「ほんと、ザルからパラバラおとしてるね」 ちょうりだい 小さな草の芽のよう するとびつくりしたことに、木の調理台の上に、 きいろ なものが、つんつんでてきた。みるみる大きくなって、実をつけ、黄色 くみのってきた。 にんぎよう 人形はいつのまにか、こんどはカマをもって、さっさ、さっさと、 かっている。 こむぎ 「あれ、小支よきっと」 こえ ナオミか小さい声でいった。おはあちゃんちでつくっているという。 にんぎよう 人形は、 こむぎ かりとった小支らしいものから、穂をとってパタハタふつ
こな た。そのうち小さな石うすでひきはしめた。白い粉かできた。 こな その粉を、こねはちでこねて、小さなパン焼きがまのところへいれて、 なんとパンをやいたんだー ) いにおいがしてきた。 レストランの女の人は、だまって、きちんといすにすわってすーっと みている。 やがて、木のはちに、できたてのハンがのった。小さな小さなかしハ 2
そこではじめて女の人はたちあがり、ふるい木の箱をだしてきて、人 ぎよう 形もカマもパン焼きがまもぜんぶしまった。 それから、ドアをあけて、小さなすすをちりちりとふった。 トアからとびこんできたのは、ねこだった。しろ、くろ、ぶち、みけ、 まだら : ・・ : 十びきぐら ) しいたかな。 にん
かざられた % うす 魔女のレストランにはいったわたしは、あふれるようにいけてある花 のよこに、うやうやしく小さな石うすかかざられているのをみました。 まじよ 魔女のレストランにはいってパンをたべると、ねこになっちゃうとか、 り・よ、つり・ うさぎになってお料理にされるとか、いろいろきくのよね。ハンがいけ り小、つり・ ないんなら、はかの料理だけたべてみたい。 けっこう、はんじようしているんです。 まじよ ′、ま ノ、た
こえ あんな小さな声かきこえるはすが まほ、つつか ないのに、やつばり魔法使いなんだ。 「ははあ、やつばり魔法使いなんだ、 とおもっているな」 ばくは、ぶるるとふるえた。 もうなにもかんかえない、おもう まいとおもった。すると、 「はう、もうなにもかんかえない おもうまいとおもっているな」 ばくはもうむちゅうで、火おこし ま 6 ほ、つつか 1 〇 5
どようび ねんせい まゆみ へや しゆくだい 土曜日の午後、四年生の真弓はなかよしのミカの部屋で、宿題の しんぶん はんぶん 「かべ新聞」をつくっていました。半分くらいできたときです。 クション へや 部屋のすみのほうから、小さなクシャミがきこえてきました。 まゆみ へや 真弓は手をとめて、あたりをみまわしました。でも、部屋の中にいる 走るおばあちゃん つねみつとおる 常光徹 4 6
一年がすぎ、一一年がたちと年をかさねるうちに、もうむすめは死んだ ものとあきらめました。おもかげをわすれきれないままに、 小さな墓を つくりました。 なんねん あき こうして何年かがすぎた、ある年の秋のことです。 あめかぜ 雨風があれくるう大あらしの日でした。い まにもおれそうにゆれるナ シの木の下に、ひとりのはばがうすくまっておりました。 「こんな日に、なんでまた : かわと いえ と、川戸の家のものは、おどろきあきれながら、なにはともあれ家の中 につれていきました。 けれども、そのははをかこんで、しはらくはことはもでません。ばは 6 7
こむなり、わけをはなした。おはあさんは話をききおわると、大きなた め息をついて、こういった。 「あれもかわいそうなむすめなんだよ。すきな人がいたのに、親の反対 し し けっこん で結婚できなくてねえ、 日にはいって死んでしまったのさ。あんな死に よ かたをしては、あの世へもいけやしない。それでルサールカになってし まった。月のきれいな晩になると水の中からでてきて、しあわせそうな わかもの 若者をさそうのさ」 じゅうじ おばあさんはそれだけいうと、ロの中でなにやらとなえて十字をきり、 レ」 「アーメン」とつぶやいた。そして戸だなの中から小さなびんをひとっ とりだし、ターニヤにわたした。 ばん はなし おやはんたい 9 8
まじよくろ おくをのぞいてみた。いた、やっといた。ほ う ! まるで魔女。黒 ちょうりだい ながい服をきた女の人が、調理台の上で、なにかしている。なんとなく、 まど ぶきみなんだ。外にまわって窓からながめることにした。 「なにしてるんだろ」 「なんだか、おもちゃみたいな、なべとかさ、サルとかさ、あれ、人 、よう 形だ」 まじよ ちょうりだい にんぎよう 魔女みたいな女の人は、調理台に、ことりと小さな木の人形をおいた。 にんぎよう 木の人形は、なんとひとりでうごきだした。サルをもってちょこま か、ちょこまか、台の上をいったりきたりしている。 「あれ、なにかたねまきみたいなことしてるね」 ふく そと にん
かなきごえ かんでとびだしてきて、金切り声をたてながらスリブナモン山のほうへ はしっていった。 いえそと 家の中にはいると、ます、おかみさんは足あらい水を家の外にすてた。 ねるまえに子どもたちの足をあらってやった水だ。 だいどころ まじよ それから台所にいってみると、魔女がやいたハンケーキがあった。 おかみさんはそれを小さくわって、ひとかけすつみんなのロにいれてや った。「息かとまっていても、そうすればちゃんともとにもどるよ」と どせい 井戸の精がいったとおりに、 ンケーキがロにはいると、みんな、すう ねいき すう寝息をたてはじめた。 さい′」 最後に、おかみさんは戸にしつかりかんぬきをかけて、息をころして 1 28