者することとする。本府省では制度の が極めて少なくなることになる。 企画・立案、予算業務、対外的な政 本報告では、このような年齢別人員構成策等の調整、国会対応業務、国際業 の偏りがなぜ生じてきているか、とりわけ務等を行っており、地方機関では主 として制度や予算の執行に関する事 若年層が極端に少ない人員構成が公務の人 事管理や業務遂行にどのような影響を与え務を行っている。それらに勤務する 国家公務員の人事管理もそれぞれの ているのか、また、各府省はそれに対しど のような取組を行っているのかについて考行政ニーズに応じて運用されている。 本節では、国家公務員の在職状況 察し、各府省がこのような人員構成上の偏 について、全組織、本府省、地方機 りに対応するための人事管理上の課題を抽 関のそれぞれの特色等を見てみるこ 出した上で、一〇年後、一一〇年後の公務の ととする。 在り方を見据えて能率的で活力ある公務組 織を維持していくための対応について、現 時点で考えられる種々の問題提起を行うこ ととしたい。 表 全組織 俸 政 行 国の全組織に勤務する一般職国家 組 公務員のうち一般の行政事務を行っ 全 ている常勤の行政職俸給表曰適用職 員の平成一一七年における年齢階層別 職 の在職者数を一〇年前 ( 平成一七 年 ) と比較したのが図 1 である。 年 図 1 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 平成 27 年 14L697 人 平成 1 7 年 169.697 人 1 000 1 2 ′ 000 9 ′ 000 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 32 34 36 20 30 19 59 以上 51 53 57 55 43 45 47 35 37 39 41 33 ( 歳 ) ( 注 ) 国家公務員給与等実態調査は、毎年 1 月 15 日現在の在職者 ( 1 月 16 日から 4 月 1 日までの間の定年退職者及び離職者並びに再任用職員等を除き、年齢は当該年 の 4 月 1 日時点の満年齢とする。 ) を対象としている ( 以下同じ。 ) 。 8 05 人事院月報洳 .803
民間企業等の在職状況の 第 2 第 ・実例と取組 民間企業における在職状 第 1 節 況の実例と取組 人事院は、平成二八年一月下旬から三月 上旬までにかけて、年齢構成の偏りに起因す る問題に取り組んできた民間企業一三社を対 象に、従業員の年齢別在職状況の変化とこれ に対する取組及び六〇歳超の従業員の活用に 関する状況について聞き取り調査を行った。 結果の概要は次のとおりである。 従業員の在職状況の変化 ( 表 1 、表 2 及び図Ⅱ ) 一〇年前と比較した各年齢層の従業員の割 合の変化については、「三〇歳未満」、「四〇 5 四九歳」及び「六〇歳以上ーが増加した企 業が多く、「三〇 5 三九歳」及び「五〇—五 書九歳」が減少した企業が多い 白 次に、各企業において本来必要と考えてい 員 務 る従業員数よりも実際の従業員数が多い年齢 公 層 ( 以下「従業員数が多い年齢層」という。 ) 8 及び本来必要と考えている従業員数よりも実 成 際の従業員数が少ない年齢層 ( 以下「従業員 数が少ない年齢層ーという。 ) について聴取 した結果は次のとおりである。 特集 各年齢層の従業員の割合 ( 1 0 年前との比較 ) 、・ 30 歳未満 30 ~ 39 歳 ( 単位 : 企業数 ) 印歳以上 4 2 増加 、 . ーほぼ同じ 減少 従業員数が多い又は少ない年齢層の有無 ( 複数回答 ) 従業員数が多い又は。 : 従業員数が多い年齢層がある従業員数が少ない年齢層がある ィ企業計 : 少ない年齢層はない * 線 22 社 18 社 1 1 社 ー従業員数が多い又は少ない年齢層 ( 複数回答 ) 従業員数が多い年齢層 5 2 50 ~ 59 歳 14 3 5 、 = 40 ~ 49 歳 5 4- 「 ) 4 5 ) っ ) 4 社 ( 単位 : 企業数 ) 従業員数が少ない年齢層 30 歳未満 30 ~ 39 歳気 。終劈 40 49 歳 50 ~ 59 歳 60 歳以上 0 従業員数が多い又は少ない年齢層が生じた原因 ( 複数回答 ) 。再雇用制度等の 過去の採用抑制 過去の大量採用 継続雇用制度の導入 2 社 17 社 5 0 0 7 2 5 3 2 12 社 その他 従業員数の削減 0 社 1 社 7 9 人事院月報 803
