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検索対象: 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7
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1. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

特集 / 2017 年大予測 内総生産 ) の新 % 以上を占める 6 カ階で、それを基に 国以上が批准を終えていれば、そのの修正へ向 時点から日後に発効する。全 け再交渉に動くと一 いう流れは考えら に占める割合は、米国約 % 、日 易 れる 本約絽 % 。日米の批准は必須だ 由 ただ署名 2 年後に米国が批准して 一方、安倍政権 にとっては洋 いなくても、自体は白紙化さ れるわけではない。以後もで最大の成長戦略太 % 以上を占める 6 カ国以上が批准だ。内閣府の試算ジ した段階で日後に発効する。つまでは日本の実質 り数年後にトランプ次期大統領の気を 2 ・ 6 % 押 が変わったり、トランプ氏の次の大し上げる効果があ 成 統領が批准に動いたりすれば、理屈り、簡単にはあきと u- 誌 らめきれないとこ 上は発効の道は開ける。 本 ギ 基 ろだ。今後は米国 る 現実的には困難 ュ の姿勢変化を促すす 資 日欧の台頭も 種 ア よ、つにさまざまな沌 各 プ 混 もっとも、現実には難しい。経済揺さぶりをかけて 出 いくとみられる。 産業省通商政策局長などを歴任し ( 東アジア地域包括的経 交渉にも携わった鈴木英夫氏は その筆頭が、 ( 欧州連合 ) と 済連携 ) 。こちらは、 「米国議会にもの内容に不満交渉中の日欧 ( 経済連携協 のよ、つな電子商取引や知的 ランプ米新政権の誕生決定でを持つ人は多い。加えてトランプ新定 ) だ。片年初頭の大枠合意、同年 頓挫の危機に陥った政権の発足は民主党から共和党への春の詳細な合意を目指している。財産権などでの高度な通商ル 1 ルや ( 環太平洋経済連携協定 ) 。だが、安政権交代でもあり、交渉に携も日本と同様、米国の保護主義へ高い関税撤廃率は期待できないもの 5 倍晋一一一政権はの旗をまだ降ろわった責任者は全部交代し、交渉経の警戒感をあらわにしており、米国の、巨大市場の中国は魅力的だ。ま していない。 2016 年肥月 9 日、緯や協定内容をわかっている人がい を意識して合意を急ぐ可能性はあた ( アジア太平洋経済協力 の承認案と関連法案を国会でなくなってしまう」と指摘する。 る。農産物や自動車の関税や日本の 会議 ) をベ 1 スとした ( ア 可決させ、米国の批准に向け働きか トランプ次期大統領は、 2 国間交市町村の調達開放などで意見の相違ジア太平洋自由貿易圏 ) へと、済 けていく方針だ 渉重視の姿勢を示し、今後は日米 はあるが、の首産父渉官は「合 を拡大発展させる構想があり、中経 ep-A は、署名時 ( 年 2 月 ) か ( 自由貿易協定 ) 交渉を要求し意は非常に近い」としており、妥協国主導の流れができると、に煉 対する米国の姿勢も変わるかもしれ週 ら 2 年以内に全肥カ国が批准しなかてくる可能性もある。そして、納得点は見いだせそうだ。 もう一つは中国主導の 0 ( 本誌【野村明弘 ) った場合、署名国全体の ( 国できる 2 国間協定を複数構築した段 7 7 年の日本ー l—・テクノロジー ビ ) ン、不ス 世界政治・経済 健康とおカネ TPP 日欧 EPA や RCEP が台頭 日本政冶・経斉 RCEP 中国主導 最終的な目標 香港 罕ロ中国 = 台湾米国主導 ロシア 米国日本 豪州ニュージーランド ブルネイシンガポール マレーシアベトナム ーアインドネシアフィリピンタイ インド TPP 離脱 ? ! カナダ メキシコ AS EAN カンボジア ラオス ミャンマー

2. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

EFT REARUARD VEHICLE C R 自 印物 RN•4GE VEHICLE 気 0 新込、 R ー寂 E し船 RO 、に町 CLE. CA R 自 特集 / 2017 年大予測 る す の躍進が目立ちます。 載 都度手数料を得れば、開発や冗に国や州に法改正をするよう働きかけ 搭 を一 かかるコストを吸収しやすいのでを始めました。同年 8 月には、ポル ア 工 自動運転とライド す。 ポがウ 1 1 と連携して完全自動運 ウ シェアは、ど - っ関係米国では自動車メ 1 カ 1 や自動運転の実証実験を開始すると発表して 転車開発に取り組む— e 企業がライ います。ウ 1 バ 1 は同肥月、米カリ するのですか ? え 備 ドシェアの運営会社と手を組む動き フォルニア州サンフランシスコにお を一 8 年代後半に米国で発祥した か発生しています。年 4 月にはグ いて、単独で自動運転車を使ったラ 機 転 1 グル、ウ 1 運 ライドシェア ( 相乗り ) は、 、 ( 配車アプリでイドシェアの試験サ 1 ビスも始めて 動 自 日本では「白タク」と呼ばれていま米国 2 位の ) リフト、さらにフォ 1 います。 全 完す。白タクとは 2 種免許を持たない ドとボルボが、移動中の運転に人が ドライノ。 ヾ 1 こよる有償運送のこと 車 日本の自動車メー まったく関与しない完全自動運転に てで、日本では道路運送法によって禁関するロビ 1 活動団体を発足させ、 カーはこの流れに す じられています。 乗れていますか ? 今 ただ世界に目を転じると、ライド ラ ス シェアは中国や欧州でも急激に普及 日本の自動車メ 1 カ 1 は自動 テ しています ( 図 ) 。米によ 運転車、ライドシェアともに の関係を強化しています。 参入については消極的な立場を取っ ればライドシアの利用回数は年 ~ 一わ " 〉 車載センサ 1 同様、自動運転で重 1 、 3 月で億回に上り、そのうち ています。 要な技術が高精度 3 次元地図です。中国が 3 分の 2 を占めます。中国で 最大の理由は、自動運転の技術開 この分野ではカ 1 ナビ用デジタル地は滴滴出行がライドシェアを提供す 発に関する考え方が他国の自動車メ 図の世界市場ッ 1 トップである、ドる配車アプリの最大手で、年 8 月数 1 カ 1 と異なっていることにありま ィッのヒアとオランダのトムトムか ・テクノロ に米国最大手のウ 1 す。日本の自動車メ 1 カ 1 は、運転 しのぎを削っています。 の ジ 1 ズの中国事業を買収したほどの 車や歩行者の安心安全を第一に掲げ で 界 そのほか、次世代移動通信システ勢いがあります。 て、いわゆる自動プレ 1 キ ( 衝突被 5 + 世 ム「」を自動車分野に取り込も ライドシェアは自動運転のに 害軽減プレ 1 キ ) や車線逸脱警報装 3 - ヤを うとしているのが、フィンランドのおいて重要な役割を果たしていまア 置などを世界に先駆け日本国内で普 米 ノキア、スウェーデンのエリクソす。自動車メ 1 カ 1 が新事冗り切りノ 及させてきました。最近では新車価 出 ン、米国の & e など通信会社大型のビジネスモデルで自動運転車を イ 格か 100 万円程度の軽自動車で済主・十 月 手です。通信におけるサイバ 1 セキ販売すると、開発や ~ 日伝コストが重ラ も、カメラやレ 1 ダ 1 を使った先進経 0 年 3 0 3 ~ 5 1 1 ュリティ対応の分野ではイスラエル くのしかかります。しかしライドシ す 運転支援システム ( 通称煉 , 一玉 2 年 各 のアルグスなど、同国の軍需機関か ェアは膨大な利用回数が見込めるた が標準装備されているほどです。週 - , ~ 急 7 ( 0 -0 4 ( 0 つ」 1 ・ らスピンアウトしたべンチャ 1 企業め、自動運転車と組み合わせてその■ 日産自動車は年 8 月、高速道路 世界政治・経済 日本政治・経済 cvocvo 年の日本 ビ一ンネス 健康とおカネ 第 00 、 0 い 0 ・い、 A Q 3 ディディチューシン その他 アフリカ インド 17 億 中国 A Q 4

3. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

~ 最大のリスクは = まボビュリズム大統領の時代 ~ 大統領 政治経験ゼロ、不動産王の富豪が 世界を動かすことに。脇を固める 政権チームの顔ぶれにも注目 またも円安株高の神風 ; 首相 連邦準備制度理事会 ( FRB ) 議長 シャネッ・イエレン トランプ相場による円安・株高い 17 年は利上げ局面に突入。 。で息を吹き返す。ただ最大の成に 政治介入の懸念もある 長戦略 =TPP は頓挫の危機に 規制緩和を軸にしたトランプノミク 016 年最大のサプライズはト フンプ米次期大統領の誕生だ スの行方が注目される。世界最大の ったが、 1 7 年はそのトランプ氏が 経済大国ゆえ世界経済への波及効果 どんな言動を巻き起こすかに一喜一 が大きく、景気浮揚の効果や保護主 義政策による負の効果次第で、世界 憂する年となりそうだ。 経済の浮沈が決まってくる。 トランプ外交が始動 もう 1 つの注目地域は欧州だ。 3 ? 月のオランダ総選挙を皮切りに、春 米国は中国の貿易政策や海洋進出 を牽制するため、中国が「核心的利 のフランス大統領選挙、秋のドイツ 益」とする台湾問題で揺さぶりをか 連邦議会選挙と重要選挙が目白押 けるなど、トランプ流の外交戦略が し。反移民・反 EU ( 欧州連合 ) の すでに始まっている。またロシアと 極右政党の動静がポイントだ。イタ リアの銀行不安を起点に、再び金融 どんな関係を結ぶかなどによっては 世界政治の枠組みすら変わりうる。 の不安定イヒが世界を襲う可能性もく 経済面では大型減税や財政政策、 すぶっている。 混沌へと向かう未来 世界激動のキーバーソン リ 0 米国 世界政治・経済 2017 米国 米国 ドナルド・トランプ ついにトランプ政権が動き だす。犯罪歴を持つ不法移 民の 200 万人規模の強制 送還、 TPP ( 環太平洋経済 連携協定 ) 離脱、中国の為 替操作国認定など当面、目 が離せそうにない。 日本 安倍晋ー ポピュリズムの怪人トラ ンプ氏が世界の枠組みを 一変させるのか。そして その先にある未来とは。 2016.12.31-201 /. 17 週刊東洋経済 40

4. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

トランプ 特集 / 2017 年大予測 AP/ アフロ 米国・経ラ 吉か、凶 3 世界政治・経斉 FRB ( 米国連邦準備制度理事会 ) のイ エレン議長 ( 写真中央 ) は 2017 年に政 治からの逆風を受ける可能性がある 0 分野にわたる規制緩和が進めば、減を攻撃するという意味での保護主義年の利上げを 2 回と予想している ス 税との相乗効果によって企業の設備は選挙則よりも抑制されている。攻 ノ 原油価格とドル相場が共に上昇す 工投資が広がり、息の長い景気拡大に 撃の主たる矛先は、工場の海外移転ることで、両者のインフレ率への影 つながっていく可能性もある。 を計画する米国企業だ ( むろん、そう響は相殺し、消費者のインフレ期待 所 究 一方、トランプノミクスへの期待した企業批判が大きな問題だ ) 。 も安定しよう。景気拡大の中で雇用 研 合 は、すでに急激なドル高を招いてい ところがドル高が進行し、製造情勢は逼迫するが、インフレ率との 総 ず る。その結果、製造業・輸出部門は片 業・輸出部門の雇用が危ぶまれるよ関係は希薄なままだろう。結果、コ み 年前半に雇用調整や設備投資調整をうになれば、トランプ氏の攻撃は米アインフレ率は、金融政策の目標で 迫られるリスクがある。懸国企業から貿易相手国に向かうだろある 2 % を下回る水準で安定推移 念は、そうした再調整がト 、つ。ウイルバ ・ロス次期商務長官し、は次の利上げを 6 月ま ランプ氏の保護主義に火をは輸入大国という強みが生かせる 2 で待ち、 2 回目は月と予想する つけないかである。ただで国間通商交渉に乗り気だ。また 利上げをめぐる さえ、トランプ氏が公約に ( 米国通商代表 ) の候補者に リスクは上下両方 掲げる通商改革や移民制度は、反で有名な米鉄鋼業界重 改革は米国自身の成長には 鎮の名前が挙がる。通商摩擦が強ま 選挙前には「長期停滞という構造 マイナスの面が大きい れば、トランプノミクスによる成長的要因によって利上げは年 1 回」と トランプ氏は、米国の貿期待は剥落してしまうだろう。 いうシナリオも考えられたが、今の 易赤字を問題視し、「米国 一方、みずほ総合研究所では、片 ところ、その可能性は大きく低下し では 7 万の工場が中国の ている。利上げ回数が 1 回に減ると 0 ( 世界貿易機関 ) 加盟 すれば、前述したようにドル高進行 5 後に閉鎖している」「われ規 が保護主義の引き金となり、景気・ 0 成 Q > 乍・ の われは雇用泥棒が跋扈する 政治両面から金利据え置き圧力が高 0 0- 究 税 世界に生きている」と述べ まる場合であろう。一方、消費者の 研 7 1 △ロ ている。公約には、プ インフレ期待もしくはコアインフレ 5 0 0 出 , 率が上昇すれば、は利上げ ( 北米自由貿易協定 ) テ み 模 再交渉、 ( 環太平洋 ペ 1 スを速めるリスクがある。もっ ーる規 0 のを とも、この場合でも、利上げに対す 経済連携協定 ) 撤退、中国 度タ 大 デ の為替操作国認定などが並 る政治的逆風は強まりつる。 済 初の くプン ンガ年年年 経 比 8 んでいる。 旦寸石 洋 もラ一 5 トレ 0 ・ ( 、・ ( 、 東 選挙後のトランプ氏の発っ 民 おの・まこと・ 1990 年東京大学卒業後、 ュ 国 て シ 富士総合研究所 ( 当時 ) に入社。 2002 週 言を調べてみると、メキシ と 年からみずほ総合研究所。専門は米国のマ コや中国などの貿易相手国■ クロ経済、金融政策、財政政策。 7 4 日本政冶・経斉 NONO 年の日本 ( ( ー k•- ・テクノロジー ビ ) ン、不ス 健康とおカネ ト

5. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

理 論 の 史 歴 済 経 東 関係でも物議を醸してきた。しかしたのは、たしか石原慎太郎元來只都 かって台湾も「中国」と称して、 ) ーノイ〔すでに次期大統領とい、 2 皿場、その知事。いずれもおそらく、「一つ」大陸とその中心を争 0 た。そのため ' 加 0 にこだわる真意がわかっていないの に大陸は、台湾を別世界、別の「領 、 , 重みは今や格段に違っている。 し。 ( し力ない。台湾 何しろ異例も異例、電話ではあである。 土」と見るわナこよ、、 れ、米台断交後初めての、次期大統 その中国側、王相も外務省報はあくまで中国と不可分の「一部」 授 剛産 教 領と台湾総統との直接会談である。道官も口をそろえて「一つの中国」でなくてはならぬ。これは中国の拠 中所司 しかも今回は中国側の原則、「核心 は国際社会がすでに公認した枠組みって立つアイデンティティであり世 的利益」に触れたという意味で、すであり、中米関係の基礎だと述べ界観、あるいは国家形成の問題なの の的隆 た。もちろん 100 % 正しい事実とであって、貿易やなどとは、は っ史本 = ぶる重大なも。だ。た。 はいえないし、発言者もそこを知らるかに次元が異なる 回 京 軽さが見える発一一 = ロ ないはずはない。それでもあえてこ 西洋的な国際関係しか知らない人 第 中国側が即座に反応したのは定石、 2 一一口わねばならないのは、他国が関は、ここが理解できない。同じドイ ツ人でも、ドイツとオーストリアに どおりである。するとトランプは、 わる「枠組み」「基礎」があまりに 位数 ランプ米次期大統領の周辺「一つの中国」に縛られないと発言、も脆弱であると同時に、決して譲れ分かれている。だから中国も : : : と ロ王 か、あい変わらず騒がしい 貿易金融や南シナ海における中国の ない一線でもあるからである。 考えるのは一見もっともだが、そう課著 士ど ではない。ドイツとオ 1 ストリアの推な 人事の内容や会見の延期など異例づ行動と合わせて、批判を繰り返し 貿易とは次元が異なる くめの経過だけに、耳目が集まるのた。中国も黙ってはいない。爆撃機 分離も、中国が「一つ」であるべき 学の 国 も当然である を南シナ海に飛ばして牽制。にわか 文 「中国」とは、彼ら自身にとってなのも、歴史的な所産である。そこ 中 に第が高まっている そうはいっても、巨富を築いたビ 世界の中心である。中心は唯一無を見なくては、東アジアの国際関係学リ 大 はわからない 複数あっては中心ではない。こ ジネスマン。衝動的に行動するはず トランプの真意は測れない。けれ はないから、常軌を逸するかに見えどもその物言いからは、「一つの中れは中華思想の伝統に由来するもの 歴史に疎い米国の東アジアに対す都 。自 れと る言動も、それなりの計算に基づく国」とは中国の国益の一つにすぎで、現代も脈々と息づき、彼らのアるコミットは、そこが不安である。 ま国 のだろう。 ず、米国の利害とはかりにかけられイデンティティを成している。その米国従来の姿勢が転換するのか、次生個 そんなトランプ、最近の東アジアる取引材料となる、そんな軽い感覚中心を中心と位置・つける周辺を彼ら期大統領の発言は、就任後どのよう 四学 で最も話題になったのが、台湾の蔡が見てとれる。 、したがって中心 は「領土」といい な行動に転化するのか日本の利害 し 士 なぜ中国が一つでないといけない とも直結してくるだけに、われわれた博 英文総統との電話会談である。暴言 と「領土」は、分かっことができな と学 のか : : ・・と、似たせりふを言ってい 王といわれた彼の発言は、中国との も目か離せない も退 か得 お取 東アジアと日本の運命 The Logic of History

6. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

特集 / 2017 年大予測 でプ、つ 中ンり 界ラこ 世仆起 カ″ⅵル 欧州の知性 ジャック・アタリ からの警告 、′大統領選挙でのトランプ氏の勝因 国、インド、欧州だ。欧州諸国は団結 りがある。歴史を振り返ると、これまで は、一般大衆の多くが自国の支配 し、防衛を強化するだろう。 一方が他方を誘発させたことが幾度もあ 階級や大手メディアを味方につけた人々 2017 年にはオランダとフランス、 18 年 った。これは懸念すべきことだ。保護主 にうんざりしたことにある。一般大衆の にはイタリアでも、米国や英国と似たよ 義は経済成長を鈍化させ、人々を貧困と 暮らしが日増しに困窮する一方、ヒラリ うな選挙結果が出るかもしれない。 EU 紛争に陥れるからだ。ただ今回は米国と ・クリントン氏を支援した一握りの富 離脱を国民が選択するように仕向けるポ ロシアの関係が改善される見通しで、本 裕層の暮らしはますます豪奢になり、彼 ピュリズム政権が誕生するおそれがあ 当に戦争が起こるかは確かではないが。 らはこれ見よがしのぜいたくをするよう る。私はそのような事態にならないこと 日本の根本的な課題は人口問題だが、 になった。選挙戦の構図は、経済成長の を願っている。しかし、ポピュリズムの 日本は国力があり、ロポット開発や自国 果実をめぐる「敗者」と「勝者」、グロ 台頭は世界的な傾向だ。国際貿易を後退 企業のグローバル化で、人手不足などの ーバリゼーションの「負け組」と「勝ち させ、東シナ海やロシア、トルコ、パキ 問題には対応できる。ただ、中国など隣 組」、「昔のほうがよかったと嘆く者」と スタンの周辺地域の緊張を高める。アフ 国と良好な関係を維持しなければならな 「将来はもっとよくなると期待する者」 リカ諸国でも深刻な問題が生じるリスク い。また女性に対する動市場の開放を の対立であり、選挙で争えば多数派の前 がある。医療技術は飛躍的に進歩してい 推進し、その才能を活用すべきだ。家族 者か勝利することは予測できた。 るが、気候変動の進行が加速し、被害は 政策では 1 世帯当たりの子供の人数を 2 英国の EU ( 欧州連合 ) 離脱決定の構 拡大するだろう。 人に引き戻す必要がある。 17 年にも技 図も、「地方」と「都市」、「グローバリ 保護主義は世界的な惨事を引き起こ 術および文イヒの面で革新のチャンスがあ ゼーションの犠牲者」と「資本から利益 す。戦争勃発の危険性もはらんでいる。 るはずで、それを見逃してはならない。 を得る者」の対立だった。トランフ象 実際、保護主義と戦争との間にはつなが との共通点は人々の懸念であり、心の内 に秘められた危機感だ。外国人から己の 身を守り、輸入をストップして外国人労 働者を締め出せば、安心して暮らせると いう感覚だ。しかし、国境を封鎖すれ ば、安全が確保されると考えるのは幻想 だ。人種的な交わりで脅威が生じること を恐れ、自分たちのアイテンティティを かたくなに守ろうとするのも錯覚だ。 保護主義は戦争につながる これで米国の覇権が終わったとは思わ ない。少なくとも今後 20 年、米国は世 界を支配する覇権国であり続け、軍事力 では圧倒的な優位を保つはずだ。だが、 米国の覇権を脅かす存在が現れる。中 39 週刊東洋経済 2016.12.31-20 レ .17 ( 聞き手 : 平松さわみ ) prQ 天 経済学者・思想家・作家 ジャック・アタリ Jacques AttaliO 1943 年アルジェリア生まれ。 フランス国立行政学院卒業、 81 年フランス大統 領特別顧問、 91 年欧州復興開発銀行初代総裁。 ソ連崩壊、金融バブル、新たなテロの脅威などを 予測し、的中させたことで「欧州最高の知性」「 EU の予言者」と称される。 2016 年の米大統領選挙ではトラン プ氏の勝利も予見。『 21 世紀 の歴史』『国家債務危機』など 著書多数。 16 年 9 月、自身の 未来予測の手法について記し た「アタリ文明論講義』 ( 筑摩 書房、林昌宏訳 ) か刊行。 アタリ 未来は第きるか 文明論講義 ジ”ク・アタリを物 1

7. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

足を踏み入れる 私たちは道なき道に 2017 年 カ月後、米国・ワシントンで 行われるイベントは後の世の 政治史に深く刻まれることになるた ろう。ドナルド・トランプ氏か第菊 代米国大統領に就任する 2017 年 1 月幻日、自山の国の首都は大きく 変容した姿を世界中にさらけ出すこ とになる 首都に動員される兵十や警備関— 者は 1 カ人以上。いくつもの市民団 体か衝突覚悟で大規模デモを計画す る。自山の国から閉寒感に覆われる 分断国家へ。世界の人々は、米国と いう国の本質が変わってしまったこ とをはっきりと認識するはすた。 そして、同じ瞬間、その国の頂点 に立と、つとする人物のことも、も、つ 受け入れざるをえないと気づくホ ピュリズム ( 大衆迎合主義 ) という 鋭利な武器を手に大国を切り刻んた 男である 日本でも繰り返す ポビュリズム 悩ましいのは、米国かまたあらゆ る血で世界トップのス 1 を維持していることた。仏ミッテラ ン政権で大統領補佐官などを務め、 「欧州最高の知性」といわれる、ジ ャック・アタリ氏は本誌のインタピ ュー取材において、「米国は今後幻 年、世界を支配する覇権国であり続 ける」と指摘している。少なくとも 星条旗の前に立つドナルド・ トランプ氏 9 スーパーパワー の行方はどうなる 2016.12.31-20 レ .17 週刊東洋経済

8. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

2020 年の日本 課題の多い日本の制度 この国は変われるか 外国人労働者・移民政策 大予測 ■欧米諸国と比べはるかに低い ー全人口に占める外国人の割合ー 12 3 〕 3 016 年は世界中で、移民におり、外国人労働者を活用すべきと 対する関心が高まった年だっ の議論が本格化している た。英国の ( 欧州連合 ) 離脱決 ニ転三転する日本の 定の背景には、東欧の諸国から 外国人受け入れ方針 の移民への反感がある。米国の次期 0 大統領トランプ氏は、選挙戦を通じ 日本はそもそも外国人労働者の受 て反移民の姿勢を打ち出し、白人中け入れには消極的な姿勢を取ってき 間層の支持を得た。来年工疋されてた。 1990 年の入国管理法改正をノ いる欧州各国の選挙でも、移民問題きっかけに日系プラジル人などの日 は重要な争点になりそうだ。 系人が流入したが、彼らは定住者と 日本は欧米先進国と比べ、人口に いう在留資格で受け入れられた。就 占める外国人の割合が 1 ・ 7 % と極労に対する制限がないため、事実上届出状況まとめ」を見ると、ここ 3 めて低く ( 図 ) 、欧米のように移民の外国人労働者として製造業など基年間で外国人労働者の数は大幅に増 問題が直ちに国を揺るがす大問題に幹産業に従事することとなった。 え、過去最高を更新 ( 左ハー上図 ) 。 なるとは考えにくい。とはいえ、こ 年、法務省で外国人受け入れに 技能実習生を中心に増加している。 れから急激な人口減少が見込まれて関する議論がなされ、当時の河野太金融危機後に減少した、「身分に基 郎法務副大臣が「日系人の受け入れづく在留資格」に分類される日系人 ス は失敗だった」と発一言。日本語能力は近年、再び増加に転じている。「ビ ン ッ など在留要件を厳格化した。世界金ザの取得に当たって就労先や住所を ド英米フ 融危機後の 8 年には日系人に対して定められている技能実習生に比べ、 帰国支援を行い、外国人の受け入れ疋のない日系人は企業が配置換え は研修・技能実習生を中むにっ方をしやすく、産業界の需要が根強 針に切り替えた。研修・技能実習制 い」 ( 首都大学只の丹野清人教授 ) 。 度とは年、新興国に対する技術支 就労先の業種も製造業にとどまら 援の一環として導入された制度だ。 ず、人手不足が深刻な地方の地場産 ところが年、政府の「選択する業などに広がりを見せている。近年 未来委員会」は突如、移民の受け入は日系プラジル人に代わり、日系フ れ検討を発表。背景には、東日本大ィリピン人が増加現在ではアジア 震災からの復興や五輪に伴うイ からの労働者が全体の 7 割弱を占め ンフラ整備に向け、建設業などで外る ( 左ハー下図 ) 。都心のコンビニな 国人労働者への期待が高まったこと どで働いている外国人は留学生が中 がある。 心だ ( 左ハー上図では「資格外活動」 厚生労働省の「外国人雇用状況の に分類 ) 。許可を受ければ学業に支 本 日 0 2005 年 06 07 ( 出所 )OECD 深刻な人手不足から 外国人に期待が集まる 現状の技能実習制度は 多くの問題がある 単純労働を認めるかが 今後の注目ポイント 2016.12.31-201 /. 17 週刊東洋経済 88

9. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

特集 / 2017 年大予測 欧州 トランプと蜜月か ? 大統領 EU の財政統合はまだまだ先 ? 首相 与党党首に再選。 17 年秋の連 邦議会選挙は勝利が確実視さ れているが、反移民ムードも ドイツ ーアンゲラ・メルケル 欧州中央銀行 ( ECB ) 総裁 マリオ・ドラギ 17 年 4 月からの量的緩和 縮小・延長を決定 世界政治・経斉 ロシア イタリアの不良債権処理が 大詰めを迎えており、一歩 処理を間違えると金融シス テム不安につながる。仏独 の重要選挙、 ECB ( 欧州中 央銀行 ) の量的緩和策の行 方も世界経済や金融市場を 揺さぶりそうだ。 日 本 政 ぐム イ EU 離脱は強硬か穏健か。 対応次第で経済に影響 2 0 2 0 年 の 日 本 T ク ノ ロ ン 苦慮する対トランプ戦略 国家主席 当初はクリントン氏落選を喜 んだが、トランプ氏の予測不 能な言動に今や右往左往 習近平 フランス 極右政党・国民戦線党首 マ 大統領に当選すれば反移民、 反 EU が勢いづく フランソワ・ラン、、 支持率低迷で早くも大統 領選不出馬を決定 フランス 大統領 レジェップ・タイイップ・エルドアン クルド問題、シリア内戦で トランプ氏に接近 トルコ 元首相 マッテオ・レンツイ 国民投票否決で辞任。 政局混乱で銀行不安も 第 朝鮮労働党委員長 正恩 核・ミサイルの脅威が一 段と拡大中 北朝鮮 ☆ イタリア バッシャール・刃・アサド トランプ氏の対シリア政 策変更が好機に シリア アジア ビジネス 大統領 朴槿恵 大統領の弾劾可決でさ らに混沌 アレクシス・チプラス くすぶる債権団との隔 たり、 17 年に危機再燃も ギリシャ 大統領 ロドリゴ・ドウテルテ 米国につくのか中国に つくのか、それが問題 フィリピン 健康とおカネ 2 大大国構想を持ちつつ、米国に は遠慮がちな中国。トランプ流外 交・安全保障戦略にどんな反応を 見せ始めるのか。北朝鮮の核問題、 韓国政局、南シナ海問題など 17 年は激動の予感。 41 週刊東洋経済 2016.12.31-201 /. 17 図版 : 中井涼

10. 週刊東洋経済 2017.12.31-1.7

怪人トランプが 蔓延させる熱病 世界政治・経済 2017 混沌へと向かう未来 追手門学院大学教授・佐藤伸行 蔡総統との電話会談は、衝動的な行 2 、ランプの政治・外交を占、 2 っ動でも外交的知識の欠如による失態 米国 0 次期大統領ドナ 0 」・ト でもなく、政権移行チ 1 ムの孰慮の済 えで、優れて示唆に富む出まの一 つに、台湾の蔡英文総統との電撃的末の一手だったとする見方も出てい洋 東 るか、いずれにしても、それはすこ な電話会談がある。 刊 週 1979 年の米中国交正常化以ぶる「トランプ的」であった。 降、米国の大統領ないし次期大統領 リスクの高い決断に 0 が台湾総統と直接接触したのは初め 尻込みしない てで、これが外交戦略上の激震をも トランプはあえてリスクの高い決 たらしている。が、それとは別に、 6 0 断を下す傾向があるということだ。 この件からはトランプの政治的。、 トランプが公約どおり、中国への ソナリティの何たるかを読み取るこ 強硬姿勢を示したこと自体は評価さ とができると思われる トランプは長い年月、大統領や外れていいが、政権発足前から米中関 交政策担当者によって守られてきた係の第というリスクを拙速に背負 い込んだことははたして賢明だった タブ 1 をいとも簡単に破り、自身に とってタブ 1 や聖域は存在しないとのか、問われることになるだろう。 厳しい対中戦略を打ち出すにして いわんばかりの行動を見せつけた。 電話会談に対する批判への反論も も、相手を必要以上に刺激しないよ 、つにじっ / 、り A 」煮めてい , ・ . 、方法も これまでの常識とは異なっていた。 「米国は台湾に何十億ドルもの軍事あったはずだ。だがトランプは、台 機器を買ってもらっているというの湾という、中国が最も妥協を許さな いテ 1 マを選び、中国を最大限に刺 、 ( 蔡総統からの ) 電話を取るべ きではないというのは実に興味深い 激し挑発するやり方を採用した。 電話会談は、これまでは暴言によ ことだ」 トランプはそうツィッタ 1 に投稿って世界を驚かせてきたトランプが した。ここに表れているのは「不動具体的な行動によって世界に衝撃波 産王」のビジネス感覚であり、トラを送った記念碑的事例となった。 リスクの高い決定に物おじしない ンプは「ビジネスファ 1 スト」の発 想を、歴代政権が積み重ねてきた対トランプの行動原理は、その人物像 中台関係戦略の上位にあっさりと置から説明できるかもしれない いてみせたともいえる トランプの心理を分析するに当た ワシントン・ポスト紙によれば、 っては、「ナルシシズム」がキーワ