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1. 日経ヘルスケア 2016年05月号

教えて ! 執筆◎ 江篭平紀子 ( 医療法人ゆうの森・事務課長 ) 監修◎ 永井康徳 ( 同理事長 ) 大好評の書籍「たんぽば先生の在宅報酬算定マニュアル」の発刊に携わった医療法人ゆう の森・事務課長の江篭平紀子氏が執筆を担当し、「たんぽば先生」の愛称で親しまれる理 事長の永井康徳氏が監修を務め、複雑な在宅報酬の仕組みを Q & A 形式で解き明かします。 2016 年度診療報酬改定は、「病院完結型」から、地 域全体で患者を診る「地域完結型」の医療提供体制 への転換に重きが置かれた。これに伴って在宅医療 では、基本の報酬となる在宅時医学総合管理料恠 医総管 ) や特定施設入居時等医学総合管理料 ( 特医 総管 ) が抜本的に見直された。そこで A 診療所では、 在宅報酬に詳しい医療事務従事者が、所属する在宅 医や訪問看護師にその仕組みを講義することになった。 B 医療事務従事者今改定における管理料の見直し の主なポイントを挙げると、 (1) 月の訪問回数に応じた 管理料の区分け、②患者さんの重症度による点数の 段階分け、 ( 3 ) 同じ建物に住む診療患者の人数に応じ た点数の細分化ーーになります。 C 医師これまで以上に複雑になった感じだね。 D 看護師しかも、特医総管の名称が施設入居時等 医学総合管理料 ( 施設総管 ) に変わり、対象となる施 ク気ス在宅報酬 たんばば先生 2016 年度改定で在医総管など はどのように見直された ? A 診療所での 2016 年度診療報酬改定に関 する勉強会 参加者 : B 医療事務従事者、 C 医師、 D 看護 師 0 設も増えたんでしょ ? B 医療事務従事者そうです。管理料の改定に伴い、 重症な患者さんで算定できた加算も見直されました。 改定内容をしつかり把握しましよう。 イラスト◎やまもと妹子 問題 2016 年度改定における在宅医療の管理料の見直しについて正しい記述は どれてしようか ? ( 複数回答 ) ① 重症度の高い患者については、より高い管理料を算定できるようになった。 ② 月 1 回の訪問診療では管理料を算定できない。 3 サービス付き高齢者向け住宅は施設総管の対象施設となった。 ④同じ建物に住んでいる診療患者の人数に応じて、管理料が 3 段階に細分 化された。 ⑤「重症者加算」は「頻回訪問加算」に名称が変更され、点数が引き上けら れた。 105 May 2016 NIKKEI Healthcare

2. 日経ヘルスケア 2016年05月号

パネルディスカッション キーバーソンが読み解く、改定の狙いと積み残された課題 2025 年に向けた効率的な医療提供を 全国自治体病院協議会会長逶見公雄 氏 7 対 1 入院基本料について全国自治体病 院協議会 ( 全自病協 ) が会員に実施した緊急 アンケートでは、約半分の病棟が、「重症者 25 % 」の新基準を満たしていた。なお、旧基 準による重症者の平均は 15 ~ 20 % だった。 リハビリテーション医療は、社会科学に近 い側面を持つが、そういう曖昧さは許されな い転換点を迎えた。 2000 年以降、リハ関連 の診療報酬は目まぐるしく変化。 PT ・〇 T ・ ST 有資格者は約 23 万人まで伸びたが、資格取得 後 5 年未満が半数を占め、専門医養成も追い ついていない。急性期は、医師の廃用症候群 への関心不足、看護師の早期離床取り組みの 不足、 PT ・〇 T ・ ST ・ MSW の不足が課題である。 今後、ほとんどの病院は、 7 対 1 病床を堅持 する方向だが、「℃ U と地域包括ケア病棟の 調整で維持できなければ、『病棟群』を選択 せざるを得ない」という病院もあった。今改 定で全自病協が強く要望してきた「総合入 院体制加算 1 の施設基準緩和 ( 化学療法 ) 」 などは認められたが、「初再診料における同 一日複数科受診」は認められなかった。 今後の診療報酬は、経済財政諮問会議の 経済・財政一体改革推進委員会が主導して いくだろう。院長や事務長はリータシップ を発揮し、開設者とのノ←トナーシップ、職員 のプロフェッショナルシップで、良い医療を 効率的に地域住民に提供していってほしい。 成果主義への転換を図るリハビリ 回復期リハビリテーション病棟協会常任理事石 ) 日誠氏 回復期リハは、供給過剰な地域もあるほ どに病床数もスタッフも増えたが、 1 人当た り実施単位数と曰 M 利得が比例していな い。要介護高齢者を減らすため、国はリハ ビリ医療に大きな期待をしている。今後は 急性期の入院短縮で慢性期の充実へ 日本慢性期医療協会会長武久羊三氏 の後の慢性期病院での入院期間も短くな り、 1 日当たりの FIM 向上点数を示す FIM 効率も向上する。 特殊で高度な医療を行う「高度急性期」 ( 広域急性期 ) 病院には、遠方からも患者は 回復期以外にもアウトカム評価が導入され、 成果主義は強化されるだろう。回復期リハ 病棟の実効性を高めるには、配属スタッフの 強化、教育研修体制の充実により、真の実 力をつけることが重要である。 来るが、「地域急性期」の病院は手術や処置も 月並みで、患者も近隣からしか来ないので地 域包括ケア病棟に転換すべきである。高度 急性期を除き、これからの病院は、疾病の治 療だけでなく、患者が日常生活に速やかに帰 れるような「リハビリカ」と「ケアカ」がなけ れば成り立たない。日慢協会長として、療養 病床の「慢性期治療病棟」としての充実を唱 えてきたが、ようやく現実になりつつある。 急性期病院の入院期間は諸外国の 5 倍に も及んでおり、回復期や慢性期の病棟での 成果を悪化させている。これを短縮できれ ば、日本で課題とされる寝たきりは少なくな る。急性期病院での入院期間が短いと、そ 2006 年度の診療報酬改定で 7 対 1 入院 基本料が導入された際は、日本の看護師が 世界レベル並みの手厚い看護を提供できる 体制を強く意識していた。ただ、病院単位 で設定してしまったのが大きな問題であり、 今では機能分化で是正に向かっている。 大病院の受診を抑制するために最も効果 的なのは、紹介状なしの初診料の引き上げ より、むしろ再診料の見直しである。再診 病診連携でかかりつけ医機能を発揮 日本医師会副会長 / 中央社会保険医療協議会委員松原謙ー 氏 で 2500 円以上の負担が増えれば、患者は 地域医療に戻ってくるだろう。急性期の大 病院で治れば、自宅の近くの診療所あるい は病院に戻るのが望ましい。大病院の医師 は疲弊している。きちんと病診連押・ 三り、三り、 7 ゝロ彡・ロ′′ 連携の体制を取りつつ、医療資源をうまく 分配しながら、国民が最も良い医療を受け て、良くなれば再び自宅近くのかかりつけ医 に診てもらうという流れを作らなくてはい けない。 83

