入っ - みる会図書館


検索対象: バンビ
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1. バンビ

おいの出どころをたしかめようとした。 た たか 冖に 49 い を追って高いがけまでのばっていくと、がけつぶちに立ってあたりを み あか み とお びしろけむり 見わたした。遠くに、赤いたき火と白い煙のすじが見えた。 ちちおや ちか おと もりおう 森の王さまが、音もなくバンビのかたわらに近づいてきた。バンビの父親で いたいお もある偉大な雄ジカだ。 もり にんげん 「人間だ。また、森に入ってきたらしい き もりおう 森の王さまは、おだやかに切りだした。 きけん とうお ひけみ 二頭の雄ジカは、いまわしい火と煙を見つめながら、危険のきざしをひしひ にんげん なごえ かん しと感じていた。カラスのおびえた鳴き声もきこえてくる。カラスたちは人間 もり やえいちじようくうえん の野営地の上空で円をえがいたのちに、森をめざしてとんできた。 で お 151

2. バンビ

かみなりおとみみ ・ほ , フけん ゴロゴロと鳴っている雷の音に耳をすました。たくさんの冒険をしてつかれた せいか、大きなあくびがでてきたけれど、すぐにねむる気になれなかった。 かみなりおと こうきしん あま 生まれて初めてきく雷の音にも、好奇心をそそられた。雨だれが木の葉にふ おんがくおも おと れて、音楽を思わせるリズミカルな音をたてている。 どうぶつ じぶん もりなか ほかの動物たちも、自分たちの家をめざして森の中をとんだり、走ったりし すあななか ちえ リスはすばやく木をよじのばり、巣穴の中にもぐりこんだ。知恵のあるネズ りよう か詹 ミは、キノコのかさを利用して、体がぬれないように、 かさの下からかさの下 へと走りぬけながら、家にもどっていった。母鳥はそそくさと巣に引きかえす どり わかことり と、あたたかい羽でひな鳥をつつみこんだ。けれど、あそびざかりの若い小鳥 おお はじ 、、は いえ 。はは′」り・ した こ した

3. バンビ

それに、なんてきれいな女の子だろう ! あしおと ちょうどそのころ、バンビはとんすけの足音がしなくなったことに気がつい あゆ きみみた た。歩みをとめて聞き耳を立て、それから、うしろをふりかえった。とたんに、 ひき めはい 二匹のウサギがたわむれているすがたが目に入った。さっきはスカンクのフラ ワ 1 にたい目をむけたくせに、こんどは、そのとんすけまでが、いかればん ちになった , 「なんてことだ ! まともなのは、ばくだけじゃないか ! 」 なんど ハンビはあきれて小さくつぶやき、何度も首をふった。フラワーもとんすけ も、ほ一つっておこ一つ。 ある ようき もり けしき うつく ハンビは、ひとりで歩きだした。春のうららかな陽気と森の美しい景色が、 おんな はる 139

4. バンビ

とんすけは二匹のスカンクがじゃれあっているのをながめると、うんざりし ちょうし くび た調子で首をふり、ほっりとつぶやいた ねっ 「熱にうかされた、いかれほんちだ。」 もり しカれほんちのフラワ 1 をほうったまま、また森をす とんすけとバンビは、 ) ゝ わかめす すみはじめた。ところがほどなく、若い雌のウサギが、とんすけに気がついた。 こえ 雌のウサギは小さく声をだし、とんすけの気を引こうとした。とんすけをじっ こえ み と見つめながら、きれいな声でハミングした。 とんすけは雌のウサギに気づいて、美しいハミングにうっとりと耳をかたむ かたち なが けた。ふわふわしたやわらかそうな毛、それに長くて形のいい耳。あのかわい あ い女の子は、これまでに会ったウサギとはぜんぜんちがう。とんすけは、そう めす おんな こ めす ひき うつく ひ みみ みみ 137

5. バンビ

きゅう ゆき 自 5 一」、ヾ ノンビもすべってみたくなった。すぐさま、とんすけのまねをして雪 の吹きだまりをかけおりると、 しきおいよく宙をとんだ。 「ひやあーっー こえ ひめい こおりうえちゃくち かんせい ハンビは、歓声とも悲鳴ともっかない声をあげて、氷の上に着地した。 あしほそ なが ところが、足が細くて長すぎるし、ひづめが小さすぎる。そのためにバラン スをくずし、体をささえることができなかった。べたんと腹ばいになってたお こおりうえ れたまま、氷の上でくるくるまわるはめになった。とんすけとは、まるでちが うスケ 1 トになった。 ちか とんすけはバンビの近くまですべってくると、 「おもしろいだろ、バンビ ? 」 ちゅう ちい はら 100

