0 お申込み・詳細情報 http://www.net-mc.jp/osaka2016/ 大阪開催 ! 関西企業の皆様に最先端情報を伝えていきます 企業と消費者の接点にテジタルチャネルが浸透する中で、マーケティングにおける活用も発展を遂げてきました企業自らデジタルプラットフォームを 活用して、メディアを持ち、コンテンツを発信する。デジタルのチャネルの利点を生かして、お客様の意識やニーズを「データ」として把握し、お客様理 解を深める。あるいはテクノロシーの活用で、これまでコストがかかりすぎて実現しえなかった、ワントウワンマーケティングを効率的に実現する・・・など、 マーケティング、さらには経営の中に、テシタル、テクノロジーをいかに取り込むか、が重要なテーマになっています。 しかしながら、近年新しいテクノロジーが次々と登場する中で、ややもすると「テクノロジー偏重」とも言える状況が生まれています。勘と経験だけを重 視する時代から、デジタルを活用したデータドリブンのマーケティングへと進化を遂げるべきなのは言うまでもないことですが、そもそもマーケティング の原点である「お客様を深く理解し、お客様の気持ちに寄り添い、共感をする」マーケティングの本分を実現するために、デジタルテクノロジーもそし てデータも存在しています。 「データ」の先に見据えるのは、お客様の気持ちであり、生活、さらには人生・・・ そんな想いを込め、「宣伝会議インターネット・マーケティングフォーラム大阪」は、テクノロシーを活用するからこそ実現する「ヒューマンドリブン」を テーマに掲げて開催いたします。 ■講演登壇者 ( 予定 ) 特別対談 ( 仮 ) 自治体事例 株式会社ユー・エス・ジェイ 神戸市の取り組み ( 仮 ) マーケティング本部 神戸市 マーケティング部 市長室広報部広報課 テジタルマーケティングディレクター 山本耕太氏 田村考氏 バーガーキングが生む話題の 株式会社ユナイテッドアローズ コンテンツのタネ 事業支援本部 株式会社バーガーキング・ジャパン デジタルマーケティング部 CRM チーム ブランドマネーシャー リーダー 家永佳奈氏 安藤彩子氏 オウンドメディアを活用した 個客ごとのデータ分析による コーポレートブランディング 接点の最適化 株式会社リクルートホールディングス 人と情報の出会い方を最適化して 広報ブランド推進室 つくるブランドエンゲージメント コミュニケーション企画グループ 株式会社クレデイセゾン グルーブマネージャー ネット事業部 塩沢真理子氏 データマーケティング部部長 兼株式会社セゾン・べンチャーズ 他、企業講演には企業団体の 取締役 マーケターか登壇予定 磯部泰之氏 開催日 : 2016 年 7 月 12 日 ( 火 ) 会 場 : ハービスホール ( JR 大阪駅より徒歩 7 分 ) 主催 : 株式会社宣伝会議お問い合わせ : 宣伝会議インターネットフォーラム大阪 2016 事務局 E-mail: simc@sendenkaigi.com TEL 06-6347-8900 インターネット・マーケティング フォーラム大阪 2016 データドリブンからヒューマンドリブンへ ーマーケティングの本質を実現するためのデジタル活用を考える一 ロ 向 ーセミナー受講料 / 事前 WEB 申込で無料 は 7 月 12 日 ( 火 ) 開催 円 atinurn Sponsors Marketo マルケト M E R Y ペロリ Go 旧 Sponsors 0 ー SoftBank antenna TechnoIogy グライダーアソシェイツ ソフトバンク・テクノロシー PRT(TIES @User LocaI ユーサーローカル P R 刊 M E S Silver Sponsors 東京商工リサーチ i C 0 N ( A ST THECOO 4 マト Marketing & Creativity 至我 伝 4
