台いマフラー わたしは月の光がふりそそぐべランダで、白いマフラーをあんでいるの。 だれのマフラーか、って ? ふふふ、ないしょのないしよ、ひみつよ。だれにもおしえない そしてね、ここでこうやって、マフラーをあんでることも、ひみつ。 だれにもみられないように。みられてはいけないの。 さつじん だってこれは、殺人のためなんですもの。 ひかり まったに 松谷みよ子 こ 4
そして、ふわふわと、とおくへきえていったのね。それつきり。 かんぜんはんざい ね、完全犯罪でしよ。 したい 血もながれす、死体もなく、よ。 だからわたし、いまこうやって、月夜のべランダでマフラーをあんで いるの。 あみあがったら、につこりわらって、あいつにわたす。 「にあうかしら ? まいてみて」 くび あいつは首にまくわよね。そうして、すうっとどこかへきえるわ。 すごい つきょ 6 4
ぽんあし ばん よ・かみとも つきません。妻にのろわれた夫が、月夜の晩に夜神の供をしながらきえていく「白い げんそうてきせかい ぶきみ マフラー」は、幻想的な世界の中にそこしれぬ不気味さをただよわせています。この さくひん すずきとうぞうし さどむかしばなししゅう しようかい 作品のもとになった「月の夜ざらしは、鈴木棠三氏が『佐渡昔話集』で紹介し はなし たとてもめすらしい話です。 ししゃ いちぶ 死者が、きりとられたからだの一部をもとめてやってくる「おまえかくった ! 」は、 ししゃ さいこ きようふ まよなかおうじよ 死者がはなっ最後のひとことで恐怖がいっきにふくらみます。「真夜中の王女」は、 はなし しんこうしん しれん イタリアにったわる話で、信仰心にあつい兵士が試練をのりこえて幸運をつかむスト 0 あくま ききいつばっ ばめん 王女にとりついた悪魔の手から危機一髪のところでのがれる場面のくりかえ 1 ぽんあし はなしおんがくしつ しがスリルにみちています。「一本足のワルツ」は、ロシアの話。音楽室でおどる一 当、力い ころ がつ、」う きぞくやしきあと がつ、」う 本足はなんとも奇怪ですが、学校がじつは殺された貴族の屋敷跡だというのは「学校 しきち かっせんじよう よなか むしゃ の敷地はむかし合戦昜ごっこ、 上オオだから夜中によろい武者があらわれる」という、わ がっこうかいだん が国の学校の怪談などともちかいものをかんします。 さい′」 ひみつ 「オオカミのひかる目」は、おじの最期の秘密がししゅうにこめられているのだろう 0 おうじよ つま よ おっと つきょ こう、つん
こんざい ゅめげんじっ きみようこわ か。おくられた一枚の布がひきおこすできごとから、夢と現実が混在した奇妙な怖さ みらいおっと ねんご がせまってきます。子どものときにうらなった未来の夫と十年後にであう「おまえ し力し けつまっ せんめんき しようちゅう だ」は、洗面器におとしたカミソリが意外な結末をともなってかたられます。小中 げんだい かいだん がくせい じかん 学生のあいだでよくしられている現代の怪談のひとつです。「リプレイ」は、時間を かいだん あともどりさせるというュニークな屋談です。しかし、魔法のとなえごとにもおもわ あな お えいえんきようふ ぬ落とし穴がありました。はたして「ばく」は永遠の恐怖からぬけでることができる さい」 じぶんし のでしようか。「白い手」は、なにげなくめくったアルバムの最後に、自分の死に顔 はっそう がうつっていたという発想がとても怖い。レストランにやってくるお客さんか、なめ さつじん くじゃとかげだという「おばあちゃんの殺人レストラン」は、あやしいふんいきをた たえた話です。 ぬの こわ まほう きやく がお 1 41
