「アクチュエータ」種類と仕組み [ 特集 ] 「センサ」と「アクチュエータ」一「環境を知る」「ものを動かす長 「電動」「ソノレイド」「圧電」「人工筋肉」 ■本間 「アクチュエータ」とは、電気などのエネルギー を機械的な動作に変換する駆動装置です。 「アクチュエータ」は、エネルギー源や運動形態 の違いによって分類され、非常に多くの種類が あります。 アクチュエータの分類 0 運動形態による分類 アクチュエータの運動形態は、「回転運動」「往 復運動」「揺動運動」に分類できます。 「揺動運動」は、限定的な角度で首振りをする 運動です。 それぞれの連動形態は、相互に変換可能なので、 複数のアクチュエータを組み合わせて、特定の目 的を果たすアクチュエータユニットを作る場合も あります。 ーエネルギー源による分類 アクチュエータのエネルギー源は、アクチュ 工ータの「目的」や「特性」に合わせて選択します。 一般に、「電気」「油圧」「空気圧」などが使われま す。 また、「内燃機関」 ( 工ンジン ) をアクチュエータ とする場合には、ガソリンなどの燃料がエネル ギー源になります。 一般に「電動アクチュエータ」は、大小さまざま なアクチュエータに用いられます。 電子制御装置と組み合わせて使うと、正確で緻 密なな作業に対応できます。 「油圧アクチュエータ」は、移動速度は遅いです が、大きなトルクが必要な機器に向いています。 「空気圧アクチュエータ」は、「油圧アクチュ 工ータ」と似た仕組みで動きますが、比較的低い トルクで、高速移動させるような用途に向いてい ます。 その他、温度変化で作動する「形状記憶合金ア クチュエータ」や、圧電素子の振動を回転運動に 変換する「超音波モータ」など、特殊なアクチュ 工ータもあります。 最もよく使われ、多くの種類があるのが、「電動 アクチュエータ」です。 ロポットの制御には、物体の位置を制御する 「サーボ・モータ」や、回転角度を制御する「ステッ ビング・モータ」がよく使われます。 直線的な往復運動には、「リニアモータ」が使わ れます。 「リニアモータ」の基本原理は、「電動モータ」と 同じですが、「リニアモータ」は「回転軸」をもたな いことが特徴です。 「 DC モータ」 ( 直流モータ ) の回転方向の転換 は、プラスとマイナスを反転させるだけでいいの ですが、高速回転中に反転させると、モータの負 荷が増大し、発熱が多くなって無駄に電力を消費 します。 これを避けるには、いったん電力供給をオフに して、回転速度が落ちてから反転させるような制 御を行ないます。 電動アクチュエ - タ モータの種類と制御 ■モータ制御の基本 「モータ制御」の基本は、①電力供給のオン / オ フ、②電圧コントロール、③回転方向の転換の 3 つ です。 39
[ 特集 ] 「センサ」と「アクチュエータ」一「環境を知る」「ものを動かす」 TIoTJ(M2M) と「センサⅡアクチュエ - タ」 多様なネットワークと通信規格のすみわけ ■瀧本往人 「センサ / アクチュエータ」が織り成す現在の ネットワークの中でも、最もホットなのが冂 oT 」 ( モノのインターネット ) または「 M2M 」 ( マシ ン・ツー・マシン ) ではないでしようか。 「 IoT 」 ( M2M ) の構成を大雑把にまとめると、① デバイス、②ネットワーク、③クラウドとなります。 「デバイス」は大きく分けると「センサ」「アク チュエータ」ですが、スマートフォンのように「セ ンサ」としても「コントローラ」や「ディスプレイ」と しても機能する「デバイス」もあります。 こうしたデバイスが ( 主に無線で ) 複数つな がって「ネットワーク」を形成しています。 この場合も、「センサ」だけのネットワークもあ れば、「センサ」と「アクチュエータ」を組み合わせ たネットワークもあります。 個々のネットワークによって集められたデータを サーバなどに一度貯え、解析を行ない、さまざまな用 途に活用できるようにする場所が、「クラウド」です。 これを「データ」の見地から言えば、データを生 成するとともに活用するのが「デバイス」であり、 データを伝送したり共有したりするのが「ネット ワーク」であり、それらを解析するとともに大きな ネットワークにおいて伝送したり共有するのが 「クラウド」ということになります。 ■ネットワークのバターン IoT / M2M デノヾイスのネットワークの基本バター ンは、①計測、②制御、③フィードバックーです。 ①「計測」は、デノヾイスがセンサの役割を果たし、 センサからのデータを収集 ( 主にリアルタイムで 「テパイス」「ネットワーク」「クラウド」 48 数値を取得 ) するネットワークです。 数値はそのまま出力されることもあれば、統計 処理される場合もありますし、デバイス同士でデー タを共有するはたは受け渡す ) こともあります。 ②「制御」は、デバイスがアクチュエータの役 割を果たし、アクチュエータへ指示を出すネット ワークで、必要に応じて随時交信を行ないます。 ③「フィードバック」は、デバイスにセンサとア クチュエータ両方が含まれたネットワークです。 計測 0 センサ 制御 アクチュエータ センサ アクチュエータ 〇ゝ - ロ - →〇〇・三口・〇 フィードバック 「計測」「制御」「フィードバック」 (a) アナログの場合 「センサ」と「アクチュエータ」の関係は、まず、 電気信号 には、間にコントローラを介在させていました。 のようにネットワーク化する手段がなかった時代 センサとアクチュエータが離れている場合、今 ( b ) コントローラを使った場合 アナログで見た「センサ」と「アクチュエータ」の関係 センサ ( アナログ式メータ ) アクチュエータ 換して出力し可視化させるメータです。 り、「アクチュエータ」はその量を「電気信号」に変 理的現象」 ( または化学的現象 ) の量の計測器であ たとえば、「センサ」は温度や湿度といった「物 アナログからみると分かりやすいでしよう。
「センサ」をコネクタでつなぐ グロープ 「 Arduino GROVEJ 多彩な「センサ」「アクチュエータ」を手軽に試す ソフト開発者が、マイコン電子工作を始めたときに、まず困る。。 のが、「センサやアクチュエータを、どのようにつなげばよい か」という点です。 「 LED 」ぐらいなら、「デジタル出力端子」に「電流制限の抵 抗」を経由して接続すればいいのですが、いろいろやろうと すると、とたんに敷居が高くなります。 そうしたときに、「直結できれば楽なのに」と、いつも思います。 こうした「直結」を実現するのが、「 GROVE システム」です。 に〔 td 製「ま ■大澤文孝 デジタル コネクタ 1 本で「センサ」や 「アクチュエータ」を接続 「 GROVE システム」は、「センサやアクチュ 工ータ」と「マイコン」とを、コネクタ 1 本で接続す るシステムです。 中国の seeed 社 (https://www.seeedstudio. com/) によって製造されており、国内では、スイツ アナログ チサイエンス社などで購入できます。 図 1 GROVE の Arduino シールド 今回、試用したのは、「 GROVE スターターキッ 0 各種センサとアクチュエータ ト V3 」です。 「 GROVE シリーズ」には、たくさんのセンサが これは、「 Ardu ⅲ 0 シールド」と、いくつかの「セ 提供されています。 ンサ・アクチュエータ」がセットになったものです。 今回、試用したスタータキットには、その一部と ※「スタータキット」には、「 Arduino 」本体は含まれません。 別途、用意する必要があります。 なる、次のものが含まれています ( 図 2 ) 。 ※ GROVE システムには、 Raspberry Pi で使える「 GrovePi + 」 という製品もあります。 ■ Arduino シールド 「 Arduino シールド」には、図 1 のようにたくさ んのコネクタがあり、ここに各種「センサ」や「ア クチュエータ」を接続します。 「アナログが 4 本」「デジタルが 8 本 ( うち 1 本 UART) 」 「 12C が 4 本」のセンサの接続端子があります。 1 【き対 ( レな「 に、し「 0 ” CD kGB 釦 ( 一 図 2 各種「センサ」 73
