マリーア - みる会図書館


検索対象: 神かくしレストラン
6件見つかりました。

1. 神かくしレストラン

ほんき かぜ れたけれど、つむし風のことになると、だれも本気にするものはなかっ かぜ マリーアは、何日かひとりでかんがえこんでいた。もう、つむじ風の ことしか、かんがえることはできなかった。 ひろば けっしん ある日、マリーアは決心して、広場にでた。木の下でしんばうづよく かぜ まっていると、日がくれるころ、さっと風かふいてきたとおも、つと、と っせん、うすをまきはじめた。うすは大きくなり、空にむかってのばろ うとしている。マリーアはおもわす、うすの中にとびこんだ。 マリーアもいなくなったと、おおさわ 村では、トニーノだけでなく、 ぎになった。村の中はもちろんのこと、ちかくの森の中も、すこしとお なんにち 8 6

2. 神かくしレストラン

かぜ かぜ し風ができるんだよ。風がまきあげる葉っぱがおもしろくて、おっかけ てたんだ。そうしたら、きゅうにトニーノかいなくなっちゃったんだ マリーアは、村のはずれまでさがしてみたが、トニーノはみつからな かった。 った マリーアは、ふるくからの言い伝えをおもいだした。小さないたすら ようせい かぜ かぜ 妖精の「つむじ風こぞう」が、どこからかやってきて、つむし風をおこ して、その中に子どもをまきこんで、つれさることかあるという でんせつ 「そんなこと、ただの伝説だとおもってたけど、もしかして : おっとし かぞく はやくに夫に死にわかれて、ほかに家族のいなかったマリーアには、 そうだん きんじよ とくに相談する人もなかった。近所の人たちも、あちこちさがしてはく 0 7 6

3. 神かくしレストラン

「よくかえってきたねえ」 人びとはロぐちにいいながら、マリーアにかけよった。 しんばい 「ありかとう。心配かけてしまって : それから、マリーアはゆっくりはなしだした。 かぜ 「つむし風の国にいってたんだよ。みんなはしんしないかもしれないけ かぜ った ど、ほんとうだよ。言い伝えをしんしてみる気になったのさ。つむし風 せかい の中にとびこんだんだよ。そこには、こっちの世界の子どもくらいの、 小さい人たちかくらしていて、この子もそこでみつかったのさ」 むらびと 村人たちは顔をみあわせ、先をうながした。 せかい 「きっとその国は、この世界のうらかわにあるんだろうね。なにもかも、 かお 7

4. 神かくしレストラン

くの山の中も、手わけしてさがしたが、どこにも手がかりはなかった。 わだい そのうち、マリーアとトニーノのことを話題にする人もいなくなり、 ふたりは、村人たちから、わすれさられてしまったようだった。 一年もたったころだった。ある日、ひとりの女が村にあらわれた。男 の子もいっしょだった。うすよごれた服をきて、つかれきったようすだ むらびと 村人か、ひとり、ふたりとあつまってきて、女のまわりをとおまきに した。そのうち、ひとりがさけんだ。 「マリーアしゃないかい。それに、その子はトニーノだね」 「どこへいってたんだいー むらびと ふく 7

5. 神かくしレストラン

つむじ風の国に いった子ども ち - ほ、つ イタリアのトスカーナ地方の村でのこと。 ゅうがた さいむすこ ある日、夕方になっても、五歳の息子のトニーノがかえってこないの で、心配になったマリーアは外にでて、あたりをさがしてみた。 いえ さっきまで、子どもたちのにぎやかな声がしていたのに、みんな家に かえったとみえて、だれもいない もしかして、いっしょについていったのかもしれないとおもって、な しんばい かぜ そと こえ けんもちひろこ

6. 神かくしレストラン

かよしのフランコの家にいってみた。 「トニーノ ! もう、おそいからかえっておいで」 こえ かお 外から声をかけると、フランコが顔をだした。 「あら、フランコ、トニーノはいっしよしゃなかったの ? 」 すると、フランコかいった。 「おばさん、トニーノはかえってないの ? きゅうにいなくなったから、 家にかえったのかとおもってたんだけど」 「あんたたち、どこであそんでたの ? なにしてたの ? 」 ふあん マリーアは不安になって、たたみかけるようにフランコにきいた。 ひろば かぜ 「広場の木の下であそんでたんだ。ときどき風がふいてね。小さなつむ そと 6 6