研修 - みる会図書館


検索対象: 現代の図書館 2013年 03月号
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1. 現代の図書館 2013年 03月号

34 現代の図書館 VoI. 51 N 。 .1 ( 2013 ) 探索し , その結果をレフア協に事例として登録す ることを求めるものとしている。質問に対する回 答を求めるという内容は , 奥の先行事例があり , 目新しさはないが , 広く了解が得られる手法であ る。ただし , 研修プログラムでは , 回答そのもの ではなく , 回答に至るプロセスを重視することを 強調した。すなわち , 回答が得られたかどうかで はなく , 仮に回答が得られなくてもプロセスやア プローチに妥当性があったかどうかに着目した。 これは , 参加者の勤務する図書館の相違に配慮し てのことである。どんなに妥当なアプローチで あっても , 利用できるレファレンス情報源に限界 があれば , 十分な回答は難しいからである。 言い方を換えれば , この研修プログラムは , 正 解を求めることを意図していない。レファレンス 事例に関して , その評価の一部に「解決 / 未解 決」が位置づけられるが , 極めて相対的である。 同じ検索結果に関して , 何らかのヒントが欲しい 者の場合は「解決」であっても , 網羅的な情報を 求める者にとっては「未解決」だからである。 また , 登録された結果の解説では , 取り組みを 比較することを主眼にした。それゆえ , 比較の効 果が高まるよう , 事前課題の設定に工夫をしてい る。例えば , 同じ回答を入手できる多くの情報源 が存在するもの , 同じ情報源を利用しても索引語 や検索語を変えると結果が異なってしまうもの , 情報源によって観点の相違や掲載情報の幅が大き いもの , といった具合である。また , レファレン ス質問の背景にある利用者のニーズや利用者の属 性などにより , 検索方法や情報源の選択に違いが 生じることなども意識できるよう , 研修会当日に 解説したり , コメントによって強調したりした。 さらに , 事前課題を用意するにあたって , 扱う テーマに関しては , 公立図書館職員を対象にする という点から , 特定の主題に集中しないようにし た。これに加えて , 資料案内の技能を高められる ように , 文献を求めるレファレンス質問と事実を 確認するレファレンス質問とを , バランスよく組 み入れるようにした。また , 公立図書館で尋ねら れることが多いと言われる , 人物情報や統計情報 を検索する課題を含めるようにした。さらに , 開 催地の地域資料を活用したり , 地域情報を確認し たりするものを必ず含めた。図 3 は , 北九州市 立中央図書館における研修会での実例を , 出題の 趣旨や留意点とともに示したものである。 4 、おわりに 効果的な研修プログラムを構築するには , 実践 の積み重ねが必要である。本稿で示した研修プロ グラムを参考にして , レファレンスサービスの研 修が促され , かっ充実することになれば , 筆者と してこの上ない歓びである。 ただし , これからの研修活動は , 実施すること だけが重視されるのではなく , 研修の実態を記録 し , 考察を加える営みを伴わなくてはならない。 すなわち , 研究的な視点から取り扱う必要があ る。とりわけ , 一定の性質を有する研修プログラ ムを「モデル」として位置づけ , そのモデルの有 効性 , すなわち , 妥当性 , 重要性 , 持続性など を , 実証する活動を行うことが必要となろう。こ の実証作業は , 研修という実践に基づいて行うこ とから , 自然科学における実験のようには進めら れないが , 少しでも客観性を担保できるように 多様な調査方法を駆使して推進することが求めら れる。 本稿で提示した研修プログラムについても , うした実証作業が必要とされよう。その作業は , 前述した研究活動の主目的であるが , その成果に ついては , 稿を改めて示すこととしたい。 く注 > 1 ) 研究は , 日本学術振興会科学研究費補助金を得て , 「成果 共有型ネットワークを活用した図書館員の技能育成に関する 研究」 ( 萌芽研究・研究代表者・小田光宏 , 286 ー 2007 年度 ) と , 「成果共有型ネットワークを活用した独習 / 協調研修プ ログラムに関する実証的研究」 ( 基盤研究 (C) ・研究代表者・ 小田光宏 , 2008 ー 2010 年度 ) の 2 期で行なった。 ( 2012.10.17 受理 ) く補記 > 本稿受理後 , 研修プログラムの有効性を検証した研究成果と して , 次の論考を著している。 小田光宏「成果共有型ネットワークを活用したレファレンス 研修プログラムの有効性に関する実証的研究」『図書館界』 64 巻 5 号 , 2013 年 1 月 , p. 310 ー 326

