望ましい - みる会図書館


検索対象: 図書館雑誌 2013年05月号
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1. 図書館雑誌 2013年05月号

268 図書館雑誌 2013.5. 特集☆「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」 主な改正内容と策定の背景 文部科学省生涯学習政策局社会教育課 1 . はじめに 2012 ( 平成 24 ) 年 12 月 19 日 , 「公立図書館の設置 及び運営上の望ましい基準 ( 平成 13 年文部科学省告 示第 132 号 ) 」 ( 以下 , 「旧基準」 ) が改正され , 「図書館 の設置及び運営上の望ましい基準 ( 平成 24 年文部科 学省告示第 172 号 ) 」 ( 以下 , 「望ましい基準」 ) として告 示された。この基準は , 図書館法第 7 条の 2 に基 づき , 図書館に求められる役割を明確なものとし , 図書館運営の質の向上を図ることを目的として策 定されるものである。 約 60 年ぶりの教育基本法の改正 , そして教育基 本法の改正に伴う図書館法の改正を受けて , また 昨今の図書館を取り巻く環境の変化に対応するた め , 今般の改正は旧基準の内容を大幅に見直すも のとなっている。 本稿では , 「望ましい基準」の策定の背景と , 主 な改正内容について解説する。 〇図書館法 ( 昭和 25 年法律第 118 号 ) 第 7 条の 2 文部科学大臣は , 図書館の健全な発達を図るた めに , 図書館の設置及び運営上望ましい基準を定 め , これを公表するものとする。 2 . 「望ましい基準」策定の背景 旧基準制定以前には , 図書館の運営の基準は告 示という形で示されておらず , 代わりに 1992 ( 平 ( 関係条文 ) 成 4 ) 年 5 月の生涯学習審議会図書館専門委員会 の報告「公立図書館の設置及び運営に関する基準 について」並びに旧図書館法第 19 条にかかる施行 規則で定める最低基準 ( 国の補助金を受けるための基 準 ) が図書館の運営に際し参考とされていた。 しかし , 地方分権の推進等の理由から , 図書館 法第 19 条は 1999 ( 平成 11 ) 年の地方分権一括法にお いて削除されることとなった。 これに関連して , 1998 ( 平成 10 ) 年 9 月の生涯学 習審議会答申において , 旧図書館法第 18 条に基づ き , 図書館運営に関する基準を策定すべきである との提言がなされ , 旧基準が制定されることと なった。 今回の改正では , この旧基準を大幅に改正して いるが , その背景には , 主に以下の二つの要素が ある。 ①社会の変化・図書館へのニースの変化 少子化や地方分権 , 国際化の進展 , 急速な技術 革新 , 雇用形態の多様化等の社会の変化により , 社会的生活を営む上で必要な知識の範囲は拡大し , 人々は常に情報を収集し , 知識や技術を身につけ ることを求められている。 また , 価値観 , ライフスタイル , 職業等も多様 化しており , さまざまな選択肢の中から自ら生き 方を選ぶ上では , 判断の材料として豊富な情報が 必須であるといえる。 このように , 知識・情報が社会のさまざまな場 面において重要な役割を果たす社会において , 図

2. 図書館雑誌 2013年05月号

VOL. 107 NO. 5 CONTENTS ・漆原宏のフォト・ギャラリー 窓情報化でも先行しはじめた国立国会図書館 こらむ図書館の自由・ 少年法 61 条 ・ NEWS 図晝館 The 、ん rar リ 木い 2013 ⑤ Vol. 107 No. 5 253 上田修一 256 伊沢ユキエ 259 257 告知板・・・ 260 / 新聞切抜帳・・・ 262 [ 特集 ] 「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか ・編集委員会 く委員長〉 谷口豊 ( 日本体育大学図書館 ) く副委員長〉 大塚敏高 ( 神奈川県立図書館 ) く委員〉 仲尾正司 ( 和光大学附属梅根記念図書・情報館 ) 中村保彦 ( 文教大学湘南図書館 ) 長谷川優子 ( 埼玉県立浦和図書館 ) 平井歩実 ( 明星大学教育学部 ) 松本哲郎 ( 市原市立中央図書館 ) 山内薫 ( 墨田区立ひきふね図書館 ) 渡邉太郎 ( 国立国会図書館 ) ・事務局スタッフ 秦秀文・川下美佐子 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」制定の意義 薬袋秀樹 264 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」主な改正内容と策定の背景 文部科学省生涯学習政策局社会教育課 268 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」をどのようにとらえ , どう 活用するか一日本図書館協会の意見と告示内容の乖離について一座間直壯 271 障害者サービス関連項目の誤解を招く記述とサービス後退への懸念 佐藤聖一 274 公立図書館による「望ましい基準」のとらえ方・活かし方 - 経営サイクル 叶多泰彦 276 に関する規定を中心に 第 3 期 ( 2013 年度 ) 日本図書館協会認定司書名簿及び審査 ( 報告 ) 日本図書館協会認定司書審査会 282 間柴泰治 286 今月の表紙 「 Acorus calamus 」 毎年 5 月 25 日は「納本制度の日」 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の障害者サービス関連項目 について ( 見解 ) 社団法人日本図書館協会 292 霞が関だより・第 115 回 子どもの読書活動優秀実践校・図書館・団体 ( 個人 ) 表彰を開催しま 文部科学省 279 * 表紙デザイン = 戸張晴菜◎ 2013

