place - みる会図書館


検索対象: 現代の図書館 2013年 06月号
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1. 現代の図書館 2013年 06月号

Libraries T0day Vol. 51 No. 2 Special feature: A library a place Rethinking 、、 The library as a place" (Akira NEMOTO) 57 The obsolescence of infrastructure and implication for libranes (Yuji NEMO- (O) 引 Spatial design ⅲ a library and users' behavior (Takayuki NAKAI) 68 The academic library as a place: what kinds Of potential does learning commons provide for Japanese academic libraries? (Kenji KOYAMA) 87 The 25 years history of the publicly open children's library at the Naruto Uni- versity of Education: a thought on the evolving roles Of libraries (Hiroko SA- SAKI) ⅵ A place tO engender a community: relationships and activities tO be nurtured ⅲ a community haven (Kyosuke SAKAKURA) 98 Whole Town Library Project: linking people, things and events (Yuichiro HA- NAI) ノ 06

2. 現代の図書館 2013年 06月号

「場所としての図書館」再考 59 図 7 武蔵野美術大学図書館の書架壁 て , 図書館だけでなく書店およびメディアレンタ り上げ , 多数の論文を掲載している 25 ) 。これら ル業を合わせた三つの機能を実現する場所として は場所としての図書館の議論をさらに拡張するも 始まったことが日本の図書館の新しい可能性を示 のであるので , いずれ取り上げて論じてみたい。 したと受け取ることもできる。図書館関係者のな かには挑戦と受け取る人もいるだろうし , 筆者も く注 > この図書館の運営体制でユミュニディの歴史性や 1 ) GuiIIaume de Laubier (photographer), T ん財 0 召に〃曜〃 文化性をどこまで追求できるのかに疑問がないで わ・わ耀にの月 Thames & Hudson Ltd. , 2003. Candida Hofer, わ・わ耀 , Thames & Hudson Ltd. , 2005. はない。しかしながら , 日本における「場所とし 2 ) Web 上には同様の主旨で図書館を紹介するべージが存在 ての図書館」として現れるべくして現れた図書館 している。 "BeautifuI-Libraries.com/ http://www.beautiful-libraries. であることは間違いない。 com/in dex. html こうして見てくると , 日本で「場所としての図 "The 25 Most Beautiful College Libraries ⅲ the WorId" 書館」が生み出されるのは , 必ずしもデジタル図 http://flavorwire.com/280318/the-25-most-beautifuI-public- 書館に対するアンチテーゼというわけではないこ libraries-in-the-world "The 25 Most Beautiful Public Libraries in the World" とがわかる。、図書館という制度がようやぐ人ダの http://flavorwire.com/240819/the-25-most-beautifuI-college- 意識のなかで一定の位置づけをもつようになった libraries-in-the-world ということが大きい。 1970 年代からバブルを経 、・ The Most Beautiful Libraries in the World" て図書館の機能が共有されるようになり , 情報を http ・ //www.mymodernmet.com/profiles/blogs/christoph- steelbach-bibliotheken フローのものとしてとらえるだけでなく , ストッ 3 ) 同書表紙よりのコピー クとしてとらえる見方が現れてくるようになっ 4 ) 根本彰「場所としての図書館」に関する議論カレントア た。つまり図書館は単なる資料提供の機関ではな ウェアネス No. 268 , 285 , p.2 ト 25. (http://current.ndl.go.jp/ Ca1580 ) 同じものは , 根本彰「理想の図書館とは何か : 知の く , コミュニティのなかで過去と現在 , そして末 公共性をめぐって」ミネルヴァ書房 , 2011. に収録。 来をつなぐ場所に変貌しようとしているのであ 5 ) 久野和子「「第三の場」としての学校図書館」図書館界 る。こでコミュニティとは , とりあえずは公共 vol. 63 , no. 4 , 2011 , p. 296 ー 313. 図書館にとっては地域コミュニティであり , 大学 6 ) John E. Buschman and GIoria J. Leckie(eds. ) The Library as Place : History, Community, and Culture, Libraries 図書館にとっては当該大学コミュニティである UnIimited, 2007. 川崎良孝ほか訳「場としての図書館 : 歴史 , が , 同時に , そこから拡がる知識コミュニティあ コミュニティ , 文化』京都大学図書館情報学研究会 , 日本図 るいは人間コミュニティ全般を指すものである。 書館協会 ( 発売 ) , 2 開 8. 7 ) Ray O lde n b u rg , The Great Good Place: Cafés, Coffee アメリカの図書館専門誌わ耀 T 〃赤は最 Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons, and Other Hangouts 近 , 図書館建築および空間を特集テーマとして取