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「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 27 投稿 「レフア協」研修モードを活用した 研修活動の実践 小田光宏 形式 , 方法 , 環境 , 開催要領 , 事前課題という項 目に区分し , ガイドラインとして役立つように はじめに 趣旨と要点を記している。なお , 骨子の主要な論 研修による図書館員の技能向上は , 時代や国を 点については , 3 で説明する。 問わず , 重要な課題の一つと認識される。日本で 2 . 2 研修会 は , 2008 年の「図書館法」改正により , 図書館 研修プログラムを適用した研修は , 2009 年度 員のための研修機会を設けることが明記され , そ に 7 会場 , 2010 年度に 4 会場にて実施された。 の必要性が再確認された。日本図書館協会は , 研 いずれも , 図書館あるいは図書館関係団体が主催 修事業委員会および認定司書事業委員会を中心に するものであり , 開催日 , 開催時間 , 参加者数な 実践に取り組み , 「公共図書館を対象にした中堅 どを示したものが , 表 1 である。 司書研修プログラム開発セミナー」 ( 2012 年 7 月 13 日 ) に代表される普及活動も行われている。 2 . 3 実施プロセス 筆者は , 2006 年度から 2010 年度において , レ 研修プログラムの実施プロセスを整理したもの ファレンスサービス技能を向上させるための研修 が図 2 である。図 2 では , 研修会の活動の時間 プログラムに関する実践的研究を行った 1 ) 。本稿 的関係を明示し , また , 開催者 ( 事務局 ) , 講師 , は , この研究の一環として作成した研修プログラ 参加者の対応状況を確認できるようにしている ムとそれを用いた実践事例の概要を , 考察・整理 が , 実践をとりまとめたものであることから , あ して示すものである。 くまで目安に過ぎない。しかし , 11 の事例に基 2 研修プログラムの概要 づくことから , 汎用性は高いと判断される。 2 . 4 教材 2 . 1 骨子 研修プログラムにおいては , 三つの教材を作成 した。第一は , 演習作業用の「事前課題」である。 筆者が作成し , 実践した研修プログラムの骨子 この内容と実例については , 3.6 で取り上げる。 を示したものが , 図 1 である。こでは , 目的 , 第二は , 事前課題に取り組んで , 国立国会図書 館の運営するレファレンス協同データベース・シ おだみつひろ : 青山学院大学教育人間科学部 ステム ( 以下 , レフア協 ) に登録するための手順 キーワード : 研修 , レファレンスサービス , レファレンス協同 を記した「作業要領」である。これは , 研修の趣 データベース

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したことによる。 三つの理由の根拠は , 先例および関連する事象 に求めることができる。例えば , 2000 年度に開 始された日本図書館協会の「中堅職員ステップ アップ研修 (1) 」は , 図書館員の専門的能力を高 めることを目的としているが , 「レファレンスク 工スチョンの処理」は , 「レファレンスインタ ビューの方法」と「レファレンスツールの評価」 とともに , 一貫して基本科目となっている。毎年 の文部科学省地区別研修や各地の研修会の実践例 を確認すると , 「質問回答サービス」は常に主要 テーマの一つに位置づけられている。また , レ ファレンス質問の処理は , 有志による自己研修活 動である「レファレンス探検隊」で用いられてい る手法であり , 必要かっ取り組みやすい研修テー マであると予想される。さらに , レファレンス サービスに関係する啓蒙書の多くは , この技能を 中心に解説されており , 図書館員の専門的能力と して「わかりやすい」ものとみなすことができる。 3 . 2 形式 研修プログラムは , 演習形式を基本としてい る。すなわち , 参加者に事前課題に取り組むこと を求め , その結果をもとに研修会を開催する手順 としている。