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検索対象: 地下室からのふしぎな旅
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1. 地下室からのふしぎな旅

ころかりおりた。 「もうちょっとで、このまま下へ落っこちるとこだったしゃない。 チイおばさんが馬の首をたたきながら、がけをのぞきこんだ。そしてをあげた。 いちば 「すごい、カスミ。市場って、ここよ。火口にできてるのよ。」 チイおばさんは目をまん丸にして、アカネをがけつぶちに引っぱった。アカネも、おそ るおそる下をのぞきこんで目を見はった。 チイおばさんが火口だといったのも、もっともだ。下に見える、すりばち状のきな谷 きよじんこし あかちゃ には、草一本、木一本見あたらない。赤茶けた岩でできた巨人の腰かけるべンチのような ものが、階段のように下へむかってつづいている。まるできなきな野。場どい 0 た きようぎ」じよう そこ こよ、いろいろな色のテントがはってあるのが見 ところだ。底にある競技場のような部。 ( える。そのテントが豆つぶに見えるほどきな谷だ。 チイおばさんとアカネは、また馬車にもどった。さっきの雨でぬれてしまった地図を、 チイおばさんがとりだした。 「市場だけの地図は、裏にのっているんだわ。 くさばんき した ばんみ まる したお ばしゃ かこう 127

2. 地下室からのふしぎな旅

こうだんしゃあおとりぶんこ かんこう 「講談社青い鳥文庫」刊行のことば たいようみすつら もり 太陽と水と土のめぐみをうけて、葉をしげらせ、をさかせ、実をむすんでいる森。 ちゅう はるなつあきふゅせいかっ 鳥や、けものや、こん虫たちが、春・夏・秋・冬の生活のリズムに合わせてくらしている しせんちから 森。森には、 かぎりない自然の力と、いのちのかがやきがあります。 もりおな にんげんりそうちえ 本の世界も森と同しです。そこには、人間の理想や知恵、夢や楽しさ力し ・、、つよいつまっ ています。 ほんもり もと たび 本の森をおとすれると、チルチルとミチルが「青い鳥」を追い求めた旅で、さまざまな たいけんえ 体験を得たように、みなさんも思いがけないすばらしい世界にめぐりあえて、心をゆたか にするにちかいありません。 こうだんしゃあおとりぶんこ わんれきし こうだんしゃ ひとり ひと 「講談社青い鳥文庫」は、七十年の歴史を持っ講談社が、一人でも多くの人のために、 さくひん やすていか すぐれた作品をよりすぐり、 安い定価でおおくりする本の森です。その一さつ一さつが、 しゆっはん ーンり・ みなさんにとって、青い鳥であることをいのって出版していきます。この森が美しいみど はなひら こころ りの葉をしげらせ、あざやかな花を開き、明日をになうみなさんの心のふるさととして、 そだ おお おうえんねが 大きく育つよう、応援を願っています。 しようわ 昭和五十五年十一月 講談社 もり と はんせかい は ねん あ お と がっ は も と ほんもり おお うつく こ、」ろ

3. 地下室からのふしぎな旅

だんげん チイおばさんが、すぐさま、そう断言した。 どうし 「となり同士で、なかよくやれんかったんしやろう。きっと、あの井戸のようなところ かわみず が、さがせばたくさんでてくるじやろ、フ。でも、あの井戸はも、フ、川の水がはいりこんで せかい でいりぐち しまったのしやから、出入口としては使えんわけしゃ。ふうむ。わしらの世界のだれも、 ものでさえも飛びこめないあの井戸へ、おまえさんたちが落ちこむのを、カマドウマに見 られたとなれば、気づかれたかもしれんわい かた ヒボクラテスが、片めがねを気せわしそうにいしりだした。 「なにに気づいたの ? アカネがチイおばさんにきいてみた。 「もう、カスミなんだから。わたしたちが、こっちの世恭の人間じゃないってことによ。」 チイおばさんが、あきれたようにアカネを見た。それをきいたアカネは、にいとわらった。 「なあんだ。それなら、わたしたちが時なし雨の国のテントのへほうりだされたとき に、カマドウマは気づいてたわ。チイおばさんのことを見て、リッさんに似てるっていっ たもの。 にんげん 227