・叟瀬第 N X ニュ - シま 7 よ・すすあ料 ・おまえだ / 常光 十年もののワインにびったり。《 : 、リでそぎおとした生ハム。 ・とうげの一けん家 / 吉沢和夫 血だらけのおねえさんがつくる煮こみうどんは、子どもと大にしかたべ ・白いマフラー / 松谷みよ子・ うつくしい月の光をあつめてつくった、殺人の味をおためしください。 ・オオカミのひ、る目 / 岩崎京子・ .. 真夜中にたべるのがスリリング。オオカ、 玉焼き。 一本足のワルツ / 斎藤 ロシアの貴族がこのんでたべたという ? 骨つきステーキは人間の足・・ ・おままごと / 望月新三郎・ 春の花でつくったサラダには、血のドレッシングがびったり。 夜示の王女 / 剣持弘子・ 死女がつくる ? 本場イタリアのカニです。 ・春の日のふしぎ / 水谷章ニ この料理をたべると、きおくがなくなってしまうのです・・・ ・おまえゞくった ! / 高津美保子・ 、、イツ風ステーキは、だれの肉でしよう ? おいしいおー みち し冒す ・池のふちの道 / 桜井信夫 おばれそうなほどたつぶりの、つめたいスープ。 米ギ廿、、一ト * どきっ / としてあま ~ い特製デザート。おすきなはうをどうぞ。 さんどころ 三度殺された死体 / 八百板洋子・ ・おばあちゃんの殺人レストラン / 松谷みよ子・ ・ 33 41 4 0 . 。 6 ほ・んあし はる 川 5
まも くと、お守りになるそうだ。 そらノげ・ん あしたも草原にいく。月もし わたしはその布をベッドのわきのかべにはりました。 こいあい色か、下にいくはどうすくばかしになっていて、インドの夜 そ , つ、けん いろあ の空の色合いです。わたしはインドの草原にいるような気がしました。 こえ まよなか その夜でした。真夜中ごろ、けもののうなる声でわたしは目をさまし かがみ ました。なんと、かべの下のはうにならんだ小さな鏡がぎらっとひかっ じめん ているではありませんか。はっとみなおすと、オオカミがびったり地面 み におなかをつけて、ひくく身がまえているのでした。 よる ぬの ) いけど、オオカミのひかる目かみたい。 おじさんより」 よる 5 5
おれはこしをぬかしそうになって、そばの友だちをつついた。 「お、おい、おまえにもみえるか」 「みえる、みえる ! 」 すずね 丿ンと鈴の音がきこえ、 ふたりか目をまるくしていると、リン、 とつはくやは ばしゃ とうだ うすあかりの中を三頭立ての馬車があらわれた。三頭の白馬はヒヒーン といななき、一本足のまえにドーととまった。 ばしゃ くろ 黒ぬりのりつばな馬車の中から、白い服に身をつつんだ男女がおりて あおじろれんちゅう あおじろ きた。どの顔もまるですきとおるように青白い。その青白い連中が一本 ぼんあし 足のまえにたって、ていねいにおじぎをしたとおも、フと、一本足がくる ふく りとむきをかえた。そしてひょこひょこ、あるきだした。白い服の男女 あし かお ぽんあし ふくみ とも だんじよ だんじよ ぽん
おまえだ けっこんあいて 「ねえねえ、未来の結婚相手をしりたいとおもわない」 きゅうしよく ゅ、フこ はなし 給食をたべているとき、とっぜん裕子がこんな話をもちだしました。 「しりたい、しりたい まっさきに話にのったのは由美です。 「でも、そんなことわかるわけないでしよ」 え よこから、まさ江がつぶやくよ、つにい ) はなし みらい ゆみ し亠ました。 つねみつとおる 常光徹 4 2
説教だんの下にかくれておいで。真 じかん 夜中から一時間だけのしんばうだ。一 時のかねがなったら、でてきてもだい しようぶだよ」 そういうと、老人はすーっときえた。 げんき ジュゼッペはすこし元気をとりもどし て、先をいそいだ。 きょ , フかい しすまりかえった教会の中にはい お , フじよ よこめ ると、王女のひつぎを横目でみながら、 せつきよう 大いそぎで説教だんの下にもぐりこ せつきよう よなか ろうじん
マッサツできるから。 しんけい ただね、なまけものじゃだめよ。努力がいるの。せんさいな神経、つ うのかいるの。わたし、やるわ。 ではここで、「月の夜ざらし」がどういうお話か、おしえてあげる。 むかし、よ。 あるおよめさんが、おむこさんをきらいになったの。どこがどうって いうんしゃないけど、いやなの。そういうことあるよね。 そうだん ぬま そこで沼のはあさまのところに、目炎にいった。するとこ、つおしえて くれたの。 「月のうつくしい夜に麻のタネをまき、月のうつくしい夜に水をやり、 よるあさ どりよく はなし よる