担する ppp (public Private partnership) か , 1999 年の PFI 法の成立以降 , 導入が進められて きた。これまでに実施された PFI の累計実績は , 2012 年 4 月時点で , 全国で 412 件 , 累計事業費 は 3 兆 9000 億円に及ぶ。 公共図書館への適用例もいくつか存在するが , PFI 方式を採用した図書館は , 指定管理者制度の 導入図書館に比べて , はるかに少ない。長期化し た不況により金利が低い状態が続く中 , 「日本の 生命保険会社や年金基金が安定的な料金収入が見 込めるインフラ投資に関心を強めている」と日本 経済新聞で報道された 13 ) 。民間の資金を社会資 本の整備に投資する動きは今後 , 図書館に関して も注視していかなければならないだろう。 公民連携 PPP の成功事例として , 岩手県紫波 町を取り上げたい。紫波町は盛岡市の南に位置す る人口約 3 万 4000 人の自治体である。紫波町 PPP プロジェクトは 1998 年 2 月 , 役場庁舎 , 保 健・福祉施設 , 図書館 , 生涯学習センター , 町民 ホール , スポーツ施設を一体的に整備することを 盛り込んだ基本計画を策定し , 同年 7 月に紫波中 央駅前 10. 7 ヘクタールの土地を岩手県住宅供給 公社から 28 億 5000 万円で取得した。土地は購入 したものの , 実際は図書館建設費の調達が容易で はないという事情が背景にあり , その土地は 12 年間も塩漬けになってしまった。 しかし , 自治体は東洋大学大学院と協定を結 び , 2007 年に「紫波町 PPP 可能性調査報告」を 作成し , 紫波プロジェクトと称した 30 年計画を 具体化し , 町全体の発展につながる開発を目指し たという 14 ) 紫波町の成功は地域の若い不動産業者がアイデ アを出し , まず都道府県に一つずっしかっくれな い日本サッカー協会公認のフットボールセンター をつくって , 年間 5 ~ 10 万人の集客を見込んだ。 さらに農産物の販売所をつくり , そこから安定し た賃貸収入を担保した結果 , 図書館の建設を実現 できた。また , 2001 年に町民活動団体「図書館 を考える会」が設立され , 新図書館設立へ向けて 活動してきたのも図書館づくりの基盤となった。 新図書館の設立にあたり , 紫波町中央公民館に 併設されていた図書室「胡堂文庫」を閉館し , 蔵 日本の図書館における資金調達 131 書 1 万 5000 冊を同図書館へ移動し , 併せて 6 万 冊の蔵書を揃えた。この蔵書をもとに 2012 年 8 月に紫波中央駅前の官民複合施設 , オガールプラ ザの 1 階に図書館が開館した。オガールプラザに は図書館のほか , 交流館 , 産直マルシェ紫波 , 子 育て応援センター「しわっせ」 , カフエキネマス ティ , 民間の医療関連施設が入居している。 2013 年には開館 1 年を記念して , ネット上で数量限定 で図書館バッグの販売を宣伝している 15 ) 。オ ガールプラザの全体像についてはビジネス系の雑 誌に特集記事が組まれた 16 ) 。 図書館法の無料原則を踏まえ , 法的に図書館自 体はそのサービスに課金できないが , 紫波町図書 館は周辺の施設で稼げる地域完結型システムを構 築した興味深い事例である。 PPP 関係者のイン タビューの中で , この成功を導いた人物が「公共 事業は施設をつくるのが第一目的だが , 民間事業 は施設をつくったあと , いかに稼げるかが重要で ある」と発言していた 17 ) 。人口が少なく , 図書 館が未設置の自治体が , 住民にとって魅力のある 地域にすることを目指し , 図書館や子育て支援セ ンターをつくることは , 若い住民を定住させる試 みとして , 参考となる事例であろう。 2 . ふるさと納税と新寄付税制の活用 2008 年に「地方税法の一部を改正する法律」 が成立・公布され , 個人の住民税に対する寄付金 税制が拡充され , 寄付者の出身自治体などに寄付 できる幅が広がった。寄付金額により , 住民税が 以前よりも多く控除される仕組みとなった。寄付 先として図書館が指定された場合 , 納税者に対す る感謝の意をあらわすため , 寄付者が地元住民で なくても図書館の利用者カードを進呈する図書館 や , ふるさと納税によって購入した資料の特設 コーナーを設けたという図書館がいくつかある。 「ふるさと納税 . com 」というサイトに , ふる さと納税を実施している都道府県や市町村名が挙 げられ , 納税の手続きの仕方や使途が掲載されて いる。以下は , ふるさと納税によって図書を整備 した図書館の例である。 2008 年 : 鳥取県立図書館・・・・・・ふるさと納税の メニューに「鳥取県こども未来基金」
もっともこの NPG もさまざまに提唱されてい る理論のひとつにすぎず , NPM ほどの影響力を もったものはいまだ現れていない。それでも , ガ バナンス , ネットワーク , パートナーシップ , 連 携 , 透明性 , 信頼などのキー・コンセプトは挙げ られている 21 ) 。やはり行政内部の改革のみでは なく , 行政をとりまく環境 , とりわけ市民との関 係や協働・連携などに関心が集まっていることは 指摘できるであろう。わが国においても , 政権交 代によって下火になった感はあるが , 「新しい公 共」なども先述のコミュニティのエンパワメント などの側面から , その重要性を指摘することがで きる。 「成果」や「評価」ばかりが注目されがちな NPM ではあるが , 当初の意図・目的を改めて確 認することで , プロセスを評価し , 今後の改革へ 活かしていくべきではないだろうか 22 ) 。 