くみこ - みる会図書館


検索対象: 墓場レストラン
87件見つかりました。

1. 墓場レストラン

はっこっ わかもの から白骨になった若者がころがりでてきた。 したい ところか、もうひとっ死体があるじゃないか おどろいたのなんのって、わしはきもがつぶれそうだった。 し ま したい ふたつめの死体は、死んでからまだ間もない、みたこともない男だ。 ぎようそう くるしみながら死んだんだろう、みるもおそろしい形相をして、手に はなにかをしつかりとにぎっていた。 かいちゅうでんとう それは小さな中電灯と、くしやくしやになった紙と、ちびたえん びつだった。 紙をひろげてみると、そこにはぐちゃぐちゃの字で、つぎのようにか いてあった。 かみ し かみ 7 4

2. 墓場レストラン

めぐみがみたいんだって、どう ? 」 こえ それはたしかに、おかあさんの声です。 「うん、きってもいい」 めぐみが、こたえています。 「はんとにきってもいいんだね」 「うん」 「かわいいおか「ばにしてあげるからね , ショキンショキン かみの毛をき「ている、はさみの音です。 おばさんのせなかに、ぞくっとつめたい

3. 墓場レストラン

すると、人かげがあらわれるんです。夜ですけどね。 ひとりでたっていることもある。ぞろぞろとあるいていることもある。 それか、うごくというより、ながれていくような、ただよっているよう な、そんなふうで。 あしば 工事がすすむと、足場ができ、どんどんそれがたかくなります。そこ でんき よる し′」と か。かり・ でんき に電気がつくんです。夜、仕事がおわると、係の人がその電気をけして いくんだそうです。 でんき フレーカーをきっていくと、 いくつかの電気がばっときえる。またす すんで、あるところのプレーカーをきると、またきえる。 でんき ところが、きっても、きっても、電気がひとりでにつくんだそうです。 こ、つじ よる

4. 墓場レストラン

はなし にかざられた手」、これはドイツのお話です。 にんげん うしびようき つぎの「どくろのスープ」はイギリスのお話です。牛の病気をなおすのに、人間の きみ はかば どくろを墓場からほりだしてきてスープにしてのませるというのですから、気味のわ るさはすごいものです。 かしじようたい しぼうそくだん むかしは仮死状態を死亡と速断して、墓にうめてしまうことがときどきあったよ はか、もり・ したい じっさい ) ます。「墓守のむか うです。だから死体が生きかえるということも実際あったといし がた し語り」で、双子のうちのひとりが生きかえるのも、けっしてふしぎではありません。 ひっしゃ ちよくせつ これは筆者がお祖母さんから直接きいた話だそうです。 よるきやく はなし きよ、つみ ゅうれいはなし 「雨の夜の客」はタクシー幽霊の話です。この話はよはど興味をそそられるとみえて、 はなしかず 日本だけでなく、外国にもおなじような話が数おおくあるのです。 ふるはなし かんが にほんきゅ、つきよ、ついく せんぜん 「見たな」は戦前からかたりつがれた古い話で、わたしの考えでは、日本の旧教育 こころざし やまい こっかすうようじんっ きたい わかもの 制度の下で国家枢要の人物として期待された若者が、病のために志をとげることな せんご ・カい」んは、け . ) ようせつ く夭折していくうらみが、この怪談の背景にはあったというふうにおもいます。戦後 にほん ふたご はなし 1 39

5. 墓場レストラン

よ ほね ぶきみ はそういう背景はなくなったのですが、夜な夜な骨をかじるという不気味さが、この きようみ 話への興味をその後すっとかきたててきたのでしよう。 げんざい いっしょ そせんかぞく ほね 祖先や家族の骨をあちこちから一か所にあつめるというしきたりは、現在ではもう り・カい はなしきょ , っ 理解できないでしよう。「墓よせ」とはそういうことなのですが、しかしこの話で興 ゅ み そぼれい あによめ 味ぶかいのは、山の上にとりのこされた祖母の霊が兄嫁にのりうつって、ごはんの湯 り・ゅ、つ じぶんぶつぜん 気をすうところですね。わたしなど子どもの時分、仏前にあげたごはんを理由もなく さけたものでした。 カくせいせいかっ きもだめしというのをわかいときにわたしもやらされました。学生生活の中の年 ちゅうぎようじ まもの 中行事みたいなものでした。しかし、もしそこで「墓地にでた魔物」のようなこと ゅうれい がおこったらおそろしいですね。幽霊がでてくるよりもっとおそろしいことです。し はなし じっさい かもこれは実際におこりえる話ですから、ほんと、つにぞーっとします。 さいきん 丿におちて死んだ女の子の もうひとつ「きもだめし」の話があります。つい最近、日 ゅう ゅうれい ほんにん 幽霊とっきあう話ですか、きもだめしをしている本人はそのことをしらないから、幽 はなし はなし よ し ね ん 1 4 〇

