あたり - みる会図書館


検索対象: 墓場レストラン
18件見つかりました。

1. 墓場レストラン

なかま なんだかかわいそうにおもい 仲間にいれてあげました。 クジをひいたところ、女が一番になりました。 「よかった。じゃあ、おばさんからいくからね . うれしそうにいうと、あたりをみまわし、 「でも、もしなにかあるといけないからー どう とつぶやいて、お堂のそばにおいてあったカマを手にもちました。 女は月のあかりをたよりに、墓地のおくへとはいっていきました。ま こえ もなく、子どもたちの声もきこえなくなりました。あたりはしんとしす くろ はかいし 士り・か、んり、 黒ぐろとたちならぶ墓石のうしろから、ふっとなにかがあ きようふ らわれそうな恐怖におそわれました。しかし、女はお金ほしさにひっし ばん 8 7

2. 墓場レストラン

あさ 朝になると、めぐみはおばさんのところへやってきます。 「おばさん、かみゆわえてー めぐみのかみの毛は、かたのあたりまでものびていて、まえのはうだ けつまんで、ゴムでゆわえていました。おとうさんにはそれができませ ん。 「かみの毛をきって、おかつばにしよう」 おとうさんかいっても、きらせてはくれません。しかたがないので、 となりのおばさんに、ゆわえてもらっています。 かみをとかしてあげなから、おばさんはきよ、つもいいました。 ) つでも、おはさんのところへ、 「ひとりのねんねは、さびしかろう。し 6 8

3. 墓場レストラン

あとひとつ、十五年まえに死んだ祖母の山の上のお墓だけとなりました。 げんき 祖母は、元気なころ、よくいっていました。 「わたしの墓は、うら山のてつべんにつくってもらわなくちゃねえ。あ の山サクラの下あたりにさ。ほんとだよ」 ちちおや それをおもいだして、父親がいいました。 「山のばって、墓はりだすのはおおごとだよなあ。あれだけは、あのま じぶん ばしょ んまでいいだろう。ばあさん、自分でのぞんだ場所でもあるしよ」 ところが、それからまもなくのことです。 あさ いきなりぶるぶるふ わたしの兄嫁のトヨ子さんが、朝ごはんのあと、 るえはじめたかとおもったら、はたっとたおれてしまいました。 あによめ 7

4. 墓場レストラン

かそ , フ。は けつきよく、三年生、四年生は、だれも火葬場までいきつくことがで きなかった。 いよいよ五年生のさとるの番だ。 みち 「道は、さっきいったとおりだからな」 りゅうた みち 龍太かささやいた。はじめての道だ。 りゅうた みち あたま さとるは、龍太がおしえてくれた道を、頭の中でくりかえしながら、 お寺のうら山をのばっていった。あたりはまっくらだ。星はよわくひ かいちゅうでんとう かっているか、月はでていなし ) 。小さな中電灯では、足もとをてら すのがやっとだ。 さかみち しはらくいくと、両わきが墓場になっている坂道にでた。ササのしげ てら ねんせい ねんせい り・よ、つ ねんせい ばん 4 9

5. 墓場レストラン

にしがわ 「ごらん、この村には墓地がふたつある。村の西側にあるこの墓地がド ぼちひがしがわ ィッ人墓地、東側にある、こっちかリトアニア人墓地だ」 ゅび といって指さしながら、はなしはじめた。 ばん ししゃ 「そのにねむる死者たちの霊が、あらしの晩にむかしの友だちをたす みち ねあうんだが、ちょうどこのあたりはそのとおり道になっているんだ」 ぼち ばしょ たしかに、男が家をたてた場所は、ふたつの墓地のあいだにあった。 はなし しかし、そんな話、かんたんにしんじられるものではなかった。 じぶん 「おまえさんは、どうしても自分の目でたしかめないとしんじられない ばん じゃくば みつかご んだね。じゃあ、三日後の晩の十二時、役場のまえでまっているんだ」 そのおばあさんは別れぎわにそういった。 わか とも 1 21

6. 墓場レストラン

きしゆくしゃ 寄宿舎のひと部屋には、三人か四人がいっしょでした。わたしのは へや きたがわ いった部屋は、いちはん北側の日あたりのわるい部屋でした。 じ ばんよなか 三か月ぐらいたったでしようか。ある晩、夜中の二時ごろに、なんと なく目をさまして、ふととなりを見ると、君がいません。 よなか いったのだろう こんな夜中にどこへ じ 気になってねむれすにいると、四時ごろでしたか、かたっとドアがあ いて、すうーっと君がはいってきてふとんにはいりました。 しゅうさい いちもく カ′、せい 君はたいへんな秀才で、先生たちも一目おいている学生でした。 かおいろ あおじろ ですか、からだはやせこけて、顔色はろうのように青白く、それにいっ はいけつかく も、ごはん、ごはん、とせきをしていました。肺結核だったのです。み エーくん エーくん せんせい エーくん へや 6

7. 墓場レストラン

こえ た。あいかわらす、声がする。 「おまえにひとつ、おれにひとっ : 「な、はんとだろ ? 」 ちちおや むすこ と、息子は父親にいった。 「まあ、まて。もうちょっとようすをみよう」 ちちおや 父親がそういったとき、カキどろばうたちはふくろの中のカキをわけ おわって、いった。 もん 「あとは、あの門のかげのふたつだけだな」 それをきいたふたりは、あともふりかえらすに、にげかえった。 1 31

8. 墓場レストラン

ある日のタぐれ、男がふたりしめしあわせて、カキどろばうにでかけた。 カキの木は村はすれにあった。ひとりが木にのばり、カキの実をもい でおとすと、もうひとりが下にいて、大きなふくろのロをあけてうけと る。そ、つやってふくろかいつばいになっこ。 おまえにひとつ、 おれにひとっ これはイタリアの話。イタリアにもカキの木はあるんだよ。 はなし けんもちひろこ 剣持弘子 1 27

9. 墓場レストラン

あんしん は安心して、はうっとため息をついた。 それから、とちゅうの家までもどって、となりのおかみさんをゆすぶ ると、おかみさんはようやく目をあけた。 「ああ、こわかった。あたしまであの世へひつばりこまれるかとおもっ たよ」 「もうだいしようぶよ。全部すんだから。さあ、かえりましよ」 いえ 家へかえってスーフを牛にのませると、ものしりばあさんがいったと げんき びようき おり、牛はみるみる元気になった。その後、牛たちは病気にかかること もなかったそうだ。 うし ぜんぶ うし 0 4

10. 墓場レストラン

じかん 「この中で山わけしようや。こんな時間、だれもきやしないさ , はかいし 墓石のかげにすわりこんで、カキをわけはじめた。 「おまえにひとつ、おれにひとっ . こえ 声にだしながら、ひとっすつわけていく。 ぼちもん そのうち、カキがふたっ、ふくろからころがりでて、墓地の門のかげ でとまった。そのカキを目でおいながら、手はやすめすに、カキをわけ 「おまえにひとつ、おれにひとつ。おまえにひとつ、おれにひとっ 大きなふくろをかついで、墓地のところまでくると、ふたりは足をと めた。 1 28