ポケット - みる会図書館


検索対象: 最後の歌姫
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1. 最後の歌姫

とっせん の断片をさぐっていた。そのとき突然、ひらめした。 、 ' ンヨセフかポケットにかく したものが、何だったのか。ラネッシュをまってはいられない。 ーフは『四人 うたひめ の歌姫』の話を、バルダの手におしつけた。 「ばくたち、だまされてたんだ。影の大王がこの話をまねたのは、『四人の歌姫』 かれ ・丁じが一 っていう名前だけじゃない。彳 ( 皮よ、その筋書も取り入れて、それをもとに策略を ね ねんかん 練ったんだ。もし、やつのム令どおり『デルトラ年鑑』が燃やされていたら、も まーも しジョセフが年鑑を守ってくれてなかったら、だれもこのことに気づかないとこ ろだった」 リーフは地図の断片をポケットからひつばりだすと、ふるえる手でテープルに お よ 置いた。「でも、ジョセフは『四人の歌姫』の話を読んだ。だから危険がせまっ ていることに気ついて、ばくに伝えよ、つとしたんだ。最後には、ヾ ノフでさえ何か かん 感づいていたのかもしれない」 しゅじんさま ご主人様は、たくさんの計画をおもちだからね だんべん なまえ ロ卩ぃ が ~ い 4 、つ と 0 256

2. 最後の歌姫

17 ◇どんでんがえし を一さ かん かってないとでも思ってるような、鬼気せまる感じだった。もちろん、おれには わかったよ。ジョセフはいつも言ってたから。おむかえがきたときには、図書室 員の制服で葬られたいって」 せんしん ーフの全身がふるえだす。 「ポケットに、何か入ってなかった ? 」リ あお ラネッシュが、すっと青ざめた。「たしかめなかった」 ・す・じか、さ 筋書 : : : だまされておりました ーフはよろよろと立ちあがり、ふらついた。ラ ジョセフの一一一一口葉を思いだし、 ネッシュがあっと声をあげ、腕をとる。 ちゅ、つほ、つ ラネッシュがリーフをおぶうように厨房にもどり、いすにすわらせると、テー プルの楽しげな声かびたりと止んだ。ジャスミンとバルダ、ジョーカーがとびあ かり、シャーンも体を起こそ、つとする。 「リーフをたのむ」ラネッシュはそれだけ一言うと、厨房を出た。 ちず リーフはポケットに手を入れ、『四人の歌姫』のありかが書かれた四枚の地図 たの 、つで 255

3. 最後の歌姫

8 0 おそろしい発見 ぶか ほさかん の補佐官であることをわすれるな。思いやりもたいせつだが、部下のごきげんを うかかってばかりでは、ずっと指揮をとれないままだぞ」 ひたいあせ ダンは頭を下げると、大きな白いハンカチで額の汗をふきふき、足早にドアに むかった。 かおいろ こうたい 「あいつは交代だ」バルダが小声で言う。「人の顔色ばかりうかがって、衛兵を ひきいる器じゃない 丿ーフはきいていなかった。急に走りだすと、ダンがハンカチを出すと 子 / 1 刀 お きにポケットから落としたものをひろ、つ。 きいろ お 折りたたまれた黄色い紙だ。それをひろげて、 「ダン ! どこでこれを手に入れた ? うつわ こごえ ルさゆ、つ ーフはぎよっとなった。 あしばや 129

4. 最後の歌姫

言 9 一黄色いビラ きいろ ダンはびくっとして、しぶしぶふりかえった。リ ーフの手のなかの黄色いビラ をみると、あわてて、ポケットをさぐる。青い目が、みるみる大きくみひらかれ ちょ、つしょ / 、せき 「そ、それは : : : 今朝、われらの朝食の席に、山と積まれていたものであります。 もんだい 一枚ちょうだいしても問題ないかと思いましたので」 ひっしへいせい 「もらったって、何も問題ないさ」リーフは必死で平静をよそおった。「読んだ しん ってかまわない。ただ、このビラの一一一一口、つことを信じてもらっちゃ、こまる。ダン、 これはみんな、でたらめなんだよ」 へいか ーフの目をみよ、つとしない。 「陛下のおおせのとおりに」ダンは、リ バルダかダンをにらみなから、リー フにきく。「それは、おれたちがデルに着 こ 0 っ 130

5. 最後の歌姫

3 0 デル 丿ーフたちがデルの街の門にたどり着いたとき、月はすでに沈んでいたが、日 の出まではまだ間があった。馬のひづめの音に、ランタンをかかげた衛兵が四人、 ひとかげみと ながぎぬ 近づいてきた。衛兵たちは、トーラの長衣をまとった人影を認めるやいなや、あ とずさりし、首に下ろしていたスカーフで、あわててロと鼻をおおった。 かんげい 「トーラの者が、ここに何の用だ ! お世辞にも、歓迎しているとは言えない。 ジャスミンが、打ち合わせたとおりにさけびかえす。 どのじよげん 「われらは依頼を受け、トーラ病についてジョーカー殿に助一言するためにきた」 「そんな話はきいていない ! 」衛兵がつつばねると、ジャスミンはポケットから 一枚の紙をとりだした。 「ここに手紙がある。みてみるか ? 」 てがみ びよう