3. 日経ヘルスケア 2016年05月号

4 特集ネット時代の「見えない敵」にも注意 医療・介護経営を守るクレーム & トラブル対処法 医療・介護のトラブレ最新事情 診療所では「ネットでの誹謗中傷」の悩みが急増 介護では「認知症高齢者」に関するトラカレが多発 診療所では、患者からの「過度な要求やクレーム」がトラブルの大半を占めるが、ネットでの誹謗中傷の悩みも急増している。介 護現場では、認知症高齢者の増加に伴い、虐待や徘徊時の事故をめぐるトラブルが今後多発しそうた。 皮膚科開業医 A 氏の あの日のことは、数年たった今でも 悪性黒色腫の心配はありません」と私 立つ出来事だったが、その後、最悪の はっきりと覚えている。相手の患者が、 が説明したところ、彼女は安心して帰っ 事態を迎えた。数日後、ネットで自院の たまたまテレビでよく見かける女性タレ 名前を検索すると、診療所の掲示板サ ていった。 ントだったこともあるが、こちらが親身 トラブルは、約 2 年後、再び同じ女性 イトで「初診料を 2 回取られた。せこい になって対応したのに、匿名でネットに が受診した時に起きた。その時も、同じ 医者だ」という当院に対する書き込みを ひどい書き込みをされたことが大きい。 ほくろが心配で来院。診断しても悪性 見つけた。匿名だったが、日付はあの女 正直、とても傷ついた。 への変化は見られなかったので、初診 性が来院した日だった。 その女性は、「背中にあるほくろが癌 料 ( 診療報酬の 3 割負担分で当時 810 そもそも、あの時は仕方なく再診料に ではないか心配だ」と当院を受診。診 円 ) だけを請求した。 変更したのだから、書き込みは事実で 断結果は良性のほくろで、「今のところ、 すると、受付で女性の怒鳴り声が聞 はない。なぜ、あんな書き込みをするの こえた。「初診じゃないわ か。納得がいかなかったが、「触らぬ神 よ。 2 度も請求するなんて にたたりなし」で無視することにした。 おかしいじゃない ! 」。怒鳴 開業して 10 年以上になるが、この一 り方が普通ではなかったの 件よりもっと嫌なクレームもたくさんあっ で私は走って受付に行き、 た。食欲がなくなり、食べ物の味が分 2 年後の今回の受診が初 からなくて「うつ」に気づき、慌てて心 診扱いになることを丁寧に 療内科のお世話になったことも・・ 説明した。しかし、彼女は それ以来、「無理はしない」と決め、 17 全く聞く耳を持たず、「おか 時で診療を切り上げることにした。 しい」の一点張り。 開業医は接客業だと割り切っている 仕方なく、「それでは、再 が、権利意識を履き違えた患者も少な 診料で結構です。申し訳 からずいるように思う。おっと・・ ございませんでした」と謝 ラッシュバックが起きてしまうので、なる 罪した。 べく考えないようにしよう。 これだけでも十分に腹の ( 皮膚科開業医、 51 歳男性 ) 〇〇 0 0 0 26 NIKKEI Healthcare May 2016

