クラウドファンディング - みる会図書館


検索対象: 図書館雑誌 2014年07月号
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1. 図書館雑誌 2014年07月号

4 図書館雑誌 Vol. 108. No. 7 の方から「各分野で本が少ない」という意見が挙 がっていたこと , 地域の知のインフラとして図書 館が役割を果たしていくためには , 本の充実が優 先課題であると考え , 蔵書の充実をプロジェクト テーマに決めました。具体的には , 支援金で本を 購入し , 図書館へ寄贈するという流れで計画しま 今回 , 「 READYFOR? 」という国内最大規模の クラウドファンディングを運営する会社を利用さ せてもらいましたが , 無事にプロジェクトの企画 の後も企画の持ち込みはどんどん増えており , 夏 書が審査を通り , いよいよ支援金の公募が始まり には映画監督を迎えての映画上映会や島外の方が ました。 90 日という長い公募期間の初日は , 目標 企画した焙煎コーヒーを図書館で提供するイベン 金額である 18 万円を達成できるのか本当に不安で トが決定しています。 した。小さな離島の小さな取り組みに , 応援が得 果たしてこのようにバラエティに富んだ企画を られるのか自信がありませんでした。 1 人目の支 図書館だけで実現できたでしようか。図書館だけ 援が得られた時は , 感謝と感動と共に遠く離れた では発想に限りがあります。これからも , たくさ 町の図書館を応援してくださる人がいることに不 んのアイデアをもち , 何かやってみたいと考えて 思議な感覚を覚えました。クラウドファンディン いる島民や全国の皆様と魅力的な図書館活動を展 グとは , 直接的な関わりがなくとも , その地域や 開していければと思います。 プロジェクトを応援したいと共感してくださった クラウドファンディングの募集期間が終了して 方々と , サイトを通して出会い・つながることが 5 か月程経ちましたが , この取り組みが新聞で取 できるシステムなのだと初めて理解しました。資 り上げられたこともあり , 寄贈や寄付の問い合わ 金を得る手法としてだけでなく , 全国の方々に海 せが多数ありました。 2013 年度の寄贈は 4 , 000 冊も 士の図書館づくりの仲間に加わってもらった気が あり , 蔵書数も 24 , 000 冊にまで達しました。しか して , 見えない部分でも大きな支援をいただいた し , 蔵書の充実を寄贈ばかりに頼ることはできま 気がしました。 せん。これからは , 財政状況の厳しい町予算を頼 皆様の協力のおかげで目標額を上回る 124 万 5 ( Ⅱ ) りにするのではなく , 予算確保のため図書館が積 円のご支援をいただき , プロジェクトは無事成立 極的に動いていく必要があると思います。図書館 しました。支援者は島内・島根県内の方 , 図書館 に指定管理者制度が導入される現状にあって , 直 関係者の方 , 海士町に来たことがある方とさまざ 営図書館も民間の意識を持ち , 図書館経営を行う までした。 必要があると感じます。 今後は , 集まった支援金で本を購入し , 海士町 今回のクラウドファンディングへのチャレンジ 中央図書館へ本を寄贈する活動になりますが , は , ひらかれた図書館経営へと向かうきっかけを せつかくの機会なのでプロジェクトメンバーと島 与えてくれました。 図書館には資料・情報提供にとどまらす , 多面 民で , どんな本が欲しいか選書会を開催しようと 考えています。 的な役割が潜んでおり , 島に足りないもので , 図 開館当初からの「島内外のいろいろな人と一緒 書館が補っていけるものは多くあると感じていま に楽しい図書館をつくっていきたい」「図書館の可 す。文化・町づくりの活動が生まれる場 , 憩いと 能性を広げたい」という想いが , いま実現しつつ 潤いの場 , 島外からのお客様のおもてなしの場等 さらに役割の幅を広げ , 町の元気アップと魅力 あります。 今年 5 月には , プロジェクトメンバーが中心と アップにつながる図書館をみなさまと共につくっ なり図書館でピアノの弾き語りコンサートが開催 ていきたいと思います。 されました。住民と図書館 , 旅行者も当日スタッ ( いそたになおこ : 海士町中央図書館 ) CNDC 9 : 0162173 BSH : 1. 海士町中央図書館 2. 図書館経営 ] フに加わっての大きなイベントの実施は初めての 試みでしたが , 大盛況のうちに終了しました。そ

