とおり道 - みる会図書館


検索対象: 墓場レストラン
91件見つかりました。

1. 墓場レストラン

おもった。 とうし でも、牛はどんどんやせていって、とうとう一頭死んでしまった。ほ ヤ」ころ ぜんぶし うっておけば、このまま全部死んでしまう。女は心をきめて、おはあさ んかいったとおりにやってみることにした。 ひとりでいくのはこわいから、女はとなりの家のおかみさんにたのみ きようかい こんで、いっしょにいってもらうことにした。いちばんちかい教会の まよなか 墓地は二キロちょっとのところにある。ふたりは真夜中になるすこしま えに、でかけていった。 ぼち 墓地の入り口までくると、となりのおかみさんはがたがたふるえだし ぐち

2. 墓場レストラン

女はとなりのおかみさんをおぶってあるきはしめたが、おもくてなか なかまえへすすまない。のろのろあるいていたのでは、いちばんどりが なくまでにどくろをお墓にかえせなくなる。しかたなく、女はすぐ先に いえとぐち みえた家の戸口に、となりのおかみさんをおろして、おいていくことに それから家へはしってかえって、大いそぎでどくろをなべにいれて火 にかけた。スーフがにえると、どくろをとりだして、また墓地へはしつ た。どくろをお墓にもどして、シャベルで土をかけて、もとどおりたい らにならしたとき、コケコッコーと、どこかでいちばんどりかないた。 墓地はなにごともなかったように、しんとしすまりかえっている。女 8 3

3. 墓場レストラン

だんじよ 霊とはしらす、生きている女の子とばかりおもってもとのところへかえってきて、友 力いた、ん だちの話をきいてあらためてびつくりぎようてんするという、怪談によくあるタイフ の話です。 あいじよう ははおやゅうれい この世にのこしてきた子どもへの愛情が、母親を幽霊としてこの世につれかえし はなし てくるという、なんとも心あたたまる話が「ショキンショキンと音かして」です。 かいだん にんげんせい 屋談には、こうしたあたたかい人間性をかたる話もあるのです。 はなよめいしよう こ、つつ、つじこ はなよめいしよ、つ みこん 「花嫁衣装」は、ロシアの話です。交通事故で死んだ未婚のむすめの花嫁衣装をつく せんそうせんし ってやって、いわれたとおりになげこんだトラックには、アフガン戦争で戦死した男 いじよ、つし カた みこん 性の死骸がのっていたという、なんともせつない話です。異常な死に方をした未婚の よ しん、」、つ に・はん ぜんやまがた 男女が、あの世でむすばれるという信仰は、日本にもあります。わたしは以前、山形 けんりつしやくじ せんそうはなよめえ せんそうざんこく 県の立石寺で、そうした戦争花嫁の絵をいくつもみて、戦争の残酷さにやりきれない おも 思いがいたしました。 ぼち 「霊のとおり道」は、ドイツ人墓地とリトアニア人墓地のあいだを霊かかようという はなし し力い はなし よ みち こころ はなし し はなし よ とも 1 41

4. 墓場レストラン

かそ , フ。は けつきよく、三年生、四年生は、だれも火葬場までいきつくことがで きなかった。 いよいよ五年生のさとるの番だ。 みち 「道は、さっきいったとおりだからな」 りゅうた みち 龍太かささやいた。はじめての道だ。 りゅうた みち あたま さとるは、龍太がおしえてくれた道を、頭の中でくりかえしながら、 お寺のうら山をのばっていった。あたりはまっくらだ。星はよわくひ かいちゅうでんとう かっているか、月はでていなし ) 。小さな中電灯では、足もとをてら すのがやっとだ。 さかみち しはらくいくと、両わきが墓場になっている坂道にでた。ササのしげ てら ねんせい ねんせい り・よ、つ ねんせい ばん 4 9

5. 墓場レストラン

〈ええ、 しいわ。いまも水車がまわっているかしら〉 すぐ目のまえを、半分すきとおったような白い霊たちが、ひらひらお どるようにとんでいた。 かぜ 目をこらすと、あっちにもこっちにも、風にまいなからたのしそうに すがた おしゃべりする霊たちの姿がみえた。 やくば いえやね リ ,. ッと そのとき、役場のすぐとなりにある家の屋根の一部かノー 音をたてておちてきた。ちょうどしゃれあうようにとんでいったふたっ の霊が屋根にぶつかったところだった。 いえれい みち 「わかったろう。この家も霊たちのとおり道にかかっているんだ。屋根 なんじっかい しゅうり のはじだけだが、年に何十回と修理をせにゃならん」 はんぶん すいしゃ いちぶ 1 24