3. 図書館雑誌 2013年05月号

2 図書館雑誌 2013.5. 特集☆「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」制定の意義 薬袋秀樹 はじめに 2012 年 12 月 , 文科省は , 「公立図書館の設置及び 運営上の望ましい基準」 ( 平成 13 年文部科学省告示第 132 号 ) を改正し , 「図書館の設置及び運営上の望 ましい基準」 ( 平成 24 年文部科学省告示第 172 号 ) 1 ) を大 臣告示した ( 以下 , それぞれ「旧基準」「新基準」とい う ) 。本稿では , 新基準の基本的な特徴と意義につ いて述べる。制定の経緯と背景については , 本号 掲載の文科省社会教育課の報告を参照されたい。 なお , 本稿は筆者の個人的見解を含むものである。 1 . 新基準に関する資料 新基準に関する資料として , 文科省生涯学習政 策局社会教育課『図書館の設置及び運営上の望ま しい基準 ( 平成 24 年文部科学省告示第 172 号 ) につい て』 2 ) があり , これからの図書館の在り方検討協力 者会議 ( 以下 , 「協力者会議」という ) 「図書館の設置 及び運営上の望ましい基準の見直しについて」 ( 以 下 , 「協力者会議報告書」という ) と「『図書館の設置 及び運営上の望ましい基準』の告示について ( 通 知 ) 」 ( 以下 , 「生涯学習政策局長通知」という ) 等を収 録しているので , 参考にしていただきたい。 1. 1 協力者会議報告書 「 I 基本的な考え方」「Ⅱ『設置及び運営上望 ましい基準』の具体的な内容」「参考資料」があ る。 「 I 」は , 1 . 検討の経緯 , 2 . 図書館の現状 , 3 . これからの図書館に求められる「設置及び運 営上望ましい基準」の視点からなる。 3 は , ( 1 ) 社 会の変化や新たな課題への対応 , ②図書館法の改 正への対応 , ( 3 ) 情報化の進展への対応 , ④都道 府県及び市町村の役割の明確化 , ⑤新基準の構成 からなる。 「Ⅱ」は , 1 . 図書館法改正を踏まえて新たに盛 り込む内容 , 2 . 「これからの図書館像 ( 報告 ) 」 の提言及びこれまでの協力者会議等での議論を踏 まえて盛り込むべき内容からなる。 3 . その他留 意すべき事項では , ( 1 ) 数値基準で , 「目標基準例」 を参考に , 各地方公共団体が数値目標を設定し , その達成に努めること , 都道府県が域内の図書館 に共通する基準を策定し , その達成を支援するこ とが望ましいと述べている。②国の役割では , 先 進事例の収集・分析にもとづく成果の普及 , 基準 の見直し , 図書館の在り方や関連施策の提示 , 研 修を挙げている。 ( 3 ) 国立国会図書館の役割では , 国内の各種図書館とのより密接な連携・協力を挙 げている。④読書では , 読書活動の推進における 図書館の重要な役割について述べている。 「参考資料」の 2 では , 「目標基準例」を挙げて いる。 1.2 生涯学習政策局長通知 「 I 改正条文の概要」「Ⅱ留意事項」からな り , 「Ⅱ」では , 私立図書館 , 指定管理者等 7 項目 について解説している。 2 . 新基準の考え方 2. 1 主な規定と文書 新基準に盛り込むことをめざした主な規定・文 書は下記のとおりである。 ・図書館法 ( 1950 ) ・公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準 ( 2001 ) ・子どもの読書活動の推進に関する法律 ( 281 )