2. 図書館雑誌 2014年07月号

図書館雑誌 2014.7. 特集☆図書館とファンドレイジング 島根県海士町中央図書館への クラウドファンディングによる図書購入支援 磯谷奈緒子 ングの提案をしてみました。海士町中央図書館で 海士町は , 島根県の沖合 60km に位置する隠岐 4 は , 開館時より利用者や島民に対し「図書館へ企 島のうち 2 番目に小さな人口約 2 , 300 名の島です。 島の再生を目指し , 産業振興・交流促進・人づく 画をどんどん持ち込んでください」と発信してき ました。それにより , 有志のメンバーと図書館が りに取り組んで 10 年近くが経ち , 少しずつ成果が 表れ , 全国から注目を浴びるまでになりました。 一緒になり , 読書会や映画の上映会 , 図書館づく りを考えるワークショップなど楽しみながら活動 図書館の取り組みは , 海士再生への分岐点と なった「人づくり元年」の 2007 年にスタートしま を重ねるようになり , ついに図書館を拠点に文化 活動を推進するグループが誕生した時期でもあり した。当初は図書館もなく , 島民は本と縁遠い生 活をしているという , まさにゼロからのスタート ました。 今回の図書館プロジェクト代表を務めてくれた でした。図書スポットを地域に点在させ , 島をま るごと図書館にする「島まるごと図書館構想」を 安達さんは , これまでイベントに関わる中で , い ろんな世代の方と本を通して交流する楽しさを実 掲げ , 学校図書館への司書配置 , 地域分館の開設 , 感させてもらったので , 大好きな図書館のために 中央公民館図書室のリニューアル等を進めてきま 何かできることをしたいという想いで引き受けて した。 2010 年には図書館事業の実績が認められ , 待望の図書館が開館しました。しかし , 開館時の くださいました。そんな嬉しい言葉を聞いて , 図 書館の必要性を一番理解してくれているのは利用 蔵書は 8 , 000 冊で専門書等はほとんどなく , 島民 1 してくださる人々なのだと改めて思いました。図 人ひとりのニーズに応えることが難しい状況でし 書館はその地域に暮らす住民のためにあるのです た。財政難のため予算獲得が難しく , 蔵書の充実 が進まないのが開館以来の課題でした。 から , 図書館運営を行政にすべて委ねるのではな く , 利用者・図書館・行政が一緒になって人の集 クラウドファンディングに取り組むきっかけは , うあたたかい図書館を作っていけばいいのだと思 島外から図書館の見学に来られた方からの情報提 供でした。すぐに面白そうだと思い図書館が取り いました。今回のプロジェクトは , 図書環境の充 実に加え , 住民と図書館の協働による図書館づく 組むことを検討しましたが , 行政がクラウドファ りの第一歩ととらえ , しつかり取り組みたいと思 ンディングに取り組んだ事例はないため , 今回は 見送ることにしました。しかし , 何とか別のかた いました。 プロジェクトの企画書作成にあたっては , 安達 ちで取り組めないかと考え , 図書館活動を支えて さんだけでなく , 図書館の全体像を把握している くれていた有志のメンバーにクラウドファンディ 図書館側からも意見を出し完成させました。クラ ウドファンディングはプロジェクトに社会的意義 があるか , 想いに共感してもらえるかがポイント であると知り , どのような課題が図書館にあるか , また支援金でどんなことを実行したいかを協議し ました。この段階で気を付けたのは , 図書館が考 えている課題だけでなく , 利用者から挙がってい る図書館への要望 , 図書館サポーターが感じる課 題を出し合うということでした。その結果 , 島民 1

