どくろ - みる会図書館


検索対象: 墓場レストラン
119件見つかりました。

1. 墓場レストラン

女はとなりのおかみさんをおぶってあるきはしめたが、おもくてなか なかまえへすすまない。のろのろあるいていたのでは、いちばんどりが なくまでにどくろをお墓にかえせなくなる。しかたなく、女はすぐ先に いえとぐち みえた家の戸口に、となりのおかみさんをおろして、おいていくことに それから家へはしってかえって、大いそぎでどくろをなべにいれて火 にかけた。スーフがにえると、どくろをとりだして、また墓地へはしつ た。どくろをお墓にもどして、シャベルで土をかけて、もとどおりたい らにならしたとき、コケコッコーと、どこかでいちばんどりかないた。 墓地はなにごともなかったように、しんとしすまりかえっている。女 8 3

2. 墓場レストラン

「あたしはいやだよ。この先はいきたくないよ」 「しゃあ、ここでまってて」 女はすんすん墓のあいだをすすんでいった。おくのはうにどうやら古 そうなお墓があった。女はスコッフで土をはりはじめた。しばらくはっ こえ あしもと て、ようやくでてきたどくろを手にとると、足元からうつろな声がきこ えた。 あたま 「おれの頭だ。もっていくな」 女はいわれたとおりにそれをおいた。どれだってかまわないんだから、 もんく 文句をいわれなくてすむのをもっていこうとおもったんだ。女はもうす こえ こしほって、べつのどくろをもちあげた。すると、また声がした。 ふる 4 3

3. 墓場レストラン

はなし にかざられた手」、これはドイツのお話です。 にんげん うしびようき つぎの「どくろのスープ」はイギリスのお話です。牛の病気をなおすのに、人間の きみ はかば どくろを墓場からほりだしてきてスープにしてのませるというのですから、気味のわ るさはすごいものです。 かしじようたい しぼうそくだん むかしは仮死状態を死亡と速断して、墓にうめてしまうことがときどきあったよ はか、もり・ したい じっさい ) ます。「墓守のむか うです。だから死体が生きかえるということも実際あったといし がた し語り」で、双子のうちのひとりが生きかえるのも、けっしてふしぎではありません。 ひっしゃ ちよくせつ これは筆者がお祖母さんから直接きいた話だそうです。 よるきやく はなし きよ、つみ ゅうれいはなし 「雨の夜の客」はタクシー幽霊の話です。この話はよはど興味をそそられるとみえて、 はなしかず 日本だけでなく、外国にもおなじような話が数おおくあるのです。 ふるはなし かんが にほんきゅ、つきよ、ついく せんぜん 「見たな」は戦前からかたりつがれた古い話で、わたしの考えでは、日本の旧教育 こころざし やまい こっかすうようじんっ きたい わかもの 制度の下で国家枢要の人物として期待された若者が、病のために志をとげることな せんご ・カい」んは、け . ) ようせつ く夭折していくうらみが、この怪談の背景にはあったというふうにおもいます。戦後 にほん ふたご はなし 1 39

4. 墓場レストラン

そうだん 女はこまって、ものしりばあさんのところへ相談にいった。するとお ばあさんはこ、ついっこ。 びようき 「それはふつうの病気じゃないねえ。気のどくだけど、なおすのはむり だよ。方法がないわけじゃないんだが : 「どうするんです ? 」 まよなか 「真夜中に墓場のどくろをほりだして、それでスーフをつくるんだ。そ れをのませれはなおるよ . いえ よなか 女はがっかりして家へかえっていった。夜中にお墓をあばいてどくろ じめん をとるなんて、かんがえただけでもおそろしい。地面の下でやすらかに ねむっている人にも、もうしわけない。 とてもそんなことはできないと ほ、つほ、フ 2 3