研修会では , 作業結果を比較しなが ら解説することを基調とした。演習は , 事前課題 に対する参加者の取り組みと , 研修会当日の講師 とのやりとり ( インタラクション ) , ならびに 参加者間の意見交換から構成される。 事前課題は , 前節で説明したように , レファレ ンス質問の処理を行うものである。この作業を事 前課題としたのには , 二つの意図があった。ーっ は , 作業時間を確保するためである。もうーっ は , 参加者の勤務している図書館の環境のもとで 解決することを狙いとしたためである。 従来行われている研修会の中には , 研修会場で 課題となるレファレンス質問を提示し , その場で 処理を行う形態のものある。これには , 会場に調 査資料が用意されていることが必要となり , 会場 の制約が大きくなる。また , 参加者によっては , その会場に用意された資料の利用に必ずしも慣れ ているわけではないことから , 実質的な調査時間 「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 31 に無駄が生じやすい。 また , 参加者が行う作業は , 勤務する図書館等 で行い , 日常の活動との関係を意識しながら進め ることが望ましいと判断した。そのため , 勤務し ている図書館で所持する資料 , 情報源の利用条件 を踏まえた取り組みとすることを優先した。 3 . 3 研修方法 研修プログラムの汎用性を高めるためには , 研 修方法に留意する必要がある。すなわち , 研修の 開催者 , 講師 , 参加者のいずれもが扱いやすい方 法を用いることが望まれる。研修プログラムで は , これに関係する二つの構想を , 方法として組 み入れた。ーっは , 研修への取り組みが参加者間 で共有され , 相互に刺激が得られるようにするこ とである。もうーっは , 研修会に参加するという 物理的な制約を少しでも減らすために , ICT を 最大限に活用した遠隔型の研修を志向することで ある。 前者は , レファレンス質問の処理に関して , 参 加者の取り組みを相互に比較できるようにするこ とを意味する。後者は , そうした取り組みをネッ トワーク上で「いつでも」「どこでも」できるよ うにし , 参加者の研修参加に対する物理的・心理 的ハードルを下げることを目指している。また , 取り組んだ結果がネットワーク上に掲載できれ ば , それ自体が記録として保持され , 意見付与や 二次利用などを可能にすることから , 研修プログ ラムとしての効用が高まるからである。 3.1 で説明した技能を対象に , 上記の方法を用 いて効果を高めるためには , ネットワーク上で研 修用のプラットフォームを用意することが考えら れる。大学の授業では , BIackboard をはじめと する教育用のプラットフォームが利用されてお り , 研修用に援用することもできる。しかし , れには経費が伴うことから , 開催者にとっては ハードルの一つとなる。そこで , レフア協の可能 性に , 筆者は着目した。このシステムでは , レ ファレンス事例を参加館が登録していることか ら , 上記の研修方法に適用できると判断したので ある。また , 無償で利用でき , かっ , 参加者に とって身近であるとともに , 搭載されているコメ

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「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 29 表 1 研修会開催概要 研修会名 開催者 平成 21 年度福井県公共図書館職 福井県立図書館 員実務講座 平成 21 年度レファレンス研修会 千葉県立中央図書館 平成 21 年度公共図書館等職員研 宮城県図書館協会 修会Ⅲ ( 午後 ) 平成 21 年度レファレンス研修会 栃木県公共図書館協議会 平成 21 年度中堅職員研修会 佐賀県公共図書館協議会 平成 21 年度レファレンス研修会 北九州市立中央図書館 平成 21 年度レファレンス研修会 千代田区立千代田図書館 平成 22 年度第 3 回大分県公立図 大分県公共図書館等連絡 書館等職員研修会 ( 午前 ) 協議会・大分県立図書館 平成 22 年度市町村図書館・公民 13 : 00 ~ 16 : 00 秋田県図書館協会 館図書室職員研修会 平成 22 年度レファレンス研修会 13 : ~ 16 : 30 千葉県立中央図書館 平成 22 年度公共図書館等職員研 10 : 30 ~ 12 : 20 宮城県図書館協会 修会Ⅲ ( 午前 ) があまりにも大きいからである。