おも 木の葉をひろいあげたジャックは、思わす「あっ ! 」とさけんだ。 この葉っぱに、なにか書いてある ! 」 「ほんとだわ ! ねえ、なんて書いてあるの ? 」 ジャックは、木の葉に書かれた飾り文字を、一語すっゆっくりと読みあげた。 フロッグクリークのジャックとアニーへ ハロウィーンの夜に \ カシの木の中で ふたりが来るのを待っています。 なか よ かンご エム いちご 8
「え 1 と : ばくたち、どこへ行けばいいんだっけ」と、ジャック。 しようたいじようみ アニ 1 が、木の葉の招待状を見ながら言った。 なか 「これには、『カシの木の中で待っています』って書いてあるわ」 「カシ 0 木 0 " 中。 ? 木 0 一下。 0 まちが〔じ ~ な〔 0 か ? 」 「ううん、たしかに、『カシの木の中』って、書いてあるわよ」 「そ、つか : まあとにかく、下におりて、なにか手かかりをさかそう」 しようたいじようゆか 木の葉の招待状を床におき、ふたりはなわばしごをおりていった。 おも きみき ハウスか着いたカシの木の幹は、田 5 いのほか太かった。 / 、、つレ」、つ ひと 「うーん。この木の中に、人がはいれるような空洞でもあるのかなあ : : : 」 みき ふたりは、幹をなでたり、たたいたりしながら、木のまわりを一周してみた。 たか、どこもかわったところはない。 「おかしいな。この木じゃないのかなあ : : : 」 しら ある ジャックは、ほかの木を調べてみようと、歩きだした。 なか なか ふと っしゅう
アニーは、そう言って、なわばしごをのばっていった。 ジャックも、だまってあとにつづいた しようたいじよう ツリー ハウスに着くと、マ 1 リンがくれた木の葉の招待状が、風で、いまに も飛ばされそうになっていた アニーか、いそいでそれをつかんだ。 「そうだわ、お兄ちゃん。ここに、『フロッグクリークのジャックとアニ 1 へ』 じゅもん って書いてあるでしよう ? わたし、これで、呪文のことばを言ってみるわ」 うえゅび アニーが、『フロッグクリーク』と書かれた文字の上に指をおいて、言った〇 か、ん 「ここへ、帰りたい ! 」 かせふ どこからか、風が吹き、ツリ 1 かいてん 回転は、どんどんはやくなる しす やがて、なにもかもが止まり、静かになった。 なにも聞こえない っ ハウスかまわりはじめた〇 かぜ ・幽霊城の秘宝 151
「よく、来られたのう」 こ、ん 背後から、低くしわがれた声が聞こえた。 おお かべ ふりかえると、壁ぎわの大きないすに、真っ白なひげを長くたらした老人が、 あか 赤いマントを着てすわっていた。 : そ、ついえば、まだ、きちんとあいさ 「ごきげんよ、つ、ジャック、アニー つをしていなかった。わしが、マ ーリンじゃ」 「ごきげんよう、マー リン ! アニ 1 です。お会いしたかったわ」 「こ、 こ、こんにちは。ジャックです」 マーリンは、いすから立ちあがり、ふたりを見つめて言った。 ききすく 「去年のクリスマスには、キャメロットの危機を救ってくれて、ありがとう」 「どういたしまして。あのときの冒険は、すごく楽しかったわ」と、アニー ジャックが、落ちつかないようすで、おすおずと話しかけた。 ル」よ、つ しようたいしよう 「あのう、今日、ばくたちに、木の葉の招待状をくださったのは : : : 」 きよねん ひく ほ、つはロん しろ なが ろうじん
かえ 「そんなのだいじようぶよ ! マ ーリンか、ちゃんと帰らせてくれるわ」 うえゅび アニーは、ジャックの手から木の葉を取りあげ、その上に指をおいた 「さあ、行くわよ。え 1 と、え 1 と、行き先はなんて言えばいいのかしら」 かえ 「だめだよ、アニ 1 。もし帰れなくなったら、どうするんだ」 アニーは、ジャックのことばを無視して、つづけた。 しようたいじよう 「そうだわーーーわたしたち、この招待状をくれた人のところへ、行きたい ! 」 ちょっと待てってばーー」 ジャックが言いおわらないうちに、木の枝がザワサワとゆれはじめた。 かぜま 風が巻きおこり、ツリー ハウスがまわりはじめた かいてん 回転は、ますますはやくなる おも ジャックは、思わす目をつぶった。 しす やがてなにもかもが止まり、静かになった。 なにも聞こえない。 えだ さき ひと
アニ 1 が、木の葉をのぞきこんで言った。 しようたいじよう 「お兄ちゃん、 " 。のサインよー クリスマスの招待状にも、〃 ~ のサイ ンがあったわ」 かしらもじ まほ、つつか 「それで、そのは、モ 1 ガンの頭文字じゃなくて、じつは魔法使いマー丿 かしらは 2 じ の頭文字だった : : : 」 しようたいじよう 「とい、つことは、こんどの招待状も、マ ーリンからね」 しようたい 「うん。そして、こんどは、ばくたちをハロウィ 1 ンに招待してくれたんだ」 ・かッて、つ 「すてき ! ああ、キャメロットの子どもは、どんな仮装をするのかしら。ど んなお菓子をもらえるのかしら : 。お兄ちゃん、いますぐ行きましょ ! 」 ま 「ちょっと待った」 ジャックが、あたりを見まわしながら言った。 まえ 「冒険に行く前に、ペンシルべニア州のガイドブックを見つけておかないと、 かえ ばくたち、ここへ帰れなくなっちゃうよ」 ば、つロん エム エム み しゅう エム
