「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 27 投稿 「レフア協」研修モードを活用した 研修活動の実践 小田光宏 形式 , 方法 , 環境 , 開催要領 , 事前課題という項 目に区分し , ガイドラインとして役立つように はじめに 趣旨と要点を記している。なお , 骨子の主要な論 研修による図書館員の技能向上は , 時代や国を 点については , 3 で説明する。 問わず , 重要な課題の一つと認識される。日本で 2 . 2 研修会 は , 2008 年の「図書館法」改正により , 図書館 研修プログラムを適用した研修は , 2009 年度 員のための研修機会を設けることが明記され , そ に 7 会場 , 2010 年度に 4 会場にて実施された。 の必要性が再確認された。日本図書館協会は , 研 いずれも , 図書館あるいは図書館関係団体が主催 修事業委員会および認定司書事業委員会を中心に するものであり , 開催日 , 開催時間 , 参加者数な 実践に取り組み , 「公共図書館を対象にした中堅 どを示したものが , 表 1 である。 司書研修プログラム開発セミナー」 ( 2012 年 7 月 13 日 ) に代表される普及活動も行われている。 2 . 3 実施プロセス 筆者は , 2006 年度から 2010 年度において , レ 研修プログラムの実施プロセスを整理したもの ファレンスサービス技能を向上させるための研修 が図 2 である。図 2 では , 研修会の活動の時間 プログラムに関する実践的研究を行った 1 ) 。本稿 的関係を明示し , また , 開催者 ( 事務局 ) , 講師 , は , この研究の一環として作成した研修プログラ 参加者の対応状況を確認できるようにしている ムとそれを用いた実践事例の概要を , 考察・整理 が , 実践をとりまとめたものであることから , あ して示すものである。 くまで目安に過ぎない。しかし , 11 の事例に基 2 研修プログラムの概要 づくことから , 汎用性は高いと判断される。 2 . 4 教材 2 . 1 骨子 研修プログラムにおいては , 三つの教材を作成 した。第一は , 演習作業用の「事前課題」である。 筆者が作成し , 実践した研修プログラムの骨子 この内容と実例については , 3.6 で取り上げる。 を示したものが , 図 1 である。こでは , 目的 , 第二は , 事前課題に取り組んで , 国立国会図書 館の運営するレファレンス協同データベース・シ おだみつひろ : 青山学院大学教育人間科学部 ステム ( 以下 , レフア協 ) に登録するための手順 キーワード : 研修 , レファレンスサービス , レファレンス協同 を記した「作業要領」である。これは , 研修の趣 データベース
34 現代の図書館 VoI. 51 N 。 .1 ( 2013 ) 探索し , その結果をレフア協に事例として登録す ることを求めるものとしている。質問に対する回 答を求めるという内容は , 奥の先行事例があり , 目新しさはないが , 広く了解が得られる手法であ る。ただし , 研修プログラムでは , 回答そのもの ではなく , 回答に至るプロセスを重視することを 強調した。すなわち , 回答が得られたかどうかで はなく , 仮に回答が得られなくてもプロセスやア プローチに妥当性があったかどうかに着目した。 これは , 参加者の勤務する図書館の相違に配慮し てのことである。どんなに妥当なアプローチで あっても , 利用できるレファレンス情報源に限界 があれば , 十分な回答は難しいからである。 言い方を換えれば , この研修プログラムは , 正 解を求めることを意図していない。レファレンス 事例に関して , その評価の一部に「解決 / 未解 決」が位置づけられるが , 極めて相対的である。 同じ検索結果に関して , 何らかのヒントが欲しい 者の場合は「解決」であっても , 網羅的な情報を 求める者にとっては「未解決」だからである。 また , 登録された結果の解説では , 取り組みを 比較することを主眼にした。それゆえ , 比較の効 果が高まるよう , 事前課題の設定に工夫をしてい る。例えば , 同じ回答を入手できる多くの情報源 が存在するもの , 同じ情報源を利用しても索引語 や検索語を変えると結果が異なってしまうもの , 情報源によって観点の相違や掲載情報の幅が大き いもの , といった具合である。