身の回りの「センサ」と「アクチュエータ」 パワーステアリング」が、コンピュータ制御の「電 当然、地上管制からの無線によるコントロール 動アクチュエータ」によって実装されているから で、的確なタイミングで確実に動作する必要があ です。 りますが、超高空 ~ 宇宙空間の環境下で、しかも 振動、加速度ともに過酷な環境で着実に動作させ そして、この技術の延長線上に「自動運転カー」 るために、特殊な「アクチュエータ」を使います。 があるのは、言うまでもありません。 「分離ポルト」と呼ばれる部品は、エネルギー源 航空機においては、「フライ・バイ・ワイヤ」 は爆薬。 ( FBW ) という、「アクチュエータ」を使った操縦系 連結に用いるポルトの中を中空にして、爆薬を 統が、主流となりつつあります。 充填し、電気雷管で起爆します。 プレード 爆発と同時に、あらかじめ強度を弱くしておい た切断面から断裂し、 2 つにポルトが分離するこ とで各ユニット感の固定を解く仕組みです。 FBW システノ、 電線 ( ワイヤ ) こを 多段ロケットの切り離しなどで、 「分離ボルト」が利用されている ( JAXA ホームページより ) 身の回り、というテーマからは大きく逸脱しま すが、最後に「ロケット」の備える一風変わった「ア ボルト内部ではなく、円形の中空パイプ内部に 爆薬を充填して、ユニット接合面の間にパッキン クチュエータ」を紹介しましよう。 状に配置し、これを爆発させて瞬時に膨張させる 「ロケット」において、「メイン・エンジン」と ことで、数百本のポルトを破断させるといったタ イプの「アクチュエータ」もあるようです。 「制御用噴射」は、基本的に動力と見なしていいで しよう。 「分離ポルト」は、ロケットだけでなく、航空機 その他の物理動作と言えば、やはり多段ロケッ の緊急用ハッチアンロック、エンジン分離など、瞬 間的にかっ確実に動作する必要のある用途に、宇 トの切り離し、衛星を格納するフェアリングの分 離といった、地味ながらも超重要な動作です。 宙以外でも用いられています。 アクチェータ コンビは - タ センサ フライ・バイ・ワイヤ (IADF 公開資料より ) 最先端の「ステルス機」になると、ステルス性能 に機体形状を特化しており、機体の姿勢制御は 極めて複雑なため、コンピュータによる自動操縦 によってしか、飛ばすことが困難であるとも聞き ます。 ロケットの「アクチュエータ」 47
「環境を知る」 「ものを動かす」 [ 特集 ] 「センサ」と「アクチュエータ」一 同様に、「スキャナ」の「読み取りへッド」にも、プリ ンタとよく似た、「ラックランドピニオン方式」に よる「アクチュエータ」が用いられています。 「スキャナ」の「読み取りへッド」 人のいる場所を感知して、「フィン」の角度を調整 クチュエータ」で動いています。 える「稼働フィン」なども、コンピュータ制御の「ア 地味なところでは、「エアコン」の送風方向を変 ■バルブ系 46 このほかにも、馴染み深い「洗濯機」の「水注入 ら、「電磁バルプ」で水を止めるという仕組みです。 計測し、あらかじめ設定したリットル数に達した センサ」のデータを積分して、積算吐出温水量を 準装備となりつつある「お湯はり」機能は、「流量 お風呂用の「ガス温水器」においても、もはや標 で、実装されています。 況に基づいて、ガスを止めたり絞ったりすること 止」の機能は、「センサ」が検出した温度や炎の状 ガスコンロにおける「立ち消え防止 / 過加熱防 るでしよう。 磁式バルプ」も、「アクチュエータ」の一種だと言え が、ガスや水道水の流量をコントロールする「電 直接ものを動かしているわけではありません オンオフ機構」や、「ウオシュレット」の「温水吐出 制御」と「ノズルの出し入れ」など、身の回りの生 活家電にも、案外「アクチュエータ」が活躍してい ます。 乗り物の「センサ」「アクチュエータ」 先に挙げた、「エアバッグ」や「 GPS 」といった 「センサ」は、 20 年以上使われてきた、言わば。枯れ たテクノロジー " です。 また、エンジンの燃焼タイミングから水温をは じめとする各部温度、もちろん「タコメータ」や「速 度計」まで、「自動車」をはじめとする乗り物には 「センサ」が無数に使われています。 そうした中、いま注目を集めているのは、「衝突 防止システム」 ( 衝突被害軽減プレーキ ) や「車線 逸脱防止支援システム」に用いられている、「レー ダー」と「デジタルカメラ」による総合的なセンシ ング技術です。 C ー MOS カメラで捉えられた映像 持った線が現れる 画像処理を施すと車線の特徴を 画像処理によって映像から車線を抽出する ( ホンダのホームページより ) こうしたことが可能になるのは、現在の「電動
