平成一七年に三〇 5 三三歳と四〇 5 四五歳 をピークとしていた人員構成上の二つの山 が、平成一一七年には四〇 5 四三歳と五〇 5 五 三歳をピークとする二つの山にシフトしてい る。この間に国の全組織に勤務する行政職俸 給表曰適用職員の平均年齢は三・二歳 ( 四 〇・三歳↓四三・五歳 ) 上昇している。 また、全組織における行政職俸給表曰の在 職者数は、定員削減 ( 合理化 ) 計画 ( 第一一 次 ( 平成一七年度 5 二一年度 ) ・第一二次 ( 平成一三年度 5 一一六年度 ) ) 、業務見直し及 び定員管理により五年間で五 % 以上の定員の 純減を行うとした定員純減計画 ( 平成一八年 度 5 一三年度 ) 、平成一一一年末の社会保険庁 ( 約一万七、〇〇〇人 ) の廃止並びに新規採 用抑制 ( 平成一一三年度 5 一一五年度 ) により、 この一〇年間で一一万八、〇〇〇人減少してい る ( 平成一七年一六九、六九七人↓平成一一七 年一四一、六九七人 ) 。 表 俸 職 政 行 省 本府省 府 本 本府省における行政職俸給表曰適用職員の 職 平成一一七年の年齢階層別の在職者数を平成一 在 七年と比較したのが図 2 である。 平成一七年に三二・三三歳がピークであっ 年 た人員構成上の山が平成一一七年には四〇・四 一歳をピークとする緩やかな山にシフトして いる。この間、再就職規制の強化や年金支給 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 35 91 人 32235 人 平成 27 年 平成 17 年 2 ′ 400 1 00 1200 600 ー平成 27 年 ー平成 1 7 年 52 53 58 60 59 以上 ( 歳 ) 54 56 55 57 38 40 42 44 46 48 50 39 41 43 47 51 0 1 ・ 8 20 1 9 以下 21 6 0 報 開始年齢の引上げに伴う在職期間の長期化等 月 の影響により、三八・三九歳以上の在職者数院 が年齢階層ごとに一〇〇 5 六〇〇人程度増加人 号 している。一方、一九歳から三六・三七歳ま 月 での在職者数は三〇 5 三三歳辺りで年齢階層 ごとに三〇〇 5 四五〇人程度減少しているも のの、全体としてみるとそれほど減少はして いない。こうした年齢別人員構成の変化によ り、本府省で勤務する職員の平均年齢は一・ 六歳 ( 三九・一歳↓四〇・七歳 ) 上昇してい る。 多くの府省は地方機関を有していることか ら、これまで定員合理化の目標数を各機関の 定員規模に応じて配分する等により地方機関 に傾斜的に配分してきている。また、各府省 は、地方機関で採用された職員について人材 育成上のキャリアパスの一環として本府省へ の人事異動を行うほか、本府省の職員が不足 した場合に地方機関から必要に応じて優秀な 職員を異動させることによって必要な人材を 確保してきている状況もある。 こうした事情から、在職期間の長期化によ り高齢層の職員数が増加する中でも、本府省 における若年層職員の在職者数の減少は比較 的緩やかなものとなっており、行政職俸給表 曰の在職者の総数でみると本府省の職員は毎 年数百人単位で増加している実態がある ( 平 成一七年三一「二三五人↓平成一一七年三五、 一九一人 ) 。
〇女性のための公務研究セミナーの開催 等を行った。 第四章人事行政分野における国際 協力及びー k- 化の推進 国際協力・国際交流 〇開発途上国等に対する技術協力を行っ タイム制の拡充について勧告を行った。 第一章適正な公務員給与の確保 〇日中韓協力における人事行政分野の取 平成ニ七年の給与改定及び給与制度の総合〇勧告どおり拡充することが閣議決定さ 的見直し れ、関係法律等が成立した。 組を推進した。 〇マンスフィールド研修における共通プ 〇民間準拠を基本とする給与改定につい 勤務環境の整備 て勧告を行った。 〇ストレスチェック制度を導入した。 ログラムの企画・実施を行った。 〇勧告どおり実施することが閣議決定さ 〇ハラスメントの防止対策を実施した人事管理業務のー }-- 化の推進 ハラスメント防止ハンドブッ 〇改善計画の改定に向けた改修・移行ス れ、関係法律等が成立した。 〇給与制度の総合的見直しを着実に推進 クの作成、国際シンポジウムの開催等 ) 。 