0 収集・管理に潜む危険 個人情報の観点から知っておくへきリスク デジタル広告配信の第一歩として、ユーサーデータの収集があります。その プロセスにおいて、個人情報保護の観点から考えられるリスクにはどのよう なものがあるのでしようか。また、そのリスクを回避するために、企業側に 求められる意識や対策とは ? マーケターが知るべき、 3 つのリスク 個人情報 漏えい 日本アドバタイザーズ協会 小林秀次 個人情報保護法が成立したのは 2003 年のこと。個人情報漏えいやプライバ シー侵害のリスクは、企業にとって、 マーケターにとって目新しい話ではあり ません。しかし、なぜ今、再びこのリス クに注目が集まり、危機意識が高まって いるのか。その理由は、「さまざまな データを、必要に応じて容易に取り出せ る環境が整い始めた」からにほかなりま せん。それに伴い、消費者データに基づ いて意思決定を行う文化・風土が企業に 根付き始めたことも大きな要因と言えま す。企業が活用し得るさまざまなデータ の一つに個人情報があり、その取り扱い 方をいま一度見直そうという風潮が高 まってきたと捉えています。 言で「データ」と言っても、 Web ア クセスログやオンライン / オフラインの 購買データなどのバーソナルデータと、 氏名や住所を含む個人情報とがあり、 2 つの違いを理解するところから始まりま す。ノヾーソナルデータは個人を識別して 広告等のターゲティングに利用すること ができますが、それ単体では個人を特定 できません。そうしたバーソナルデータ ( ユーザーの属性テータ、ユーザーや ノヾスワードなどを含む Cookie データ ) と会員データベース内の個人情報が紐づ けられると、個人を特定する情報になり 得ます。これまで分断されていたデータ 同士を自由自在に組み合わせ、つなげる ことが容易になったがゆえに、気づかな いうちに個人情報に触ることができるよ うになり、企業にとってのリスクが高 まっているのです。さらに、クラウド型 データマネジメントサービスが多数登場 し、大量かつ重要なテータにオンライン でアクセスできるようになったこともリ スクを増大させています。 テジタル時代の今、マーケターをはじ めとするデータを扱う社員は、日々それ だけのリスクを背負いながら業務にあ たっているのですが、そのことを当事者 が十分に理解できていない。このことが、 最も重大なリスクだと感じます。社員に 対して、適切な教育を行うこと。「個人 情報漏えいが起こりがちなシチュエー ション CASEI. 自社保有データとサードバーテイデータの連携 自社の会員データベース ( ファーストパーテイデータ ) と、外部の広告プラットフォーム ( サード ノヾーテイデータ ) とを連携させるケース。自社の会員データベースから必要なリストを抽出する作 業を行うオペレーターは、信頼できる人なのか ? 広告の運用を外部委託する企業は多いが、デー タにアクセスする人、アクセスする環境には注意したいところ。 CASE2. クラウド型 DMP が外部からの攻撃を受ける クラウド型 D M P にデータを格納している場合は、外部からの攻撃による情報流出があり得る。 個人情報にあたるデータはオンライン環境に置かないことが望ましいが、どうしても必要な場合は、 プラットフォームのセキュリティ診断を行うこと。自社のセキュリティルールを定め、そのプラット フォームはその基準を満たすものなのかをチェックする必要がある。もっと初歩的なところで、個 人情報が含まれるリストを、メール添付やオンラインストレージサービスなどで外部バートナーと やりとりすることも避けるべき。 宣伝会議 2016.8 2
特 情報とは何か」「扱う際に注意すべきこ とは何か」「してはいけないことは何か」、 きちんと知識を身に付け、リテラシーを 向上する必要があります。 プ広告には実装されていないケースも少 昨今急増している動画広告や、ネイティ 静止画のバナーには表示されていますが、 まだこれからの部分もあります。また、 消費者に十分浸透しているかと言えば、 を 2014 年 1 2 月にスタートしましたが、 インフォメーションアイコンプログラム」 ウトの手段をユーザーに知らせる「 JIAA ンを表示し、情報の取り扱いやオプトア 行動ターゲティング広告に共通のアイコ ターネット広告推進協議会 (JIAA) が、 握していない人がほとんどです。イン 収集されて、何に使われているか」を把 は、「自らのどのような情報が、どこから れる風評被害・炎上リスクです。消費者 費者との意識の乖離によって引き起こさ もうーっのリスクが、マーケターと消 履歴を残す仕組みをつくることも有効です。 どのデータにアクセスしたのか可視化し、 さらに、誰がいつ、 クセスを許可する・・ うにする、社内でも特定の部屋からのみア 設定する、社外からはアクセスできないよ 定する、人によってアクセス権限を細かく 要です。データにアクセスできる人を限 ず、データへのアクセスコントロールが必 ティリスクを最小限に抑えるためには、ま しまうことを意味しています。セキュリ パーソナルテータや個人情報が流出して はセキュリティを破られた際に、前述の ーっは、セキュリティリスクです。