4. 地下室からのふしぎな旅

ほうよ れたころには、は、フきにでもまたがって、そこいらを飛びまわりたくなった。 チイおばさんは、もう、ほうきにまたがって遊んでしまったらしい。ばあやさんが、片 方へ寄ってしまったほ、フきと、庭についたジグザグのほうきのあとを見て、こまったよ、フ あたま に、ほおずき頭をふっていた。 なんど ものもうふ みつかかん 「三日間のことですから、食べ物や毛布は馬車に積んでおきました。何度もいうようだ みせ が、くれぐれも、ちがう世からきたなどと気一どられないように。ヒボクラテスの店へ ししよう つごう ひと はいりこんでも、あまりたくさんの人がつめかけてくるようなら、お師匠さまが都合で市 おも はなし へでてこられないので、お話だけうかかう、といったほうがいいように思うのだが : くろ ーしんばい と、黒パンやミルクを口へつめこみながら、ポポは心配そうにチイおばさんを見た。 先にごはんをすましてしまったチイおばさんは、の畆に立って、マントを広げてみた 、すばめてみたりしている。 「アプラ、カダブラー。」 かおみあ とさけびだしたチイおばさんを見て、ポポとアカネは、やれやれと顔を見合わせた。この くち せか ) にわ ばしやっ あそ かた 111

5. 地下室からのふしぎな旅

大鶚一 き頭与原ポ 中象が 入いな いの もと ローた ! 羊綿 白な が ア カ ネ の 0 よ フ 界まか 近る 見み木き 47 草 ; ヒ で んは 羊弯 が 草ーピ を 食たに ′ヾ い た つ い ポ が ス 丁 フ ク ケ イ ト ウ の 田丁 : な も フ 日ひ も れ る き は や か な ん に い や本ま の 。棒粤ら の よ フ な 暮く町 : き が る 道会 広 り ば に な ′つ て た の 。間 ら お 草 ; げ 、ん カゞ 見み と チ イ お は、 さ ん と ア カ に き ぇ る よ フ つ や あ ん な り は ふ さ い で ま フ に 力、 ぎ わ ん 者の ち が わ し の へ や っ て く る フ は ま つ さ れ た カゞ よ ほ ど 腹 す ズー ね る と み て と じ 自 分ん に い い き か せ る と や っ と 気きた を と り な し て れ で せ 任 . 貝き の し わ き て れ を ち た 者 な

6. 地下室からのふしぎな旅

かたち な形をしていたっていわれてるのさ。 おうじ 王子は、めんどくさそうに、そう教えてくれた。そして、しすく切りのためにテントを でていった。 アカネはテントの入り口で章を見あげた。足が一本で、くちばしが空をむいている。 みずたき そこから水が滝のように流れでている。これが雨鳥らしい。見つめても見つめても、鳥が ししゅうされたきなワッペンというだけだ。アカネは肩を落とした。カマドウマは、た あまどり しかに雨島っていったはすだ。ど、フい、フことだろ、フ。 アカネは、ためをつきながら、もう一度、その章へ目をやった。きな雨鳥の足も おも あまどり 小さな雨鳥がししゅうされてあるのに気づいた。ピポみたいだ。アカネはそう思っ あまどりと て、小さな雨鳥を飛びあがってつついてみた。アカネは息を飲んだ。その雨鳥が、まばた きをしたのだ。 「ピポなの ? ねえ、ピポなんでしよ。」 あまどり アカネが呼びかけると、小さな雨鳥は、何度もばちばちとまばたきする。 なんど あまどり あまどり 211

7. 地下室からのふしぎな旅

「お師匠さま、お師匠さま、ここでこ、フしていられるのは : ・スピボかいいかけ・ると、 「わかっておるわい と、ヒボクラテスは、さけよ、つに答えて、くちびるをかんだ。 チイおばさんが、ヒボクラテスがどこにいたのか、あんまりききたがるので、アカネも しかたなく、雨島の章のことを話してあげた。 レーンコートに金色の長ぐっといういでたちの王子は、自の体ほどもある剣を持 0 みずはしら ちか て、井戸からふきだしている水の柱へと近づいた。しばらく息をととのえていたが、「い ゃあー 」というかけ声とともに、その水のの七下へと剣を入れた。すると、きな水 ちゅう のかたまりが宙へ、ゆっくりと舞いあがった。 アカネには、の面がとまってしまったときのように見えた。 そら けん 王子は空にただよっている水のかたまりへむかって、すぐさま飛びあがり、何度も剣を そらみず ちゅうと ふるった。空の水のかたまりは、 剣にあたって、小さなしずくとなって宙に飛びちった。 いきの 見なは、い っせいに息を飲んだ。 おうじ ししよう ししよう けん こた なんど 214