6. 墓場レストラン

ぼち かんりにんむすこ そのとき、墓地の管理人の息子が墓に灯をともしにきて、その声をき きつけた。 ぼち こえむすこ さお くらがりの墓地のあやしげな声。息子はまっ青になって、家にとんで かえった。 かみ あくま 「とうさん、とうさん、たいへんだ ! 墓地で神さまと悪魔がたましい をわけあっている」 「おちつけ。そんなわけないだろう。弱虫なやつだな。どれ、わしが いってたしかめてやろう」 むすこちちおやぼち 息子は父親と墓地にひきかえし、門のかげにかくれて、中をうかがっ はかひ もん よわむし こえ 1 3 〇

7. 墓場レストラン

いし にほん にんげんせいかっきせい 話ですが、目にみえないものの意志が人間の生活を規制するという話は、日本でもよ めいしん くききます。たんなる迷信としてかたづけるのはかんたんですが、もっとかんがえて もんだい みなければならない間題がそこにはありそうです。 しゅやく 「おまえにひとつ、おれにひとっ」では、カキが主役をつとめますが、このイタリア にほ , ル ししよく はなしした のカキはじつは日本から移植されたものだそうです。そうかんがえると、この話に親 はなし かいだん しみかわいてきますね。それにこの話は、屋談というにはあまりにもこつけいで、ゆ にほ・ん きよう かいな話です。日本の「ねずみ経」のおもしろさとつうしるものがあるかもしれませ ん。 さい′」 しやしん さいしょ さっえい さて最後の「一枚の写真」です。最初のところで撮影した写真ができあがってきま よふうけい ふうけい どくしゃ した。あの世の風景ってどんなにおそろしい風景だろうとおもった読者もいたことで じぶん しよう。それから先はぜひ自分の目でたしかめてください はなし はなし しやしん はなし 1 42

8. 墓場レストラン

するどい声をあげると、ひったくるようにビンをつかみ、いそいでひ きかえしました。と、そのときです。ひやりと首すしをつめたいものか なでました。 「ひえー ひめ 悲鳴をあげて、いきなりはしりだしました。すると、こんどは、つしろ から、ぎゅっとかみの毛をつかまれました。 「た、たすけて」 あたま くしっとっかんだまま、 頭をふってにげようとしましたが、その手は。 ) はなそうとはしません。女は、 「はなせ。はなすんだー れ、、しゝ こえ 8

9. 墓場レストラン

はやくとおりぬけようと、アクセルをふんだとたん、くらかりから白 いワンピースをきた女の人がでてきて、手をあげました。 よっや 「四谷へおねがいします , こえ のりこんできた女の人は、ほそい声でいいました。 西山さんがそっとミラーをのぞくと、女の人は、じっとシートにもた れていました。 かおいろ : どこかわるいのかもしれないなあ ) ( それにしても、顔色がさえなし なんとなく気になり、ちらちらっとミラーをのぞきましたが、女の人 いってん は、一点をみつめたきりでした。 しんや 西山さんは深夜の雨の中をいそぎました。 にしやま にしやま 2 5

10. 墓場レストラン

と、大声でいいました。 「ええつ。それってもらえるの ! 」 「そうだ。もってきたものにやる」 せんえん 千円がもらえるときいて、みんなの目の色がかわりました。だれもが じゅんばん さいしょ いいだしたので、クジをつくって順番をきめること 最初にいきたいと にしました。子どもたちがクジをつくっていると、いつのまにきたのか、 赤ちゃんをせおった女がちかついてきて、 なかま はなし 「あんたたちの話をきいてたけど、すまないが、わたしも仲間にいれて おくれ。この子のミルク代がほしいんだよ . こえ あわれな声でいいました。やせほそった女の姿をみて、子どもたちは、 おおごえ 十′し すがた 6 7