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検索対象: ふしぎの国のアリス
27件見つかりました。

1. ふしぎの国のアリス

それで、おねえさまは、じぶんもまるでふしぎの国にいるような気がして、目を閉じたま ますわっていました。けれども、目をあけさえすれば、何もかもいっさいのものが、つまら ないこの世のものに変わってしまうということはわかっていました。草の音は風のそよぎ、 池の波立ちはアシのざわめきーー・・ガチャガチャと音を立てる茶わんはヒッジの鈴の音に、女 あかぼ ) そして、赤ん坊のくしやみ、 王さまの金切り声はヒッジ飼いの少年の声に変わるでしよう のうえんそうおんか グリフォンのさけび、そのほかのきみような音はみな、いそがしい農園の騒音に変わってし まうでしよう。 ( それは、ちゃんとわかっているのです。 ) ーーまた、にせ海ガメの深いため 息は遠くで鳴いている牛の声にかわることでしよう。 さい・こ おさな 最後におねえさまは、幼いいもうとのアリスが、おとなになったときのことを思い浮かべ ころ うしな てみました。アリスはきっと、おとなになっても、子どもの頃のすなおな、かわいい心を失 わず、じぶんの小さい子どもたちをまわりに集めて、いろいろなめずらしいお話をしてきか せるでしよう。 子どもたちは目をかがやかせて、そのお話にきき入るにちがいありません。 むかしゅめ その中にはたぶんずっと昔夢に見た「ふしぎの国」のお話もあるでしよう。そして、アリス ころ は、じぶんの子どもの頃の生活や、あのたのしかった夏の日々を思い出しながら、子どもた 211

2. ふしぎの国のアリス

五と七とは何も言わずに二のほうを見ました。二は声をひそめて話しはじめました。 じよう 「じつはね、お嬢さん、ここには赤いバラでなくてはいけなかったのですよ。ところが、 つい手ちがいをして白いのを植えてしまったんで。女王さまのお目にとまったが最後、われ ひっし われ一同の首がとぶんでさ。だからね、女王さまがお見えにならないうちに、必死になって この通りーーこ この時、心配そうに庭のむこうを眺めていた五が、「女王さまだ ! 女王さまだ ! 」とさ えんてい けびました。そして、三人の園丁はそくざに、はっとひれ伏しました。大ぜいの足音がきこ えて来ました。アリスは、ぜひ女王さまを見たいものだと思って、ふりむきました。 まず、クラブを持った兵士が十人やって来ました。いずれも、体のかっこうは三人の園丁 とおなじように、長方形で平たく、手足は四すみについています。そのつぎはおっきが十人。 かざ 全身にダイヤを飾り立てて、兵士たちとおなじく二列になって歩いて来ました。つづいて来 たのは、王子たちで、人数は十人。このかわいい子どもたちは、ふたりずつ手をつないで、 かざ たのしそうに、とんだりはねたりしながらやって来ました。みなハート形の飾りをつけてい ました。つぎはお客さまで、ほとんどが王さまや女王さまでしたが、よく見ると、その中に なが えんてい 126

3. ふしぎの国のアリス

けん すがた けれどもおねえさまは、アリスのうしろ姿を見おくりながらそのままじっとすわっていま おさな した。ほおづえをついて、夕日を見つめながら、幼いアリスのことや、アリスのふしぎな冒 険のことを考えているうちに、うつらうつらと夢を見はじめました。それはこんな夢でした はじめは、幼いアリスのことを夢に見ました。アリスは小さい手を組んでひざにのせて、 「まあ、とてもふしぎな夢を見たの。」こう言ってアリスは、みなさんが今までお読みに ぼうけん なっためずらしい冒険を一生けんめい思い出しながら、すっかりお話ししました。お話がす むと、おねえさまはアリスにロづけをしておっしゃいました。 「ほんとうに変わった夢なのね。さあ、いそいでおうちへ帰って、おやついただいていら おそ 遅くなるから。」 そこで、アリスは立ちあがってかけだしました。何てふしぎな夢を見たのだろうと考えな がら、かけてゆきました。 おさな ゅめ

4. ふしぎの国のアリス

に ぼ ) しゃ かみ 「おまえさんの髪は少し切らなくちゃいかんな。」と帽子屋が言いました。帽子屋は先ほ なが どから、ものめずらしそうにアリスをじろじろ眺めていましたが、ロをあけたと思うと、ま ずこう言ったのです。 「ひとのことをとやかく言うものではないわ。」とアリスは、ややきびしくきめつけまし ぶさほう た。「ずいぶん無作法よ。」 つくえ これをきいて、帽子屋は目をまるくしましたが、何も言わずに、ただ、「大ガラスが机に 似ているのはなぜ ? 」と、ききました。 おもしろ 「さあ、面白くなってきた。」とアリスは思って、「なそなそをやるのは、うれしいわ。あ たし、あてられるわ。」と言いました。 すると、三月ウサギが言いました。「おまえさん、答えがわかっていると言うのかい ? 」 「ええ、そうよ。」 三月ウサギはことばをつづけて、「じゃ、思っていることを言ってごらん。」 「ええ。」とアリスはいそいで答えました。「少なくともーーー少なくとも、あたしの言うこ とは、あたしの思っていることだものーーーねえ、だから同じことだわ。」 ぼうしゃ うしゃ 109