身の回りの「センサ」と「アクチュエータ」 実は身近な場所でも活躍 身近なものにも、思った以上に「センサ」と「ア クチュエータ」は使われています。 ここでは、その一例を見ていきましよう。 [ 特集 ] 「センサ」と「アクチュエータ」一「環境を知る」「ものを動かす」 ■ arutanga 「アナログ時計」の回転運動は、動力として活用 するわけではありません。 たとえば、自動時刻合わせ機能をもつ「電波時 計」であれば、基地局からの電波を受信して時刻 の校正を行なうプロセスを、「センサを用いてアク チュエータを制御している」と表現しても、なんら 差し支えないはずです。 そう考えてみると、身の回りにも数多くの「アク チュエータ」が見つかりそうです。 意外なものも「センサ」と「アクチュエ - タ」 筆者は、 「センサ」はともかく、「アクチュエータ」は「ロ ポット」などのホヒーや特殊用途でないと、身の 回りの家電などには搭載されていないのでは と思っていました。 しかし、 「エネルギー」を「物理運動」に変換するものか ら、「モータ」や「エンジン」のように持続的な動力 「センサ」を使った製品は、どこの家庭にも複数 を発生するものを除外した装置や機構 見つかりそうです。 というのが「アクチュエータ」の大まかな定義だと たとえば、次のようなものがあるでしよう。 思います ・温度センサ この定義を念頭に周囲を見回してみると、どこ 冷蔵庫、オープン、電子レンジ、ガスコンロ ( 立ち の家庭、職場、学校、そして駅などの交通機関など、 消え防止 / 過加熱防止 ) 、 IH クッキングヒータ、電 およそ、人の生活にかかわるすべての場所にある、 気こたっ、工アコン、湯沸かしポット、炊飯器、トー 「アクチュエータ」を使った、ある製品が思い浮か スタ、パン焼き器ーー - など。 びました。 ・赤外線センサ それは「アナログ時計」です。 ( 人が近づくとフタの開く ) トイレ、 ( 手を近づけ ると水の出る ) 蛇ロ / カラン、 ( 人が近づくと点灯す る ) 野外の防犯火 - 丁ーーなど。 Ⅱ 12 1 ・照度センサ 暗くなると文字盤が光る時計など。 ・加速度センサ 転倒すると消える石油ストープやファンヒータ、 転倒すると消える電気スタンド、極端な急制動で 作動する ( 車の ) ェアバッグーーーなど。 身の回りにある「センサ」をつかったもの 2 4 2 8 3 アナログ時計 44
「センサ」と「アクチュエータ」 「環境を知る」「ものを動かす」 人の身体で例えるなら、「目」や「鼻」などの五感が「センサ」で、「筋肉」は 「アクチュエータ」と言えるでしよう。 私たちの身の回りには、数多くの「センサ」や「アクチュエータ」が使われて います。 たとえば「センサ」では、電車の自動改札の「人感センサ」、自動車の「加速 度センサ」、スマホの「ジャイロセンサ」などがある一方、「ものを動かす」ためには、 「 DC モータ」や「サーポモータ」などの「アクチュエータ」が使われます。 「ロポット」日 oT 」の時代を迎えた今、「センサ」や「アクチュエータ」に関す る知識は、「頭脳」の CPU とともに、ますます重要になっていると言えます。 今月は、その「センサ」と「アクチュエータ」について、現状を詳しく紹介して います。 「センサ」種類と仕組み ・ 34 「センサ」とは「センサ」の種類「センサ」の仕組み 「アクチュエータ」種類と仕組み アクチュエータの分類電動アクチュエータモータの種類と制御 ソレノイド・アクチュエータ圧電アクチュエータ人工筋肉 身の回りの「センサ」と「アクチュエータ」 意外なものも「センサ」と「アクチュエータ」身の回りにある「センサ」をつかったもの 身の回りに「アクチュエータ」はあるのか ? 乗り物の「センサ」「アクチュエータ」 ロケットの「アクチュエータ」 T と「センサ」「アクチュエータ」・・ 「デバイス」「ネットワーク」「クラウド」 oT ( M2M ) のネットワークの種類 ( 規格 ) ロボットの「センサ」と「アクチュエータ」 ロポットの「センサ」ロポットの「アクチュエータ」「センサ」のメカニズム 半導体以外の「センサ」「アクチュエータ」のメカニズム >MEMS 生物に学ぶ「センサ」と「アクチュエータ」 電子工作と「センサ」 「センサ」の種類「アナログ・センサ」の特徴スイッチも立派なセンサ 「テジタル・センサ」を接続するよく使う日 2C センサ」 電子工作と「アクチュエータ」 D C モータサーポモータステッピングモータソレノイド部品屋さんの紹介 9 3 4 4 8 4 2 5 6 5 9 5
