月のうつくしい夜にかりとって、月のうつくしい夜に、糸にする。月の よるぬの うつくしい夜にその糸で機をおる。月のうつくしい夜に布をたって、月 よる のうつくしい夜に、着物にぬって、月のうつくしい夜に、おまえのてい しゅにきせなさい そのおよめさんは、いわれたとおりにして、とうとう一枚ぬいあげた のね。そうして、 きもの 「おまえさん、着物ができたよー おっと って、夫にきせたんだって。すると夫はその着物をきたまま、ふらりと ど でかけて二度とかえってこなかったんだって。 しんばい ぬま およめさんはさすがにむ配になって、また沼のばあさまのところに よる よる きもの おっと きもの よる よる 4 4
TTTIA 「 あいつ、ってだれだって ? うふ、おしえてあげない。もしかして、 かんぜんはん わたしをうんでくれた人かもよ。うそうそ、うそよ。おしえたら完全犯 罪しゃなくなるものね。 よる 月のうつくしい夜に け . いレ」や 毛糸屋さんから、毛糸の かせをかってきて、 月のうつくしい夜にまいて 毛糸の玉にして、わたし、 いまあんでいる。青い月の ひかり 光のふりそそぐべランダで。 よる 7 4
マッサツできるから。 しんけい ただね、なまけものじゃだめよ。努力がいるの。せんさいな神経、つ うのかいるの。わたし、やるわ。 ではここで、「月の夜ざらし」がどういうお話か、おしえてあげる。 むかし、よ。 あるおよめさんが、おむこさんをきらいになったの。どこがどうって いうんしゃないけど、いやなの。そういうことあるよね。 そうだん ぬま そこで沼のはあさまのところに、目炎にいった。するとこ、つおしえて くれたの。 「月のうつくしい夜に麻のタネをまき、月のうつくしい夜に水をやり、 よるあさ どりよく はなし よる
ばんまよなか いったら、月のうつくしい晩、真夜中に、 つじ 村の辻にたっておいで、といったのね。 まよなか そこで真夜中、そこへいってたっていた ら、夫かすうっとあるいてくる。およめ さんかいるのに、気がついているのか いないのか、そのよこをすうっととおり こえ - 。ながら、ひくい声でいうんだって。 月の夜ざらししらで着て よがみとも いまは夜神の供をする おっと
おとうさんは、あわててインドにでかけていきました。 いこっ ほ、っそ、つ そして遺骨といっしょに、ちゃんと包装してだすはかりになっていた つつ 包みをもってかえりました。ホテルのつくえの上にあったそうです。わ てがみ たしあての手紙もついていました。 まんげ・つさいこう そうげん 「満月は最高だった。草原のむこうからでた月が中天にかかるまで、 かんこうきやく 月だけをみつめていた。気がついたら、まわりにいた観光客はホテ ルにひきあげており、村の人もひとりもいなくなっていた。 ちへいせん ひかりれつ かえろうとすると、地平線にてんてんと光の列がならんでいた。ホ タルだろうか。それにしてはちかちかしない。なんとオオカミの目 だった。オオカミはひとりのこってたおしさんめがけて、じりしり ちゅうてん
怪談レストラン 3 殺人レストうン 怪談レストラン編集委員会・責任編集松谷みよ子 絵たかいよしかす 1996 年 8 月 10 日第 1 刷発行 2006 年 8 月 4 日第 24 刷発行 発行所・・・・・・株式会社童心社〒 1 1 2 ー 001 1 東京都文京区千石 4 ー 6 ー 6 容 03 ー 5976 ー 4181 [ 代表 ] 03 ー 5976 ー 4402 [ 編集 ] 印刷・・・・・・株式会社光陽メディア製本・・・・・・株式会社ハッコー製本 ◎ 1996 Miyoko Matsutani, Toru Tsunemitsu, Shozo Mizutani, Hiroko Kenmochi, Nobuo Sakurai, Shinzaburo Mochizuki, Kyoko lwasaki, Eiko Sugimoto, Mihoko Takatsu, Yoko Yaoita, Kumiko ()kano, Kimiko Saito, Kiyoko Ozawa, Kazuo Yoshizawa, Yoshikazu Takai published by DOSHINSHA, printed in Japan ISBN4-494-00469-3 NDC913 144P 17.3x 12.3cm インターネットホームページ http://www.doshinsha.co.jp/
台いマフラー わたしは月の光がふりそそぐべランダで、白いマフラーをあんでいるの。 だれのマフラーか、って ? ふふふ、ないしょのないしよ、ひみつよ。だれにもおしえない そしてね、ここでこうやって、マフラーをあんでることも、ひみつ。 だれにもみられないように。みられてはいけないの。 さつじん だってこれは、殺人のためなんですもの。 ひかり まったに 松谷みよ子 こ 4
ある日わたしは、古本屋で 一さつの本をみつけたの。 さつじん 『たのしい殺人のすすめ』 って、そういう本よ。うらを ひやくえん みたら百円。 わたしは百円だしてかったわ。 べんきよう 勉強しているふりをして、よみふけった。 さつじん そして、殺人のすすめ、第十三話「月の夜ざらし」をえらんだ。血をな がすこともなく、死体のしまつをすることもなく、あいつをこの世から ひやくえん したい ふるほんや
まも くと、お守りになるそうだ。 そらノげ・ん あしたも草原にいく。月もし わたしはその布をベッドのわきのかべにはりました。 こいあい色か、下にいくはどうすくばかしになっていて、インドの夜 そ , つ、けん いろあ の空の色合いです。わたしはインドの草原にいるような気がしました。 こえ まよなか その夜でした。真夜中ごろ、けもののうなる声でわたしは目をさまし かがみ ました。なんと、かべの下のはうにならんだ小さな鏡がぎらっとひかっ じめん ているではありませんか。はっとみなおすと、オオカミがびったり地面 み におなかをつけて、ひくく身がまえているのでした。 よる ぬの ) いけど、オオカミのひかる目かみたい。 おじさんより」 よる 5 5
・叟瀬第 N X ニュ - シま 7 よ・すすあ料 ・おまえだ / 常光 十年もののワインにびったり。《 : 、リでそぎおとした生ハム。 ・とうげの一けん家 / 吉沢和夫 血だらけのおねえさんがつくる煮こみうどんは、子どもと大にしかたべ ・白いマフラー / 松谷みよ子・ うつくしい月の光をあつめてつくった、殺人の味をおためしください。 ・オオカミのひ、る目 / 岩崎京子・ .. 真夜中にたべるのがスリリング。オオカ、 玉焼き。 一本足のワルツ / 斎藤 ロシアの貴族がこのんでたべたという ? 骨つきステーキは人間の足・・ ・おままごと / 望月新三郎・ 春の花でつくったサラダには、血のドレッシングがびったり。 夜示の王女 / 剣持弘子・ 死女がつくる ? 本場イタリアのカニです。 ・春の日のふしぎ / 水谷章ニ この料理をたべると、きおくがなくなってしまうのです・・・ ・おまえゞくった ! / 高津美保子・ 、、イツ風ステーキは、だれの肉でしよう ? おいしいおー みち し冒す ・池のふちの道 / 桜井信夫 おばれそうなほどたつぶりの、つめたいスープ。 米ギ廿、、一ト * どきっ / としてあま ~ い特製デザート。おすきなはうをどうぞ。 さんどころ 三度殺された死体 / 八百板洋子・ ・おばあちゃんの殺人レストラン / 松谷みよ子・ ・ 33 41 4 0 . 。 6 ほ・んあし はる 川 5