また , レファレン ス質問の背景にある利用者のニーズや利用者の属 性などにより , 検索方法や情報源の選択に違いが 生じることなども意識できるよう , 研修会当日に 解説したり , コメントによって強調したりした。 さらに , 事前課題を用意するにあたって , 扱う テーマに関しては , 公立図書館職員を対象にする という点から , 特定の主題に集中しないようにし た。これに加えて , 資料案内の技能を高められる ように , 文献を求めるレファレンス質問と事実を 確認するレファレンス質問とを , バランスよく組 み入れるようにした。また , 公立図書館で尋ねら れることが多いと言われる , 人物情報や統計情報 を検索する課題を含めるようにした。さらに , 開 催地の地域資料を活用したり , 地域情報を確認し たりするものを必ず含めた。図 3 は , 北九州市 立中央図書館における研修会での実例を , 出題の 趣旨や留意点とともに示したものである。 4 、おわりに 効果的な研修プログラムを構築するには , 実践 の積み重ねが必要である。本稿で示した研修プロ グラムを参考にして , レファレンスサービスの研 修が促され , かっ充実することになれば , 筆者と してこの上ない歓びである。 ただし , これからの研修活動は , 実施すること だけが重視されるのではなく , 研修の実態を記録 し , 考察を加える営みを伴わなくてはならない。 すなわち , 研究的な視点から取り扱う必要があ る。とりわけ , 一定の性質を有する研修プログラ ムを「モデル」として位置づけ , そのモデルの有 効性 , すなわち , 妥当性 , 重要性 , 持続性など を , 実証する活動を行うことが必要となろう。こ の実証作業は , 研修という実践に基づいて行うこ とから , 自然科学における実験のようには進めら れないが , 少しでも客観性を担保できるように 多様な調査方法を駆使して推進することが求めら れる。 本稿で提示した研修プログラムについても , うした実証作業が必要とされよう。その作業は , 前述した研究活動の主目的であるが , その成果に ついては , 稿を改めて示すこととしたい。 く注 > 1 ) 研究は , 日本学術振興会科学研究費補助金を得て , 「成果 共有型ネットワークを活用した図書館員の技能育成に関する 研究」 ( 萌芽研究・研究代表者・小田光宏 , 286 ー 2007 年度 ) と , 「成果共有型ネットワークを活用した独習 / 協調研修プ ログラムに関する実証的研究」 ( 基盤研究 (C) ・研究代表者・ 小田光宏 , 2008 ー 2010 年度 ) の 2 期で行なった。 ( 2012.10.17 受理 ) く補記 > 本稿受理後 , 研修プログラムの有効性を検証した研究成果と して , 次の論考を著している。 小田光宏「成果共有型ネットワークを活用したレファレンス 研修プログラムの有効性に関する実証的研究」『図書館界』 64 巻 5 号 , 2013 年 1 月 , p. 310 ー 326
32 現代の図書館 Vol. 51 N 。 .1 ( 2013 ) ント機能は , 講師と参加者との間での , あるい は , 参加者間での意見交換に活用できると考えた からである。さらに , 研修プログラムでは , シス テム中の「レファレンス事例データベース」への 登録作業を行うが , 登録フォーマットそのものが 有効であると認識した。すなわち , 登録フォー マット上に「回答プロセス」や「参考資料」など が用意されており , これらの記載によって , 処理 プロセスや典拠とした情報源に対する意識が高ま ると期待した。 ただし , このシステムは , 研修プラットフォー ムとして開発されたものではないことから , 当初 はシステムの参加館に「擬する」形で「研修会」 を位置づけて試行した。しかし , 2010 年度から は , システム内に「研修環境」が用意され , 名実 ともに研修プラットフォームとして機能するよう になった。なお , 研修環境は , 二つの利用が想定 される。ーっは , システムそのものをネットワー ク上のプラットフォームとして活用する場合であ る。もうーっは , すでに収められている「レファ レンス事例データ」や「調べ方マニュアルデー タ」を , 研修教材として活用する場合である。本 稿で示す研修プログラムは , 前者に該当する。 3 . 4 研修環境 上述した研修方法の実現には , ネットワーク環 境が前提となる。すなわち , 参加者がインター ネットにアクセスすることができ , レフア協を活 用できなくてはならない。したがって , 参加者の 勤務する図書館等に , ICT 環境が整っているこ とが最低限必要となる。