げんせかい まったんです。 じよおう 女王さまは、チビチビにいいわたしたの。 ついほう ようせい 『チビチビや、わたしはおまえを、妖精の国から追放します。それから、 ばっ 罰として、おまえのことばをとりあげます。わかったね、さあ、でてお いき ! 』って。 ようせい かわいそうに、チビチビこびとは、妖精の国からおいだされてね、人 間の世界でくらすことになったの。ことはをうしなってね。 でもチビチビはヘっちゃら。目をくるくるさせて、車のタイヤのまん 中にとびのって、おおよろこびなの。そして、その車にのっている人に、 しあわせをプレゼントしてくれるのよ」 にん 1 3 〇
チビチビというこびと ひみつ ちょうしよくしはら 〈秘密のとびらレストラン〉で、ホテルの朝食と支払いをすませたわ ろうふじん たしは、リュックをしよって、あの老婦人にわかれをつげました。 「ヒッチハイクをなさるのでしよう。チビチビこびとにあえますよう わたしは首をかしげました。 「チビチビこびとって、どんなこびとですか ? どこにいったら、あえ まったに 松谷みよ子 1 27
せいねん しってきました。わたし、むちゅうで、手をふりました。わかい青年で す。わたしのまえで、キュッととまって、どうぞといってくれました。 「ありかとう」 車にのりこむとき、わたし、たしかにみました。チビチビこびとが、 タイヤのまん中にとびのって、手をふったのを。わー よ , っせい わたし、スコットランドの妖精にあえたのです ! わたし、さけびま 「スピードだしてね ! しあわせをもらえるように」 「オッケー、チビチビこびとのためにねー しゆっぱっ せいねん 青年は、ふりむいて、ウインクしました。さあ、出発です 1 35
ようせい るのでしよう。わたし、スコットランドの妖精にあいたくて、さかして ど いるんですけど、まだ一度もあえないんです」 「チビチビこびとは、車が大すきですから、きっとあえますよ。もし、 あえたら、しあわせもおみやげにくれます、 「うれしい、やったあ」 わたし、とびあかりました。 まめ 「チビチビこびとは、その名のとおり、豆つぶみたいに、ちっちゃいん みどり です。まっ赤なジャケットをきて、緑のズボンをはいて、いたすらが大 すき、スピードが大すきなの。 ようせい でもあるとき、 いたすらがすぎて、妖精の女王さまをおこらせてし じよおう 1 28
「チビチビにあいたいわ。どうしたらあえるかしら。そうそれに、車に しようねんへい せきぞう のるよりまえに、あのスカートをはいた少年兵の石像にあいたいわ。 どこにいったらいいのかしら」 よ 「ここをでたら、砌のほうへむかって、あるいていってください。四つ しようねんへい っしがあって、そこに、石でできたスカートをはいた少年兵がたって います。そこでまっていれば、あなたをのせてくれる車もくるでしよう し、、つ士ノ \ いけは、チビチビこびとにもあえますよ ろうふじん 老婦人はそういうと、わたしのほほにキスしてくれました。 ろうふじん わたしも、老婦人のほはにキスしました。わかれをつげて、砌のはう あさ へ、あるいていきました。すがすがしい朝でした。 みずうみ みずうみ 1 32
最初のおはなし秘密のとびらレストランか できたわけ 松谷みよ子・ 最後のおはなしチビチビというこびと 松谷みよ子 ・ 127 秘密の箱はあけちやダメ / / 常光徹・・ 35 , 55 , 83 , 95 解説 / 剣持弘子・ ・ 137 ひみつ
そのとき、まっ赤な、テ ントウ虫みたいなものが、 ちらちらっと、つごきました。 顔をよせてみると、いま した ! まっ赤なジャケッ みどり トをきて、緑のズボンをは いたチビチビこびとが、わ らって、そこにいたのです。 十′し そこへ、 一台の車がは かお 0 1 34
どろぬま ねっとう じごく じごく 「生きながら地獄に」の地獄は、火山のふもとにできる、熱湯のわきでる泥沼です。 はなし と、つい じごく この地獄へのとびらをあまくみて、とうとう地獄におちた東西のふたりの男のお話で はなし おとぎぼうこ かなぞうし かいだん えどじだいぜんき す。江戸時代前期の、怪談をあつめた仮名草子『御伽婢子』からとられた話です。 ないよう どうわしゅう はなし 「青ひげの話」は、フランスの『ペロー童話集』にある、「青ひげ」とおなし内容で むかしばなしていばん はなし くちづた すが、これはロ伝えの話をもとにしています。このとびらが、まさに昔話の定番 きん - ばく きん 「禁しられたとびら」です。予期どおりにとびらはあけられてしまい、緊迫したドラ マがくりひろげられることになります。 はんざい ごやかい 「うさぎ小屋の怪」は、犬のこととはいえ、犯罪のにおいもした話が、おもいがけな いっしゅげんだいみんわ てんかい い展開となり、笑い話になるという、一種の現代民話です。 せんそう おもいがけす、戦争にまつわるメニューがおおくて、すこしおもい気分でレストラ ンをでたあとは、しあわせをくれるという「チビチビというこびと」にであい、すて しゆっぱっ せいねん きな青年の車にのせてもらって、さあ、出発です。このこびとはスコットランドで でんせつ は伝説としてしられているようです。 わらぼなし かざん じ・」く はなし きぶん 1 41