おも 「こんなように思われるのは、まだまだわたしのほんとうの気持ちがわかっ てもらえないからだ」 かねきふ じぶんなまえ といって、それからはどこへお金を寄付するにも、自分の名前などどうでも よいことをつけくわえました。 じぶん カ】ネギーはこんなことをいわれてまで、なぜ町の人たちのために、自分 かねぎふ じぶん の働いたお金を寄付したのでしようか。カーネギーは、自分のほんとうの気 ざっし 持ちを雑誌に書きました。 っしよう じぶんどりよく 「お金持ちの一生は、ふたつにわけられます。ひとつは、自分で努力して、 かね いっしようけんめいお金をもうけることです。もうひとつは、そのもうけた じっこう かね よなか お金を、世の中におかえしすることです。わたしは、これを実行しているだ けです」 きも しちょう じぶん カ】ネギーの気持ちを知ったあの市長さんや町の人たちは、自分たちの考 はたら かねも まち まち かんが
かんしん 兄さんが好きです。いっかはきっと、みんなが感心するような絵描きさんに なってください じふん テオは、どんなに自分がこまっていても、兄さんのために働いてお金をお くりました。ひどいわがままをいってきても、できるだけきいてあげました。 そうだん じぶんにい 「もし、自分が兄さんを見すててしまったら、だれも兄さんの相談あいてに なる人がいない。兄さんには、だれにも負けないほどの絵を描く力がある じぶんじぶん と、自分で自分にいいきかせました。テオは、それほど兄さんが好きだった のです。ゴッホがどこかへいきたいといっても、けっして反対しません。こ れでは、どっちが兄さんだかわからないほどです。 ハリのくらしにつかれたゴッホは、あるときアルルへいきたいといいまし あか みなみ た。アルルは、フランスの南のほうにある、古い町です。ひろびろとした赤 あか たいよ、つ あおあお っちはたけ 土の畑がひろがり、青々とした空には、明るい太陽がかがやいています。 ふるまち はんたい はたら えか かね
はつめい ( こんなことなら、ダイナマイトなんか発明するんじゃなかった ) おも じぶん そう思うと、自分がなさけなくなってくるのでした。だからこまった人が きまえ きまえ かね いると、ノーベルは気前よくお金をあげました。あんまり気前よくお金をあ じぶんつか げるので、自分の使うお金さえなくなってしまうことがあったほどです。 おとうと あるときノーベルは、自分ひとりでお母さんや弟をやしなっている娘さん びようき のうわさをききました。この娘さんは、お父さんが病気で亡くなったので、 しふん 自分がお父さんがわりになって働いていました。 おも でも働くといっても、まだわかい娘さんです。思うような働きロも見つか てつだ りません。あっちの家やこっちの家のお手伝いをして、わすかなお金をもら かそく それで家族が細々とくらしていたのです。 かねむすめ 「このお金を娘さんの家にとどけてあげなさい。それから、この店で働くよ ~ しいなさい」 はたら ほそぼそ かね じぶん むすめ かね むすめ はたらぐち みせはたら かね むすめ 139
ねっしん そんな熱心さがたえすあたらしいアイディアを生みだし、だれも考えっか じふん しごとちょうせん ない仕事に挑戦できました。ふしぎに思ったら、なんでも自分でしらべる じふんくふう ことです。しらべているうちにいろんなことがわかってきて、自分で工夫 するところがたくさんでてくるはすです。、ほんやりしていてはなにもでき ません。 かんが
にんげん こうと決めたらそれに集中し、さいごまでやりぬく努力の人でした。人間 はその気になれば、なんだってできます。なかまにいじめられたぐらいで、 おも じぶん じぶんしん くよくよしてはいられません。自分を信じ、自分のやりたいと思うことを 見つけて勉強すれば、きっと目的を達することができます。 べんきよう しゅうちゅう もくてぎたっ リ」りよく
まえがきーー先生やおうちのかたへ かん 偉人といえば、なんとなく抵抗を感じる人がいるかもしれません。凡人にはまねの ひぽん できない非凡な人、りつばすぎて近づきがたい人といったイメージを持ちやすいから し′」と にんげん です。しかし、その仕事は偉大であっても、わたしたちとおなし人間であることに変 しごと こうせし ひぽん わりはありません。あえていうならば、後世にのこるような仕事をなしとげた非凡な る凡人こそが偉人です。 てんぶん しんねん いすれにしても、ゆたかな天分をなみはすれた努力で開花させた人や、自己の信念 しごとしようがい を変えることなく、ひとつの仕事に生涯をかけた人物の生きかたは、わたしたちの心 でんき じんぶつ をとらえすにはおきません。こうした人物のことを描いた伝記が、いまなお子どもた もの にんき おお じんぶつ ちの好きな読み物として人気のあるゆえんです。そうした人物の生きかたにふれて多 おも じぶん せっとくりよく くのことを学び、自分もがんばってみたいと思える説得力があるからです。 にんげん ものがたり だからといって、りつばな人間になれという教育やしつけのための物語であっては 」りよく にんげん こまります。人間というものは、努力しだいでどんなことでもなし得ることができ、 ぽんじん いじん じん ていこう ちか きよう、 ~ 、 じんぶつ えが ÄJ りよく 力しカ ぼんじん