く注 > 1 ) Christopher Hood and B. Guy peters, "The Middle Aging of New Public Management: lnto the Age of Paradox?" ″翔 / Pu わ〃 c 員イ川な耘砒あ召なんの T 力に 0 14 このなかでフッドは , 今日 ( 当時 ) における行政の大きな ″わ″ c 」 d 川なな 48 ( 4 ) , 1989. lntellectual Challenges for the1990s'", 員記〃、ん 4 翔記 3 ) Hood "Public Administration And PubIic PoIicy: Dead?", OECD ″翔 0 〃 Bu イ g , V01ume 2010 / 1. 2 ) Jouke de vries "ls New Public Management ReallY ( 3 ) , 2 開 4. 10 ) 大住「価値創造のためのパプリック・マネジメント」 p. 5 9 ) 大住「価値創造のためのパプリック・マネジメント」 p. 5 ども含めて詳細は , 稲継 , 前掲書 , p. 128 ~ 129 を参昭 いても , NPM は普及していなかったとされる。その要因な 8 ) 少なくとも 19 囲年代前半まで , 実務においても学界にお 「関東学院大学経済経営研究所年報」 34 号 , 2012 年 , p.2 7 ) 大住莊四郎「価値創造のためのパプリック・マネジメント」 論と実践」日本評論社 , 2 開 2 年 , P28 6 ) 大住莊四郎「パプリック・マネジメント : 戦略行政への理 14 ( 3 ) , 1994 , p. 9. tO new public management", ″わ〃 c 」 / 0 の , な〃イ Ma 〃な g 川〃な 5 ) P. Dunleavy an d C. Hood, "From old public administration 年 , p. 122 著「包括的地方自治ガバナンス改革」東洋経済新報社 , 2 開 3 4 ) 稲継裕昭「 NPM と日本への浸透」 , 村松枝夫・稲継裕昭編 る ( p. 346 ) 。 潮流として「民営化」とともに NPM の「台頭」を挙げてい 日本における NPM 125 11 ) 大住「価値創造のためのパプリック・マネジメント」 p. 6 12 ) 水之浦啓介「次世代の行政経営が目指すべき方向」「 NRI パプリックマネジメントレビュー」 vol. 117 , 2013 年 , p.2 13 ) 富野暉一郎「 NPM 改革の限界性と公益の構造化に基づく 公共再編型改革」「会計検査研究」 39 号 , 2009 年 , p. 13 14 ) 富野 , 前掲書 , p. 14 ~ 15 も参照。 15 ) 石田徹「福祉社会と非営利セクター」 , 白石克孝編「分権 社会の到来と新フレームワーク」日本評論社 , 284 年 , p. 92 16 ) David Osborne and Ted Gaebler, 〃怩〃〃 g go 怩翔川に厩 . ・ん 0 肥れゆ尾〃召 4 4 / 眇レ″な耘〃〃ザ 0 川 g カ″な け , Plume, 1992 , p. 45. ( 高地高司訳 , 野村隆監修「行政革 命」日本能率協会マネジメントセンター , 1995 年 , p. 55 ) 17 ) Osborne and Gaebler, 〃怩厩切 g go 怩襯な p. 51 ( 高 地訳『行政革命』 p. 59 ー 60 ) 18 ) Osborne and Gaebler, 襯盟市〃 g go 怩翔川劭な p. 72 ( 高 地訳「行政革命」 p. 77 ) なお , 翻訳では transitional support が「時間的余裕」と 訳されているが , 単なる余裕ではなく , 行政の積極的な役割 としての「支援」と読むべきであるとの解釈から訳文を変更 した。 19 ) このような行政のあり方を提起したものとして , 拙稿「行 政・コミュニティ・公共性一支援・媒介的行政による協働と 自治の実現」 , 広井良典・小林正弥編著「コミュニティー公 共性・コモンズ・コミュニタリアニズム」勁草書房 , 2010 年 を参昭 20 ) Stephen P. Osborne, Zoe Radnor, and Greta Nasi,"A New Theory for public Service Management?: Toward a (Public) Service—DominantApproach", T んに = 4 川召れ ca 〃 , 0 / わ″ c 員イ川なレ〃〃 , 2012. (1) Christopher PoIIitt and Geert Bouckaert 4 わ〃 c Oxford University Press, 2011 , p. 11 , tablel. 1. 22 ) 本稿の着想は , 片岡寛光「今なぜ公共経営か ? 」「早稲田 パプリックマネジメント」 1 号 , p. ト 10 に負うところが多い。 当該論考においては , 本稿において強調した ( 組織 ) 「内部 と外部の連続性の強調」「公共性の追求」「エンパワーメン ト」などが , NPM と対比された「目指すべき公共経営」の 特徴とされている点は異なるが , 参考にしていただければ幸 いである。 ( 2013.9.2 受理 )