4. 日経ヘルスケア 2016年05月号

特別広告企画 キーバーソンカき明かす 改定の狙いと医療機関への影響度 2016 年度の診療報酬改定においては、「 2025 年モテル」の実現に向け、 7 対 1 病床 の絞り込みをはじめ、医療の機能分化・再編の流れが加速している。厚生労働省担 当官の講演に加え、医療行政のキーパーソンによるパネルティスカッションを行う セミナ = グ催され、分場禺た瞥の聴衆が、熱心に耳を傾けた。 「徹解剖 ! 2016 年度診療報酬改定」誌上レビュー ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅡ 0 主催 : 日経ヘルスケア 日時 : 2016 年 3 月 1 2 日 ( 土 ) 会場 : THE GRAND HALL ( 東京・品川 ) 協賛 : ミサワホーム 7 対 1 入院基本料では、施設基準に 基調講演 2016 年度診療報酬改定の なっている「自宅等に退院した患者の 割合」は 75 % から 80 % に引き上げられ 概要とポイント た。また、 10 対 1 一般病棟は、看護職 厚生労働省保険局医療課長宮嵜雅則氏 員・看護補助者の手厚い夜間配置を実 施している医療機関、重症者を受け入 れている場合に評価が加えられた。 地域包括ケアシステムを一層推進 7 対 1 の要件を見直し 一方、慢性期医療では、療養病棟入 改定の議論の中で最も時間を割かれ 2016 年度の診療報酬改定は、診療 院基本料 2 について、医療区分 2 ・ 3 の たのが、入院医療の機能分化・強化で 報酬の引き上げ率の平均が 0.49 % ( 医 患者の受け入れ 5 割以上を要件化した ある。 7 対 1 病棟で密度の高い医療を 科 0.56 % 、歯科 0.61 % 、調剤 O. 17 % ) の 必要とする患者の受け入れが適切に評 ほか、医療区分 2 ・ 3 の患者像をよりき プラス改定となった。これは医療費べ め細かく適正に評価した。 価されるよう、一般病棟用の「重症度、 ースでは約 2100 億円に相当し、この使 医療・看護必要度」の見直しが行われ、 前回改定で新しく作られた地域包括 途を巡って議論され、中央社会保険医 ケア病棟は、検証調査が行われ、入院 療協議会において細目が決定された。 重症者の割合の基準は 25 % に引き上 料の包括範囲から、手術・麻酔にかか げられた。 すなわち、①地域包括ケアシステム る費用を除外するなど、見直しが加え 7 対 1 病棟の基準の厳格化に伴い、 の推進と、病床の機能分化・連携を含 200 床未満の病院においては 2018 年 られた。 む医療機能の分化・強化・連携、②か 次回改定では、各都道府県の地域医 3 月末まで重症者割合の基準を 23 % と かりつけ医等の評価など、患者にとっ 療構想や病床機能報告が出そろうた する経過措置が設けられた。さらに、 て安心・安全で納得できる医療の実現、 「病棟群単位」の届け出の仕組みが導 め、それを受けて、どのように診療報酬 ③重点的な対応が求められる医療分野 に反映させていくかについて、より深い 入。病棟群単位の入院基本料を選択す の充実、④効率化・適正化を通じて制 議論がなされることになる。 る場合、年度内に届け出る必要があリ、 度の持続可能性を高める・一一の 4 つの 一方で、かかりつけ医の充実を図ると 4 病棟以上を持つ医療機関は複数病棟 視点に基づいたものである。 ともに、患者に適切な医療機関を受け を 10 対 1 病棟にしなくてはならない。 2025 年に向けて地域包括ケアシス てほしいとの思いから、紹介状なしで大 テムの構築が進み、前回、前々回の改定 さらに、 2017 年 4 月以降は 7 対 1 病棟 病院を受診した場合の定額負担が導入 はその医療面からの取り組みに主眼が の病床数を一般病棟全体の 6 割以下に 置かれたが、今回はさらに強化される。 縮小することになる。 された。 82