ロボットの「センサ」と「アクチュエータ」 とも言えます。 「モータ」は、 ・「可変抵抗」の電気抵抗の変化を利用する「角度 センサ」 ・スリットを通過する光のオンオフ信号で回転を 検知する「ロータリー・エンコーダ」 ・コイルの電磁誘導を使った「音声センサ」 ( = マイク ) なども、「センサ」に含みます。 「超音波測距センサ」は、「超音波」を利用し、反 射波が返るまでの時間から距離を測るセンサです。 マイクや半導体ではなく、「ピエゾ素子」を使っ て、超音波の放射と検知を行ないます。 半導体以外にも、 半導体以外の「センサ」 「アクチュエータ」の動作 「アクチュエータ」を構成するパーツの一部 ■ロータリー・アクチュエータ 「ロータリー・アクチュエータ」の代表例は を指示し、関節を曲げ伸ばしします。 首などの関節に搭載され、コンピュータから角度 「ロポット」の場合、「サーポモータ」は、手足や 指定した角度に回転できます。 しており、「制御信号の指定角」と比較することで、 内部に「角度センサ」 ( 通常は可変抵抗 ) を内蔵 の「運動エネルギー」に変換します。 いわゆる「モータ」を内蔵し、「電気」を回転運動 「サーポモータ」です。 光、温度変化、 ひすみなど 音声信号 ( 空気の振動 ) 反射 半導体センサ 波距 マイク 電気信号 ( 入力信号 ) コンビュータへ ロータリー アクチュエータ リニア アクチュエータ 指定した角度 ま 差を解消する 向きに回転運動 融モータの現在の角度 回転にあわせて 直線に運動 ネジ溝の シャフトを 回転 各種「センサ」の動作 また、「加速度センサ ( 傾斜角センサ ) 」「タッチセン サ」「圧力センサ」などを使って、姿勢制御や、周囲と のコミュニケーションを行なうなど、ロポットの用途 に応じて、さまざまな「センサ」が利用されます。 ■「アクチュエータ」と「モータ」の比較 「モータ」は、通電すると、一方向にグルグルと 回り続けます。 一方、「アクチュエータ」は、「伸び縮み」の動作 や、「回転運動」の動作を、任意に制御できる機構 をもっています。 動力を発生するという点では似ていますが、 「アクチュエータ」は、 「骨格」や「筋肉」を組み合わせた機構ー式 「アクチュエ - タ」のメカニスム 0 リニア・アクチュエータ 「リニア・アクチュエータ」は、直線方向の伸び 53 築用重機」などで利用されます。 大きな力を出しやすいので、重いものを扱う「建 構造的に「油圧」とは相性がよく、また「油圧」は うといったシーンで使われます。 ベルトコンべアと並行させながら加工作業を行な 「産業用ロポット」などでも、ロポットアームを しています。 る、「回転運動を直線運動に変換」する働きを利用 ネジ溝の「回転運動」や、ベルトやチェーンによ 縮みの運動を行ないます。
「アクチュエータ」種類と仕組み ■「導電性高分子アクチュエータ」の動作原理 対応が苦手です。 電解液に浸した「導電性高分子材料」と「対向電 また、主にモータをアクチュエータに使うロ 極」に電圧を印加すると、「高分子鎖」の間にイオ ポットは、軽量化が難しいという課題もあります。 ンが出たり入ったりします。 より口ポットを柔軟に動かすために、「人工筋 イオンの出入りは、極性の入れ替えによって反 肉」の研究開発が進められています。 転。 イオンが「高分子鎖」に入ると伸び、出ると縮み 「人工筋肉」の素材には、主に「ゴム」や「導電性 ます。 高分子材料」など、伸縮性のある素材が使われます。 これらは元々、静音や制振に使われる素材なの で、ほば無音で動作するというのがメリットです。 形状記憶合金を「人工筋肉」として使う研究も 行なわれています。 伸び e 注目されている素材は、「バイオメタルファイ 高分子アクチュエータ バー」 (BMF) という極細の金属繊維。 マイナスイオン BMF には、いろいろな太さがあり、細いものは、 わずか 50 〃 m 。この極細の金属繊維を束ねて、「人 導電性高分子アクチュエータの動作原理 工筋肉」を作ります。 「導電性高分子アクチュエータ」は、高分子材 「 BMF 」は通電で収縮し、通電オフで伸長しま 料を積層させることで、さまざまなサイズのアク す。