また , 研修会が開催され る会場には , レフア協の画面が閲覧できるよう に , インターネット接続がなされた講師用 PC と 投影機器が用意されていることが求められる。も ちろん , 参加者一人一人が PC を利用できれば , さらに望ましいが , そうした環境を必要とするこ とは , 研修会の開催そのもののハードルを高くす ることにつながるため , 要件にはしていない。 3 . 5 開催要領 この研修プログラムでは 研修会の実施要領は , 筆者が一定の「標準」を 示し , 開催者の状況に合わせて調整した。標準 は , 先行事例や筆者の経験をもとにしながら定め た。まず , 事前課題の確認からレフア協への登録 までの間に 2 週間程度を設けるようにした。これ は , 事前課題を 2 週間かけて解決することを意図 したものではない。公立図書館の職員の勤務実態 を考慮してのことである。すなわち , 2 週間あっ たとしても , 参加者の労働環境や勤務体制によ り , 事前課題の解決にかけられる時間は , それほ ど多くはないと見込んだためである。 なお , 事前課題は , 参加者に一定の力量があ り , かっ , 情報源が十分に整っていれば , 30 分 程度で解決できる難易度を目安とした。ただし , 解決できなくてもかまわないことを伝えており , むやみに時間をかけることを求めてはいない。 研修会の時程としては , 2 ~ 3 時間を目安とし , 必要に応じて途中休憩を取る程度の長さとした。 これにより , 研修会を開催しやすくするととも に , 参加者の出席に伴う負担を少なくした。地域 によっては , 研修会場への遠方からの往復の時 間 , あるいは , 天候による制約があることを踏ま えての措置でもある。 参加者数は , 20 人から 25 人を理想とし , これ よりも多くなる場合には , 開催時間との関係で調 整するようにした。また , 研修プログラムでは , 事前課題への取り組みの結果を比較することを主 眼にしている。したがって , ーっの課題に対し て , 複数の参加者が取り組むことになるが , その 人数を 4 , 5 人程度と考えた。これは , 取り組み の結果の広がりがある程度得られるようにするこ とを意図しての設定である。これよりも少ない人 数の割り当ては , 演習問題に取り組まなかった り , 研修会を欠席したりする者がいたとき , 比較 できないというリスクが生まれてしまう。また , 人数を多くすると , 「右に同じ」式の解説が増え , 参加者の集中力が低下することにもつながる。し かも , 解説は , 参加者とのインタラクションを基 調にするため , 例えば一人に 5 分程度かかると考 えた場合 , 2 時間では 25 人分を扱えない。 3 . 6 事前課題 事前課題は , レファレンス質問に対する回答を
したことによる。 三つの理由の根拠は , 先例および関連する事象 に求めることができる。例えば , 2000 年度に開 始された日本図書館協会の「中堅職員ステップ アップ研修 (1) 」は , 図書館員の専門的能力を高 めることを目的としているが , 「レファレンスク 工スチョンの処理」は , 「レファレンスインタ ビューの方法」と「レファレンスツールの評価」 とともに , 一貫して基本科目となっている。毎年 の文部科学省地区別研修や各地の研修会の実践例 を確認すると , 「質問回答サービス」は常に主要 テーマの一つに位置づけられている。また , レ ファレンス質問の処理は , 有志による自己研修活 動である「レファレンス探検隊」で用いられてい る手法であり , 必要かっ取り組みやすい研修テー マであると予想される。さらに , レファレンス サービスに関係する啓蒙書の多くは , この技能を 中心に解説されており , 図書館員の専門的能力と して「わかりやすい」ものとみなすことができる。 3 . 2 形式 研修プログラムは , 演習形式を基本としてい る。すなわち , 参加者に事前課題に取り組むこと を求め , その結果をもとに研修会を開催する手順 としている。研修会では , 作業結果を比較しなが ら解説することを基調とした。演習は , 事前課題 に対する参加者の取り組みと , 研修会当日の講師 とのやりとり ( インタラクション ) , ならびに 参加者間の意見交換から構成される。 事前課題は , 前節で説明したように , レファレ ンス質問の処理を行うものである。この作業を事 前課題としたのには , 二つの意図があった。ーっ は , 作業時間を確保するためである。