5. 日経ヘルスケア 2016年05月号

在宅報酬 2 国ス教 ! たんばば先生 ① 3 ④ 見直され、「患者の状態」「訪問回数」「居住状況」ごと まで幅広い在宅患者に対応したきめ細かな仕組みに 幹をなす報酬だ。 2016 年度改定では、重症から軽症 管理料は、訪問診療料などと並んで在宅医療の根 に点数が設定された ( 表 1 ) 。 腫瘍や後天性免疫不全症候群などに罹患している患 基準等の別表第 8 の 2 」に定められており、末期の悪性 なお「重症度の高い患者」は、「特掲診療料の施設 管理料が設定された ( 選択肢④は正解 ) 。 場合」「 2 ~ 9 人の場合」「 10 人以上の場合」の 3 段階で 者数に応じて点数が細分化。診療患者数が「 1 人の 別かによらず、当該医療機関が同じ建物で診ている患 り、「単一建物」の概念が導入され、訪問が同一日か個 問診療を行った際の「同一建物居住者の場合」に代わ 険医が同一建物の患者 2 人以上に対して同一日に訪 の管理料が新設された ( 選択肢②は誤り ) 。また、保 訪問診療を月 1 回行う場合 ( 従来は月 2 回以上が要件 ) 算定できるようになったほか ( 問題の選択肢①は正解 ) 、 具体的には、重症度が高い患者はより高い報酬が ・患者の重症度や訪問回数などで報酬が細分化 ・月 1 回の訪問診療で算定できる管理料の新設も ・重症者加算は名称が変更されて点数引き下け サ高住やグループホームも施設総管の対象に 一方で、特医総管は施設総管に名称が変わり、その 対象施設として、従来の養護老人ホームや軽費老人 ホーム、特別養護老人ホームのほか、有料老人ホーム ( 特定施設も含む ) やサービス付き高齢者向け住宅、認 知症高齢者グループホームの入居者も新たに追加さ れた ( 選択肢 3 は正解 ) 。一般のマンションなど、これ ら以外の単一建物は在医総管の対象となる。 ただし在医総管に限り、医療機関が医学管理を行う 患者数が当該建築物の戸数の 10 % 以下の場合、ある いは戸数が 20 戸未満で患者が 2 人以下の場合には、 単一建物の診療患者は 1 人とみなされ、それに応じた 報酬を算定できる。このほか、管理料の加算だった「重 症者加算」は今改定で「頻回訪問加算」に名称が変 わったが、報酬は 1000 点から 600 点に引き下げられた ( 選択肢⑤は誤り ) 。 者のほか、在宅人工呼吸や酸素療法などを行っている 状態の患者などが該当する ( 図 1 ) 。 表 1 ◎在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料の点数 ( 処方箋交付の場合 ) 機能強化型機能強化型 在支診・在在支診・在 単一建物の 在支診 訪問頻度 在支病 診療患者数 支病 ( 有床 ) 支病 ( 無床 ) 月 2 回以上 ( 重症度の高い 患者 ) 管理料 医学総合 入居時等 施設 患者 ) 医学総合 管理料 在宅時 月 1 回 月 2 回以上 ( 重症度の高い 月 2 回以上 月 1 回 月 2 回以上 2 ~ 9 人 10 人以上 1 人 2 ~ 9 人 10 人以上 10 人以上 1 人 2 ~ 9 人 10 人以上 1 人 2 ~ 9 人 10 人以上 10 人以上 5400 点 4500 点 2880 点 4600 点 2500 点 1300 点 2 / 60 点 1500 点 / 80 点 3900 点 3240 点 2880 点 3300 点 1800 点 1300 点 1980 点 1080 点 780 点 5000 点 4140 点 2640 点 4200 点 2300 点 1200 点 2520 点 1380 点 720 点 3600 点 29 / 0 点 2640 点 3000 点 1650 点 1200 点 1800 点 990 点 / 20 点 4600 点 3 / 80 点 2400 点 660 点 900 点 1620 点 ⅱ 00 点 1500 点 2 / 00 点 2400 点 2700 点 3300 点 660 点 1260 点 2280 点 1100 点 2100 点 3800 点 第 その他 1800 点 2835 点 3450 点 510 点 675 点 1230 点 850 点 ⅱ 25 点 2050 点 1800 点 2025 点 2450 点 510 点 945 点 Ⅵ 0 点 850 点 1575 点 2850 点 図 1 ◎重症度の高い患者 特掲診療料の施設基準等の 別表第 8 の 2 に掲げる状態 ①末期の悪性腫瘍、スモン、難病の 患者に対する医療等に関する法 律に規定する指定難病、後天性 免疫不全症候群、脊髄損傷、真 皮を超える褥瘡 ②人工呼吸器の使用、気管切開の 管理、気管カニューレの使用、ド レーンチューブ・留置カテーテル の使用、人工肛門・人工膀胱の設 置、在宅自己腹膜灌流の実施、在 宅血液透析の実施、在宅酸素療 法の実施、在宅中心静脈栄養法 の実施、在宅成分栄養経管栄養 法の実施、在宅自己導尿の実施、 植込み型脳・脊髄刺激装置による 疼痛管理、携帯型精密輸液ボン プによるプロスタグランジンし製 剤の投与 ・処方箋を交付しない場合は 300 点を加算 106 NIKKEI Healthcare May 2016

