こんざい ゅめげんじっ きみようこわ か。おくられた一枚の布がひきおこすできごとから、夢と現実が混在した奇妙な怖さ みらいおっと ねんご がせまってきます。子どものときにうらなった未来の夫と十年後にであう「おまえ し力し けつまっ せんめんき しようちゅう だ」は、洗面器におとしたカミソリが意外な結末をともなってかたられます。小中 げんだい かいだん がくせい じかん 学生のあいだでよくしられている現代の怪談のひとつです。「リプレイ」は、時間を かいだん あともどりさせるというュニークな屋談です。しかし、魔法のとなえごとにもおもわ あな お えいえんきようふ ぬ落とし穴がありました。はたして「ばく」は永遠の恐怖からぬけでることができる さい」 じぶんし のでしようか。「白い手」は、なにげなくめくったアルバムの最後に、自分の死に顔 はっそう がうつっていたという発想がとても怖い。レストランにやってくるお客さんか、なめ さつじん くじゃとかげだという「おばあちゃんの殺人レストラン」は、あやしいふんいきをた たえた話です。 ぬの こわ まほう きやく がお 1 41
そのとき、車しようか検札にきた。 きやく きつぶ 「お客さん、切符をみせてください」 へんじ ところが、死んだ人だから返事をしない きやく 「お客さんー こえ へんじ しんぶん なんべん声をかけても、返事もしないで、ゆうゆうと、新聞をよんで しゃ いる。車しようは、はらをたててしまった。 「いいかげんにしてくださいよー ちちおや と、ちょっと力をいれてゆすった。ところか、父親のからだは、 と、大きくゆれてたおれた。目をむいたまま、つごかない 「あれえ、死んでしまった : しゃ けんさっ 1 1 5
どま しいさまか、なにかいおうとしたそのときだ。土間でねていた犬が、 いきなり男にむかって、はげしくほえたてた。 うーわんわんわん おそろしいものでもみるように、あとすさりしなから、はげしくほえ たてる。 「これ、これ、お客さんにむかって、なんだ。これ、しすかにしないか」 しいさ亠まか、し ) くら犬をしすめようとしても、むだだった。 そのさわがしさに目をさました男の子が、おくの部屋から、目をこす りこすり、しいさまのところへやってきた。 いきなり、まるで火がついたようになきだした。 きやく 6 3
AJ たびびと てから、ひとりの旅人が戸をたたいた。 「こんはんは わかもの ぐちと 入り口の戸をあけると、りつはな身なりをした若者がたっていた。 「ようこそ、だんなさまー ものしなさだ たびびと ふうふ この夫婦ときたら、旅人の持ち物の品定めにいっしようけんめいで、 きやくかお お客の顔などろくにみやしない へやあんない にもっ しゅじんわかもの 主人は若者の荷物を手にとり、さっそく部屋に案内した。 「ささ、どうぞ。ちょうど部屋もあいております」 おかみさんもにこやかにいった。 「おっかれでしよう。すぐにおやすみになれますよ」 へや も み 7
ぽんあし ばん よ・かみとも つきません。妻にのろわれた夫が、月夜の晩に夜神の供をしながらきえていく「白い げんそうてきせかい ぶきみ マフラー」は、幻想的な世界の中にそこしれぬ不気味さをただよわせています。この さくひん すずきとうぞうし さどむかしばなししゅう しようかい 作品のもとになった「月の夜ざらしは、鈴木棠三氏が『佐渡昔話集』で紹介し はなし たとてもめすらしい話です。 ししゃ いちぶ 死者が、きりとられたからだの一部をもとめてやってくる「おまえかくった ! 」は、 ししゃ さいこ きようふ まよなかおうじよ 死者がはなっ最後のひとことで恐怖がいっきにふくらみます。