134 現代の図書館 Vol. 51 No. 3 ( 2013 ) (The Fundraising SchooI) のような専門の教育 機関もある。ファンドレイザーは専門職として認 知され , 毎年し S. 翫誌で発表されるベスト・ キャリアーズ (Best Careers) の特集では , 2008 年にやりがい , 報酬 , 社会的地位の総合評価が高 い職種にランキングされているという 28 ) 。 前章に挙げたインターネットを使った募金活動 だけでなく , 日本で資金調達活動に着手した図書 館は少なくとも , HP 上かあるいは年次報告書で その結果を公開すべきである。いっから , どのよ うな方法で資金調達に乗り出して , いつまで着手 したのかという情報がどこにもアーカイプ化され ていないケースがみられた。概ね , 都道府県立図 書館については , HP 上で確認できることが多 かった。アメリカ図書館協会では資金調達に関す る情報サイトのリンク集などを HP 上に掲載して いる。実施したさまざまな資金調達に関する経験 をあとから参考にできるよう , 成功しても不成功 に終わっても記録して残すべきである。 日本ではさまざまな分野において慈善活動や奉 仕活動が熱心に行われてきたものの , 公立図書館 の財政は税金でまかなわれることが当然のことと 受け取られているため , これまで寄付対象として あまり顧みられることはなかった。 リーマンショック以降 , アメリカでは , 財政難 から図書館を含む公共サービスに対する予算が大 幅に削減された自治体が増えている。アメリカ図 書館協会の機関紙石レ〃 4 翔〃 / や」襯〃 ん耀 s にはそうした財政危機に瀕している図 書館の記事が掲載されている。 2013 年 7 月に , アメリカ史上最大の自治体財 政破綻に陥ったデトロイト市では , 図書館を含 め , 公共サービス自体に予算を割けなくなり , 図 書館の分館はいくつも閉鎖されたという。堤は , デトロイト市では州知事が任命した危機管理人が 町を運営し , コスト削減を最大の目的として , 2009 年以降 , 公務員は肩書きのみで , 仕事をし ていないと指摘している 29 ) 。しかし , デトロイ ト市立図書館の HP に 2013 年 8 月にアクセスし たところ , 夏の読書推進プログラムなど , 本館で はさまざまな活動を行っているようである。 やや大げさにデトロイトの例を挙げたが , 日本 では自治体財政の破綻により , 市立図書館が閉鎖 されたタ張市のような事例はまだ少ない。しか し , 破綻予備軍の自治体は少なくない。この点は 図書館関係者も真摯に受け止めねばならないだろ う。東洋大学の根本によれば , 戦後の高度経済成 長期に建てられた図書館を含む公共施設の老朽化 は深刻であり , 更新予算の大幅不足が見込まれる という 30 ) 。図書館施設が十分な耐震構造をもた す , 改築する費用もまかなえそうにない自治体は どうしたらよいのか , 資金調達を含む効果的な対 策を講じるべきである。 本論で述べたようなさまざまな方法で寄付金を 募り , 資料費調達に着手し始めた図書館が出現し ている。また , 優れた図書館活動に対して , 資金 を提供する図書館振興財団のような組織が出てき たことも , 図書館にとっては資金調達の励みとな り , サービス向上につなげられるだろう。図書館 振興財団は民間企業である図書館流通センターが 中心となって発足した財団であり , 主な支援対象 を図書館および情報サービスに絞っている。 50 億円を基金として , 年間最大 8000 万円を助成す る目的で結成された。図書館振興財団について は , ホームページや機関誌で過去の助成対象事業 とその事業実施報告が発表されているなお , 同財団は東北大震災の被災地図書館に 1 億 3000 万円を拠出した。 運営資金が乏しい図書館にとって , 資料や機器 類の寄贈はモノによる支援を自由に受けられる点 で , 資金調達と同様に重要である。現金による寄 付金を受け付けても自治体の雑収入に入ってしま うことがあり , 図書館に適用されないことと , お 金の管理に消極的な図書館員も少なくないだろ う。 2013 年に楽天が自社の電子書籍端末を 1250 台を岐阜県の関市の学校図書館に , 100 台を香川 県まんのう町立図書館に寄贈している 32 ) 。企業 メセナとして , 経営が好調な企業からの支援をで きるだけ得ることも考慮に入れるべきである。ま た地元企業だけでなく , 地域の商工会議所や親睦 団体 ( ロータリークラブやライオンズクラブな ど ) との良好な関係を構築することも配慮すべき であろう。 子どもから高齢者まで快適な施設 , 趣味や暮ら
154 現代の図書館 VoI. 51 No. 3 ( 2013 ) なことになってしまう。しかし適切に作られた BCP があれば , 計画に沿って合理的に動けるた め , 場当たり的に対処するよりもスタッフの労働 負荷や費やす時間を軽減でき , ムダな支出も生じ ない。復旧もはかどることになる。 また , BCP は事業者としての社会的使命や責 任を明確にした計画であるため , 事業停止による 利害関係者への影響を軽減できるというメリット がある。インフラ事業者やサプライチェーンに参 加している製造業などは , BCP を策定していな いと今後は生き残れない可能性もある。またこう した責任は , お客様や取引先に対するものだけで なく , 社員の雇用責任も含まれることは言うまで もない。 3 BCP 策定のポイント BCP の策定は , 防災マニュアルのように担当 社員が一人でこっこっ作るわけにはいかない。い ざというとき全員一丸となって行動するために は , トップや管理者層を交え , コンセンサスを取 りながらプロジェクトとして進める必要がある。 以下では BCP の考え方と作り方のポイントを前 半と後半に分け , それぞれ三つのステップで説明 する ( 防災点検や備蓄等の基本的な要件について は割愛する ) 。 前半の ( 1 ) ~ ( 3 ) は , BCP で最も重要な「非常事 態下での事業者としての使命と責任」およびその 「使命や責任を遂行するために必要な活動の種類 と手段」を決める作業である。 0 BCP 策定のポイント : 前半 ( 1 ) 自社にとって BCP の目的は何か ? 災害で業務が一斉に停止したとき , 自社は何を 守り , 何を維持するのかということ。社員の命と 事業資産を守るだけでは十分ではない。