これ 種類あると言えます。 漏えいによるリスクは、大きく分けて 2 することが重要です。そして、個人情報 大なリスクです。まず、その事実を認識 直接つながり、事業の存続にかかわる重 個人情報漏えいは、企業の信用問題に 情報漏えいがもたらす 2 つのリスク なくありません。「情報が何のために使 われているのか」を企業側がきちんと提 示し、かっ消費者が理解・了承していれ ています。ただ、コミュニケーションの しようとする動きは、ますます活発化し 昨今、ターゲットを「個」として分析 「個人の特定」は本当に必要か ? の毀損にもつながります。 無頓着でいることは、プランドイメージ せん。個人情報保護、データの健全性に 告主であることを認識しなければなりま く、アウトブットをしているプランド広 感の対象は、データサプライヤーではな う消費者の声をよく耳にしますが、不快 ゲティング広告に不快感を覚える、とい 把握できていることが重要です。リター たデータなのか」、データの取得経路を ること、「どこからどのように取得され イヤー、データブロバイダーと話ができ ているのか」という視点でテータサプラ とについてユーザーの適切な同意がとれ データに対し「このデータを利用するこ は不可欠ですし、活用している目の前の 了承を得ようという意識がマーケターに データ活用において、消費者の理解・ うとする企業姿勢が大切です。 よって、消費者側との意識格差を埋めよ う現実はありますが、明確な情報開示に かい規約を読まない消費者が大多数とい ユーザーに与える不快感を低減する。細 方式の場合も利用目的・範囲を明示して、 プトイン方式を採用する、オプトアウト る明確な同意をとることが重要です。オ の取得・活用について、ユーザーに対す このリスクを回避するためには、情報 が流出した際の影響は甚大です。 り、不快感を募らせるだけでなく、情報 と消費者との間に大きな意識の乖離があ を理解できていない場合は、マーケター れます。しかし、消費者側が情報の使途 ば、消費者の不快感は軽減できると思わ 北 : 鷲 0 有効な手段の一つだと思います。 データマネジメントを統括することも、 を設置し、自社のデータセキュリティ、 ( チーフ・プライバシー・オフィサー ) 」 統括する「 CMO 」のように、℃ PO ではないでしようか。マーケティングを 内プライオリティを高める必要があるの がそれを強く意識し、個人情報保護の社 いは、経営リスクに直結します。経営者 繰り返しになりますが、個人情報漏え していく必要があると思います。 ユーザーとのコミュニケーションを設計 マネジメントシステムを構築・改修し、 見ながら、自社のデータベースやデータ のような法制度の動きもきちんと横目で る内容が含まれており、マーケターはこ 形に加工した上で活用することを推奨す 加工情報」、つまり個人が特定できない 人情報保護法」では、個人情報を「匿名 ります。 2017 年に施行される「改正個 しない」という考え方が推奨されつつあ また、法律においても、「個人を特定 できるのではないでしようか。 ターが目指すコミュニケーションが実現 人を識別することができれば、マーケ 定できなくても、ノヾーソナルデータで個 合ってもらうことが重要です。個人を特 となく、好意をもってプランドと向き のはず。ターゲットが不快感を覚えるこ 自社が狙うターゲットにリーチすること ゴールは、個を特定することではなく、 小林秀次 Big Data 研究委員会委員長 Web 広告研究会 日本アドバタイザーズ協会 2016.8 宣伝会議 25 告研究会 Big Data 研究委員会委員長に就任。 公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web 広 ンマーケティングを支援している。 2016 年 4 月より ン上の行動データを用いて、企業のデータドリプ モグラフィックデータと日本最大級のスマートフォ 在は、 Supe 「 ship DMP 推進室長として、正確なデ 年にスケールアウト ( 現 Supership) に入社。現 イトでの広告企画・マネタイズ推進に従事。 2015 イトの運営を担当したのち、インターネット情報サ こばやし・しゅうじ / カタログ通販の編集や EC サ