研修プログラム 旨や手順 , レフア協の取扱い方法を , 参加者が理 では , どの情報源を利用すべきかではなく , どの 解できるように作成した。「作業要領」は , 「事前 ように考えて情報源を選んだのか , 情報源の選択 課題」とともに , レフア協への登録に役立つよう にはどのような点に留意すべきかなど , レファレ 摘記する項目を整理した「処理シート」を添付し ンス質問の処理を効果的なものとする考え方を意 ている。また , レフア協の研修環境へのログイン 識することを基本的な狙いとしているからでもあ ID とパスワードを記した別紙を添えている。「作 業要領」は , 開催者から参加者に電子メールや る。 ネットワーク上で迅速に配布できるように , MS 3 研修プログラムの詳細 PowerPoint で作成した。また , それを PDF ファイルにしたものも用意した。 第三は , 研修会同日の「プレゼン資料」であ 3 . 1 目的 る。これは , MS Power Point で作成し , レファ 研修プログラムでは , 向上させることを目指す 協の画面へ推移しやすいようにした。また , 適宜 能力として , 「質問回答サービス」の処理に必要 ウエプページへのリンクを貼り , 操作効率を高め るようにした。「プレゼン資料」には , 事前課題 な技能を中心に設計した。これは , 三つの理由に よる。第一は , この能力に対する図書館界の需要 の登録結果に基づいて , 研修会当日に解説する要 が高く , 研修プログラムの汎用性が得られると認 点を記した。ただし , レフア協への登録締切から 識したことによる。第二は , この技能を向上させ 研修会当日までは数日程度しかないため , 注意す ようとする図書館員の意識が強く , 研修プログラ べき内容を例示する簡略なものとしている。 ムの持続性が確保できると理解したことによる。 なお , 「プレゼン資料」では , 回答の例示は行 第三は , この能力の意義は , 外部の者にもわかり うが , それを「模範解答」と位置づけてはいな やすく , 研修プログラムの支持が得やすいと判断 い。図書館の環境の違いによって , 「模範」の幅 参加者数 32 開催時間 13 : 00 ~ 16 : 20 13 : 00 ~ 16 : 30 13 : 00 ~ 15 : 30 開催日 2 開 9 / 10 / 21 2009 / 10 / 22 2009 / 12 / 4 2010 / 2 / 10 16 31 25 10 : 00 ~ 12 : 00 ( 午前 ) 38 43 13 : 30 ~ 16 : 30 13 : 開 ~ 16 : 00 15 : 30 ~ 17 : 30 2010 / 2 / 23 2010 / 3 / 2 2010 / 3 / 3 8 9 : 50 ~ 12 : 00 2010 / 9 / 13 2010 / 10 / 19 2010 / 10 / 21 14 2010 / 12 / 3

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32 現代の図書館 Vol. 51 N 。 .1 ( 2013 ) ント機能は , 講師と参加者との間での , あるい は , 参加者間での意見交換に活用できると考えた からである。さらに , 研修プログラムでは , シス テム中の「レファレンス事例データベース」への 登録作業を行うが , 登録フォーマットそのものが 有効であると認識した。すなわち , 登録フォー マット上に「回答プロセス」や「参考資料」など が用意されており , これらの記載によって , 処理 プロセスや典拠とした情報源に対する意識が高ま ると期待した。 ただし , このシステムは , 研修プラットフォー ムとして開発されたものではないことから , 当初 はシステムの参加館に「擬する」形で「研修会」 を位置づけて試行した。しかし , 2010 年度から は , システム内に「研修環境」が用意され , 名実 ともに研修プラットフォームとして機能するよう になった。なお , 研修環境は , 二つの利用が想定 される。ーっは , システムそのものをネットワー ク上のプラットフォームとして活用する場合であ る。もうーっは , すでに収められている「レファ レンス事例データ」や「調べ方マニュアルデー タ」を , 研修教材として活用する場合である。本 稿で示す研修プログラムは , 前者に該当する。 3 . 4 研修環境 上述した研修方法の実現には , ネットワーク環 境が前提となる。