: 地方公共団体 ( 地方公務員 ) の年齢別在職状況 ( 一般行政職 ) ( 地方公務員給与実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 80 ′ 0 70 ′ 000 60 ′ 000 50 ′ 000 40 ′ 000 30 ′ 80 20 ′ 80 10 ′ 0 平成 26 年 834.129 人 平成 17 年 93 乙 116 人 ー平成 26 年 ー平成 17 年 地方公共団体における在 を 員 職状況の実例と取組 8 0 ′ 5 5 職 務 時 地方公共団体全体の在職状況 短 員 職 2 3 用 任 地方公共団体の一般行政職職員 ( 教育公務 再 0 1 ・ 一 J 員、警察官、臨時職員、特定地方独立行政法 9 人職員及び特定地方独立行政法人臨時職員に 該当する職員以外の常勤の職員のうち、税務 職、医師・歯科医師職、看護・保健職、福祉 異職、消防職、企業職、技能労務職等のいずれ 2 3 者 にも該当しない職員 ) について、総務省の地 職 方公務員給与実態調査に基づき、全団体の平 成一一六年における年齢階層別人員構成を平成 8 3 3 家 国 一七年と比較したのが図絽である。 の 章 平成一七年の時点では若年層 ( 三二・ 第 歳 ) をピークとする山と高齢層 ( 五四・五五 象 23 歳 ) をピークとする二つの山が存在してい 者 職 た。これらの山が、平成一一六年の時点で、前 在 の 者は中堅層 ( 四〇 5 四三歳 ) をピークとする 在 現 8 山にシフトし、後者は定年退職を迎えて山が 月 なくなっている。この間に、全団体の一般行 年 毎政職職員の数は約一〇万三、〇〇〇人減少し 査 ( 平成一七年九三七、一一六人↓平成一一六年 2 3 調 22 態八三四、一一一九人 ) 、平均年齢は〇・三歳 ( 四 与 2 2 給 三・一歳↓四二・八歳 ) 低下している。 員 9 下務 ) 第 1 章で見た平成一一七年の国家公務員 ( 全 1 以公む 組織 ( 行政職俸給表曰 ) ) の在職状況と地方 公共団体における一般行政職職員の平成一一六 第 2 節 2 年の在職状況を比べると、中堅層 ( 四〇 5 四報 院 三歳 ) をピークとする山が生じている点は共 事 通しているが、地方公共団体では高齢層の山人 号 はなくなり、四六 5 五七歳の在職者が大幅に 月 減少している。また、国と同様に一一八 5 三七 歳の職員は大幅に減少しているものの、一一七 歳以下の職員は増加している。全体の平均年 齢も低下しており、地方公共団体においては、 定年退職等により抜けた人員を、新規採用を 中心に補充している実情にあると考えられる。 このように、地方公共団体全体として年齢 別人員構成はおおむね平準化してきている が、この間に職員数は一〇万人超減少してお り、採用者数も従前の水準まで回復している わけではない。これは地方公共団体において 定員の適正化に取り組んできた結果が大き 一方で、住民サービスの充実の要請に応 えるため、各団体では、窓口業務の見直しゃ 庶務業務の集約化など事務・事業の見直し、 の活用等による業務の効率化、民間委 託等の推進や地方独立行政法人制度の活用、 指定管理者制度や—の活用、嘱託職員や 非常勤職員の活用などの取組を進めてきてい る。これらに加え、市町村合併等による行政 組織の統廃合も行われている。 年齢別人員構成に偏りのある地 方公共団体の例 今回、人事院は、平成一一八年一月下旬から