「真夜中の王女」は、 はなし しんこうしん しれん イタリアにったわる話で、信仰心にあつい兵士が試練をのりこえて幸運をつかむスト 0 あくま ききいつばっ ばめん 王女にとりついた悪魔の手から危機一髪のところでのがれる場面のくりかえ 1 ぽんあし はなしおんがくしつ しがスリルにみちています。「一本足のワルツ」は、ロシアの話。音楽室でおどる一 当、力い ころ がつ、」う きぞくやしきあと がつ、」う 本足はなんとも奇怪ですが、学校がじつは殺された貴族の屋敷跡だというのは「学校 しきち かっせんじよう よなか むしゃ の敷地はむかし合戦昜ごっこ、 上オオだから夜中によろい武者があらわれる」という、わ がっこうかいだん が国の学校の怪談などともちかいものをかんします。 さい′」 ひみつ 「オオカミのひかる目」は、おじの最期の秘密がししゅうにこめられているのだろう 0 おうじよ つま よ おっと つきょ こう、つん
もそのあとにつづい 「おつ、こっちへくるぞ」 「どうしよう」 まど こ、つけい おれたちは窓ガラスに鼻をくつつけるようにして、ふしぎな光景をく ぎようれつ きようしつ しいるようにみていた。きみような行列はおれたちの教室のすぐとなり へや までくると、まるで部屋にすいこまれるよ、フにすかたをけした。 あんなところに入り口なんてないのに、どこへきえたんだろう。そん おんがく なことをかんかえていると、そのうちきれいな音楽がながれてきた。お きようしつ おんがくしつ れたちの教室のとなりは音楽室で、ふるいピアノが一台おいてあり、ギ がっき ターやバラライカなどの楽器もあった。 ぐち
おんがくしつ おれたちは顔をみあわせて、そっとろうかからとなりの音楽室へいっ じようまえ てみた。ふるい木のドアにはいつものようにがんじような錠前からさ がっていて、きっちりかぎかかかっているのに、中で人のうごきまわる 気配がする。 こ、ってい 「校庭にまわってみよう」 まど こうてい おんがくしつ あしおと 足音をしのばせて校庭にでて、窓から音楽室をのぞきこんだ。 「ヒャーツー おれたちはいちもくさんににげだした。なにをみたのかって ? ワル ッさ、ワルツをおどっていたのさ。白ずくめの人たちにましって、一本 ツーって : 足がツー かお ぼん
月のうつくしい夜にかりとって、月のうつくしい夜に、糸にする。月の よるぬの うつくしい夜にその糸で機をおる。月のうつくしい夜に布をたって、月 よる のうつくしい夜に、着物にぬって、月のうつくしい夜に、おまえのてい しゅにきせなさい そのおよめさんは、いわれたとおりにして、とうとう一枚ぬいあげた のね。そうして、 きもの 「おまえさん、着物ができたよー おっと って、夫にきせたんだって。すると夫はその着物をきたまま、ふらりと ど でかけて二度とかえってこなかったんだって。 しんばい ぬま およめさんはさすがにむ配になって、また沼のばあさまのところに よる よる きもの おっと きもの よる よる 4 4
あしおと その足音は、しだいにちかついてきた。 「おれの足をかえせー」 その晩、よくねむれなかった木こりは、おどろいてとびおきた。 コッコッコッ あしおと へや 足音は、木こりとおかみさんの部屋のまえで、びたりととまった。 「おれの足、おれの足をかえしてくれ , そういいなから、つえをついた男か部屋にはいってきた。 あたま も、フふ 木こりはひと目で、あの男だと気がついて、頭から毛布をかぶると、 がたがたふるえていた。 「おれの足、おれの足をかえせ ! 」 ばん 1 〇 2
レストランでだすのは、ビール、 にほんしゅ 日本酒、ワインかな。ばくはびんを かかえて、トクトク、ついであげ る。四歳のポーイだよ。 そうすると、やってくるんだよ、 きやく お客さんが。それもね、ひどいん だ。赤ちゃんもいつばいくる。うう ん、ミルクはなし。ビールなんてよ ろこんでのむぜ。チビのくせに。 食べものはなにかって ? ペチュ 121