ケジュールの策定等を行った。 〇運用規定や各種様式の見直しを推進し することとした ( 地域手当の支給割合の 引上げ等 ) 。 第三章多様な人材の確保・育成等 〇性能及び機能向上のためのシステム改 級別定数の設定・改定等 人材の確保 〇平成一一八年度の級別定数の設定・改定〇民間企業の採用選考活動に合わせ、平 修、各府省の支援等を行った。 書 等について意見の申出を行った。 成一一七年度採用試験日程を繰り下げて実 白 員 〇内閣総理大臣は、意見の申出どおり、 施した。 務 公 〇平成一一八年度の総合職試験から、「政 級別定数の設定・改定等を実施した。 年 治・国際」区分の試験内容の見直しを行 , っこととした。 盟第ニ章職員の勤務環境等 フレックスタイム制の拡充 人材の育成 〇公務における人材育成・研修に関する 〇適切な公務運営の確保に配慮しつつ、 原則全ての職員を対象とするフレックス 研究会の開催等を行った。 第一編、人事行政 一第一部 - 人事行政この年の主な動き」 2 一」 0 一」 0 03 人事院月報 803
平成 28 年公務員白書 た現場のニ 1 ズなどの情報を本府省に伝え、 本府省はそれを制度や予算に適切に反映する というようなサイクルがあり、両者は相互に 有機的に連携して機能を発揮する、いわば 「車の両輪」である。 仮に、企画・立案部門である本府省を重視 するあまり、執行部門である地方機関に本来 の業務量に見合わない過少な人員しか配置さ れないとすれば、執行事務の円滑な遂行に支 障が生じ、結果的に本府省の企画・立案機能 も十全に発揮されない事態が生じるおそれが ある。また、前述のように地方機関を有する 府省の多くでは地方機関採用者を本府省に異 動させて勤務させる人事管理を行っている が、地方機関においても業務遂行に必要な人 員を確保する必要があるため、地方機関の業 務遂行に支障が生じるような数の職員を本府 省に供給することはできない。そのため、地 方機関の若年層の職員数の減少は、本府省に 供給できる職員数の減少にもつながり、結果 的に本府省の業務遂行や人事管理にも影響を 与えることになる。 したがって、本府省と地方機関の人員の配 置を考えるに当たっては、このような企画・ 立案と執行の相互依存関係を十分に意識した 上で、最適な配置を考えることが必要となる。 本府省における課題 今回、一府九省の本府省で勤務する職員の 人事管理を担当する部局 ( 職種等の別による 人事グループごとに一五部局 ) を対象に行っ た聞き取りの結果によると、本府省に特有の 人事管理上の問題があることが明らかになっ た。例えば、早期退職慣行の見直しや在職期 間の長期化の影響で五〇歳台の職員が滞留 し、管理職層を中心に「上が詰まって昇進が 従来より遅れる」という問題を指摘する意見 や、平成一 = 一年の中央省庁等改革以降、内閣 機能強化のため各府省から内閣官房等への出 向が増加し、そのことが各府省本体の人材確 保に影響を与えている等の意見が多かった。 これらの問題は、本府省における幹部職員 の退職管理や本府省の業務体制の変化に起因 するものであり、次のように、本府省の幹部 職員及び幹部要員の人事管理を中心に顕在化 している。 在職期間の長期化による若手・中堅の士 気や組織活力への影響 近年、早期退職慣行の是正のための幹部 職員の勧奨退職年齢の段階的引上げ ( 平成 一四年一一一月一七日閣僚懇談会申合せ ) 、 各府省人事当局による再就職あっせんの禁 止 ( 平成一九年改正国公法 ) 、独立行政法 人等の役員人事について公務員が就い ているポストの後任者を任命する場合等の 原則公募による選考の導入 ( 平成一一一年九 月二九日閣議決定 ) 等の措置が講じられて きており、平成一一五年一一月には国家公務 員退職手当法施行令の一部改正により、勧 奨退職が廃止されるとともに、早期退職募 集制度が導入された。そのため、現在では、 定年前に勧奨を受けて退職する管理職員や 幹部職員はいなくなり、定年退職者や地方 公共団体等への辞職出向者を除くと、自己 都合による辞職者や早期退職募集制度を利 用した辞職者のみとなっている ( 指定職及 び本府省課長級 ( 行政職俸給表曰八級以 上 ) の辞職者数 ( 定年退職者は含まれな い。 ) 【平成一七年度五五一人↓平成一一六年 度四三一人 ) 。 