ぜんしん 「それじゃあ、作戦をつづけよう。前進 ! 」 くら せんとう 三人は、ランタンを持ったテディを先頭に、じめじめした暗いろうかを、ゆ すす つくりと進んだ。 ヒュウ 1 ン、ヒュウウーン : こ、ん どこからか、子どもかすすり泣いているような亠か聞こえてきた〇 こ、ん : なに ? 」 「お兄ちゃん、あ、あ、あの声は : こんどは、アニーがおびえて、ジャックにしがみついた おと そのとたん、バターン ! と、 いきおいよく扉が閉まる音。 かべ 三人は、壁ぎわにかたまって、耳をそばだてた。 しかし、あたりはシ 1 ンとして、も、つなにも聞こえてこなかった。 しす 「きっと、風で、よろい戸がきしんでたんだよ」と、テディが静かに言った。 しんこきゅう ジャックは、また一つ、大きく深呼吸をした。 さんにん すす 三人が、さらに進んでいくと、がんじようそうな扉があった。 さんにん さんにん かぜ さくせん ひと おお みみ とびら とびら ・幽霊城の秘宝
しようろ、つ かねな 鐘楼の鐘か鳴りだした。どこかで、にわとりか鳴き、馬かいなないた。 りようーり・ ま しよくにん めしつか おお 召使いたちが、大きなかまどで、料理をはじめていた。かじ職人が、真っ赤 ねっ おけ とお おんなひと に熱せられた鉄を打ち、女の人が、ミルクのはいった桶を両手に、通りすぎた 新しい一日が、はじまったのだー じようもんで ジャックたち三人は、城門を出て、はね橋をわたり、城の外に出た。 、つ、ん みは しようへき ふりかえると、城壁の上に、見張りの衛兵が立っていた。 み テディが、ジャックとアニ 1 を見て言った。 「どうやら、すっかり、かたづいたね」 さんにんこ、ん そこで、三人は声をそろえて言った。 しめいかんりよう 「使命完了 ! 」 さんにん わら もりぬ みちはし 三人は、笑いあいながら、森を抜け、村へとつづく道を走った。 むらびと とお で 村にはいると、村人たちが通りに出て、城の方角をながめていた。 わら あ マギ 1 おばあさんが、歯のない口を大きく開けて、笑っている あたら むら いちにち て さんにん 、つ くちおお むら しろほ、つカく 、つ亠ま しろそとで りようて 0 144
ごうれい テディの号令で、三人とも立ち止まった。 むらなか こみち ほそい小、」か、畑のあいだをぬって、村の中へと通じている テデイか、ランタンを高くかかげて、さけんだ。 むらむ せんしん 「あの村に向かって、前進 ! 」 さんにんむらなか 「ぜんしーん ! 」と、アニーもさけんで、三人は村の中にはいっていった。 みちりよう 道の両がわに、わらぶき屋根の、小さな家が並んでいる ーも そらむ えんとっ あ 窓からは、ろうそくのかすかな明かりが漏れ、煙突からは、タぐれの空に向 あおじろけむり かって、青白い煙かいく筋もたなびいている さんにん いえまえ ふと気がつくと、家の前であそんでいた子どもたちが、三人をめすらしそう み に見ている こ、ん テデイか、子どもたちに声をかけた。 し こ、つしやくしろ みち 「ねえ、きみたち。公爵の城へ行く道を、知ってるかい ? 」 しようねん ひとりの少年が、おどろいて言った。 0 さんにん すじ レ」 いえなら 0 つう 0 0 ゅう 8
「よし、つぎへ行こう ! 」 ご、つれい さんにん たてものむ テディの号令で、三人は、となりの建物に向かった。 たてもの なか つぎの建物でも、テディがランタンをかかげて、中のようすを照らしだした。 その部屋には、大きな石のかまどがあった。 へや かまどのまわりに、大小さまざまな鉄製のなべが吊りさげられている。部屋 の中ほどには、大きなテ 1 プルがあり、じゃがいもを入れたかごがおいてある かべ 壁には、ひもでしばったたまねぎの東が、かかっている だいどころ 「ここは、台所だな」と、ジャック。 ひと 「でも、お料理する人が、だれもいないわ」と、アニー いけん もんだい 「だとしても、ここもかたづいているから、問題なし。なにか、意見は ? 」 「なし ! 」こんどは、ジャックも、アニーといっしょにこたえた。 「よし、つぎへ行こう ! 」 なかにわで 三人は、ふたたび中庭に出た。 さんにん なか おお おお こ、 てっせい ・・幽霊城の秘宝
幽霊だあ " 「ぎゃああああ こ、ん テデイか、これ以上はないというほどの大きな声でさけんだ。 ひめい ! 」ジャックも、悲鳴をあげた。 「ぎゃああああ ひめい ! 」アニーも、悲鳴をあげた。 「きゃああああ でぐちはし テデイか、ランタンをつかんで、ころがるように出口へ走った。 ジャックとアニ 1 も、さけびなから、テディのあとにつづく かいだん さんにん 三人は、せまくて暗いらせん階段に逃げこんだ。 お ふりかえると、白骨は、なおも追ってくる 「ぎゃああああ 「きゃああああ ひめい さんにん 三人は、また、悲鳴をあげた。 ゅうれい はっこっ じよう おお 0 ・幽霊城の秘宝