すなわち , 参加者がインター ネットにアクセスすることができ , レフア協を活 用できなくてはならない。したがって , 参加者の 勤務する図書館等に , ICT 環境が整っているこ とが最低限必要となる。また , 研修会が開催され る会場には , レフア協の画面が閲覧できるよう に , インターネット接続がなされた講師用 PC と 投影機器が用意されていることが求められる。も ちろん , 参加者一人一人が PC を利用できれば , さらに望ましいが , そうした環境を必要とするこ とは , 研修会の開催そのもののハードルを高くす ることにつながるため , 要件にはしていない。 3 . 5 開催要領 この研修プログラムでは 研修会の実施要領は , 筆者が一定の「標準」を 示し , 開催者の状況に合わせて調整した。標準 は , 先行事例や筆者の経験をもとにしながら定め た。まず , 事前課題の確認からレフア協への登録 までの間に 2 週間程度を設けるようにした。これ は , 事前課題を 2 週間かけて解決することを意図 したものではない。公立図書館の職員の勤務実態 を考慮してのことである。すなわち , 2 週間あっ たとしても , 参加者の労働環境や勤務体制によ り , 事前課題の解決にかけられる時間は , それほ ど多くはないと見込んだためである。 なお , 事前課題は , 参加者に一定の力量があ り , かっ , 情報源が十分に整っていれば , 30 分 程度で解決できる難易度を目安とした。ただし , 解決できなくてもかまわないことを伝えており , むやみに時間をかけることを求めてはいない。 研修会の時程としては , 2 ~ 3 時間を目安とし , 必要に応じて途中休憩を取る程度の長さとした。 これにより , 研修会を開催しやすくするととも に , 参加者の出席に伴う負担を少なくした。地域 によっては , 研修会場への遠方からの往復の時 間 , あるいは , 天候による制約があることを踏ま えての措置でもある。 参加者数は , 20 人から 25 人を理想とし , これ よりも多くなる場合には , 開催時間との関係で調 整するようにした。また , 研修プログラムでは , 事前課題への取り組みの結果を比較することを主 眼にしている。したがって , ーっの課題に対し て , 複数の参加者が取り組むことになるが , その 人数を 4 , 5 人程度と考えた。これは , 取り組み の結果の広がりがある程度得られるようにするこ とを意図しての設定である。これよりも少ない人 数の割り当ては , 演習問題に取り組まなかった り , 研修会を欠席したりする者がいたとき , 比較 できないというリスクが生まれてしまう。また , 人数を多くすると , 「右に同じ」式の解説が増え , 参加者の集中力が低下することにもつながる。し かも , 解説は , 参加者とのインタラクションを基 調にするため , 例えば一人に 5 分程度かかると考 えた場合 , 2 時間では 25 人分を扱えない。 3 . 6 事前課題 事前課題は , レファレンス質問に対する回答を

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28 現代の図書館 Vol. 51 No. 1 ( 2013 ) 図 1 研修プログラムの骨子 A. 目的 レファレンス質問を処理する際に必要な , 資料・情報の検索および回答の技能を高めることを目指す。 【要点】 ・回答に至るまでのプロセスを意識し , また , それを評価できるようになることを目指す。 ・資料や情報を的確に検索するための基本原理を確認し , 汎用性および持続性を高めることを重視する。 ・館種を公立図書館と想定し , そこに寄せられるレファレンス質問の処理に必要な技能を対象とする。 B. 形式 課題を解決する演習形式を基本とし , 参加者自身が作業に取り組み , その結果に基づいて指導を行う。 【要点】 ・参加者が行う作業は , 研修会以前に取り組む「事前課題」とし , 一定の時間がかけられるようにする。 ・参加者が行う作業は , 参加者が勤務する図書館等で行い , 日常の活動との接続性を高めるようにする。 ・研修会では , 講師による一方向的な解説は最小限にし , 参加者とのインタラクションまたは参加者間の意見 交換を促す指導を優先させる。 C. 方法 国立国会図書館が運営するレファレンス協同データベース・システム ( 以下 , 「レフア協」 ) の研修環境を活用 し , 搭載されている機能を活かした研修方法を実践する。 【要点】 ・事前課題に取り組んだ結果を , 研修会以前に , 遠隔から「レフア協」に登録できるようにする。 