きろく おくられてきました。記録とし ほぞん しやしん て保存するだけの写真ですが、 す、つまい 数枚のそのなかに、せりの上で かしゅしやしん うたう、あの歌手の写真があり ました。なにげなく手にとって、 ばくは息をのみました。 歌手のやさしいかたのところ ちからしごと に、カ仕事をする男の手のよう けつかん かたて な、血管のうきでた片手が、ま ざまざとうつっていたのでした。 かしゅ
「もどしてって、なにをさ」 けいすけ おもわすあとすさりしながら啓介がきくと、 「わかるでしよ、わかるでしよ」 けいすけ けいすけ と、啓介にのしかかってくる。そして両手で啓介のかたをはげしくゆさ ぶるのだった。 「やめてつ ! わかんないよお」 けいすけ 啓介はにげようとしたが、からだが鉄のようにおもくて、手も足もお 、つ、つに、フ ) 」かい。 てあし それでも手足をバタバタさせて、女の人からのがれようとした。 どうたい けいすけ とたんに、啓介のふれた女の人の手や足や胴体が、バラバラにはなれ りよ、って てつ 6 3
「お墓の下って、どうなってんだ ? ちょっとタンマ、タンマ」 け . い亠 9 け・ あな あいず 啓介はみんなに合図しておいて、穴の中をのぞいてみた。土がくずれ あな ているし、くらくてよくみえない。そこで木の枝をひろってきて、穴を ほしくってみた。でもほしくればはじくるほど、土がくすれてしまう。 それでもおくのほうに、チラっと赤いものがみえたので、手でひつばり だした。手ぬ ぐいぐらいのほそながい、花もようのついたきれだった。 いろ 色のあざやかなところと、色あせてズタズタにきれているところがある。 ゅうた そばでみていた裕太が、 「わっ、エンガチョ ! それ死人の着物だぜ。おっかねえー卩 。け . い亠 9 け・ きみ と、とびのいたので、啓介も気味わるくなって、あわててきれをほうり いろ しにんきもの えだ
それからというもの、リヒャルトは、たえずみられているような気か でんしゃ した。あるいているときも、電車にの「ているときも、どこからか視線 をかんしていた。 ほどう そんなある日、バスの中から外をながめていると、歩道をあるくあの しやしん 男が目にとま「た。男はふるい写真そのままのいでたちで、歩道をある き、バスの中のリヒャルトに手をふった。 、やしい そと 1 〇 3
そして、おとうさんのカメラを しやしん かりて、写真をとったんだ。 ようせい でもね、妖精はにせものだった しやしん けど、二枚の写真をよくみると、 ちょっとへんなところがあるんだ。 まいめ 一枚目のほうには、フランシスの ひかり あたま 頭のあたりに、ばんやりした光の ようなものかうつっているし、二 まいめしやしん 枚目の写真のエルシーの手は、み 1 23
たしかに、ちょうちよがとまっていたのは、べージュの、セーターだ。 はな。から いたいた、白いちょうちよか 花柄のプラウスを、よくよくみると、 花のもようのプラウスにとまっている : 「ね、これ、みて , ばくは、そっと、その写真をおばあちゃんのまえにおいた。 「お墓まいりのときの写真だよ , 「はい、 ありかとよ」 しやしん おばあちゃんは、写真を手にとって、あれっというようにあわててメ ガネをかけて、しいっとみた。ばくは、じっと、おばあちゃんをみてい しやしん しやしん 0 5 8
じゅんび りの準備をととのえると、車にもどり、おしゃべりをしていました。と ころか、そのうちあがってくるだろうとおもっていた慶太か、いつまで たってもすがたをみせません。 おき 浜辺にはタやみがせまり、人かげもまばらで、沖のサーファーたちも、 すっかりひきあげたようです。 「いやに、おそいしゃないかー 「なにかあったのか」 しんばい む配になった三人は、手わけをして慶太をさがすことにしました。 。した 「慶太あー」 「慶太あー はまべ けいた , をし。十′ 8 2
もそなえた。お線香に火をつけてたてた。 おばあちゃんはしやがんで、手をあわせ、なかいあいだ、むによむに よ、おいのりをしていた。いつもとおなじ、お墓まいりだった。 わ でもそのとき、一羽の白いちょうちよがとんできてね、おばあちゃん の、背中にとまった。そのまましすかに、ゆっくり、羽をひろげたり、 とじたりしている。 「あれあれ、おばあちゃんのこと、花とまちがえたのかな」 ばくはカメラをかまえて、ハチッと一枚とった。お墓のまえでおいの せなか りをしているおばあちゃん。べージュ色のうすいセーター、その背中の 白いちょ、っちょ。 せなか せんこう いろ はね 2 8
しやしん ちゅうもん 「ええ、でも、ご注文いただいたものですから , そういうと、気のどくそうにわたしてくれました。 しんいち へんなものってなんだ。真は、すぐにふくろをあけました。そして、 写真を手にしたとたん、 「な、なんだ。これは ! 」 といって、息をのみました。 こみなみうみはいけい あの日、サーフポードをわきにたてた四人が、小南の海を背景にとっ しんいちたろうしんや えがお けいた た写真です。真一も太郎も進也も笑顔でうつっているのに、なぜか慶太 だけが青ざめた顔をしています。しかも、慶太とならんでたっているの かん は、サーフポードではなく、棺おけだったのです。 しやしん かお 2 3
やすじかんしげき つぎの日、休み時間に茂樹がふたりをよんだ。 しげき しやしん 茂樹がさしだす写真をみたふたりは、どうしに、 ひろし と、さけんだ。三人がかたをくんだ写真は、弘のうしろに、弘のかたに きみ 手をかけたみしらぬ男の子が、ばうっとうつっている。気味がわるい。 こわい まいめ ひこうちゅうしやしん ひろし そして二枚目。ストームライダー飛行中の写真は、サインの弘に かお かたぐるましている、二つ、三つ年下らしい男の子がうつっていた。顔 りようてプイ じゅうでわらっているうれしそうなその子も、両手でサインを。 としした しやしん プイ ひろし