4. 図書館雑誌 2013年05月号

2 / 0 図書館雑誌 2013.5. 新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域 での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す「知 識基盤社会」において , 図書館は最も身近な「地 域の情報拠点」として重要な役割を担うことが期 待されている。 これを踏まえ , 図書館の主要サービスの一つと して情報サービスの項目を設けるなど , 情報化推 進のための具体的な項目を規定した。 ・著作権等の権利の保護 著作権法等の法令で規定される各種権利の保護 については , 旧基準においても言及されていた。 しかし , 相互貸借の普及や IT 技術の活用の拡大 , 著作権法の改正などが行われたこと等を踏まえ , 資料の提供等の機会のみならず , 図書館運営全般 に渡り , 権利保護のための取り組みに努めるべき 旨が規定されている。 ・危機管理に関する規定の追加 東日本大震災のような大規模災害から , 迷惑行 為などの日常のトラブルまで , さまざまな事態に おいて利用者の安全を確保するため , 「望ましい基 準」では災害時に備えた危機管理体制の構築 , 防 災・衛生に関する各種設備の設置及び定期的な訓 練の実施などについて規定した。 ②教育基本法・図書館法等の改正に伴う規定の整 備 ・基準の対象として私立図書館を追加 公立図書館と私立図書館は , 担う役割は異なる ものの , そのサービスの向上を図ることが重要で あるということは共通している。「望ましい基準」 においては , 私立図書館についても規定を設ける こととした。 これは私立図書館の自主性・独自性を否定する ものではなく , 「望ましい基準」を活用すること で , 一層私立図書館の特性を生かした運営が推進 されることを期待するものである。 ・運営状況に関する評価の実施 図書館サービスをよりよいものとし , 利用者の 学習活動に資することが , 「望ましい基準」の目的 である。図書館サービスの充実・向上のためには , 図書館サービスを通じて達成すべき目標や , 目標 達成に向けた計画を適切に定めると共に , その達 成状況を評価し , 次なる目標・計画に生かすとい う PDCA サイクルの実施が必要である。 そのため , 今般の改正においては自己評価に加 え外部の視点を取り入れた評価を行うと共に , そ の内容を積極的に公表するよう努めることを規定 ・人材の確保 , 人事交流 , 研修機会の拡充 図書館の管理運営に当たり , 専門的職員である 司書等の確保や能力の向上は欠かすことのできな い重要な事項である。 「望ましい基準」においては , 必要な数の司書等 を確保すべきことを明記すると共に , 職員の質を 担保するため , 図書館の連携する各種団体等との 計画的人事交流や継続的・計画的な研修の実施に 努めること等を規定している。 ・学習成果を活用して行う多様な活動の機会・場 所の提供 社会教育による学習の成果が社会において実際 に活用され , 人々が社会教育を通じた学習の意義 を実感できるような環境を整備することが重要と なる。 図書館におけるボランティア活動は , 住民等が 学習の成果を活用する場であるとともに , 図書館 サービスの充実にもつながる。 「望ましい基準」では , このようなボランティア 等の活動の機会・場所を積極的に提供し , 希望が あれば , 活動を行うための研修などの機会をも併 せて提供するよう努めることを規定した。 ( 参考資料 ) 「望ましい基準」全文 http://www.mext.go.jp/a—menu/() 1 」 / 08052911 / 1282451. htm CNDC 9 : 0162 BSH : 1. 図書館 ( 公共 ) 2. 図書館行政 ]

5. 図書館雑誌 2013年05月号

図書館雑誌 VoI. 107 , No. 5 特集☆「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか 2 刀 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」をどのようにとらえ , どう活用するか 日本図書館協会の意見と告示内容の乖離について 座間直壯 日本図書館協会 ( 以下「協会」という ) は , 図書 館法の改正に伴って文部科学省が「公立図書館の 設置及び運営上の望ましい基準」の改正について 検討をはじめたのを機に , 図書館政策企画委員会 の中に「望ましい基準検討チーム」をつくり , パ プコメの意見を含めて 3 回文部科学省に「望まし い基準」策定にあたっての留意すべき事項などを 取りまとめ意見書を提出した。 こでは , その主なものの要約を紹介するとと もに , 今回の「図書館の設置及び運営上の望まし い基準」 ( 以下「基準」という ) と意見書との乖離状 況を説明し , 協会としての取り組みについて報告 する ( 3 回の意見書等を統合して編集したため意見書と 異なる表現があることを了承いただきたい ) 。なお , 質 問書の詳細は日本図書館協会ホームページを参照 願いたい。 1 . 設置 , 及び整備基準について 図書館は , すべての住民が日常生活の中で利用 できるよう生活圏域に設置する。分館等を中学校 区に 1 館程度配置するなど全域サービス網を構築 して , 組織的な運営体制を整える。このことは市 町村合併により広域化した現状から , 極めて重要 なことである。 一定水準のサービスの達成には , それを支える 基盤整備が欠かせない。施設規模 , 蔵書・開架図 書数 , 職員数などの整備目標について , 例えば サービス人口段階別の貸出密度上位の市町村にお ける各評価項目の平均数値を目標とするなど具体 的に示すこと。 ( 説明 ) 図書館の設置を具体的に中学校区に 1 館 とすることを求めたが , 具体的な記述はなかった。 しかし , 今回の「基準」では , 図書館組織の範囲 を明確にし , 公民館図書室を図書館組織から切り 離し連携の対象として位置付けたことは評価でき る。 整備目標については具体的な記述はなく , 協力 者会議報告書に参考資料として目標基準例 ( 人口 段階別貸出密度上位の公立図書館整備状況 2011 ) が示 されているのみとなっている。 2 . 管理運営の基本について 図書館法等の改正に当たり , 国会における附帯 決議で「指定管理者制度の導入による弊害」の懸 念が示された。これらを踏まえ , 公立図書館の設 置者に対して , 図書館設置の目的に照らして効果 的な運営が行われるよう , その責任を明確にする。 ( 説明 ) 新たな「基準」では「指定管理者」の文 言を使わず , 「管理を他の者に行わせる場合」とし た。これまでの総務省通知や「これからの図書館 像」 , 図書館法改正時の附帯決議等を勘案した結 果 , このような記述となったものと考えられる。 しかし , 協会としては , 図書館の設置目的達成の ためには , 設置者が管理することが原則であり , 法の定めにおいて教育機関である図書館は , 設置 者管理主義を維持し , 設置者が直接管理・運営す ることが望ましいと考えている。 3 . 著作権法等の権利の保護について 図書館運営や活動に関連する各法令についての 遵守に基本的な理解と普及に努めることを提起す る。したがって著作権法のみを例示するのではな く , 「関係法令の遵守」として , 「利用者及び職員 に対して法令順守の基本的な知識の普及に努める こと」とする。著作権法は図書館の公共的役割に 着目して運用を図ることが肝要である。この間の 著作権法改正に至った経緯には , その立場で図書 館側が権利者側との合意形成を図ってきた経緯が ある。著作権法遵守の提起は結果として , 著作権 法の運用を硬直させることが懸念される。 ( 説明 ) この項目は図書館における関係法令の遵 守についての記述をすべきであり , 単に著作権法 を例示として取り上げる必要はない。資料提供