もうーっ は , 参加者の勤務している図書館の環境のもとで 解決することを狙いとしたためである。 従来行われている研修会の中には , 研修会場で 課題となるレファレンス質問を提示し , その場で 処理を行う形態のものある。これには , 会場に調 査資料が用意されていることが必要となり , 会場 の制約が大きくなる。また , 参加者によっては , その会場に用意された資料の利用に必ずしも慣れ ているわけではないことから , 実質的な調査時間 「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 31 に無駄が生じやすい。 また , 参加者が行う作業は , 勤務する図書館等 で行い , 日常の活動との関係を意識しながら進め ることが望ましいと判断した。そのため , 勤務し ている図書館で所持する資料 , 情報源の利用条件 を踏まえた取り組みとすることを優先した。 3 . 3 研修方法 研修プログラムの汎用性を高めるためには , 研 修方法に留意する必要がある。すなわち , 研修の 開催者 , 講師 , 参加者のいずれもが扱いやすい方 法を用いることが望まれる。研修プログラムで は , これに関係する二つの構想を , 方法として組 み入れた。ーっは , 研修への取り組みが参加者間 で共有され , 相互に刺激が得られるようにするこ とである。もうーっは , 研修会に参加するという 物理的な制約を少しでも減らすために , ICT を 最大限に活用した遠隔型の研修を志向することで ある。 前者は , レファレンス質問の処理に関して , 参 加者の取り組みを相互に比較できるようにするこ とを意味する。後者は , そうした取り組みをネッ トワーク上で「いつでも」「どこでも」できるよ うにし , 参加者の研修参加に対する物理的・心理 的ハードルを下げることを目指している。また , 取り組んだ結果がネットワーク上に掲載できれ ば , それ自体が記録として保持され , 意見付与や 二次利用などを可能にすることから , 研修プログ ラムとしての効用が高まるからである。 3.1 で説明した技能を対象に , 上記の方法を用 いて効果を高めるためには , ネットワーク上で研 修用のプラットフォームを用意することが考えら れる。大学の授業では , BIackboard をはじめと する教育用のプラットフォームが利用されてお り , 研修用に援用することもできる。しかし , れには経費が伴うことから , 開催者にとっては ハードルの一つとなる。そこで , レフア協の可能 性に , 筆者は着目した。このシステムでは , レ ファレンス事例を参加館が登録していることか ら , 上記の研修方法に適用できると判断したので ある。また , 無償で利用でき , かっ , 参加者に とって身近であるとともに , 搭載されているコメ
情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス 5 図 1 図書館ツアーの例 会・人文系リサーチ・ライプラリー 神奈川県立図書館 利用するには資科を探す調べる・相談するお知らせ 資科劭 - ・情報志 ホーム > お矢せ〉県民公講座 > 図書館大公開 図害館大公開 県立図書館は市町村の図書館と何が違うの ? 何があって何をしているの ? 県立図書館の全館を司書職員の案内で X " り歩きなカち、普段は入れ、書庫内のお宝資料などもごらんいた だく人気請座。「県立図書館に行くのは初めて」という方、「行ったことはあるすれど、よく説明してほしい」、「あの 奥はどプよっているんだろう ? 」、う方に特におすすめです。 狭い階段がありますので歩きやすい靴でご参加ください。 ※神奈川県立図書館ホームページより「県民公開講座図書館大公開」 例をあげる。事例は調査結果や文献 , インター にも浸透していることを裏付けている。 ネットの情報などを参考に , 情報活用能力の育 「 2006 年度調査」と比較して , 課題解決を支援 するための調べ方案内・パスファインダーなどの 成・向上を図るという観点から選択した一例であ ツールや調べ方講座などのプログラムが増加し多 る。 「情報リテラシー育成支援サービス : 領域と目 様になっている。 標」 [ 表 ] にあるように明確に区分されて実践が サービスについての意見では , " 情報活用能力 行われているわけではなく , さまざまなサービス の個人差は大きく , 図書館のように誰でも自由に 来られる場所でサービスを行うことは重要。 " に織り込まれていることが多い。 