人事院は、公務の民主的かっ能率的な運題、特に、人材の確保及び育成、柔軟で多特別テーマとして「在職状況 ( 年齢別人員 営を国民に対し保障するという国家公務員様な働き方の実現、勤務環境の整備等に対構成 ) の変化と人事管理への影響」と題 し、国家公務員の在職状況に偏りが生じて 法の基本理念の下、人事行政の公正の確保応した人事施策の策定・推進に取り組んで いくことが重要であると考えており、今後 きている要因、とりわけ若年層が極端に少 と職員の利益の保護等その使命の達成に努 め、人事行政の面から我が国の行政の一翼 とも人事行政の公正の確保及び労働基本権ない人員構成が各府省の人事管理や業務遂 制約の代償機能を担う第三者・専門機関の 行に与える影響、それに対する各府省の取 を担ってきており、人事院勧告制度をはじ 組について考察し、能率的で活力ある公務 めとする公務員制度は、行政運営の基盤と 責務として、適切にその役割を果たしてい 組織を維持していくための対応について記 して重要な機能を果たしてきた。 く所存である。 述している。第三部では、平成一一七年度の 人事院の業務状況について、各種資料を掲 本報告書の構成は、一一編からなり、第一 行政においては、経済の再生や地方の活 編は「人事行政」全般について、第二編は載して詳細に記述している。 性化等の複雑・高度化する課題に迅速かっ 「国家公務員倫理審査会の業務」の状況に 的確に対応していくことが求められている 本報告書により、人事行政及び公務員に ついて記述している。このうち第一編は三 が、退職管理の見直しゃ採用抑制等により、 行政を担う国家公務員の在職状況が変化し部からなり、第一部は、適正な公務員給与対する理解が一層深まることを願うもので ており、これに対応していくため、関係各を確保するための給与勧告等、職員の勤務ある。 環境を整備するための各施策、多様な人材 方面が連携し、中・長期的な視点も踏まえ、 の確保・育成等のための取組、人事行政分 それぞれの役割を適切に果たしていくこと が必要となっている。人事院としては、将野における国際協力及び化の推進など 平成一一七年度における人事行政の主な動き 来にわたって能率的で活力ある公務組織を について記述している。次いで第一一部では、 確保する観点から、現下の人事行政の諸課 2016 7 月号人事院月報 02
おわりに この報告では、昨年の給与勧告時の報告か ら更に踏み込んで、国家公務員の在職状況を 本府省、地方機関に分けて分析した上で、各 府省人事当局からの聞き取り結果を踏まえ、 年齢別人員構成になぜ偏りが生じてきている のか、とりわけ若年層が極端に少ない人員構 成が各府省の人事管理や業務遂行にどのよう な影響を与えているのか、また、各府省はそ れに対してどのような取組を行っているのか について考察した。 その結果、年齢別人員構成の偏りは特に地 方機関において顕著であり、多くの地方機関 では既に技能やノウハウの円滑な継承の支障 となるとともに、国家公務員の人事管理にも 大きな影響を与えている実態が明らかになっ た。人事院としては、今回、このような在職 状況の実態を明らかにすることにより、行政 の円滑な遂行や国家公務員の人事管理におけ めには、その有する専門性に基づき即戦力 となるようなポストに配置することが適当 と考えられることから、各府省において、 職員の専門性を強化するための長期的な人 事管理に努める必要がある。さらに、例え ば、五〇歳台後半の職員について、再任用 後に従事することが見込まれる業務を念頭 に置いて、特定分野の専門性を高めるよう な人事配置を行うことも考えられる。 る中・長期的かつ重要な課題が存在すること について、関係各方面が問題意識を共有する ことが大切であると考えている その上で、各府省が年齢別人員構成の偏り に対応するに当たっての人事管理上の課題を 抽出し、一〇年後、一一〇年後を見据えて能率 的で活力ある公務組織を維持していくための 対応について問題提起を行った。その際、問 題の所在として、 ①本府省を中心に、在職期間の長期化によ り五〇歳台の高齢層職員が滞留して若手・ 中堅職員の昇進ペースが遅れており、組織 全体の活力が低下しているのではないかと の懸念があり、職員が公務で培った能力・ 経験を適切に活用することが重要であるこ と ②地方機関に象徴的な若年層が極端に少な い人員構成の下で、各府省は、新規採用の 確保、若年層や中堅層の育成、中途採用な どの人事管理上の課題に取り組んでいく必 要があること ③行政事務の遂行に当たっては業務量に見 合った適正な人員が確保されることが基本 であること を挙げ、これら三つの問題を中心とする 諸々の課題について、各府省や制度官庁等 0 に人事管理上の対応についての今後の検討報 院 を求めたところである。 