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検索対象: ふたごの魔法つかいの花ことば
70件見つかりました。

1. ふたごの魔法つかいの花ことば

「いちいち、かぞえちゃいないさ ! 」 め あお デデブは、目をすこし、青くひからせて、大きな、あくびをした。 「まだ、二千はかけておらん。このつぎの魔法で、タネから、芽がでるかも知 れんじやろ」 あか ネネプの目は、うっすらと、赤くなっていた。 びようき 「あーあ、ネネプねえさんのガンコは、ほとんど病気だね。あたしは、もう、 ) 、めんだよ。これいじよう、むだなじかんは、つかいたくないさ ! 」 デデフは、ゆっくりと、こしをあげた。 「ど、フするつもりじゃー め 「タネから芽がでて、葉がしげらなければ、あたしのやることは、ないんだ。 せいぜい、ひとりで、がんばるんだねⅡ」 め ま 6 一は、つ おお

2. ふたごの魔法つかいの花ことば

「ちょっと、まってください」 あやこ 彩子は、ポシェットから、いそいで、ポールペンと小さなノートをとりだし 士 6 一は、つ て、魔法のじゅもんを、かきとった。 め ついでに、芽をださせ、葉をしげらせるじゅも 「それなら、まちがいはない。 んも、かいておいてくれないかね。さいきん、ネネプねえさんは、ものわすれ まほ、つ が、ひどくてね。魔法のじゅもんを、わすれちまうのさ」 あやこ つ」 0 しネ / デデブは、彩子のノートを、のぞきこみながら、 め 「『ネネフ、ネネフ、ネミシガン。芽をだせ、ラトマロナ、ネミシガン ! 』た ししかえれよい ) 葉をしげらせるときは、『葉よしげれ』と、 あやこ 彩子は、まちかえないように、デデフのいうとおりに、 力しオ

3. ふたごの魔法つかいの花ことば

せかい ネから芽かでないんだ。この世界はもう、もとには、もどらないさ」 こえ デデブは、、フんざりした声で、いった。 「デデブ、おまえは、いつもそ、フじゃが、あきらめるのが、はやすぎるんじゃ」 こえ ネネプも、つかれていたせいか、きつい声で、デデブをにらみつけた。だか らといって、、不、不フにも、ど、フしていいかわからなかった。 まほ、つ いせつな魔法をかけるときは、じゅもんだけでは、かけられない。ほねか ら芽をださせるには、トゲトゲの葉。ねんれいをかえるには、まっ白いすじか、 くろ ぼん 三本はいった黒い石 : : : と、その魔法にふさわしいものが、ひつようなのだっ まほ、つ おも 「デデブ。わしが、なんとおりの魔法をためしたと思っているんじゃ」 こえ ネネフは、声をあらげて、デデブにいっこ。 まほ、つ しろ

4. ふたごの魔法つかいの花ことば

あや 「彩ちゃんリネネプの魔法の、つづきをⅡ」 こえ エリカの声は、ほとんど、ひめいにちかかった。 こおりもり あやこ オニモカプラは、氷の森の木をかみくだきながら、ゆっくりと、彩子たちの は、つに、やってくる あや 「彩ちゃん、おねがい " デデブから、おしえてもらった魔法をかけては あやこ エリカが、さけんだ。彩子は、ふくろから、すすらんの花を、つかみだした。 こえ そして、ノートをみながら、ふるえる声で、魔法のじゅもんをかけた。 ネネプ、ネネフ、ネミシガン ! 芽をだせ、ラトマロナ、 、不ミシガン」 あやこ 彩子は、むちゅうで、さけんだ。 まほう まほ、つ まほう

5. ふたごの魔法つかいの花ことば

つめあった。 あやこ 「彩子。わしらを、よくおいかけてきてくれた」 あやこゅうき ネネプは、彩子の勇気を、すなおに、ほめた。 あやこ でも、彩子は、へんしのしようがなかった。おそろしさに、勝ったわけでは ない。おそろしさを、わすれただけだったからだ。 あやこ 彩子は、いそいで、ポケットから、デデブに手わたされた、ふたつの小さな ふくろを、とりだした。 「これを、デデブから、あすかったの。ひとつは、ネネプねえさんに、わたし ま ( ほ、つ てくれって。それから、ラトマロナの花をさかせる魔法と、芽をださせ、葉を まほ、つ しげらせる魔法のかけかたも、おしえてもらったの」 あやこ 彩子は、ひとつのふくろを、ネネプに、手わたした。 ちい

