Literacy - みる会図書館


検索対象: 現代の図書館 2013年 03月号
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1. 現代の図書館 2013年 03月号

Libraries Today Vol. 51 No. 1 Special feature: Libraries ⅲ the Age Of MultiIiteracy Supporting information literacy at public libraries (Junk0 TAKADA) 3 The future of multiliteracy (Takanori UME ZAWA) 9 Post ML information literacy and the role of academic libraries (Yuki AMANO) 7 「 MO s c ow De claration on Media and lnformation Literacy (translated by Kazuyuki SUNAGA, Chizuko KANOE) 24 Contribution Training programs base d on the C ollaborative Reference Database System's train- ing platform (Mitsuhiro ODA) 2 「 Article GuideIines for ProfessionaI Library/Information E ducation Programs (IFLA Pro- fessional Committee, translated by Committee on lnternational Relations, Ja- pan Library Association) 35 2012 survey on introduction of designated management systems ⅲ libraries (Li- brary POlicy Planning Committee, Japan Library Association) 4 ノ

2. 現代の図書館 2013年 03月号

ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? 7 おわりに 2013 年 1 月 13 日 , 東京大学で行われた「子ど もの読書活動を考える国際シンポジウムー子ども たちの本読み事情 : アジア各国の今とこれから」 において , 基調講演を行った CaroI CoIIier Kuhlthau 博士は , 「探究的な学びをもたらす子ど もたちの読書」シンポジウム終了後のディスカッ ションの中ではっきりとこう言った。 "NOt seeking information, But seeking meaning ! ! " もしかすると私たちは自分に必要な情報を探し ているのではなく , 自分の意図することを他の人 が表現したものから探し出そうとしているのでは ないだろうか。 そう考えると , MuIti Literacy はこれから , Meaning Literacy となり , 自分が知りたい意図 を他人のテキストから読み解くことができるリテ ラシーを意味するのではないか。学校図書館で身 につけるカ , そのすべてが「 meaning 」でつな がっている。 く注 > 1 ) 日本図書館協会図書館利用教育委員会「情報リテラシー教 育の実践すべての図書館で利用教育を』 ( JLA 図書館実践 シリーズ ) , 日本図書館協会 , 2010 , 180P. 第 5 章 , 天野由貴「生きるための情報活用能力を育成する 「図書館戦争」から身近な問いと知識をつなぐ」 p. 61 ー 70 2 ) 森田英嗣「 ICT が変化させた社会と教育」「教育と文化」 68 巻 6 号 , 2012 , p. 6 ー 19 3 ) 文部科学省「 OECD における「キー・コンピテンシー」に ついて」 http://www.mext.go.jp/b—menu/shingi/chukyo/ chukY03/()()4/siryo/05111603 / 開 4. htm ( accesse d 20132.15 ) 4 ) 日本図書館協会図書館利用教育委員会図書館利用教育ハン ドブック学校図書館 ( 高等学校 ) 版作業部会「問いをつくる スパイラルー考えることから探究学習をはじめよう ! 」日本 図書館協会 , 2011 , 123P. 5 ) 文部科学省「 OECD 生徒の学習到達度調査一 289 年調査 国際結果の要約」 http://www.mext.go.jp.com/onent/a—menu/education/ detai レーiCSFi1eS/afiddfi1e/2010/12/07/1284443ー01. pdf (accessed 20132.15 ) ( 2013.2.15 受理 ) 23