3. 図書館雑誌 2014年07月号

の事例収集に基づき , 44 の事例を紹介した上述の LRG 第 3 号における「図書館における資金調達 ( ファンドレイジング ) 」特集では , 図書館におけ るファンドレイジングを次の四つに大区分し , さ らに中分類として八つの区分を設けた。 表 : LRG におけるファンドレイジング区分 「ふるさと納税」を利用する 寄付・寄贈寄付を募る 本の寄贈を募る 雑誌スポンサー制度を利用する 広告 広告を募る 除籍資料を販売する 販売図書館が作成したものを販売する オンライン書店と連携する 交付・助成金 現在 , 日本の図書館で行われているファンドレ イジングは , おおむね上記のようにわけられる。 この表を参照しながら , いくつかの重要な動向 について述べておきたい。まず , 先に「日本には 寄付文化がない」という考えが誤りであることを 指摘したが , 同様に「日本の図書館はファンドレ イジングと無縁である」という考え方も誤りであ ることを指摘しておきたい。 上記区分でも中項目として明記しているが , 図 書館には「本の寄贈を募る」という歴史と伝統の ある取り組みが息長く存在している。資金調達と いうと , 現金ばかりを意識してしまいがちだが , 現金の主たる用途の一つが資料費への充当である ならば , 資料そのものの寄贈を受けることもまた , 図書館らしいファンドレイジングと言えよう。 繰り返しになるが , 「日本には寄付文化がない」 わけではなく , また「日本の図書館はファンドレ イジングと無縁」でもないのである。また , 話が 広がるが , こ数年の間に創立 18 周年を迎えてい る図書館の多くが , その成り立ちは民間図書館で あることを思えば , 日本の図書館は , 脈々たる ファンドレイジングの歴史のうえにあるのだ。 4 . 特徴的なファンドレイジング事例 さて , ではその歴史のうえにどのようなファン ドレイジングの世界が広がっているのだろうか。 こでは , 三つの動向にふれておこう。 近年の大きな特徴で言えば , 2008 年に導入され た「ふるさと納税」の活用がある。自治体への寄 付金の一定額以上については控除対象とするとい う仕組みを用いた「ふるさと納税」は広く普及し 図書館雑誌 v 。 L108 , N 。 .7 46 / ているが , その使途に図書館を明示する自治体が けっして多くはないが , 確実に存在し , さらに 1000 万円単位の大きな寄付を集める図書館が登場 しているのだ。 これとは別に広告主の社名等を雑誌の保護カ バー等に表示する雑誌スポンサー制度の普及も著 しい。筆者らの調査時点では , すでに 108 自治体が 導入しており , その始まりは遅くとも 2009 年 10 月 まで遡れる。ただし , 報道等でも目にすることが あるだろうが , 雑誌スポンサーの取り組みはすべ てが好調であるわけではない。導入初年度はとも かく , 次年度以降 , スポンサーが広告効果に疑問 を持ち , 継続が見送られるケースはいたるところ にみられている。他方 , NPO との協業で雑誌スポ ンサーの導入と定着を図る埼玉県内の取り組みも あり , 継続と定着への努力の差が , そのまま制度 の普及と定着の差となってあらわれている。 以上の 2 事例と並んで , 近年大きな注目を集め ているのが , クラウドファンディングと呼ばれる インターネットで資金調達を図る仕組みの活用で ある。この仕組み等については , 本特集における 島根県海士町からの報告に詳しいので , そちらを 参照していただきたいが , 図書館とクラウドファ ンディングという組み合わせの良さにはふれてお きたい。筆者の一人である岡本は , 代表的なクラ ウドファンディングサービスである「 READY FOR? 」を運営するオーマ社の役員でもある ( 2011 年度から 2013 年度は社長を兼任 ) 。その経験に基づく と , 実は図書館はクラウドファンディングによる 資金調達ときわめて相性がよいことがわかってい る。 実際 , 2011 年 3 月から 2013 年 3 月までの間に , READYFOR? を用いて行われた図書館関係のファ ンドレイジングでは , 90 % 以上の確率で資金調達 に成功している。また , 成功した 17 事例での調達 総額は 3297 万 3000 円を , 1 事例あたりの平均調達 額は 193 万 9588 円を記録している。 なぜ , 図書館がこれほどの支援を受けるのか , その詳細な理由は詳しく分析しなくてはならない が , 図書館の社会的認知度の高さ , その必要性や 有用性に対する潜在的な評価の高さがあればこそ , これほどの成果が生まれているのではないだろう か。 以上の 3 事例以外にも , おそらくは読者の方々 が考える以上に , 刺激に満ちたアイデアに基づく

