わりが、ほの白くうかびあがり、どこかの庭と、大きなやしきか、かべ にうつった。 「あっ、あー ! 」 絵が、ガタガタふるえている。 えかたち 青し ) 、ハラの絵の形がゆがみ、やみの中で、青いドレスをきた女の人の すがたに、かわっていく。 女の人は、なきだした。 くろ すると、 ハラの花の黒い花びらから、なにか、びとびと、したたるも のがある。 ゅび 手をさしだすと、なまあたたかい、ぬるっとしたものが、ニーナの指 ひかり ゅびさきち にもたれた。はっとして、月の光にかざすと、指先に血のようなものか にわ 8 6
しよっき カ / 、 ク立てや、食器などをひろげて、うっていた。額にはいった青いバラの え あおいっしよくえ うみいろ 絵もあった。海の色と空の色がつながったような、青一色の絵だった ひかり かべん が、花弁のあたりが、光のぐあいで白くみえたりする。 くろ 「ふしぎな絵ね。バラの花のまん中に、一枚だけ黒い花びらがあるわ」 ばん やこう ニーナは、その絵を気にいってかった。その晩、ドロレスは、夜行バ スでイスタンプールにむかい、 ニーナだけが、ホテルにのこった。 うみ へや 「海のみえるこの部屋にびったりだわ。 絵は、べッドのそばにかざった。 ばん その晩のこと。ニーナがべ ッドにはいろ、つとすると、とっせん、カー テンがやみの中で、ゆらゆら、ゆれだした。そして、青い ハラの絵のま 6 6
「こわいよこわいよおっかねえ なく子はえんまにくわれるよう」 しやくりあげてた赤んばうも、どうやらなきねいりしてしまった。 ほっとした守りつ子はついうとうと。そしてそのままいい気持ちでこ くりこくり。ときどきはっとして、よしよしとゆすぶったが。 ふと気がつくと、ひざかかるい。なんと赤んばうがいなかった。 ひざからはいおりて、そのへんをはいまわってるのかも : : と、守り 「おお、よしよし こもり、った 守りつ子は赤んばうをゆすぶりゆすぶり、かってな子守歌をくちすさ んだ。 8 5
ししゃ おおどしばん たから 「かくされた宝」は、ロシアの話です。大歳の晩にあすかった死者がこがねにかわっ わかもの きよ、つつう むかしばなし たという日本の「大歳の火ーの昔話とも共通する要素をかんします。若者たちのい はっそう とみ 、」、つい やがらせの行為が、じつはオリガばあさんに富をもたらしたという発想はゆかいです。 ながさき 長崎にいて、とおくはなれた妻のすがたをみることができたという「水底にうつる まほ、つ よいん ふしぎ 妻」は、不思議な余韻ののこる話です。オランダ人のあやつる魔法のカで、男のたま ヤ」きよ、つ しいかいっしゅんのうちに故郷にとんでいったのでしようか じさっ たす じさっ 自殺をとめようと助けをもとめてきた女性が、自殺をしようとしている本人だった し さくしゃ じさっ きみようはなし という「自殺をとめて」も奇妙な話です。作者ものべているように、死にたくない もうひとりのわたしが助けをもとめてきたのでしよう。 ぼんあし 三本足のにわとり、巨大なタンポポ、これはおとぎの国のできごとではありません。 げんしりよく ぶきみ じんるい かいはっ 「フィルムにうつらなかったタンポポ」は、人類が開発してきた原子力の不気味な一 へいわ めん 力がくばんのう 面をしめしています。科学万能のような世の中で、人びとが平和でゆたかに生きてい くために、はんとうにたいせつなものはなにかをといかけています。 つま おおどし たす きょだい はなし はなし つま じよせい よ なか よ、っそ みなそこ ほんにん 1 39
llllllli 間Ⅷ測腿 登 = 兌次 6 よいよま ) ぐい 3 せよな 本をよみおわると 図書室にいってあ 、た、らしい本ととり かえている としよしつ ぽゞ出ろ おいじよ、フ、カっ た " じけ " て・
ゅー がバーい、タ う、 はスな方発 ね、ケい、 て一←ッ体を , だ ト育れ るボ、館も ◆◆ んさんか へとこいト 一段よい かいだん よなか 夜中になると階段の だん 数が一段ふえる 0
ついさっき、わたしをよびにきた女性と、 ンピースに、うすでのコート。 うりふたつです。 いったいどういうことだろう。ふりかえると、ついてきたはすのその 女性は、いつのまにか、いなくなっていました。 っしょにおいでなさい」 「にかノ \ 、 というと、むすめさんはなんだかばうっとしていましたか、い あるきはじめました。 署について、あたたかい部屋でお茶をのませると、むすめさんはだい ぶおちついたようでした。 日にとびこもうとしたわけをきいても、なにもはなしてはくれません じよせい しょ へや ち っしょに じよせい 1 05
ななふしぎ 「あのう、〈七不田 5 議レストラン〉にいきたいんですけど、どうしても みち 道がわからなくて : するとおはあさんは、首をまげ、わたしのほうをみて、にやーっとわ らいました。 の、それはい ) しわ。とってもとっても、おいしい 「あら、あそこへいく みち レストランですよ。さ、この道をまっすぐいって、右にまがるとありま すよ。なにしろわたしのレストランですからね」 「ありかとうございます みち お礼をいって、いわれた道をまっすぐあるいて、ふっとふりかえって、 ぞっとしました。だって、ヤナギの木もおはあさんも、すうっときえち くび 8
常光徹 ななふしぎ 七つの不思議なことがらをあつめて七不思議とよびます。信州諏訪の七不思議は ななふしぎ ふるくからしられていますが、ほかにもいろいろな七不議があり、とくに江戸では、 ほんじよななふしぎあざぶ ななふしぎゅうめい げんだい ななふしぎかず 本所の七不思議や麻布の七不思議が有名でした。現代も七不思議は数おおくったえら がっこうななふしぎ だいひょうてき れていますが、とりわけ学校の七不思議はその代表的なものでしよう。 しようかい ななふしぎ ところで、町のおすすめマップに紹介されている七不思議レストランは、いオ いどこにあるのでしようか。「七不思議、レストランが ? 」では、このちょっとかわ なまえ ばしょ った名前のレストランの場所を、ひとりのおばあさんがおしえてくれました。レスト じゅうぎよういん にんぎよう ランの従業員は、ニノミヤキンジロー ーベン、フランス人形・ 。わた きみよ、つこうけい しが「ロビーにて」みたのはとても奇妙な光景でした。はたして、どんな不思議メ = ューがでてくるのでしよ、つか カっ」、つ かいだんななふしぎ 力いたん 学校の怪談や七不思議には、トイレの怪談がよく登場しますが「林間学校のトイ 解説 ななふしぎ 1 36
じかんじよせい のくつの音のようだったので、こんな時間に女性がひとりであるいてい るのはあぶないなあ、とおもってふりかえりました。 きんばっ ちかついてきたのはわかい女性でした。金髪のショートヘアで、なか びじん なかの美人です。白っぱいワンピースの上に、コートをはおっていまし 「おまわりさん、きてください。むこうに、ようすのおかしい女の人が いるんです」 と、橋のはうをゆびさしています。 わたしははしりだしました。女生もうしろからついてきたようで、コ あしおと ッコッと、足音かきこえていました。 じよせい じよせい 1 〇 1