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書館は誰でも知識・情報を得ることができる最も 身近な施設として期待されている。 これらの期待に応えるため , 図書館の運営・ サービスを向上するための指針として , 「望ましい 基準」の改正が行われた。 ②図書館法の改正 2006 ( 平成 18 ) 年 12 月の教育基本法改正を踏ま え , 288 ( 平成 20 ) 年 6 月には社会教育法 , 博物館 法 , そして図書館法の 3 法が改正され , 図書館行 政の体制の整備 , 社会教育主事・司書・学芸員な どの社会教育専門職の資格要件等についての規定 が整備された。 その際 , 図書館法については主に以下の点につ いて改正がなされている。 いて解説する。 が行われた。この項目では , 主要な改正内容につ 文について変更がなされるなど , 大規模な見直し では , 新規条文の追加 , 旧基準のほばすべての条 先に述べた通り , 今般の「望ましい基準」改正 3 . 主な改正内容 0 を経て , 今般の「望ましい基準」の改正が行われ 作成し , パプリック・コメント ( 意見公募手続き ) この協力者会議からの提言を踏まえて改正案を 討を行った。 化に即した図書館のあるべき姿についての調査検 者会議」 ( 以下 , 「協力者会議」 ) を設置し , 社会の変 成 16 ) 年に「これからの図書館の在り方検討協力 これらの背景を踏まえ , 文部科学省は , 284 ( 平 んる。 まえ , その内容を更に具体化したものであると言 「望ましい基準」の改正は , これらの法改正を踏 ・図書館運営状況の評価と情報提供 ・私立図書館を含む望ましい基準の策定 ・司書の資格取得要件の拡大 , 研修の実施 ・学習の成果を活用する活動の機会の提供 図書館雑誌 vol. 107, N 。 .5 269 ①社会の変化・図書館へのニーズの変化への対応 ・適切な管理運営体制の構築 指定管理者制度の導入をはじめ , 図書館の運営 環境が変化する中 , 図書館の設置者は , 当該図書 館の設置目的を適切に達成するために必要な管理 運営体制を構築するべきことを明記するとともに 管理を他者に行わせる場合 , 緊密な連携により事 業の継続的・安定的な実施を確保するなどの必要 があることを規定した。さらに , 図書館の果たす べき役割を含めた基本的な運営の方針を定め , れに基づく事業計画の策定に努めることを規定し た。 ・課題解決支援機能の充実 これからの図書館には , 読書の推進・支援だけ でなく , 地域の課題解決に向けた取り組みに必要 な資料や情報を提供するなど , 地域や住民の課題 解決を支援する機能の充実が求められることから , 図書館サービスの一つとして , 地域の課題に対応 したサービスの実施を明記した。 ・多様な主体との連携・協力 図書館間や行政部局 , 各種団体・機関との連 携・協力により , 図書館サービスの拡大・発展や 他機関での図書館資料 , レファレンス機能の有効 活用等 , さまざまな効用が期待される。 「望ましい基準」では , 公立図書館間のみなら す , 国立国会図書館 , 学校 , 関係行政機関 , 民間 団体等さまざまな主体との連携・協力を推進すべ き旨を規定している。 ・多様な利用者に対応したサービスの充実 児童・青少年 , 高齢者 , 障害者 , 乳幼児とその 保護者 , 外国人等の多様な利用者のニーズに応え , より充実したサービスを提供するために , 下記に 例示するような必要な施設・設備の充実に努める ことを規定した。 ( 施設・設備の例 ) 傾斜路 , 対面読書室 , 児童・青少年のための専 用スペース , 拡大図書器など資料の利用に必要な 機器 , 点字及び外国語による表示等 ・知識基盤社会への対応

