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1. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

特集新地政学 「帝国」の人口は米国を上回る 米国と「ドイツ帝国」の人口の推移 6 ( 億人 ) 第ドイツ圏 ー自主的隷属国 - ロシア嫌いの衛星国 ーー - を事実上の被支配国 - 離脱途上国 ・併合途上国 - 米国 で起こった変化は、「グロ ーリゼからの反発が強まるのは必至だ だ。ドイツは「直系家族」。親の % 。こうした家族システムの違い 1 ション・フアティ 1 グ ( 疲トッド流の分析はここからが真権威が強く、主に長男が家督を継は、避難先の住民との融和に大き いで縦に家を継続していく。従っく影響する。シリアよりも内婚率 労 ) 」に苦しんだ末のとてつもな骨頂である。 が低い先輩格のトルコからの移民 い逆転現象だとみる。移民への反本論』を著したカ 1 ル・マルて、子供の間には不平等があり、 ですら、ドイツ社会にうまく溶け 発はその的な出来事だ。 クスは下部構造 ( 経済 ) が、上部ヒエラルキ 1 があるという。 では、はどこに向か、つのか。構造 ( 政治 ) を規定すると喝破し 一方、祖国の戦火を逃れて欧州込めておらず、融和どころか社会 へと押し寄せてきたシリア人らの分断のク元凶クにすらなっている。 そもそも「あまりにも文化の多様たが、トッド氏は経済のさらに 移民の受け入れは評価されるべ 性を超えることを、経済の論理だ「下 , を重視する。堀教授によれアラブ世界では、いとこ婚を認め けでやろうとした。ある意味で人ば、会文化的ファクターは、家る婚制共同体家族」が主流だ。 き選択だ。が、こうした社会文化 間の見方が浅かったというのがト族関係の中で培われるので、家族特徴は集団主義で、いとこ婚を認的な差異を放置したままでいると、 システムを重視する」。 めない婚制共同体家族」より 社会不信を増幅させ、箒国」崩壊 ッドの@> に対する批判」 ( トッド の引き金になるかもしれない。 氏の著作の翻訳を手掛ける慶應義右ペ 1 ジの表がトッド氏の家族もさらに閉鎖的とされる。 シリア人の内婚率は % 台後半トッド氏は、現在のドイツの状 塾大学の堀茂樹教授 ) だ。とすれシステムの分類をまとめたものだ。 ば、「ドイツ帝国」に支配される国内でも、家族システムは多様であるのに対して、ドイツでは 0 況は四世紀後半のドイツに似てい るとも指摘する。 1871 年に鉄 ア 血宰相ビスマルク率いるプロイセ ョ ンがドイツを統一。欧州の真ん中 ン に強力なドイツ帝国を築き上げた が、外交面では守りに徹し、ロシ 作 ア集ア、オーストリアと三帝同盟を結 外誌び、フランスを孤立させた。》だが、 マ よ ウイルヘルム 2 世の時代になると、 ソる コ せ ビスマルクは辞任。巨大になった ロ ドイツは、今度は世界進出を企て ア グ テナ界海軍力を増強。結果として、英仏 モ 8 、エカ 口が組んだ三国協商に包囲されて 0 ア ア ~ 、帝孤立し、第 1 次世界大戦へと突き 7 アー、、ア進むことになる。 0 ロ 2 ス 現代においては戦争にまで至る 著 ッ ことはないとしても、ドイツ肥大→ 工 ダ 化による内の勢力不均衡が、 ュ マ 内部崩壊を助長していることは間週 工 5 違いない。 5 っム 2000 1960 年 出所 : EU 統計局、 Census Bureau 欧州での支配力を増すドイツ 「ドイツ帝国」の勢力図 ・ドイツ圏 ・自主的隷属国 ・ロシア嫌いの衛星国 - 事実上の被支配国 ・離脱途上国 - 併合途上国 ・無法地帯 工ストニア リトニア / くラノレーシ スウェーデン フィンラント ノルウェー ロシア デンマー オランダ ポーランド スロパキア 英国 ルクセン ブルク フランス ウクライナ トリ ハンガリー ルーマニア セルビア ブルダソ イタリア モルドバ ポルトガル スペイン ト ) レコ ギシャ ( を 1

2. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

SpeciaI Feature ( 欧州連合 ) の内部崩ィッ独り勝ち」。そう解説するのというのだ。ドイ 壊をもたらす最大のリスは、前駐英大使の林景一・三菱東ッと各国の支配・ ク要因は欧州を牛耳る京銀行顧問だ。ューロ圏の被支配関係を表し 「ドイツ帝国 , 。フランスの中で、ドイツの経済力・生産性はたのが、左ペ 1 ジ一ム 歴史人口学者エマニュエル・トッ抜きんでて高い。ただュ 1 ロの為の地図である。 ス ド氏はそう考えている。は今、替レートは、ギリシャなど生産性「ドイツ圏」は「 一一つの危機に直面している。一つが低い国も含めューロ圏全体の平ドイツに対する経シ造 はロシアの逆襲による分断の危機、均で決まる。ドイツにしてみれば、済的依存度が極め 家家 もつ一つは自体の内部要因に自らの経済的な実力に比べ、ユ 1 て高い国々で構成 ロは割安で輸出に有利に働いた。 よる崩壊の危機である。 されている。南欧 ) れ伝 2 世紀に入り、 2 度にわたって 困 0 たのは他の加盟国。ュ 1 ロ諸国の多くは示か要 世界大戦を経験した欧州は、一一度圏内では対ドイツで貿易赤字にな実上の被支配国」「分主 っても、自国の通貨安で調整するに位置付けられる。 とこの地を戦場にしないため、宿 敵だった独仏が手を結び、 195 ことができない。しかもドイツは財政が厳しい国も一つ 0 年代から地域統合体を構築してに加盟した東欧諸国から、低多く、ドイツが押五 コストの労働者を入」して雇し付ける財政規律 きた。年にはが発足。 20 02 年には単一通貨ュ 1 ロも発行用。かくしてドイツはユーロ圏内にへきえきしてい された。 外に対して輸出を伸ばし、輸出大る。「ロシア嫌いの はソ連崩壊後、東欧にまで国の地位を築いたというわけだ。衛星国」はドイツ 勢力を拡大。現在加盟国は ドイツの独り勝ちによって、欧のク主権下ツにあるとはいえ、隷 カ国、ユ 1 ロ使用国は四カ国に達州ではドイツを頂点とするヒエラ属的な立場ではない。対ロ戦略の トッド流の分析は ルキ 1 が出来上がっている。かっ し、巨大な経済圏を築いている。 一環で箒国」入りしている側面家族システムを重視 か強いといえるだろ、つ。 しかし、統合進展の結果は「ドての「ドイツ帝国」が再現された 浮かぶ政策の限界 トッド氏は、英国の離脱と 米国のトランプ政権の誕生を、戦 一〕後の第 3 局面の始まりと位置付け る。第 1 局面が年から年ごろ までの経済成長期、第 2 局面が 年から 2010 年ごろまでで、英 米というアングロサクソン国家が 強力に推進してきたグロ 1 バリゼ 1 ションの時代。まさにその 2 国 W 仏歴史人口学者がひもとく 州、「ドイツ帝国」と化した 気高い理想と共に誕生したか瓦解のふちにある。加盟国に 広がるのは怒りと猜疑心。内部崩壊をもたらす最大のファクタ ーは欧州を牛耳る下ィッ帝国」の存在た。 0 制家 婚体 内同 制家 婚体 外同 平等主義 伝統的家族 システム 絶対核家族 核家族 フランスドイツ、ロシア、アラブ世界 英国、 中心部、 . 日本、 中国、三 ( シリア ) 、 米国、 北イタリア、スウェーデン、ベトナム、 . トルコ、 オランダ 南イタリア朝鮮半島中部イタリアイラン 権威 権威 自由 自由 権威 十 十 十 平等 平等 「非」平等平等不平等 ( 開放的 ) ( 閉鎖的 ) 集団主義、 集団主義、集団主義、 文化的個人主義、個人主義、 自民族中心 権威主義普遍主義 特徴多文化主義機会の平等 主義 * 堀茂樹・慶應義塾大学総合政策学部教授の資料を基に本誌編集部作成 要域 主地 価値 十 十 週刊ダイヤモンド 2017 / 01 / 28 54

3. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

特集新地政学 一本邦初い米政権人事より重要 ! “皇帝″プーチンを支える 2018 年大統領選をにらみ足場固め 派閥別最重要人脈 イ」 プーチン氏が 1 6 年に行った人事の推移 大統領令により内務省系の治安部隊を再 4 月 5 日 編した新たな機関「国家親衛軍庁」を設立 8 月 12 日イワノフ氏を大統領府長官から外し、新世 代の側近である 44 歳のワイノ氏を任命 9 月 22 日フラトコフ氏の定年を延長させず、 SVR 長 官に元下院議長のナルイシキン氏を任命 ヴォロージン氏を下院議長にし、大統領府 第 1 副長官にキリエンコ氏を任命 ウリュカエフ氏が収賄容疑で経済展相 を辞任。 34 歳のオレシキン氏を任命 射惻 射殺 ) 毒殺 射殺 ) 拉致・射殺 ウラシーミル・プーン・。 , ア大統領 NIK/REUTERS/ アフロ 10 月 5 日 大きなパワ 1 バランスの変化があ 身 氏在 出 0 チ し った。国家親衛軍庁 ( Z な っ プ 録 e) という組織が設立されたから し 察式 を る 職 . な っ れ カ だ。「もともと内務省の中に国内軍 役録 回 必用 という準軍隊があり、チェチェン ネ ~ 影長当職長ぜ総在 担閑代な 作戦などを担当していた。それと 大書題で一初圦テ長報身含 諜出も 警察の機動隊や内務省系の重武装 己択庁会通都「 6 し z なロコ ( 2 たや者 安障己 > は一社却 営れ義捨 部隊などを全てくつつけて内務省 きロ ・自で会公 在同い から独立させた。、、 報・のか軍も一 諜しましを 保 情 を保安省という機関に再編 右褓死家ド し、の実質的な復活構想が ま 籍壊比諜 氏 き フ 巨 イ 連要あるともいわれる」 ( 同 ) 。 べ 工 の る る ン 子 れ は情実 さらにプ 1 チン大統領は、昔か 息 掛 の 入 工 か 氏 ヴ 官 らの重鎮を遠ざける人事を相次い を ン 耳 長 メ ど チ の で な 府 で行っている。百分の後継者にな 氏 出 ン 政 チ りそうな若手のトライアルの最中 大 保 器 武 は籍 らしい若手を妨害しそうなべテ ランには引退してもら、つとい、つこ と ( 同 ) 。その目的は二つ。 20 18 年の大統領選再選をにらんだ 足固めと、その後幻年に任期が切 れたときに、訴追されるよ、つな事 態を防ぐためとみられている。 従来は劣勢だった派閥をプ 1 チ ン大統領がてこ入れする動きも見 8 られ、ますます目が離せない 2 0 小泉悠 ( こいずみ・ゅう ) / 未来工学 7 研究所客員研究員。 1982 年生まれ。 0 2 早稲田大学大学院修了後、民間企業勤務、 ン 外務省専門分析員、ロシア科学アカデミ モ ー世界経済国際関係研究所などを経て現竹 職。ロシアの軍事・安全保障を専門とし ており、特にロシアの軍改革、ハイブリ 3 ッド戦略、核戦略、宇宙戦略に詳しい。 5 Krerfil ⅳ 尸 UTNIK / 時事通信フォト 11 月 30 日 旧ソ連国家保安委員会 (KGB) 人脈 ーイーゴリ・セーチン ニコライ・バトルシェフ アレクサンドル・ポルトニコフ セルゲイイワノフ ヴィクトル・ゾロトフ セルゲイ・チエメゾフ セルゲイ・ナルイシキン 【 KGB 】 プーチン氏への批判で粛清 知日派 ロシアの恐怖政治の犠牲者一覧 ポリス・ネムツオフ・元第 1 副首相 アレクサンドル・リトビネンコ・元 KGB 、 FSB 職員 セルゲイ・ユシェンコフ・下院議員 ユーリ・シェコチーヒン・作家 アンナ・ポリトコフスカヤ・ジャーナリスト ナタリヤ・エステミロワ・人権活動家 スタニスラフ・マルケロフ・弁護士 アナスタシア・バブローワ・ジャナソスト 射殺 ) 射殺を

4. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

SpeciaI Feature 最年少ロシアウォッチャーが徹底解説 新華社 / アフロ * 未来工学研究所客員研究員の小泉悠氏への取材および同氏著の「プーチンの国家戦略」 ( 東京堂出版 ) を基に本誌編集部作成 実務家グループ アントン・ワイノ セルゲイ・キリエンコ セルゲイ・ラヴロフ セルゲイ・ショイグ アントン・シルアノフ マクシム・オレシキン アレクサンドル・ガルシカ 工リヴィラ・ナビウリナ サンクトへテルブルク人脈 ( サンクト派 ) 大学の同窓・市庁時代の同僚 ドミートリー・メドヴェージェア 大学の同窓・市庁時代の同僚 アレクセイ・クドリン 大学で博士号取得 ヴャチェスラフ・ヴォロージン 別荘村の隣人 ウラジーミル・ヤクーニン 柔道仲間 ロッテンベルク兄弟 ( 兄アルカディ、弟ポリス ) 今なお強い旧 KGB 系 皇帝を陰で支える軍・諜報機関 ・大統領府長官 外務省出身で日本語堪能。大統領府や首相府の儀典担当でプーチン氏に仕えナ ロシア連邦軍 ・大統領府第 1 副長官 旧ソ連崩壊後の 1992 年、ソ連軍の主力を継 元首相で原子力企業ロスアトム総裁。粛清されたネムツオフ氏に近くサプライズとも 承して成立。外的脅威への対抗機関 ・大統領補佐官 国家親衛軍庁 (FSVNG) プチン政権のイデオロー クライナ情勢なとで全体的なシナリオを描く、通称「灰色の枢機卿」 昨年 4 月、プーチン氏が武力機関の再編に関する ・外相 大統領令に署名し設立。内的脅威への対抗機関 対米強硬派。昨年 12 月、北方領土問題は経済協力や平和条約優先との姿勢を示す 対外諜報庁 (SVR) ・国防相 対外インテリジェンス機関 ( 旧 KGB 第 1 総局 ) 。 トウバというシベリアのアジア系少数民族出身。国防問題のキーマン 工作員は他国で積極的にスハイ活動を展開 ・財務相 連邦保安庁 (FSB) 工コノミストでロシア連邦政府付属財政大学財政・経済学部長も兼ねる 国内監視、テロ対策など ( 旧 KGB 第 2 総局、 ・経済発展相 国境警備隊など有力部局を集約 ) 財務省で長く働いた、高い技能資格のあるマクロ経済の専門家とされる 連邦警護庁 (FSO) 上 = ・極東発展相 極東振興が目的の極東発展省の第 2 代大臣。日ロ経済協力プランのキーマンの一人 大統領等要人の警護や秘密通信システムの運 用が主任務 ( 旧 KGB 第 9 総局 ) ・ロシア連邦中央銀行総裁 元大統領補佐官、初代経済開発相。 G8 諸国 ( 当時 ) では初の女性中央銀行総裁に 大統領特別プログラム総局 (GUSP) ロシア連邦政府の動員準備機関 ( 旧 KGB 第 1 5 総局 ) AP / アフロ ・首相 前大統領。プーチン氏とのニ人三脚で最も有力な政治家の一人として台頭 ・前副首相兼財務相 メドヴェーンエフ氏と対立し辞任するも、今年プーチン氏が経済アドバイサーに戻す 2016 年秋の下院選挙で与党が大勝。同氏の選挙対策によるものとされる ・元ロシア国鉄総裁 プーチン氏の最側近の一人だったが、経営手腕に難ありとされ事実上失脚 ・ SMP 銀行共同設立者 ユダヤ人の家系で、政権寄りの新興財閥を形成し、パイプライン利権を牛耳る をツーチン氏が地元のレニングラード州都サンクトペテルブルクで副市長など を務めていたとき、またはサンクトペテルカレク大学関係者で形成された人脈 しニングラード州の高級別荘村で、産業界の大物が 1996 年に別荘組合を設 。後に KGB 人脈と共にプーチン氏を支えるサンクト派の一大派閥に どうなる対ロ関係 ? 日米の対ロ関係キーバーソン テイラーソン氏は、経済政策上の理由からロシアを 敵に回すより味方に引き込もうという思想。ロシアと しては非常に歓迎。フリン氏も親ロ的といわれる 日本、ⅸ 国家安全保障会議 ( 議長は安倍首相 ) の事務局であ る国家安全保障局の谷内正太郎局長が、バトルシェ フ氏のカウンターバートとして対ロ交渉 2 大統領選挙以降、世間の 5 8 目はトランプ政権の人事 2 構想に向けられた。実は その陰で、大国ロシアでもク皇 0 帝。プ 1 チン大統領が大掛かりな ン モ 最高幹部人事のてこ入れをしてい ャ る事実を見逃してはならない。今 後の米ロ、日ロ関係に直接、大き週 な影響を与えるからだ。 今回、ロシア情勢に詳しい未来 工学研究所客員研究員の小泉悠氏 の協力を得て、本邦初となるプ 1 チン大統領を支える派閥別最重要 人脈図を作成した ( 上図 ) 。大別 すると、人脈、サンクトペ テルプルク人脈 ( サンクト派 ) 、 実務家グル 1 プの三大勢力になる。 このうち最も権力を持つのが 人脈だ。中でも、パトルシェ フ、ポルトニコフ、イワノフの 3 氏は「インナ 1 サ 1 クル中のイン ナ 1 サ 1 クル」 ( 小泉氏 ) 。クリミ アへの武力介入はプーチン大統領 と彼らだけで決めたといわれる。 系の諜報機関出身者や、 内務省・検察等の司法・治安機関、 軍など軍事・安全保障関連の省庁 の関係者や有力は「シロヴィ キ」と呼ばれる。方」を意味する 「シーラ」が語源で、プ 1 チン政 権誕生後、ロシアのマスコミで多 用されている言葉だ。 そんなシロヴィキ内に昨年 4 月、 7 / 01 /

5. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

され、領土をのみ込まれてしまっ実に 240 年以上も続いたのだ。 力を持っことに対する抵抗感も薄ア。昨年Ⅱ月にはプ 1 チン大統領 た。ロシア史ではこの時代を「タ「ロシア人のには領土に対いとされる。 がロシア地理学協会において、「ロ タ 1 ルのくびき」という。 する強いこだわりが刷り込まれて 歴代指導者の中でも国民から高 シアの国境に終わりはない」と発 くびきとは、家畜の首に付ける いる」とロシア専門家は語る。だい支持を受けているのが、言。冗談交じりだったとはいえ、 道具であり、モンゴル人に領土をからなのか、ロシア人は、左表にのスパイから国家元首にまで上り ランドパワ 1 国家 ( 大陸国家 ) の 奪われ、押さえ付けられていた時出てくるク暴君クであろ、つが、多詰めたプ 1 チン大統領である。ソ本能ともいえる領土拡張の野心が 代というわけだ。モスクワ大公国少の専制には目をつぶってでも国連崩壊後、旧ソ連圏の国が西側に膨らむリスクもある。 のイワン 3 世がこのくびきを解い益、領土を守る強い指導者を求め吸収され、経済も困窮。地に落ち米国と蜜月関係を築き、経済制 たのは 1480 年。屈辱の歴史はる。トップに立つ人間が絶大な権たロシアの威信を取り戻したのが、裁の解除に持ち込めれば、その実 現度は増すだろう。 この現代最強の独裁者だった。 元外交官でキヤノングロ 1 バル ただ、この超大国化は「期限付 脱て確 0 的シばを廃軍 の ( しを ( 0 権ロ ) 呼長をへ 記高戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は、き」という指摘もある。 ら「とるト 強ると ) 議圧制 ) ンやよ たあ とレ 工敵「西側はソ連崩壊後のロシアを敗「一見非常に影響力があるように 者として扱った。西欧の資本が入思えるけれど、これは龕大瞬間 た民 れ国 ってきてロシアが解体されていく 風速』 0 何年も続けられるわけで 地き 中で、これを座して見ていられな はない」。そう指摘するのは、ロ 品一を努 00 かったのがプーチン大統領だった。 シア軍事に詳しい未来工学研究所 好者タ配大 的掲 経済的には苦しいが、軍劣を巧の小泉悠客員研究員だ。 権を 力な ) 支め斑 強権 みに使うことで巻き返しを図り、 というのも、経済が低迷してい ・、、高の 一主レ進怖の争で こ最へ 者旧治めの経済力よりも大事な国家としてのるにもかかわらず、ロシアの国防 極ア 。シ名誉を取り戻し、国際的影響力を費は近年、過去最大規模まで膨張 ロ 鬚 0 ←蟲 高めてきたラと語る。 している。「さすがに耐え切れなく よ軍のと最導諜圧 ( ガ ス さらに、強大な、諜報組織なって、片年の国防費は削る。ロ し揮に , 専察 , 。 ~ 。大 を統べるプ 1 チン大統領の怖さは、 シアは息切れしつつあるのが実情 強発年実ッ帝 6 男超ア制。の命警斑た最初ア攻い を ~ 代皇ウ。系をシ専連革密る 5 め連て〈シ進多 カ 2 却〉初のス保男人口なソア秘れ 1 務ソしロ事元も 目的のためなら武力介入や暗殺なであり、対欧州でソ連圏に z 人 8 ど手段を選ばない点にある。 が手出ししない』などの落 7 8 2 5 5 7 実際、米大統領選に介入するた としどころを見つけないと厳しい 0 。 3 6 0 2 0 1 7 0 0 めにサイバ 1 攻撃を仕掛けたとさ状況にある」 ( 小泉氏 ) 。 ロ 0 れる。またトランプ大統領が対ロ それができなければ、プレジネ 協調にこだわるのは、ロシアの諜フ期のソ連のように軍事負担に耐 ン「ポョ「ン ン 報機関に致命的な情報を握られたえられず、袞退へと転じるだろう。 バ一ッ ) チ からだとの見方まである。 ワ」ワ帝ョ帝一 軍事超大国の化けの皮は意外と早週 コ「一タ ~ ン ~ ル ィ一〔イ一ビはバ ニレ一ス ( ア、 ~ ゴ ) 。工 強権的な軍事超大国化したロシく剥げ落ちるかもしれない。 5 在位期間 名前 1903 ~ 1924 1991 ~ 1999