あったら、子どもたちはどんなによろこぶだろう。いや子どもたちばかりで じゅう 本を読みたくても買えない人たちが、自由に本を読むことができた じぶん ら、自分ひとりでだって、いろんなことを勉強できるはすだ ) としよかん おも そう思って、町の人たちのためにせっせと図書館をつくったのです。 まち じぶん このカーネギーの考えをきいて、あちこちの町から「自分のところへも図 てがみ しよかん 書館をつくってほしいという手紙がたくさんおくられてきました。その手 がみせいり 紙を整理するのに、わざわざ人をやとわなくてはならないほどでした。 カーネギーは、その手紙をひとつひとっていねいに読みました。なかには、 まち としよかん 図書館をつくる場所も決まっていないのに、お金をくれという町の人もいま リ」りよく じぶん した。自分たちは、なんにも努力しないで、とにかくお金だけもらおうとい うのです。 カーネギ ] は、そんな町の人たちがきらいでした。ただでお金をもらい まち ばしょ かんが てがみ まち べんきよう かね かね かね
あとがき 偉人とはわたしたちとはちがう、とくべつにりつばな人というのではありません。 ド」りよく しごと さいのうひっし じふん 生まれついての才能を必死な努力でみがきあげた人、自分のやりたい仕事にすべてを しごと けつか 打ちこんだ人で、その結果、だれからもすばらしいとほめられる仕事をなしとげた人 し・こと のことです。わたしたちと変わらないふつうの人なのに、ふつうでない仕事ができた えが でんき からこそ偉人と呼べるのです。この本は、そんな偉人の一生を描いた伝記ではありま し′」と せん。いつ、どんなことをしたのか、なぜ、すごい仕事ができたのか、子どものとき えら はなし はどんな人だったのか、その人にもっともふさわしいものを選んで小さなお話にした しごと おも じぶん ものです。だから、自分もおとなになったら、そんな仕事をしてみたいと思う人もい した じん じだい じぶん れば、偉人であっても子ども時代は自分とちっとも変わらない、と親しみを持てる人 じしんゅう にんげんどりよく もいるでしよう。そして人間は努力しだいではなんだってできるんだという自信と勇 はなし れぎしじようじんぶつ - ①気がわいてくるはすです。さらには、このお話によって歴史上の人物に興味を持ち、 - まな おも その生きかたに学んでほしいと思います。 じん じん じん きようみ
でだしてください しちょう そうだん 市長さんは、さっそく町の人たちと相談してみました。すると町の人たち としよかん しぶん 「よけいな約束をつけるなら、図書館なんかいらない。カーネギーは、自分 かねも がお金持ちだということをみんなに知らせたいから、そんなことをいうのだ」 かね じぶんきねん としよかん 「そうとも、町のお金までださせて、自分の記念になる図書館をつくろうと しているのだ。そんな申しこみなんかことわってしまえ」 しいました。 しちょう そこで市長さんは、このことをくわしく書いて、カーネギーの申しいれを ことわりました。 てがみ その手紙を読んでも、カーネギーはちっとも腹を立てません。それどころ やくそく まち 1 も、つ まち はら まち 、も、つ
せいさく じぶん 病院からもどってきた清作は、大よろこびで、自分の手を先生たちに見せ ました。 「先生、ありがとうございました。なんとお礼をいったらよいのか : : : 」 なみだ それつきり、なにもいえず、あとからあとから涙がこ、ほれました。でも、 せいさく けっしん 清作はむのなかで、しつかりと決心していました。 びようき 「よし、ぼくもお医者さんになろう。病気の人やケガをした人を、ぼくのよ うになおしてやるんだ せいさく なまえひでよ しぶんはたら 清作は大きくなると、名前を英世と変え、そして自分で働きながらお金を ため、とうとうりつばなお医者さんになったのです。 びよういん しゃ しゃ ノ 0 かね