3. 現代の図書館 2013年 03月号

ML (Multi Literacy) に替わる次の ML とは何か ? 17 マルチリテラシー時代の図書館 イラル型学習 , 読解カ , メタ認知 探究学習 , PISA, キー・コンピテンシー , スパ キーワード : 情報リテラシー ニングコモンズ , 学習支援 , あまのゆき : 椙山女学園大学図書館 る。特に , 学校図書館の活動の中で気をつけなけ で行われるすべての授業や行事と連動して行われ 行われる活動は , その目標に基づきながら , 学校 に送り出すという目標がある。学校図書館で日々 は自立した主体的に学ぶ学習者として生徒を社会 学校図書館は , 生徒の学習を支援し , その先に 起こす場所がある。それは , 自分の学校図書館だ。 な内容を見れば , 学校図書館関係者ならすぐ思い で学ぶ場でもあるというものであった。このよう ンなどにより , 学生同士が互いに学び合う , 集団 個人で行うだけでなく , グループディスカッショ 支援し , 主体的に学ぶ場を提供する , その学習は なったこのラーニングコモンズは , 学生の学習を たからであろう。 2005 年頃から言われるように ニングコモンズという場が設置されるようになっ その理由の一つには , 大学図書館に新たにラー 国の大学図書館で見受けられるのである。 大学図書館では , あまり見られなかった光景が全 に異動し学校司書になる以前 , 今から 13 年前の ことが多いということである。筆者が学校図書館 ることは , ここは学校図書館なのだろうかと思う 覚にとらわれる。それはなぜかと考えて思い当た 最近の大学図書館を見ると , とても不思議な感 1 はじめに 次の ML とは何か ? ML(MuIti Literacy) に替わる かということを体験して記憶にとどめることが重 図書館には何があり , どのようなことができるの などをさらっと話すだけでなく , 生徒自身がこの まっている新学期に図書館の使い方や検索の仕方 重要となる。新年度はじめ , 生徒の期待が一番高 る , オリエンテーションの内容を変更することが ある。そこで , どこの学校図書館でも行ってい 校図書館を使うための知識とスキルを学ぶ必要が とが基礎的な条件となる。そのためには , まず学 は , 生徒が学校図書館を活用できるようになるこ 学校図書館が学習を支援する場になるために 2 情報リテラシーの土台をつくる 立てられる。 体的な学習者にするべく , さまざまな活動が組み そのような活動を土台に , 生徒を自立した , 主 できなければならない。 るスキルに関する情報などを迅速かっ的確に提供 柄やそのカリキュラムに適した蔵書内容 , 指導す た , 教員に対しても , 学校図書館で支援可能な事 習を支援するのかを決定しなければならない。ま べきか , どのような資料を提供し , どのように学 べてを把握しながら , 今学校図書館が何を支援す て組み立てられるカリキュラムの内容 , それらす 領などで示されている学習内容 , またそれによっ である。対象となる生徒の発達段階と学習指導要 の内容や習得できるスキルのレベルが変わるから ある。生徒の発達段階によって , 理解できる資料 ればならないのは , 対象となる生徒の発達段階で 天野由貴