次に述べる ( 1 ) から⑨までのサービスは , どの " パスファインダーの作成 , 活用についての振興 図書館でも必すすべてを実施しなければならない が大切。また情報活用能力の育成 , 向上を図るた ということではない。図書館の規模や状況に応じ めの具体的な事例や方法がまとまっていると参考 て実践の一つのヒントとなればと考えている。 にしやすい。 " など公共図書館における情報リテ ( 1 ) 紙媒体の利用案内 ラシー育成を支援するサービスの重要性が肯定的 利用案内はホームページにもアップされるが , に述べられている。 手軽な紙媒体はサービス案内の基本となる。 二つの調査では , 悉皆調査が困難であることか ( 2 ) 掲示・配布物 ら事例が多いと推測される大規模図書館を対象と したが , 大規模図書館以外にも事例があることを サービスの使い方を知るために , OPAC や データベースの使い方 , 日本十進分類法の見方 指摘している文献もある 10 ) 。 情報リテラシー育成を支援するサービスの重要 を示すものなどさまざまなものがある。 性に対する認識は高まっており , 実践事例もある ( 3 ) 日常的なレファレンスサービス が , 参考となるようなマニュアルや事例集もない 検索の方法 , 特定テーマの調べ方など , 個別な 質問に対応して支援する。 まま , さまざまなサービスに織り込まれる形で展 ( 4 ) 図書館ツアー (l) [ 図 1 ] 開を模索されているというのが現況である。 書庫を中心とするバックャードッアーや見学会 3 実践のヒント と講座を組み合わせることもある。図書館への 訒識を深め , 利用方法を学ぶことができる。 ( 5 ) レファレンス事例の公開 3 . 1 サービスの方法と参考事例 ホームページや国立国会図書館 " レファレンス 協同データベース " 12 ) によるレファレンス事例 サービスの方法を整理し , あわせて関連する事 キーワード 一両県立トップー県立川崎一 活動評価・統計
30 現代の図書館 Vol. 51 No. 1 ( 2013 ) 図 2 研修プログラムの実施プロセス 12 週前 1 1 週前 10 週前 9 週前 8 週前 7 週前 6 週前 5 週前 4 週前 3 週前 2 週前 1 週前 当日 企画案の策定 講師への打診 企画の確定 会場・設備の手配・確保 参加者の募集案内 開 参加者・人数の確定 催 者 事前課題・登録要領の 事 受取 局 事前課題の割り当て 事前課題・登録要領の 参加者送付 プレゼン資料の受取・ 処理 事前課題のレフア協 登録の督促 講師依頼の承諾 開催者との協議 参加人数の確認 事前課題・登録要領の 準備 講 事前課題・登録要領の 事務局送付 師 プレゼン資料の作成 プレゼン資料の事務局 送付 登録内容の閲覧 登録内容へのコメント 付与 募集の確認・申込 事前課題・登録要領の 参 受取 加 事前課題への取り組み 者 事前課題のレフア協登録 登録内容の閲覧 講師からのコメント確認
8 現代の図書館 VoI. 51 No. 1 ( 2013 ) 社 . 2 開 8. p. 13 ー 20 9 ) 高田淳子 . 公共図書館における情報リテラシー教育の現 状 . 現代の図書館 . vol. 45 , no. 1 , 2 開 7 , P205 ー 212 10 ) 慈道佐代子 . 情報リテラシー教育と利用教育 : 大学図書館 と公共図書館 . 図書館・図書館学の発展 : 21 世紀の初頭の図 書館 . 日本図書館研究会 . 2010. P219 ー 220 (1) 図書館ツアーの事例。 神奈川県立図書館 . ・・図書館大公開 ". ( オンライン ) , 入手 先 く https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/yokohama/ information/disclose-l. html) , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 12 ) 国立国会図書館 . ・・レファレンス協同データベース ". ( オ ンライン ) , 入手先 く http:〃crd.ndl.go.j p/reference/ 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). レファレンス事例集と連動した事例。 福井県立図書館 . ・・レファレンス事例集 ". ( オンライン ) , 入手先 く http ・ //www.library.pref.fukui.jp/reference/reference— top. html#jirei 〉 , ( 参照 2013-2-25 ). 