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認イ 図書館雑誌 2013.5. に以下の掲載希望条件 ( 別紙可 ) を でも , 応募者の混乱を避けるために 記入し , 郵送してください。受け付 締切日まで受付を継続いただくこと が条件となります。したがって締切 け順に掲載します。 ①司書 ( 補 ) 資格取得 ( 見込み ) 年 日の変更はできませんので , 締切日 月日 , その他取得資格②希望雇用 は慎重に設定してください。 形態 ( 例 : 正職員希望 [ 長期臨時職 以下の内容を含む掲載希望項目を 員可 ] など ) ③希望館種 ( 例 : 不 まとめ , 郵送・ FAX ・ E-mail 等でご 問 [ 大学図書館尚可 ] など ) ④希 ◆ご案内 送付ください。 望勤務地 ( 例 : 〇〇県内希望 ) ⑤ ①募集人員②応募条件③ ( 正職 この欄に掲載を希望される場合は 図書館業務遂行上有効な技術等 員以外の場合 ) 雇用期間 , 更新の有 次の要領でお申し込みください。 無④応募締切日⑤応募方法⑥ ( 例 : OA 機器 , NACSIS-CAT の操 * 求人について 作可など ) ⑥図書館での勤務経験 問い合わせ・連絡先住所 , 電話番号 司書 ( 補 ) の資格を有する正規職 があれば記入してください ( 例 : 公 ( ホームページ URL , E-mail アドレ 員の募集が原則です。非正規職員の 共図書館アルバイト経験有など ) ス ) , 担当者名 場合でも有資格者が対象となります。 希望職種以外の図書館 , あるいは 非正規職員の場合は , 雇用期間が 1 応募締切日によっては掲載できな 企業等による履歴書閲覧を希望しな い場合もありますが , 当協会ホーム 年以上であり , 週 5 日勤務 , 給与支 い場合は必すその点を明記してくだ ページには掲載します。掲載料は不 給の対象となる勤務時間が週 30 時間 以上であることが原則です。勤務時 要です。 さい。 問合先 : 日本図書館協会総務部谷 間が週 30 時間以下の場合 , また年度 * 求職について 当協会の個人会員 ( 購読会員を含 途中の採用で , 翌年度以降継続雇用 03 ー 3523 ー 0811 FAX. 03-3523 ー 0841 が未確定の場合などはご相談くださ む ) で , 司書 ( 補 ) 有資格者 , もし E-mail : somu@jla.or.jp くは近く取得見込みのある方の情報 を掲載します。履歴書 ( 写真貼付 ) なお応募者数が予想を超えた場合 かを感じ取る絶好の機会になります。 の「公立図書館の設置及び運営上の 望ましい基準」 ( 1 年 ) の改正にな 巷間 , コミュニケーション能力の重 ります。前の基準から今の基準へ何 要性が議論されていますが , 大学の がどう改正されたのか , その経緯や 勉強に何が有効かをとらえる感受性 課題については , 薬袋氏がわかりや も要求されると考えます。 すく整理した論考を寄せられていま さて , 今月号は改正「望ましい基 す。なお , 旧「望ましい基準」に関 準」の特集としました。この特集に しては , 10 数年前の本誌 95 巻 5 号 5 月 , 年度が替わって桜の時期が 先だって , 少し前の本誌 2 月号には , 過ぎ連休が終わる頃 , ようやく生活 ・速報版「図書館の設置及び運営上 ( 2001 年 5 月号 ) の特集があります。 のリズムや体調が整ってくる季節か の望ましい基準」の告示について そちらも参考にしてください。 ・霞が関だより「図書館の望ましい 私にとって「基準」の印象は何か。 と思います。 基準」の改正について 日常 , 公立図書館を利用する一人の 大学の図書館に勤める司書にとっ 市民の感想を述べるなら , 図書館の て , 学期が始まる前後の数か月は , ・資料「図書館の設置及び運営上の 望ましい基準」 ( 告示第 172 号 ) 実態と基準との乖離を常に感じます。 図書館ガイダンスの準備を含め行事 を掲載しています。今回 , より詳細 図書館によって置かれている状況が が集中して多忙な時期になります。 な内容をとらえ , どう活かしていく さまざまとはいえ , 世情の安易な逆 また , 入学してきた学生にとっては , かを考えるため , 特集を組みました。 風がまだ強すぎるのかもしれません。 図書館の資料や司書を活用した勉強 また , この「望ましい基準」は , 前 ( 中村保彦 ) が大学の授業と関連していかに有効 D こくばん 編集手帳 (

