「おう、若いプリンスじゃないか ! 」 老いたフクロウは、びつくり顔でいった。 せいちょう 「ずいぶんと成長したもんだな。ぐるっとひとまわりして、このフクロウおじ さんによく見せてくれ、バンビ。」 せいちょう せたか ハンビはひとまわりすると、成長して背が高くなり、すっかり変わったとこ ろをフクロウに見せた。 せなかはんてんき 「背中の斑点が消えて、いよいよ、おとなの角がはえてきたか。」 かんしん くち フクロウは、感心したロぶりでつぶやいた。 あたま ハンビはりつばな角がめだつように、頭をぐいとあげた。フクロウはくすく す笑った。おさなかった子ジカがこんなに大きく、りつばに成長したところを わら わか つの がお おお つの せいちょう 126

バンビ 森のプリンスとして生まれ た子ジカ。自然の中で生き るきびしさを学びながら、 たくましく成長する。 せいちょう

りよ」、つき メリカに関する、すぐれた旅行記も書いています。 もりうつく ふくだい だいひょうさく もりせいかつものがたり ″森の生活の物語〃という副題がつけられた代表作「バンビ」には、森の美し くる せいたい せいちょうかてい しぜんどうぶつ い自然、動物たちの生態や成長の過程、生きる喜び、苦しみ、あこがれ、さら しゅじんこう してん せいちょう にんげん しぜんはかい には人間による自然破壊が、主人公バンビの視点から、バンビの成長とともに えが 描かれています。 ねんえいがかけん ぶんがくさくひんふかかんめい ウォルト・ディズニーはこの文学作品に深く感銘し、一九三五年に映画化権 か せいさく を買いとって、いちはやく製作にとりかかりました。「バンビ」には、ウォルト じかん したじゅんび いよくじようねっ とうぜん の意欲や情熱がみなぎっているのです。当然ながら、下準備にも多くの時間が かけられました。 ひょうげん どうぶつあい ウォルトは、アニメ 1 ションでしか表現できない動物の愛くるしさやユ 1 モ かん よろこ おお 180

ファリーン FAI,INE バンビの幼なじみ。お茶目 な女の子からやがて美しく 成長し、バンビと愛し合っ て家庭をつくる。 ちやめ おさな おんな うつく せいちょう へ 0 、

パ 、 ambif 工 S B N 4 ー 0 5 -7 912 4 0 - 6 C 8 3 9 7 \ 7 0 0 E 偕成社 定価 [ 本体価格 700 円十税 ] 膩Ⅱ旧旧 II Ⅲ II Ⅲ II おもな登場キャラクター ビかわいい子ジカ。森の仲間 ンたちゃ両親に助けられなが ・、ら、たくましく成長する 9 7 8 4 0 5 7 91 2 4 0 6 1 9 2 8 5 9 7 0 0 7 0 0 8 なかま 子ジカのバンビは、両親や森の仲間たちに助けられながら、 せいちょう さまざまな試練をのりこえて成長していきます。 しようせつばん ディズニーアニメの名作の小説版。 、 05Y15C 300 ・ 0 ド「 300 ・ OF 「 こ たす りようしん せいちょう B ambi しれん なかま めいさく おうきま ちち 王バンビの父。森の中で、 の強く勇敢に生きていくこ とを、バンビに教える なか ナバンビの遊び友だちの す。ウサギ。足をトントンと ん踏みならす癖がある ライダー作 橘高弓枝訳偕 あそ とも 高枝訳 ODisney Enterprises,Inc.

とうじよう リキャラクター フラワー 瓦① W 地 R はずかしがりやのスカンク。 なかよしのバンビやとんす けとともに森の生活を学び、 ともに成長する。 もり せいちょう ハハハⅣⅥハルⅥⅣ 4 ハ

「ねえ、きようはなにをするの ? 」 のはら 「野原へ ( 何きましょ一つ。」 こた かあ お母さんは答えた。 のはら 「野原って、なあに ? 」 しつもん かあ お母さんについて走りながら、バンビは質問した。 「とてもすばらしいところよ。」 「じゃ、どうして、いままで一度も行かなかったの ? 」 「あなたが、まだ小さかったからよ。」 こた かあ お母さんはバンビを見つめながら、やさしく答えた。 せいちょう ハンビは日ましに成長している。長い足がぐらっくこともなければ、もつれ ながあし

目にするのは、気持ちのいいものだ。 か わかものせいちょう 「つい先日も、プリンスのことを考えたばかりだよ。どんな若者に成長してい たの るかと楽しみにしながらな。」 フクロウは、にこにこしながらいった。 こえ ちょうどそのとき、べつの声もきこえてきた。 「こんにちは、バンヒー・」 こえ こえ ウサギのとんすけの声に似ているけれど、バンビがききなれた声よりもずつ か - 是 と低い ハンビのほうへとびはねてきたウサギは、体のサイズも、とんすけよ りひとまわり大きい 「ばくのこと、おばえてる ? 」 ひく せんじっ おお 127

てん 学め おも なファリ 1 ンは、思いやりのある美しい娘になった。おさない子どもから、若々 A.J* っ こい ツ」し よかん いちにんまえ せいちょう しい一人前のシカに成長した二頭にとって、恋の予感が、恋のめばえにまで発 じかん 展するのに時間はかからなかった。 むす はるひ そして、このうららかな春の日、バンビとファリ 1 ンは新しいきずなで結ば かどでしゆくふく あたら わか あい しよう力い れた。生涯の愛をちかいあったのだ。若いカップルの新しい門出を祝福するか まんてんほし ほうせきおも のように、その夜は、宝石を思わせる満天の星が、ひときわ大きく美しくかが ゃいていた。 よる うつく あたら おお こ うつく わかわか はっ 149

した ファリ 1 ンは、バンビのほうへ親しげに足をふみだした。しかし、バンビは のはらはじ おも うろたえて、思わずあとずさりした。小さいころ、野原で初めてファリ 1 ンと あ 会ったときも、バンビは逃げ腰になった。 あし こ落ち あわててあとずさりしたひょうしに足がふらっき、バンビはあさい池。、、 てしりもちをついてしまった。 た さっと立ちあがると、またあとずさりをする。ファリ 1 ンはかまわず、追っ てきた。バンビはやみくもに、うしろへさがりつつける。と、ふいに、りつば せいちょう つの きえだ に成長した角が、たくさんの花をつけた木の枝にひっかかった まえ あゆ ちか それでも、ファリ 1 ンは歩みをとめず、バンビのすぐ前まで近づくと、親し かれかお みをこめて彼の顔をベろりとなめた。 ごし ちい あし いけお した お 141