かわと こまりはてた川戸の家では、神につかえるミコさんにたのんで、ごき とうをしてもらいました。ミコさんかいうとおりに、ナシの木をきりた A 」、つ おし、そのあとに「ふうじこめ」のじゅもんをきざんだ石の塔をたてま すると、ばばは、ばったりとこなくなりました。 たび かわと そんなあるとき、旅の人が、川戸の家にたちよりました。 かわと 「川戸のばばの話をききましてなあ」 たび しました。 と、旅の人はい ) たびさき 「旅先で耳にしたことですか、なんでも、むすめが神かくしにあって、 ち 山のもののよめになると、わきの下から血をすわれるそうな。すわれる はなし かみ かみ 8
いえ 日をのばっていくと、ふちをみおろすあたりに、 一けんの家がありま かわと いえ した。村人たちからは、川戸の家とよばれておりました。 でんき あきまっ まだ電気もこなくて、ランプをともしていたころの、ある年の秋祭り の日です。 かわと タぐれせまる川戸の家では、 「おしげよー。おしげは、どこいったあ ふしぎな ' は ' は むらびと さくらいのぶお 桜井信夫 4 7
くばんだ目をしばたいて、ほろりとなみだをながしました。 ひと晩たって、あくる朝、 「ながくはおれんのよ。 いかねはならん」 と、ばはは、いすこへともなく、たちさりました。 まいとし それからというもの、毎年、大あらしの日に、はははやってきました。 大あらしの日をえらんでやってくるのか、ばはがくると大あらしになる のか、わかりません。 むらびと ) ました。 村人たちかいし かわと 。寸じゅ、つ、なんぎをする。こ 「川戸のばばがくると、大あらしになる かわと のさき二度と、川戸のばはがこないようにしてくれ ばん あさ 8
一年がすぎ、一一年がたちと年をかさねるうちに、もうむすめは死んだ ものとあきらめました。おもかげをわすれきれないままに、 小さな墓を つくりました。 なんねん あき こうして何年かがすぎた、ある年の秋のことです。 あめかぜ 雨風があれくるう大あらしの日でした。い まにもおれそうにゆれるナ シの木の下に、ひとりのはばがうすくまっておりました。 「こんな日に、なんでまた : かわと いえ と、川戸の家のものは、おどろきあきれながら、なにはともあれ家の中 につれていきました。 けれども、そのははをかこんで、しはらくはことはもでません。ばは 6 7
はなこ はなこ 朝から晩まで、花子、花子、花 子。花子の手にはひびがきれて、 まっ赤な血がにじんだ。 ある日、井戸のふちで皿をあら っていた花子は、手がかしかんで、 つい手がすべり、皿を井戸の中へ おとしてしまった。 「ああ、どうしよう、どうしよう、かあさんにおこられる あんのじよう、ままおっかさんは、目をつりあげて、ものすごいけん まくで、花子をしかりつけた。 こ あさ ばん さら さら 7 4
竹子のほうをきっとにらんで、 どそこ 「竹子、おまえもこの皿を井戸の底におとして、はあさまから着物だの おび 帯だの、うんともらってくるんだよ」 たけこ 竹子をむりやり井戸の底へおりていかせた。 ひろ ひろいひろい広つばの中の一けん家は、すぐみつかった。竹子はばあ いえ さまの家にあかりこんだ。 あたま 「さあ、頭のシラミをとっておくれ」 「いやだ、いやた、シラミなんかきたない 「じゃあ、かたをたたいておくれ . ほね 「いやた、いやだ、こんな骨だらけのかたなんかー さら そこ きもの 2 5
「おまえがおとしたんだから、おまえが井戸の中にはいって、あの皿を とってこい」 はなこ 花子は、ながいなわを井戸の中にたらして、底へ底へとおりていった。 ひろ と、とっぜん、目のまえがばあっとひらけて、ひろいひろい広つばに きいろ でた。タンポポかいちめん黄色くさきみだれ、スミレやツッジもさいて まど ひろ いえ いた。広つばの中に、ぼつんと一けんの家があって、はあさまが窓から かお 顔をだしておった。 あたま 「おまえはいい子じゃ。こっちへはいって、わしの頭のシラミをとって おくれ」 はなこ あたま 花子は家にあがって、はあさまの頭のシラミをとってやった。 そこそこ さら
0 0 んのせいで、どうすることもできな かった。金しばりにでもあったみた いに、いすにすわったまんま、たち こえ あがることも声をだすこともできな いんだ。 やがて、魔女のひとりがおかみさ んに ) っこ。 「パンケーキをやいとくれよ , ミルクはも、つなかったから、おか みさんは井戸から水をくんでこよう かな まじよ 1 23
ひろ おりていった。ひろいひろい広つばは、どろの雨がざんざんふっていて、 いえ ひろ 家もなにもみあたらない。おっかさんは、手さぐりで、広つばをあるい ていった。そのときだ。 ガラガラガラズッシーン すごい音がして、井戸がくすれおちてしまった。 いえ ままおっかさんは、それつきり、家へかえってこなかったと。 4 5
0 0 。。 90 0000 んざしをくれた。 はなこ 花子は、うつくしい姿で、なん日 いえ ぶりかで家にかえってきた。 土圭 6 で、ど 「おまえは、 ) こへいっていたんだい。それにその すがた さあ、 姿はどうしたっていうんだい。 しようじき 正直においい」 どそこ 花子は、井戸の底のばあさまのこ とをすっかりはなした。 それをきくと、ままおっかさんは、 すがた 5