3. 現代の図書館 2013年 06月号

「場所としての図書館」再考 53 者である 8 ) 。「第三の場 ( 所 ) 」はこの社会関係資 な物理的イメージをともなう用語を強調するのは 本を形成する際に重要な役割を果たすことなる。 そこからきている。かって書いた「場所としての 久野が「場」という表現にこだわるのは , 背景 図書館」についての論考は基本的に文献レビュー にあるこうした社会学的な議論に引き寄せられる であったこともあり , 十分に議論を展開すること からだろう。学校自体が近代的な装置であり , そ ができなかった 4 ) 。以下 , 前稿を踏まえて「場所 のなかの「施設」として位置づけられている学校 としての図書館」の考え方をもう一度具体的に提 図書館は機能主義的に観察したほうがよい存在と 示してみたい。その際に扱うのは , 日本における とらえられている。日本のこれまでのほとんどの 図書館建築の事情とそれに対する議論である。 学校図書館論は , 現在の法や制度のもとで職員や 2 「場」と「場所」 教員の学校組織における位置づけと専門性を扱 い , 子どもたちの読書や資料を使った調べ学習と いった要素をどのように展開するかを論じてき さてこの間 , 日本でこの種の議論を提示したの は久野和子の「『第三の場』としての学校図書館」 た。図書館が物理的存在である以上に , 心理的・ 社会的な装置である場合 , それに対して日本語で であった 5 ) 。この論文は , 主としてブッシュマン は「場」という言葉を使ったほうがふさわしいと とレッキー編による『場所としての図書館 : 歴史 , コミュニティ , 文化』の訳書によりながら , 学校 も考えられる 先取りした議論になるが , 筆者がもし「場所と 図書館をこの概念に位置づける作業を行った 6 ) 。 しての学校図書館」を検討しようとするなら , 学 その際に図書館情報学で用いられる "library as 校の建物のなかで図書館がどこに置かれているの place" 論と社会学者オールデンバーグの "the か , それが時代によってどのように変遷したか , third place" 論とをつなぎあわせて , 学校図書館 また , 広さ , 資料数などの物質的装置としての図 を「第三の場」であるとしている。 書館がどうなっているかなどに着目する。これ レイ・オールデンバーグによれば , 都市生活に は , 制度や人的サービスの要素からひとまず切り おける市民にとって第一の場が家庭であり , 第二 離して , 学ぶ場所としての図書館が学校のなかに の場が職場であるのに対し , 第三の場とはお気に どのように位置づけられているのかを確認する作 入りの場所 , たまり場 , インフォーマルで公的な 業である。 集まりの場ということになる。ドイツのビアガー たとえば , 戦前の旧制中学から戦後しばらくの デン , イギリスのパプ , フランスのカフェ , アメ あいだまで地域の「名門」公立高校では校舎から リカ開拓時代の居酒屋などがその古典的な存在で 独立して図書館が建てられる傾向があった。これ あるが , それだけでなく , 人々が気軽に集まり議 は , 日本独特の読書人育成のための図書館であ 論し合ったりすることで草の根民主主義を支える 結節点としての場所がここになるという 7 ) 。ここ り , 教科学習とは独立にあるいはそれを発展させ て教養書や文学書を読むことがよしとされたこと し , まだ翻訳書が出ていないこともあり , この言 を反映している。ただその意味での教養主義が失 葉を「第三の場所」と訳すか「第三の場」と訳す われた 1970 年代以降 , 勉強部屋としての機能が かすら社会学者によってそれぞれで , 必ずしも固 前面に出ることになることも少なくなかったし , まっていない。「サードプレイス」とカタカナで 建て替えられたあとは校舎の一隅に吸収された例 表現される場合もあるようだ。 も多かった。こうした考察が「場所としての学校 その後 , 社会学で社会関係資本 (social capital) 図書館」論では可能である。 と呼ばれる理論が台頭してきて , 所属する集団や 地域を基盤にして人と人とが相互に関係を結ぶこ 3 「場所としての図書館」論の背景 とによる社会関係の力や結東カのようなものを指 してこの概念で呼ぶことがある。『孤独なボウリ 筆者が前稿で述べたように , 「場所としての図 ング』の著者ロバート・パトナムが代表的な研究 0 一三