こうした状況の下で、管理職員や幹部職 員の平均年齢が上昇し ( 〔指定職〕平成一 七年五四・八歳↓平成一一七年五六・四歳、 〔本府省課長級〕 ( 行政職俸給表曰九級 ) 平成一七年五〇・六歳↓平成一一七年五三・ 三歳、 ( 行政職俸給表曰八級 ) 平成一七年 五〇・四歳↓平成二七年五二・四歳 ) 、上 位役職のポスト不足もあって昇任までに要 する勤務年数が従来よりも長くなっており ( 指定職の年齢層別在職者数に占める五六 歳以上六〇歳未満の人数【平成一七年一一〇 四人↓平成二七年四一一六人 ) 、職員の新陳報 代謝が進まない中、昇進の遅れにより若院 人 手・中堅職員のモチベーションが低下し、 9 0
: 地方公共団体 ( 地方公務員 ) の年齢別在職状況 ( 一般行政職 ) ( 地方公務員給与実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 80 ′ 0 70 ′ 000 60 ′ 000 50 ′ 000 40 ′ 000 30 ′ 80 20 ′ 80 10 ′ 0 平成 26 年 834.129 人 平成 17 年 93 乙 116 人 ー平成 26 年 ー平成 17 年 地方公共団体における在 を 員 職状況の実例と取組 8 0 ′ 5 5 職 務 時 地方公共団体全体の在職状況 短 員 職 2 3 用 任 地方公共団体の一般行政職職員 ( 教育公務 再 0 1 ・ 一 J 員、警察官、臨時職員、特定地方独立行政法 9 人職員及び特定地方独立行政法人臨時職員に 該当する職員以外の常勤の職員のうち、税務 職、医師・歯科医師職、看護・保健職、福祉 異職、消防職、企業職、技能労務職等のいずれ 2 3 者 にも該当しない職員 ) について、総務省の地 職 方公務員給与実態調査に基づき、全団体の平 成一一六年における年齢階層別人員構成を平成 8 3 3 家 国 一七年と比較したのが図絽である。 の 章 平成一七年の時点では若年層 ( 三二・ 第 歳 ) をピークとする山と高齢層 ( 五四・五五 象 23 歳 ) をピークとする二つの山が存在してい 者 職 た。これらの山が、平成一一六年の時点で、前 在 の 者は中堅層 ( 四〇 5 四三歳 ) をピークとする 在 現 8 山にシフトし、後者は定年退職を迎えて山が 月 なくなっている。この間に、全団体の一般行 年 毎政職職員の数は約一〇万三、〇〇〇人減少し 査 ( 平成一七年九三七、一一六人↓平成一一六年 2 3 調 22 態八三四、一一一九人 ) 、平均年齢は〇・三歳 ( 四 与 2 2 給 三・一歳↓四二・八歳 ) 低下している。 員 9 下務 ) 第 1 章で見た平成一一七年の国家公務員 ( 全 1 以公む 組織 ( 行政職俸給表曰 ) ) の在職状況と地方 公共団体における一般行政職職員の平成一一六 第 2 節 2 年の在職状況を比べると、中堅層 ( 四〇 5 四報 院 三歳 ) をピークとする山が生じている点は共 事 通しているが、地方公共団体では高齢層の山人 号 はなくなり、四六 5 五七歳の在職者が大幅に 月 減少している。また、国と同様に一一八 5 三七 歳の職員は大幅に減少しているものの、一一七 歳以下の職員は増加している。全体の平均年 齢も低下しており、地方公共団体においては、 定年退職等により抜けた人員を、新規採用を 中心に補充している実情にあると考えられる。 このように、地方公共団体全体として年齢 別人員構成はおおむね平準化してきている が、この間に職員数は一〇万人超減少してお り、採用者数も従前の水準まで回復している わけではない。これは地方公共団体において 定員の適正化に取り組んできた結果が大き 一方で、住民サービスの充実の要請に応 えるため、各団体では、窓口業務の見直しゃ 庶務業務の集約化など事務・事業の見直し、 の活用等による業務の効率化、民間委 託等の推進や地方独立行政法人制度の活用、 指定管理者制度や—の活用、嘱託職員や 非常勤職員の活用などの取組を進めてきてい る。これらに加え、市町村合併等による行政 組織の統廃合も行われている。 年齢別人員構成に偏りのある地 方公共団体の例 今回、人事院は、平成一一八年一月下旬から
