プロローグーーアーサー王と魔法使いマーリン まほ、つしん しん むかしむかし、まだ、人々か魔法を信じ、この世にふしぎなことや、信じられ じたい ないことが、いまよりたくさんあった時代、プリテンと呼ばれたいまのイギリス の一立ロ。 こ、ユーサー・ペンドラゴンという、すぐれた王かいた。このユ 1 サ 1 王 よげんちえ じよげん たす 亠まほ、つつか に、予言や知恵をさすけ、さまざまな助言をして王を助けたのが、「魔法使い中 まほ、つつか 1 リンだった。 の魔法使い」と呼ばれたマ おう そだ みぶん ューサー王に男の子が生まれたとき、その身分をかくし、騎士ェクタ 1 に育て させたのも、マ ーリンのはからいだった〇その子はア 1 サ 1 と名づけられ、エク じつむすこ そだ ターの実の息子ケイの弟として育てられることになった。 かくちせんらん やがて、ユーサ 1 王が亡くなると、各地で戦乱がおこり、人々は、ユーサーの ようなすぐれた王があらわれるのを待ちのぞむようになった。 はじようじあいしゆっじよう 十五歳になったアーサ 1 は、ある日、馬上試合に出場する兄ケイのつき人とし しゅうごさ、 いちぶ おとこ おう よ おう おとうと ひとびと おう ひ 士ほ、つつか よ おう おう よ ひとびと びと ちゅう おう 8
きせい まほ、つつか 「小さいころからさ父さんは魔法使い、母さんは木の精だからね」 「へええー、そうだったの ! 」 かんしん アニ 1 は、ひどく感心したようすだ。 きんいろ かせふ ヒュウウと風が吹き、木の枝が大きくゆれて、金色の木の葉が、ハ じめん 地面に舞いおちた。 ふあん ジャックの心のなかの不安は、どんどんふくらんでいく 亠よほ、つつ、か なかへや ( まったく、カシの木の中に部屋があったり、お父さんが魔法使いで、お母さん きせい が木の精だったり : フロッグクリ 1 クじゃ、考えられないことばかりだ ! ) おまけに今日は、いつも背おっているリュックを、持ってきていなかった。 カ / カ なにか書きとめたり、考えたいことかあっても、ここにはノ 1 トもえんびつも おも 、 0 そう思うと、ますます、いばそくなるのだった。 いりぐちっ やがて三人は、森を抜けて、小さな村の入口に着いた ぜんいんと 「全員、止まれえ 1 ! さんにん A 」、つ えだおお むら かあ 」、つ カ / カ 一フハ一フ A 」 かあ 、 r— 1
「かたづけるんでしょ ? 」と、アニー さらあら ゆか 「床のそうじとか、皿洗いかもしれないな」と、テディがじようだんをとばす としよしつほん 「図書室の本を、かたづけるのかもね」と、アニー 「本のかたづけなら、ばくは得意だよ」 こ、ん わら テディが言って、ふたりは声をあげて笑った。 ジャックは、ふたりのように、笑う気にはなれなかった。 きようふ しめい 1 リンだって、恐布のトン 「そんなことが、使命なわけないじゃないか ! マ ネルにはいりこむかもしれない って、言ってただろう ? 」 ジャックかいくら言っても、テディとアニーは取りあわない まほ、つつか 「『恐布のトンネル』なんて、こわくないさ。きみ、ばくが魔法使いだってこと、 わすれてないかい ? 」と、テディ。 かお きようみ それを聞いて、アニーが、興味しんしんという顔でたずねた。 士 ( ほ、つつか 「ねえ、テディは、いっから魔法を使えるようになったの ? 」 きようふ わら