NEW5PRPER 熊本地震 避難所て新聞の正確性が再認識 新聞 熊本日日新聞、全社挙げ発行継続 熊本地震は、熊本県益城町で震度 7 の 揺れを 2 度も記録する前例のない災害と なった。 4 月 14 日から発生した震度 1 以 上の揺れは千回を優に超えた。震災発生 直後から、地元の熊本日日新聞社は全社 を挙げて紙面の発行継続に取り組んだ。 4 月 1 6 日午前 1 時 25 分ごろの地震で、 同日付朝刊を印刷中の輪転機が自動停止 した。輪転機の復旧が危ぶまれたため、 西日本新聞社 ( 福岡県 ) との災害援助協 定に基づき委託印刷を申し入れたという。 8 ページの紙面データを西日本新聞に送 信した後、自社の輪転機が一部復旧でき たことで、午前 4 時過ぎから印刷を再開。 通常よりも 4 時間以上遅れて印刷を完了 し、新聞を配達した。 4 月 1 5 、 16 の両日には、それぞれ 2 ページ建て 1 万部、 4 ページ建て 2 万部の 号外を発行。安否や被害の状況、ライフ ラインに関する情報を盛り込み、避難所 などで配布した。避難所では新聞、号外 が食い入るように読まれていたという。 生活情報に高い評価 部横断で多面的検証へ 震災から 3 カ月が経った。熊本日日は震 災直後から被害と生活の両情報の提供に 力を注ぎ、被災者から高い評価を得た。 今後、復興に向けた動きが本格化し、被 災者の抱える問題は複雑になっていく中、 何を伝えるかが問われている。 熊本県災害対策本部の発表 ( 6 月 5 日時 点 ) によると、死者は関連死を含め 69 人、 行方不明者は 1 人。避難者は最大 18 万人 ( 4 月 17 日 ) で、約 7 千人が避難所で暮らす。 このほか、車中やテントで暮らす人もいる。 熊本日日は、 4 月末まで生活情報に 1 個面を割いた。行政機関の発表、店舗や 病院の営業・診療時間は一つひとつ確認 した。降版時間の繰り上げで通常より短 い時間の中での紙面製作だったが、訂正 は出さなかった。避難所などで、新聞の 情報の正確性が再認識されたという。 地震から時間を経るとともに、読者が 求める情報は一様ではなくなった。熊本 日日に寄せられる読者の声を紙面作りの 参考とし、罹災証明の遅れや被害判定、 車中泊が続く問題などを取り上げた。 5 月中旬からは行政の対応、ライフラ インの備え、文化財への被害といった課 題を九つに整理し、検証を重ねる。複雑 化する問題を、新聞社として一体的に検 証する態勢をどう築くかが課題となる中、 その対応策の一つとして熊本市東部に設 けた「臨時総局」を挙げる。 臨時総局は、震災発生から約 1 週間後 の 4 月 22 日に設けられた。被害の大き かった熊本市東部、益城町、西原村、御 船町を取材地域とする。これらエリアは 通常、別々の総支局が管轄していた。 後、こうした部横断の態勢作りにも力を 注ぎ、被害の大きな地域を俯瞰し、本社 の関連部門とも情報を共有することで取 材を深めていくという。 各紙、デジタル発信にも注カ 細やかな情報を随時提供 新聞各紙はデジタルでの発信にも力を 入れ、避難生活に役立つライフラインな ど細かな情報を随時伝えた。全国紙の中 には過去の震災で発信した避難生活に役 立つ記事をあらためて公開する社もあっ た。紙面イメージの一部を無料で公開す る社も多かった。 熊本日日、西日本新聞社は紙面掲載前、 もしくは紙面に載りきらなかった詳細な 生活情報をまとめて読めるコーナーを設 けた。熊本日日は 4 月 1 5 日から、給水場 所、営業する店舗、災害ごみの集積場所 など被災者の生活に関わる情報をまとめ、 1 日数回更新した。 西日本新聞は 4 月 17 日から、市町村や 区ごとに避難所の情報をまとめた。避難 所単位で衛生状態や物資の状況を伝えた。 まの両新聞社は教訓を生かそう 朝日 、ロノしノし と、東日本大震災で伝えた記事を紹介。 朝日は 4 月 14 日から開設している特集 ページで、東日本大震災直後に紙面で紹 介したコメの炊き方の記事などを掲載した。 読売は避難生活のヒントを集めたペー ジを設け、エコノミークラス症候群や低 体温症の予防法などを紹介する過去の有 料記事を、無料で公開した。 配達が遅れたり、配達できなかったり した地域の読者や避難者に情報を届ける ため、紙面イメージを Web で無料公開 した社もあった。熊本日日は 4 月 1 5 日付 朝刊から紙面の一部を、毎日新聞社は同 15 日付朝刊から西部本社版をそれぞれ公 開。大分合同新聞社は同 18 ~ 24 日付の 文・宮浦慎 朝夕刊を一部提供した。 0 2016.8 宣伝会議 145