4. 現代の図書館 2013年 03月号

情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス 3 特集′目目ロ住ロロロ 情報リテラシー育成を支援する 公共図書館のサービス ◆実践のヒントを中心に 子 古子 田 べる。 にはじめに 2 情報リテラシー育成を支援するサービス マルチリテラシーとは何か。その形はまだとら えがたいが , さまざまなリテラシーの可能性が包 2 . 1 情報リテラシーについて 含されている。その一つが情報リテラシーであ 情報リテラシー (information literacy) は , 「情 る。 報活用能力」と訳されることもある。 大学や学校で情報リテラシー教育は必要とされ アメリカでは , 1989 年にアメリカ図書館協会 ているが , 学校生活は長い人生の中の一時であ (American Library Association) 情報リテラシー諮 る。情報社会において , 情報活用能力の育成は生 問委員会 (Presidential Committee on lnformation 涯にわたって必要とされる。すでに 2006 年の Literacy) による最終報告 4 ) が発表され , その後 「これからの図書館像 : 地域を支える情報拠点を の情報リテラシー展開の契機となった。 めざして ( 報告 ) 」において , 公共図書館の情報 日本では , 1993 年 , 日本図書館協会図書館利 リテラシー育成の重要性が述べられている 1 ) 。 用教育委員会が発足し , 2001 年には『図書館利 しかし , 2009 年の研究文献レビューでは公共 用教育ガイドライン合冊版図書館における情報 図書館の研究や文献はほとんどないことが指摘さ リテラシー教育支援サービスのために』 5 ) を刊行 れている 2 ) 。社会教育機関である公共図書館の役 している。各館種別のガイドラインとその共通基 割は重要だが , 具体的にどのような実践が可能な 盤となる「総合版」 6 ) から構成されており , 主に のであろうか。 2011 年度に筆者が実施した「公共図書館にお 大学図書館を中心に普及した。 ける情報リテラシー教育の現況についての調査」 3 ) 「公共図書館版」 7 ) も作成されたが , 当時の図 ( 以下「 2011 年度調査」とする。 ) では , 情報リ 書館サービスの現況に対応したものとはなってい テラシーの育成に関連する事例があることを確認 なかったこともあり , 普及はしなかったものの公 共図書館のサービスの変遷とともに関連するサー している。 ビスが育まれていくことになる。 公共図書館における情報リテラシー教育の現況 とサービスの方法及び参考となる事例について述 日本の公共図書館については一定の共通識に 、ルい卩 もとづいた定義や用語などもまだ明確にされてい ない。 じゅんこ : 神奈川県立図書館 たかだ 「 2011 年度調査」では , 仮枠として定義を情報 キーワード : 情報リテラシー , 情報リテラシー教育 , 情報活用 リテラシー教育は公共図書館だけではなくすべて 能力 , 利用教育 , 図書館利用教育 , 公共図書館

5. 現代の図書館 2013年 03月号

現代の図書館 Libraries Today ISSN 0016 ー 6332 VOL51 no. 1 201 3 0 マルチリテラシー時代の図書館 0 日本図書館協会現代の図書館編集委員会 情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス ー実践のヒントを中心に・髙田淳子 マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割 ・梅澤責典 ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? ・天野由貴 メディア・情報リテラシーに関するモスクワ宣 ・訳 : 須永和之 , 直江千寿子 投稿「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践 ・小田光宏 図書館情報学専門職教育プログラムのためのガイドライン ・国際図書館連盟 (IFLA) 教育研修分科会 , 訳 : 日本図書館協会国際交流事業委員会 図書館における指定管理者制度の導入の検討結果について 2012 年調査報告・日本図書館協会図書館政策企画委員会 徳市立、、館一般 1 も 0813660

6. 現代の図書館 2013年 03月号

現代の図書館Ⅷ . 51 NO. 1 ・編集委員会 委員長 / 須永和之 ( 國學院大学文学部 ) 委員 / 石澤文 ( 国立国会図書館 ) 小野理奈 ( 東京工業大学附属図書館 ) 塩崎亮 ( 国立情報学研究所 ) 直江千寿子 ( 横浜国立大学 ) 依田一 ( 横浜市立大学学術情報センター ) 米澤久美子 ( 東京都立大田桜台高等学校図書館 ) 特集 . マルチリテラシー時代の図書館 情報リテラシー育成を支援する公共図書館のサービス ー実践のヒントを中心に・高田淳子一一 3 マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割・梅澤貴典ーーー 9 ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? ・天野由貴ーー - ノ 7 メディア・情報リテラシーに関するモスクワ宣言 ・訳 : 須永和之 , 直江千寿子一一一 24 投稿 「レフア協」研修モードを活用した研修活動の実践・小田光宏ーー - 27 図書館情報学専門職教育プログラムのためのガイドライン ・国際図書館連盟 (IFLA) 教育研修分科会 , 訳 : 日本図書館協会国際交流 事業委員会一一 35 図書館における指定管理者制度の導入の検討結果について 2012 年調査報告 ・日本図書館協会図書館政策企画委員会一一 47

