ある日 - みる会図書館


検索対象: 神かくしレストラン
104件見つかりました。

1. 神かくしレストラン

きえた少年 あいちけんきたしだらぐん あれはもう、九十年もむかしのことになるかな。愛知県北設楽郡のあ る村で、十歳ばかりになる男の子が、ふっとすがたをけしてしまったそ めいじすえ 明治も末ごろのある年、九月三十日のことだった。その日はなんでも しらもち かみおく 神送りの日とかで、村しゅうの家いえで白餅をこしらえて、神さまにそ しようねん よしざわかずお 吉沢和夫 かみ 6 7

2. 神かくしレストラン

ほんき かぜ れたけれど、つむし風のことになると、だれも本気にするものはなかっ かぜ マリーアは、何日かひとりでかんがえこんでいた。もう、つむじ風の ことしか、かんがえることはできなかった。 ひろば けっしん ある日、マリーアは決心して、広場にでた。木の下でしんばうづよく かぜ まっていると、日がくれるころ、さっと風かふいてきたとおも、つと、と っせん、うすをまきはじめた。うすは大きくなり、空にむかってのばろ うとしている。マリーアはおもわす、うすの中にとびこんだ。 マリーアもいなくなったと、おおさわ 村では、トニーノだけでなく、 ぎになった。村の中はもちろんのこと、ちかくの森の中も、すこしとお なんにち 8 6

3. 神かくしレストラン

かくれんぼ 「日がくれたら、かくれんばはだめだよ」 てらにわ 「お寺の庭のかくれんばは、日のあるうちだけだ。夕方は神かくしにあ うでな」 おばあちゃんは、いつでもそういう 、つ てらにわ ) 0 、 ノキやツッジの植えこみはいい お寺の庭のかくれんばはおもしろし にわ ほんどう ばしょ かくれ場所だし、本堂のゆかの下へだってもぐりこめる。うら庭には二 0 ゅうがた みやかわ 宮川ひろ かみ 3 5

4. 神かくしレストラン

学啻にさらわれた ? いえ こうえん わたしの家のうら山は、上が公園になっています。休みの日なんか、 ちかみち かいだん 近道のきゅうな階段をあがって、よくあそびにいってました。 あき しようがくせい わたしが、まだ小学生だった、ある秋のことでした。 こうえん 公園で、友だちとかくれんばして、むちゅうでかくれていたら、いっ のまにかうっすらと、日かくれてきたんです。 「くらくなって外であそぶと、神かくしにあうぞ , 一つちゅ一つじん とも そと かみ もちづきまさこ 望月正子 1 26

5. 神かくしレストラン

そうで おおさわぎになって、村じゅう総出でさかしたがみつからない。あし おも あさ たの朝をまってということになって、いのる思いで、おしいちゃんのお まさや はか 墓へいってみたら、正也はそこにたおれていた。 あとから山へいってみたが、ふるいお寺などはどこにもなかった。あ こぞう おしよう の小僧さんと和尚さんはだれだったのか、わからないままだ。 「日がくれたら、かくれんばはだめだよ」 てらにわ 「お寺の庭のかくれんばは、日のあるうちだけだ。正也は神かくしにあ ったんだぞ」 おはあちゃんは、きつくそ、つい、つ てら まさやかみ

6. 神かくしレストラン

本のカキの木もあって、のばりやすい枝ぶりがうれしい。その枝にこし をおろせば、葉っぱがすつばりとかくしてくれる。 しじゅうくにち 大すきだったおじいちゃんがなくなって、まだ四十九日がすんだはか まさやまいにち 正也は毎日、お墓の中のおしいちゃんにあいにいきたくなる。 「おしいちゃん、あそびにきたよ」 てらにわ あいさっしてから、お寺の庭であそぶ。 かくれんばは、日がくれてからのほうがおもしろいなかなかみつけ こころ てもらえないときの、得意さと、ひとりばっちの心ばそさもあって、そ おも の田 5 いは、うすぐらくなってきたはうか、つのるのだ。「もういい えだ えだ