テジタル時代のあるヘき組織とは ? 挑戦するマーケターたち vol.l 伝統ある巨大百貨店が進める庁ジタルシフト」とは 三越伊勢丹ホールティンクス 営業本部マーケティング戦略部 マーケティング政策担当長部長 柴田廣次氏 アイ・エム・シェイ 取締役 COO 加藤圭介氏 三越の創業は 1673 年、伊勢丹の創業は 1886 年。伝統あるニつの百貨店が統合してできた巨大企業である 三越伊勢丹ホールディングスは、デジタル時代で大きな変化の必要性に迫られている。百貨店にとってのデジタルシフトとは、 また巨大組織でデジタルシフトを進める秘訣とは。三越伊勢丹ホールディングス営業本部マーケティング戦略部 マーケティング政策担当長部長の柴田廣次氏とアイ・エム・ジェイ (IMJ) 取締役 C00 の加藤圭介氏が議論する。 これまでの伝統の枠に縛られない マインドセットが重要 柴田三越伊勢丹ホールディングスは、 百貨店としての規模が大きく、品揃えや 接客の質の高さを売りにしてきました。ただ 「デジタルシフト」視点で見ると、その規模 が足かせになることも多い。巨大組織ゆえ に、店舗を超えて、大量の顧客情報やメ ディア情報を共有し合う仕組みづくりがな かなか進んでこなかったのが現状です。 そこで今年、情報戦略本部を新設し、顧 客データなどの情報に特化したデジタルシ フトを進めています。一方、私の所属する 営業本部マーケティング戦略部では、店 12 宣伝会議 2016.8
提起がありましたが、我々はそうは思い ません。データを活用したコミュニケー ションと、マスや交通など従来型メディ アを活用したコミュニケーションは、今 後も共存していくものであり、企業こと、 時代ごと、施策の目的ごとに、適切に使 い分けることが重要と考えています。 マス媒体担当、デジタル担当、とメ ディア別に組織が分断していると、それ ぞれの領域を守ろうという意識が働き、 コミュニケーションの最適化が適切に行 われません。すべてのコミュニケーショ ン活動において、プランド価値向上を軸 に置き、それを実現するための組織体制 になっていれば、あとは適切はメティア 配分を適宜調整していけばいい。そうし た組織づくりを進めてきたことが、いま、 奏功していると感じます。 D M P を「刈り取り」のための手段と 捉えず、顧客体験の質を向上させ、企 業・フランドと顧客とのつながりを強 化・深化させるものと捉えるのが正しい のではないでしようか。データマーケ ティングは、確かにコンバーションにつ なげやすいという特徴はありますが、決 してプランディングの対抗概念ではなく、 新しいプランティングの手法でもあると 思います。我々もプランド訴求で「セゾ ンカードを持ち続けたい」と思っていた だくだけでなく、安心で気が利く情報発 信・サービスで顧客からの信頼を獲得し ていく、新しいアプローチを可能にする ものだと、前向きに捉えています。 とは格段に増えます。例えば、池袋にあ るショップで、洋服を購入したとする。 1 0 分後にはそのオーソリデータが DMP に入ってきます。その情報を キャッチして、お客さまのスマートフォ ンの中に入っている当社アプリに「ご利 用ありがとうございました」とご利用確 認のメッセージを送るとともに、近隣店 舗で使えるお買い物情報を配信すること もできる。カードの不正利用を気にされ ているお客さまに安心と同時に、お得で 便利な情報をタイミングよくお届けする という、今までできなかったタイムリー なコミュニケーションを、実現していき たいと考えています。 今回、独自の DMP 構築に至る決め手 となったのは、「スマートフォンの浸透」 でした。お客さまのことを知ることがで きても、それに合わせたコミュニケー ションの打ち手は、電話やメール、 DM 、 オウンドメディアに限られ、機動力に欠 けました。スマートフォンによって、お 客さまの状況やニーズに対応したバーソ ナルな情報をタイミング良く届けられる 環境が整ったことが、 DMP 導入を本格 導入するきっかけになったのです。 しかし、技術的に可能だからといって、 お客さまを「追いかけまわす」ような形 になっては、カード利用時の体験価値を 毀損する恐れがあります。会員から「気 が利いている」「安心た」と思っていた だけるよう、ユーザー目線のマーケティ ング・コミュニケーションを考え、実行 することが、今まで以上に求められると 感じています。 広告の可視化は フランディングの敵か ? 広告・コミュニケーション活動の効果 の可視化が、プランディングなど短期的 成果の見込めない活動を阻害する可能性 があるのでは ? という編集部からの問題 タグ付けが適切に行われると、会員こ との消費の傾向や、時期による買い物行 動の変化なども、明確に特徴として現れ てきます。