13 ) 国立国会図書館 . ・・リサーチ・ナビ公共図書館パスファ インダーリンク集 ". ( オンライン ) , 入手先 く http ・ //rnavi. ndl. go. jp/research—guide/pubpath. php 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 14 ) ビジネス支援と関連づけて作成された事例。大阪府立中之 島図書館 . ・ゼジネス支援サービスビジネス Web 情報源 ". ( オンライン ) , 入手先 く http ・ //www.library.pref.osaka.jp/nakato/busi—top.html 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 15 ) 学校支援と関連づけて実施された事例。 大阪府立中央図書館 . ・・大阪府立中央図書館における学校 支援サービスの取組み ". ( オンライン ) , 入手先 く http://www.library.pref.osaka.j p/lib/kiyo—pdf/kiy039-02. pdf 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 16 ) 行政支援と関連づけて実施された事例。 神奈川県立図書館 . 、・県の新採用職員研修で図書館活用法 を案内しました ". ( オンライン ) , 入手先 く http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/recommend/?p= 112 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 17 ) 大阪府立中央図書館 . " 図書館サービス紹介パネル ". ( オ ンライン ) , 入手先 く http 〃 www.library.pref.osaka.j p/centra レ panerukasidasi0. html) , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 18 ) 鳥取県立図書館 . " 法情報検索マップ年金問題 ". ( オン ライン ) , 入手先 <http ・ //www.library.pref.tottori.jP/Ct/0ther000000200/ nenkin3. pdf 〉 , ( 参照 2013-2 ー 25 ). 19 ) 横浜市立図書館 . " 横浜探偵団 ( よこはまたんていだん ) ". ( オンライン ) , 入手先 く http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/kids/ tanteidan/ 〉 , ( 参照 2013 ー 2-25 ). 20 ) 学校図書館 de 予約します ! ! 決定版 . 学校図書館問題研究 会神奈川支部 . 1991. 64P ( 2012.2.25 受理 )
6 現代の図書館 VOL51 N 。 .1 ( 2013 ) の公開は , 利用者の課題解決のヒントとなる。 ( 6 ) 調べ方案内・パスファインダーの作成 利用者の課題解決支援のツールである。国立国 会図書館 " リサーチ・ナビ公共図書館パス ファインダーリンク集 " 13 ) に各参加館の事例が リンクされている。 ( 7 ) 特定テーマのためのリンク集の作成 14 ) 利用者の課題解決支援のツールである。 ( 8 ) 各種講座などの開催 利用者支援のためのプログラム。 OPAC 検索 , データベース検索などの検索スキルのための講 座 , 図書館活用講座 , テーマ別の調べ方講座な どがある。各講座には , 情報の評価や著作権の 問題などが織り込まれることもある。 対象を個人とする場合と , 学校支援 15 ) や行政 支援 16 ) に織り込む形で , 特定の集団に対して 集合型のサービスとして開催される場合があ る。図書館の外へ出かけて実施する「出前講 座」の形をとる場合もある。調べ方講座の展開 事例については , 32 で後述する。 ( 9 ) その他 図書館紹介のための展示パネルの貸出 17 ) や特 定テーマの関連情報と資料の配架位置案内を組 みあわせたチラシ作成の事例 18 ) がある。 3 . 