6. 日経ヘルスケア 2016年05月号

コンサルタント 工藤高の 病院経営ー the front line 最 今年 1 月、クライアントの公立 A 病院 あった。そして、 2 月にまとめられた「個 ( 600 床 ) を訪問したときのこと。「救急 別改定項目について」では、「退院調整 搬送患者地域連携紹介加算と地域連 加算を発展的に見直したことに伴い、 携診療計画管理料が 2016 年度診療報 一部の算定回数が少ない項目について 酬改定で廃止されるって本当なんです は廃止する」ことが示され、救急搬送患 へきれき か。青天の霹靂です ! 」。循環器病棟の 者地域連携紹介加算などを含む八つの 看護師長を経て医療連携部の責任者 報酬項目の廃止が決まった。 となった女性部長が、怒りで髪を振り こうした報酬を算定していなかった 乱しながらこう詰め寄ってきた。まさし 病院には影響がないが、 A 病院のよう く「怒髪天を衝く」勢いだ。 に地域連携に注力してきた病院には痛 手となる。普段は温厚な医療連携部長 見た目ははしご外しのようたが・・・ が怒るのも無理はない。ただ、代替の 実はこの A 病院は、昨年 12 月号の当 報酬が新設されたのも事実。筆者は 3 連載で取り上げた高次救急病院。大学 月に A 病院を訪問した際、「今改定では 病院を除くと、自他ともに認める県内ナ はしごが外されたように見えますが、は ンバーワンの三次救急病院である。同 しごの角度が険しくなったというのが適 院では 2015 年 1 月まで、後方医療機関 切でしよう。実際、従来より要件の厳し と連携して 7 日以内に入院患者を転院 い『退院支援加算 1 』という点数が新設 させた場合に算定できる救急搬送患者 されました」と医療連携部長に伝えた。 地域連携紹介加算 ( 1000 点 ) の算定件 加算 1 なら年 356 万円の増収に 数はゼロだった。それが昨年 4 月には 4 件、今年 1 月には 25 件に増加 ( 図 1 ) 。筆 2016 年度改定では、退院調整加算 者の紹介で、同加算を月 30 ~ 40 件算 を含む医療・介護連携関係の点数が大 定していた B 病院を見学し、そのノウハ きく見直された。「入院から在宅等へ」 ウを学んだことが大きく寄与していた。 の流れを加速させ、地域包括ケアシス 確かに、退院促進関連の複数の報酬 テムの実現に向けアクセルが踏み込ま を整理する方針は改定議論の早期から れたといえる。一般病棟における「退院 調整加算」は「退院支援加算 2 」となり、 入院期間で三つ ( 340 点、 150 点、 50 点 ) に分かれていた点数が 190 点に統一 算定要件の高い加算 1 ( 600 点 ) と、新 生児特定集中治療室管理料 (NICU) などの算定患者を対象とした加算 3 退院促進関連の報酬見直しが打撃に 何としても退院支援加算 1 の算定を ! ( 株 ) MM オフィス代表工藤高氏 河北総合病院 ( 東京都杉並区 ) などの病院事務 部門に 18 年間勤務した後、 ( 株 ) MM オフィス設 立。診療報酬制度の分析に基づく病院経営戦 略コンサルティングを得意としている。 NIKKEI Healthcare May 2016

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2016 診療報酬改定の影響と 病院大再編時代の勝ち残り策 人口動態、病院数、病床数、地域医療構想などを 掛け合わせて架空医療圏を設定 ! 特別セミナーのこ案内各種テータから医療需要ャ 毒当三 2016 年 6 / 18 ( 土 開催 ! 超速報 改定直後の実績テータを基に徹底分析 ! 120 名限定 本セミナー 3 つのホイント 社会保障・税一体改革における「 2025 年モデル」の実現に向け、 2016 改定は従来の「病院完結型」から、地域 全体で患者を診る「地域完結型」の医療提供体制への転換に重きを置いた内容となりました。 2012 ・ 2014 改定に 比べて派手さはありませんが、広範囲にわたってきめ細かく報酬が見直されたのが特徴です。一方で、地域医療構 想の策定は各都道府県で着々と進み、医療圏ごとに地域完結型の体制づくりが動き始めようとしています。 「将来、自院は地域においてどのような役割を果たすべきか、どんな病棟構成にすべきか」 早めにしつかり見定めることか病院経営の最重要課題となっているのは言うまでもありません。地域の他院の動向 などを考慮するだけでなく、 DPC データや医療需要データといった病院運営に関する多くの指標を的確に分析し、 自院の方向性を打ち出すことが不可欠です。 本セミナーでは、改定直後の明らかになったばかりの実績データを駆使し、 2016 改定の影響や対応を分析する ほか、架空の医療圏を設定した上で各種データを分析、高度急性期から一般急性期、回復期、慢性期までカテゴ ごとに今後の病院の具体的な生き残り策を指南します。これからのデータ重視時代・病院大再編時代を勝ち抜 くためのコツやノウハウを学べる 1 日になること確実です。 Ⅳ / ノ第 い株 株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優氏 , : ' < 講師経歴 > 1977 年生まれ。コンサルティング会社のアクセンチュア株式会社に入 社し、金融機関 ( 主に保険会社 ) の業務改善等を担当。その後、医療系コンサルティン グ会社に転職し、急性期病院向けに診療内容を基点とした経営改善に従事。 2012 年に株式会社メテイチュアを設立。医療介護・健康関連の情報提供サービスやアプリ ケーション開発のほか、医療機関・健康保険組合向けのコンサルティングを手がける。 [ 講師 ] < 講師経歴 > 1958 年生まれ。都内の河北総合病院入職後、亀田総合病院の分院 などの計 18 年間にわたる医事課中心の病院勤務を経て 99 年より現職。専門は診療 報酬制度からの病院経営戦略立案。現在、急性期、ケアミックスを中心に 1000 床 以上から 100 床未満まで多くの病院の経営コンサルティングを行っている。 2012 年 1 0 月より「日経ヘルスケア」で「コンサルタント工藤高の病院経営最前線」を連載中。 本セミナーの詳細・お申し込みは、インタ - ネットから

