ぽんあし ばん よ・かみとも つきません。妻にのろわれた夫が、月夜の晩に夜神の供をしながらきえていく「白い げんそうてきせかい ぶきみ マフラー」は、幻想的な世界の中にそこしれぬ不気味さをただよわせています。この さくひん すずきとうぞうし さどむかしばなししゅう しようかい 作品のもとになった「月の夜ざらしは、鈴木棠三氏が『佐渡昔話集』で紹介し はなし たとてもめすらしい話です。 ししゃ いちぶ 死者が、きりとられたからだの一部をもとめてやってくる「おまえかくった ! 」は、 ししゃ さいこ きようふ まよなかおうじよ 死者がはなっ最後のひとことで恐怖がいっきにふくらみます。「真夜中の王女」は、 はなし しんこうしん しれん イタリアにったわる話で、信仰心にあつい兵士が試練をのりこえて幸運をつかむスト 0 あくま ききいつばっ ばめん 王女にとりついた悪魔の手から危機一髪のところでのがれる場面のくりかえ 1 ぽんあし はなしおんがくしつ しがスリルにみちています。「一本足のワルツ」は、ロシアの話。音楽室でおどる一 当、力い ころ がつ、」う きぞくやしきあと がつ、」う 本足はなんとも奇怪ですが、学校がじつは殺された貴族の屋敷跡だというのは「学校 しきち かっせんじよう よなか むしゃ の敷地はむかし合戦昜ごっこ、 上オオだから夜中によろい武者があらわれる」という、わ がっこうかいだん が国の学校の怪談などともちかいものをかんします。 さい′」 ひみつ 「オオカミのひかる目」は、おじの最期の秘密がししゅうにこめられているのだろう 0 おうじよ つま よ おっと つきょ こう、つん
「うん、それらしい男なら、ついさっき、たしかにきたが、またあらし の中へでていった。きっとむこうの村へおりていったにちがいない いったいぜんたい、なにがあったというんかの . ころ 「いや、しつは、夜の八時ごろ、あっちの村で、わかいむすめが殺され てな、顔じゅう血だらけにして死んでおったんだ。その犯人らしい男か、 みち どうも、このとうげ道をのばってきたらしいので、あとをおってきたと いうわけなんだが。 いや、どうも、おこしてしまってすまなかったな」 おまわりさんは、男のあとをおうようにしてとびだしていった。 じいさまは、すっかり気持ちがしすんでしまって、すぐにねる気には かお よる はんにん 9 3
どま しいさまか、なにかいおうとしたそのときだ。土間でねていた犬が、 いきなり男にむかって、はげしくほえたてた。 うーわんわんわん おそろしいものでもみるように、あとすさりしなから、はげしくほえ たてる。 「これ、これ、お客さんにむかって、なんだ。これ、しすかにしないか」 しいさ亠まか、し ) くら犬をしすめようとしても、むだだった。 そのさわがしさに目をさました男の子が、おくの部屋から、目をこす りこすり、しいさまのところへやってきた。 いきなり、まるで火がついたようになきだした。 きやく 6 3
三殺された死体 あねけっこんしき きゅうこうれっしゃ ある兄弟が、姉の結婚式にでるため、オリエント急行列車にのって、 ちちおや ちちおや 父親といっしょにでかけた。父親といってもだ、わかくはない。もう、 だいぶ、年をとっていた。 ながたび 長旅のつかれのせいか、むすめの相手をみてカッとなったのか。 し けっこんしき ちちおや しんぞうほっさ とっぜん、結婚式のとちゅうで、父親が、心臓発作で死んでしまった。 きようだい ちち 兄弟はこまってしまい、みんなに気つかれないように、そっと、父 さんどころ きようだい したい あいて 0 ロロ やおいたようこ 八百板洋子 1 1 2
し力し れいてき にほんかいだんしゅう こんのえんすけ いるそうです ( 今野圓輔『日本怪談集』 ) 。子どもには、霊的なものをみたり、異界と し こ、つしん のうりよく 交信できる能力があるのでしようか。「おままごと」でも、ウメはあちゃんの死をし はる はなし らないひろみが、まるでそはにいるかのようにおはあちゃんと話をします。「春の日 こうど、つ りカい のふしぎ」も、おとなには理解できない子どものふしぎな行動をえがいたものです。 ころ わかものじっ よく いえ ふうう さつじんやど 「殺人宿」では、欲ふかい夫婦が家にとめた若者を実の子としらすに殺してしまう。 ふうふ たびびとあや わが子としったときのなげきのふかさは、それまで旅人を殺めてきた夫婦の罪のふか みごろ たいけん さにつうじているといえるでしよう。過去のくらい体験から、息子を見殺しにしてし むねん まった「池のふちの道」には、くやんでもくやみきれない無念さがのこります。