4. 現代の図書館 2013年 06月号

52 現代の図書館 Vol. 51 N02 ( 2013 ) 表 1 写真集「世界でもっとも美しい図書館』に掲載された図書館 図書館名 オーストリア国立図書館 ( * ) ベネディクト修道会図書館 ウイプリンゲン修道院図書館 メッテン・ベネディクト会修道院図書館 ヘルゾーギン・アンナアマリア図書館 チェコ国立図書館 ( * ) トリニティカレッジ図書館 ( * ) ジョン・ライランズ図書館 トリニティカレッジ・レン図書館 ( * ) ポードリアン図書館 ( * ) サンガール修道院図書館 オマール公書籍室 元老院図書館 ( * ) 学士院図書館 ( * ) マザラン図書館 リッカルディアーナ図書館 ヴァチカン図書館 王立工ル・エスコリアル修道院図書館 ロシア国立図書館 ( * ) ニューヨーク公共図書館 ( * ) 議会図書館 ( * ) ポストンアシーニアム 国立マーフラ宮殿図書館 な正統の表現の方法の違いが存在するのかもしれ ここに文化的 治権の断絶はもちろんのことだが , 伝統を引き継いでいないところに違いがある。統 を経て国立公文書館に移されたように , 前近代の 城内にあった旧幕府紅葉山文庫の資料が内閣文庫 リアやロシアのような国の図書館と異なり , 江戸 館という性格を強くしていた。先にみたオースト 帝国図書館はどちらかというと国立の公共図書 と , 質素でお金をかけすにつくったものである。 のヨーロッパの王侯貴族がつくったものと比べる とはそれを示すし , また , その建物にしても上記 3 分の 1 程度しか建てられずに放置されていたこ 会図書館国際子ども図書館 ) が予定されたものの かった。東京上野の帝国図書館の建物 ( 現国立国 所在地 オーストリア , アドモント オーストリア , ウィーン ドイツ , ワイマール ドイツ , メッテン ドイツ , ウルム イタリア , イタリア , フランス , フランス , フランス , フランス , ローマ フィレンツェ ノヾリ ノヾリ ノヾリ シャンティ スイス , サンガール イギリス , オックスフォード イギリス , ケンプリッジ イギリス , マンチェスター アイルランド , ダブリン チェコ共和国 , プラハ スペイン , サン・ロレンソ ル・エスコリアル ポルトガル , マーフラ アメリカ合衆国 , ポストン 筆者が「場」ではなくて「場所」という具体的 (space) としてのとらえ方も可能になる。 しているからかもしれない。その意味で空間 リスト教思想を背景に「天」への接続をイメージ きわめて立体的な構造をもっことが多いのは , キ (place) として出発した。あるいは , この場所が における図書館とはまずこのような「場所」 強い建築上の意匠が表現されていたりする。欧米 をもち , また内部は絢爛豪華であったり何らかの 骨づくりをもとに堅牢でポリューム感がある建物 パの古い図書館である。全体が石造りあるいは鉄 るが , その出発点として示すのは上記のヨーロッ 以下述べることは「場所としての図書館」であ ない。 ( * は現代的機能を有している図書館 ) ロシア , セントペテルスプルク アメリカ合衆国 , ニューヨーク アメリカ合衆国 , ワシントン DC