平成 28 年公務員白書 年齢別在職状況・地方機関 ( 行政職俸給表 ( ー ) ) 特集 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 10P00 ー平成 27 年 ー平成 17 年 4000 平成 27 年 102258 人 平成 17 年 131.350 人 2 ′ 000 58 60 59 以上 ( 歳 ) 54 56 55 57 38 40 42 44 46 48 50 51 39 43 47 49 24 26 25 27 19 20 以下 21 地方機関 ( 地方支分部局 ) 各府省の地方機関における行政職俸給表曰 適用職員の年齢階層別の在職者数について、 平成一一七年と平成一七年を比較したのが図 3 である。 地方機関においては本府省と異なり、平成 一七年の時点では三〇 5 三三歳辺りをピーク とする山と四〇 5 四五歳辺りをピークとする 山が存在していた。これら一一つの山が、平成 一一七年の時点で、前者は四〇 5 四三歳辺りを ピークとする山、後者は五〇 5 五五歳辺りを ピークとする山にそれぞれシフトしている。 また、この間、在職期間の長期化等の影響に より五〇歳以上の在職者数は五六・五七歳を 除いて年齢階層ごとに一、五〇〇 5 一一、〇〇 〇人程度増加しているのに対し、四〇 5 四九 歳にはその影響が及ばず、在職者数は増加し ていない。一方、一九歳 5 三九歳の在職者数 は、新規採用者の減少等により三〇・三一歳 で約七、〇〇〇人減少するなど計約三万五、 〇〇〇人減少している。こうした年齢別人員 構成の変化により、地方機関で勤務する行政 職俸給表曰適用職員の平均年齢は四・一歳上 昇している ( 四〇・六歳↓四四・七歳 ) 。 さらに、多くの府省において定員削減や新 規採用抑制の目標が地方機関に傾斜的に配分 されてきたことや、平成一一一年末に社会保険 庁 ( 地方機関在職者は約一万六、〇〇〇人 ) が廃止されたこと等により、地方機関全体と して行政職俸給表曰の在職者数は大幅に減少 している ( 平成一七年一三一、三五〇人↓平 成二七年一〇一「二五八人 ) 。 在職状況が変化した要因 前記のように、本府省における在職状況を 全府省合計のデータでみると、高齢層在職者 の増加は認められるが、若年層の採用も毎年 一定数が確保されており、本府省における年 齢別の在職状況は一応バランスがとれたもの となっている。 一方、地方機関における年齢別人員構成は、 四〇歳以上の在職者においては五〇歳台前半 の在職者が増加しているのを除くと大きな変 化はみられないが、四〇歳未満の在職者数は 大幅に減少しており、一〇年前とは全く異 なっている。五〇歳台の在職者数が増加した 背景には、戦後の急激な行政機構の拡大等に 伴い大量採用した職員が昭和五〇年代から平 成初頭にかけて退職し、その後補充のために 採用された世代が現在四〇歳台や五〇歳台に 差し掛かっていることや、退職管理の見直し に伴う在職期間の長期化により五〇歳台の早 期退職者数が減少していること等が挙げられ る。 報 また、三〇歳台以下の在職者が大幅に減少院 事 している背景には、在職期間の長期ヒこ半、 0
平成 28 年公務員白書 ・ A 地方機関の例 IO 年前と比べて、若年層から中堅層への人員構成上の山のシフトや在職期間長期化により 30 歳台後 半以上の在職者数は増加しているが、近年の採用抑制等の影響により 20 歳台半ば ~ 30 歳台半ばの在職 者数が減少している地方機関の例 在 職 者 数 特集 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 49 39 43 47 51 60 ( 歳 ) 58 59 56 57 54 55 52 53 36 37 34 35 32 33 30 引 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 1 9 B 地方機関の例 IO 年前と比べて、採用抑制等が長期間続いた影響で 50 歳未満の在職者数が大幅に減少しており、 50 歳以上の在職者数のみが人員構成上の山となっている地方機関の例 在 職 者 数 ー平成 27 年 ー平成 1 7 年 38 40 42 46 48 39 41 45 47 49 58 59 56 57 52 53 50 51 36 37 34 35 32 33 30 31 60 ( 歳 ) 54 55 28 29 26 27 24 25 22 23 20 21 18 19 よる長期病休者や離職者が発生す ると、職場の人手が更に不足して 周囲の職員にしわ寄せがいくとい う悪循環がある。 