物流サー ビス業に例えると , 「どんなことがあってもお客 様が必要としている荷物を送り届ける」といった 目的を書き出してみるわけである。 ( 2 ) ( 1 ) の目的を達成するにはどんな活動を行えば よいのか ? 「どんなことがあってもお客様が必要としてい る荷物を送り届ける」という目的が決まれば , の目的を達成するためにやらなければいけない活 動が絞り込まれる。業務が停止した時点でのお客 様のニーズの優先順位付けとか , 輸送車両のバッ クアップ , 燃料の調達などである。 ( 3 ) ( 2 ) の活動を実行するには , どんな方法や手段 を使えばよいのか ? ( 2 ) を通じて重要な活動が決定したら , 次にこれ らの活動をどのような方法 , 手段で実現するかを 考える。大地震の直後には電気 , 電話 , パソコ ン , OA 機器などが使えず , ガソリンスタンドに 行っても輸送車の燃料を補給できる見込みはな い。そんなシビアな状況の中で , どうすれば活動 を続けることができるかを , 日常とは異なる発想 で考えることが大切である。 ー BCP 策定のポイント : 後半 後半の ( 1 ) ~ ( 3 ) は , 前半の会議で決まった事柄を 含めた BCP 文書の記載要件である。 ( 1 ) 初動対応手順に関すること これは会社の防災でおなじみの , 初期消火 , 避 難誘導 , 救護 , 二次災害の拡大防止 , 安否確認と いったもろもろの活動のことである。とくに安否 確認については , その手順 , 担当者 , 複数の確認 手段 , 報告先などをしつかり決めておく。都市部 などでは帰宅困難者の問題も起こるので , こうし た対応についても規定するのが望ましい。 ( 2 ) 災害対策本部の設置と運営 大規模災害では , ただちに災害対策本部を立ち 上げて特別な体制で業務の継続や復旧活動に当た る。重要なのは , いつ ( どんなときに ) , だれが , どこに集合するのかということ。この参集基準が あいまいだと , 肝心なときに必要なメンバーが集 まらないといった問題に直面する。災害対策本部 の運営に必要なツールやスタッフのための食料物 資などについても検討する。
向する「小さな政府」との違いに着目してみた い。すなわち「量的削減」ではなく「質的改善」 である。 石田徹は , 福祉国家の変容 ( 国家セクターの後 退 ) には , 「量的限界」と「質的限界」の二つの 面からの認識があり , それぞれの認識によって , 導かれる改革の方向性が異なるという 15 ) 。すな わち , まず , 国家財政の「量的限界」の認識から すると , 国家の責任の縮小と市場メカニズムの導 入による資源の効率的利用 , 消費者主権の実現を 目指す = 「市場指向型」の福祉社会の構想が導か れるという。 一方で , 国家サービスの「質的限界」の認識か らは , サービス利用者や一般市民の参加と権利の 拡充を通じて , 国家サービスが陥りがちな硬直 性 , 画一性 , 非即応性を克服することに重きが置 かれる , 「参加指向型」の福祉社会の構想が導か れるというのである。 この対照的な両側面から見たとき , 小さな政府 の指向性は , 明らかに国家財政の「量的限界」の 認識に基づくものであり , 市場の重視 , 民営化に 重点が置かれるようになる。 では , NPM はどうであろうか。それは公的セ クターにマネジメントの手法を導入しようとする ものであり , そのマネジメントは単に量的削減を めざすものではないことは , 先に確認したとおり である。その意味において , 行政サービスの「質 的改善」を目指そうとするものと解釈されるべき であり , 「小さな政府」と「 NPM 」は区別される べきである。 さらにそのような「効果的な行政サービスの提 供」という質的改善を目指すのであれば , 参加志 向型 , 市民参加 , 参画 , 協働も活用することが , 当然の選択肢として視野に入ってこざるを得ない はすである。 すなわち NPM の経営志向性は , あくまで手段 の一つであって目的ではない。そこで私たちは , NPM をより改善して , 国家財政の「量的限界」 と国家サービスの「質的限界」の両方を視野に入 れた改革の方向性として , 経営志向に限られな い , 公共志向の NPM を考えてみたいと思う。前 述のとおり , NPM とは先進各国において行われ 日本における NPM 123 ている行政改革の諸傾向を説明するための概念に すぎない。しかしながら , 既存の言説からも , 公 共志向の NPM のあり方を再解釈 , 抽出していく ことは不可能なことではない。 公共を志向する NPM 4 ポスト NPM としての NPG (New public Governance) そのような公共を志向する NPM のあり方をさ ぐるために , 私たちは NPM の理論的な背景とし ても取り上げられることの多いオズボーン = ゲー プラー『行政革命』における「企業家型行政」の ための 10 か条を改めて確認してみたい。 ①触媒としての行政 : 船を漕ぐより舵取りを ②コミュニティが所有する行政 : サービスより もエンパワメント ③競争する行政 : 競争が活性化を促進する ④使命重視の行政 : 規則重視の組織からの転換 ⑤成果重視の行政 : 成果志向の予算システム ⑥顧客重視の行政 : 官僚ではなく顧客のニーズ を満たす ⑦企業化する行政 : 支出するより稼ぎなさい ⑧先を見通す行政 : 治療 Cure よりも予防 Prevention を ⑨分権化する行政 : 階層制から参画とチーム ワークへ ⑩市場志向の行政 : 市場をテコに変革する この 10 か条のうち , 明白に経営志向というこ とができるのは③・⑤・⑦・⑩であり , あえてい えば⑧をこれに加えることができるかどうかとい う程度であろう。④・⑥・⑨などは , むしろ市民 のための行政 , 公共性を志向としたものと理解で きるものである。 では , その他のものはどうであろうか。私たち は最初の二つ , ①と②に着目したい。 ます , 「①触媒としての行政」の「船を漕ぐよ り舵取りを」というフレーズは , キャッチフレー ズのように使われているが , サービスの「間接的 な」提供の体制の構築「ガバメント ( 船を漕ぐ ) 」 「ガバナンス ( 舵取り ) 」を示している。その
