持っ - みる会図書館


検索対象: 七時間目の怪談授業
144件見つかりました。

1. 七時間目の怪談授業

き のろ せんせい やつばり、呪いとか言われると気になるし 「先生はバカにするかもしれないけど : こた ふるたせんせい はるかが答えると、古田先生は「そう。」と悲しそうに目をふせた にんぎようあいてあそ いもうとあいみれい 健吾が家に帰ると、妹の愛美が例の人形を相手に遊んでいた くろぐろ き いちまつにんぎようかた きものみ ふる 色あせた古い着物を身につけた市松人形。肩のあたりで切りそろえた黒々とした髪の せすじ けんご むきてきひとみ 毛、どこを見ているのかわからない無機的な瞳に、健吾は背筋がゾクリとする。 : ってことなんでしょ : : : 三つんそ一つそ , っ 「 : : : わかってるよお。 きみわるおもじようきよう あいみ にんぎようあいてはな ぶつぶっと人形相手に話している愛美。いつもなら、気味悪く思う状況だ。 ことばおも こくばんか ふるたせんせい きよう けんご だが、今日の健吾はそれを見て、古田先生が黒板に書いた言葉を思いだした。 たいせつ ( オモチャは大切にしましよう、か : : : 。 ) いえかえ 0 かな め 0 0 かみ 119

2. 七時間目の怪談授業

はるかはごまかそうとしたが、お母さんはつかっかと近づいてくる。 いまなにはな 「なんでもないことはないでしよう ? お姉ちゃんと今、何か話してたんじゃないの ? かあ お母さんにつめよられて、はるかはしかたなく、話すことにした。 ほうかご きようしつ はなし ふるたせんせい 「放課後、教室でこわい話をしてるの。それで、古田先生をこわがらせたら、勝ちなの。 そのきっかけが自分のケータイだということは、だまっておいた。 せつめい はるかの説明を聞いて、お母さんは眉をひそめた。 せんせい そっせん もんだい 「先生が率先して、こわい話をさせてるの ? それって、ちょっと問題あるんじゃないか ふるたせんせい み しら ? 古田先生っておとなしそうに見えたけど、そんなことを : : : 。」 かあ きよういく いんかい ビーティーエー ことば お母さんが「教育委員会」とか「æ+<_ とかいう一言葉をぶつぶっとロの中でつぶやい たので、はるかはあわてた。 もと わたし ( でも、元はといえば、私がケータイを学校に持っていったのがいけないんだし、古田先 わる 生は悪くない : じぶん こころぐる 自分のせいで、古田先生が責められるのは心苦しかった。 もんだい 「べつに、こわい話をするくら い、なんにも問題ないんじゃないのー ? ふるたせんせい はなし き じぶん かあ かあ まゆ がっこう ねえ も はな くちなか ふるたせん 162

3. 七時間目の怪談授業

とう ひつついてくるはるかに、お父さんはうれしそうに言う。 へん そうだん ( お父さんに、変なメールが来たことを相談しようかな : おも はるかは思ったが、なんとなく言いだせなかった。 とう かあ はや はんたい ( でも、もともと、お父さんもお母さんも、ケータイを持つなんて早すぎるって、反対し はなし こども へん てたもんなあ。だから、変なメールの話をしたら、ほら、やつばり子供はケータイなんて 持たないほうがいいのよ、とか言われそうだし : : : 。 ) かんが そう考えて、ため息をつく ふろ つづ 「ほら、お姉ちゃんがお風呂あがったから、あんたも続いて入りなさいね。 こえ お母さんの声に、はるかはつぶやいた。 ひとり 「一人で入るの、やだなあ : : : 。」 ひとり あのメールを読んでから、はるかは一人になるのがこわかった。 A 」う すると、お父さんは言う。 とう 「だったら、父さんと入るか ? 」 「えーっ、もう五年生なんだよ ? はずかしいもん。 レ」 - っ かあ ねえ ねんせい ひとり しいよ、一人で入ってくるよ。