地方機関における課題 地方機関における人員構成の変 化の例 各府省の地方機関で勤務する行 政職俸給表曰適用職員の年齢階層 別の在職状況のうち、平成二七年と 平成一七年 ( 各年七月一日現在の在 職者 ) を比べた場合の人員構成の変 化が典型的な一一つの地方機関の例を 図 4 煉び図 5 に掲げる。 なお、今回聞き取りを行った八 省の一一地方機関のうち、 < 地方 機関と在職状況が類似の機関が五 つ、地方機関と類似の機関が一一 つ、一〇年前と比べて在職状況に それほど変化のない機関が四つで あった。 若年層が極端に少ない人員構成 が地方機関の人事管理等に与える 7 報 若年層が極端に少ない人員構成院 の偏りが地方機関の現場で人事管人
国家公務員の在職状況 ( 年齢 . 第 1 章 、人員構成 ) の変化と課題 員 公 国家公務員の在職状況の 第 1 節 変化 成 国の行政機関には、本府省 ( 府、省、委 員会、庁等 ) 、審議会等、施設等機関、特 別の機関、地方機関 ( 地方支分部局 ) があ が大量に定年退職していくことになり、こ る。このうち本章では本府省と地方 のままの姿で一一〇年後を想定すると、公務機関の在職状況に焦点を当てて考察 で経験を積んだ管理職員やべテラン実務者することとする。本府省では制度の が極めて少なくなることになる。 企画・立案、予算業務、対外的な政 本報告では、このような年齢別人員構成策等の調整、国会対応業務、国際業 の偏りがなぜ生じてきているか、とりわけ務等を行っており、地方機関では主 として制度や予算の執行に関する事 若年層が極端に少ない人員構成が公務の人 事管理や業務遂行にどのような影響を与え務を行っている。それらに勤務する 国家公務員の人事管理もそれぞれの ているのか、また、各府省はそれに対しど のような取組を行っているのかについて考行政ニーズに応じて運用されている。 本節では、国家公務員の在職状況 察し、各府省がこのような人員構成上の偏 について、全組織、本府省、地方機 りに対応するための人事管理上の課題を抽 関のそれぞれの特色等を見てみるこ 出した上で、一〇年後、一一〇年後の公務の ととする。 在り方を見据えて能率的で活力ある公務組 織を維持していくための対応について、現 時点で考えられる種々の問題提起を行うこ ととしたい。 表 全組織 俸 政 行 国の全組織に勤務する一般職国家 組 公務員のうち一般の行政事務を行っ 全 ている常勤の行政職俸給表曰適用職 員の平成一一七年における年齢階層別 職 の在職者数を一〇年前 ( 平成一七 年 ) と比較したのが図 1 である。 年 図 1 ( 国家公務員給与等実態調査 ) ( 単位 : 人 ) 平成 27 年 14L697 人 平成 1 7 年 169.697 人 1 000 1 2 ′ 000 9 ′ 000 ー平成 27 年 ー平成 17 年 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 32 34 36 20 30 19 59 以上 51 53 57 55 43 45 47 35 37 39 41 33 ( 歳 ) ( 注 ) 国家公務員給与等実態調査は、毎年 1 月 15 日現在の在職者 ( 1 月 16 日から 4 月 1 日までの間の定年退職者及び離職者並びに再任用職員等を除き、年齢は当該年 の 4 月 1 日時点の満年齢とする。 ) を対象としている ( 以下同じ。 ) 。 8 05 人事院月報洳 .803
