動物 - みる会図書館


検索対象: バンビ
60件見つかりました。

1. バンビ

こえうご ふあんきようふ かん いく。カラスの声と動きから、不安と恐布がはっきりと感じとれる。 きけん もりおう 危険がせまっているのだ ! 森の王さまはすぐさま丘をかけおりて、もう一 おう くさ 度、野原にとびだした。王さまのすがたを目にするなり、草を食べたりあそん だりしていたシカたちが、びたりと動きをとめた。たちまち、王さまのただな かん らぬ気配を感じとった。 のはら もり どうぶつ 野原にいる動物たちが、森にむかっていっせいにかけだした。野生の動物た きぎ もり おお あんぜんばしょ ちにとって、大きな木々にかこまれた森ほど安全な場所はない。 かあ どうぶつ ファリ 1 ンのお母さんは、逃げまどう動物たちのあいだをぬって走りながら、 学め 娘のすがたをけんめいにさがした。やっと見つけると、ほっとするまもなく、 もり ファリーンをせかして森の中にかけこんだ のはら なか おか おう やせいどうぶつ

2. バンビ

ちから いっぽうしやじってきびようしゃ ひょうじよう ラスな動きと表情を生かす一方、写実的な描写にも力をそそごうとしました。 こうぎ どうぶつがか そのため、アニメーターたちは動物画家の講義をうけ、シカやウサギ、スカン あっ びじゅっ どうぶつ ク、フクロウなどのモデルの動物たちをスタジオに集めて美術クラスをひらき、 こっかくきんにくそしきたんねん 骨格や筋肉組織を丹念にスケッチしました。 けんきゅう やせいどうぶっせいたい しぜんうつか またカメラマンは、自然の移り変わりや野生動物の生態を研究するために、 ものがたりぶたい しぜんじようけい 物語の舞台にふさわしい自然の情景を七か月にわたってカメラにおさめました。 かんじようひょうげん じゅうよう なに ものがたりみりよくてきかた しかし、物語を魅力的に語るうえで何より重要なのは、さまざまな感情表現 さいのうはっき めんゆた つく ができるキャラクターを作りだすことでした。この面で豊かな才能を発揮した とうじよう ようせい のは、のちに「ピ 1 タ 1 ・パン」に登場する小さな妖精ティンカ 1 ・ベルを生み かれにんげんひじよう だした、アニメ 1 ターのマーク・デ 1 ビスでした。彼は人間の表情やしぐさを 181

3. バンビ

も知らなかった。 ぐらもり しろ よあまえ 夜明け前のうす暗い森は、白っぱいもやにつつまれ、ひっそりと静まりかえっ ごえ に . お A 」 たき ながお ていた。滝つばに流れ落ちる水だけが、小さなささやき声にも似た音を、ゆっ ま くりと絶え間なくひびかせていた。 年とったフクロウは、夜じゅう狩りをしてつかれはてていた。大きなつばさ き じぶんす じようげ を上下に動かしてすべるようにすすみながら、自分の住みかにしている木にも どっていった。 き そして、お気にいりの枝におりると、羽をふくらませて目をつぶり、長いね ね ひるま むりにつこうとした。昼間のほとんどは、このまま寝てすごすことになる。 どうぶつ あさひひがしそらかお 朝日が東の空に顔をのぞかせるころになると、ほかの動物たちが動きはじめ とし し た よる えだ みず め しず おお なが

4. バンビ

もり こみち 若いトリオがいせいよく森の小道をすすみはじめると、ほかの動物たちは興 味ぶかそうに、じろじろながめた。 かれ おな めす 年ごろの雌のスカンクは、同じスカンクのフラワ 1 に目をとめた。彼ってす てきね。わたしに気づいてくれるといいのに。でも、フラワ 1 のように、この とお スカンクもはにかみやだった。花のあいだにかくれ、フラワ 1 が通りかかると か発 体をゆらして、くつくっとしのび笑いをもらした。 か 雌のスカンクの体がゆれたひょうしに、まわりの花の群れもいっしょにゆれ た。フラワーは花のほうへちらっと目をやり、だれかが動いているのに気がっ すこちか フラワ 1 は花のほうへ少し近ついた。あそこにいるのは、だれだろう ? な わか とし めす わら はなむ どうぶつ 135