ジャックは、床に散らばったごみを、せっせとはき集めていった。 い」りよく しめい きぶん 使命をはたすために努力するというのは、とてもいい気分だ ここがきれいにかたづいたら、ばくたちは、この城を出ることができる : そのときだった〇 「きゃああああ ひめい アニ 1 の悲鳴。 おも ジャックは、思わす、ほ、つきをとり落とした。 「あ、あ、あれ、み、み、見て : : : 」 だんろ ゅび アニーが、暖炉のほうを指さした。 / 、、っちゅう しろほね 見ると、白い骨が、空中にふわふわと浮いている さんにん 三人が見つめるなか、骨は、しばらく上下にゆれていたが、とっぜん、三人 めがけて、飛びかかってきたー さんにんみ ゆか しろ あっ
・ : 」と、アニー 「な、な、な、なんで、ひとりでに : ゅうれい 「ゆ、ゆ、ゆ、幽霊が、あそんでるんだ : : : 」と、ジャック。 に、佻一げ・よ、つ ! 」と、テディ さんにん へやとびら 三人は、部屋の扉に向かって、いっせいにダッシュした。いちばんはやく着 とびらあ いたテデイか、い きおいよく扉を開けた。 しろほね か、そこには、さっきの白い骨か、まるで見張りをしているかのように、空 ちゅうせいし 中で静止していた。 「きゃああああ ひめい さんにん 三人は、い っしょに悲鳴をあげ、テディが、あわてて扉を閉めた。 しんぞう ジャックは、心臓かはりさけそうだった。もしかしたら、も、つ生きていない おも んじゃないか、とさえ思った。 気がつくと、テディが、ジャックにしがみついている ゅうれい : テ、テディ ? ゅ、幽霊なんか、こわくないんじゃなかった ? 」 とびら ・・・幽霊城の秘宝
しす 三人は、静かに門の中へはいっていった。 「おじゃましまあす : : : 」 こご、ん アニ 1 が、小声で言って、きよろきよろとあたりを見まわした。 / 、、つご ひ いきしろ 空気が冷えびえとしていて、はく息が白く見える。と、 ギイ 1 はっとふりかえると、城門の扉が、ゆっくりと閉じていく おと とびらかんぜんし にぶい音がして、扉は完全に閉まってしまった。 AJ とびらみ 三人は、ばうぜんとして、閉じた扉を見つめた。 ちんもく 力い、かっ 沈黙をやぶって、テディが、央活に言った。 かせ 「風だよ、きっと ! 」 そ、つだよね : : : 」 「あ、ああ : ・ と、こたえたものの、ジャックのからだは、カタカタとふるえていた さんにん さんにん もんなか じようもんとびら み み 0
カラスののろいじゃ : 「ああ、おそろしゃ : ・ レ」 ご、ん とっぜん、背後からしわがれ声がして、三人は、飛びあがっておどろいた えとぐち ろ、つば む ふり向くと、 小さな家の戸口に、ひとりの老婆が立っている さんにん ろ、つば 老婆は、おびえたようすで三人を見つめていたが、やがて、歯のない口で、 なにやらぶつぶっとつぶやきはじめた。 おじよ、つさまは、いずこ 「糸車がまわる : ・ チェスの駒が動く : ・ 坊やたちは、いずこ を一 骨か飛んでる : : : 。大は、いすこ」 ろ、つ、は 老婆は、それきりなにも言わずに、家の中に引きさかり、だまって扉を閉め てしまった。 ぜんしんおかんはし ジャックは、全身に悪寒が走り、ぶるぶるっとふるえた。 いし」ぐるま こま 0 0 み ひ いえなか さんにん 0 0 0 とびら くち し 8 4
きたい 「うん。ばくたち、ふたりの期待にこたえられて、よかったね」 さいしょ 「お兄ちゃんは、最初、こわがってたけど : : : 」 ひてい ジャックは、そのことを否定しなかった。 いえむ ある ふたりは、なわばしごをおり、家に向かって歩きだした。 くら いつの間にか、あたりはすっかり暗くなっている ーもーり・ ハロウィーンの夜だけど、このフロッグクリークの森は、こわいことはなに はもり・ みち もなし 、。森の木のことは、ぜんぶ知っているし、家への道も、目をつぶってい ある よくわかっているのだ。 ても歩けるくらい、 もりぬ しえまえとお よこみち 森を抜け、ふたりか、家の前の通りにさしかかったとき、横道から、三人の お化けがとび出してきた。 まじよ こつにんげん めだまこぞう 鼻のまがった魔女と、かい骨人間と、毛むくじゃらの目玉小僧だ。 さんにん 三人のお化けは、ヒッヒッヒッ、カタカタカタ、カッカッカと、きみよ、つな こ、ん 声を出しながら、ふたりにせまってくる よる さんにん 幽霊城の秘宝 153