122 現代の図書館 Vol. 51 No. 3 ( 2013 ) た根本的な社会の構造改革がなおざりになってし まう , ④相次ぐ政府の改革要求に追われることに より , 自治体の側では改革を主体的に推進する機 運が失われ , 受動的に形だけを整え , それらの施 策が積み重なって職員の執務を圧迫し , 疲労感を 増幅している状況の蔓延などの問題である。 そして , 結局のところ , NPM 型改革は現代社 会が求める社会像や行政の役割を明示することが できず , その結果 , 信頼関係や住民の主体性に基 づく安定した住民一行政関係を構築する改革とは なり得ていない , とまとめられている。 以上のように NPM 改革に対する批判は数多い が , このような問題の原因をどこまで NPM その ものに帰することができるであろうか , という点 については , 疑問も少なくない。 NPM 自身が理 論として確たるものではないことも原因の一つで はあるが , NPM 改革がもともと目指していたも のとの比較において , これら問題とされる結果に ついては評価されるべきであろう。 そのなかで , ②に指摘された「住民満足度の問 題」 , すなわち住民を公共サービスの主体ではな く客体 ( 顧客 ) にしてしまう問題性は , NPM の 発想に由来するものと指摘されるべきである。 この「住民満足度」という点は , 公共サービス を「お上による施し」のように , 一方的に受け取 るものではなく , その問題点を改善し , 住民の ーズに合った行政サービスの提供を促すうえで 望ましいように思われる。しかしながら , NPM の発想において , 住民はサービスの受け手という 「受動的な地位」に置かれるため , サービスの受 け手としてのレスポンスというかたちで関わるこ とはできても , 「自ら主体的に」公共的な問題 , 公共的な事柄に関与するということがなくなって しまうのである 14 ) 。 例えば , 図書館業務においてこのような住民 = 顧客の発想でやろうとすれば , ベストセラーや漫 画本 , そしてヒットチャートにあがる CD ばかり で蔵書が埋め尽くされることになる。またそれら は一過性の場合も少なくなく , 一時期は予約が 3 桁に上るほどであったとしても , すぐに借りられ ることの少ない多量の死蔵書を抱えることになっ てしまう , という問題を産んでしまう。 それでは , NPM のその他の点についてはどう だろうか。住民 = 顧客の発想による問題を回避す る方策は考えられるのであろうか。次に NPM の マネジメント , 経営志向性について再考すること によって , これらの問題に取り組んでいくことと する。 NPM のマネジメント 3 「効率 efficiency 」と「効果 effectiveness 」 ますは , NPM における「マネジメント」の問 題について検討してみたい。はたして経済効率性 を考えるだけが NPM の主眼目なのであろうか。 その際 , 前節で私たちが見てきたように , その効 率性のあり方は , 組織「内部」における効率性の 追求に限定されるものではない。その行政サービ スの受益者たる市民を考慮に入れる必要があるの であり , 行政サービスの効率性は , その内部にお ける効率 (efficiency) のみならず , そのサービ スがどれほど効果的 (effective) であったかを考 慮に入れなければ意味がない。 さらには , 行政サービスの提供には単に顧客た る市民の満足度の向上のみならず , 公共善・共通 善への寄与という側面が看過されてはならない。 なぜならば , 行政サービスというものは , 顧客た る住民が支払う税金の「対価として」提供される わけではないからである。もし対価としてのサー ビスであれば , あらゆるサービスは民間 ( 私的セ クター ) によって提供されうるものとなり , 公的 セクターの存在意義はなくなる。 国家を中心とする公的セクターが , 自ら有する 権力でもって徴税を行い , 公共政策として国民に 対してサービスを提供するのは , 税金の対価とし てではなく , 公共性ないしは公共善の実現のため に行われているものである。そのような対価を超 えたところの「目的」がなければ , 国家による権 カ = 強制力は正当性を有しないであろう。その意 味において , マネジメントの意味するところは , マネジメントによる公共性・公共善の実現にある といえるのである。 また一方で , 国家行政活動の「量的削減」を志
150 現代の図書館 Vol. 51 No. 3 ( 2013 ) 域情報に係る行政計画のなかに明確な位置づけを 括法施行後 , 分権・自治の進展に伴って , 市民へ 見出す必要があると思われる。そのような位置づ の情報提供・情報共有から政策形成支援へと , さ けをされてはじめて , ICT に精通した図書館職 らに図書館の取り組みが広がることが求められて 員の必要性やその育成のプログラムを検討の俎上 きたといえる。 に載せることが可能になるであろう。 1990 年代後半から始まった立川市図書館の庁 東京都調布市が 2004 年に策定した『地域情報 内レファレンスや横浜市立図書館の「庁内情報拠 化基本計画』には , 「知のコモンズとしての図書 点化事業」 , さらに 2005 年 10 月に , 当時の片山 館」という一章が設けられており , そこには次の 知事のイニシアチプのもとに開設された鳥取県庁 ように記載されている。 