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図書館雑誌 2013.5. 特集☆「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか 公立図書館による「望ましい基準」のとらえ方・活かし方 経営サイクルに関する規定を中心に 叶多泰彦 1 . はじめに ( 改善 ) が確認できる ( 表 1 ) 。 書館法それぞれの条文に Check ( 評価 ) と Action る点があげられる 3 ) 。社会教育法 , 博物館法 , 図 育関連三法で同じ見出しの条をいくつか設けてい 2008 年の図書館法改正の特徴の一つに , 社会教 する評価等」の規定 ②社会教育関連三法の改正と「運営の状況に関 のが今のところ妥当であろう。 しい』事務の在り方を示唆する」 2 ) ものと理解する しい基準は , 一種の指針として , 図書館の「『望ま との指摘がある。図書館法に規定されている望ま 委任規定の有無を総合して判断する必要がある」 1 ) にとどまるかは , 個々の告示の規定内容や法律の 令として効力を有するかそれとも単なる行政規則 おける告示の法的性格については , 「告示が法規命 告示されている。国家行政組織法第 14 条第 1 項に て , 図書館の健全な発達を図ることを目的として 「新基準」は図書館法第 7 条の 2 の規定に基づい (1) 「新基準」の図書館法との関係 , 法的位置づ 2 . 「新基準」のとらえ方 方・活かし方を考えてみたい。 経営サイクルに焦点をあてて「新基準」のとらえ 本稿では , 公立図書館の現場職員の立場から , ( 改善 ) で構成される。 Plan ( 計画 ) ・ Do ( 実施 ) ・ Check ( 評価 ) ・ Action う。経営サイクルは PDCA サイクルともいわれ , かし方の核となるのは経営サイクルの扱いであろ として活用すべきものであると筆者は考える。活 営を定着させ , それをさらに深めるためのツール ましい基準」を以下「旧基準」とする ) は , 現場に経 下「新基準」とし , 「公立図書館の設置及び運営上の望 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」 ( 以 社会 教育法 表 1 . 社会教育関連三法における評価と改善 ( ゴシック太字は筆者 ) 見出し : 運営の状況に関する評価等 について評価を行うとともに , その結果に基 第 9 条博物館は , 当該博物館の運営の状況 置を講ずるよう努めなければならない。 づき公民館の運営の改善を図るため必要な措 について評価を行うとともに , その結果に基 第 32 条公民館は , 当該公民館の運営の状況 博物館法 づき博物館の運営の改善を図るため必要な措 置を講ずるよう努めなければならない。 第 7 条の 3 図書館は , 当該図書館の運営の 状況について評価を行うとともに , その結果 に基づき図書館の運営の改善を図るため必要 な措置を講ずるよう努めなければならない。 ( 3 ) 「附帯決議」・「これからの図書館像」の影響 「新基準」には図書館法改正を反映したもののほ か , 社会教育法等の一部を改正する法律案に対す る附帯決議 ( 以下「附帯決議」 ) 4 ) や , 「これからの図 書館像」 5 ) の内容を反映したものも多くみられる。 「旧基準」に比べ「新基準」の内容が豊富になった 一因もそこにある。「新基準」を的確にとらえるた めには , これらを読み込むことも重要となる。 ( 4 ) 博物館の望ましい基準との比較 博物館の望ましい基準と「新基準」とで P ( 計 画 ) C ( 評価 ) A ( 改善 ) に関して規定した条の共通 した見出しと , 各項の概要をまとめたものが表 2 である。同様の内容となっているのは , 「新基準」 策定にあたり , 先に告示された博物館の基準の内 容を参照し整合性を持たせた結果と思われる。基 準全体としては「新基準」の方がかなり詳細にわ たり具体的な記述をしている。 図書館法