「レフア協」に登録された結果を , 参加者間で相互に確認し , 比較できるようにする。 ・「レフア協」のコメント機能を利用し , 研修会前に講師から結果に対する講評ができるようにする。 ・研修会終了後にも , 「レフア協」に登録された結果をもとにした活動を , 参加者ができるようにする。 D. 環境 ネットワーク環境のもとで行うことを前提とする。 【要点】 ・参加者がインターネットにアクセスし , 「レフア協」を利用できることを参加要件とする。 ・研修会場において , 「レフア協」の画面が閲覧できるように , インターネット接続がなされた講師用 pc と 投影機器を用意する。 E. 開催要領 研修会の開催は , 要点に記載する内容を目安とするが , 開催者の希望や状況に応じて柔軟に対応する。 【要点】 ・事前課題への取り組みに , 2 週間程度が確保できるように開催日を決定し , また , 開催の準備を行う。 ・研修会の実施時間は , 2 時間から 3 時間を目安として計画する。 ・参加者は , 20 人から 25 人を理想とし , 研修時間が 2 時間の場合は 25 人程度 , 3 時間の場合は 30 人程度を 目安にして調整する。 F. 事前課題 事前課題は , 研修会の目的 , 形式 , 方法 , あるいは , 開催条件を考慮して用意する。 【要点】 ・事前課題の内容は , レファレンス質問の処理に関する基本原理を解説するのに有効なものとするとともに 多様な検索・回答プロセスが想定されるものを優先させ , また , 開催地の地域資料・地域情報を求めるもの を含める。 ・事前課題の数は , 4 , 5 名の参加者が同じ課題に取り組めるようにすることを標準とする。

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現代の図書館 Libraries Today ISSN 0016 ー 6332 VOL51 no. 1 201 3 0 マルチリテラシー時代の図書館 0 日本図書館協会現代の図書館編集委員会 情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス ー実践のヒントを中心に・髙田淳子 マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割 ・梅澤責典 ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? ・天野由貴 メディア・情報リテラシーに関するモスクワ宣 ・訳 : 須永和之 , 直江千寿子 投稿「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 ・小田光宏 図書館情報学専門職教育プログラムのためのガイドライン ・国際図書館連盟 (IFLA) 教育研修分科会 , 訳 : 日本図書館協会国際交流事業委員会 図書館における指定管理者制度の導入の検討結果について 2012 年調査報告・日本図書館協会図書館政策企画委員会 徳市立、、館一般 1 も 0813660

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現代の図書館Ⅷ . 51 NO. 1 ・編集委員会 委員長 / 須永和之 ( 國學院大学文学部 ) 委員 / 石澤文 ( 国立国会図書館 ) 小野理奈 ( 東京工業大学附属図書館 ) 塩崎亮 ( 国立情報学研究所 ) 直江千寿子 ( 横浜国立大学 ) 依田一 ( 横浜市立大学学術情報センター ) 米澤久美子 ( 東京都立大田桜台高等学校図書館 ) 特集 . マルチリテラシー時代の図書館 情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス ー実践のヒントを中心に・高田淳子一一 3 マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割・梅澤貴典ーーー 9 ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? ・天野由貴ーー - ノ 7 メディア・情報リテラシーに関するモスクワ宣言 ・訳 : 須永和之 , 直江千寿子一一一 24 投稿 「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践・小田光宏ーー - 27 図書館情報学専門職教育プログラムのためのガイドライン ・国際図書館連盟 (IFLA) 教育研修分科会 , 訳 : 日本図書館協会国際交流 事業委員会一一 35 図書館における指定管理者制度の導入の検討結果について 2012 年調査報告 ・日本図書館協会図書館政策企画委員会一一 47