5. 墓場レストラン

こえ ゅうれい 幽霊はおこった声でいった。 ゅうれい ここで幽霊とけんかをしていてもしかたない。女はそうおもって、幽 せつめい 霊にわけを説明した。 「だから、おじいさんのどくろをかしてちょうだい。用がすんだらかな らすかえすから , 「よかろう。だが、いちばんどりがなくまえに、かならすもとにもどせ さもないと、おそろしいことになるからな」 女はどくろをもって墓地の入り口にでてきた。ところが、となりのお じめん すがた よくさがすと、おかみさんは地面にはったり かみさんの姿がみえない。 きぜっ こえ ゅうれい たおれていた。幽霊の声をきいて、こわくて気絶してしまったらしい ぐち よ、つ ゅう

6. 墓場レストラン

どくろのスー。フ うしなんとう 小さな村のはすれに、ひとりぐらしの女がいた。牛を何頭かかって、 はこけやさい トさい畑で野菜をつくって、どうにかこうにかくらしていた びよ , つき ところがあるとき、牛たちがみんな病気にかかってしまった。えさを やくそう たべなくなって、乳もすっかりへってしまった。女は薬草をたべさせた せいすい 、教会でもら「た聖水をのませたりしてみたが、牛はやせていくば かりだった。 うし うし いわくらちはる 岩倉千春 3

7. 墓場レストラン

かんこうきやく にんき イたちが、ビールやワインをはこんでくるので、観光客に人気のス じかん きやく ポットだ。でもお昼の時間がとっくにすぎているせいか、お客はリゼッ しゅ、フどうそう テだけだ。しすまりかえったレストランの中に、修道僧のかげがロウ ひかり ソクの光に大きくゆれている。 しゅうどうそう リゼッテか、いちはんおくの席にむかうと、修道僧があわてていっ せき あんない 「もっとよい席がありますからご案内します 「いいのよ。おくのほうがおちつけるから , 「そうですか。こちらでよろしいのですね . しゅうどうそうちゅうもん ちょうり物は 修道僧は注文をきくと、なにかつぶやきながら調理昜こ、 ひる せき つ、」 0 3 2

8. 墓場レストラン

食事かおいしかったので、わたしはレジにいってしはらいをしました。 すると、角ぶうとうがわたされました。 しやしん 「さきはどの、写真でございます」 え、と ) しいかけて、おもいだしました。そうそう入り口で、あの世へ つついているとかいう、あなの中をうっしたつけ。 ひる エスカレーターであがると、外はまだ、ま昼どきです。 しよくじ 一枚の写真 しやしん そと まったに 松谷みよ子 ぐち こ よ 1 35

9. 墓場レストラン

みつかご やくそく じかん やくば 三日後、男は約束の時間に、伐場のまえでまっていた。 かぜ すると、まもなく風がゴーゴーふきだし、どこからともなくざわめき かきこえてきた。 ししゃ 「きこえるか、死者たちがうれしそうにかたらうのか。みえるか、たの しそうにおどるのか いつのまにか、あのうらないばあさんが男のとなりにたっていた。 こえ すると、 いままでざわめきにしかきこえなかった音が、声となって はっきりききとれるよ、つになった。 おがわ のふちにいってみましょ 〈ねえねえ、きようはむかしよくあそんだ小川 、つよ〉 1 22

10. 墓場レストラン

なかま なんだかかわいそうにおもい 仲間にいれてあげました。 クジをひいたところ、女が一番になりました。 「よかった。じゃあ、おばさんからいくからね . うれしそうにいうと、あたりをみまわし、 「でも、もしなにかあるといけないからー どう とつぶやいて、お堂のそばにおいてあったカマを手にもちました。 女は月のあかりをたよりに、墓地のおくへとはいっていきました。ま こえ もなく、子どもたちの声もきこえなくなりました。あたりはしんとしす くろ はかいし 士り・か、んり、 黒ぐろとたちならぶ墓石のうしろから、ふっとなにかがあ きようふ らわれそうな恐怖におそわれました。しかし、女はお金ほしさにひっし ばん 8 7