7. 現代の図書館 2013年 03月号

ML (MuIti Literacy) に替わる次の ML とは何か ? 図 1 探究学習の「スパイラル」 19 学習活動の多くは , 情報を検索し , 収集し , 整理 する部分のプロセスが大半で , 課題の把握と評価 については , 授業時間等が足りないというような 理由から省略されることが多かった。しかし , 調 べ学習として何度も繰り返される , 情報を検索・ 収集・整理するという情報探索の内容だけでは , 技術的には向上しても , 生徒の思考力は育成でき ない。また , 与えられた課題を解決するだけでは 思考力を育成することは難しい。何が課題でどの ように学習を進めるのかということを生徒自身が 理解し学習そのものを構成できなければ , その学 習に対する生徒のモチベーションは上がらず , 自 ら「考え試行錯誤する」ということはない。与え られた課題の中から自分のテーマを設定するこ と , つまり自分だけの「問いをつくる」ことが , 生徒の「考える力」を育む学習方法となることは あまり認識されていない。 「問いをつくる」ことは , 何度もそのプロセス を繰り返すことが要求される。その「問い」に対 する自らの「意見や主張」を何度も検証し論理的 に構成することが必要となる。この「意見や主 張」は自らの問いに対する「仮説」となり , その 「仮説」を証明する , あるいは否定する証拠を探 しながら試行錯誤するスパイラル的な学習活動で ある。生徒は自分の興味から出た問いを探究する ことで , 自分の興味や自分自身を客観的に見るこ とになる。自分の思考や行動を客観的に見るこ と , この試行錯誤こそが生徒のメタ認知能力を高 めるとともに , 生徒の「考える力」である論理的 な思考力を育成する。 筆者らがつくった『問いをつくるスパイラル』 4 ) の「問いをつくる」プロセスは , 従来の探索モデ ルのような直線的なステップで表すのではなく , 生徒が「問いをつくる」過程で得た知識やスキル を巻き込んで , 竜巻のように学びを上昇しながら 拡張する , らせん形のプロセス ( 図 1 ) をたど る。これは , 探究学習がスパイラル型の学習活動 であることを示している。 また , 「問いをつくる」プロセスも , 探究学習 の「スパイラル」と同様に「スパイラル」な学習 活動である。図 2 は , 「問いをつくる」スパイラ ルを上から見た場合の図であるが , このプロセス には , 探究学習のプロセスにおける , 課題設定の 場面から評価までのすべての場面が含まれてい る。すなわち「問いをつくる」スパイラルは , 探 究学習そのものである。 探究学習は , 常に自分の問いを見直しながら , 新しい知識と技術を取り入れ , そのスパイラルを 拡張し上昇させることになる。それと同時に「問 いをつくる」プロセスを繰り返すことで , 「考え る力」すなわち思考力を生徒自身が鍛え育む。生 徒が生涯自立した学習者になるための最適なト レーニングが , 「問いをつくる」ことなのである。 「問いをつくる」スパイラルには , 三つの重要 な「問い」がある。それは , 「〇〇とは何か」と いう What の問い , 「なぜ〇〇なのか」という 「どのように〇〇すればいいのか」 Why の問い , という How の問いである。この三つの「問い」 を意識して , 生徒の始まりの疑問を生徒自身の問 いの形に変えることができれば , そのスパイラル 型学習は半分成功したに等しい。 実際の生徒の例を挙げると , 最近中国製品をよ く目にして , 中国は儲かっているのかが気になっ ている生徒は , 「中国経済」というキーワードか ら「日本で売られている中国製品には何がある か」という疑問をあげた。この疑問から始まっ て , 「なぜ , これだけ多くの中国製品が売られて