2 調べ方講座の展開事例 「 2011 年度調査」を実施した際に , 神奈川県立 図書館では特に調べ方講座の開催について特色が あることを改めて認識した。さまざまな調べ方講 座を開催していること , 同じテーマをもとに異な る対象に対して開催している点である。 筆者の主な業務はレファレンスサービスと各種 講座の講師を務めることである。 2008 年度に担 当となってから 2012 年度までの 5 年間に , イン ターネットの検索 , 法情報 , 美術情報 [ 図 2 ] や 漢詩 [ 図 3 ] などの調べ方講座を , 対象もさまざ まに行ってきた。 各種講座の講師を短期間に務めることができた のは , 県立図書館のレファレンス事例と講座開催 関連資料の蓄積によるものである。筆者だけでは なく , 他の課の職員も各種講座の講師を担当して いる。 図 2 2010 年度神奈川県立図書館県民公開講座 「美術資料の調べ方入門」 ( 2010 年 7 月 14 日実施 ) 美術資料に関するご質問あれこれ 0 画家クロード・モネについて簡潔に知りたい。 . 。 ・蓮華王院本堂にある風ネ申・雷ネ申像の写真が載っている本は ? ・平山郁夫画伯の生没年や絵の評価額を知りたい。 ・小野道風の書を探している。 図 3 ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ・異本伊勢物語絵巻六段の芥河にある、 男が左手に持っている丸い物ロ何か ? ・尾形光琳の『燕子花図屏風』について、 どのくらいの量の金が使われているのか 記述のある資料や論文を知りたい。 2011 年度神奈川県立図書館県民公開講座 「漢詩の探し方入門」 ( 2012 年 2 月 8 日実施 ) 本日の予定 はじめに よくある漢詩関連のこ質問 渓詩について 日本と漢詩 ( 漢文学 ) との関係 調べる時のヒント ・ 1 1 : 1 0 ~ 1 1 : 20 頃休憩 ( 6 ) 調べるにはどうしたらワ - 事例をもとに ( 7 ) 調べる時の参考になる本やインターネットなど * 「漢詩の探し方入門ー漢詩を周べるための本やインターネットー」 年度に他の職員が担当したのが最初である。当時 この講座は市町村図書館等職員を対象に 2008 の調べ方入門講座 " を事例としてあげる。 「 2011 年度調査」で他に類例がなかった " 漢詩 90 分程度を基本に開催している。 館内職員向けの講座のみ 60 分としたが , 概ね る。 ) , 館内職員向け研修で筆者が講師を担当した。 び特別支援校 2 校に学校司書を全校配置してい 職員対象の研修 ( 神奈川県では県立高校 144 校及 書館等職員研修 , 高校連携による学校司書及び教 年度及び 2012 年度に , 県民公開講座 , 市町村図 ーズがあることから , 2011 けることもあり , 利用者や市町村図書館から漢詩関連の質問を受 献 , 事例集などを加えた資料を配布している。 はパワーポイントを使わずに , レジメに参考文
マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割 9 , マルチリテラシー時代の図書館 マルチリテラシー時代における 大学図書館と職員の役割 典 貴 梅 術的な作法も求められる。 1 はじめに リテラシーとは本来「読み書きの能力」を指す が , 高度情報化社会でこのように多様化したリテ 大学図書館は , インターネットの発達を受けて ラシーの涵養は大学全体で取り組むべき課題であ 従来の冊子体資料に加え , 雑誌記事や新聞のバッ り , 高等学校までの教育との接続 , 教養教育 , 専 クナンバー・統計・法令・判例データベースなど 門教育 , 卒業後のキャリアなどとも深く関わるた 電子情報を契約・提供してきた。さらに , 学生に め , 教員を主体とした総合的な視点による教育目 対してそれらを複合的に活用する「学術情報リテ 標とカリキュラム設計が不可欠となる。 ラシー」の涵養に取り組んでいる。 その中で大学図書館とその職員が果たすべき役 契約した図書館の利用者のみが閲覧できる有料 割とは何か。それを大学の意思決定者の理解を得 の電子情報は責任の所在が明確だが , 誰でもアク ながらどのように果たしていくべきかを考察する。 セスが可能な Web 上には , SNS を始め個人が発 日本における 信するプログやフリー百科事典など , 必ずしも正 2 「情報リテラシー」の定義と , 確性が保証されていない情報が氾濫し , 玉石混交 となっている。 