7. 神かくしレストラン

岩倉 岩崎 いわくら いわさき 千春 京子 ちはる きようこ 岡野久美子 おかのくみこ おざわ 小沢 けんもち 剣持 すぎもと 杉本 つねみつ 常光 ふじ きよ 冫月子 ひろ 弘子 えい 栄子 徹 とおる 藤かおる まったに 松谷みよ子 みずたに 水谷 みやかわ 宮川 もちづき 望月 吉沢 よしざわ しようぞう 早 ひろ 正子 和夫 まさこ かずお 執筆者紹介 ( 50 音順 ) 日英の民話を研究。共著に『世界の愚か村話』 『夢で田中にふりむくな』など。 著書に『シラサギ物語』『鯉のいる村』『花咲か』 『あかまんまとうげ』『花に暮れて』など多数。 東京・小平を中心に民話を採集。共著に『小平 著に『佐渡の伝説』など民話論多数。 著書に『民話の再発見』『民話の心と現代』、共 信海太の夏』『てんにんのよめさま』など。 著書に『ちいさな村に汽車がきた』『海ガメ通 き地ぞう』『天使のいる教室』など多数。 著書に『春駒のうた』『夜のかげは、うし』『つば ばん』など。紙芝居も多数手がける。 著書に『たぬきからの手紙事件』『きようも星 のにしき』「あかちゃんの本」シリーズ等多数。 著書に『現代民話考』『龍の子太郎』『やまんば すこ』『くらげほねなし』など。 著書に『上総の民話』『くらっこ』『へつぶりむ 『妖怪図鑑』など。 民俗・ロ承文芸を研究。著書に『学校の怪談』 の民話』『世界の妖怪たち』など。 日独の民話を研究。共著に『ガイドブック世界 王』『ピノキオ』『三つのオレンジ』など。 日伊の民話・児童文学を研究。著書に『クリン らのおくりもの』『高崎のむかしばなし』など。 群馬を中心とした民話を採集。著書に『あの世か ちょっと昔』『ちょっと昔』など。

8. 神かくしレストラン

って、この子をしつかりかかえていた。気がついたら、どこかの森の中 にいたのさ。そこからあてもなくあるきだしたんだけど、ここをみつけ るまでに、三日もかかってしまった」

9. 神かくしレストラン

第絵龜ぎ一 \ り、ロ ク召 0 ・召 0 刀 0 い s.. Ⅱ 0 日

10. 神かくしレストラン

水谷章三 げんだいみんわこう かつばてんぐかみ まったに 『現代民話考①河童・天狗・神かくし』 ( 松谷みよ子 / ちくま文庫 ) という本には、 はなししりよう いつばいつまってし ほんとうにあったふしぎな話の資料が、これでもかというほど、 ます。 はなし 「神かくしレストランかできたわけ」のもとになった話も、その中にあるのです。ま はなし かみ はなし てんけい さにはんとうにあった、八十年まえの話。そして「神かくしの話」の典型といってよ はなし と、つきよ、つ いわてけんもりおか しんかんせん じかんはん い話です。いまでこそ、岩手県盛岡から東京まで、新幹線「はやてーは二時間半く とうじ きしゃ うえの もりおか きゅうこう らいでかけぬけますが、当時の汽車では、上野から盛岡まで急行で十四時間十九分。 もりおかしようじよ とうきようにし えき その盛岡の少女が、ある日いきなり、東京の西のはすれにちかい小さな駅にあらわ し れたというのです。ふしぎというほかありません。人が、ある日いきなりゆくえ知れ かみ すになってしまって、どうしてもみつからない これが「神かくし」です。 しんかいてん このたび新開店の〈神かくしレストラン〉、おはいりになると、すぐ目につくのが、 かみ かみ こ ぶんこ じかん ふん 1 54