8. 地下室からのふしぎな旅

いちば たいようたかだか ずなのに、でてきたら、市場には太陽が高々とのばっていた。 あめくに ふたりからだ チイおばさんとアカネの体は、灰色の時なし雨の国のテントの屋根に落ちた。二人の体 の重みで、テントがきくゆらいだ。そのとたん、時なし雨の国のテントの入り口から、ば くろ わあっと、まっ黒いけむりがふきだした。もくもくはきだされるけむりにせきこみなが ら、時なし雨の国の人たちが、ぐっをどたっかせて外、ころがりでた。王子もカマドウ かお マも、顔じゅうすすだらけだ。 ひと みすおと まわりのテントの人たちも、水の音とけむりにおどろいて外へ飛びだしてきたが、水を ふきだしている井戸と、けむりをはきだしているテントを見くらべて、どちらへいってみ たものかと、まよっている。 「ばんやりしてないで、おろしてよ ! 」 ひめい ひと かお チイおばさんの悲鳴に、下にいた人たちの顔が、い っせいにをむいた。 どうあっても、このばばの魔法のじゃまをするつもりか。も 「やや、おまえたちかー う、ゆるしておかぬ。こざかしいまねをしおって。さるにでも変えてやるー からだ した ーししろとき そと みず 203

9. 地下室からのふしぎな旅

閉じられたままです。なに、 ここからなら、あしたの朝早く出発すれば、昼にはなんとか 市までつけます。だが、そのかっこうではね。あすの朝までに、なんとかヒボクラテスの 弟子らしく、ととのえましよう。どこの国の者かときかれたら、ヒボクラテスの弟子で、ケ せかい イトウの町の生まれ、ということにしてください くれぐれも、となりの世界からきたな どと、気どられないよう注意してください。 もし、ヒボクラテスが見つからなかったら、 いちもんばん また、ここへもどっていらっしゃい。そうなったら、市の門番にたのんで、市をでる人の に 40 っ ひとぜんいん 荷物をしらべてもらいます。でも、そんなことをすると、市へでた人全員をうたがうことに なるので、カスミさんたちがヒボクラテスたちを見つけてくれれば、それがいちばんいい んです。まったく、 友だちの一大事に、なにもしてやれないなんて。こんなにつらいこと ふたり はないですね。お二人によくお原いしておきます。」 かな ポポは悲しそうな目でアカネを見て、頭をさげた。 ふたり はじめは、チイおばさんと二人だけでヒボクラテスたちを助けるなんて、できっこない とあきらめていたアカネだったが、 「はい。できるだけ、やってみます。」 まちう とも ちゅうい いちだいじ あたま もの あさはやしゆっぱっ あさ たす ひる ひと 107

10. 地下室からのふしぎな旅

は、こんなぶじよくをうけたのは、はじめてでございます。」 ピポは切り声をあげると、すっと見えなくなってしまった。 せか、 ひと が、けん 「見は、まったくわたくしたちの世の人たちと似ておりますので、ゆだんいたしまし ぐちも おも た。これでは、こちらの世への入り口を持っていても、こちらへきてみようと思うわけ ひみつ がございません。アントムさまが秘密にしていらしたのは正しゅうございます。どんな 方かたかいら 0 しやるのかと、しみにしてまいりましたのに。 てん はやくち こえ と、天じようのほうから早ロで、ぶつぶついうピボの声がきこえるものの、すがたは見え ふたり こびとみ 「ピボ、ゆるしてやれ。この二人は小人を見たことがないらしいんじやから。わしだっ じぶんしごと じん て、さっきから自分の仕事しやと自こ、 ) 。ししきかせて、どんなことにも耐えておるんしゃ ヒボクラテスが天しよ、フにむかって、そ、ついった。 こびとみ 「はう、わたくしたち小人を見たことがないとは のでございましよ、フ。 てん せか、 こちらの世は、どうなっている ただ