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2 / 8 図書館雑誌 2013.5. ついて規定された ( 表 1 ) ことに伴い , 「新基準」 でも規定されている。この点について図書館法と 「新基準」を比較したのが表 5 である。法と基準が ほば同一の内容となっている点に不足を感じる。 「改善を図るため必要な措置」をどのように講じる のが望ましいのかは , 現場の実践を通じて模索し ていくことになろう。 4 . おわりに . 現場での積極的な活用のために 今後の展開に期待すること 4 点について簡単に 触れたい。 第一に , 現場における経営サイクルの定着と , 図書館法第 7 条の 4 ( 運営の状況に関する情報の 提供 ) の意義を理解した上で , 「新基準」が活用さ れることである。マネジメントサイクルという骨 格を作り上げ , そこに各種資源や活動を入れ込ん でいく。 PDCA それぞれの場面で「新基準」を参 照することも意義深い。その上で , そのサイクル が機能していることを市民に公表し続ける ( 図書 館法第 7 条の 4 ) 。これは , 公立図書館の制度的成 熟に向けての現場の責務ともいえる。基準だけで はなく , 関連する法令・行政文書等 8 ) をあわせて 読み込むことで , より深い理解に基づいた経営活 動につなげたい。図書館法第 7 条の 2 ~ 第 7 条の 4 は , ーっのセットとして , 図書館協議会に関す る規定ととともに , 図書館の経営とガバナンスを 作りあげていく規定ととらえたい。 第二に , 国レベルの政策展開への期待がある。 「新基準」と国の責務についての指摘 9 ) や , そもそ も日本には図書館・情報政策は「ほとんどないに 等しい」 10 ) との指摘もある。「新基準」を図書館・ 情報政策へとつながる起点としたいものである。 第三に , 基準の改定・見直しである 11 ) 。経営サ イクルを一つの軸に据える形で示された「新基準」 を一種のプラン (P) ととらえれば , その基準の目 的を達成できているかどうか (D) を踏まえて基準 の評価 (C) , および改定 (A) を行っていくことが 望ましいと考える。図書館の健全な発達を図る影 響力と責任の伴う基準であり続けることを望む。 最後に , 図書館関連団体の政策的対応がある。 「旧基準」よりも前に日本図書館協会より「公立図 書館の任務と目標」の解説書 12 ) が「旧基準」の告 示後にはその「活用の手引き」 13 ) が , それぞれ刊行 された。「新基準」の告示に伴いこれらの改定・ アップデートも必要となろう。あるいは , 図書館 関連団体による図書館政策的なものの整理・再編 が必要となっているのかもしれない 14 ) 。 全国各地の公立図書館の現場において「新基準」 を自らに引き寄せてとらえることで , それぞれの 置かれた状況に合わせた 15 ) 価値や戦略の選択を通 じた現代的な図書館経営を実現することが求めら れている。 注 1 ) 曽和俊文 , 山田洋 , 亘理格「現代行政法入門第 2 版」有 斐閣 , 2011 , p. 37. 2 ) 田中久文「「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」 ( 文部科学省告示 2 開 1.7 ) についての雑感」「日本図書館情報 学会誌」 Vol. 48 , No. 4 , 282 , p. 180. 3 ) 鑓水三千男「図書館と法 : 図書館の諸問題への法的アプロー チ」日本図書館協会 , 2009, p. 30. 4 ) 衆議院文部科学委員会 ( 平成 20 年 5 月 23 日 ) の決議と , 参 議院文教科学委員会 ( 平成 20 年 6 月 3 日 ) の決議がある。 5 ) 「これからの図書館像 : 地域を支える情報拠点をめざして : 報告』これからの図書館の在り方検討協力者会議 , 2006 6 ) 平成 24 年 12 月 19 日生涯学習政策局長通知 7 ) 「附帯決議」 ( 衆院 ) の三 , および「附帯決議」 ( 参院 ) の四 を参照のこと。 8 ) 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準 ( 平成 24 年文部科 学省告示第 172 号 ) について」文部科学省 , 平成 24 年 12 月 , http://www.mext.go.jp/a—menu/shougal/tosho/()() 1 / icsFile s/afieIdfiIe/2013/01 / 31 / 1330295. pdf が役立つ。 9 ) 嶋田学「「公立図書館の設置及マび望まマしい基準』と国の責 務」「出版ニュース」 2012.10 上 , p. 18. 10 ) 柳与志夫「図書館経営論」学文社 , 287 , P23. 11 ) この点について指摘したものに次の二つがある。 ①越塚美加「図書館政策の立案における研究の役割 : 「公立図 書館の設置及び運営に関する基準について ( 平成 12 年 12 月 ) 」 報告の成立過程を例に」「現代の図書館」 V0139, No. 2 , 281 , p. 83 ー 88. ②「図書館の設置及び運営上の望ましい基準の見直しについ て ( 報告書 ) 」これからの図書館の在り方検討協力者会議 , 平 成 24 年 8 月 , http: 〃 www.mext.go.jp.com/onent/b—menu/ shingi/toushin/—icsFiles/afieIdfiIe/2013 / 01 / 31 / 1330310. pdf 12 ) 日本図書館協会図書館政策特別委員会「公立図書館の任務 と目標解説」日本図書館協会 , 1989 13 ) 日本図書館協会図書館の基準のあり方を検討するワーキン グ・グループ「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準 活用の手引き」日本図書館協会 , 2001 14 ) その必要性は「旧基準」告示後に既に指摘されている。北 克一 , 村上泰子「公立図書館の政策方針と「望ましい基準」」 「図書館界」 Vol. 54 , No. 5 , 283 , p. 224 ー 232. 15 ) 「基準の活用にあたっては , それぞれの図書館における状況 に応じて , 適切に運用することは当然であり , 機械的に適用 することは意味がない。」 ( 前掲書 13 ) , p. 10. ) 市川市中央図書館 ) ( かのうだやすひこ : 日本図書館協会認定司書 1008 号 , CNDC : 0162 BSH : 1. 図書館 ( 公共 ) 2. 図書館行政 3. 図書館評価 ]