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PART ロシアの名目 ( 国内総生 産 ) は世界肥位で「韓国と同程度 の経済力しかない。クリミアの強 引な併合に伴う制裁で経済もジリ 貧だ。「にもかかわらず、ここ数年、 権謀術数が渦巻く国際政治の舞台→ でプーチン大統領が発揮するパワ 週 ーは超大国のそれだった。 例えば、米国に代わって内戦が 続くシリアの停戦合意を主導、中 東での指導力をにわかに強めてい る。その一方、欧州ではロシア国 境へと勢力を広げる西側の軍事同 盟 z << 0 ( 北大西洋条約機構 ) に対抗するため、自国の飛び地カ リ 1 ニングラ 1 ドに核弾頭を搭載 のつぶやきは、ソ連崩壊シアは私たちへの尊敬を強くして、は、対ロ協調路線にかじを切ると可能な弾道ミサイルを配備して、 後の約年間で最悪の状協力して世界の問題を解決できみられるトランプ政権の誕生で大欧州諸国を激しく揺さぶった。 ′態に陥っていた、米ロ関る」。米国のトランプ大統領はツ きく変わり、ロシアはわが世の春力の源泉は世界最大の核戦力を 背景とした強権的外交にある。米 係の雪解けを思わせるには十分だイッタ 1 にそう書き込んだ。 を迎えることになりそ、つだ。 った。 2014 年のクリミア半島の武 しかしそれは同時に、世界史を口協調が実現すれば、プ 1 チン大 最高権力者の座に就く直前の 1 カ併合後、国際社会からの孤立を塗り替える事態を引き起こすリス統領はその中央集権的な独裁色を 月 7 日、「私が大統領になれば、ロ 深めていたロシアを取り巻く環境クをもはらんでいる。 濃くし、さらなる「横暴」を世界 に振りまくことになろ、つ。 ロシアにはそんな「力を許容 する土壌がある。 大陸国家の本能 領土拡張の野心が 膨らむリスク ロシアのル 1 ッといえるキエフ 公国は世紀にモンゴル人に侵略 世界史の大転換が 設 B 1 L R R 丿 背景にク暴君を許す国民性 は韓国並み。経済もジリ貧。にもかかわらず軍事超大国 としての存在感を強めるロシア。米ロ蜜月となれば、さらなる 繁栄を約束されるが、この復権は「期限付き」との指摘もある。を れ一 0 、 10 0 1 CO 11 いれれきぐ これまでの覇権国の常識を根底から覆して いる米国のトランプ大統領。彼が繰り出す 政策はことごく世間を騒がせ、世界中で 「玉突き現象」を続々と引き起こそうとし ている。世界史の大転換が始まったのた。