学内での用語の整理・統一の必要性 大学生・大学院生がレポートや論文を書く際に は , 単に検索エンジンで多くの情報を集めるだけ 日本の大学において「情報リテラシー」という でなく , 必要に応じて有料を含む適切なデータ 言葉は , コンピュータ・リテラシーまたは IT ス べース , 電子ジャーナルなどを使い分ける「探し キルとしばしば混同される。かっては同様であっ 方の知識」に加えて , テレビや新聞などのメディ たアメリカでは , 1980 年代の終わりまでに大学 アについても情報を鵜呑みにせず , 真偽を批判的 図書館関係者が中心となり , 両者が異なる概念で に見極めて取捨選択する見識が必要となる。さら あることを通念化させることに成功しているが , に問題の背景にある歴史や文化を踏まえる幅広い 日本では大学教育や生涯学習という広い視野で捉 教養が , 考察する上では欠かせない。発信する際 えることなく図書館に関わる部分のみが論じられ には , その出典情報を明示するなどの倫理観と学 てきた 1 ) 。 したがって , まずは用語の整理を試みたい。 「情報リテラシー」について , その先進国である アメリカにおける代表的な定義としては , アメリ カ図書館協会 (ALA) 会長情報リテラシー諮問 委員会の「最終報告」 ( 1989 年 ) がある。その中 うめざわたかのり : 中央大学大学院戦略経営研究科事務課 キーワード : 学術情報リテラシー , 情報リテラシー教育 , 利用 者教育初年次教育 , 教育研究支援 , 電子図書 ニング・コモンズ
情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス 3 特集′目目ロ住ロロロ 情報リテラシー育成を支援する 公共図書館のサービス ◆実践のヒントを中心に 子 古子 田 べる。 にはじめに 2 情報リテラシー育成を支援するサービス マルチリテラシーとは何か。その形はまだとら えがたいが , さまざまなリテラシーの可能性が包 2 . 1 情報リテラシーについて 含されている。その一つが情報リテラシーであ 情報リテラシー (information literacy) は , 「情 る。 報活用能力」と訳されることもある。 大学や学校で情報リテラシー教育は必要とされ アメリカでは , 1989 年にアメリカ図書館協会 ているが , 学校生活は長い人生の中の一時であ (American Library Association) 情報リテラシー諮 る。情報社会において , 情報活用能力の育成は生 問委員会 (Presidential Committee on lnformation 涯にわたって必要とされる。すでに 2006 年の Literacy) による最終報告 4 ) が発表され , その後 「これからの図書館像 : 地域を支える情報拠点を の情報リテラシー展開の契機となった。 めざして ( 報告 ) 」において , 公共図書館の情報 日本では , 1993 年 , 日本図書館協会図書館利 リテラシー育成の重要性が述べられている 1 ) 。 用教育委員会が発足し , 2001 年には『図書館利 しかし , 2009 年の研究文献レビューでは公共 用教育ガイドライン合冊版図書館における情報 図書館の研究や文献はほとんどないことが指摘さ リテラシー教育支援サービスのために』 5 ) を刊行 れている 2 ) 。社会教育機関である公共図書館の役 している。各館種別のガイドラインとその共通基 割は重要だが , 具体的にどのような実践が可能な 盤となる「総合版」 6 ) から構成されており , 主に のであろうか。 2011 年度に筆者が実施した「公共図書館にお 大学図書館を中心に普及した。 ける情報リテラシー教育の現況についての調査」 3 ) 「公共図書館版」 7 ) も作成されたが , 当時の図 ( 以下「 2011 年度調査」とする。 ) では , 情報リ 書館サービスの現況に対応したものとはなってい テラシーの育成に関連する事例があることを確認 なかったこともあり , 普及はしなかったものの公 共図書館のサービスの変遷とともに関連するサー している。 ビスが育まれていくことになる。 公共図書館における情報リテラシー教育の現況 とサービスの方法及び参考となる事例について述 日本の公共図書館については一定の共通識に 、ルい卩 もとづいた定義や用語などもまだ明確にされてい ない。 じゅんこ : 神奈川県立図書館 たかだ 「 2011 年度調査」では , 仮枠として定義を情報 キーワード : 情報リテラシー , 情報リテラシー教育 , 情報活用 リテラシー教育は公共図書館だけではなくすべて 能力 , 利用教育 , 図書館利用教育 , 公共図書館