コースターは、ものすごいスピードで、おりつづけていた。そしてしばらく ひかり すると、ようやく、くらやみのかなたに、 小さな光がみえた。 あやこ ふきつけてくる飃が、いままでより、すいぶんとつめこ、。 オし彩子は、ぐんぐ んとちかついてくる、トンネルの出口のまぶしさに、目をとじた。ところがき ひだり ゅ、フに、コースターか、左にまかったのだ。 あやこからだ そのとたん、彩子の体が、コースターから、ほうりだされた。 ひみつのへや でぐち ちい
コースターか、まっくらなトンネルの中を、ものすごいスピードで、はしつ ていたときだ。 カシャンー おと レールのひびきとはちがう、かすかな音がした。すると、彩子とエリカたち をのせたコースターは、 たきく右にカープして、下 ~ 下 ~ と、おりてい「たの 、ゞ」っ」 0 なか
ところが、おばあさんは、フードのついたマントを飃になびかせて、〈いき な顔で、はなしかけてきた。 まほ、つ 「わしは、魔法つかいだから、だいじようぶじゃよ。それより、ふたりに、せ っしょに、きてほしいんじゃ」 ひ力をかしてもらいたいことが、あるんじゃ。 「わ、わ、わかったから、すわってーっ ! おおごえ エリカが、また、大声でさけんだ。 コースターは、ものすごいいきおいで、かいてんしながら、水しぶきをあげ かわうえ て、川の上をはしりぬけた。それでも、おばあさんは、にこにこしていた。 「いっしょにいくから、すわってーっー エリカがさけぶのと、コースターがトンネルにはいるのと、ほとんど、どう じだった。 ちから かお みず
おおごえ びつくりしたエリカは、大声でさけんだ。 こえ あやこ 彩子は、おどろきすぎて、声もでなかった。 「きようだいでは、なさそうじゃが、仲がいいんだねえ」 こえ かお おばあさんは、へいきな顔で、ふたりに声をかけてきた。 「そんなことより、はやくすわってリ」 からだ エリカは手をのばして、ひっしで、おばあさんの体をつかまえた。病気で、 あやこ おも すっかりポケている。彩子もエリカも、そう思った。このままだったら、おば あさんは、コースターから、ふりおとされてしまう。 「おねがい " すわってちょうだいー こえ もうエリカは、ありったけの声で、さけんでいた。 そのとき、コースターは、スロープのてつべんをすぎ、じよじょに、スピー なか びようき
びよう わかっている。なるべく、はやくついて、一分でも、一秒でもはやく、中に ーーには、、も、つ、一日人ノ、らいは、 はいりたかった。でも 、ハッピーランドのゲ あつまっていた。 じ 九時ちょうどに、ゲートかあくと、まるで、マラソンのスタートのときのよ て うだった。みんなか、い っせいに、はしった。ふたりは、手をつなぐと、おと なの人たちにまじって、まっすぐ、ジェットコースターの、のりばにはしった あやこ のだ。おかげで、彩子とエリカは、きよう、さいしょの『ジャイアント・トレ ネード』にのれることになった。 あやこ でも、いざのりこむとなると、彩子は、ひどく、きんちょうしてしまった。 あやこ くび エリカは、コースターのいちばんまえの席にさそったが、彩子は、首をよこに ふった。 ひと せき ぶん にん なか
うえした ぐち からだ みぎひだり 右に左に、 くらやみの中を、ふたりの体はとびつづけた。しばらくのあいだ、 上に下にと、はげしくふりまわされたあと、くらやみのおくに、トンネルの出 ひかり ロの、まぶしい光がみえた。 いきおいよく、トンネルからとびだしたふたりは、気がつくと、いつのまに しやりよう か、コースターの、いちばんうしろの車両にのっていたのだ。 あやこ 彩子とエリカは、びつくりして、顔をみあわせた。ふたりとも、頭の中が、 こえ こんらんしていて、声にならない はしした さかな コースターは、そんなふたりをのせて、橋の下をくぐり、魚のおよぐ水そう の下をはしった。そして、コースを、一しゅうすると、しすかに、プラットホ ームに、すべりこんだのだった。 あやこ かたをおさえていたアームがあいても、彩子もエリカも、ばーっとしたまま した なか かお あたまなか すい 109
「おじようちゃんたち、もう、おわりよ」 せき あやこ こえ いつまでも席にすわったままの彩子とエリカに、係のおねえさんが、声をか けてきた。 ふたりは、いっしょにへんしをしたものの、すぐには、たちあがれなかった のだった。 あやこ 彩子とエリカは、ふらふらしながら、ジェットコースターの、のりばをでる と、ちかくのべンチに、ばんやりとすわりこんだ。ふたりとも、すっかり気か こえ ぬけて、まだ、ひとことも、声をだせなかった。 あやこ 彩子は、こわごわ、あたりのようすを、たしかめた。 、かかり・ 110
ばってい く。いちばんたかいところについたら、あとは、ものすごいスピード で、いっきに、はしりおりるだけだ。 「わーっ、すごくた力し ! 」 した エリカが、下をみおろして、たのしそうにさけんだ。 「すごいね ! 」 あやこ 彩子も、エリカにあわせてさけんだが、こわくて、下をのぞけなかった。 しやりよう せき そんなふたりは、おなじ車両の、すぐまえの席に、マントをきたおばあさ んがのっていることを、気にもしていなかった。 はんぶん コースターが、さいしょのスローフを、半分ほどのばったときだ。マントを あやこ きたおばあさんが、きゅうにたちあがって、彩子たちのほうにふりむいたのだ。 「あ、あぶないですよ ! 」 した
「うしろのほうが、すきなの・・・・ : 」 あやこ じん 彩子は、こわかっている自分をかくした。エリカは、につこりとわらっただ けで、なにもいわなかった。 けつきよく、ふたりは、いちばんうしろの車両に、のりこんだ。 あや 「彩ちゃん、だいしようぶ ? 」 あやこかお こえ 彩子の顔が、こわばっているのに、気づいたエリカが、声をかけた。 「だいしようたよ。こわくないもん」 あやこ 彩子は、つよがってこたえたが、足をつつばって、しつかりと、ゆかをふみ しめている。手すりをにぎりしめていた手が、もうあせばんでいた。 スタートのブザーが、なった。 はぐるまおと コースターは、かわいた歯車の音をひびかせて、すこしすっ、スロープをの あし しやりよう
でんわ でも、電話にでたエリカは、大さんせいだった。 あや ちゅうがくせい いままでみたいに、 「オーケーよ、彩ちゃん。あたしが、中学生になったら、 ちよくちよく、あえないものね。そうだなあ、あそびにいくなら、ぜったいに ピーランドかいいわよ ! 」 「、ツピーランド ? 「あたらしくできた『ジャイアント・トルネード』に、このまえ、のったんだ けど、すごいんだよ。メチャメチャたのしかったよ ! 」 でんわ こえ 電話のむこうの、エリカの声は、はずんでいた。 あやこ ソピーランドは、彩子たちがすんでいる町から、そうとおくない。 ぶん のれば、二十分ぐらいでいける。 にほ。ん それに、ついさいきん、日本でいちばん長いジェットコースター『ジャイア なが まち でんしゃ 電車に