ふたり - みる会図書館


検索対象: ふしぎの国のアリス
37件見つかりました。

1. ふしぎの国のアリス

「何を悲しんでいるのでしよう ? 」とグリフォンにたずねると、グリフォンは、さっきと ′、よノ - て第ノ おなしように答えました。「みんな、ありもしない空想さ、あれは。悲しがることなんかな いんだよ。さあ、ついておいで。」 なみだ それで、ふたりはにせ海ガメのそばまで来ました。にせ海ガメは、涙をいつばいためた大 きな目でふたりを見ましたが、何も言いませんでした。 じよ ) 「ここなお嬢さんがな、おまえの身の上ばなしをききたいとさ。」と、グリフォンが言い ました。 「おきかせしましよう。」と、にせ海ガメは陰気な声で、しんみりと言いました。「おふた たの りともおすわりになってください。話が終わるまでロを出さないように頼みますよ。」 そこで、ふたりはすわりました。しばらくの間はだれも口をききませんでした。アリスは 心の中で、「お話をはじめなくては、いつまでたっても終わらないけど、どうする気かしら。」 と思いましたが、しんぼう強く待っていました。 いぜん やがて、大きなため息をひとつついて、とうとうにせ海ガメが口を切りました。「以前は、 わたしも本物の海ガメでした。」 いんき 152

2. ふしぎの国のアリス

とばをつづけました。「ちょっとおたずねいたしますが、ここからどちらのほうへいけばよ ろしいのでしようか ? 」 「それはおまえのいきたいと思うところ次第さ。」とネコは言いました。 「どこでもかまわないのですーーー」 「じゃ、どっちへいこうとおなじことだよ。」 くわ 「ーーーどこかへいき着くことさえたしかならば。」と、アリスは説明をつけ加えました。 「なあに、それは大丈夫いきつくさ。どんどん歩いていきさえすればね。」と、ネコは言 いました。 しつもん アリスは、なるほどそれにちがいないと思ったので、べつの質問をしてみました。「この あたりには、どんな人が住んでいるのですか ? 」 ぼうしゃ 「あっちのほうにはね、」とネコは右手をサッとまわして、「帽子屋が住んでいる。あっち のほうにはね、」と、こんどは左手をまわして、「三月ウサギが住んでいる。どっちでも好き なほうをたずねてごらん。ふたりとも気ちがいだがね。」と、言いました。 「でも、気ちがいの人たちのところへいくのはいやだわ。」 だいじようぶ しだい せつめい す 102

3. ふしぎの国のアリス

ぶんに言ってきかせるのでした。 ( そのことばを守ることはめったにないのですが。 ) そして わす なみだ 時には、目に涙がにじむほどひどくじぶんをしかることもありました。忘れもしません。 っそやは、じぶんでじぶんの耳をぶとうとしたこともありました。それはじぶん自身を相手 この一ぶう変わっ にしてクロケー遊びをしていて、ずるをやった時でした。こんなふうに、 ふたやくえん た子どもは、ひとりで二役を演しるのが大好きでした。「でも、」と、アリスは考えました。 だって、あたし、こんなにちちまっ 「今じゃ、ふたりになってみようったってだめだわー てしまって、ふつうの子どもひとり分にも足りないんですもの ! 」 やがて、テ 1 ・フルの下においてあるガラスの小箱にふと目がとまりました。あけてみると、 中にはいっていたのは、とても小さいお菓子が一つ。上には、「わたしをおたべ」という字 えんりよ : 、ほしプドウできれいに書かれています。「ええ、遠慮なくいただくわ。」と、アリスは言 いました。「これをたべて背が高くなれば、わたしはかぎにとどくことができるし、またも し、もっと小さくなれば、ドアの下のすきまからはい出すことができるわ。どっちみちお庭 へ出られるのだもの、どちらだってかまやしないわ ! 」 アリスはお菓子をちょっぴりかじってみて、のびちちみのわかるように、頭の上に手をあ だいす あいて

4. ふしぎの国のアリス

た勢いはどこへやら、ふたりはまたしょんぼりとすわり込んで、アリスの顔を眺めました。 おど 「さそみごとな踊りでしようね。」アリスは、おずおすと言いました。 「少し見たいかね ? 」にせ海ガメが言いました。 「ぜひ見たいわ。」 オしカー・」とにせ海ガメがグリフォンに一 = ロいました。 「第一節をふたりでやってみようじゃよ、 「エビがいなくてもやれるさ。だれがうたう ? 」 もんくわす 「そりや、おまえがうたうさ。おれは文句を忘れてしまったよ。」と、グリフォンは言い ました。 そこで、ふたりはまじめくさって、アリスのまわりを踊りはじめました。前足をふって拍 子を取りながら、ときどきあまり近よりすぎて、アリスのつま先をふみつけます。踊りなが ら、にせ海ガメは悲しそうに、ゆっくりとこんな歌をうたいました。 「『も少し早く歩けぬか』 タラがカタッムリに一一 = ロいました いきお せつ こ おど なが おど ひょう 163