8. 現代の図書館 2013年 03月号

16 現代の図書館 VOL51 No. 1 ( 2013 ) http://www.ala.org/acr レ publications/whitepapers/ presidential ( 参照 2013 ー 02-04 ) 3 ) The Association of College and Research Libraries ( ACRL) . lnformation Literacy Competency Standards for Higher Education. 208 http://www.ala.org/acr レ standards/informationliteracy competency ( 参照 2013 ー 02-04 ). 4 ) 中央教育審議会 . 学士課程教育の構築に向けて ( 答申 ). 2 開 8 年 12 月 24 日 http://www.mext.go.jp.com/onent/b—menu/shingi/ toushin/—icsFiIes/afieIdfiIe/2008/12/26/1217067_001. pdf ( 参照 2013 ー 02 ー 04 ). 5 ) 学術情報基盤実態調査 ( 旧大学図書館実態調査 ) ー平成 23 年度結果の概要 ( 集計大学数は国公私立合計で 769 校 ) 6 ) 梅澤貴典 . 私立大学図書館協会国際図書館協力委員会 2004 年度海外派遣研修報告書 . 2 開 5 年 2 月 21 日 http.//www.jaspul.org/pre/kokusai-cilc/haken report2004. html ( 参照 2013 ー 2 ー 11 ) 7 ) 江上敏哲 . アメリカの大学図書館における情報リテラシー 教育活動ーハーバード大学等の事例から . 情報の科学と技 術 . 59 巻 7 号 , 2 開 9 , p. 334 ー 340 8 ) 山内祐平 . ラーニングコモンズと学習支援 . 情報の科学と 技術 . 61 巻 12 号 , 2011 , p. 478 ー 482 9 ) 米国大学図書館協会 (ACRL) 高等教育機関における図書 館基準 (Standards for Libraries in Higher Education) 翻訳 : http.//www.ala.org/ala/mgrps/divs/acrレstandards/ highered—i 叩 anese. pdf ( 参照 2013 ー 2 ー 11 ) 10 ) 梅澤貴典 . 大学図書館職員の教育研究支援能力ー米国大学 図書館協会の基準に学ぶ , 職員と成果の評価による改善策 . 図書館雑誌 . Vol. 103 , No. 11 , 2 開 9 , p. 753 ー 755 (1) 大城善盛 . アメリカの大学図書館界における情報リテラ シーの研究ー理論と実践の歴史的分析を通して . 花園大学文 学部研究紀要 . Vol. 42 , 2010 , P26-53 12 ) Stephen Bosch and Kittie Henderson. coping with the TerribIe Twins ー PeriodicaIs Price Survey 2012. ん川な カ〃翔雇 VOI. 137 lssue 8 , 2012 , n/a http: 〃 lj. libraryj ournal. C0m/2012/04/fundin g/coping-with- the-terrible-twins-peri0dicals-price-survey-2012/ ( 参照 2013 ー ( 2013.2.14 受理 ) 組織研究 . Vol.2, 2011 , p. 33 ー 44 と , 教育研究支援の向上につながる評価システム . 大学事務 13 ) 梅澤貴典 . 大学図書館における戦略的アウトソーシング 2 ー 13 )