化 ( 平成一六年四月 ) 、社会保険庁の廃 止 ( 平成一二年一二月、翌二二年に特殊 法人日本年金機構が発足 ) が行われたこ とに加え、定員純減計画 ( 平成一八年度 5 一一二年度 ) や新規採用抑制 ( 平成一一三 年度 5 一一五年度 ) といった施策が講じら れたことにより、国家公務員の職員数は 急減している。 こうした取組の結果、一〇年前 ( 平成 一ー七年 ) と比べても、国家公務員の人数 ( 実員べース ) は給与法適用職員全体で 約三万五、〇〇〇人 ( 平成一七年一一八九、 九四九人↓平成一一七年一一五四、七八一人 ) 減少し、そのうち行政職俸給表曰適用職 員が約一一万八、〇〇 0 人減少している。 第 2 節課題と人事管理上の対応 前節で述べた課題への対応を含め、各府省 は、定員や運用の制約がある中で、第 1 章で 書 白 述べたように、新規採用の確保や中途採用・ 員 務 再任用の活用といった人事管理上の取組を進 公 めてきている。ここでは、本府省及び地方機 関がそうした人事管理上の取組を行っていく 成 上での課題を挙げるとともに、それぞれの課 平 題に対する対応についての各府省や制度官庁 等が今後検討するに当たっての参考となるべ く、現時点で考えられる種々の問題提起を行 , っこととしたい。 公務に必要とされる多様な人材 の確保に関する課題 第 1 章及び第 2 章で述べたように、国だけ でなく、聞き取り調査を行った民間企業や地 方公共団体においても、組織の人員構成に山 や谷が生じた原因として大量採用や採用抑制 といった採用時点の問題が挙げられた。その 結果生じた人員構成上の山や谷の存在は、組 織における技能やノウハウの継承など業務の 継続性に影響を与えるだけでなく、人材の質 の確保や業務多忙による士気の低下、人材の 育成にも支障を及ぼしており、最悪の場合に は若年層の離職にもつながる人事管理上の重 要な問題である。 中長期ビジョンの設定 行政がその課題に的確に対応していくた めには、公務に期待される多様な人材を計 画的かっ安定的に確保することが必要であ る。そのため、各府省等において、一〇年 後、一一〇年後に、職員の人員構成がどのよ うになっているか、公務にどのような人材 が必要となるかという展望を持ち、また、 それを踏まえてどのように人材育成に取り 組んでいくかといった先を見据えた人事管 理の中・長期的なビジョンを設定し、当面 の採用活動にとどまらない人事戦略によ り、人材確保に取り組んでいくことが考え られる。 具体的には、府省ごとに、中・長期的な 新規採用者数の目安や求められる人材像、 採用後の専門性等に応じたキャリアパスを 示すことなどにより、優秀な学生が公務に 関心を持つような措置を講じていくことが 重要である。 若年層から見た公務の魅力の向上と発信 第 1 章で述べたように、少子化の中で一 般職試験の受験者層を中心に学生の地元志 向が強まっており、地方出身者の本府省へ の採用が難しくなったとの声があるほか、 地方機関においても転勤を嫌って学生がよ り転勤の少ない地方公共団体などへの就職 を優先する傾向が強まっていると言われて いる。また、そもそも国家公務員の仕事内 容等についての具体的イメージが持たれて いないことや、定員や働き方改革の不足等 から国家公務員の職場が慢性的に長時間労 働であると思われていること等により、民 間企業や地方公共団体との人材獲得の一層 の競合の下、国家公務員の人材確保が困難 である状況となっている。こうした状況の 中で有効な取組を行っていく必要がある。 公務に必要とされる多様な人材を確保す るためには、まず、本節 3 に述べる働き方報 の改革と勤務環境の整備を行うことが重要院 であり、これらと併せて、公務の魅力を向人 9 2
早期退職者数が減少したため新規採用の枠が 減少する中で、一部の府省で組織の大幅な縮 小再編が行われたこと、多くの府省が定員規 模に応じて地方機関に傾斜的に削減を配分す る一方で、本府省と比べて地方機関における 増員要求は認められにくいため、本府省の定 員は確保される反面、地方機関の定員は大幅 に減少してきていることが挙げられよう。と りわけ、平成一八年度から平成一三年度にか けて実施された定員純減計画や平成一一三年度 から平成一一五年度にかけて実施された新規採 用抑制の結果、一一〇歳台半ばから後半の大卒、 一一〇歳台前半の高卒の在職者が非常に少なく なっている なお、、 公務員総人件費削減の一環として実 施された平成一一三年度からの新規採用抑制 は、平成一一六年度以降、学生の就職活動への 影響や組織の活性化の観点から解除され、現 在は定年退職者の後補充相当分を中心に定員 の範囲内で採用が可能となっている。そのた め、各地方機関においても必要な新規採用が 行われつつある。また、今後は山の世代が大 量に離職期を迎えることにより、再任用や定 員削減を考慮してもなお一定数の新規採用が 不可欠となるため、各府省は、地方機関にお ける将来の行政の現場を担う新規採用者数の 回復に充てたいとの意向を有している。 