4. 図書館雑誌 2014年07月号

図書館雑誌 vol. 108. No. 7 イび 3 特集☆図書館とファンドレイジング 特集にあたって 図書館雑誌編集委員会 ロロロ 公益法人組織にとって , 寄附への取り組みは必須であるという認識のもと , 4 月号の協 会再出発特集を引き継ぐ形で , 7 月号を「ファンドレイジング ( 資金調達 ) 」の特集とする ことを予告してきました。財政再建を抱える協会にとって , 資金問題に関心を寄せること はごく自然な対応ですが , それ以上に , 団塊世代が , 再雇用後の「再度の退職」という時 期を迎え終えようとしている今 , 会費収入だけに頼らない組織運営として外部資金導入を 考えることは , 法人経営の柱の一つに据えなければならない重要課題です。 その意味で , 移行日程を当初計画よりも 1 年半ほど後ろに倒すことにはなりましたが , ようやく公益社団法人化を果たしたこのタイミングで , 「税制上の優遇措置を受けられる 組織に仲間入りした」とお伝えすることができることを機関誌として喜びたいと思いま す。 この特集に寄せていただいた論考は , いずれもエネルギーあふれるものばかりですが , 各館から提供していただいた事例の数々が示している取り組み内容は , 企画段階の想定を 超えて , 企画の意図をうれしく裏切るものばかりとなりました。資料費不足に悩む個々の 図書館での解決課題として , クラウドファンディングや , ふるさと納税の枠組みをじよう ずに利用した取り組みなどは , まさにネット時代の取り組みと言えるものです。 今後とも , マネージメントを意識した取り組み事例に対して継続的な関心を持ち続け , 「競争的資金」で先行する大学図書館界なども含めた , 「資金調達」に関連する話題提供の 重要性を , 機関誌としてもきちんと抱えておこうと思います。 たにぐちゅたか ( 文責・谷口豊 : 本誌編集委員長 , 日本体育大学図書館 )

5. 図書館雑誌 2014年07月号

書館 The 、ん rar リ 木貮い 0 r れ a ー 2014 ⑦ Vol. 108 No. 7 渡邉太郎 ( 国立国会図書館 ) 山内薫 ( 墨田区立ひきふね図書館 ) 森谷芳浩 ( 神奈川県立図書館 ) 三浦正克 ( 横浜国立大学附属図書館 ) 間部豊 ( 帝京平成大学 ) 松本哲郎 ( 市原市立中央図書館 ) 長谷川優子 ( 埼玉県立久喜図書館 ) 中村保彦 ( 文教大学越谷図書館 ) 仲尾正司 ( 和光大学附属梅根記念図書・情報館 ) く委員〉 谷口豊 ( 日本体育大学図書館 ) く委員長〉 ・編集委員会 「 July 」 今月の表紙 秦秀文・川下美佐子 ・事務局スタッフ 学 * 表紙デザイン = 戸張晴菜◎ 2014 VOL. 108 NO. 7 ・漆原宏のフォト・ギャラリー CONTENTS ・ NEWS 「アンネの日記』破損事件から考える こらむ図書館の自由・ ム・アーカイプの政治カ 453 457 松井正英 459 山内隆文 456 告知板・・・ 458 / 新聞切抜帳・・・ 461 ・公益社団法人日本図書館協会の最初の代議員選出のための選挙 ( 個人 会員選出 ) の補欠選挙の選挙結果報告 [ 特集 ] 図書館とファンドレイジング 460 特集にあたって 民間非営利団体とファンドレイジング 図書館のファンドレイジング事情と傾向 図書館雑誌編集委員会 463 太田達男 464 岡本真・嶋田綾子 466 米国における図書館のファンドレイジングー大学図書館と寄付ー上原優子 469 佐賀県立図書館における「ふるさと納税」等の取り組み 吉岡克己 472 相模原市の図書館における雑誌スポンサー制度の取り組みー佐々木義弘 474 島根県海士町中央図書館へのクラウドファンディングによる図書購入支援 日本図書館協会事業への寄附募集の概要と取り組み 霞が関だより・第 129 回 高齢者による絵本の読み聞かせ活動 磯谷奈緒子 476 大場高志 478 文部科学省・ 東京都健康長寿医療センター研究所 ( 東京都老人総合研究所 ) 480 れふあれんす三題噺・連載そのニ百十一 / 塩尻市立図書館の巻 役に立つ図書館を目指して一データベースを使用したレファレンス事例を 中心に 大深めぐみ・大澤青加・北澤梨絵子 482 小規模図書館奮戦記・その 209 / B ・ B ・ c 長湯「林の中の小さな図書館」 あるがままの自然の中で 佐藤久代 487