9. 現代の図書館 2013年 03月号

品が売られすぎてない ? 」→「こんなに中国製品 が安く売られていたら日本製品が売れないじゃな い」→「それも , 日本の商品にそっくりな商品が 多すぎるから ? 」→「日本の商品がきちんと売れ るためにはどうすればいいの ? 」というような主 張を最終的には検証することになった , このこと からも明らかである。 このスパイラルをより効果的するために , さま ざまなワークシートがある。「問いをつくる」ス パイラルをめぐっている間 , 「問い」の変化や自 分の感情の変化をワークシートに記入すること で , 自分の思考や認知行動の変化を客観的に見る ことができ , また行き詰ったときには , そのワー クシートを誰かに見せることで , それまでのプロ セスをたどってもらうことができる。生徒の思考 や認知行動を可視化することは , これからの学習 において , 客観的な視点を身につけ , 自分自身を 分析・評価するという , 重要な作業である。 思考カ・判断力・表現力の育成を支援する探究 学習のカリキュラムには , 生徒自らが与えられた 課題の中からも自分の「問い」を設定でき , その 成果とともに自らの「問いをつくる」プロセスを も評価する内容を含むことが重要になる。学校図 書館が探究学習を支援するためには , 「問いをつ くる」プロセスを可視化する方法を提供するとと もに , そのスパイラル型学習を支援していくこと が重要となる。思考のプロセスを可視化するため のワークシートや生徒の興味を明確にする発想法 など , さまざまなツールをカリキュラムの中に組 み込めるよう , その指導方法とともに提供するこ とが学校図書館に求められる。 5 探究学習が成功するカギ 探究的な学習が成功するためには , もうーっ重 要な要素がある。それは , さまざまなメディアで 表現されているものを「読解する」ことである。 表現されているものには , 必ずそれを作った者 の意図が含まれている。作者の意図をくみ取るこ と , 理解することができなければ , そこで得たも のは自分の新しい知識にはなり得ない。思考カ・ 判断力とともに重要視されている表現力を身につ ML (Multi Literacy) に替わる次の ML とは何か ? 21 けるためには , その表現されているものに隠され ている「意図」を正しく理解することが重要で , その「意図」を読み解くことができなければ , そ の表現方法を身につけることは難しい。 OECD による国際的な学力に関する調査 , 生 徒の学習到達度調査 (PISA) における「読解力」 は , 「 PISA 型読解力」として従来の日本の「読 解力」とは区別されている。根本的に違う点は , 「 PISA 型読解力」は実生活の中で活用する能力 であり , 利用する際に熟考や評価を伴い , 思考カ や表現力をも必要とする能力と定義されているこ とである。この点では , 文章を読み解き必要な情 報を取り出すことを目的としている従来の日本型 読解力とは異なる。 さらに , 「 PISA 型読解力」は , 文章で表され る「連続型テキスト」を読むだけでなく , データ や図・グラフなどの視覚的に表現された「非連続 型テキスト」を読むことも求められ , その他にテ キストそのものの評価や解釈なども含まれてい る。日本では , 視覚的に表現された「非連続型テ キスト」を読むことやテキストの一部を読んで推 測するというような指導はあまり行われていな い。また , 「連続型テキスト」の代表が小説など の物語に偏っているということも課題になるだろ う。論述された文章 , 論理的に構成された文章か ら , 著者の意見を批判的に読むなど , さまざまな ジャンルの文章を読解することが必要である。 このことについては , 現在多くの学校図書館で 行っている自由な読書を決して否定しているわけ ではない。読書好きであるということは , PISA においても「 PISA 型読解力」の向上を促す重要 な要素であると分析されている。 PISA の調査結 果で衝撃的であった , 2000 年 8 位から落ち続け た日本の読解力が , 2009 年度の調査において再 度 8 位に上昇した背景にはこの理由がある。 2g9 年の結果に対する文部科学省の分析 5 ) によると , 読書について「読書は , 大好きな趣味の一つだ」 などの肯定的な回答をした生徒の割合が , 2000 年調査に比べて統計的に高くなっているのに対し て , 「読書は時間のムダだ」などの否定的に回答 した生徒の割合は , 2000 年調査に比べて統計的 に低くなっている。このことは , 読書が好き ,