6. 墓場レストラン

にしがわ 「ごらん、この村には墓地がふたつある。村の西側にあるこの墓地がド ぼちひがしがわ ィッ人墓地、東側にある、こっちかリトアニア人墓地だ」 ゅび といって指さしながら、はなしはじめた。 ばん ししゃ 「そのにねむる死者たちの霊が、あらしの晩にむかしの友だちをたす みち ねあうんだが、ちょうどこのあたりはそのとおり道になっているんだ」 ぼち ばしょ たしかに、男が家をたてた場所は、ふたつの墓地のあいだにあった。 はなし しかし、そんな話、かんたんにしんじられるものではなかった。 じぶん 「おまえさんは、どうしても自分の目でたしかめないとしんじられない ばん じゃくば みつかご んだね。じゃあ、三日後の晩の十二時、役場のまえでまっているんだ」 そのおばあさんは別れぎわにそういった。 わか とも 1 21

7. 墓場レストラン

するとその晩、ニーナがあらわれて、こういった。 さい′」 「おかあさん、ありかとう。最後にもうひとつ、わたしのおねがいをき はなよめいしよう かいい」 , っ いてね。あしたの朝はやく、その花嫁衣装をもって、街道までいってほ みち さいしょ しいの。道はたにたって、最初にとおりかかった車とつぎの車はやりす だいめ ごし、三台目の車がきたら、服を車の中になげこんでちょうだい」 おかあさんはニーナのいうとおりにした。いちばんどりがなくのを かいいっ まって街道にいき、しはらくたっていると、むこうから車がやってきた。 たいめ 一台目はセダン、一一台目もセダン。二台の車がとおりすぎてしばらくす だいめ すな ると、三台目の車かやってきた。こんどはトラックだ。トラックは砂け むりをあげて、はしってきた。トラックが目のまえをとおりすぎようと ばん あさ 1 1 2

8. 墓場レストラン

のとおり これは、ドイツの東、ポーランドにちかいある村での話。 みち いえ あるとき、よその町からうつってきた男が、道ばたの草むらに家をた てはじめた。 とち かお それをみた土地の人たちは、あれあれという顔をしてみている。首を ふりながらとおりすぎていく人もいる。 「なぜ、そんな顔をしてみるんだ」 れい かお ひがし みち たかつみほこ 高津美保子 はなし 1 1 6

9. 墓場レストラン

「あたしはいやだよ。この先はいきたくないよ」 「しゃあ、ここでまってて」 女はすんすん墓のあいだをすすんでいった。おくのはうにどうやら古 そうなお墓があった。女はスコッフで土をはりはじめた。しばらくはっ こえ あしもと て、ようやくでてきたどくろを手にとると、足元からうつろな声がきこ えた。 あたま 「おれの頭だ。もっていくな」 女はいわれたとおりにそれをおいた。どれだってかまわないんだから、 もんく 文句をいわれなくてすむのをもっていこうとおもったんだ。女はもうす こえ こしほって、べつのどくろをもちあげた。すると、また声がした。 ふる 4 3

10. 墓場レストラン

ェフのま、すすあ ・かべにかざられた手 / 杉本栄子・ とっておき、ドイツ産赤ワイン。 1600 年代ものです。 ・どくろのスープ / 岩倉千春・ 真夜中ににこんだ、カルシウム入り特製スープ / はかもり ・墓守のむかし語り / 岡野久美子・ この世のものとはおもえぬ味、よーくかみしめてめしあがれ。 きやく ・雨の夜の客 / 岩崎京子 暑い日におすすめ。ひんやりとした舌ざわり / ・見たな / 吉沢和夫・ この料理、音をたてすにたべてください。 ・墓よせ / 水谷章三 湯気のたつほかほか料理。さめないうちにどうぞ。 ・墓地にでた魔物 / 常光徹・ ・ 75 切り口もあざやか、血のしたたるステーキ。 ・ショキンショキンと音がして / 宮川ひろ ・ 83 ほどよいあまさ、からだにやさしい家庭風手作り料理。 ・きもだめし / 小沢清子 シロップ入りかき水。祭りの夜のなっかしい味です。 はなよめいしよう ・花嫁衣装 / 斎藤君子・ 悲しみのなみだでつくった伝説のロシア料理。 みち ・霊のとおり道 / 高津美保子 ・月 6 秘伝の味。風のつよい日にたべると、霊たちが見えるかも。 ・デザートおまえにひとつ、おれにひとつ / 剣持弘子 ・ 127 ぞーっ / としてあまーい特製デザート。 ・引 ・ 42 よる ・ 59 はか ・ 67 まもの ・ 106