きせい まほ、つつか 「小さいころからさ父さんは魔法使い、母さんは木の精だからね」 「へええー、そうだったの ! 」 かんしん アニ 1 は、ひどく感心したようすだ。 きんいろ かせふ ヒュウウと風が吹き、木の枝が大きくゆれて、金色の木の葉が、ハ じめん 地面に舞いおちた。 ふあん ジャックの心のなかの不安は、どんどんふくらんでいく 亠よほ、つつ、か なかへや ( まったく、カシの木の中に部屋があったり、お父さんが魔法使いで、お母さん きせい が木の精だったり : フロッグクリ 1 クじゃ、考えられないことばかりだ ! ) おまけに今日は、いつも背おっているリュックを、持ってきていなかった。 カ / カ なにか書きとめたり、考えたいことかあっても、ここにはノ 1 トもえんびつも おも 、 0 そう思うと、ますます、いばそくなるのだった。 いりぐちっ やがて三人は、森を抜けて、小さな村の入口に着いた ぜんいんと 「全員、止まれえ 1 ! さんにん A 」、つ えだおお むら かあ 」、つ カ / カ 一フハ一フ A 」 かあ 、 r— 1
かぜ 「お兄ちゃん、ツリ 1 ハウスよ ! ああ、ほんとにひさしぶりだわ ! 」 ふたりは、さっそく、なわばしごをのばっていった。 すかた ぜんゆか しかし、ツリー ハウスの中に、モーガンの姿はなかった。さらに、以前は床 くら いつばいに積みあげられていた本か、いまは一冊もない。うす暗い部屋のすみ まきものひと に、巻物が一つ、ポツンとおいてあるだけだ。 亠よ」はものし」 アニーが、その巻物を取りあげ、広げてみた。 しようたいじよう 「これは、去年のクリスマスに、キャメロットへ呼ばれたときの招待状だわ」 ば、つ、け・ん 「おかしいなあ。冒険の行き先を書いたものが、ないなんて : それに、ペ ンシルべニア州のガイドブックもないよ : : : 」 ペンシルべニア州のガイドブックは、ふたりかツリーハウスで冒険に出かけ かえ ひつよう たとき、ここフロッグクリークへ帰ってくるのに必要な本だ。 かせとお そのとき、ビュウウーとうなりをあげて、強い風か通りすぎていった。その いちまい おお 風にのって、窓から、一枚の大きな木の葉が舞いこんできた。 きよねん しゅう しゅう なか さき ほん ひろ つよ いっさっ ほん ばうけんで へや ・幽霊城の秘宝
と、そのとき、 「カ、カ、カ 1 ウ ! 」 よ こ、えき 外で、アニ 1 の呼ぶ声が聞こえた。 しりくちはし ジャックは、アニーになにかあったのかと、あわてて、巣の入口へ走った。 かお すなか すると、アニーが、巣の中に顔をつつこんで、さけんだ。 レ」 む 「カラスたちか、こっちに向かって飛んでくるわ ! 」 すそとめ ジャックは、巣の外に目をやった。 し」 いちわ む せんとう しちはちわ 七、八羽のカラスの群れが、こちらに向かって飛んでくる。先頭の一羽は、 おお ひときわ大きい。カラス大王と、その手下たちがもどってきたのだー そこには、果物や木の実といっしょに、ねずみや小鳥の死がいが、集められ ていたのだ。 ジャックは、、つめいた。 うんめい ( 〈運命のダイヤモンド〉は、ほんとうに、この巣の中にあるんだろうか : : : ) そと くだものき ・こ、 42 、つ てした む すなか し す あっ ・幽霊城の秘宝 109
ジャックは、はっとした。 そうだ これまでも、森にマジック・ツリーハウスかもどってきたとき、 まえとり ふたりの前に鳥や動物があらわれて、そのことを教えてくれたつけ。 もり 「よしー いますぐ森へ行ってみよう ! 」 ジャックとアニ 1 は、ポ 1 チから庭へとびおりると、フロッグクリ 1 クの森 へ向かって、いきおいよくかけだした。 ふたりは、もう長いあいだ、ツリ 1 ハウスの冒険に出かけていなかったし、 きよねん ツリーハウスの持ちぬし、モーガンにも会っていなかった。去年のクリスマス いちねんちか に、キャメロットで別れて以来だから、もう一年近くになる。 、つ、んはし 、もーり・ せたか ふたりは、あっく積もった落ち葉の上を走り、やがて、森でいちばん背が高 いカシの木の下にたどりついた。 ふとみき みあ 太い幹にそって、一本のなわばしごがたれさがっている。見上げると、木の てつべんに、なっかしいツリー ハウスがのっていた。 した どうぶつ なが わか いっぽん ぽ、つ 27 ん おし ・幽霊城の秘宝