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情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス 7 参加人数は市町村図書館等職員研修が 20 数名 活発な活動が展開された。当時は大人が読ませた ( 募集定員は 30 名 ) , 館内研修も同程度だが , そ い本を高校の図書館に置くことが主流であり , 図 書館の利用はあったものの貸出は少なかった。賛 の他は概ね 10 数名程度である。他の講座と比較 否もあったが , 貸出の拡大は図書館の活性化につ して特に多くもないが少なくもない。 同じテーマをもとに複数の別の対象に実施する ながった。 ことは , 効率的な業務運営につながる。講座の内 しかし , 学校図書館の蔵書は 2 万冊弱程度が一 般的であり , 生徒は 3 年で卒業していく。卒業後 容や配布資料は対象によってアレンジするが , 工 も含めて , 身近な生活の中で必要とする情報を得 夫を重ねることで担当者のスキルアップにもつな ることができるようさらに何かできることはない がる講座を開催する場合 , 参加人数をあげるこ かと素朴に考えはじめたことが発端である。その とが課題となるが , 同じテーマを重ねることで参 後県立図書館に異動したが , サービスの根幹に変 加人数の累積が図れる。 わりはないように思う。 3 . 3 サービス展開のこれから どのような規模の図書館においても , 実践の必 「 2011 年度調査」では主に個人利用者を対象と 要性 , 可能性はあると考えている。 するサービスを調査項目として設定した。 しかし , 都道府県立図書館にとって個人利用者 《謝辞》 「 2011 年度調査」については日本図書館情報学 だけではなく市町村図書館の職員 , 学校司書や教 会研究助成を受けました。調査にご協力ください 職員 , 行政職員もサービス対象である。 ましたみなさまに厚く御礼申し上げます。 学校支援や行政支援に関連づけて実施される例 修士課程修了後もご指導くださいます田村俊作 もあり , 各自治体の図書館でも , 特定の集団を対 慶應義塾大学教授に改めて感謝申し上げます。 象とするサービスを視野にいれる必要がある。 まとまった調査はないが , 政令指定都市以外の く注 > 市町村図書館の地域住民に対する身近なサービス 1 ) 文部科学省 ; これからの図書館の在り方検討協力者会議 . 事例もあるはずである。 これからの図書館像 : 地域を支える情報拠点をめざして ( 報 対象別のサービスとしては , 特に子どもを重視 告 ). p. 10 する必要がある。子どもを対象に作成された調べ 2 ) 野末俊比古 . 情報リテラシー教育 : 図書館・図書館情報学 方案内・パスファインダーの事例がある 19 ) 。 を取り巻く研究動向 . カレントアウェアネス . N 。 .302 , 2009 年 12 月 20 日 . ( オンライン ) , 入手先 非来館者へのサービスも含めたホームページの <http:〃current.ndl.go.j p/print/book/export/htm レ 15547 〉 , 活用などサービス展開をさらに拡大させる可能性 ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). はあり , 事例の集積と整理が今後の課題である。 3 ) 高田淳子 . 公共図書館における情報リテラシー教育の枠 組みー現況調査を基に . 2012 年度日本図書館情報学会春 季研究集会発表要綱 . 日本図書館情報学会 , 2012 年 5 月 12 4 おわりに 日 , P27 ー 30 4 ) Association of CoIIege & Research Libraries. 現場の司書である筆者が , 情報リテラシー教育 Presidential Committee on lnformation Literacy: Final Report". ( オンライン ) , 入手先 を関心分野として調査していることを不思議に思 く http://www.ala.org/acr レ publications/whitepapers/ われる方もあるかもしれない。情報リテラシー教 presidential 〉 , ( 参照 2013 ー 2 ー 25 ). 育との関わりについて最後に付記しておく。図書 5 ) 日本図書館協会図書館利用教育委員会編 . 