5. バンビ

か じめんみ おおごえ 大声でわめき、地面を見おろした。しかし、体がぐらついて目がかすみ、動 つむ 物の群れがいっせいに木をゆすっているように見える。 「どいつもこいつも、さっさと消えろ ! 」 フクロウはどなった。ゞ、 カよくよく見ると、動物の群れではなかった。一頭 つのきみき わかお の若い雄ジカが、枝わかれした角を木の幹にこすりつけているのだ。 あたま わかお この若い雄ジカは、おとなの角がはえはじめたところなので、頭がむずがゆ くてたまらなかった。ざらざらした木の皮に頭をこすりつけると、かゆみかい くらかおさまる気がした。 かお ごえ フクロウのどなり声をきくと、若いシカは動きをとめて顔をあげた。 「こんにちは、フクロウおじさん。ばくのことをわすれちゃったの ? 」 えだ つの わか かわあたま どうぶつむ どう A すっ 125

6. バンビ

「まさに、待ちに待った、とくべつな日だ ! 毎日、プリンスが生まれるわけ じゃないからな。まったく、めでたいことだ。」 はな 老いたフクロウは、母ジカに話しかけた。 「そうだ、そうだ。おめでとう ! くち どうぶつ っせいにお祝いのことばを口にした。 ほかの動物たちも、 どうぶつ ジカは、あつまった動物たちを見まわしながら、 「みなさん、ありかとう。」 か气たはな あか それから、赤ちゃんジカの体を鼻でやさしくおして、起こそうとした。 「ほら、目をさましなさい。みんながお祝いに来てくれたわよ。」 あさひかりもりどうぶつ シカの赤ちゃんは目をあけると、朝の光と森の動物たちのすがたにおどろい は まいにち

7. バンビ

- フ ルピとの物 アユ 4 を もり こ 森に舂がめぐってくるころ、子ジカのバンビが生ま れた。動物たちが待ちに待ったプリンスの誕生だ。 どうぶつ たんじよう 知らない動物にかこまれて、バンビは目をばちく りさせた。でも、気のいい愉快な仲間ばかりだ。 なかま

8. バンビ

フクロウがすっかり目をさますまで、丸太を足でうちつづけた。 「おい いったい、なにごとなんだ ? 」 りゅう か フクロウはまばたきすると、みんながさわいでいる理由について考えようと した。 したじめんめ ながれつ もりどうぶつ 下の地面に目をやると、森の動物たちが長い列をつくってすすんでいくのが 見える。 「ついに、すばらしいときをむかえたのよ ! 」 き したこばし ははおや 木の下を小走りですすみながら、ウサギの母親がさけんだ。 み だから、みんなで見に行くのさ。」 「プリンスが生まれたんだ , こえ ほかの動物たちも声をそろえた。 み どうぶつ め まるたあし

9. バンビ

たの ふゅひび 冬の日々は、楽しいことばかりではなかった。まもなく、バンビはそれを知っ お ていぼく くさゆきした ちゃいろ た。枯れて茶色になった草は雪の下にうもれ、低木の葉っぱも落ちてなくなっ しよくりよう なかま まいにち ている。毎日、シカの仲間たちは食糧をさがしにでかけたけれど、おなかいっ た ひ ばい食べられる日はなかった。 きせつ ふゅ もり どうぶつ 森にのこって暮らす動物たちにとって、冬はきびしい季節だった。それでも、 ふゅ どうっ とうみん スカンクのフラワ 1 のように冬眠する動物は、すっとましだった。冬のあいだ、 えいえん 6 永遠のわかれ し 108

10. バンビ

じめん ちか モグラの親子までが、地面に四つのこぶをつくって地下をすすみながら、こ だいこうしん の大行進にくわわった。 よこ ていぼく 低木のしげみには、ファリーンが横たわっていた。動物たちは、おしあいへ おやこ っちあな かお しあいしながらファリ 1 ンをかこんだ。モグラの親子は土に穴をあけて顔をだ さいこうせきかくほ し、最高の席を確保した。 お しゅんかんみ 老いたフクロウでさえも、この瞬間を見のがす手はないとばかりに、ねむけ をふりはらってとんできた。 あい 「おお ! なんと愛らしい どうぶつ 動物たちは、ため息をついた。 「ごらん ! ふたごの赤ちゃんだぞ ! 」 おやこ あ て どうぶつ 174