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2 / イ図書館雑誌 2013.5. 特集☆「図書館の望ましい基準」をどうとらえるか 障害者サービス関連項目の誤解を招く記述とサービス後退への懸念 佐藤聖ー 他方 , 代読サービスは , 「読み書き ( 代読・代筆 ) 今回告示された「図書館の設置及び運営上の望 情報支援サービス」と言われるもので , 対面朗読 ましい基準」 ( 以下「望ましい基準」とする ) におい に代わる言葉ではない。このサービスを推進して て , 障害者サービス関連項目に大きな修正 ( 2012 いる団体の文章によれば , 私的な手紙・仕事上の 年 8 月のパプリックコメント時の原案に対し ) があり , 文書・公的機関や民間企業からの文書等を含むあ 関係者は大きな危惧を感じているとともに , 今ま らゆる文字で書かれた文書を代読し , あるいは代 で培われてきた障害者サービスの理念や方向が , 筆を行うべきとしている。つまり障害者等が生活 歪められてしまうことのないよう心配している。 していく上で必要なあらゆるものを代読代筆しよ 具体的には , 障害者や高齢者へのサービスとし うとするものであり , いわば福祉的なサービスと て規定されていた「対面朗読」が , 今まで図書館 して位置づけられるものではないだろうか。さら 現場で使われていない「図書館資料等の代読サー に , 視覚障害者等が代読サービスを必要としてい ビス」に置き換えられた点である。また , 文章の ることには論を待たないが , 本来どこがどのよう 流れからか , 代読サービスとなったことで , 障害 に行うべきものなのかということと , どこでも 者個人への支援・配慮の一つであるかのような誤 やっていないので緊急避難的にどこかがやらなく の代読 解を招く表現になっている。さらに てはならない , ということさえ区別して論議され サービスを行う人をボランティア活動の中に含め ていないのが現状である。 ており , 本来図書館の責任で行う対面朗読 ( つま ところで , 全国的に見ると図書館の障害者サー りその音訳は図書館協力者または職員が行うもの ) と異 ビスの実施率が低く , 図書館を利用することので なる。そもそも代読サービスというものの理念・ きない障害者・高齢者等が多数いる。また実施し 内容・方法等がきちんと示されていないのにかか ていたとしても , その質には大きな違いがある。 わらず , このような形で望ましい基準に取り入れ このように障害者サービスの進展が遅れている大 られたことに大きな疑問を持たざるをえない。 きな理由として , 障害者サービスが福祉的なサー 図書館の障害者サービスは , 「図書館利用に障害 ビスと混同されてきたことがある。障害者サービ のある人々へのサービス」であり , その目的は スは , すべての人が図書館を利用できるようにす 「すべての人にすべての図書館サービスを提供する るための , いわば基礎的なサービスである。例え こと」にある。これは図書館が行うべき基本的な ば対面朗読は閲覧と = ( イコール ) のものであり , サービスである。その中心的なサービスの一つで 「お金や職員に余裕がないので実施できない」とい ある対面朗読は , 視覚に支障のある障害者を含む えるような性格のものではない。 あらゆる人が図書館を利用できるように始められ 代読サービスという福祉に属するようなことを たものであり , 図書館の蔵書だけではなく , 利用 図書館に求めることにより , 福祉的なイメージが 者の持ち込み資料も対象にして実績を積み重ねて 広がり , 浸透しつつあった正しい障害者サービス の理念が損なわれるようなことがあってはならな 対面朗読は , 閲覧をすべての人に保障しようと 言うまでもないが対面朗読・郵送貸 するものであり , 図書館資料またはそれに準ずる い。また 出・宅配サービス等は「図書館のサービス」なの 資料が対象となる。逆にいうと手紙等の私的なも であり , 障害を持っ個人への支援や配慮ではない。 のはその対象とならない。まずは , 図書館のサー 日本図書館協会では , 「望ましい基準」でいう ビスをすべての人に利用できるようにすることが 「図書館資料等の代読サービス」を本来の対面朗読 大切である。