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PR 導入レポート 集患、問い合わせ、待ち時間対策など、 さまざまな効果を実感しています。 サラリーマンの聖地「新橋」駅から徒歩 30 秒という立地にある、やる気・元気新橋クリニックでは、 院内と院外の 2 ヶ所に「待合くん」を設置。 独自に提供する「超プレ健診」なとに関するオリジナル番組をメインに放映している同クリニックの 安里院長に、「待合くん」の使い方や効果などについて伺った。 やる気・元気新橋クリニック 安里満信院長 や早期発見に取り組んでいる。特に力を 忙しいサラリーマンにあわせた 入れているのが超音波検査だが、従来の 新しい自由診療モデル 流れでは、患者さんは診察室に入り、そこ 10 年以上、救急医療の現場に従事して ではじめて先生から検査について説明さ いた安里院長は、急患で運ばれてくる患 れるため戸惑ってしまうケースもある。そ 者さんの多くが普段あまり病院に行って こで、安里院長はあらかじめ「待合くん」 ( 自院オリジナル番組 ) いなかったり、健康診断を受けていないと で検査紹介のオリジナル番組を放映し、 いう現状を変えたいという想いから、 2015 効かず高額で医療業界において特殊な領 患者さんに事前知識を与え不安を取り除 年 11 月、やる気・元気新橋クリニックを開 域というイメージを持たれていると思いま いているという。「検査への敷居が低く 業。「健康診断や人間ドックは料金が高 す。そうした中で、思い立った時に気軽に なったのか、患者さんから問い合わせを受 く、時間もかかり、予約も面倒です。そう 立ち寄れる当クリニックの情報を上手く発 けることもあります」と話す安里院長。 した負担を抑え、誰でも気軽に検査が受 信する方法はないか模索していた時、知 「待合くん」は患者さんの健康意識を高 けられるように、当クリニックでは『超プ 人に『待合くん』を勧められすぐに導入を め、検査を受けるきっかけをつくっている レ健診』を行っています」と安里院長は話 決めました」。「待合くん」は院内に設置 という。また、「もちろん、待ち時間対策 す。「超プレ健診」とは、生活習慣病やア されるケースが多いが、同院では院内外 にもなっています。お待たせしない医療を レルギー、肝機能、がんリスクなど、自分 に設置している。それぞれの役割につい 心がけていますが、 5 分の待ち時間でも長 の気になる項目のみを選ぶことができ、料 て伺うと「院外は集患、院内はリピートを いと感じられる方もいます。そうした方に 金は 1 , 000 円台からという同院オリジナル 意識しています。特に院外は重要で、当院 も、待ち時間を快適に過ごしていただけて の健診のこと。各検査にかかる時間は 5 は新規クリニックなので、ますは集患しな いると思います」。「待合くん」の導入か 分 ~ 20 分程度と非常に短時間で、忙しい いことには始まりません。新橋の駅前とい ら 5 ヶ月、早くもたくさんの効果を感じて サラリーマンにこそ、健康診断を受けて欲 う立地をさらに活かせればと思い院外に いると、安里院長は話した。 しいという安里院長が考えた新しい自由 も設置したのですが、多くの人が『待合く 診療モデルだという。 ん』の前で立ち止まり、番組をはじめ、パ ンフレットやポスターも見ていただけてい ます」と安里院長は語る。 院内・院外に設置することで 異なる効果を発揮 オリジナル番組の放映で、 こうしたユニークな取り組みをどう広げ 検査の不安を払拭 ていくのか。それが「待合くん」を導入す る大きなきっかけになったと安里院長は話 同クリニックでは「超プレ健診」をはじ す。「一般的に自由診療というと、保険が め、さまざまな検査を通じで病気の予防 物 0 ア / ′地〃 0 Ⅳ 蝣ッ 超プし健診については お気軽にご相談ください ( やる気・元気新橋クリニック、入口の外にも設置 )