事 人 具体的な問題提起の内容は第 3 章に記載の とおりであり、各府省等においてこれらの問 題提起を参考にして前広に検討が進められる ことを期待するとともに、人事院としても、 人事行政の公正の確保及び労働基本権制約の 代償措置を担っている第三者・専門機関の責 務として、国家公務員の採用から退職に至る までの公務員人事管理全般にわたり、中・長 期的な視点も踏まえた総合的な取組を引き続 き進めていきたい。
早期退職者数が減少したため新規採用の枠が 減少する中で、一部の府省で組織の大幅な縮 小再編が行われたこと、多くの府省が定員規 模に応じて地方機関に傾斜的に削減を配分す る一方で、本府省と比べて地方機関における 増員要求は認められにくいため、本府省の定 員は確保される反面、地方機関の定員は大幅 に減少してきていることが挙げられよう。と りわけ、平成一八年度から平成一三年度にか けて実施された定員純減計画や平成一一三年度 から平成一一五年度にかけて実施された新規採 用抑制の結果、一一〇歳台半ばから後半の大卒、 一一〇歳台前半の高卒の在職者が非常に少なく なっている なお、、 公務員総人件費削減の一環として実 施された平成一一三年度からの新規採用抑制 は、平成一一六年度以降、学生の就職活動への 影響や組織の活性化の観点から解除され、現 在は定年退職者の後補充相当分を中心に定員 の範囲内で採用が可能となっている。そのた め、各地方機関においても必要な新規採用が 行われつつある。また、今後は山の世代が大 量に離職期を迎えることにより、再任用や定 員削減を考慮してもなお一定数の新規採用が 不可欠となるため、各府省は、地方機関にお ける将来の行政の現場を担う新規採用者数の 回復に充てたいとの意向を有している。 諸外国における年齢構成の変化と原因 英国、米国、ドイツ及びフランスにお いても、国家公務員の在職状況が変化し ている。 英国では、五〇歳以上の職員の割合が 一一〇〇六年に約一一八 % であったものが、 二〇一五年には約四〇 % に増加してい る。米国では、職員の平均年齢が一九九 一一年に四二・八歳であったものが一一〇一 四年には四五・六歳と一一・八歳上昇して おり、五〇歳以上の職員の割合も約四 五 % となっている。また、ドイツでは、 職員の平均年齢が一一〇〇〇年に四三・一 歳であったものが二〇一四年には四五・ 八歳と一一・七歳上昇しており、四五歳以 上の職員の割合も約六一 % となってい る。フランスでも、五〇歳以上の職員の 割合が一九九一一年に約一一〇 % であったも のが、二〇一三年には約三四 % となって いる このように各国とも高齢層職員の割合 が増加し、平均年齢も上昇している。こ れは、日本と同様、各国、各機関の事情 により以前より職員数が多かった山の世 代の高齢化、公務員数又は人件費の削減 圧力の下での採用凍結・抑制、年金支給 開始年齢の引上げに伴う退職年齢の上昇 等が、複数の国において主な要因と考え 在職状況の変化がもたら 第 2 節 す課題 一一本府省と地方機関の関係 国の行政運営の中で、本府省が主として 行っている企画・立案に関する事務と地方機 関が主として行っている執行に関する事務は それぞれが関係なく機能するものではない。 すなわち、地方機関は本府省の企画した所定 の制度や予算を適正に執行し、さらに、現場 での関係者との調整業務等を通じてくみ取っ られている。 一方、例えば、英国では、従来は日本 と同様に若くして採用された後、年金支 給時期まで一つの組織で勤め上げること が一般的であったものが、一定の年齢層 以下の年代では労働市場の流動化が進み 人材確保競争が熾烈化する中で、勤務条 件面で柔軟に対応できない各府省は困難 に直面したといった事情があり、ドイツ では、一九九〇年の東西ドイツ統合によ り公務員数が増加したことに伴い、 財政 事情の悪化に対応するため行政改革とし て公務員数の削減が行われたという事情 があるなど、それぞれの国に特有の事情 もある。 2016 7 月号人事院月報 08