ひとり - みる会図書館


検索対象: 日本のとんち話
40件見つかりました。

1. 日本のとんち話

このお城には、だれひとり、おまえのめんどうをみてくれる者は、おらなんだのか 。おおっ : 生きておるおまえに、なにも食べさせてはくれなんだのか : かわ しみ、一つに・ おおっ : とうとう、このようにうえ死にしてしもうとは : と、その場になきくずれた。 殿さんはじめ、お城の人たちは、あんまりしんけんな彦市のようすに、だれひとり、も のをいうものは、おらなんたということじゃ。 庭の雨は、まだ、ふりつづいておった。 しろ もの 127

2. 日本のとんち話

しょ むひつねが 無筆の願い書 むかし、むかし。 どえらいききんがあった年じゃ。百姓たちは、すっかりこまりはててしもうたわい。そ こで、みなみな、ひたいを集めて考えたが、とどのつまりが、 だいかん ねがしょ ねんぐ 「こりゃあ、代官さまに願い書をかくべえよ。なんとしてでも、ことしの年貢は、かんべ んしてもらわにゃあ。 いうことになった。 じ ところが、だれひとり、字の書けるものがおらん。 「やれやれ、なさけない。」 と、ため息をついておると、中のひとりが、 「よしきた。いい 考えがある。わしにまかしときつ。」 と、胸をたたいてひきうけた。 むね あっ ひやくしよう 192

3. 日本のとんち話

かしこい子ども むかし、むかし。 いくさ ある村に、ひとりのじいさまがおった。はたらきざかりのむすこは、戦にとられて死ん たきち でしまい、のこ 0 た嫁はながの病 ~ とうとう、孫の太吉ひとりをのこして、これも死んで しもうたワ。 ところが、ようしたもんで、この孫の太吉は、村のみんなから、 「日本じゅうさがしても、あんなかしこい子はおらん。」 と、いわれるほどのりこう者 との そのことが、いっか殿さまのお耳にはいって、 ど 「どりや。その小僧をよびつけて、一度ためしてみよう。 いうことになったわい。 ごてん 殿さまは、太吉を御殿によんで、一つのようかんを二つに切って食べさせた。そして、 こぞう よめ もの わ ず た 221

4. 日本のとんち話

「ほほ一つ : これは、木びきが、木をひいておるところでございますかい。」 「いかにも。」 「だめ、だめ。木をひいておるというに、おがくずがございませぬ。」 きやく ほかの客たちが、ひとりふたりと、そばへよってきた。 絵師は、また、一枚かいて五作にさしだした。 「これは、 しかがでござる。」 見ると、ひとりの男が川からあがってきたところ 「ほほう。なかなかようかけておりますな。」 と、まずはほめたが、五作はことばをつづけて、 しゅぎよう 「おしいことに、あなたさまは、まだ修業がたりませぬ。」 「な、なんともうされる。」 「いや、そうむきになることはござりませぬ。ただ、ほんのちょっぴり、あなたさまは、 ものの見方がたりませぬ。」 こ すつばだかで、 ふんどし一つ。

5. 日本のとんち話

るすばんめがね むかし。お江戸は神田に、有名なはんこ屋があった。 そこのおやじさんというのは、もう年よりなので、いつもめがねをかけて、仕事をして おった。 ある日のことじゃ。 きやく ひとりの客がやってきた。はんこをちゅうもんして、さきにお金をはらうと、 とうか 「この十日に、きっととりにくるから、その日に、きちんと、わたしておくんなさい。」 かならず、おわたしいたします。」 「はい、しようちしました。十日には、 はんこ屋のおやじさんは、かたく約束して、金をうけとった。 さて、十日という日。 れいのお客が、はんこをとりにやってきた。 ところが、ちょうどおやじさんがるすで、むすこがひとり、店番をしておった。 かんだ ゅうめい やくそく みせばん かね し′」と

6. 日本のとんち話

鉄砲と財布 むかし、むかし。 ふこう な おかみに不幸があってナ。琴・三味線はもとより、鳴りものいっさいまかりならぬとい う、きびしいおふれが出たわい。 かりゅうど そのころ、ある村に、ひとりの狩人がおった。きつねをとろうと、鉄砲をかついで、山 やくにん をあるいておると、いきなりひとりの役人がとんできた。 「やい、やい鉄砲も鳴りものじゃそ。鳴りものは、 いっさいならぬということ、知らぬ ではあるまい。このふらち者めがつ。」 どなりつけるといっしょに、鉄砲をとりあげてしもうた。 「ど、どうそ、おゆるしくだされ。おかみのおきてをやぶろうなどとは、とんでもござり ません。どうそ、どうそ、鉄砲たけはおかえしのほどを : : : 。」 と、わびたが、役人は、し 、つこうにゆるしてくれん。というて、鉄砲がなければ、暮らし てつばうさいふ もの こと しやみせん てつほう 211

7. 日本のとんち話

ひとりかご むかし、むかし。 えど だんな お江戸のはずれに、えろうしみったれの旦那がおったわい。金はどっさりあるくせに、 だすこととなると、舌をだすのもおしいくらいじゃった。 こうじまちおお ある日、麹町の大旦那に、いそぎの用ができたが、 ( さーて、よわったそ。はよういかにゃならんが、かご屋のかごでは高くつく。というて、 ごんすけ あるいてもいかれんし : おお、そうそう。あのカじまんの権助に、かつがせて、うち のかごでいくとしよう。 ) げなん さっそく、下男の権助をよんで、 「おまえは、飯もようくうが、力もあるえらいやっちゃ。」 「へえ、旦那さまのめえですが、米なら五俵ぐらいは、わけなくかっげますわい 「それなら、わしひとりかつぐくらいは、わけなかろう。」 した こめ ひょう ちから かね

8. 日本のとんち話

せんりようばこひるね 千両箱の昼寝 きようみやこ むかし。京の都に、大金持ちがおったワ。 子どものとき、村を出て、京の都にやってきた。そして、食うものも食わず、ただもう、 身代をつくることたけにむちゅう。ためた金は、あっちの人、こっちの人に、くるくるま わしてりそくをとった。 ぎんせんかん こうして、男は、銀八千貫という身代になり、金持ちのおおい京の都でも、一流の長者 こよっこ。 おやこきようだい さて、この男。長者になっても、ただの一度も、親子・兄弟・親類の者を、ひとりとし て京へまねいたことがない。 ところが、どうした風のふきまわしか、ことしは、ぎおんの祭りに、ひとりでもよけい にきてほしいといって、里の者をまねいたのであった。 里の者たちは、 しんだい おおがねも さと ど まっ しんるい もの りゅうちょうじゃ

9. 日本のとんち話

・もくじ なまけ弁当 よいち 与一の天の・ほり うすお 臼を負うて馬にのる ひとりかご % 言うに言われず 瓜ぬすびと るすばんめがね しようほう くさい商法 そろばんじようず せんりようばこひるね 千両箱の昼寝 もち屋の禅問答 やぜんもんとう べんとう う 0

10. 日本のとんち話

こえ と、声がする。 すけはち 「あの声は、助八のようだが : 「こ・ほれる、こ・ほれるというからには : 「なにか、持ってきたにちがいない。 「うん。やつにしては、めずらしいことだ。」 「入れてやろうか。」 「よかろう。」 いうわけで、ひとりがかんぬきをはずして、ガラッと戸をあけた。 ところが、助八。なんにも持っておらん。いつものように、にやにや笑って、ぬーと、 中にはいってきたわい。 友だちは、あわてて、 「おい助八」 「なにが、こ・ほれる、こ・ほれるだ。」 と、 わら 136