6. ふたごの魔法つかいの花ことば

「よく知ってるじゃないか ? 」 みはな こうふく きやほ , っ 「花ことばで、『希望と幸福がおとすれる』っていう意味の花です」 きくうなすいた。 彩子が、せつめいすると、デデブは、た 「ふーん、たいしたもんだね。あんたになら、まかせられそうだ」 「えっ ? なんのこと ? 」 まほう きぼう 「ラトマロナのタネには、希望をあたえながら魔法をかけないと、芽がでない し、葉もしげらないし、花もさかない。それが、やっとわかったのさ。ひとっ それから、あんたに のふくろは、ネネプねえさんに、わたしてくれればいい。 まほう は、このすすらんの花で、ラトマロナのタネに、花をさかせる魔法を、かけて ほしいのさ」 「あたしに四 どうして、ええと、あなたが、かけないの ? 」 め

7. ふたごの魔法つかいの花ことば

をにぎりかえなから、千をこえるじゅもんを、かけつつけた。でも、ラトマロ へんか ナのタネには、なんの変化も、おこらなかった。 ネネプとデデブは、こおりつ いた岩のくばみに、すわりこんだ。ネネプは、 七つのタネをまえにして、つかれきった、ため息をついた 「ネネプねえさん、しつかりしてもらいたいね。 いくら五百さいだといっても、 まほ、つ 土 6 ほ、つ まほ、つ 魔法つかいは、魔法つかい。芽をださせる魔法をわすれるなんて、こまったも んさ」 くち デデフか、ロをとがらせた。 まほ、つ 「わすれたのでは、ないんじゃ。どうも、いままでの魔法では、かからんのし やよ。なにかか、ちか、つんしや」 まほ、つ 「まあ、どっちみち、あきらめたほうかいし ) よ。これだけ魔法をかけても、タ

8. ふたごの魔法つかいの花ことば

せない。タネをのこせなければ、いのちを、ひきついでいけない。 ラトマロナは、心をもっていたからこそ、なによりもたいせつな、希望をう こころ しなって、つぎつぎに、心をとじたらしいのだ。 ネネプとデデブが知っていたこの世界は、愛の花、ラトマロナがさきみだれ、 むし たくさんの虫たちがとびまわる、あたたかいところだった。でも、いまは、ふ りしきる雪と、つめたい飃の音しかきこえない、 まったくちがう世界に、かわ っていたのだ。 いも、フとのデ おねえさんのネネプは、芽をださせ、葉をしげらせるために、 ゆき デブは、花をさかせるためにきたのに、ふたりは、雪にうめつくされた大地に、 こえ ばうぜんとして、声もでなかった。 ゆき ネネプとデデブは、手あたりしだいに、雪をほりおこした。 こころ せかい せかい き。ぼう

9. ふたごの魔法つかいの花ことば

ゆき 雪にうすもれても、ラトマロナが生きていれば、もっと、くわしいことを、 ゆき おも ききだせると思ったのだが、きたいは、うらぎられた。雪をほりおこしても、 そこには、かれはて、息たえたラトマロナの、かなしいすかたが、あるばかり 、ゞ」っ」 0 それでも、あちこちさがして、やっと、七つのラトマロナのタネを、みつけ ることかできた。 こいし あい 心をもっ愛の花、ラトマロナのタネは、どこにでもある小石のようにみえる。 でも、手にとってみると、生きているしようこに、ばんやりと、あたたかい。 おと それに、かるくふると、カラカラと、音がするのだ。 このタネから、芽をださせるために、ネネプは、知っているかぎりの魔法を ゆき あか しろすなこおり かけた。赤い石や、白い砂、氷のかけらや、つめたい雪など、いろいろなもの こころ まほ、つ

10. ふたごの魔法つかいの花ことば

あたまうえ デデブは、そういうと、長いっえを、頭の上で、くるりとまわした。 ゆき 「デデブ、デデフ、デブラドンー 雪のたつまき、デブラドン ! 」 ゆき まほ、つ あし デデブが魔法をかけると、足もとの雪が、ぐるぐると、小さなたつまきにな ゆきなか った。そして、デデブも、まわりなから、雪の中に、もぐっていったのだった。 ひとりにな 0 たネネプは、飃のさむさだけでなく、心までさむくな 0 た。ラ トマロナのタネかいくつあっても、芽をださなければ、なんにもならない。 おも いいかんかえを思いっ ネネプは、なやみになやんだ。しばらくして、ふと、 はなこころ ゅ、つき にんげんこ 「そうしゃ。花の心がわかる、勇気のある人間の子どもに、手だすけしてもら うしか、ないのかもしれん : : : 」 けっしん ネネプは、そ、つ決心すると、ひとっ星のテントウムシに、のったのだった。