が赤くにごりはしめたのです。 じんへや あい子さんはにげるように自分の部屋にもどりました。 それから十年後。 たいカくそっぎよう しようかい みあ 大学を卒業したあい子さんは、しりあいの人の紹介でお見合いをし あいてだんせい はなし ました。相手の男性はとてもやさしそうな人で、話がはすみましたが、 ただその日はカゼをひいていたのか、大きなマスクをかけていました。 気のあったふたりは、これからのおっきあいを約束してわかれました。 はしめてのデートはとてもたのしくて、あい子さんは相手の男性が、 ますます、すきになりましたが、ひとつだけ気になることがありました。 みあ それは、お見合いのときのように、 この日もマスクをかけてあらわれた ねんご やくそく だんせし 9 2
ことです。 「まだ、カゼがなおらないのですか」 「それでしたら、マスクをとっていただけませんか」 しようらい けっこん おもいきっていいました。将来、結婚するかもしれない相手の顔を ちゃんとみたかったのです。 「いいですよ。でも、こわがりませんか」 「こわがるだなんて , あい子さんは、首をふりました。 「それじゃあー あいて かお 3
「ところが、わかるのよ 「からかわないでよ 「うそしゃないわ」 ゅうこ 裕子がむきになってこたえました。 「ほんとに ? 「もちろんよ , 「しゃあ、おしえて。どうすればいいの」 うしみどき 「それはね、丑三つ時に、ロに刃物を せんめんき くわえて、水をはった洗面器をのぞく みらしあいてかお と、未来の相手の顔がうつるんだって」 0 り 0 ー ~.
おまえだ けっこんあいて 「ねえねえ、未来の結婚相手をしりたいとおもわない」 きゅうしよく ゅ、フこ はなし 給食をたべているとき、とっぜん裕子がこんな話をもちだしました。 「しりたい、しりたい まっさきに話にのったのは由美です。 「でも、そんなことわかるわけないでしよ」 え よこから、まさ江がつぶやくよ、つにい ) はなし みらい ゆみ し亠ました。 つねみつとおる 常光徹 4 2
せん。 「やつばり、ただのうわさだったのか」 かお せんめんき ちょっとがっかりして、顔をあげようとしたときです。洗面器の底に うっすらと人の顔がうきあがってきました。 せんめんき ハッと息をのんだ、そのひょうしに、ちやばんと洗面器の中の顔の上 にカミソリかおちました。 「いけない」 せんめんき ひろいあげようと、手をのばしてぞーっとふるえました。洗面器の水 みらいあいて そうして、しっとみつめながら未来の相手があらわれるのをまちまし ぶん た。しかし、五分たっても十分たってもなんにもかわったことはおきま かお ふん かお そこ
三殺された死体 あねけっこんしき きゅうこうれっしゃ ある兄弟が、姉の結婚式にでるため、オリエント急行列車にのって、 ちちおや ちちおや 父親といっしょにでかけた。父親といってもだ、わかくはない。もう、 だいぶ、年をとっていた。 ながたび 長旅のつかれのせいか、むすめの相手をみてカッとなったのか。 し けっこんしき ちちおや しんぞうほっさ とっぜん、結婚式のとちゅうで、父親が、心臓発作で死んでしまった。 きようだい ちち 兄弟はこまってしまい、みんなに気つかれないように、そっと、父 さんどころ きようだい したい あいて 0 ロロ やおいたようこ 八百板洋子 1 1 2
あくる日、男は息子の相手もしてやらすに、ひとり町へでかけた。か くも えりは、日ぐれもちかくなった。空の雲ゆきかあやしく、にわかにうす かぜ ぐらくなり、つめたい風がふき、雨がばつりときた。 ちかみち 「そうだ、近道があったつけ」 みち みち 林にそってぐるりとめぐる道は、道はばもひろくあるきよいか、とお こみち まわりなのだ。林の中の小道をゆけば、池のふちをとおって、かなりの みち ちかみち しい道ではないし、池のふちはくすれやすい 近道になる。けれども、 ぐち ちかみち 男は、近道の入り口をみつけた。むかしのままだろうか、とおまわり のほ、つかかえってはやいかも、とまよった。 ちかみち いそぐ気持ちが、近道をえらんだ。林の中は、うすぐらかった。し むすこあいて 1 〇 6
し力し れいてき にほんかいだんしゅう こんのえんすけ いるそうです ( 今野圓輔『日本怪談集』 ) 。子どもには、霊的なものをみたり、異界と し こ、つしん のうりよく 交信できる能力があるのでしようか。「おままごと」でも、ウメはあちゃんの死をし はる はなし らないひろみが、まるでそはにいるかのようにおはあちゃんと話をします。「春の日 こうど、つ りカい のふしぎ」も、おとなには理解できない子どものふしぎな行動をえがいたものです。 ころ わかものじっ よく いえ ふうう さつじんやど 「殺人宿」では、欲ふかい夫婦が家にとめた若者を実の子としらすに殺してしまう。 ふうふ たびびとあや わが子としったときのなげきのふかさは、それまで旅人を殺めてきた夫婦の罪のふか みごろ たいけん さにつうじているといえるでしよう。過去のくらい体験から、息子を見殺しにしてし むねん まった「池のふちの道」には、くやんでもくやみきれない無念さがのこります。いっ ちちおや 「たすけて」というさけび声をおもうと までも父親の耳の底にひびくにちがいない、 き、あらたな布さがわきあがってきます。 どころ じぶんころ したい 「三度殺された死体」は、自分が殺したとかんちがいした人たちがくりひろげるゆか あいて じぶん したい はなし にほんみんわ いな話です。日本の民話の中にも、死体をべつの人物のところにはこび、相手に自分 きようみ はなし ちえあどの ころ が殺したとおもわせる「知恵有り殿」という話があり、この話とよくにていて興味が こわ そこ みち じんぶつ はなし むすこ ごえ つみ 1 39
レ ス ン ・ 3 THRILLER RESTAURANT ISBN4 ー 494 ー 00469 ー 5 C 8 2 9 3 \ 6 0 0 E 定価本体 600 円 ( 税別 ) 膩ⅡⅢⅧ IIIII Ⅲ 9 7 8 4 4 9 4 0 0 4 6 9 0 怪談レストランへようこそ 背すじがゾーツとするような ぞんぶん たのしいお話をどうぞ存分 しようみ にご賞味くださいませ とうてんじまん なお、誠に勝手ながら、当店自慢のオリジナルス しんぞう よわ パイスを利かせてございますので、心臟のお弱い - みんりよ かた 方はご遠慮いただいたほうがよろしいかと : かいだん 6 殺レストラン せ まことかって 怪談レストラン集委員会・責任騙集松谷みよ子 絵たかいよしかず はなし 1 9 2 8 2 9 5 0 0 6 0 0 6 背すじが ゾクゾクリ せ ん っ さ レストラン 。 1 ー ` 談レストラン編集委員会 ′青任集松谷みよ子 怪談レストラン 童心社 童心社