それを把握できれば、日々の 情報発信はもちろんのこと、セゾンカー ドとより深く、より長いお付き合いをし ていただくためのアプローチも可能にな ると考えています。例えば毎月、限度額 ギリギリまで利用いただいている会員か、 海外旅行を計画していることが分かった とする。そのお客さまがオウンドメディ アにアクセスした際にトップページで ゴールド・プラチナクラスのカードをお 勧めするだけでなく、旅行情報を検索し ているサイトの情報配信枠に、利用限度 額をアップできることを伝えるご案内を 表示する。 DMP を活用すれば、 たことが可能になるのです。マーケティ ングのアプローチや、お客さまとのコ ミュニケーションのあり方が、大きく変 わるのではと期待しています。 セゾン DMP に格納されるのは、 100% 既存会員のテータです。既存会員に対す る情報発信・コミュニケーションは、 れまでも「顧客目線」を心がけてきまし た。とは言っても、 E メールや DM をお送 りするタイミングや内容は、どうしても会 社都合になっていることが多かった。 方通行になりがちだった情報発信を改善 し、お客さまとより良いリレーションを築 いていくために、セゾン DMP を有効活用 していきたいと考えています。どんな行 動をしているのか、どんなニーズを持っ ているのか、会員像がより精緻に可視化 されれば、それをプランディングという 観点で活かすことも可能だと思います。 今夏以降、 DM P にはオーソリ ( カー ド加盟店がクレジットカード会社に対し て、カード利用者の信用確認をするこ と ) のデータも連携できるようになるこ とも、非常に大きな変化だと考えていま す。お客さまの利用店・利用金額のデー タが即座に把握できることで、できるこ 0 クレデイセゾンネット事業部 データマーケティング部長 磯部泰之 いそべ・やすゆき / 1992 年クレデイセゾン入社。 営業企画部にてカード事業における営業企画の立 案や DB マーケティング推進業務に従事。その後、 銀行・百貨店・コンビニ等との合弁会社へ出向、 異業種での事業運営に参画。その後、経営企画、 広告宣伝を担当した後、 2010 年より現職。クレ ジットデータを活用したデータビジネス事業企画 等、ネットビジネスでの新規事業開発を担当。 2016.8 宣伝会議 57
0 0 TÜPIC テジタル活用が、 広告効果の「可視化」は宣伝部の敵か、味方か ? 顧客との新しいエンゲージの方法を生み出す デシタルテクノロジーの進化に伴い、広告効果が可視化できるようになったことは、長期的視点での プランディング予算を獲得しにくくなるなど、企業の宣伝部にとって、ある種のリスクになり得るので はないか・・・ ? そんな観点から、新たに独自の DMP を構築してデータドリプンマーケティングをさら に推し進めようとしているクレデイセゾンに考えを聞きました。 クレデイセゾンは 5 月、同社の顧客 データを活用するプライベート DM P 「セゾン DMP 」を、デジタルガレージと 共同で構築しました。過去 13 カ月分の カードデータ ( 会員属性情報、カード利 用情報 ) やお問い合わせの履歴、ショッ ピングモール「永久不滅 .com 」の利用 情報、ネットモニタ会員情報など、社内 に散在していた既存会員の属性・購買・ 行動データを統合し、セゾン DMP で一 元管理します。今回、 D M P を構築した 目的は大きく分けて 3 つあります。 第一に、統合されたデータを機械学習 などでクラスタ解析し、会員マイベージ や永久不滅 .com などのオウンドメディ ア、外部メティア ( アドネットワーク ) 、 自社のスマートフォンアプリといった各 種顧客接点で情報の出し分けを行ってい く、いわゆる C 日 M の強化です。これに より、多数のクラスタに分類したステー ジの異なる顧客とのコミュニケーション を最適化し、需要創造型の情報配信を実 施、カードの稼働率や利用単価を向上し ていきたいと考えています。 第二に、当社の新規ビジネスとして、 広告事業に参画していきたいと考えてい ます。かねてから、経済産業省では「ク 2016.8 レジットカード産業とビッグデータに関 宣伝会議 56 するスタディグループ」を設置、クレ ジットカードデータというビックデータ を利活用した新たなビジネスモデルの創 出を模索してきました。