内図書室など , 自治体職員や議員の政策形成を支 「近未来のコミュニティには , 『知のコモンズ 援する取り組みも広がっている。 このような取り組みのなかで , 図書館職員の資 ( 共同知 / 協働知 ) 』としての図書館が必須にな るものと考えられます。そして , そのような図 料収集能力や情報活用能力を示すことによって , 書館は , 従来の図書館のイメージとはかなり異 自治体内での認知の度合いも増していくにちがい なる図書館である可能性があります。 ない。そのことが , たとえば図書館の発信する新 これからの図書館は , 『知の蓄積と連携』を たな高齢者サービスの提起に他部署からの真摯な 可能にする新たな空間となるでしよう。それ 応答を呼び , 組織横断的にコミュニティ活性化に は , 住人・生活者の問題解決に役立ち , 人々の 取り組む風土がつくられていくのではないか。 生き甲斐や楽しみさえ受け止めてくれるところ のような正のスパイラルが定着していくなかで , であり , 新たなコミュニティを ( 都市部におい 公立図書館員もコミュニティ・ファシリテイター ては都市生活を支えるアーバン・コミュニティ の一員としての位置を見出していくであろう。 を ) 形成することになるでしよう。」 10 ) おわりに 地域情報化のかなめに位置する図書館が , 新た なコミュニティをデザインし , 形づくっていく推 進力となることが期待されているといえる。 少子・高齢社会 , 地域情報化 , 分権・自治と , 全国どの自治体も課題としているテーマと公立図 3 . 政策形成支援 書館との関わりを素描してみた。 1960 年代後半から全国の公立図書館発展の牽 冒頭紹介した現在の公立図書館の現状を踏まえ 引車の役割を担った東京都日野市は , 1977 年 , るならば , 図書館が , それを包含する行政全体の 行政・地域資料専門の図書館として市政図書室を なかで将来を見すえた位置づけや役割を明確化 開設した。 1982 年に山形県金山町で全国初の情 し , それを起点に職員のあり方を問う以外 , 人材 報公開条例が制定される 5 年前であり , 行政情報 確保や職員養成についてリアリティのある展望は を分類・整理し , 閲覧という簡便な手続きで市民 開けないように思う。 がアクセスできるようにした先駆的事業であっ たしかに , 「司書あるいは図書館専門職の今後 の発展には , 自治体の枠を超えた職員の異動と , 0 その基盤となる実績・実力の評価が不可欠」だと 「自治体行政が『地域社会の共同業務』である 考えることもできるだろう。また , 「いくつかの とするならば , 行政資料・情報は , 本来自治体構 指定管理者が全国的な展開をする中で , 採用職員 成員全体の共有物でなければならない。それを具 体的に保障するのが自治体の図書館サービスであ を評価し , パートタイマーから館長職に至るまで る」という明確な自治思想に基づいて創設された 全国的規模で異動・昇任を行っていくことによっ この市政図書室については , 根本彰の「地域行政 て , 事実上の専門職制が確保される可能性があ レファレンス・サービスの可能性」という現場密 る」 12 ) とすることもできるかもしれない。 着の調査報告があるが (l) , 2000 年の地方分権一 しかし , 私には , 現在の各自治体の人事当局
128 現代の図書館 VoI. 51 N 。 .3 ( 2013 ) することが望ましい。アメリカでは絶版本や亡く なった著者のサイン入り本を寄贈してもらった場 ロ , ネットのチャリティ・オークションにかけた り , ネット販売大手の e-Bay で販売したりする 図書館がある。こうしたネット販売には時間とモ ニタリングを要するため , ネット販売に精通した ・人材を活用する必要があるだろう。 ( 4 ) 資料の出版と販売 図書館員が時間をかけて調べて回答したレファ レンス事例集や , あるテーマにそって編集した文 献リストなどを資料として刊行し , 販売する方法 である。図書館が出版する資料類は一般に部数が 少なく , 地域限定で配布される場合が多く , しば しば灰色文献化し , 書店の店頭に並べられること は少ない。コンテンツをデジタル化したり , ある いは自費出版も容易になっている状況から , 収益 をもたらす活動の一つとして , 地元の出版社や書 店などと連携して実現できるかもしれない。 また , 豊富な地域資料をもっ図書館では著作権 の問題がクリアできれば , 地域の歴史 , 伝統文 化 , お祭りなど季節行事の画像を DVD 化するこ とは , すでにいくつかの図書館で実現させてい る。印刷媒体にしても , デジタル媒体にしても , 製作費はかかるため , 有償配布を促進し , 少しで も収益を得ることにつなげるべきではないだろう 公益財団法人図書館振興財団 ( 2012 年発足 ) は , 図書館が所有する郷土史関連資料をデジタル 化し , 復刻出版物を書店で販売することを 2012 年より後押ししている。財団はその助成事業に よって学識経験者や図書館員と連携し , 優先して デジタル化すべき資料を選び , 再版や復刻を自前 でできない地方の出版社を支援し , 書店の店頭に 並べるまでのプロセスを重視している 4 ) 。 図書館員やボランティアの集合知を集めて , 丁 寧に作成されたものを出版し , 地域の知的財産と して残すことは図書館の宣伝にもつながる。以下 に各図書館における取り組みを挙げるが , これら は児童向けということからか , 無償で配布されて いる。 2008 年 : 八王子市立中央図書館が児童向けに わらべ歌の CD や DVD を作製 2012 年 : 宮崎県立図書館が神話と伝承の冊子 と読み語り CD を作製 , 希望者に配 布 アメリカでは図書館の資料を使わずに出版活動 に取り組んだ例として , イリノイ州アンティオク (Antioch) 図書館友の会が地域の人々から料理 のレシピを募り , 12 月のクリスマスシーズンに 向けて , 書籍化した事例がある。