4. 七時間目の怪談授業

じじよう 「そういうわけじゃないんだけど、いろいろと事情があってね : ぼっしゅう せつめい 真紀とはるかは、ケータイを没収されたことを説明した。 も 「ほれみろ、ケータイなんて持っとろくなことがないんだ も のろ はなし き おおいわせんせい ケータイを持たないことがポリシーの大岩先生は、呪いのメールの話を聞くと、どこか うれしそうだった。 せんせい 「で、先生をこわがらせることができたら、ケータイを返してもらえるってわけ。 おも 「なるほどねえ : こわがらせてみろ、かおもしろいことを思いつく先生だな。」 おおいわせんせい ぶしよう 大岩先生はそう言って、無精ひげをなでる。 もくてき せんせい 「その先生をこわがらせることが目的なんだったら、個人的にこわいもの、ってのを調べ るのも一つの手かもしれないぞ。」 こじんてき 「個人的にこわいもの ? くび はるかか ~ 目をかし、ける。 むしにがて むしで はなし 「たとえば、虫が苦手だったりしたら、そういう虫が出てくる話が効くんじゃないか ? はなし にんぎよう じぶんにんぎようにがて ほら、そのフランス人形の話をした男の子ってのも、自分が人形が苦手だったから、その て 0 おとこ こ こじんてき かえ 0 き せんせい しら 146

5. 七時間目の怪談授業

でんき 夜の間ずっと、電気をつけておいた。 ねえ ちゅうがく お姉ちゃんが中学にあがってから、はるかとお姉ちゃんは別々の部屋になっていた。 ひとりべや おも きのうよる なんど 一人部屋をもらえたことをうれしく思っていたけれど、昨日の夜はこわくて、何度もべッ なか へや おも ドの中で、お姉ちゃんといっしょの部屋のほうがよかったと思った。 あさ 朝、ランドセルの中にこっそりと、はるかはケータイを入れる ちゃくしんおんき おとな ( ちゃんと着信音は切って、マナーモードにしておいたから、いきなり音が鳴って、持っ てることがバレたりしないよね。 ) よるあいだ かようび ゅうれいしようたいみ ニ日目 ( 火曜日 ) 幽霊の正体見たり ふつかめ ねえ なか ねえ べつべっ 0

6. 七時間目の怪談授業

こなごなわ かぎこわ だが、建物の中央のとびらはガラスが粉々に割れて鉄の枠だけになっており、鍵も壊れ ていて、中には簡単に入ることができた。 ろうきゅうかすす 「かなり、老朽化が進んでるな。 うすぐらろうかかいちゅうでんとうて 薄暗い廊下を懐中電灯で照らして、純一郎はつぶやいた。建物の壁はひび割れ、ところ どころ、はがれ落ちていた。 うちがわ 入ってすぐのところに、受付のようなカウンターがあった。カウンターの内側には、段 くすりじようざい さんらん ポール箱や書類や薬の錠剤のようなものが散乱していた。 と 「ここでも、一枚、撮っておこうか だれ - つけつけ そう言って、真紀はカメラを誰もいない受付にむける。 ひるま くら でんき みつべい 昼間とはいえ、窓がなく密閉されて、電気がついていない建物の内部は、真っ暗だっ いっしゅんほそながろうかおく フラッシュの白い光が一瞬、細長い廊下を奥まで照らす。 まつばづえ 「松葉杖だ : ・ いきぐる かん だまっていると、息苦しい感じがしたので、はるかは見たままにつぶやいた。 ばこしよるい たてものちゅうおう なか かんたんはい しろひかり 0 お - つけ・つけ . じゅんいちろう て てつわく み たてものかべ たてものないぶ わ ま だん 176

7. 七時間目の怪談授業

かげき 「過激な意見だなー。」 しゅちょう じゅんいちろう すずの かんしん 純一郎は、しつかりした主張を持っている涼乃のことを感心したようなまなざしで見つ めていた わたしすずの 「でも、私も涼乃ちゃんの気持ち、ちょっとはわかるよ。」 はるかも、一つなず・いた ゆる わる 「イヌとかネコを捨てるのは、許せないもん。そういう悪いことをしたら、バチか当たる おも べきだと思う。」 のろ たた げんじっ 「でしょ ? でもさ、現実には呪いとか祟りなんてないから、人間は簡単にペットを捨て ちゃうし、捨てられた子たちはどうすることもできないまま、ただ死んでいくしかないん かんが それを考えるとくやしくって。」 すずの そう言って、涼乃はゴールデンレトリー ーのあごの下をなでた。 わるにんげんふくしゅう どうぶつれい じぶんす けが 「ね、おまえも、動物霊になって、自分を捨てたり怪我させた悪い人間に復讐できたら、 しいよね ? 」 ゴールデンレトリーバーは気持ちよさそうに、目を細めている いけん こ めほそ した にんげんかんたん 201