9. 日経ヘルスケア 2016年05月号

1 ウォッチ 2016 診療報酬改定 厚労省が 2016 年度診療報酬改定の疑義解釈 看護必要度の C 項目の対象手術や認知症ケア加算の研修要件を明確化 厚生労働省は 3 月 31 日付で 2016 年度診療報酬改定の疑 義解釈資料を公表した ( 表 1 、 2 ) 。 今回の改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要 度に手術直後の状態を評価する℃項目」が新設された。 そこで、どのような手術・治療が C 項目に該当するのかを明 示。「救命等にかかる内科的治療」における「侵襲的な消化 器治療」の「内視鏡による胆道・膵管にかかる治療」に、内 視鏡的経鼻胆管ドレナージ術、内視鏡的胆道結石除去術 などが含まれるとした一方、経皮的胆管ドレナージ術、経 皮経肝胆管ステント挿入術、経皮的肝膿瘍ドレナージ術な どの経皮的な治療は当てはまらないとした。 また、 7 対 1 一般病棟と 10 対 1 一般病棟を病棟群単位で 届け出た場合、原則として病棟間で患者を転棟させること 表 1 ◎疑義解釈により、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の C 項 目に含まれることが示された手術・治療 骨の手術 ( 5 日間 ) 救命等に かかる 内科的治療 ( 2 日間 ) 全身麻酔の 手術 ( 2 日間 ) ・骨切りもしくは骨の切除・移植を要する手術 ( 指 [ 手、足 ] の手術は除く ) →アプミ骨摘出術・可動化手術等、頭頸部の骨の切 除・移植を要する手術 ( 軟骨のみの操作で骨の操 作を伴わないもの、開窓や穿孔のみの操作で骨の 切除を伴わないものは対象とならない ) ・骨悪性腫瘍にかかる手術 →下顎骨悪性腫瘍手術、上顎骨悪性腫瘍手術等、頭 頸部の骨に対する悪性腫瘍の手術 ( 軟骨のみの操 作で骨の操作を伴わないものは対象とならない ) ・静脈麻酔による手術 →静脈麻酔で行われたもののうち、マスクまたは気管 内挿管による閉鎖循環式全身麻酔として実施され たもの ・脳血管内治療 ( 経皮的血管内治療 ) →脳血管内手術、経皮的脳血管形成術、経皮的選択 的脳血栓・塞栓溶解術、経皮的脳血栓回収術 ・冠動脈カテーテル治療 ( 経皮的血管内治療 ) →経皮的冠動脈形成術、経皮的冠動脈粥腫切除術、 経皮的冠動脈形成術 ( 特殊カテーテルによるも の ) 、経皮的冠動脈ステント留置術、冠動脈内血栓 溶解療法、経皮的冠動脈血栓吸引術、経皮的肺動 脈形成術 ・選択的血管塞栓による止血術 ( 経皮的血管内治療 ) →肝動脈塞栓術 ・経皮的心筋焼灼術 ( 経皮的心筋焼灼術等の治療 ) →経皮的カテーテル心筋焼灼術、経皮的中隔心筋焼 灼術 ・内視鏡による胆道・膵管にかかる治療 ( 侵襲的な消 化器治療 ) →内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術、内視鏡的胆道結 石除去術、内視鏡的胆道拡張術、内視鏡的乳頭切 開術、内視鏡的胆道ステント留置術、内視鏡的膵管 ステント留置術 はできないが、入院中に新たな疾患を発症し、治療のため に別の診療科への転科が必要となった場合などは例外的 に転棟できると明記。ただし転棟した場合は、入院期間を 通して 10 対 1 の入院基本料を算定しなければならない。既 にレセプト請求している際は、前月まで遡ってレセプトを取 り下げ、修正して請求し直す必要がある。 酸素流量 3L / 分を一時的にでも下回れば医療区分 2 このほか、療養病棟入院基本料 2 においては、「 25 対 1 看 護配置」と「医療区分 2 ・ 3 の患者割合 50 % 以上」の要件を 両方とも満たせない場合でも、所定点数の 95 % の点数を算 定できるとした。医療区分に関しては、「患者が酸素療法を 実施している状態」について言及。「常時流量 3L / 分以上 を必要とする場合」は区分 3 に該当するが、 1 日の中で流量 が 3L / 分を下回ることがあるケースについては区分 2 となる ことを示した。 今回の改定で新設された認知症ケア加算の施設基準に 盛り込まれている研修要件も明確化。認知症ケア加算 1 に おいて認知症ケアチームの看護師に受講が求められる研修 として、「日本看護協会認定看護師教育課程『認知症看護』 の研修」「日本精神科看護協会認定の『精神科認定看護 師』」などを指定した。一方、加算 2 で病棟の配置看護師に 受講が要求される研修としては、「都道府県および指定都 市で実施する『平成 28 年度看護職員認知症対応力向上研 修』」「日本看護協会『平成 25 年度一般病院における認知症 患者看護のマネジメント』」などを挙げた。 地域包括ケア病棟入院料に関しては、今回の改定で許 可病床数 500 床以上の病院、救命救急入院料などを届け 出ている病院は届け出が 1 病棟に限られたが、 2016 年 1 月 時点で 2 病棟以上届け出ていた病院では病棟数を維持でき る。ただし、こうした病院が今後、許可病床数を増やしたり、 新たに救命救急入院料などを届け出る場合は、地域包括 ケア病棟を 1 病棟以下にしなければならないことを明示。ま た、許可病床数 500 床未満で地域包括ケア病棟を 2 病棟以 上届け出ていた病院が増床によって 500 床以上になる際も、 地域包括ケア病棟を 1 病棟以下にしなければならないこと を明らかにした。 大病院の外来受診時の定額徴収については、対象外と なる患者として、「公的な制度に基づく健康診断で精密検 出典 : 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について ( その 1) 」 NIKKEI Healthcare May 2016