6. 図書館雑誌 2014年07月号

468 図書館雑誌 20147. 図書館のファンドレイジングがいま現在も各地で 行われている。これらについては , 本特集の本稿 以降の記事や先にふれた先行する調査・研究を見 てほしい。 5 . 図書館のファンドレイジングの停滞理由とそ の解法 ここまで見てきたように , 図書館におけるファ ンドレイジングは , 実は目新しい世界ではなく , よくみてみれば馴染みのある図書館がむしろ得意 とする領域と言えなくもないのである。しかし , そう言いながらも , どこの図書館でも当たり前に 6 . さいごに一ドナー・ピラミッドとアドボカ はなっていないのも実情だろう。 こで , この原 因の検討と今後の展開の可能性を述べておこう。 まず , ファンドレイジングがあらゆる図書館に おいて , 一般化しないのは , なぜだろうか。その 理由に関する体系的な調査がそもそも行われてい ないのだが , これまでの調査活動を通じての私見 を述べておきたい。課題は二つある。ーっは外部 資金を調達するという行動に対する図書館関係者 のマインドセットの欠落であり , もうーっは調達 した資金の扱いの難しさである。 ファンドレイジングに関心を示しつつも , 実際 的な行動に移らない図書館関係者の姿は筆者らに とっては , ごく日常的なものだ。それらの図書館 関係者の口からしばしば発されるのは , 本稿で繰 り返し否定した「日本には寄付文化がない」「日本 の図書館にファンドレイジングは馴染まない」と いう俗説である。このような信仰に対しては , 本 稿で挙げた実績を示すとともに , もはや外部資金 の調達なくして , 図書館の経営は困難であるとい う事実を突きつけるしかない。そして , その状況 は館種を問わない。 次いで , 外部資金の扱いの難しさだが , 特に自 治体の公共図書館の場合 , ファンドレイジングに よる事実上の収入は会計上 , 雑収入として扱われ , 次年度以降の予算割り当ての根拠にはなりにくい 現状がある。確かに , 自治体財政の仕組み上 , の問題は確かに存在し , その解決も容易ではない。 しかし , たとえば , クラウドファンディング活 用でしばしば用いられている手法だが , 友の会等 の外部の協力団体をファンドレイジングの担い手 とし , 現金を必要な資料や物品に変えてもらった うえで寄贈・貸与してもらう等 , 実は方法は多様 に存在する。また , 自治体内での正攻法な手法も ないわけではない。であれば , こは図書館関係 書館関係者であればこそ持っているはずの調査能 開けない。 こは図書館関係者の奮起 , そして図 能と諦めず , 諦めの悪さを徹底する先にしか道は だが , いずれの理由であれ , 要は最初から不可 を大いに役立てるべきだろう。 ハウの紹介にも努めている。先行する調査・研究 集でも単なる事例紹介にとどめず , その先のノウ いて , もっと勉強してもらうしかない。 LRG の特 者にとっての正念場であり , 要は行政手続きにつ 力の発揮を期待したい。 [NDC : 013.4 BSH : 1. 図書館経営 2. 資金管理 ] リソース・ガイド株式会社ライプラリアン ) 代表取締役 / プロデューサー , しまだあやこ : アカデミック・ ( おかもとまこと : アカデミック・リソース・ガイド株式会社 イジングになるのである。 るアドボカシーが図書館の中長期的なファンドレ くても , ファンドレイジングという形式で行われ ファンドレイジングで期待する成果を上げられな シーに見合ったものはそうはない。仮に短期的な が , ファンドレイジングほど , 図書館のアドボカ らしめていくことがアドボカシーの本義と言える けっして失われてはいけない価値であることを知 (y) である。その存在は社会的に不可欠であり , だ。それは言い換えれば , アドボカシー (Advoca- とは , それ自体が図書館に関する重要な広報なの 支援を必要としていることを広く社会に伝えるこ ファンドレイジングを通して , 図書館が経済的な まるものではないということを強調しておきたい。 そして , ファンドレイジングは , 資金調達に留 ミッドの構築が欠かせないのである。 イジングを成功させるには , このドナー・ピラ してみるのもよい。だが , 中長期的なファンドレ する際には , まずは手の付けやすい部分から試行 く図式のことである。ファンドレイジングを実施 腹を経て頂上へと支援者を緩やかに押し上げてい 部分の支援者までを段階的に把握し , 裾野から中 裾野部分の支援者から大口の寄付者のような頂上 とえばボランティアのような緩やかな参画をする 慮する必要がある。ドナー・ピラミッドとは , た む際には , ドナー・ピラミッドの構築を十分に考 まず , あらためてファンドレイジングに取り組 グが向かうべき方向を述べて締めくくろう。 さて , 最後に図書館におけるファンドレイジン