6. 最後の歌姫

170 どんでんがえし バルダとジャスミン、ジョーカーが『四人の歌姫』の話を読みはじめると、リ かお ひとめ ーフの ~ はかっかと ーフは地図の継ぎ目を合わせた。できた地図を一目みて、 ほてった。 まち しんぞうぶ ちゅ、つしん ドレや亠の / 、 : 心臓部 : : : 街・ : 邪悪・ : : ・中心・ たび 「ジョーカー、ナイフを貸して」ポケットに入れて、ずっと旅をともにしてきた えんびつ フはささやいた。 すりへった鉛筆を手さぐりしながら、リー むごん げ・んこ、つ ジョーカーが、原稿からけわしい顔を上げると、無言でさやからナイフを抜き、 テープルに直く。 : 東 : : : 西に : ーフはナイフのまっすぐな背を地図の上に置き、それをものさし代わりに、 かげもん りゆ、つす 『竜の巣』と『死の島』をむすぶ線をひいた。つづいて、『影の門』とデルを 線でつなぐ。 みなみ ひがし せん 0 0 ぬ 257

7. 最後の歌姫

10 -0 死者の声 わる ーフはくちびるをかんで、しずかに言った。「ごめん、悪かった。でも、き みをひとりにはできない。やってもらわなきゃならないことがあるんだ」 よあ 「おれは何もできないよ」ラネッシュがつぶやいた。「明日の夜明けまで、ジョ セフのそばについてなけりや。それが、城のやり方だろ。お使いなら、ほかのや つに頼んでくれ」 リーフはこぶしをにぎりしめた。「夜明けまでには、デル城の人はきっと、ひ たんたん ひょ、つ、さ ーフは淡淡と一一一一口った。 とりのこらす死んでしまっているよ。病気にやられてね」 1 よわ 「ばくだけは、まだ生きてるかもしれないけど、弱りきって、何もできないと思 う。いま、なすべきことをできるのは、ラネッシュ、きみだけなんだ」 きいろ ーフをみる。 ーフは黄色いビラをポケット ラネッシュがば、つぜんとして、 から出して、ラネッシュにさしだした。 丿リンに見せて、これは、 「馬でトーラまで、かけにかけてくれ。このビラをマ 1 った デルトラを影の大王の手にわたそうとする者のしわざだと、伝えてほしいんだ。 たの たいおう つか

8. 最後の歌姫

あな たから ーフはグラ・ソンをじっとみつめた。「小人族の宝のほら穴にある大きなエ ぜんぶ メラルドが、全部ほしいんだ。エメラルドとアメジストを全部」 みひら グラ・ソンは、小さな目を見開いた。宝を愛する小人族らしい、警戒の色がう かんでいる。 まばたきしたグラ・ソンの目からは、欲ばりな光は消えていた。 「いいともさ」グラ・ソンはおだやかに言った。「エメラルドでみんなを解毒し けんさ て、アメジストで食べ物の毒を検査するんだね」 しろ ほ、っせ」 かんしゃ かいてんはや 「そのとおりリーフは、グラ・ソンの回転の速さに感謝した。「城にも宝石は あるけど、それじや足りないからね。もちろん、小人族の宝石は、この危機を乗 りきったら、すぐにおかえしするよ」 ふくろ あたま 「、つん、もちろん」グラ・ソンはかるく頭を下げると、ポケットから小さな袋を みどりいろ こやま なかみ 昔 0 取りだした。中身を手のひらにあけて、さしだす。エメラルドの小山が、緑色の 炎のように光っている ほのお もの 107

9. 最後の歌姫

トーラでシャーンに根づいていれば、わたしたちにはわかります」 へやい力し 「そんなことを、この部屋以外でロにしないでもらいたい。おれのきくところで たみうたが は、それこそまさに、デルの民が疑っていることだ」 「何が言いたいのです ! 」ゼアンがジョーカーをにらみつける。 きいろ ーフがおろおろとみつめる前で、ジョーカーかポケットから黄色いビラをと りだし、ゼアンに突きつけた。・ セアンが受けとって、読みはじめる。 フは どうせいっかは、ゼアンにも知られてしまうことだったんだから : : : リー 自分に言いきかせて、しずむ気持ちをひきたたせた。あとはただゼアンに、この ほねみさきとうだい ことをトーラの人びとに言わないでくれるように、たのむしかない。 骨岬灯台に ーレよ / 、 . り・よ、つつ 力いこくせん にしかいカん 光がもどった今、食料を積んだ外国船が、西海岸にやってくるかもしれない。そ うなったらデルは、トーラの人びとの好意にすがるしかないのだから。 こえあたま ーフは歯をくいしばってふたりに背をむけると、ふたりの声を頭からしめだ がね した。そしてゆっくりと、デルトラのベルトの留め金をはずす。 じふん

10. 最後の歌姫

170 どんでんがえし かお そのとき、ラネッシュが紙をにぎりしめてかけこんできた。まっ白な顔で、目 こ、つふんちばし は興奮に血走っている。 せいふく 「あったよ , ジョセフの制服のポケットに、これが : 言いかけてラネッシュは、テープルの上の地図をみると、もってきた紙をとな 。り・ゅ、つ りにならべた。リ ーフが思ったとおり、それはドランの竜のなわばり地図を、ジ ョセフが写したものだった。四つの歌姫の場所に、ジョセフの手で印が入れられ ている。その印をむすんで、 リーフがひいたのとおなじ線をひいていた。二本の 線が交わっているのは、オパールの竜のなわばり。『ネズミの街』のヒラだった。 リーフは手をにぎりあわせて、ふるえを止めようとした。 、、 , ンヨセフかあれほどばく 「これが、ジョセフがばくにみせようとしてたものた。 ) に会いたがっていたのは、最後の歌姫をたおす手だすけのためだとばかり思って た。パフも、そ、つ田 5 った。でも、そうじゃなかったんだ。。 ショセフは、ばくを止 うたごえや めようとしてたんだよ。もし最後の歌姫の歌声が止めば、飢えよりももっとおそ 、つつ かみ しるし 261