アニ 1 が、木の葉をのぞきこんで言った。 しようたいじよう 「お兄ちゃん、 " 。のサインよー クリスマスの招待状にも、〃 ~ のサイ ンがあったわ」 かしらもじ まほ、つつか 「それで、そのは、モ 1 ガンの頭文字じゃなくて、じつは魔法使いマー丿 かしらは 2 じ の頭文字だった : : : 」 しようたいじよう 「とい、つことは、こんどの招待状も、マ ーリンからね」 しようたい 「うん。そして、こんどは、ばくたちをハロウィ 1 ンに招待してくれたんだ」 ・かッて、つ 「すてき ! ああ、キャメロットの子どもは、どんな仮装をするのかしら。ど んなお菓子をもらえるのかしら : 。お兄ちゃん、いますぐ行きましょ ! 」 ま 「ちょっと待った」 ジャックが、あたりを見まわしながら言った。 まえ 「冒険に行く前に、ペンシルべニア州のガイドブックを見つけておかないと、 かえ ばくたち、ここへ帰れなくなっちゃうよ」 ば、つロん エム エム み しゅう エム
むり 「まあまあ たしかに、ふつうの人間には、無理だ。だけど、ばくはふつ にんげん おも うの人間じゃない ( まくが、なんだったか、思いだしてほしいな」 亠まほ、つつか 「魔法使いだ、って言いたいのね ? でも、わたしたちは、あなたがちゃんと 亠よほ、つつか み じゅもん 魔法を使ったのを見たことかないわ。いままで、どの呪文も、うまくいかなか ったじゃない」 いや、まあ、それはそうだけど : 。でも、魔法は、呪文だけじゃない。 ばくには、奥の手があるんだ ! 」 テディはそう言うと、ポケットから、小さな木の枝を取りだした〇 まゆ えだみ 「それは、なに ? 」ジャックは、眉をひそめて、その枝を見つめた。 こ、んだ すかた ・カ 「ハシバミの小枝だよ魔法の小枝だ。これを使えば、なんにでも姿を変えら れるんだ」 ・め・カカや 「ほんとに」アニーが、目を輝かせた 「モーガンがくれたの ? 」ジャックも、身をのり出した。 おくて 0 こえだ にんげん み つか えだ し」 じゅもん 2
あら これまでのお話 ジャックとアニーは、ペンシルべニア州フロッグクリークに住む、仲よし兄妹 ひもり ふたりは、ある日、森のカシの木のてつべんに、 小さな木の小屋があるのを見 きようりゅう ほん つけた。中にあった恐竜の本を見ていると、とっぜん小屋がぐるぐるとまわり ほん , ものきようりゅう じたい だし、本物の恐竜の時代へと、まよいこんでしまった〇 せかい この小屋は、時空をこえて、本のなかの世界へ行くことができる、マシック・ 士 6 に 1 、つ ツリーハウス ( 魔法の木の上の小屋 ) だったのだ〇 まほ、つつか ・ライ ハウスの持ちぬし、魔法使いのモ 1 ガンは、ふたりに、マスタ 1 しごとて せかい プラリアンとなって、世界じゅうの本を集める仕事を手つだってほしい、と一言う ・ライプラリアンとなったふたりは、 きびしいテストに合格し、はれてマスタ 1 ばうけんたびで 新たな冒険の旅に出ることになった なか はなし 、つ、ん ほん ほんあっ こや なか
ジャックとアニ 1 は、すくみあかった。 ふゅまほうつか じゅ , もん ( こ、これが、カラス大王 : 〈冬の魔法使い〉から呪文のことばをぬすみ、 ま へんしんしつばい 変身に失敗して、化け物になってしまったという : : : ) だいおう まえ へやなかふ におうた 大王は、部屋の中に踏みこみ、ふたりの前に仁王立ちになった。 てした レ」 そのうしろから、手下のカラスたちがつぎつぎに飛びこんできて、あれよあ じつば れよという間に、、、 シャックとアニ 1 は、なん十羽とい、つカラスに、とりかこま ひか くろめ れてしまった。カラスたちは、ギラギラ光る黒い目で、ふたりをにらみつけ、 む 鋭いくちばしを向けて、すこしずつ、つめよってくる かみさき おおごえ 大王が、髪の先までふるえるような大声で、どなった。 「おれさまのダイヤモンドをぬすんだカラスは、どこだ " かおみ いっしゅん、ジャックとアニ 1 は、顔を見あわせた。 ( そ、つか : 大王は、ダイヤモンドを取りかえしに行ったのは、カラスだと おも 思っているんだ ) するど だいおう だいおう もの だいおう 0 0 120