10. 日経ヘルスケア 2016年05月号

ァータ提出加算にはこう対応 ! 阪府泉南市にある医療法人聖 心会・堀病院 ( 10 対 1 一般 40 床、介護療養 55 床 ) は今年 2 月 1 日か ら、データ提出加算を算定できなくなっ た。 1 月 22 日が期限だった 2015 年 10 ~ 12 月分のデータ提出に失敗し、 4 ~ 6 月 分、 7 ~ 9 月分と合わせて年度内に 3 回 の遅延が決定、規定のペナルティーを 受けた格好だ ( 図 1 ) 。 堀病院は、一般病棟の一部で地域包 括ケア入院医療管理料 1 ( 2558 点 ) を算 定していた。同管理料は施設基準に 「データ提出加算の届け出」という項目 がある。これを満たせなくなったことで、 2 月 1 日から地域包括ケア病床に入院す る患者に対して報酬単価の最も低い特 別入院基本料 ( 584 点 ) を算定せざるを 得なくなった。 本誌の取材に対して詳細な経緯は明 かされなかったが、同院は地域包括ケ ア入院医療管理料の算定のために 2015 年 4 月からデータ提出加算を届け出て いた。にもかかわらず、 4 月以降正式な DPC ( 診断群分類別包括評価支払い 制度 ) フォーマットデータ ( 以下、 DPC データ ) を 1 度も提出できなかったことに なる。 3 回の遅延によってデータ提出加 図 1 ◎テータ提出加算の概要 テータ提出加算 ( 入院中 1 回 ) データ提出加算 1 ( 入院データ ) イ 200 床以上の病院の場合 120 点 ロ 200 床未満の病院の場合 170 点 データ提出加算 2 ( 入院 + 外来テータ ) イ 200 床以上の病院の場合 130 点 ロ 200 床未満の病院の場合 180 点 算の算定が取り下げになったのは、同 加算の新設以来初のケースだ。 8 回中 3 回遅延で算定取り消し データ提出加算は、厚労省の DPC 調 査に協力し、 DPC データを提出するこ とで算定できる報酬だ。 DPC 対象・準 備病院ではない出来高算定の病院に作 成が求められるのは、 (1) 患者の性別や 生年月日、入退院年月日、診断・手術情 報などの「様式 1 」、②病床数や届け出 入院料、加算の算定状況などの「様式 3 」、 ( 3 ) 医科保険診療以外の診療の有 無に関わる「様式 4 」、④医科点数表 に基づく出来高による診療報酬算定情 報の「 EF 統合ファイル」一一の四つの ファイル。 3 カ月分のデータを一括して 締め切り日までに厚生労働省の DPC 調 査事務局に提出する。 2016 年度の締め切り日は既に決めら れており、 7 月 22 日、 10 月 22 日、 2017 年 1 月 22 日、 4 月 22 日の 4 回。提出された ファイルの整合性などを DPC 調査事務 局が確認し、疑義があった場合などに 再度提出を求めるタイミングも別途 4 回 用意されている。 年度内におけるこれら 8 回の締め切り テータ提出加算の概要・主な要件 のうち 3 回遅延などがあれば、前述の堀 病院のようにデータ提出加算の算定を 取り下げなくてはならない。データ提出 加算の届け出が入院料で要件化されて いる場合、より点数の低い入院料への 移行を余儀なくされるので病院経営へ の影響は非常に大きい。 そのため、算定開始に際しては適切 にデータを作成できるか DPC 調査事務 局の審査を受けることになっている。ま ず地方厚生局にデータ提出を希望する 旨を届け出て、 2 カ月分の試行データを 作成し、 DPC 調査事務局に提出。適切 に提出したと認められれば、翌月の 1 日 から加算を算定できる。よって、新規に 届け出てから算定を開始するには 4 カ月 ほどかかる。 改定のたひに加算対象病棟が拡大 国は財源不足の中、効率的な医療提 供を実現するため、医療政策決定の基 礎資料として病院の診療データの収集・ 分析を重視している。中央社会医療保 険協議会の診療報酬改定をめぐる議論 でも、 DPC 調査結果が病院の実態を示 すデータとして活用されている。その 「データ重視」の時代を象徴する報酬が ・厚労省の「 DP 〔導入の影響評価にかかる調査」に準拠したデータ提出を評価 診療録管理体制加算の届け出が必須 ・ DP ( 調査に適切に参加できる体制を有する、 DP 〔調査事務局と常時連絡可能 な担当者を 2 人指定する ・コーディング委員会を年 2 回以上開催 ・データの提出 ( デタの再照会にかかる提出も含む ) に遅延等が認められ た場合、当該月の翌々月に当該加算は算定できない 各調査年度において、累積して 3 回データ提出の遅延等が認められた場合、 適切な提出が行われていないことから、 3 回目の遅延等が認められた日の 属する月に速やかに変更の届け出を行い、当該変更の届け出を行った日の 属する月の翌月からは算定できない 2016 年度の 提出期限 ・初回 7 月 22 日 10 月 22 日 2017 年 1 月 22 日 4 月 22 日 ・再照会 : 9 月 22 日 12 月 12 日 201 / 年 3 月 22 日 6 月 22 日 56 NIKKEI Healthcare May 2016