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行から貸し渋りに遭っていると考ノクラート ( 専門 え、問題視しているからだ。 官僚 ) たちを政治 また、大手金融機関は規制緩和のいけにえに仕立 率 比 どころか、菲現実的な新たな負担て、の将来 の 務 を課される可能性がある」 ( ドイツの決定について新 融 証券グロ 1 バル金融ストラテジスたな圧力をもたら トの村木正雄氏 ) 。共和党が新たす」というわけだ。 る め 1 な規制案をまとめており、その中 、らに、来年 1 ではレバレッジ比率川 % とい、つ、 月末に任期が切れ 達成には薮百億ドルの普通株増るジャネット・イ ジ背所ン・サックスをはじめとして、ウ資が必要」 ( 同 ) となるような規制エレン議長 一の引 可 ャ識取オ 1 ル街出身者がトランプ政権の水準も示されているのだ。 の後任や、現在 2 チ標券 の ると証主要ポストに何人も任命された。 人分が空席となっ 計 あ , ク 家 で左一 こうした状況を受けて、ウォ 1 ある指標が示唆するている理事新 国 米 のポストに、トラ 政象像一ル街、ひいては米国の金融覇権の米家計における 地 街牛ニ復活に対する期待で市場が沸いて ンプ氏を支持する 、灯 0 -0 0 -0 0 -5 0 -0 0 新 消費拡大の余地 ル雄米 8 8 「 / 7. ・ 0 ・ 0 ” 0 (C) 4 一 ( るいるとい、つわけ・だ。 人物を据えるリス 集 ォル - ん しかし、実は選挙期間中はまっ 米金融覇権の行方をっ不透明クも懸念されてい 特ウブ見 たく逆の構図で語られていた。右さはまだある。国際政治学者ィアる。それが現実となれば、融年間の中でも最低水準だ。日とは ペ 1 ジ図の通り、トランプ氏はウ ン・プレマ 1 氏率いるユーラシア覇権の復活どころか、中央銀行の金利水準が違うので、 1980 年 オ 1 ル街批判を繰り返しており、 グル 1 プが「 2017 世界川大リ政治からの独立性すら揺らぐこと 代とまったく同じ状況とはいえな ウォ 1 ル街は対立候補である民主スク」で掲げた、「中央銀行の政治になる。 いが、米国は基本的には消費社会 党のヒラリ 1 ・クリントン氏を多化」も危惧されているのだ。 一方、短期的に見れば、金融業であり、現在の崟豕計。 ( こよ借り入 額の政治献金で応援していたのだ。 トランプ政権は 1 兆ドル規模の巨界に追い風が吹く材料もある れ意欲がある」 ( 中島氏 ) という。 理由は明確だ。現在の市場の思額インフラ投資を約東しているが、米プライスウォ 1 タ 1 ハウス・ ここまで見てきたように、米国 惑とは異なり、トランプ政権の誕この財政出動は強烈なインフレ圧ク 1 パ 1 スプリンシバルの中島孝の金融業界はさまざまな時間軸で 生は自らの」は程遠いと、ウ力となりかねない。それを抑え込明氏によれば、「現在の丕豕計。ー こよ追い風と向かい風が吹き荒れる、 オ 1 ル街が気付いていたからだ。 もっと米連邦準備制度理災 (g.k 消費拡大の余地がある」という。 / 嵐クの時代を迎えることになる。 まず、金融規制緩和のタ 1 ゲッ が利上げで対応すれば、景中島氏が注目するのは、 その中でも、トランプ政権の金 トは大手ではなく中小の地域金融気減速や米国内産業に打撃を与えが公表している崟豕計の可処分所融政策は多くの不透明さとリスクぞ 機関とみられる。トランプ政権とるドル高を招く恐れがある 得に占める金融債務の比率だ。右を抱えており、米国の金融覇権復 共和党は、ドッド・フランク法に その結果、トランプ政権と図の通り、この値はリ 1 マンショ活への道はク狭き門をくぐる必週 よって零細企業や低所得者層が銀の利害は対立し、強立したテク ック後に急落し、現在は過去約肪要がありそうだ。 過去約 35 年間の 最低水準 2000 1980 年 9 4

8. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

SpeciaI Feature トランプ LLE@の火種も 米金融覇権の復活はク狭き門 金融覇権の掌握は、米国が覇権国家として君臨できた理由の一 つだが、リーマンショック後にその威信は大きく揺らいた。そ して今、にわかに復活の期待が高まる米金融覇権の行方を追う ナルド・トランプ政権の共和党が「ドッド・フランク法 誕生が決まった昨年Ⅱ月と呼ばれる 848 ペ 1 ジにも及ぶ の米大統領選挙以降、米厳格な金融規制に関する法律の撤 株式市場ではダウ工業株種平均廃を主張していることがある ドッド・フランク法は、金融危 の過去最高値の更新が続いた。そ のけん引役が、米金融街であるウ機の震源地となったウォ 1 ル街に オ 1 ル街に拠点を構える米大手金対するク再犯ク防止策として、 融機関だ。 ラク・オバマ大統領時代に第疋さ リーマンシれた。批判の的となった「大き過 この状況を受けて、 ョックで失いかけていた米国の金ぎてつぶせない」問題を解消する 融覇権が復活するという見方も浮ため、金融機関に課す自己資本の 上している。その背景には、下図質と量を厳格化し、金融機関が自 のように、トランプ政権と与党・ らリスクを取る市場取引を禁止す る通称ルカ 1 ル 1 ル」も導入。 こうした新規制は、米金融覇権 のだったハイリスク・ハイリ タ 1 ンの米投資銀行のビジネスを 破壊。規制対応コストもかさんだ。 このク足かせが外れれば、ウォ 1 ル街は再び多大な恩恵を受けら れるとの思惑が市場にはある さらに、詳細は鬨 5 ハーに譲る が、米大手金融機関のゴ 1 ルドマ 2 と引 金融 ウォール街の金融覇権の復活は不透明 米国の金融業界を取り巻く現状と謎 【「ドッド・フランク法」の主なポイント】 ・リーマンショック後に批判の的となった「大き過ぎてっぷせない」問題を解消するために、 金融機関に課す自己資本の質と量を厳格化 ・金融機関が自らリスクを取って行う市場取引を禁止 ( 「ホルカールール」 ) ・金融危機を想定したストレステストの実行など、金融機関が抱えるリスクの透明化と管理 体制の強化 なせトランプ政権の誕生で米国 の金融業界の復権が期待されて いるのか ? トランプ政権と共和党が掲げる、 「ドッド・フランク法」の規制緩和 が、ウォール街に有利に働くとい う思惑が働いているため 大統領選挙の期間中、トランプウォール街の 好き勝手には 陣営はウォール街を批判してい させない ! なかったか ? その通り。そして、ウォール街は 対立候補であるクリントン陣営 を応援していた では、なせウォール街は、自らに 有利な政策を掲げるトランプ陣 営を応援しなかったのか ? 実は、マーケットに流れる前述の 思惑とは違って、トランプ政権の 政策はウォール街に甘くないこ とに気付いていたから 選挙期間中 多額の 政治献金 AP / アフロ WÅLL 共和党 ドナルド・トランプ氏 批判 民主党 ヒラリー・クリントン氏 ウォール街 【ウォール街復権が厳しいポイント】 ①トランプ氏や共和党は、「ドッド・フランク法」によって零細企業や低所得者層が銀行から 貸し渋りに遭っていると考え、問題視。そのため、緩和ターゲットは大手ではなく中小の地 域金融機関とみられる ②大手金融機関に対して、共和党から非現実的とも思える別の新規制強化案も浮上。その 上、国民世論はウォール街に対して厳しい姿勢を崩していない 3 リーマンショック前に米国の金融覇権の象徴たった投資銀行だが、その収益性が高いビ ジネスを破壊した「ポルカールール」が白紙になる可能性は低い 48 週刊ダイヤモンド 2017 / 01 / 28

9. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

特集新地政学 各協定参加国の国内総生産 (GDP) 合計値比較 「通商覇権」が 米国から中国へ 移る可能性 「通商覇権」逆転か 30 ( 兆ドル ) 25 20 15 10 5 0 立された。 体制の下で自由貿易の基本ル 1 ル 一定の機能は果たすものの、加盟とが、その発言からうかがえる か第疋された。さらに、 1995 しかし、は現在加盟国が国間の利害が複雑に絡まり合って、 ところが、これまでの経緯をひ 年には一層の自由貿易推進に向け 164 カ国・地域にまで膨らんだ通商ル 1 ルの変更などの身動きが つくり返すア 1 ムチェンジ」が て、世界貿易機関 (>eo) が設結果、自由貿易のインフラとして取れない状況に陥ってしまった。起きた。選挙中から「大統領就任 そこで浮上したのが、米国と中初日にからの離脱を表明す 国がそれぞれ主導する多国間自由る」と宣言してきた、トランプ大 色 貿易協定 ( メガの議論だ。統領の誕生だ 難 上図のように、米国が主導して 上図のように、世界最大の市場 連き なっ色一 から難テ きたのは、環太平洋経済連携協定を抱える米国が離脱すれば、 e やよこ 緩で だ。関税の完全撤廃をは貿易圏としての経済規模で のま下り 大国き取鹹基本方針とする厳格な自由貿易主に大きく見劣りすることに 国地進引 部義を掲げ、知的財産や国有企業改なる。参加国にとって魅力が格段 中余が y.- 集 の国の編 に落ちてしまえば、ではな 義カ上ど誌革など、ル 1 ルを策定するテ 1 マ 主国途な 易上展革 も多岐にわたる通商墮疋だ くが世界の通商ル 1 ルの 貿途発改 護展業を 一方、中国が主導してきたのはスタンダ 1 ドになりかねない 保発企 LL 東アジア地域包括的経済連携 (x それはつまり、オバマ氏の努力 国 発展途上国も参加するもむなしく、今後の世界の通商に ため、保護貿易の余地も大きい緩おけるル 1 ルメ 1 カ 1 が米国から 格 済テ - 国性 やかな連携体になると予想される。中国に交代するということだ。米 一主定国関以 国の通商覇権を虎視眈々と狙って オバマ氏はできた中国は、米国がルールメーカ 6 中国から通商覇権を 1 の座を自ら降りれば、すぐさま 0 その空席を埋めるに違いない。 守りたかった 広。 また、米国はこれまで、自由貿 ど 針な 9 「はアジアでの米国のリー 易主義のク伝道者ッとしての役割 義方境 主本環 ダ 1 シップを強化する」「アジア地も自任してきた。自由貿易による 易心基革 国貿中が改 2 域のルールを作るのは中国ではな成功モデルであり続けることで、 0 7 自進撤企ⅶ 、。米国だ」 世界をプロック経済化から遠ざけ 0 0 な先全有 2 格完 昨年 1 月の一般教書演説においてきた一面もある 厳税准而 関産 8 て、を推進してきたバラク しかし、「米国第一主義」を掲げ、→ L.LI 的 ・オバマ前米大統領はそう語って「理念よりも取引」とやゆされる 知 0 いる。中国の挑戦に対して、通商トランプ政権では、そんな米国の週 7 覇権の防衛を強く意識しているこ役割も消え去ることだろう。 4 0 中国 ロ RCEP 参加国 ■米国 0 TPP 参加国 ロ 2 協定共通参加国 日本 ートランプ政権誕生で一 」 TPP 離脱の公算大一 TPP RCEP 各協定の参加国と特徴 ー東アジア地域包括的経済連携 ( RCEP ) 一環太平洋経済連携協定 (TPP) 米国 中国 オースト = ィ ] 韓国 ・メキシコ マレーシアー シンガ ヂィノ・ネシアタイ ベトナム ヘルー ラ彡ン一、ブルネイーフィリビン ミャンマー カンポジア 0 ラオス 本 日 米国離脱懸念で 瓦解リスク急上昇 TPP RCEP