いっ ちちおや 「たすけて」というさけび声をおもうと までも父親の耳の底にひびくにちがいない、 き、あらたな布さがわきあがってきます。 どころ じぶんころ したい 「三度殺された死体」は、自分が殺したとかんちがいした人たちがくりひろげるゆか あいて じぶん したい はなし にほんみんわ いな話です。日本の民話の中にも、死体をべつの人物のところにはこび、相手に自分 きようみ はなし ちえあどの ころ が殺したとおもわせる「知恵有り殿」という話があり、この話とよくにていて興味が こわ そこ みち じんぶつ はなし むすこ ごえ つみ 1 39
・叟瀬第 N X ニュ - シま 7 よ・すすあ料 ・おまえだ / 常光 十年もののワインにびったり。《 : 、リでそぎおとした生ハム。 ・とうげの一けん家 / 吉沢和夫 血だらけのおねえさんがつくる煮こみうどんは、子どもと大にしかたべ ・白いマフラー / 松谷みよ子・ うつくしい月の光をあつめてつくった、殺人の味をおためしください。 ・オオカミのひ、る目 / 岩崎京子・ .. 真夜中にたべるのがスリリング。オオカ、 玉焼き。 一本足のワルツ / 斎藤 ロシアの貴族がこのんでたべたという ? 骨つきステーキは人間の足・・ ・おままごと / 望月新三郎・ 春の花でつくったサラダには、血のドレッシングがびったり。 夜示の王女 / 剣持弘子・ 死女がつくる ? 本場イタリアのカニです。 ・春の日のふしぎ / 水谷章ニ この料理をたべると、きおくがなくなってしまうのです・・・ ・おまえゞくった ! / 高津美保子・ 、、イツ風ステーキは、だれの肉でしよう ? おいしいおー みち し冒す ・池のふちの道 / 桜井信夫 おばれそうなほどたつぶりの、つめたいスープ。 米ギ廿、、一ト * どきっ / としてあま ~ い特製デザート。おすきなはうをどうぞ。 さんどころ 三度殺された死体 / 八百板洋子・ ・おばあちゃんの殺人レストラン / 松谷みよ子・ ・ 33 41 4 0 . 。 6 ほ・んあし はる 川 5
じぶんころ 車しようは、自分が殺してしまったとおもいこみ、あわてふためいた。 ちちおや しそいで父親をおこし、もとのように窓によりかからせ、こっそりコン ートメントをでた。 えき にもっ つぎの駅で、わかい男が、大きな荷物をかかえてのりこんできた。男 にもっ まどがわ は、荷物をたなの上にあげようとして、よろめいて、窓側にすわってい ちちおやあたま た父親の頭の上におとしてしまった。 ちちおや 父親が、目をむいて、がつくりたおれた。そのままうごかない オだいしようぶですか 男がだきおこそ、つとすると、息もとまっている。 ころ 「どうしよう、おれが殺してしまったんだろうか . しゃ 1 1 7
おれたちは用務員のミーシャおじいさんのところへすっとんでいっ て、わけをはなした。ミーシャおじいさんはおれたちの顔をじっとみつ はなし めて話をききおわると、ふうと大きなため息をひとつついて、ゆっくり 口をひらいた。 きぞく がっこう 「じつはな、むかし、この学校はある貴族のお屋敷だったんだよ。その きぞく ばしゃ レ J , つかい ころはよく舞踏会がひらかれ、きかざった貴族たちが馬車でやってきて、 やしきあるじころ それはにぎやかだった。ところかあるとき、この屋敷の主が殺されると じけん こ、ってい いう事件がおきた。ほら、校庭のすみに大きなスギの木が一本たってる ころ じゅ、つ だろう。あの木につるされて、銃でうち殺されたんだ。それからまもな やしき カっこ , っ 一家はどこかへひっこしていき、お屋敷がおまえたちの学校になっ いっか ようむいん やしき かお
みつかった。服のそでには、べっとりと血がこびりついていた。 ふどうさんやとち しら あとの調べでわかったのだが、ウメはあちゃんは不動産屋に土地のこ ふどうさんやころ とでおどかされていて、その不動産屋に殺されたということだった。 いえ それから、となりの家はガランとしてすむ人がいない
ふうふ 夫婦はおもいがけず、大金を手にい れた。それからというもの、欲に目 たびびと かくらみ、つぎからつぎへと旅人を ころ したい 殺し、金をうばっては、死体をちか くのあなにほうりこんで、あとはし らん顔をきめこんでいた。なにしろ、 たびびとい力し ここは旅人以外、たすねてくるもの よく ふうふおも もいないのだから、欲はり夫婦の田 5 いのままだった。 よる あるとき、夜もだいぶおそくなっ かお たいきん