とうじようじんぶつ おもな登場人物 シャック すおとこ いう アメリカのペンシルべニア州に住む男の子。 み よ 本を読むのが大好きで、見たことや調べたこ とを、すぐにノートに書くくせがある。 たいす ジャックの妹。空想や冒険が大好きで、いっ げんき どうぶつ も元気な女の子。どんな動物ともすぐイ中よし になり、かってに名まえをつけてしまう。 モーガン・ルー・フェイ あねまほう プリテンの王・アーサーの姉。魔法をあやっ ほんあっ せかい り、世界じゅうのすぐれた本を集めるために、 たび マジック・ツリーハウスで旅をしている。 マーリン まほうつか せかいさいこう 偉大な予言者にして、世界最高の魔法使い。 アーサー王が国をおさめるのを手助けしてい ま る。真っ赤なマントがトレードマーク。 テディ ( 本名テッド ) モーガンの図書館で助手をしながら、魔法を へんしんしつばい しようねん 学ぶ少年。かって、変身に失敗して子大になっ てしまい、ジャックとアニーに助けられた。 ら ほん か ほうけん なか おんな よげんしゃ てだす か ほんみよう まほう としよかんじよしゅ いぬ まな
お話のふろく , ・・・・・・・・、ー幽霊城の秘宝 別世界 むかし じんよ 昔、ヨ 1 ロッパ大陸からイギリスにわたった、ケルト人と呼ばれる人たちは、 せかい べっせかい しん この世のほかに、もう一つの世界〈別世界〉かある、と信じていました。そこ くる かな ひと は、だれも年をとらす、苦しみも悲しみもない世界で、人は死ぬとそこへ行き、 えいえんしあわ かんか 永遠に幸せに暮らす、と考えました。 べっせかい まほ、つつか よ、っせし じんのこ また、〈別世界〉には、魔法使いや妖精もすんでいました。ケルト人が残した しんわでんせつ べっせかい にんげんたす 神話や伝説には、〈別世界〉の住人が、この世で人間を助けたり、こまらせたり、 で ふしぎなできごとをおこしたりする話が、たくさん出てきます ハロウィーン ながふゅ ケルト人にとって、十一月一日は、夏が終わり長い冬がはじまる、区切りの / 、ら し ふゅ ひと たましい せんや 日でした。そして、暗く陰うつな冬がはじまるその前夜には、死んだ人の魂が べっせかい ひ よ じん ゅ、つれいじよ、つ ひと がつついたち ひほう しゅうにん なっ お よ せかい 0 ひと 156
ジャックは、持っていたハシバミの枝を、テディにわたしながら言った。 こえだ おも 「ねえ、テディ。この小枝は、子どもがあそぶものじゃないと思うよ。たとえ、 亠まほ、つつか もりせい か、ん 魔法使いの子どもでも、ね。これは、親せきの森の精に返したほうがいい」 「うん、そうだね。それはいい作戦だ」 テディは、、 月枝をポケットにしまいなから、いたずらつほく笑ってみせた でぐちゅび それから、ランタンを持っと、大げさな手つきで、出口を指さして言った。 「じゃあ、ばくたちもーーー・しゆっぱ 1 っ ! 」 こ、んき へや 力しー刀 三人が部屋を出ると、階下から、召使いたちの声が聞こえてきた。 かねな じかん 「起床の時間だ。鐘を鳴らせ ! 」 ゅ へや 「公爵さまと奥さまのお部屋へ、お湯を ! 」 「いそげ ! 今朝は、いつもよりおくれてるぞ ! 」 かいだん おおひろま ぶきこ まえとお 三人は、らせん階段をおり、大広間と武器庫の前を通って、中庭に出た。 みあ しろと、つ 見上げると、やわらかな朝日が、城の塔にあたっていた さんにん さんにん こ、つしやく ごしよう おく こえだ ーも で あさひ さくせん おお めしつか えだ しん て わら なかにわで 142