出版の半年前に 出版社を選定し , 図書館報でレシピを募集し , 3 カ月前までに出版の準備を整え , 本を 8 ドルで販 売した。レシピを寄せてくれた人々に本の出版を 宣伝し , 購入を促すメールを送り , 新たに友の会 の会員となる人々を獲得するため , 会費の割引を 提示している 5 ) 。 ( 5 ) イベントの収益による寄付 図書館が主催する各種のイベントは児童を対象 にした読み聞かせや映画会が多く , 概ね無償で開 催される。高齢化社会に突入した日本だが高齢者 も参加できる気軽な図書館のイベントは未だ少な い。年齢層を問わず , 住民や他の自治体の人々の 関心を引きつけるようなイベントは準備に人手と 時間がかかり , ただでさえ少ない職員数で運営さ れている図書館では手がけにくいと思われる。し かし , 図書館友の会の会員やボランティアの協力 をある程度得られれば , 実現できるだろう。 アメリカでは図書館がイベントを開催し , その チケット販売による収益を図書館の運営費や資料 購入費にあてるタイプの資金調達法を実施してき た。また , マラソン大会や野球の試合など , 地域 のスポーツイベントなどとの連携も行われてい る。ニューヨーク公共図書館のように , 映画関係 者や著名人を招聘したディナー・パーティのよう な派手なイベントの真似はできなくても , 地域の お祭りや各種の行事などに便乗できれば , 図書館 利用者以外の人々にも図書館の存在をアピールで き , さらに収益がもたらされれば , 一石二鳥とい える。また , 図書館サービスが浸透している地域 であれば , 図書館自身がイベントを行わなくて も , 窮状を理解している地域の有志や団体が協力 して , イベントの収益を還元してくれる可能性も
しに役立つ資料を備え , 資料に詳しいスタッフを 育成し , 配置できるようにする。図書館が公共施 設である限り , 社会貢献できる場としても十分に 活かされ , さらに地域住民のための施設を目指す なら , 控えめなこと ( できること ) から始める資 金調達活動はそれほど困難ではない。日本経済が 低迷したとはいえ , アメリカのように地域の人々 が利用する図書館をいきなり閉鎖するようなこと は , 日本ではまだ想定外の事態である。人々が共 感できる場として , 図書館が認知されていれば , 陸前高田市のような図書館の窮状に理解を示し , 支援してくれる人々は少なからず存在するのであ る。 く注・引用文献 > 1 ) 日本ファンドレイジング協会編「寄付白書 2012 』日本経団 連出版刊 , 2013 年 ( 最新刊 ) 2 ) アカデミックリソースガイド編・刊「ライプラリー ソース・ガイド」第 3 号 , 2013 年春号 , 2013 年 5 月刊 3 ) 嶋田綾子「特集・図書館百連発」「ライプラリー ス・ガイド創刊号」 2012 年 11 月刊 , p. 149 ー 150 4 ) 「蔵書の郷土史 , 復刻支援 : 図書館振興財団」「日経流通新 聞』 2012 年 6 月 1 日 5 ) Reed, Sally Gardner, NawaIinski, Beth, Peterson, Alexander. ノ 0 ノ + G 厩 / 虎面 / 耀〃イ / 翩赤 . New York : Neal-Schuman, 2g4. p. 44. この資料は 10 年近く前に刊行されたものであるが , アメ リカ各地の図書館友の会による資金調達方法について , 興味 深い事例がまとめられている。 6 ) 「香川県丸亀市立図書館 , ライプラリー・ウェディングを 企画」「カレントアウェアネスポータル」 ( オンライン ) 入手 先 http://current.ndl.go.jp/node/17318 ( 参照 2013 ー 08 ー 28 ) 7 ) 「寄付採納」「函館市広報』 2013 年 3 月 29 日号 , N 。 .17015 ( オンライン ) 入手先 http://www.city.hakodate.hokkaido.j p/ kouhou/information/h25/0329. html) ( 参照 2013-08 ー 28 ) 8 ) 前掲 , 5 ). p. 44 9 ) 前掲 , 5 ). P24 ー 27 10 ) 「共同ニュース」 2009 年 10 月 20 日 ( オンライン ) 入手先 http:〃www/4.7news.j P / CN200910 / CN2 開 9102001 開 052. html ( 参照 2013 ー 08 ー 28 ) (I) 「坂本龍ー総合監修による音楽全集 "schola" シリーズが全 国の主要 50 図書館に寄贈される」「カレントアウェアネス ポータル」 2011 年 5 月 30 日 , ( オンライン ) 入手先 http:〃 current. ndl.go. jP/n0de/18290 ( 参照 21013 ー 08 ー 28 ) 12 ) 「佐賀県立図書館メモリアルブック制度」 ( オンライン ) 入 手先 http://tosyo-saga.j p/ke ntosyo/s-memory. html ( 参照 2013-08 ー 14 ) 13 ) 「年金基金で地下鉄建設」「日本経済新聞」 2013 年 4 月 17 日 日本の図書館における資金調達 135 14 ) 鎌田千市「紫波町にける PPP の取り組み : オガールプロ ジェクトの概要」「平成 24 年度国際文化系研修公共政策セ ミナー : 将来に向けてのリーダーを育てるために」 2012 年 8 月 21 日 , JIAM 全国市町村国際文化研修所 ( オンライン ) 入手先 http ・ //www.jiam・jp/case/upfile/()()l()—l.pdf ( 参照 2013 ー 08 ー 14 ) 15 ) 「開店閉店 : 紫波図書館」 ( オンライン ) 入手先 http:〃 kaiten-heiten.com/shiwa-toshokj an/ ( 参照 2013-08-14 ) 16 ) 「産直 , カフェ , 図書館が一同に : コストを抑えた木造建 築に , ェリア全体で集客」「日経アーキテクチュア』 2012 年 7 月 10 日号 , p. 52-55 17 ) 「列島ニュース」「 TBS ニュースパード」 2013 年 6 月 14 日 放送 18 ) 「鳥取県財源確保推進課」 ( オンライン ) 入手先 http ・〃 www.pref.tottori.lg.j p/furusato/ ( 参照 2013-08 ー 14 ) 19 ) 「ふるさと納税 . com : 和歌山県ふるさと納税ニュース」 ( オンライン ) 入手先 http:〃www.furusatonouzei.seesaa.net/ article/ 112360297. html ( 参照 2013 ー 08-28 ) 20 ) 佐賀県立図書館のウエプサイト ( オンライン ) 入手先 http:〃www/tosyo-saga・j p/kentosyo/ ( 参照 2013 ー 08 ー 28 ) 21 ) 関口宏聡「新寄付税制 & NPO 法改正で NGO を元気に」 『シナジー : 国際協力 NGO の情報誌』 No. 151 , 2011 年 10 月 , p. 24-27 22 ) 「ミニ公募債 , 人気に陰り : 導入 10 年 , 金利低下が影響」 「日本経済新聞」 2012 年 9 月 3 日 23 ) 菅文彦「「アナタのつぶやき」が寄付になる」「シナジー 国際協力 NGO の情報誌』 N 。 .149 , 2011 年 4 月 , p. 18 ー 19 24 ) 「ネットで資金を集めるクラウド・ファンディングとは ? ( インテリプリック ; 39 ) 」「日経ビジネスアソシェ」 2013 年 1 月号 , p. 104 ー 105 この記事ではクラウド・ファンディングの語源について触 れており , funding を「資金調達」と訳しているが , 資金調 達の正しい英訳は fundraising である。英語辞書を引くと , funding は「財政援助」となっているため , この部分を改記 0 25 ) 「歌舞伎や「寅さん』 , 大切な日本の文化の宝箱を守る。 松竹大谷図書館 , ネットで運営資金の募集を開始」「カレン トアウェアネス・ポータル」 2012 年 9 月 4 日 ( オンライン ) 入手先 http//current.ndl.g0jP/n0de/21751 ( 参照 2013 ー 08 ー 14 ) 26 ) 「陸前高田市の空つほの図書室を本でいつばいにしよう」 ( オンライン ) 入手先 https:〃readyfor.jp/projects/an—empty _library ( 参照 2013 ー 08 ー 14 ) 27 ) SVA は 2011 年 7 月より「いわてを走る移動図書館プロ ジェクト」を始め , 「みやぎを走る移動図書館プロジェクト」 と「ふくしまを走る移動図書館プロジェクト」を実施した。 また BOOK ・研に本を送ると SVA に寄付される仕組みや , オフィス家具 , 移動図書館の寄贈などにも貢献した。 28 ) 鵜尾雅隆「ファンドレイジングが社会を変える : 非営利の 資金調達を成功させるための原則」東京 , 一書房 , 2009 年 , p. 38 ー 39 29 ) 堤未果「 ( 株 ) 貧困大国アメリカ」 ( 岩波新書 . 赤版 1430 ) 東京 , 岩波書店 , 2013 年 , p. 184
160 現代の図書館 V 。 I. 51 N 。 .3 ( 2013 ) 第 1 表図書館経営における個別戦略と組織 ービ 個別戦略 利用者を基礎 とした戦略 図書館員を基 礎とした戦略 設備を基礎と した戦略 業務改善を基 礎にした戦略 全方位戦略 主題専門分化 戦略 遠隔者サービ ス拡充戦略 コンサルテー 化戦略 サービス高度 ス戦略 ションサ 能拡充戦略 編集・出版機 改善戦略 ペレーション サービス・オ ス戦略 滞在型サービ 概要 あらゆる利用者に対して幅広い サービスを充実させることを優先 する戦略 主題を積極的に細分化し , 専門的 な知識・情報サーピスを提供する ことを優先する戦略 図書館を訪れなくてもサービスを 受けられる仕組みの提供を優先す スを統合的に提供する戦略 書館が提供しうるあらゆるサービ 利用者の要望を熟知した上で , る戦略 図 利用者のより高いニーズをみたす ために , 研究に関連した高レベル な利用者サービスを優先する戦略 図書館が自ら情報を収集・編集 し , 出版あるいはウエプを介して 積極的に情報を発信する戦略 利用者が効率よく学習・研究がで きるようにするために図書館設備 を優先して改善する戦略 オペレーションの改善で , 経費を 削減し , 同時に利用者へのサービ スレベルを改善するための戦略 外的・内的環境 好景気 , 潤沢な財政 好景気 , 潤沢な経済 環境 環境 環境 不景気 , 厳しい財政 情報行動の変化 進展による利用者の と設備 , 情報技術の 狭く老朽化した建物 の情報行動の変化 市場の変化 , 利用者 化 用者の情報行動の変 情報技術の進展と利 化 化 用者の情報行動の変 情報技術の進展と利 用者の情報行動の変 情報技術の進展と利 域に増加する人口 ) 社会環境の変化 ( 地 主な組織形態 ジェクトチーム 機能別組織 , プロ 機能別組織 機能別組織 主題別組織 主題別組織 した組織 ) 報システムを基礎と 機能別組織 ( 特に情 組織 ) 地域別組織 ( 主題別 主題別組織 組織 , 資料形態別組 主題別組織 , 地域別 ※初出の学位論文の表を一部改変