図書館利用教育 館利用教育から情報リテラシー教育にいたるサー ガイドライン合冊版図書館における情報リテラシー教育支 援サービスのために . 日本図書館協会 , 2001 , p. 81 ビスの流れと重なるからである。 6 ) 注 5 ) p. 11 ー 17 筆者が県立高校の学校司書であった 1990 年代 , 7 ) 注 5 ) p. 49 ー 64 県立高校の図書館では生徒が読みたい本を提供し 8 ) 大串夏身 . " 第 1 章課題解決型サービスを提供する意義 ". 図書館の最前線 3 : 課題解決型サービスの創造と展開 . 青弓 ようという試みがあり 20 ) , 利用を増やすための 0 1 三

10. 現代の図書館 2013年 03月号

16 現代の図書館 VOL51 No. 1 ( 2013 ) http://www.ala.org/acr レ publications/whitepapers/ presidential ( 参照 2013 ー 02-04 ) 3 ) The Association of College and Research Libraries ( ACRL) . lnformation Literacy Competency Standards for Higher Education. 208 http://www.ala.org/acr レ standards/informationliteracy competency ( 参照 2013 ー 02-04 ). 4 ) 中央教育審議会 . 学士課程教育の構築に向けて ( 答申 ). 2 開 8 年 12 月 24 日 http://www.mext.go.jp.com/onent/b—menu/shingi/ toushin/—icsFiIes/afieIdfiIe/2008/12/26/1217067_001. pdf ( 参照 2013 ー 02 ー 04 ). 5 ) 学術情報基盤実態調査 ( 旧大学図書館実態調査 ) ー平成 23 年度結果の概要 ( 集計大学数は国公私立合計で 769 校 ) 6 ) 梅澤貴典 . 私立大学図書館協会国際図書館協力委員会 2004 年度海外派遣研修報告書 . 2 開 5 年 2 月 21 日 http.//www.jaspul.org/pre/kokusai-cilc/haken report2004. html ( 参照 2013 ー 2 ー 11 ) 7 ) 江上敏哲 . アメリカの大学図書館における情報リテラシー 教育活動ーハーバード大学等の事例から . 情報の科学と技 術 . 59 巻 7 号 , 2 開 9 , p. 334 ー 340 8 ) 山内祐平 . ラーニングコモンズと学習支援 . 情報の科学と 技術 . 61 巻 12 号 , 2011 , p. 478 ー 482 9 ) 米国大学図書館協会 (ACRL) 高等教育機関における図書 館基準 (Standards for Libraries in Higher Education) 翻訳 : http.//www.ala.org/ala/mgrps/divs/acrレstandards/ highered—i 叩 anese. pdf ( 参照 2013 ー 2 ー 11 ) 10 ) 梅澤貴典 . 大学図書館職員の教育研究支援能力ー米国大学 図書館協会の基準に学ぶ , 職員と成果の評価による改善策 . 図書館雑誌 . Vol. 103 , No. 11 , 2 開 9 , p. 753 ー 755 (1) 大城善盛 . アメリカの大学図書館界における情報リテラ シーの研究ー理論と実践の歴史的分析を通して . 花園大学文 学部研究紀要 . Vol. 42 , 2010 , P26-53 12 ) Stephen Bosch and Kittie Henderson. coping with the TerribIe Twins ー PeriodicaIs Price Survey 2012. ん川な カ〃翔雇 VOI. 137 lssue 8 , 2012 , n/a http: 〃 lj. libraryj ournal. C0m/2012/04/fundin g/coping-with- the-terrible-twins-peri0dicals-price-survey-2012/ ( 参照 2013 ー ( 2013.2.14 受理 ) 組織研究 . Vol.2, 2011 , p. 33 ー 44 と , 教育研究支援の向上につながる評価システム . 大学事務 13 ) 梅澤貴典 . 大学図書館における戦略的アウトソーシング 2 ー 13 )