その具体的な取 り組み事例として、当社独自のセゾン DM P を活用したネット広告・コミュニ ケーション、 020 、リサーチなどのサー ビスを、外部クライアントに向けて提供 していきます。 第三に、フィンテック領域への挑戦も 視野に入れています。カード事業で必ず 発生する入会審査や途上与信といった業 務に、データ活用によるイノベーション を起こせないか、また新しい金融サービ スにつなげられないか、中長期的な視点 で模索していきたいと考えています。 社内に散在するデータを一元管理 データの整備が分析・活用のカギに 当社の顧客データには 4 つの特徴があ ると捉えており、 こに D M P を運用し ていく意義や強みがあると考えています。 第一に、本人確認ができているデータで あるということ。名前や生年月日、住所 など虚偽の申告ができないカード会員情 報は非常に精度の高いテータです。第ニ に、国内から海外、オンラインからオフ ライン、 PC からモバイル・・ ・・というよ うに、幅広い購買行動データが得られる こと。第三に、カードは 1 8 歳から申し 込み可能で、生涯にわたって使っていた だける、非常にライフタイムの長い商材 であるということ。加えて「流通系」と 呼ばれるセゾンカードは、小売り店頭で の会員募集に力を入れていることもあり、 消費性向が高い会員が多いとも言えます。 お買い物に関する情報が配信されてくる ことを、比較的自然に、かっポジテイプ に捉えてくださる会員が多いのです。第 四に、近年ゴールドやプラチナといった プレミアムカードの会員獲得に力を入れ ており、高所得層を含め、幅広い会員を 抱えているということです。 こうしたリッチなデータを識別・分析 し、コミュニケーション上の成果、ビジ ネス上の成果につなげていくためのカギ となるのは、「テータの整備」だと考え ています。セゾン DM P ではカードの利 用明細データを独自の手法でライプラ リー化しています。カードの明細情報を 数百 ~ 数千種類のカテゴリーに合わせて 識別、タグ付けを行います。これを丁寧 に行うことで、その後のクラスタ解析や マイニングを精度高く実行することがで きるのです。
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コミュニケーションはブッシュ型からプル型へ 消費者に「選ばれる」ためのコンテンツマーケティング 消費者が能動的に情報を探し、選び取る時代。企業は膨大な情報の中から、自社が発信する情報を 選んでもらう必要がある。こうした中、注目が高まっているのが「コンテンツマーケティング。 消費者のニーズに合った情報やコンテンツを提供することで関係性を構築していく同手法について、 アウトフレインの嶋瀬宏社長が解説した。 アウトプレイン社長の嶋瀬宏 氏の登壇の様子。当日はマーケ ティング担当者を中心に多くの 参加者が集まった。コンテンツ マーケティングに対する注目の 高さが窺える。 コンテンツを基点に ユーサーとの関係を構築する アウトプレインは 6 月、企業のマー ケティング担当者を対象としたコンテ ンツマーケティングセミナーを開催。 近年、ますます注目が高まるコンテン ツマーケティングの重要性と国内外の 事例を基にポイントを解説した。 現在、国内 200 社以上のメディアと、 30 社以上の企業のオウンドメディアに 対し、レコメンデーション機能を提供 しているアウトプレイン。独自のアル ゴリズムを用いて、メディアや企業が 保有するコンテンツをユーザー一人ひ とりの興味・関心に合わせてレコメン ドしており、そのマッチング精度の高 さが強みだ。 ツマーケティングは、顧客を直ちに獲 嶋瀬宏社長は「 2015 年から、日本 プロック機能を使用し始めており、そ 得するためではなく、顧客とのエン でもコンテンツマーケティングの取り の浸透率は今後、世界的に高まってい ゲージメントを高めるための手段だと 組みが本格化している」と話し、国内 くのではと嶋瀬氏は予測する。消費者 市場での関心の高さに言及。概念自体 が、自分に関係がない・興味がない情 強調。コンテンツマーケティングは 「新たな集客チャネル」として捉えるべ は決して新しくはないが、なぜ今、再 報を遮断し、見たい情報やコンテンツ きではなく、ユーザーとの関係性構築 び注目が高まっているのか。嶋瀬氏は を自らの価値観を軸に選び取る時代に をコンテンツ起点に設計していくアプ その理由として、「加速化するデジタ なりつつある。これに対応するため、 ル化」「モバイルシフト」「メディアの ローチが重要と話した。 