伸縮は高速に反応し、動作を 100 万回繰り返し チュエータを作成可能です。 ても、ほとんど長さが変わりません。 ■導電性高分子アクチュエータ また、「導電性高分子材料」と「対向電極」の配置 を非対称にすると、縮んだときに特定の方向に曲 現在注目されている「人工筋肉」の素材が、「高 がるアクチュエータになります。 分子材料」 ( ポリマー材料 ) です。 初期の「人工筋肉」の開発目標は、人間の筋肉と ■課題の克服 同じ質量で、同等の出力を得ることでした。 「導電性高分子アクチュエータ」は、何度も伸縮 すでにそのレベルの目標は達成されていて、最 を繰り返していくうちに、徐々に伸縮の度合いが 近の研究成果では、人の筋肉の約 100 倍相当の出 減少するというのが欠点です。 力を得られるようになっています。 初期の「導電性高分子アクチュエータ」では、 1 「導電性高分子アクチュエータ」は、「カーポンナ 万回の駆動で、変位量が半減していました。 ノチュープ」などの高分子材料を用いて、電圧の印 その後、高分子材料の純度を高めることにより、 加による伸縮をアクチュエータとして利用します。 変位量の劣化を劇的に改善し、 10 万回の駆動で、 電圧の極性を入れ替えると、伸縮は瞬時に転換。 約 10 % の変位量低下に抑えることに成功。 また、印加電圧は、 1.5V という低電圧なので、安 「導電性高分子アクチュエータ」は実用化レベ 全な運用が可能です。 ルに達し、これを利用した製品開発が進められて います。 正負反転 対極 電解液 縮 43
身の回りの「センサ」と「アクチュエータ」 第回転系 ・ GPS これまで挙げた「定速回転」する装置について カーナビゲーション・システム。 は、。一応「アクチュエータ」である " とします。 すぐに思いっくものだけでも、これほどの数の製 一方、間違いなく「アクチュエータ」だと断言で 品に、「センサ」が使われていることが分かります。 きるのが、「光ディスクの回転機構」でしよう。 CD をはじめとした一連の「光ディスク」は、読 また、上の例にはあえて挙げませんでしたが、 「スマートフォン」や「タブレット」「 PC 」などの情報 み書きする光学系の精度を保っために、渦巻状に 書き込まれたビットの間隔が一定に保たれてい 家電は、言うまでもなぐ、センサ全部入り”がほと んどです。 ます。 「アナログ・レコード」が、毎分「 33 十 1 / 3 」など 「センサ」とは、 主に物理量を数値として検知して情報化する の低速回転であるのに対して、光ディスクは外周 を読み書きするときは遅く、内周を読み書きする 装置である と考えると、石油ストープの「おもりによる振り子 ときは速く、回転速度が精密に制御されています。 機構を用いた転倒時自動消火装置」は、果たして ■往復系 「センサ」なのかどうか、迷うところです。 上記で「光ディスク」を挙げましたが、「光 / 光磁 気 / 磁気」を問わず、これらの記録媒体の「読み取 しかし、水平のとき「 0 」で、ある角度以上傾いた ら「 1 」の 1 ビットで数値化していると見れば、立派な りへッド」には、極めて高精度に往復運動をする 「センサ」であると考えていいのではないでしようか。 「アクチュエータ」が用いられています。 ストレージつながりで「光学ドライプのトレイ」 冒頭で、身近な「アクチュエータ」の例として「ア の往復運動を考えてみると、制御精度は低いもの ナログ時計」を挙げましたが「速度一定の回転運 の、ここにも「アクチュエータ」が用いられている 動をしているだけ」というのは、「アクチュエータ」 と言ってよいでしよう。 の定義と照らして、少々心細いところではありま 「インクジェット・プリンタ」の「インクへッ す。 ド」や「紙送り機構」も、高精度で制御された「アク チュエータ」で動いています。 実際のところ、家電全般に見られるのは、電子 レンジのターンテープルのような「回転系」が多く、 その回転速度が制御されていたとしても、「アク チュエータ」と呼ぶにはギリギリのものが多いよ うです。 そこで、身の回りの「アクチュエータ」について、 はたして「アクチュエータ」と呼んでいいのかとい う点も含め、見ていきたいと思います。 身の回りに「アクチュエ - タ」はあるのか ? 0 0 0 0 「インクジェット・プリンタ」の「インクへッド」 45