5. ふしぎの国のアリス

どもたちがしますね、「ねえ、おじさま、なにかお話して」と、例のお話ねだりがはじまり ました。 先生は、しばらく指先で地面をほじくっていましたが、やがてふと思いついたように、ポ ッポッ話を切り出しました。なんとそれは、いま目の前にいるアリスさんが、ふとしたはず みで地面の下にもぐってゆく、そこでアリスさんはどんなことに会い、なにを見ただろうか というふうなお話でした。三人の小さい姉妹たちは、みるみる引っぱりこまれるように、 心に耳をかたむけていました。 ふね それからというもの、夏じゅうアリスさんたちは、またしても「ねえ、おじさま、お舟に のりましようよ。そして、あのお話のつづきをして」と、うるさくせがみます。先生もまん ひま ひかげ ざらいやではないらしく、暇さえあればポートを出して、日陰に休んでは話のあとをつづけ ます。とうとうその夏が終るころには、りつばに一つのお話ができ上っていました。 が、でき上ってみると、アリスさんたちは、ひどくこの話が気に入ったようでした。そこ で秋になると、先生は、じぶんで小さな帳面をつくり、今度はいまのお話を、細いきれいな 字でていねいに書き、おまけに美しいペン書きのさし画までたくさん入れて、それはそれは 214

6. ふしぎの国のアリス

アリスの声までがきこえま 愛くるしい目で一心におねえさまの目を見あげていました。 す。目の中へはいりそうなほっれ毛をはらいのけようと、アリスがかわいいかっこうで頭を ふるのが見えますー・・・・・・なおも耳をすましていますと、いや、耳をすませているような様子を ゅめ していますと、あたり一面にアリスの夢に出て来たきみような動物があらわれて、にぎやか になってきました。 白ウサギがいそいでかけてゆくと、おねえさまの足もとの長い草が、サワサワと音を立て ましたーー・・・・・おびえたネズミが近くの池を、しぶきをあげながら泳いでゆきましたーーー三月ウ サギがお友だちと、いつまでも終わらないお茶をのみながら、茶わんをガチャガチャいわせ しけい ている音がきこえました。女王さまがかん高い声で、かわいそうなお客さまたちを死刑にせ こうしやくふじん よと命じておられるのもきこえましたーー・また、あのブタの子が公爵夫人にだっこされなが おおざらこざら ら、くしやみをしており、大皿小皿があたりにとんで来てはくだけていますーーーまた、グリ せきひっ フォンのさけび声、トカゲの石筆のキイキイいう音、おさえつけられたモルモットが苦しが ってグーツという声、こういうものが、遠くからきこえてくるあわれなにせ海ガメのすすり 泣きの声とまじりあって、あたりにひびきました。 210

7. ふしぎの国のアリス

ごっこをやらないか うった おれがおまえを訴える いやなどとは言わ さいばん さぬそ。さあ裁判だ 裁判だ。けさは用事も ないゆえに、ひまつぶし には、ちょう・どよい』 こんどはネズミが一一 = ロう ことにや、『何をおっし やる、お犬さま、判事 ばいしん もいない、陪審もい さいばん ない裁判やったとて さいばん そしよう ことにや、『訴訟 はんじ

8. ふしぎの国のアリス

あな ウサギの穴に落ちて つつみ アリスは川の堤で、おねえさまのそばにすわっていましたが、なんにもすることがないの で、たいくつでたまらなくなってきました。おねえさまの読んでいる本を一、二ど、ちらり とのそいてみましたが、その本には絵もなければ、会話もありません。アリスは考えました。 「絵も会話もない本なんて、いったいなんの役に立つのかしら。」 といっても、なにしろひどく暑い日だっ そこで、アリスは頭のなかで一生けんめいに ヒナギクで花輪をこしらえるのも たので、とてもねむくて、ぼうっとなっていましたが おもしろいけれど、わざわざ起きていって、花をつむだけのことがあるかしらと考えていま すと、そのとき、だしぬけにももいろの目をした一びきの白ウサギが、アリスのすぐそばを かけてゆきました。 それだけのことなら、なにもとてもおどろくほどのことはなかったでしよう。それにウサ はなわ

9. ふしぎの国のアリス

おもしろおど 「ありがとう。ずいぶん面白い踊りね。」アリスは、やっと終わったので、うれしくなっ て、こう言いました。「それに、今のきみようなタラの歌がとても気に入ったわ。」 「うん、タラと言えば タラというものはねーーーもちろん、タラを見たことはあるだろ うね ? ・」と、にせ海ガメが言いました。 「ええ、たびたび、晩のごはんに 」と言いかけて、アリスはあわてて口をつぐみまし イギリスを遠くはなれたら フランスがだんたん近くなる だからさ、青くなるにはおよばない 踊りの仲間にはいらぬか どうだ、どうだい、どうだい、。 おど なかま 踊りの仲間にはいらぬか どうだ、どうだい、どうだい、ど おど 踊りの仲間にはいらぬか』」 おど なかま ばん とうだ 166

10. ふしぎの国のアリス

0 ェビの踊り にせ海ガメは大きなため息をついて、片ほうのひれの背で目をこすりました。アリスのほ うをみて話しかけようとしましたが、泣きじゃくっているので、一、二分は声が出ませんで ほね 「まるで、のどに骨がささったみたいだな。」と言ってグリフォンは、にせ海ガメをゆす ぶったり、背中をげんこでたたいたりしました。やっと、声が出るようになって、にせ海ガ なみだ メは、涙でほおをぬらしながら、また話をつづけました。 「おまえさんは、海のずっと深いところに住んだことはあるまいねーー・・・・」 ( 「ないわ。」とア しようかい リスは言いました。 ) 「エビに紹介されたこともないだろうーーー」 ( アリスは、「いっかたべたこ とがーー - ー」と言いかけましたが、はっと口をつぐんで、「ええ、ないわ。」と言いました。 ) おど 「では、エビの踊りがどんなに愉快なものだか、知らないだろうね。」 せなか おど かた 160