6. バンビ

A すっ せんたくみち につちもさっちもいかなくなった。選択の道は二つ 頭のほうへかしいできた。 たき に一つだ。もはや、滝つばにとびこむしかなかった。 - げ・きりゅう たき ちちむすこゅうき 父と息子は勇気をふりしばり、滝つばにつつこんだ。そして、激流にのみこ かりゅう みず まれ、水のいきおいに翻弄されながら下流へとはこばれていった。 みずはなか もり みずつみ 森のはずれには、大きな湖があった。動物たちの多くは、湖の中にばつんと き しま こじまひなん うかぶ小島に避難した。小鳥たちは、島にまばらに生えている木にとまった。 そして、枝という枝にずらりとならんでねむった。 みずつみおよ かあ フクロネズミのお母さんは、しつばに子どもたちを乗せて湖を泳ぎ、小島に くち とうちゃく ぶじに到着することができた。アライグマは、子どもたちを口にくわえて島に えだ えだ おお ほんろう ツ」 A トり・ どうぶつ こ こ おお の 」じま しま 167

7. バンビ

おお ぎられ、まわりがほとんど見えなくなった。 めまえ ンビはびつく いきなり、影のように大きなものが、目の前にあらわれた。バ ひっし おも りして、思わずとびのいた。必死に目をこらすと、大きな影のように見えたの と、つ もりおう は、お父さんの森の王さまだとわかった。 こえ もりおう 森の王さまは、低いおごそかな声で切りだした。 「もう、お母さんとはいっしょに暮らせない。」 こえ きようふ もりおっ ぼうぜん ハンビは呆然として、森の王さまを見つめた。お母さんの恐布にみちた声と まえ おと じゅうせい 大きな銃声が、頭によみがえってきた。前に、あのいまわしい音をきいた日、 おも おし にんげんもり " こわい人間が森に入ってきた。のだと、おさんに教えられたことも思いだ した。 かあ あたま ひく おお おお かあ 117

8. バンビ

ふゅ せいき く冬がすぎて、春をむかえた。動物たちは、生気にあふれた新しい季節を祝う じゅんび 準備をはじめた。 もりあたら ぶき はる 春になって、あたたかくなるにつれて、森は新しい息吹とともに、生まれか たの わかば かお かぜふ あおちい わった。木々から青い小さな若葉が顔をだし、そよ風に吹かれて楽しげにゆれ はなちい ている。土のあいだからも、色とりどりのかれんな花が小さなつばみをのぞか せた。 ことりうたごえ えだ えだ 枝から枝へととびかう小鳥の歌声も、いつもよりあまく美しくひびいてくる。 こいあいて わたどりみなみ 渡り鳥も南の国からもどってきて、しきりに恋の相手をさがしはじめた。枝か よ、つき こい お ら枝へととびうつり、追いっ追われっしながら、はなやかな恋のダンスと陽気 はるうたひろう な春の歌を披露している。 えだ っち はる どうっ うつく あたら きせついわ えだ 121

9. バンビ

いっしゅんちちむすこ たおうじよう まれ、一瞬、父と息子は立ち往生した。 ちちおや くし もりおう ながねんけいけんちえ かぜ 1 しかし、バンビの父親は、森の王としての長年の経験と知恵を駆使して、風 とおみち きず むすこあんぜんば と火にさからい、通り道をさがした。なんとかして、傷ついた息子を安全な場 所にみちびこうとした。 ちちむすこ かわ ほのお かざむ 父と自 5 子は、 川にとびこんで炎をさけようとした。しかし、またしても風向 と、つ とっぜんほのおゅ かべ きが変わった。突然、炎が行く手に壁をつくった。二頭はすばやくタ 1 ンし たか、土手ぞいの木にも、すでに火が燃えうつっている。めらめらと燃える太 えだ かわお い枝がおれて、バンビのすぐそばをかすめて川に落ちていった。 ちち みずなか かわなが 父とバンビは、水の中をひた走った。ところが、やがて川の流れがとぎれて、 ぜんぼうたき かわ たかき かえん 前方が滝に変わった。うしろでは、川べりの高い木が火炎につつまれ、幹が二 みき ふと

10. バンビ

もりどうぶつ そこでお挙さんは、森の動物たちがもっともおそれるものが来たことだけを 告げた。 もり にんげんはい 「みんなが逃げだしたのはね、森に、こわい人間が入ってきたからよ。」 いえじ いじよう それ以上はなにもいわず、バンビをうながして家路についた。ともかくも、 もり ないしん きようは、あっさりとハンターが森からでていってくれた。おさんは、内心 ほっとしていた。