諸外国における年齢構成の変化と原因 英国、米国、ドイツ及びフランスにお いても、国家公務員の在職状況が変化し ている。 英国では、五〇歳以上の職員の割合が 一一〇〇六年に約一一八 % であったものが、 二〇一五年には約四〇 % に増加してい る。米国では、職員の平均年齢が一九九 一一年に四二・八歳であったものが一一〇一 四年には四五・六歳と一一・八歳上昇して おり、五〇歳以上の職員の割合も約四 五 % となっている。また、ドイツでは、 職員の平均年齢が一一〇〇〇年に四三・一 歳であったものが二〇一四年には四五・ 八歳と一一・七歳上昇しており、四五歳以 上の職員の割合も約六一 % となってい る。フランスでも、五〇歳以上の職員の 割合が一九九一一年に約一一〇 % であったも のが、二〇一三年には約三四 % となって いる このように各国とも高齢層職員の割合 が増加し、平均年齢も上昇している。こ れは、日本と同様、各国、各機関の事情 により以前より職員数が多かった山の世 代の高齢化、公務員数又は人件費の削減 圧力の下での採用凍結・抑制、年金支給 開始年齢の引上げに伴う退職年齢の上昇 等が、複数の国において主な要因と考え 在職状況の変化がもたら 第 2 節 す課題 一一本府省と地方機関の関係 国の行政運営の中で、本府省が主として 行っている企画・立案に関する事務と地方機 関が主として行っている執行に関する事務は それぞれが関係なく機能するものではない。 すなわち、地方機関は本府省の企画した所定 の制度や予算を適正に執行し、さらに、現場 での関係者との調整業務等を通じてくみ取っ られている。 一方、例えば、英国では、従来は日本 と同様に若くして採用された後、年金支 給時期まで一つの組織で勤め上げること が一般的であったものが、一定の年齢層 以下の年代では労働市場の流動化が進み 人材確保競争が熾烈化する中で、勤務条 件面で柔軟に対応できない各府省は困難 に直面したといった事情があり、ドイツ では、一九九〇年の東西ドイツ統合によ り公務員数が増加したことに伴い、 財政 事情の悪化に対応するため行政改革とし て公務員数の削減が行われたという事情 があるなど、それぞれの国に特有の事情 もある。 2016 7 月号人事院月報 08
人事院月報 公務員関係情報誌ー ノ、一一クー 4 ) , , 01 上級人事管理セミナー参加者の来訪 02 平成 28 年版公務員白書 月号 2016 N 。 .803 平成 28 年 公務員白書 人事院は、 5 月 20 日、国家公務員法第 24 条の規定に基づき、国会と内閣に対して 平成 27 年度の業務の状況等を報告しました。 02 はじめに 03 第 1 編第 1 部人事行政この 1 年の主な動き 04 第 2 編 国家公務員倫理審査会の業務 04 第 1 編第 2 部在職状況 ( 年齢別人員構成 ) の変化と人事管理への影響 04 はじめに 05 第 1 章国家公務員の在職状況 ( 年齢別人員構成 ) の変化と課題 05 第 1 節国家公務員の在職状況の変化 08 第 2 節在職状況の変化がもたらす課題 第 3 節各府省職員へのアンケート 第 2 章民間企業等の在職状況の実例と取組 第 1 節民間企業における在職状況の実例と取組 24 第 2 節地方公共団体における在職状況の実例と取組 27 第 3 章在職状況の変化がもたらす課題と人事管理上の対応 27 第 1 節問題の所在 29 第 2 節課題と人事管理上の対応 40 おわりに 特集 今号では、「はじめに」及び第 1 編第 2 部の原文、第 1 編第 1 部及び第 2 編の概要 を掲載しています。報告の全文は「平成 28 年版公務員白書」をご覧ください。 「一番星みつけた」染谷香理 1977 年 島根県生まれ 2002 年 東京藝術大学大学院文化財保存学保存修復日本画専攻修了 2011 年 院展奨励賞 ( 同 ' 13 、 ' 14 、 ' 15 ) 2013 年 舂の院展外務大臣賞奨励賞 ( 同 ' 14 、 ' 15 ) 2014 年 第 2 回郷さくら美術館桜花賞奨励賞 2015 年 第 4 回前田青邨顕彰中村奨学会中村賞 現在 東京藝術大学大学院教育研究助手 日本美術院特待 表紙の