10. 週刊ダイヤモンド 2017年1/28号

SpeciaI Feature ところが、国家 の存亡をも懸けて 奪い合ってきた通 イ商におけるル 1 ル 米国がルールメーカーク辞任 , メーカ 1 の座が今、 史上まれに見るか 通商覇権の空白埋めるは中国 たちで次の国に渡 時の覇権国家は、あらゆる国際ルールを自国に有利な条件に変 えてきた。その最たる例が通商交渉た。ところが、通商史上まろうとしている 近年、中国が米国 れに見る劇的なルールメーカーの交代が今、起きつつある の通商覇権に挑ん キ 1 ジャンプ日本代表が った産業美叩によって高い工業力できたが、約 1 世 1998 年の長野冬季五を誇り、貿易で発展してきた英国。紀にわたって特権 輪で金メダルを獲得してその敵対国だったフランスの皇帝ともいえる地位を 以降、不振に陥ったのはル 1 ル変ナポレオン 1 世は 1806 年、英占めてきた米国が、 更の影響が大きいとされる 国経済に打撃を与えようと、大陸自らその座を明け 長野五輪の後、スキ 1 板の長さ諸国に英国との貿易を禁じる「大渡そうとしている のだ。わずか 1 年 に関するル 1 ルが何度も変更。そ陸封鎖令」を出した。 のたびに小柄な体形の日本人選手ところが、封鎖令で経済打撃を前には思いも寄ら には不利に働いたとされ、欧米の受けたのは大陸諸国も同じだった。 なかった意外な幕 陰謀説までまことしやかにささやその結果、ロシアが封鎖令を無視切れが訪れようと かれる。真偽のほどは確かめるべして英国との貿易を再開するなど、している。 くもないか、いずれにせよル 1 ルプロック圏にク穴クかあき出す。 その経緯の発端 一一 = 言は競技の勝敗を左右するほどさらに、大陸諸国が英国と同盟をは、第 2 次世界大 の影響力を持っことが分かる 結んでフランスと対峙したことで、戦直後の 1947 話のスケ 1 ルはまったく異なるナポレオン戦争の勝敗は決する 年に作成された、 が、国家間の通商交渉でも同じこ 自由貿易と保護貿易のイデオロ関税貿易一般協定 とがいえる。下図のように、通商ギ 1 代理戦争でもあった戦いに勝 (Q5<ee) にま で繁栄した国家と当時の覇権国家利した英国はその後、覇権を確かでさかのばる。経 は表裏一体の関係にある。通商ル なものにしていき、英国による平済のプロック化に 1 ルは国益を左右する重大事だ 和な時代、「パックス・プリタ一一よる保護貿易主義 そのが、英国とフランスの力」が訪れた。このように、覇権政策が戦争の原因 対立を軸とした四世紀初頭のナポ国家の変遷は通商ルールをめぐるになったという反 レオン戦争だ。絽世紀後半に始ま主導権争いの歴史と重なるのだ。省から、 c5<--qe 貿易 通商政策で世界が揺れ動いてきた 通商繁栄国家の変遣 21 世紀 20 世紀 1 8 世紀 反グローバリグローバリプロック経済自由貿易主義 セ、一ション ? セ、一ション 15 世紀 16 世紀 大航海時代 1 7 世紀 19 世紀 重商主義 0 オランダ 国 米 ポルトガル 英国 スペイン マプロック経済によるマ産業革命によって得 マ欧米での反グローバ マ世界初の株式会社とマ欧州各国が大西洋に リゼーション機運の高過度な保護貿易主義がた高い工業力を背景に される東インド会社を航路を求め、喜望峰ル まりや、米国が保護貿世界大戦を招いたとの自由貿易主義を展開。 設立するなど、世界規 ートのインド航路を開 易主義化する懸念によ反省から、自由貿易主大陸封鎖令などの保護模の貿易に取り組んだ拓したホルトガル、アメ って、中国が最大の通義が再興。その恩恵を貿易政策を取ったフラ ことで飛躍。ホルトガル リカ大陸を、、発見″して 商繁栄国となる可能性受けて、欧州から覇権ンスとのナポレオン戦から香料貿易の利権も植民地化したスペイン が急浮上 争にも勝利 が貿易で繁栄 を奪った米国が繁栄 奪った 国 中 6 4 週刊ダイヤモンド 2017 / 01 / 28