8. 七時間目の怪談授業

ばこなか そして、健吾がごそごそと押し入れをかきまわし、オモチャ箱の中からさがしだしてき かいじゅうにんぎよう えんか いろかいじゅうようちえん たのは、怪獣の人形だった。やわらかい塩化ビニール製のオレンジ色の怪獣。幼稚園の ころ き も にんぎよう 頃、お気に入りで、どこに行くにもずっと持ちあるいていた人形だ。だが、いつの間に あ わす か、飽きてしまって、オモチャ箱の奥底に入れたまま、忘れていた。 かいじゅうしゅうらい 「ガオーン、怪獣襲来だぞー。」 けん′」 てかいじゅうにんぎようも そう言って、健吾は手に怪獣の人形を持って、愛美のそばに行った。 なに 「何よう、お兄ちゃん ! 」 むねいちまつにんぎようだ あいみめいわく 胸に市松人形を抱きしめて、愛美は迷惑そうな顔をする。 かいじゅうまち はかい 「怪獣は街を破壊するのだ。 も けんご かいじゅうにんぎよう きつぎつぎたお そう言って、健吾は持った怪獣の人形で、積み木を次々に倒しまくる。 「やめなさい ! 」 いちまつにんぎようけんごかいじゅうまえた 愛美は市松人形を健吾の怪獣の前に立たせて一部った。 わるかいじゅう まちわたしまも 「悪い怪獣め ! この街は私が守ります ! 」 うご いちまつにんぎよう あいみ 市松人形を動かしながら、愛美は一部う。 お - ばこおくそこ っ あいみ かお 120

9. 七時間目の怪談授業

「ケータイ返してもらえて、よかったね。はるかちゃん ! 」 - っ てなか おもかん だが、はるかは浮かない顔だ。手の中のケータイがずっしりと重く感じられた。だが、 き 真紀は気にしていない かとうくん さいのう 「ほんと、加藤君って才能あるって、ぜったい ! 」 まきたかこえきようみよう みみひび 真紀の高い声が今日は妙にキンキンと耳に響いた かんが はるかは考えていた。 まえ ( 真紀ちゃんがケータイを持ってる前で、あのサッちゃんの霊のメールを送ってきたアド へんしん へんしん レスに「返信」をしたらどうなるだろう ? もし、返信のメールが真紀ちゃんに届いたら ・ : 真紀ちゃんが私にあのメールを送ってきたってことだ : : : 。 ) はなしかんが かとうくん 「そうだー こわい話を考えてくれた加藤君に、なんかお礼をあげようよ ! ねつ、はる きようじゅくまえ か かちゃん ! 今日、塾の前にでも、なんか買いにいこうか ? わら 真紀はそう言って、笑いかけてきた。 えがおっく へんじ だが、はるかはうまく笑顔を作って返事をすることができなかった。 かえ わたし かお も おく おく とい」 224

10. 七時間目の怪談授業

もじだれ ふこうてがみぼうてワ あった『不幸』って文字を誰かが『棒』って読みちがえたんだ。で、不幸の手紙が棒の手 さいしょぼう おも 紙になったってわけ。まぬけすぎるよなー。最初に棒だって思ったやつ。 わら おなかをかかえて、お姉ちゃんはげらげら笑った。 ふこう ぼうみ ( たしかに、不幸って字をひつつけて横に書くと、棒に見えなくもないかな : なっとく はるかは納得した。 もじ 「ギャル文字みたいだね。 まえまき かかたおし おも はるかは前に真紀からギャル文字の書き方を教えてもらったことを思いだした。 もじ ひょうじ かたちに ギャル文字では「な」という文字を「ナよーというように、表示する。形の似た文字を べつもじっく ふこうぼう はなし 組みあわせて、別の文字を作ったりするのだ。それと、不幸が棒になった話は似ていると おも 思った。 さいしょ あと ( 最初は「ナよーが「な」には見えなかったけど、説明された後には、その文字がすぐに 「な」って読めるようになって、それからはそういうふうにしか見えなくなったんだよ きようふるたせんせい ゅうれい おな ね。それって、今日、古田先生が話してたススキが幽霊に見えるのと、同じようなものな のかも。 ) がみ ふこう ねえ よこ せつめい