10. 現代の図書館 2013年 03月号

そのためには , まずは大学が置かれた状況 ( 年 間予算に対して図書館の資料費・人件費が占める 割合など ) を知り , 経営側と共通の認識を持っこ とが必要となる。さらに中央教育審議会の答申な どを受けて文部科学省が近い将来にどのような政 策を実行に移そうとしているかを推察し , それに 対して図書館がいかなる貢献ができるかを提案す るべきであろう。例えば学術情報リテラシーは先 述の答申でも学士力の汎用的技能に挙げられてい るが , その教育の高度化に図書館が貢献すること によって学生が論文や統計データなどの客観的論 拠に基づいたレポートや論文を書けるようにな り , 各科目担当教員の指導上の負担を減らして教 育の本質化に注力できる点などを , 講習会の参加 者アンケート等のデータ ( 各種データベースや学 術ツールの認知度・利用度など ) を分析して予測 される効果を示す必要がある。 改善に必要となる人的・財政的負担の措置につ いては , 複数の大学が連携して資料価格の交渉を するコンソーシアム形成や , 各大学図書館団体が おこなっている研修や研究事業について国公私立 の壁を越えた情報交換による効果拡大・知識交流 などの取り組みに加えて , 図書館自らが業務効率 化の可能性 ( 専門性の必要なコア業務を洗い出し て専任職員の力をそこに傾注し , TA などの活用 によって非正規雇用者にとっても技能取得と成長 の機会を作りながら教育研究支援機能を高度化す る戦略的アウトソーシング 13 ) など ) を提案し , 大学側との対話によって有効な解決策を探る必要 がある。 6 まとめ これまでは査読など一定のプロセスを経た学術 情報のみが冊子体で流通していたが , その在り方 は多種多様となった。現在は根拠の不明確な情報 を個々人が大量にインターネット上に発信してお り , それらは有料情報よりも容易に手に入る上 に , 一見まことしやかに書かれている。適正な学 術情報リテラシー教育を受ける機会を持たない若 者は , 扇動的な情報に踊らされやすい上に , 誤っ た情報を再発信 (SNS のシェアなど ) すること マルチリテラシー時代における大学図書館と職員の役割 15 に関して無頓着になる可能性が高い。大学時代 は , 従来の教養・専門教育とは別に , このような 意識を改めて社会人として情報を扱う自覚を持っ ための期間とも考えられるため , 総合的な学術情 報リテラシーの涵養は大学の果たすべき重要な役 割の一つとなっている。 インターネットの影響はグーテンベルクによる 活版印刷の発明とは比較にならないほど大きい が , それすらも変革の途上に過ぎず , 今後もさら に変わっていくだろう。しかし , 社会で生きてい くために必要な力の根底は普遍的で , 今も昔もさ ほど変わらないのではないだろうか。「問題の解 決に際して裏付けのある情報を集め , 歴史的・国 際的な視点を含め多角的に分析して客観的に批判 し , 新たな解決策を立案し , 論理的に文章化・図 示化して伝達可能な形で発信する能力」の涵養を 支援することに関して言えば , 大学と図書館とそ の職員の果たすべき役割は常に変わらない。 しかし「図書」や「館」という言葉の前提がす でに変わっているように , 情報を扱う専門職とし て求められる能力も , 高度情報化・国際化への対 応が必要となる。例えば , 大学図書館の職員には 司書課程で教わる知識・技能に加え , 英語力やコ ンピュータ技術 , 対人コミュニケーション能力な どが重要になってきている。ランガナタンによる 図書館学の 5 原則にある「成長する有機体」と は , その職員の成長すべき点をも示唆しており , もうーっの原則である「利用者の時間を節約す る」とは , ともすれば一般検索エンジンやフリー 百科事典に頼り切って無駄な遠回りをしがちな学 生に対し , 正しい学術情報リテラシー教育をおこ なうことも示しており , これらの原則もまた普遍 なのではないだろうか。 く注 > 1 ) 大城善盛 . 大学図書館を中心とした情報リテラシー論ーア メリカ・オーストラリア・イギリスにおける議論を中心に . 大学図書館研究 . Vol. 82 , 2 開 8 , P23 ー 32 2 ) 大城善盛 . アメリカの大学図書館界における情報リテラ シーの研究ー理論と実践の歴史的分析を通して . 花園大学文 学部研究紀要 . VOL42 , 2010 , p. 26 ー 53 原文 : presidential Committee on lnformation Literacy. Final Report, 1989