5. ふしぎの国のアリス

ばならなかったので、三十分もたっと、アーチはひとつもなくなりました。そして、競技者 しけいしつこう せんぶとらえられて、死刑の執行を待っ身になっ は、王さまと女王さまとアリスのほかは、・ てしまいました。 女王さまはここで勝負を打ち切りにして、息を切らせながらアリスにむかって、おたずね になりました。「そなたは、にせ海ガメを見たことがあるか ? 」 ぞん え。にせ海ガメとはどんなものなのか、いっこうに存じません。」 げんりよう ) をつくる原料さ。」 「にせ海ガメス 1 。フガ , のかわりに子牛 0 頭な 「わたくしはまだ見たことも、きいたこともございません。」 「ではついてくるがよい。身の上ばなしを話すよう申しつけよう。」 、つしょに歩き出すと、王さまが小声で、「みんな、ゆるしてやる。」と一同にむ ふたりがし かっておっしやるのがきこえました。 「まあ、よかった。」と、アリスはひとりごとを言いました。女王さまがあまりたくさん しけいせんこく の人に死刑を宣告したので、アリスはとてもゆううつになっていたところだったのです。 ほどなく、ふたりはグリフォンが日なたぼっこをしながら、ぐっすりねこんでいるところ きようぎしゃ 149

6. ふしぎの国のアリス

7 気ちがいのお茶の会 ぼうしゃ 家の前の木の下には食卓がすえてあって、三月ウサギと帽子屋が席について、お茶を飲ん ねむ でいました。眠りネズミがふたりの間にすわって、ぐっすりねこんでいました。ふたりはク ねむ ッション代わりに眠りネズミの上にひじをついて、その頭越しに話をしていました。 ねむ 「眠りネズミは、さそきゅうくつでしようね。まあ眠っているから、平気かもしれないけ ど。」とアリスは思いました。 しよくたく たいへん大きな食卓だのに、三人とも片すみにかたまりあっていました。 せき せき 「席がない ! 席がない ! 」アリスが来るのを見ると、こうさけびました。 しよくたくカた 「たくさん、あいてるじゃないの ! 」アリスは、むっとしてこう言うと、食卓の片はしの こし 大きなひじかけいすに腰をおろしました。 「・フドウ酒をおあがり。」三月ウサギが、もてなすように言いました。 しよくたく かた ねむ あたまご せき 107

7. ふしぎの国のアリス

「文句がちがう。」とイモムシは言いました。 「少しちがっているようですわ。」と、アリスは、おずおずと言いました。「あちこち、こ とばが変わっていて。」 「なあに、最初からおしまいまでまちがいだらけだよ。」と、イモムシがあまりはっきり 言ったので、しばらくの間ふたりともだまっていました。 すると、イモムシのほうからロをききました。 「どのくらいの大きさになりたいのかね ? 」 え、どのくらいたって、べつにかまわないのですけど。」と、アリスはいそいで答 えました。「ただねえ、こんなに何ども大きさが変わるのはいやだってこと、おわかりでし もんく しい気になるな、たわごとを 一日きいてるおれじゃない とっとと、うせろ、さもなけりや この二階からけおとすそ』」 さいしょ

8. ふしぎの国のアリス

あんしよう 「暗誦しても説明しないんなら、そんな詩をいくらくり返しても何にもならないじゃな、 か。」と、にせ海ガメが口を出しました。「こんなめちゃくちゃな詩は、今までにきいたこと がないよ。」 「それじゃ、もうやめたほうがよかろう。」と、グリフォンが言いました。それは、アリ スには願ってもないさいわいでした。 グリフォンはことばをつづけて、「ふたりでエビの踊りの、べつなのをやってみようか。 それとも、にせ海ガメに歌をうたってもらうかね ? 」 「あら、歌がいいわ。にせ海ガメさんさえうたってくださるなら。」とアリスは答えまし ねが おみやげにとて、スプ 1 ンを ポケットの中へつっ込んだ ヒョウはナイフとフォークを・は もらって、ウォーと一うなり えんかい はい、宴会はすみましたーーー」 せつめい こ おど 175

9. ふしぎの国のアリス

9 にせ海ガメの身の上ばなし じよう こうしやくふじん 「かわいいお嬢ちゃんや、おまえにまためぐりあえてほんとにうれしいよ。」公爵夫人は、 アリスの腕にじぶんの腕をやさしくからませながら言いました。そして、ふたりはいっしょ 」しました。 に歩きだ こうしやくふじん 公爵夫人が上きげんなので、アリスはたいへんよろこびました。そして、さっき台所で会 ったとき、あんなにらんぼうだったのは、コショウのせいだったのだろうと思いました。 こうしやくふじん 「もしあたしが公爵夫人になるようなことがあったら、」と、アリスはひとりごとを言い ました。 ( たたし、あまり見込みのありそうな口ぶりではありませんでした。 ) 「お台所では、 いっさいコショウを使わないことにしましよう。ス ] プはコショウを入れなくても、少しも こまらないわーーー・人がびりびりするのは、たぶんコショウのせいだわ。」アリスは新しい法 そく とくい 則を発見したので、得意になってひとりごとをつづけました。「すねるのはお酢のせい す 142

10. ふしぎの国のアリス

字のついたものーーたとえば、ネズミ取り、年月、 のうみそ 脳味噌、似たりよ 0 たりーー物が『たりよ 0 た り』だとよく言うだろうー・ーおまえさん、似たり よったりというものを汲みあげるのを見たことが あるかね ? 」 「あら、こんどはあたしにきくの。」アリスは 面くらって言いました。「あたしはまだ ぼうしゃ 「それならたまっているがいい。」と帽子屋が 言いました。 この失礼なことばには、アリスもがまんができ ねむ ませんでした。すっかり愛想をつかして立ちあがって歩きだしました。眠りネズミはさっそ ねむこ く眠り込んでしまいました。アリスは、うしろから呼びとめてくれるかもしれないと思いな がら、一、二どふりかえってみましたが、だれもアリスのいなくなったことに気がっきませ ねむ んでした。最後にふりかえったとき、ふたりは眠りネズミをきゅうすの中へおし込もうとし さいこ 修 0 あいそ しつれい こ ねんげつ 122