企業のコミュニケーションは、リター 分散化」などを挙げる。現在、世界に また、これまでに支援してきたコン ゲティング広告やポップアップ広告な は約 10 億の Web サイトがある。情報 どをはじめとする「見せる」ブッシュ テンツマーケティングの実例を挙げな がら、ゴールから逆算したコンテンツ 過多社会では、企業の発信した情報や 型から、「見にきてもらう」プル型へと コンテンツをユーザーに受け取っても の企画制作、効果検証も含め一気通貫 移行する必要が出てきているのだ。 でプランニングを行うことが重要」 ( 嶋 らうことはもちろん、見つけてもらう また、嶋瀬氏は「オウンドメディア 瀬氏 ) であることを参加者に呼びかけ ことすら困難だ。さらに、アメリカで 運用やコンテンツマーケティングの目 は 18 ~ 34 歳を中心にユーザーがアド 的は PV 数ではない」とし、コンテン お問い合わせ / アウトプレインジャパン株式会社東京都渋谷区恵比寿 1 -21 -8 恵比寿グラスゲート 2F www.outbrain.com/jp E-mail.infojapan@outb 「ain.com < セミナー後半ではアウトプレイ ンの嶋瀬氏の他、ワコールの高 塚美佐恵氏とライフネット生命保 険の岩田慎ー氏をパネラーに迎 えてのバネルディスカッションを 開催。各社の取り組んでいるオ ウンドメディアの活用事例やコン テンツマーケティングの実施理由、 コンテンツマーケティング戦略に おける PDCA などを解説した。 1 2016.8 宣伝会議 55
00 マーケティングのデジタルシフト ー消費者の変化に対応するために ライオン X 日産自動車 デジタル時代に合わせ 組織を改編 「データドリプンからヒューマンド リプンへ」 企業のデジタル化、 マーケティングのデジタル化を実行す るにあたっては、今回の「インター ネット・マーケティングフォーラム」 のテーマでもある、この視点が欠かせ ライオン ない。ツールやプラットフォームと 宣伝部長 小和田みどり氏 いったソリューションありきではなく、 それらを導入することで消費者の真の 姿を把握し、消費者目線のコミュニ を運ぶ回数が減ったことが挙げられま ティティ商品は、自動車のように購入 ケーションやサービスを実行していく。 す。今から 1 0 年ほど前には、購入ま 前に商品について調べない方がほとん この目的意識こそ、デジタルシフトに でに何度もティーラーに足を運ぶお客 どです。日用品は店頭決定率がとても おいて最も重要なことと言える。 さまが多くいらっしゃいましたが、最 高く、 8 割以上の購買が店頭価格や、 本フォーラムの基調講演に登壇し 近では購入に至るまでの来店は平均で キャンペーンの有無などで決まると言 た日産自動車とライオンは、変わる消 2 回程度にまで減少しました。その理 われています。 費者に対応するために、どのような変 由として、やはりデジタル化が大きく ただ、デジタル化による変化をまる 革を実践しているのか。両社でそれぞ 影響していると感じます。今までは、 で感じていないわけではありません。 れ宣伝・マーケティングを統括する責 ティーラーで情報収集をされていたお 今までは、新製品が出たことを、私ど 任者が、取り組みの今を語り、意見を 客さまも、ディーラーに足を運ばれる もがマス広告で一方的に情報発信をす 交わした。 前に、自ら情報を習得され、購入する るだけでしたが、近年は、お客さま自 車種を絞りこんでいる、といった光景 身が SNS 等を通じて発信する場が多 デジタル化により がよく見受けられます。つまりディー くあり、影響力も強まってきました。 顧客独自による情報収集が促進 ラーに足を運ぶ前にサイトを見たり その中には、良い評価ばかりではなく、 SNS 等で一般の方の意見を聞いたり 「使ってみたけど、大したことがな デジタル化が進んでいますが、消 し、購入する車種を絞りこんでいると かった」というような、マイナスの評 費者の購買行動に対して、変化を感じ いうことです。テジタルの役割が日ま 価もあります。今後は広告を配信する ますか。 しに大きくなっていることを実感して 際にも、お客さま自身による発信の影 菅野自動車業界における大きな変化 います。 響力を考慮したプランニングが必要と としては、お客さまがディーラーに足 小和田ライオンが扱うようなコモ されていると感じます。 「モノ軸」から 「コト・ヒト軸」へのシフト。 50 宣伝会議 2016.8